説明

メチル化シトシン検出方法

【課題】DNA鎖上のメチル化シトシンのみを検出することを目的とし、鎖終結反応を用いた方法を提供する。
【解決手段】以下の工程により、標的核酸中のメチル化シトシン部位を検出する。
(i)メチル化シトシンを有する標的核酸中のシトシンのみをウラシルに変換する。
(ii)ウラシル含有核酸をPCR増幅する。
(iii)PCR増幅産物に対して、
(a)増幅産物のメチル化シトシンを有する鎖の相補鎖に対するプライマー、ddCTP及びdNTPを用い、ddCTPを末端として終結する鎖として伸張させる反応、または(b)増幅産物のメチル化シトシンを持たない鎖の相補鎖に対するプライマー、ddGTP及びdNTPを用い、ddGTPを末端として終結する鎖として伸張させる反応、を行う。
(iv)前記核酸断片混合物を分画し、標的核酸中のメチル化シトシン部位を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的核酸のDNA鎖上のメチル化シトシンの位置を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真核生物では一部の生物の例外を除いてゲノムDNAのシトシン塩基(C)の5位がメチル化修飾を受ける。脊椎動物のゲノムDNAのメチル化は、シトシン塩基の次にグアニン塩基が続くCpG配列中のシトシン塩基に起こることが知られている。このメチル基は、S−アデノシル−L−メチオニンを基質として、DNAメチルトランスフェラーゼにより転移される。メチル化修飾されたゲノムDNAには、Sp1などの一部の転写因子を除いて、ほとんどの転写因子が結合できなくなる。したがって、ゲノムDNA中のプロモーター領域が高度にメチル化修飾を受けると、転写が抑制され、遺伝子が不活性化される。このような遺伝子の不活性化により、成体を構成する細胞の多様性が生み出される。
【0003】
DNAのメチル化状態は、組織・細胞の特性として、発生および分化の過程で特異的に形成される。そのためDNAメチル化状態の異常は、細胞がもつ固有の分化形質の異常につながる。ゲノムDNAのメチル化異常は、発がんに関わることが明らかになっている。現在、種々の細胞、組織に状態を解析する手法としては、RLGS法、MSP法などが挙げられる。
【0004】
RLGS法は、制限酵素認おける正常と異常のDNAメチル化状態の解析が精力的に行われている。
【0005】
ゲノムDNAのメチル化識部位を指標とした二次元電気泳動によるゲノムDNAの解析法である(非特許文献1、特許文献1参照)。ゲノムDNAをメチル化感受性制限酵素Not Iで切断し、末端を標識後、一次元の泳動を行う。次いで別の制限酵素で切断後、二次元の泳動を行う。この方法により、ゲノム間における特定の制限酵素切断位置の差をスポットの差として検出することが可能である。この方法では、制限酵素にメチル化感受性制限酵素を用いることで、ゲノム上の個別座位のメチル化状態を一度に数千の単位で解析することができる。
【0006】
一方、MSP法は、化学反応による塩基変換と特異的PCRを組み合わせた解析法である(非特許文献2参照)。ゲノムDNAを重亜硫酸塩で化学的に処理すると、非メチル化シトシンはウラシルに変換される。一方、メチル化シトシンはウラシルに変換されないため、シトシンのメチル化状態の差が塩基配列の差となる。重亜硫酸処理後、メチル化DNA、非メチル化DNAを認識する特異的なプライマーを用いてPCRを行う。それぞれのDNAについて増幅反応の可否を判定することで目的塩基のメチル化状態を決定することが可能である。
【特許文献1】特許第02794047号明細書
【非特許文献1】I Hatada, Y Hayashizaki, S Hirotsune, H Komatsubara, and T Mukai "A Genomic Scanning Method for Higher Organisms Using Restriction Sites as Landmarks" PNAS 1991 88: 9523-9527
【非特許文献2】J.CIark Susan, Janet Harrison, Cheryl L. Paul, and Marianne Frommer "High sensitivity mapping of methylated cytosines" Nucl. Acids Res. 1994 22: 2990-2997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記MSP法では、プライマーを2種類使用する。即ち、メチル化DNAと非メチル化DNAを検出するためのプライマーがそれぞれ必要である。本手法では、PCRの際、メチル化DNAを検出するプライマー(メチル化プライマー)および非メチル化DNAを検出するプライマー(非メチル化プライマー)の増幅効率に差がでるよう、シトシンを多く含む配列を選択する場合が多い。
【0008】
しかし、シトシンを多く含む配列にプライマーを設計した場合、以下の2点が問題となる。
【0009】
ひとつはプライマーのTmである。MSP法では、PCRに先立ち検体DNAを重亜硫酸塩で処理し、非メチル化シトシンをウラシルに変換する。この処理ではメチル化シトシンは、ウラシルに変換されないため、検体DNAのメチル化状態によってプライマーを設計した配列が変化する。このことは、メチル化プライマーおよび非メチル化プライマーの正確な設計は不可能であることを意味する。このような正確に設計されていないプライマーを使用することで非特異的な増幅が進行し、メチル化状態の決定を誤る可能性が高くなる。もうひとつの問題点は、特定の塩基の情報が得られないという点である。プライマーはシトシンを多く含む配列を選択しているため、特異的PCRで増幅が確認されない場合でも、プライマー上に存在するどのシトシンがメチル化されているかを決定することはできない。
【0010】
このような問題点を解決するため、塩基配列を決定する方法が提案されている。この方法では、重亜硫酸塩で検体を処理した後、DNAシーケンサーを用いて配列決定を行う。しかしながら、この方法は全ての塩基を決定するため、検体および試薬の損失が大きい。
【0011】
そこで、本発明は、鎖終結反応を利用してDNA鎖上のメチル化シトシンのみを簡便かつ効率的に検出することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかるメチル化シトシン部位検出方法は、メチル化シトシンを有する標的核酸中のメチル化シトシン部位を検出する方法であって、
(i)標的核酸に対して、該標的核酸中のシトシンをウラシルに変換し、メチル化シトシンをそのまま維持するための変換反応を行い、シトシンを持たない核酸試料を得る工程と、
(ii)前記核酸試料を増幅するPCR用プライマーによりPCR反応を行い、増幅産物を得る工程と、
(iii)前記増幅産物に対して
(a)前記標的核酸の一部に相補的な塩基配列を有する鎖伸張反応用プライマー、及び、ヌクレオチドとしてのダイデオキシシチジン三リン酸及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用い、ダイデオキシシチジン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応を行うか、あるいは
(b)前記標的核酸を鋳型に増幅された前記標的核酸の相補鎖の一部に相補的な塩基配列を有する鎖伸張反応用プライマー、及び、ヌクレチドとしてのダイデオキシグアノシン三リン酸及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用い、ダイデオキシグアノシン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応を行う
ことにより核酸断片混合物を得る工程、
(iv)前記核酸断片混合物を分画し、標的核酸中のメチル化シトシン部位を決定する工程
と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る塩基置換およびメチル化シトシン特異的鎖終結反応を行うことで、メチル化したシトシンのみを効率的に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかるメチル化シトシン部位検出方法は以下の工程を少なくとも有する。
(i)標的核酸に対して、該標的核酸中のシトシンをウラシルに変換し、メチル化シトシンをそのまま維持するための変換反応を行い、シトシンを持たない核酸試料を得る工程。
(ii)前記核酸試料を増幅するPCR用プライマーによりPCR反応を行い、増幅産物を得る工程。
(iii)前記増幅産物に対して
(a)前記標的核酸の一部に相補的な塩基配列を有する鎖伸張反応用プライマー、及び、ヌクレオチドとしてのダイデオキシシチジン三リン酸及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用い、ダイデオキシシチジン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応を行うか、あるいは
(b)前記標的核酸を鋳型に増幅された前記標的核酸の相補鎖の一部に相補的な塩基配列を有する鎖伸張反応用プライマー、及び、ヌクレチドとしてのダイデオキシグアノシン三リン酸及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用い、ダイデオキシグアノシン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応を行う
ことにより核酸断片混合物を得る工程。
【0015】
工程(i)におけるシトシンをウラシルに変換するための反応としては、重亜硫酸処理法が利用できる。標的核酸にシトシンが含まれている場合にこれがウラシルに変換される。工程(ii)におけるPCR反応は、シトシンのウラシルへの変換工程を経た核酸試料の全域を増幅する非特異PCR用のプライマーを用いて定法により行うことができる。
【0016】
工程(iii)のダイデオキシシチジン三リン酸またはダイデオキシグアノシン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応は、メチル化シトシンの位置を分析可能な鎖伸張用のプライマーを設定し、必要とするヌクレオチドとともに用いて定法により行うことができる。この鎖伸張反応用のプライマーは、後続する工程(iv)における核酸断片混合物の分画による塩基配列の決定が効率よく可能であるように、増幅産物における認識位置及び配列を設定する。例えば、サンガー・ダイデオキシ法と同様の手法によりプライマーの設定を行うことができる。
【0017】
鎖伸張反応用プライマーは、増幅産物のアンチセンス鎖の一部に相補的な塩基配列を有するものであってもよい。また、標識は鎖伸張反応用プライマーおよびヌクレオチドの少なくとも1種に付与することができる。
【0018】
本発明に係る基本的な原理を図1により説明する。
【0019】
図1において、標的核酸101は、その相補鎖103と二本鎖核酸を構成している。標的核酸101は、メチル化シトシン105およびメチル化されていないシトシン(非メチル化シトシン)107を有する。標的核酸101および標的核酸の相補鎖103を重亜硫酸塩で処理し、非メチル化シトシンをウラシルに変換する。その結果、反応液中には、図2に示したメチル化シトシン105およびウラシル108を有する核酸109が存在することとなる。
【0020】
次いで、2種類の非特異的プライマー110、112を用意する。例えば核酸109においてCpGアイランドを増幅の対象とする場合、順方向プライマー110は、CpGアイランドよりも5’側の、核酸109と同じ塩基配列を有するものとする。一方、逆方向プライマー112は、核酸109のCpGアイランドよりも3’側の、核酸109の塩基配列に相補的な配列を有するものとする。
【0021】
そして、図3に示したように、上記順方向プライマー109と、上記逆方向プライマー112とを用いて核酸109の増幅を行う。その結果、反応液中には、図4に示した核酸114と、その相補鎖115が存在することになる。核酸114は、核酸109のメチル化シトシンに対応する位置のヌクレオチドがPCR増幅の結果としてシトシン(C)116となり、ウラシル108に対応する位置のヌクレオチドがPCR増幅の結果としてチミン(T)となる。核酸115は、これらのヌクレオチドの相補位置に、グアニン(G)117およびアデニン(A)118を有する。
【0022】
次に、図3に示す順方向プライマー110とddCTP、dNTPを用いて伸長反応を行う。ここで、上記順方向プライマーもしくはddCTPは、標識物質を有する。具体的には下記1)及び2)が挙げられる。
1)1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン−5,5’−ジサルフォネート(商品名:Cy3;GEヘルスケアバイオサイエンス社製);
2)1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニン−5,5’−ジサルフォネート(商品名:Cy5;GEヘルスケアバイオサイエンス社製)。
【0023】
上記伸長反応の結果、メチル化シトシン塩基部位に対応するシトシンの位置でのみ、鎖終結反応が起こり、図5に示すような産物(核酸断片混合物)が生成する。この産物を変性電気泳動にてサイズ分画することで、泳動距離からメチル化シトシンの位置を決定することができる。
【0024】
図3に示す順方向プライマー110の代わりに、逆方向プライマー112を用いて、PCRで増幅された核酸109の相補鎖側の伸張反応を行ってもよい。この場合のダイデオキシヌクレオシド三リン酸としては、ダイデオキシグアノシン三リン酸を用いる。この伸張反応で得られた核酸断片混合物を、同様に分画してグアニンの位置を求め、その結果に基づいて標的核酸中のメチル化シトシン部位を決定する。
【0025】
また、鎖伸張反応用のプライマーの核酸109に対する認識位置(領域)は、図3に示す場合に限定されず、メチル化シトシン部位の検出が可能となる認識位置を適宜設定できる。また、鎖伸張反応用のプライマーを複数設定することもできる。
【実施例】
【0026】
以下に、標的核酸調製工程、核酸変換工程、核酸増幅工程、鎖終結反応工程について詳細に説明する。
【0027】
(標的核酸調製工程)
標的核酸を生体(検体)のゲノムなどから取得する場合は、PCR法により増幅した核酸断片として標的核酸を用意する。そのための増幅反応(PCR)は以下の方法により行うことができる。
【0028】
先ず、増幅反応液を用意する。増幅反応液の組成の例を以下に示す。
--PCR溶液組成--
Expand Long Enzyme Mix (Roche):0.3μl
Template Genome DNA:〜5ng
Forward/Reverse Primer:各々0.12μM
dNTP mix:各々0.7・μl
buffer 1:2・μl
H2O:11.4μl
合計:20μl
上記組成の反応液を、図6に示す温度サイクルのプロトコルに従って、サーマルサイクラーを用い増幅反応を行う。反応終了後、精製用カラム(QUIAGEN QIAquick PCR Purification Kit: QUIGEN社製)を用いてPrimerを除去した後、電気泳動(BioAnalyzer: Agilent社製)により、増幅産物の定量を行う。
【0029】
(核酸変換工程)
上記標的核酸調製工程で得られたPCR産物を用い、重亜硫酸処理を行う。このときのプロトコルの例を以下に示す。
--重亜硫酸処理--
アルカリ変性工程:水酸化ナトリウムを用いて37℃、15分間加熱
スルホン化、脱アミノ化工程:重亜硫酸ナトリウムを用いて55℃、16時間加熱
核酸精製工程:エタノール沈殿法による
脱スルホン化工程:水酸化ナトリウムを用いて37℃、15分間加熱
核酸精製工程:エタノール沈殿法による
反応終了後、電気泳動(BioAnalyzer: Agilent社製)により、産物の定量を行う。
【0030】
(核酸増幅工程)
上記核酸変換工程で得られた産物を用いて、核酸増幅を行う。このときのプロトコルの例を以下に示す。
--PCR溶液組成--
AmpliTaq Gold (Applied Biosystems):0.25・μl
Recovered DNA from the bisulfite reaction:1μl
Forward/Reverse Primer:0.8μM each
dNTP mix:0.2・mM each
10x PCR reaction buffer:2.5・μl
H2O:17.5μl
合計:25・μl
上記組成の反応液を用い、サーマルサイクラーにて増幅反応を行う。温度サイクルは、図7に示すプロトコルに従う。反応終了後、精製用カラム(QUIAGEN QIAquick PCR Purification Kit: QUIGEN社製)を用いてPrimerを除去した後、電気泳動(BioAnalyzer: Agilent社製)により、増幅産物の定量を行う。
【0031】
(鎖伸張および終結反応工程)
核酸増幅工程で得られた産物を用い、鎖伸張および終結反応を行う。反応では、Cy3標識したプライマーを用いる。このときのプロトコルの例を以下に示す。
--PCR溶液組成--
AmpliTaq Gold (Applied Biosystems):0.25μl
Template DNA:1μl
Forward Primer:0.8μM each
dNTP mix:0.2・mM each
ddCTP:0.2 mM each
10x PCR reaction buffer:2.5μl
H2O:16.5μl
合計:25μl
上記組成の反応液を用い、サーマルサイクラーにて増幅反応を行う。温度サイクルは、図8に示すプロトコルに従う。反応終了後、7Mの尿素を含む2%のアガロースゲルを用いて産物を分離する。分離後、532nmの波長で励起し、塩基長を決定する。
【0032】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【0033】
(実施例1)
標的核酸として、pUC19 DNAフラグメントを用意した。この標的核酸は、Sca Iによりポジション2177で切断、直鎖状化されている。また、この標的核酸は、dam-およびdcm-であるバクテリア由来の核酸であり、シトシンがメチル化されていない。このpUC19 DNAフラグメントをSss I methylase(EC 2.1.1.73)で処理し、一部のシトシン(CpG配列のシトシン)をメチル化したものを検体として用いた。標的核酸調製工程は先に記載した方法に従った。核酸変換工程には、EZ DNA Methylation-Gold KitTM(Zymo Research Corporation)を用いた。核酸増幅工程は、以下の配列1および配列2に示したプライマーを用い、先に記載した方法に従って行った。PCR後、定量した結果、産物長は466 ntであった。
配列1:5´-CTCTCGAGAAAATATCGTATTAGGCGTTATTCGTT-3´(配列番号1)
配列2:5´-CGGGATCCAACCGCCTCTCCCCGCGCGTTAACCG-3´(配列番号2)
また、鎖伸張および終結反応工程は、配列1をプライマーとし、Cy3標識したddCTPを用いて行った。
【0034】
鎖伸張および終結反応後の電気泳動の結果から決定した、標的核酸のメチル化状態を図9の配列3(配列番号3)に示す。解析の結果、配列3中の下線部のシトシンがメチル化されていることが明らかとなった。この結果は、別途行ったシーケンサーによる塩基配列決定の結果と一致した。
【0035】
上記実施例で示したとおり、本発明によるメチル化シトシン部位の決定方法は、シーケンサーによる全塩基配列決定結果と同じ結果を与えることが明らかである。したがって、本発明で示されるメチル化シトシン検出法は、メチル化シトシンのみを特異的に高効率で検出可能な方法といえる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】標的核酸と標的核酸の相補鎖の説明図である。
【図2】図1に係るバイサルファイト処理により得られる核酸の説明図である。
【図3】非特異的PCRの説明図である。
【図4】図3に係るPCRにより得られる核酸の説明図である。
【図5】鎖終結反応により得られる核酸の説明図である。
【図6】PCRの温度サイクルを示す図である。
【図7】PCRの温度サイクルを示す図である。
【図8】鎖伸張および終結のための温度サイクルを示す図である。
【図9】塩基配列中に決定されたメチル化シトシン部位を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
101:標的核酸
103:標的核酸の相補鎖
105:メチル化シトシン
107:非メチル化シトシン
108:ウラシル
109:変換後の標的核酸
110:順方向プライマー
112:逆方向プライマー
114:増幅後の標的核酸
115:増幅後の標的核酸の相補鎖
116:チミン
117:グアニン
118:アデニン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチル化シトシンを有する標的核酸中のメチル化シトシン部位を検出する方法であって、
(i)標的核酸に対して、該標的核酸中のシトシンをウラシルに変換し、メチル化シトシンをそのまま維持するための変換反応を行い、シトシンを持たない核酸試料を得る工程と、
(ii)前記核酸試料を増幅するPCR用プライマーによりPCR反応を行い、増幅産物を得る工程と、
(iii)前記増幅産物に対して
(a)前記標的核酸の一部に相補的な塩基配列を有する鎖伸張反応用プライマー、及び、ヌクレオチドとしてのダイデオキシシチジン三リン酸及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用い、ダイデオキシシチジン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応を行うか、あるいは
(b)前記標的核酸を鋳型に増幅された前記標的核酸の相補鎖の一部に相補的な塩基配列を有する鎖伸張反応用プライマー、及び、ヌクレチドとしてのダイデオキシグアノシン三リン酸及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用い、ダイデオキシグアノシン三リン酸を末端として終結する鎖伸張反応を行う
ことにより核酸断片混合物を得る工程、
(iv)前記核酸断片混合物を分画し、標的核酸中のメチル化シトシン部位を決定する工程と、
を含むことを特徴とするメチル化シトシン部位検出方法。
【請求項2】
重亜硫酸塩を用いて前記変換反応を行う請求項1に記載のメチル化シトシン部位検出方法。
【請求項3】
前記鎖伸張反応用プライマーが、前記増幅産物のアンチセンス鎖の一部に相補的な塩基配列を有する請求項1または2に記載のメチル化シトシン部位検出方法。
【請求項4】
前記鎖伸張反応用プライマーおよび前記ヌクレオチドの少なくとも1種が標識を有する請求項1〜3のいずれかに記載のメチル化シトシン部位検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−35533(P2010−35533A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205551(P2008−205551)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】