説明

メッシュインプラント

泌尿器の失禁、ヘルニア、子宮膣脱出症および他の関連する外傷を治療するために利用され得るメッシュインプラントが開示されている。メッシュインプラントは、生体適合性のある材料で作られた、通常スリングまたはテープ構成のメッシュを含む。メッシュインプラントは、撚り糸で作られ、この撚り糸は、任意の適切な生体適合性のある材料のフィラメントで作られ得る。一部の実施形態においては、フィラメントは、プラスチックまたは合成吸収不可能材料で作られ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2005年3月22日に出願され、その開示全体が本明細書に参照により援用されている米国仮特許出願第60/664,312号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、医療用インプラントに関する。さらに詳細には、本開示は、泌尿器の失禁、および膣脱出症を含んで他の関連する外傷を治療するのに有用なメッシュ構成を有する医療用インプラントに関する。
【0003】
(関連技術の背景)
女性において、失禁すなわち尿の流出を制御できないことには、先天的な欠陥およびトラウマまたは病気からの欠陥を含んで、泌尿器のシステムにおける様々な原因があり得る。女性の失禁の最も一般的な原因は、ストレス失禁として知られ、尿道を取り囲む支持組織および靱帯の弱さまたは弛緩から生じる。
【0004】
尿道膀胱を高めることをいくつか含んで、多くの処置が長年にわたって工夫され、泌尿器のストレス失禁が治療された。1つの初期の処置は、尿道壁の一部を通して縫合することによって尿道膀胱接合部を結合恥骨に固定することを含んだが、尿道の歪曲を生じた。該処置の変更バージョンは、尿道管腔を直接に結合恥骨に縫合し、膀胱を通ってさらに縫合を加えることを含んだ。しかしながら、この技術は、しばしば尿損失および/または膀胱結石の形成につながった。
【0005】
代替的なアプローチは、尿道膀胱接合部を、Cooperの靱帯と普通称される、恥骨の隆線に沿って横に伸びる強い腱膜の細い帯に取り付けることを含む。Richardsonへの特許文献1に記述されたこの処置において、尿道膀胱接合部は、縫合位置を通って、膣の左右両側の筋膜をCooperの靱帯と並置させることによって高められる。
【0006】
尿道膀胱を高める多くの他の処置は、腹壁に膣の左右両側の筋膜をアンカーすることを含む。例えば、膣壁と腹部の前方壁における腹直筋との間にフィラメント要素を輪にして、尿道の各側に通して恥骨との空間的な関係を正しくすることを記述する特許文献2を参照されたい。
【0007】
スリング(sling)処置が、Lemayへの特許文献3に開示されており、結合恥骨より上の皮膚にスリング状アンカー装置をインプラントし、尿道膀胱角度を調節することによって女性の泌尿器の失禁を正しくする方法が記述されている。アンカー装置は、一対のインプラントを含み、各々は結合恥骨上で落ち着くように適合されているヘッド部分、およびヘッド部分に接続されている縫合部分を有する。ヘッド部分は、縫合の中心部分がその周りで包まれている横棒を有する8の字状に形づくられている。膣粘膜を通して挿入される折り曲げ可能な針を利用して、各インプラントのヘッド部分は、結合恥骨上の皮膚に組み込まれ、縫合は、共に結ばれて尿道膀胱接合部を支持する。あるいは、縫合の端末は、膀胱頸部を支持するように構成されたサドル部材に結ばれる。
【0008】
恥骨膣処置のために使用されるスリングは、スリングおよびアンカー方法を生み出すために利用されるインプラント可能な材料とはタイプの点で異なる。一部の場合では、スリングは、膀胱頸部の下に置かれ、懸吊縫合を介して取り付け(例えば、骨)の点に腹部および/または膣切開を通して固定される。
【0009】
TVT Tension−free Vaginal Tape処置は、編まれたPROLENE(登録商標)吸収不可能、ポリプロピレンメッシュを利用する。メッシュは、実質的に平坦で、長方形の織物である。メッシュは、組織の内部成長を促進するため、および必要な場所ではバクテリアの除去を促進するため、理想的に大きさが決められた複数の穴を含む。取り外し可能なプラスチックシースが、メッシュを取り囲み、メッシュの挿入の間に使用される。2つの湾曲した針状の要素が各々、膣スリングメッシュの端末に接続されている。針状の要素のうちの1つのスリングのない端末が最初に、押されて膣切開をとおり、尿道傍のスペースの中に入る。針に取り付けられた取手を使用して、針は横に角度がつけられ(例えば、右の方に)、骨盤内筋膜に穴をあけ、正中線と平行に尾部方向に角度が付けられ、案内されて恥骨後のスペースを通り、そして腹部切開を通される。取手は接続がはずされ、針は、腹部壁を通って引き抜かれ、それによって患者の組織を通してスリングの一部に糸が通される。取手は次に、他の取手に接続され、技術は反対側で繰り返されることによって、メッシュスリングは膀胱頸部または尿道の下で輪にされ、それによって、膀胱頸部または尿道に適正な支持を提供する。いったんシースがTVT製品のメッシュから除去されると、メッシュと組織との間の摩擦によりメッシュは、決まった位置を保ち、組織に対してメッシュの位置を調節することが極めて難しくなる。
【0010】
インプラントの適切な場所は、増加した腹圧の期間中に尿道を支持することができるが、インプラントが、通常の腹圧の期間中は尿道を引っ張らず、不快さを引き起こさないような場所である。これは外科医にとって達成することが難しい。従来のモノフィラメントテープインプラントは、一般に非常に弾力性があり、外科医は、インプラントが、使用の際、通常の腹圧の期間中に延ばされたまたは延長された位置にあるように、テープを配置することが要求される。今日まで利用されてきたテープは、ポリプロピレン(目盛りを表示する材料)で作られていたので、該テープは、手術時に配置されるときは延ばされているが、後にそのもとの長さに近い長さに戻る。すなわちメモリ効果により短くなる。
【0011】
スリング処置に関して、スリングメッシュがその意図された生理学的な環境とあまりにもゆるく結合されている場合、メッシュは尿道を支持する際に、および失禁を治療する際に、効果のないことがあり得る。しかしながら、メッシュがあまりにもきつく配置される場合、合併症、例えば術後の尿停留、スリングの尿道への侵食、および周囲の組織、例えば尿道および膣への他の損傷が起こり得る。
【0012】
スリング処置において、張力または緩みを適用する外科的なアプローチは、広く変化する。不適切なスリング張力またはスリング縫合張力は、支持構造またはメッシュスリングが腹腔内圧力により動かされるとき、それらの横への移動およびモーメント荷重が増加する結果が生じ得る。多くのスリングが尿道から遠い解剖学的位置にアンカーされるので、スリングに正しい張力を与えることは、達成の難しい目標である。結果は広く変化し得る。
【0013】
従って、外科用インプラント、例えば泌尿器の失禁を治療するために使用されるスリングメッシュに対する改良が望まれ続けている。
【特許文献1】米国特許第5,149,329号明細書
【特許文献2】米国特許第5,112,344号明細書
【特許文献3】米国特許第5,013,292号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(概要)
本開示は、撚り糸で作られた新規な医療用インプラントに関し、該医療用インプラントは、約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度、およびメッシュにおける直径が、約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔を有する。実施形態において、医療用インプラントは、約0.2mm〜約0.4mmの厚さ、およびその上に生物活性被覆を有する。
【0015】
本開示はさらに、1つ以上の外科用締め具と組み合わせた上記の外科用メッシュインプラントの使用、ならびに泌尿器の失禁および膣脱出症を含んで様々な医学的状態を矯正するためのそのようなインプラントの使用を記述する。
【0016】
一部の実施形態において、泌尿器の失禁および/または膣脱出症を治療する方法は、約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度、メッシュにおける直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔、および約0.2mm〜約0.4mmの厚さを有するメッシュスリングを患者の身体内に、経膣的に導入すること;少なくとも2つの固定装置を膣粘膜を通って、内部支持構造または組織の中に前進させること;固定装置を患者の内部支持組織に取り付け、それによって膀胱頸部または尿道を支持することができる位置にメッシュインプラントを保持すること、を含む。
【0017】
他の実施形態において、泌尿器の失禁および/または膣脱出症は、本開示のメッシュインプラントを導入するための外科用装置を利用することによって矯正され得る。この処置は、約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度、メッシュにおける直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔、および約0.2mm〜約0.4mmの厚さを有する撚り糸を含むメッシュインプラントを提供し、かつ長手方向の近位端および湾曲した遠位端を含む外側管状部材、ならびに該管状部材内で移動可能であり、材料の長さの端末を保持するように構成されたスタイレット(stylet)を有する外科用装置を提供することを含む。スタイレットは、管状部材内に配置されている。経膣的な切開、および陰門に対して横に、かつ閉塞筋孔の上に位置する別の皮膚切開がなされ、外科用装置の湾曲した遠位端は、閉塞筋孔の上の切開を通される。外科用装置は、湾曲した遠位端が、閉塞筋孔を通り、膣切開から出るように操作される。スタイレットの近位端は、メッシュインプラントの第1の端末と係合し、スタイレットは、管状部材を通って引き抜かれることにより、切開からメッシュインプラントの一部を引き抜き、または実施形態においてスタイレット逆転させることによって逆方向が可能とされる。メッシュインプラントの構成に依存して、閉塞筋孔の上の両側で1つ以上の切開がなされ得、メッシュの1つ以上のアームが膣切開から引き抜かれ得、かつ閉塞筋孔の上の両側での切開を通って引かれ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(詳細な説明)
本開示によって、泌尿器の失禁を治療する処置おいてスリングとして使用されるのに適切な外科用インプラントが提供される。インプラントは、生体適合性のある材料で作られた、通常スリングまたはテープの構成のメッシュを含む。メッシュインプラントは通常、約30g/m2〜60g/m2の最大残留質量密度を有する。残留質量密度は、埋め込み及び生体吸収可能な任意の被覆物の吸収の後のメッシュの質量密度である。
【0019】
本開示のメッシュインプラントは、撚り糸で作られ、この撚り糸は、任意の適切な生体適合性のある材料のフィラメントで順次作られ得る。メッシュが作られ得る適切な材料は、次の特性を有するべきである:生体適合性;泌尿器の失禁を治療するために尿道または膀胱頸部を支えるための十分な張力;長期間にわたって人体内に保持されるとき、異物反応を避けるために十分不活発であること;最小のアレルギーおよび/または炎症反応を示すこと;非発癌性;メッシュが人体に埋め込まれるとき、感染の導入を避けるために容易に殺菌されること;最小の弾性;最小の収縮;人体の所望の位置に置くために、適切に容易な取り扱い特性を有すること。
【0020】
一部の実施形態においては、フィラメントは、プラスチックまたは同様の合成吸収不可能材料で作られ得る。一部の例は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの共重合体、ならびにポリエチレンおよびポリプロピレンの混合物を含む。ポリプロピレンは、特に有用な実施形態において利用され得る。
【0021】
別の実施形態において、メッシュのフィラメントは、吸収可能な材料、例えばポリエステルで作られ得る。フィラメントを形成するために利用され得る適切な吸収可能な材料の一部の特殊な例は、シクロプロパン炭酸塩、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらの単独重合体、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせを含む。
【0022】
一部吸収可能な材料で作られフィラメントは、望まれれば、インプラントが、体内に埋め込まれた後最小の質量を有することを可能にすることは理解され得る。
【0023】
さらに別の実施形態において、メッシュインプラントは、形状記憶材料で作られ得る。形状記憶メッシュは、外科用インプラントを促して平坦な形を採用する。
【0024】
通常、メッシュは、撚り糸を備え、細孔および微細な開口部を含み、細孔は、撚り糸と撚り糸内に形成された微細な開口部との間に存在する。メッシュインプラントの撚り糸は、1つ以上のフィラメントから形成される一方、特に有用な実施形態において、本開示のメッシュインプラントは、1つのフィラメント、すなわちモノフィラメント(monofilament)から形成され、モノフィラメントは配列されて、撚り糸に微細な開口部を引き起こすループを形成する。撚り糸は、次に織られて本開示のインプラントにおいて利用されるメッシュを生じる。
【0025】
メッシュインプラントの撚り糸を生じるように利用されるフィラメントは、約0.02mm〜約0.15mmの直径を有し、実施形態においては、約0.08mm〜約0.1mmである。
【0026】
撚り糸は、メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔を形成するように間隔をあけて置かれ得、実施形態においては、直径が約500ミクロン〜約1500ミクロン、他の実施形態においては、直径が約750ミクロンから1250ミクロンである。メッシュを形成する撚り糸の編み方および密度は、メッシュインプラントに必要な強さを提供する。本開示によるメッシュは、メッシュインプラントが泌尿器の失禁(またはメッシュインプラントによって修復される欠陥または組織)を治療するために利用される場所で、尿道または膀胱頸部をしっかりと支えるための十分な張力を維持するという利点を有する。さらに、本開示の特定の細孔サイズおよびメッシュ編みのタイプが原因となって、メッシュは最小の弾性および収縮を有し、これによって、咳またはくしゃみのような活動に伴う増加した腹圧の期間に耐えることができ、かつ特に何らかの繊維状の内部成長がおきる前の最初の埋め込み後の期間中にそのようなストレスまたはストレインに晒された後も、最初の形状を維持することができるようになる。
【0027】
本開示のメッシュは、組織の内部成長を促進する手段も有することにより、より強い支持組織(瘢痕形成)を生成する。一部の実施形態において、組織の内部成長を助けるために、および組織がより容易に微細な開口部に接着するので、メッシュの撚り糸に微細な開口部を提供することが望ましくあり得る。
【0028】
一般的に、少なくとも1つのフィラメントが織り込まれ、または編まれて微細な開口部を含むメッシュの撚り糸を生じる。一部の実施形態においては、2つのフィラメントが使用され得て、組織の内部成長を助ける、メッシュの撚り糸内の微細な開口部を形成するために使用される。しかしながら、1つのフィラメントが適切に結ばれ、または捻られて適切な寸法の微細な開口部を形成する場合、この単一のフィラメントは、同様の効果でメッシュの撚り糸を形成するために使用される。撚り糸の微細な開口部は通常、繊維芽細胞の一貫した成長および秩序的な膠原質の沈着を可能にするサイズであり、このためにメッシュが身体と一体化する。例えば、織られた/編まれたフィラメントは、直径が約200ミクロン〜約1,000ミクロンであり得る撚り糸における微細な開口部を生成し、実施形態において、直径は約700ミクロン〜約900ミクロンである。直径が約200ミクロンより大きな微細な開口部を含む材料のリングまたはループは、メッシュの撚り糸上に付着し、または形成され、追加的な微細な開口部を提供する。
【0029】
いったん製造されると、撚り糸は様々に異なるメッシュ形状に縦編みされまたは織り込まれる。一部の実施形態においては、撚り糸は配列され得て、等方性のまたはほぼ等方性の引張強度および弾性を有するネットメッシュを形成する。
【0030】
患者の形態組織およびアナトミー(anatomy)における変異性により、インプラントは任意の適切なサイズであり得る。外科用メッシュインプラントは、幅約1mm〜約50mmおよび長さ約1mm〜約1000mmを有し得、実施形態において、幅約3mm〜約20mmおよび長さ約100mm〜約750mm、典型的には幅約6mm〜約10mmおよび長さ約400mm〜約600mmであり得る。一実施形態において、本開示のメッシュインプラントは、幅約8mmおよび長さ約500mmを有するテープ構成であり得る。
【0031】
本開示のメッシュインプラントの形状は、メッシュインプラントで治療される状態に依存して変化し得る。従って、上記されたとおりのテープ構成に加えて、メッシュインプラントは、円形、長方形、台形その他でもあり得る。例えば、一実施形態において、本開示のメッシュインプラントは、長方形のまたは台形の形状を有し得、膀胱瘤を治療するために利用され得る。
【0032】
本開示の外科用メッシュの厚さも変化し得るが、通常約0.5mm以下である。一部の実施形態において、メッシュの厚さは、約0.2mm〜約0.4mmであり得る。
【0033】
上に述べられたように、本開示のメッシュインプラントは、約30g/m2〜60g/m2の最大残留質量密度を有し、実施形態において、約45g/m2〜約60g/m2である。
【0034】
本開示の一実施形態において、フィラメントは、約0.07mm〜約0.1mmの直径を有するポリプロピレンから形成され得、メッシュを作る撚り糸は間隔をあけて置かれ得、約200ミクロン〜約1000ミクロンの、メッシュにおける細孔を形成する。
【0035】
他の実施形態において、フィラメントは、約0.05mm〜約0.09mmの直径を有するポリエステルから形成され得、撚り糸は間隔が置かれ、約200ミクロン〜約500ミクロンの、メッシュにおける細孔を形成する。
【0036】
実施形態において、本開示のメッシュインプラントは、少なくとも1つの生物活性物質を有する生物活性被覆を備え得る。用語「生物活性物質」は、本細書で使用されるように、その最も広い意味で使用され、臨床的用途を有する物質または物質の混合を含む。従って、生物活性物質は、薬理学活性それ自体、例えば染料を有し得るか、または有し得ない。代替的に、生物活性物質は;組織の成長、細胞の成長、および/または細胞の分化に影響を与えまたはこれに参加する化合物;生物学的作用、例えば免疫反応を引き起こし得る化合物;または1つ以上の生物学的プロセスに任意の他の役割を果たし得る化合物など、治療的または予防的効果を提供する任意の薬品であり得る。
【0037】
本開示に従って利用され得る生物活性物質の部類の例は、殺菌剤、鎮痛剤、抗癒着剤、解熱剤、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症約、心臓血管薬、診断用薬、交感神経様作用剤、コリン様刺激剤、抗ムスカリン剤、鎮痙薬、ホルモン、成長因子、筋肉弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍剤、免疫抗原薬、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド類、脂質、リポ多糖類、多糖類、酵素を含む。生物活性物質の組み合わせが使用されることも意図されている。
【0038】
本開示の生物活性被覆における生物活性物質として含まれ得る適切な殺菌物質は、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても知られている、トリクロサン、クロルヘキシジンアセテート、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩ならびにクロルヘキシジン硫酸塩を含むクロルヘキシジンおよびその塩類、アセテート銀、安息香酸塩銀、炭酸塩銀、クエン酸塩銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀ならびにスルファジアジン銀を含む銀およびその塩類、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノ配糖体例えばトブラマイシンおよびゲンタマイシン、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン類例えばオキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシンおよびシプロフロキサシン、ペニシリン例えばオキサシリンおよびピプラシル、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ならびにそれらの組み合わせを含む。さらに、殺菌プロテインおよびペプチド、例えばウシのラクトフェリンおよびラクトフェリンBが、本開示の生物活性被覆における生物活性物質として含まれ得る。
【0039】
本開示の組成における生物活性物質として含まれ得る他の生物活性物質は:局所麻酔薬;非ステロイド避妊薬;副交感神経作用薬;精神療法薬;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経作用薬;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン薬例えばL−ドパ;鎮痙剤;抗コリン作用薬(例えばオキシブチレン);鎮該薬;気管支拡張薬;心臓血管薬例えば冠状血管拡張薬およびニトログリセリン;アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬例えばコデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど;非麻酔薬例えばサリチル酸塩、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど;オピオイドレセプタ拮抗薬例えばナルトレキソンおよびナロキソン;抗癌剤;抗痙攣薬;制吐剤;抗ヒスタミン剤;抗炎症薬例えばホルモン薬、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン薬、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど;プロスタグランジンおよび細胞毒薬;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗血液凝固剤;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫薬を含む。
【0040】
本開示の生物活性被覆に含まれ得る適切な生物活性物質の他の例は、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびたんぱく質、類似物、突然変異たんぱく質、およびその活性的な断片、例えば免疫グロブリン、抗体、βグリカン、サイトカイン(例えばリンフォカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリトロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍薬および腫瘍サプレッサ、血液たんぱく質、ゴナドトロピン(例えばFSH,LH,CGその他)、ホルモンおよびホルモン類似物(例えば成長ホルモン)、ワクチン(例えば腫瘍性、バクテリア性、ウイルス性の抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば神経成長因子、インスリン状成長因子);たんぱく質抑制因子、たんぱく質拮抗薬、およびたんぱく質作動筋;核酸例えばアンチセンス分子、DNAおよびRNA;オリゴヌクレオチド;およびリボサイムを含む。
【0041】
単一の生物活性物質が利用され得、本開示のメッシュインプラントの生物活性被覆を形成するか、または代替えの実施形態において、生物活性物質の任意の組み合わせが利用され得て、本開示のメッシュインプラントの生物活性被覆を形成する。
【0042】
生物活性被覆は、1つ以上の生物活性物質を含む組成として、または適切な生体適合性溶剤中に拡散された生物活性物質として、生物活性被覆はメッシュに適用され得る。特定の生物活性物質に対する適切な溶剤は、当業者の知識の範囲内である。他の実施形態においては、生物活性被覆は、生物吸収可能な材料の中に生物活性物質を含む。
【0043】
本開示の生物活性被覆を形成するために利用され得る吸収可能な材料は、可溶性のヒドロゲル、例えばゼラチンもしくは澱粉、またはセルロースを主成分とするヒドロゲルを含む。他の実施形態において、吸収可能な材料は、アルギナートまたはヒアルロン酸であり得る。生物活性被覆を形成するために利用され得る吸収可能な材料の他の例は、シクロプロパン炭酸塩、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらの単独重合体、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせを含む。生物活性被覆は、任意の厚さまたは容積を有し得、かつ適切な取り扱い特性を有するメッシュインプラントを提供するために利用され得る。実施形態において、被覆は、メッシュの厚さよりも厚い厚さを有するシートの形式であり得る。
【0044】
一部の実施形態において、本開示の生物活性被覆は、脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸エステルの塩を含む脂肪酸成分も含み得る。適切な脂肪酸は飽和され得るか、または飽和され得ず、約12炭素原子以上を有するより高い脂肪酸を含む。適切な飽和脂肪酸は、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸およびラウリン酸を含む。適切な不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む。さらに、脂肪酸のエステル例えばソルビタントリステアレートまたは水添ヒマシ油が使用され得る。
【0045】
適切な飽和脂肪酸塩は、C6およびより高い脂肪酸、特に約12〜22炭素原子およびその混合物を有する脂肪酸の多価金属イオンを含む。カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、ならびにステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸の亜鉛塩を含む脂肪酸塩が、本開示の一部の実施形態において有用であり得る。特に有用な塩は、微量なC14およびC22脂肪酸と共に、約3分の1C16および3分の2C18脂肪酸の混合を含む商用「食物級」カルシウムステアレートを含む。
【0046】
本開示の組成の中に含まれ得る脂肪酸エステルの適切な塩は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、または亜鉛ステアロイルラクチレート(zinc stearoyl lactylate);カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、または亜鉛パルミチルラクチレート(zinc palmityl lactylate);カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、または亜鉛オレリルラクチレート(zinc olelyl lactylate)を含み、カルシウムステアロイル−2−ラクチレート(例えば、American Ingredients Co., Kansas City, Mo.から商標名VER Vのもとに商業的に入手可能なカルシウムステアロイル−2−ラクチレート)は、一部の実施形態において有用である。利用され得る他の脂肪酸エステル塩は、リチウムステアロイルラクチレート、カリウムステアロイルラクチレート、ルビジウムステアロイルラクチレート、セシウムステアロイルラクチレート、フランシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムパルミチルラクチレート、リチウムパルミチルラクチレート、カリウムパルミチルラクチレート、ルビジウムパルミチルラクチレート、セシウムパルミチルラクチレート、フランシウムパルミチルラクチレート、ナトリウムオレリルラクチレート、リチウムオレリルラクチレート、カリウムオレリルラクチレート、ルビジウムオレリルラクチレート、セシウムオレリルラクチレート、およびフランシウムオレリルラクチレートを含む。
【0047】
利用される場合、脂肪酸成分の量は、生物活性被覆全体に対して重量で約5パーセント〜約50パーセントであり、実施形態において、生物活性被覆全体に対して重量で約10パーセント〜約20パーセントの量であり得る。
【0048】
生物活性物質を含む任意の被覆組成は、フィラメント、撚り糸またはメッシュ全体を保護膜で包み得る。あるいは、生物活性被覆は、フィラメント、撚り糸またはメッシュの1つ以上の側面に適用され得る。そのような被覆は、メッシュの所望の治療的特性を向上させる。
【0049】
生物活性被覆は、当業者に公知の任意の方法を利用してメッシュインプラントに適用され得る。一部の例は、噴霧すること、浸すこと、層にすること、カレンダにかけることを含むが、これらに限定されない。
【0050】
一部の実施形態において、生物活性被覆は、メッシュに容積を加え得ることにより、取り扱いがさらに容易になる。生物活性被覆が生物吸収可能な材料を含む場合、被覆は、埋め込み後身体内の中に解放されるべきであり、従って身体に保持さている異物に貢献しない。このように、最小の容積を有する外科用インプラントの利点は、保持される。
【0051】
生物活性被覆が吸収可能な材料を含む場合、被覆は、埋め込み後、約2日〜約14日の期間内に身体の中に解放され得る。一実施形態において、被覆は、埋め込み後、約2日〜約3日以内に解放され得る。さらに別の実施形態において、被覆は埋め込み後、約7日〜約14日以内に開放され得る。
【0052】
本開示のメッシュ上の生物活性被覆からの生物活性物質の解放の速度は、当業者の知識の範囲内における任意の手段によって制御され得る。一部の例は、被覆の表面からの生物活性物質の深さ;生物活性物質のサイズ;生物活性物質の親水性;生物活性物質、生物活性被覆および/またはメッシュ材料の間の物理的および物理−化学的相互作用の強さを含むが、これらに限定されない。これらの因子の一部を正しく制御することによって、本開示のメッシュからの生物活性物質の制御された解放が、達成され得る。
【0053】
実施形態において、本開示のメッシュインプラントの撚り糸を製造するために利用されるフィラメントは、複合マイクロファイバで作られ得る。複合マイクロファイバは通常、コア(core)材料および表面材料を含む。実施形態において、複合マイクロファイバは、吸収不可能または長く持続的に吸収可能なコア、およびより短く持続的に吸収可能な表面材料を含み得る。複合マイクロファイバの表面材料は、多くの時間内に身体によって吸収され得ることにより、コア部分だけが、延長された期間、通常は、組織の内部成長を可能にするために十分長い期間にわたって身体内に残る。様々な材料が、これらの複合マイクロファイバを形成する際に使用されるが、適切な材料は、コアに対してはポリプロピレン、表面材料に対しては、ポリ乳酸またはポリグリコール酸を含む。別の実施形態において、複合マイクロファイバは、身体によって速やかに吸収され得るコア材料、および速やかには吸収されないがその代わりコアよりも長い期間で吸収される表面材料で作られ得る。
【0054】
実施形態において、複合マイクロファイバの表面材料は、外科的取り扱いのために必要とされる高められた特性をメッシュインプラントに提供し得る。体内への挿入後、複合マイクロファイバの表面材料は、身体によって吸収され得、メッシュの撚り糸としてコア材料の低減した質量を後に残す。例えば、適切な複合マイクロファイバは、コアとしてポリプロピレンの吸収不可能な部分、および表面としてポリ乳酸の吸収可能な部分を含む。メッシュが患者に挿入されかつ配置されているときである外科処置の間、表面材料は存在し、外科的な取扱いに望ましい特質をメッシュに提供する。通常数時間の、身体への挿入の期間後、表面材料は、身体の中に吸収され、フィラメントのコア材料のみを身体に残す。
【0055】
異なるサイズおよび寸法を有する様々なインプラントを提供することによって、外科医は、適切なサイズのインプラントを選択して特定の患者を治療し得ることが望ましいことがあり得る。これによってインプラントが、配送の前に完全に形成されることが可能となり、メーカーの制御のもとでインプラントの滑らかなエッジが正しく形成されることが確実となる。従って、外科医は様々に異なるサイズおよび/または形のインプラントを有し、患者を査定した後適正なインプラントを選択して使用する。
【0056】
別の実施形態において、メッシュは、任意の所望のサイズに切られ得る。切断は、無菌の状態の下で外科医または看護師によって実行され得ることにより、外科医は手元に多くの異なるサイズのインプラントを有する必要はなく、患者を査定した後メッシュを所望のサイズのインプラントに切る。換言すれば、インプラントは、大きなサイズで供給され得、所望に従って小さなサイズに切断され得る。
【0057】
メッシュを切断することによってメッシュの仕上げがされていないエッジが作られることになる場合でも、仕上げがされていないメッシュは、従来技術のインプラントの粗いぎざぎざしたエッジと同じ問題を引き起こす可能性はない。これは、フィラメントの直径がより小さいこと、および一部の実施形態においてメッシュを被覆で処理したことが原因であり、これによって、組織への損傷が最も起きやすいときである外科処置の間に組織はメッシュから保護される。
【0058】
本開示のメッシュインプラントの最小の弾性および収縮によって、インプラントは、患者の身体の中にある間に受ける力に応答して制限された範囲まで延びることが可能となり、次に晒されたストレスの除去と同時にもとの構成に戻る。この最小の弾性の意味するところは、実施形態において、本開示のメッシュインプラントは、5ニュートンの力が加えられた方向にその長さの約5%しか伸びず、一部の実施形態においては、5ニュートンの力が加えられた方向にその長さの約2.5%しか伸びないということである。
【0059】
従って、例えば、長さが200mmの本開示のメッシュインプラントが、長手方向の平面において、5ニュートンの荷重を受け60秒間持続したとき、通常約4mm〜約10mmだけ延びるに過ぎない。荷重が除去されて1時間たつと、メッシュインプラントは、約200mm〜約205mmの範囲の長さに回復する。
【0060】
本開示のメッシュインプラントの最小の弾性および収縮が、その元の構成に戻る能力と組み合わされて意味するところは、そのようなインプラントを有する患者は、そのようなインプラントの埋め込み後、従来のインプラントと比較して、より少ない組織の歪曲を被るということである。さらに、最小の弾性および収縮は、本開示のメッシュインプラントが引張力を受けても平坦のままであることができることを意味する。
【0061】
本開示の医療用インプラントは、失禁テープおよびスリング、ならびに筋膜修復、ヘルニア修復、または脱出症修復における使用のためのメッシュ、パッチおよび/またはインプラントを含み得るが、これらに限定されない。異なる形状が、異なる欠陥を修復するためには適切である。従って、形状の範囲に従って切断され得るメッシュインプラントを提供することによって、筋膜組織に見られる欠陥を含んで広い範囲の欠陥が治療され得る。
【0062】
泌尿器の失禁を治療するために使用される場合、本開示のメッシュインプラントは、固定されることができることにより、メッシュは使用の際、尿道の下を通り、かつ増加した腹圧の期間中、メッシュインプラントは、膀胱頸部または尿道を支持する。一部の実施形態において、メッシュインプラントは、尿道の中間点付近に位置し得ることにより、小さな空間が、尿道が休止の位置にあるとき、すなわち腹圧の増加のない期間中に、尿道の下を通るメッシュインプラントの部分間に存在する。メッシュインプラントは、尿道の中間部分の下に置かれることを可能にするために十分なほど滑らかであるが、その位置に隣接する組織を掴むために十分なテクスチャを所有し、これがメッシュを正しい位置に保つことに役立っている。
【0063】
一部の実施形態においては、メッシュがいったん患者に適切に配置されれば、メッシュを正しい位置に固定することが望ましい。メッシュインプラントは、当業者の知識の範囲内において、任意の態様で固定され得る。一部の例は、強い横の組織に縫合すること、生体適合性のある接着剤を使用してメッシュを正しい位置に接着すること、または外科用締め具、例えばびょう、ステープル、組織アンカー(anchor)、骨アンカーなどを使用してメッシュを確実に正しい位置に保持することを含む。
【0064】
実施形態において、生体適合性のある接着剤を使用することが有利である。なぜならば、外科用インプラントの周囲のエリアに接着剤を適用することはかなり素早くできるからである。さらに、メッシュは、インプラントを正しい場所に固定するための生体適合性のある接着剤を含む、少なくとも1つのカプセルを含み得る。特定の状況において、メッシュは、外科用インプラントの周辺に提供され得る、生体適合性のある接着剤を含む約4つまでのカプセルを含み得る。カプセルは、直径が約3mm〜5mmの中空の壁の薄い球体であり得、ゼラチンで作られ得る。
【0065】
当業者の知識の範囲内にある任意の生体適合性のある接着剤が、使用され得る。実施形態において、有用な接着剤は、繊維素接着剤およびシアノアクリレート接着剤を含む。
【0066】
別の実施形態において、本開示のメッシュインプラントは、外科用締め具、例えば外科用びょうを使用して組織に固定され得る。使用され得る他の外科用締め具は、当業者の知識の範囲内にあり、ステープル、クリップ、らせん状締め具、縫合アンカー、骨アンカー、ホックなどを含む。
【0067】
実施形態において、外科用締め具として外科用タックを使用してメッシュインプラントを固定することが有利であり得る。他の締め具と比較して、タックはより大きな除去力に抵抗することが公知である。さらに、タックは、ステープルによって作成される複数の穿刺と比較して1つの穿刺を作成するだけである。修復場所の両側へのアクセスを必要とするステープル、クリップまたは他の締め具と異なり、タックは、修復場所の1つの側のみからも使用され得る。本開示のメッシュインプラントを組織に固定するために利用され得る適切なタックは、米国特許出願公開第2004/0204723号に記載されたタックを含むがこれに限定されず、その開示全体が本明細書に参照により援用されている。
【0068】
インプラントを組織に固定するために、本開示のメッシュインプラントと関連して利用され得る他の締め具に対する適切な構造は、当業者の知識の範囲内であり、例えば、Grafton等への米国特許第5,964,783号に開示されている縫合アンカーを含み、その開示全体が本明細書に参照により援用されている。利用され得る追加的な締め具およびその挿入のための道具は、米国特許第6,562,051に開示されているらせん状締め具、および2004年6月14日に出願された国際特許出願第PCTUS04/18702号に開示されているねじ締め具を含み、それら各々の開示全体が本明細書に参照により援用されている。
【0069】
本明細書のメッシュインプラントに対して有用な外科用締め具は、生体吸収可能な材料、生体吸収不可能な材料、およびそれらの組み合わせから作られ得る。利用され得る適切な材料は、米国特許出願公開第2004/0204723号、および国際特許出願第PCTUS04/18702号に記載されているものを含み、それら各々の開示全体が本明細書に参照により援用されている。利用され得る吸収可能な材料の例は、シクロプロパン炭酸塩、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらの単独重合体、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせを含む。利用され得る吸収不可能な材料の例は、ステンレススチール、チタン、ニッケル、クロム合金、および他の生体適合性があり埋め込み可能な金属を含む。実施形態において、形状記憶合金が締め具として利用され得る。適切な形状記憶材料は、ニチノールを含む。
【0070】
本開示のメッシュインプラントに対して利用される外科用締め具は、任意のサイズまたは形状に作られ得、修復場所に位置してメッシュインプラントと付着する組織のサイズ、形状およびタイプに応じてそれらの効用を高める。外科用締め具、例えばタックは、単独で、または本明細書に記載された他の固定方法と組み合わさって、メッシュをヘルニア、脱出症または他の修復場所に固定する。例えば、メッシュインプラントは、正しい場所にびょうで留められて接着されるか、または縫合されてびょうで留められ得る。
【0071】
外科用締め具は、様々な方法でメッシュインプラントに取り付けられ得る。実施形態において、メッシュの端末は、締め具に直接に取り付けられ得る。他の実施形態においては、メッシュは、埋め込みの前に締め具の周囲でカールされ得る。さらに別の実施形態においては、締め具は、メッシュの外エッジの内側に置かれ得、メッシュを締め具に対してつまみ上げて外傷の場所の中に入れる態様で埋め込まれる。
【0072】
一部の実施形態において、湾曲した針状の要素が、メッシュインプラントの各端末に接続され得、これらはTVT Tensuon−free Vaginal Tapeに見られるものと類似している。TVT Tensuon−free Vaginal Tapeとは異なり、本開示のメッシュインプラントは、本開示のメッシュインプラントの最小の弾性のため、取り外し可能なプラスチックシースを必要としない。上記のように、他の固定装置がメッシュインプラントの端末に取り付けられ得、本開示のメッシュインプラントの挿入および取り付けを容易にする。
【0073】
腹圧が増加したときに尿道を支持するための、メッシュインプラントの適切な位置によって、咳きまたはくしゃみを含む肉体的なストレスの瞬間に尿が排泄されることを最小にし得る。メッシュインプラントは、排尿を制御する、弱められたまたは損傷を受けた筋肉を強化することによって尿道を支持する。メッシュインプラントは、損傷を受けた組織の修復をさらに容易にする。
【0074】
様々に異なる外科的アプローチが、恥骨上の(すなわち針の遠位端が最初に腹部切開を通って挿入され、それから膣の切開から現れる)、経膣の(挿入針の遠位端が最初に膣切開を通って挿入され、それから腹部の切開から現れる)、経閉鎖膜の(例えば、針の遠位端が最初に、患者の閉塞筋孔近くの皮膚における切開を通って挿入され、それから膣切開から現れるか、またはその逆も同様である)、およびその後のアプローチを含んで、本開示のメッシュインプラントを患者の中に導入するために本明細書で考えられている。本開示によるインプラントは、一部の実施形態において、膣切開を通って挿入され得る。例えば腹腔鏡および開口腹部切開を通すような代替的な挿入ルートも、本開示の範囲内である。
【0075】
本開示のメッシュインプラントで泌尿器の失禁を治療する方法は、当業者の知識の範囲内である。一実施形態において、泌尿器の失禁を治療する最小限に侵襲性の方法が提供され、次のステップを含み得る:本開示のメッシュインプラントを提供し;患者の身体の中にメッシュインプラントを経膣的に導入し;膣粘膜を通って少なくとも2つの固定装置を前進させて内部支持構造または組織の中に入れ、前記メッシュインプラントを前記組織に取り付け、膀胱頸部または尿道を持ち上げ;膣粘膜を通って該少なくとも2つの固定装置を前進させて内部支持構造または組織の中に入れ;そして、固定装置を患者の内部支持組織に取り付け、それによって、膀胱頸部または尿道を支持することのできる位置にメッシュインプラントを保持する。メッシュインプラントが膀胱頸部または尿道を支持するように固定装置が取り付けられる内部支持構造または組織は、恥骨、および膀胱頸部または尿道を支持し得るように本開示のメッシュインプラントを吊るすために利用され得る任意の他の内部構造を含んで、靱帯組織、腸恥靱帯、骨を含み得る。
【0076】
本開示の別の局面に従って、子宮膣脱出症を治療する最小限に侵襲性の方法が提供され、次のステップを含む:膣腔の開口部に近い膣壁を切開し;脱出症のエリア上およびその周囲で該切開を通して皮下切断し、該皮下切断は膣壁に対して実質的に平行であり;そして、本開示によるメッシュインプラントを、該切開を通って該切断によって定義されたスペースの中に挿入する。
【0077】
このように、本開示によるメッシュは、膣腔の周辺または開口部の領域における小さな切開(例えば長さが約1cm〜約2cm)を通って挿入され得る。外科医がアクセスするためには、この位置での切開の方が、膣腔内深くでの切開よりも容易である。そのような切開を通って本開示のメッシュを埋め込むことによって膣脱出症を治療することがさらに便利でもある。
【0078】
一実施形態において、切開は、膣腔の脱出嚢の前方端または後方端でなし得る。この方が望ましくあり得る。なぜならば、脱出症は、前方膣壁または後方膣壁において最もしばしば起きるからであり、従って、そのような場所に切開を配置することによって膣壁のこれらの部分への最も便利なアクセスが可能となる。
本開示のメッシュインプラントはまた、時々トンネル用器具と称される外科用装置を利用して患者の中に導入され得る。適切なトンネル用器具は、Tyco Healthcare UK, LtdからのOBTURATOR IVS TUNNELERTM IVS04を含む。一実施形態において、トンネル用器具は、テープとして構成された本開示のメッシュインプラントを体内に挿入し、膣の上の方のレベルを支持するために使用され得る。トンネル用器具は、長手方向の近位端および湾曲した遠位端、ならびに管状部材内で移動可能であり、かつ材料、すなわちテープの長さの一端を保持するように構成されたスタイレットを含んで、外側管状部材を有している。泌尿器の失禁または膣脱出症を直す処置において、スリングは、管状部材内に配置される。
トンネル用器具を使用してテープの長さを尿道の中央線の下に挿入して尿道を支持することは、閉塞筋孔を通って器具を挿入し、坐骨恥骨枝の内部縁の周囲を迂回し、そして膣壁における切開を通って外に出ることを含む。最初に膣が掴まれ、前方膣壁が切開される。坐骨恥骨枝が触診されるために、膣切開から横に解剖がなされる。陰門に対して横に位置し、陰核と並び、かつ閉塞筋孔の上での皮膚切開が両側でなされる。その装置、実施形態においては、OBTURATOR IVS TUNNELLERTMのようなトンネル用装置は、この切開を通って垂直方向に挿入される。解剖平面に挿入された指を用いて、装置がこの指の方に方向付けられ、閉塞筋薄膜および筋膜を貫通する。装置の先端が膣切開を通って出るように、装置の取手が3次元方向に反転される。メッシュスリングは、スタイレットを介して通され、トンネル用装置を通って引っ張られる。同じ処置が、反対側で実行される。膣切開は、縫合で閉じられる。メッシュスリングの張力は調整され、テープの末端は、皮下で切除され、2つの皮膚切開は閉じられる。
本開示の実施形態がここで、添付の図面を参照して、例のみとして記述される。
図1Aに示されるように、本開示のメッシュインプラントは、平坦なテープまたは、撚り糸22から成るスリング20であり得る。図1Aに示されるように、メッシュインプラントの細孔は、四角形または箱状の構成であり得る。他の実施形態において、メッシュインプラントの細孔は、織りデザインに依存して三角形の構成であり得る。撚り糸は、規則的な網状組織を形成するように配列され、撚り糸間に形成される細孔は、メッシュ内において、約200ミクロン〜約2000ミクロンであり得るように互いに間隔が置かれる。一実施形態において、スリングのメッシュ部分は、長さが約500mm、幅が約8mm、かつ厚さが約0.3mmよりも小さい。このメッシュは最小の弾性および収縮を有し、任意のストレスの除去と同時にそのもとの構成近くに戻ることができる。
図1Bおよび図1Cに転じて、泌尿器の失禁を治療する際に使用されるメッシュインプラントは、ひし形織り、または六角形織りをそれぞれ有し得る。図1Bに示されるように、メッシュ20は、撚り糸22から成っている。撚り糸は、規則的な網状組織を形成するように配列され、ひし形状メッシュに対して、メッシュ内において直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンである細孔を形成するように互いに間隔をあけて置かれる。六角形の網配列において、図1Cに示されるようにメッシュの撚り糸が相互作用する対角点間では、スペースは、同様に約200ミクロン〜約2000ミクロンである。
図1Bに示されるように、撚り糸22は、モノフィラメント25を織ることによって撚り糸22に微細な開口部28を生み出すことによって生み出され得る。図1Bに示される実施形態において、撚り糸22のフィラメント25は、縦編みの生地を使用して編まれ、フィラメント25および撚り糸22のほつれの可能性を減らす。
フィラメントのほつれを減らす他の方法は、熱処理、レーザ処理などであり、外科用インプラントのエッジを封じる。一部の実施形態において、熱処理が望ましくあり得る。なぜならば、そのような処理は、メッシュを形成する撚り糸の互いに対する接着を促進し、それによって何らかの理由でのメッシュインプラントの除去を容易にするからである。
メッシュ20は、任意の形状またはサイズで供給され得、かつ外科医によって必要とされるとおりの寸法に切断され得る。
図2Aおよび図2Bに示されるように、本開示のメッシュインプラントは、2つの固定装置30に貼り付けられた平坦なテープまたはつり布体20であり得、固定装置は副尿導管スペースにおいて多層固定を達成することができることにより、使用時には、スリング20は、尿道の下にゆるく配置される。
図3に示されるように、本開示の別の実施形態において、メッシュインプラントは、状態、例えば前方膣壁脱出症(膀胱ヘルニア)を治療するために適切な台形の形状を有し得る。図3に示されるように、一実施形態において、台形のメッシュインプラントは、2つの前方および後方支持延長部分40、および42に貼り付けられ、縦横20cm×8cmに延長したテープ部分20を含む。前方および後方支持延長部分40、および42は、テープ20と同じ材料、または異なる生体適合性のある材料で作られ得る。前方および後方支援延長部分の各端末、すなわち44、46、48および50は、体内のメッシュインプットを張り付けるために使用され得る。
実施形態において、上記のトンネル用装置は、膀胱ヘルニアを治療するために図3に示された構成を有するメッシュインプラントを導入するために利用され得る。そのようなインプラントを導入する方法は、上のトンネル用装置の使用の記述と同様であるが、4つの挿入点が、閉塞筋孔の上の取付け腕44、46、48および50の各端末に対して次のように(皮膚切開およびトンネル用装置の入口点)準備され得、次に腕44、46、48および50がアンカー点として腱弓を通され、膣切開を通って出る。
一実施形態において、図3に示されるような構成を有するインプラントが、膀胱ヘルニアを治療するために次のように利用され得る。前後方向の切開が、前方膣においてなされる。2つの皮膚切開が、陰門の両側でなされ:坐骨恥骨枝の外側縁と、陰核のレベルでの水平線との交差線で1つ;坐骨にできるだけ接近した坐骨恥骨枝の外側縁で他の1つである。これら2つの切開の間の距離は、普通約6cmである。
トンネル用装置、例えばOBTURATOR IVS TUNNELLERTMは、前方切開に配置され、1つの指は、膀胱頸部のレベルで膣解剖を通って坐骨恥骨枝を触診する。装置の取手は、鈍い先端を解剖に配置された指の方に持ってくるために中間で回転される。鈍い先端が正しく配置されるとき、閉塞筋に穴があけられ、膀胱頸部を保護している指との直接接触が獲得され、先端が外に取り出される。次にプラスチックスタイレットが逆転される。台形の膀胱ヘルニア修復メッシュの1つの前方アーム44が、スタイレットの中に挿入され、組織を通って引かれる。同じ処置が、アーム46に対して、反対側で実行される。トンネル用装置が、垂直に後方切開において配置され、先端は、腸骨尾骨および閉塞筋を通ってではなく、閉塞筋薄膜を通って挿入される。先端が、腱弓の上で、坐骨棘に対して中間に配置され、筋肉に穴があけられ、先端が膣切開を通って外に取り出される。スタイレットが逆転され、台形のメッシュ48の1つの後方延長部分アームが、スタイレット中に挿入され、組織を通って引かれる。これは、アーム50に対して反対側で繰り返される。前方および後方支持延長部分アームは適切に調節され、正しい量の張力を加え、かつ膣切開は閉じられる。台形のメッシュの延長部分アームの4つの端末44、46、48および50は皮下で切除され、皮膚切開は閉じられる。
上の記述は、多くの詳細を含むが、これらの詳細は本明細書における開示の範囲の限定としてではなく、単に、その特に有用な実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されたとおりの本開示の範囲および趣旨内で多くの他の可能性を心に描く。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1A】図1Aは、様々な細孔構成を有する本開示による外科用メッシュを示す。
【図1B】図1Bは、様々な細孔構成を有する本開示による外科用メッシュを示す。
【図1C】図1Cは、様々な細孔構成を有する本開示による外科用メッシュを示す。
【図2A】図2Aは、その端末に取り付けたれた固定装置を有する本開示による外科用メッシュを示す。
【図2B】図2Bは、その端末に取り付けたれた固定装置を有する本開示による外科用メッシュを示す。
【図3】図3は、台形の構成および取り付けアームを有する本開示による外科用メッシュを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントであって、
メッシュ構成において約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度を有する撚り糸と、
メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔と
を備えている、医療用インプラント。
【請求項2】
前記メッシュは、マルチフィラメントメッシュを備えている、請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項3】
前記メッシュは、モノフィラメントメッシュを備え、前記細孔は、直径が約500ミクロン〜約1500ミクロンである、請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項4】
前記撚り糸は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの共重合体、ならびにポリエチレンおよびポリプロピレンの混合物から成る群から選択された合成吸収不可能材料を備えている、請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項5】
前記撚り糸は、シクロプロパン炭酸塩、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらの単独重合体、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された吸収可能な材料を備えている、請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項6】
医療用インプラントであって、
メッシュ構成において約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度を有する撚り糸と、
メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔と、
約0.2mm〜約0.4mmの厚さを有するメッシュと、
生物活性被覆と
を備えている、医療用インプラント。
【請求項7】
前記メッシュは、マルチフィラメントメッシュを備えている、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項8】
前記メッシュは、モノフィラメントメッシュを備え、前記細孔は直径が約500ミクロン〜約1500ミクロンである、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項9】
前記撚り糸は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの共重合体、ならびにポリエチレンおよびポリプロピレンの混合物から成る群から選択された合成吸収不可能材料を備えている、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項10】
前記撚り糸は、シクロプロパン炭酸塩、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらの単独重合体、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された吸収可能な材料を備えている、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項11】
前記生物活性被覆は、殺菌剤、鎮痛剤、抗癒着剤、解熱剤、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症約、心臓血管薬、診断用薬、交感神経様作用剤、コリン様刺激剤、抗ムスカリン剤、鎮痙薬、ホルモン、成長因子、筋肉弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍剤、免疫抗原薬、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド類、脂質、麻酔剤、リポ多糖類、多糖類、ポリペプチド、タンパク質、ホルモン、酵素、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された生物活性物質を備えている、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項12】
前記生物活性被覆は、ゼラチン、でん粉、セルロース、アルギナート、ヒアルロン酸、シクロプロパン炭酸塩、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、それらの単独重合体、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された吸収可能な材料を備えている、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項13】
前記生物活性被覆は、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪酸エステルの塩から成る群から選択された脂肪酸成分をさらに備えている、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項14】
泌尿器の失禁を治療する方法であって、
約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度と、該メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔と、約0.2mm〜約0.4mmの厚さとを有する撚り糸を備えているメッシュインプラントを提供するステップと、
患者の身体の中にメッシュインプラントを経膣的に導入するステップと、
少なくとも2つの固定装置を前進させて膣粘膜を通し、内部支持構造または組織の中に入れるステップと、
該固定装置を該内部支持組織に取り付け、それによって膀胱頸部または尿道を支持することができる位置に該メッシュインプラントを保持するステップと
を包含する、方法。
【請求項15】
膣脱出症を治療する方法であって、
約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度と、メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔と、約0.2mm〜約0.4mmの厚さとを有する撚り糸を備えているメッシュインプラントを提供するステップと、
患者の身体の中に該メッシュインプラントを経膣的に導入するステップと、
少なくとも2つの固定装置を前進させて膣粘膜を通し、内部支持構造または組織の中に入れるステップと、
該固定装置を該内部支持組織に取り付け、それによって膀胱頸部または尿道を支持することができる位置に該メッシュインプラントを保持するステップと
を包含する、方法。
【請求項16】
泌尿器の失禁を治療する方法であって、
約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度と、メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔と、約0.2mm〜約0.4mmの厚さとを有する撚り糸を備えているメッシュインプラントを提供するステップと、
長手方向の近位端および湾曲した遠位端を含む外側管状部材、ならびに管状部材内で移動可能であり、材料の長さの端末を保持するように構成されたスタイレットを有する外科用装置を提供するステップと、
該管状部材内に該スタイレットを配置するステップと、
患者の陰門に対して横に、かつ閉塞筋孔の上に位置して、経膣的な切開および該患者の該閉塞筋孔より上で横の皮膚切開を行うステップと、
該外科用装置の該湾曲した遠位端を該閉塞筋孔の上の切開に通すステップと、
該湾曲した遠位端が、該閉塞筋孔を通り、該経膣切開から出るように、該外科用装置を操作するステップと、
該スタイレットの近位端を該メッシュインプラントの第1の端末と係合させるステップと、
該スタイレットを逆転させるステップと、
該スタイレットの逆転の後、該管状部材を通って該スタイレットを引くことにより、該メッシュインプラントの一部を該経膣切開から該閉塞筋孔の上の切開における出口点へ引くステップと
を包含する、方法。
【請求項17】
前記外側管状部材が、前記閉塞筋孔の上の切開を通して引かれ、前記メッシュインプラントが該閉塞筋孔を通って前記膣切開から出る状態にする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
膣脱出症を治療する方法であって、
約30g/m2〜約60g/m2の最大残留質量密度と、メッシュにおいて直径が約200ミクロン〜約2000ミクロンの細孔と、約0.2mm〜約0.4mmの厚さとを有する撚り糸を備えているメッシュインプラントを提供するステップと、
長手方向の近位端および湾曲した遠位端を含む外側管状部材、ならびに管状部材内で移動可能であり、材料の長さの端末を保持するように構成されたスタイレットを有する外科用装置を提供するステップと、
該管状部材内に該スタイレットを配置するステップと、
患者の陰門に対して横に、かつ閉塞筋孔の上に位置して、経膣的な切開および該患者の該閉塞筋孔より上で横の皮膚切開を行うステップと、
該外科用装置の該湾曲した遠位端を該閉塞筋孔の上の切開に通すステップと、
該湾曲した遠位端が、該閉塞筋孔を通り、該経膣切開から出るように、該外科用装置を操作するステップと、
該スタイレットの近位端を該メッシュインプラントの第1の端末と係合させるステップと、
該管状部材を通って該スタイレットを引くことにより、該メッシュインプラントの一部を該閉塞筋孔の上の切開から引き、該経膣切開を通すステップと
を包含する、方法。
【請求項19】
前記外側管状部材が、前記閉塞筋孔の上の切開を通して引かれ、前記メッシュインプラントが該閉塞筋孔を通って前記経膣切開から出る状態にする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記メッシュインプラントは、4つの端末を有する2つの取り付けアームをさらに備えており、該4つの端末は各々前記スタイレットに取り付けられており、前記閉塞筋孔の上の切開から引かれて前記経膣切開を通る、請求項18に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−534065(P2008−534065A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503168(P2008−503168)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/010511
【国際公開番号】WO2006/102477
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】