説明

メッシュ素材用2−シアノアクリレート系接着剤組成物

【課題】本発明の目的は、メッシュ素材と基材との接着においてアミン化合物を含むアクセラレーターを用いることなく、優れた接着速度と接着強度が得られるシアノアクリレート系接着剤組成物を提供することにある。
【解決手段】
(A)2−シアノアクリレート100重量部に対して(B)ホウフッ化水素酸(HBF)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(BF・O(C)および二酸化硫黄(SO)から選ばれる少なくとも1種を0.0001〜0.001重量部および(C)式(1)
【化1】


(式中、rは2または3を表す。Rは水素原子、直鎖または分岐のあるアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)で示されるヒドロキシ化合物0.001〜0.1重量部を含有する接着剤組成物を用いることにより、アミン化合物を用いることなく、メッシュ素材と基材との接着において優れた速硬化性と接着強度が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用のプリント版や製粉用の篩及び車両用ホース等を作製する際に使用されるメッシュ素材と基材の接着に用いられるシアノアクリレート系接着剤組成物に関する。 より詳細には、基材とメッシュ素材との接着において、シアノアクリレート系接着剤の塗布面をアミン化合物を含むアクセラレーターを用いて処理することなく、効率よくかつ強力にメッシュと基材を接着できるシアノアクリレート系接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷用のプリント版や製粉用の篩は、ステンレス、アルミニウム、鉄、樹脂または木等の基材にナイロン、ポリエステル、アルミニウム等のメッシュ素材を接着して作製される。一般的に作製されたプリント版や篩は所定期間使用後、メッシュ素材を基材から剥がし、基材を繰り返し使用する。また、近年では車両用ホースの保護を目的として筒状のメッシュプロテクターが使用されている。スクリーン印刷に使用されるプリント版や製粉用の篩及び車両用のメッシュプロテクターの種類や大きさは多種多様であり、使用される数も膨大であることから、メッシュ素材と基材の接着作業には高い生産性が要求される。そこで従来から、瞬間接着性を有するシアノアクリレート系接着剤と接着速度を速めるためにアミン化合物を含むアクセラレーターを併用して、メッシュ素材と基材の接着に利用してきた。一般的なメッシュ素材と基材の接着方法としては、例えば、まず基材にメッシュ素材を張り、該メッシュの基材上の接着する箇所にシアノアクリレート系接着剤を塗付した後、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジンまたはN,N−ジエチル−m−トルイジン等の特定の3級アミン化合物含むアクセラレーターを塗布あるいはスプレーで噴霧してシアノアクリレート系接着剤を硬化させ、メッシュと基材を接着する方法が行われているが、これらの芳香族三級アミン化合物は不快なアミン臭を有するため、特にスプレー等で噴霧される場合にあっては、不快な臭気が発生し、作業環境が著しく悪化する。また作業環境の改善を目的として、特定の3級アミンからなるアクセラレーターで処理する方法(特許文献1)が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1記載の方法で処理しても、不快なアミン臭が従来より低減される
ものの依然として不快な臭気は発生するため、メッシュ素材と基材との接着においてアミン化合物を含むアクセラレーターを用いることなく、優れた接着速度と接着強度が得られる接着方法の開発が強く望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−328008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、メッシュ素材と基材との接着においてアミン化合物を含むアクセラレーターを用いることなく、優れた接着速度と接着強度が得られるシアノアクリレート系接着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決する方法について種々の2−シアノアクリレート系接着剤組成物について鋭意検討の結果、(A)2−シアノアクリレート100重量部に対して(B)ホウフッ化水素酸(HBF)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(BF・O(C)および二酸化硫黄(SO)から選ばれる少なくとも1種を0.0001〜0.001重量部および(C)式(1)
【化1】

(式中、rは2または3を表す。Rは水素原子、直鎖または分岐のあるアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)で示されるヒドロキシ化合物0.001〜0.1重量部を含有する接着剤組成物を用いることにより、不快な臭気を発生させるアミン化合物を用いることなく、メッシュ素材と基材との接着において優れた速硬化性と接着強度が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0007】
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いることにより、不快な臭気を発生させるアミン化合物を含むアクセラレーターを用いることなく、メッシュ素材と基材を短時間にてすぐれた接着強度で接着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)2−シアノアクリレートは、式(2)で示される2−シアノアクリレートが好適に用いられる。
【化2】


(式中Rは炭素数1〜16の置換基を有していてもよい飽和または不飽和の脂肪族もしくは脂環族基又は芳香族基を表す。)
【0009】
本発明における(A)2−シアノアクリレ−トの具体例としては、例えば、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、オクチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、エチルヘキシル、ドデシル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、フェニル、クロロエチル、テトラヒドロフルフリル等のエステル類が挙げられる。また、これらの2−シアノアクリレートは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0010】
本発明における(B)ホウフッ化水素酸(HBF)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(BF・O(C)および二酸化硫黄(SO)から選ばれる少なくとも1種の使用量は2−シアノアクリレート100重量部に対して0.0001〜0.001重量部であり、好ましくは0.0001〜0.0005重量部である。
これらのうち、ホウフッ化水素酸(HBF)の使用が好ましい。
(B)ホウフッ化水素酸(HBF)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(BF・O(C)および二酸化硫黄(SO)から選ばれる少なくとも1種の使用量が(A)2−シアノアクリレート100重量部に対して0.0001重量部未満の場合、シアノアクリレート組成物の安定性が低下し、0.001重量部より多く使用すると接着に要する時間が長くなり、好ましくない。
【0011】
本発明で用いられる(C)ヒドロキシ化合物は、具体的には、o−ピロカテキン酸、β−レゾルシル酸、ゲンチシン酸、γ−レゾルシル酸、プロトカテク酸、α−レゾルシル酸、ガーリック酸などやガーリック酸エチル、ガーリック酸メトキシエチル等の前記の酸のアルキルエステルやアルコキシアルキルエステルが挙げられる。これらの中でもガーリック酸、ガーリック酸エチルおよびガーリック酸メトキシエチルが好ましく、ガーリック酸がさらに好ましい。これらは必要により1種または2種以上の混合物として用いことができる。ヒドロキシ化合物の添加量は2−シアノアクリレート100重量部に対して0.001〜0.1重量部であり、好ましくは0.001〜0.009である。添加量が0.001重量部より少ないと速硬化性および耐熱性が得られず、0.1重量部より多いとシアノアクリレート組成物の安定性が低下する。
【0012】
本発明メッシュ素材用2−シアノアクリレート系接着剤組成物には必要に応じて多価アルコール類、ポリアルキレンオキサイド誘導体、クラウンエーテル類、カリックスアレン化合物等の速硬化添加剤を本発明の性能を阻害しない範囲で適宜、添加配合して使用することができる。
【0013】
速硬化添加剤のうち、多価アルコール類として具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ポリブタジエンジオール、クロルプロピレングリコール、3−メチルペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、2,5−ヘキサンジオールなどが挙げられ、これらの誘導体としては、そのアルキル、アルケニル、アリール、及びアラルキルエーテル、又はエステル、具体的には例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、テトラメチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール酢酸エステル、エチレングリコールモノラウレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、エチルセロソルブステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、セロソルブアクリレート、セロソルブメタクリレート、セロソルブクロトネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
速硬化添加剤のうち、ポリアルキレンオキサイド誘導体としては、式(3)
【化3】

(式中、X4 およびX5 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を示す。pは1以上の整数、qは2以上の整数を示し、末端は環形成されていてもよい。)
なる繰り返し単位を有する化合物から選ばれた1種以上が挙げられる。
【0015】
ポリアルキレンオキサイド誘導体の具体的な例としては次の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
ホルムアルデヒド縮合体、アセトアルデヒド縮合体、トリオキサン重合体、ポリアルキレングリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(400 、1000、etc )、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキシド、ポリ3,3−ビス(クロロメチル)ブチレンオキシド、ポリ1,3−ジオキソラン、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックポリマーなど。)
【0017】
ポリアルキレングリコールモノエーテル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールプロピルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテルなど。)、ポリアルキレングリコールジエーテル(例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなど。)、
【0018】
ポリアルキレングリコールモノエステル(例えば、ジエチレングリコールモノプロピオネート、テトラエチレングリコールモノアセテート、トリプロピレングリコールモノ−n−
ブチレート、ポリエチレングリコールモノアセテート、ポリエチレングリコールモノプロピオネート、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールセバケート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールクロトネートなど。)、ポリアルキレングリコールジエステル(例えば、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジアセテート、ポリエチレングリコールジ−n−ブチレート、ポリエチレングリコールジウラレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジ−2−シアノアクリレート、ポリエチレングリコールステアリル−メタクリレート、ポリエチレングリコールラウリル−アクリレートなど。)、
【0019】
ポリアルキレングリコールモノエーテルモノエステル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル等のグリコールモノエーテル化合物のアクリレート、メタクリレート、クロトネート、又は2−シアノアクリレートなど。)、その他ビスフェノールA−ポリアルキレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−ポリアルキレンオキシド付加物、グリセリン−ポリアルキレンオキシド付加物、アジピン酸−ポリアルキレンオキシド付加物、トリメット酸−ポリアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。その他環状化合物としては例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−5−エーテル、ジチオ−15−クラウンエーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6−エーテル、 1,2−ナフト−15−クラウン−5−エーテル、 1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6−エーテルなども使用することができ、これらの添加剤は1種又は2種以上を使用してもよい。
【0020】
カリックスアレン化合物としては、従来公知のカリックスアレン化合物を用いることができ、具体的には式(4)
【0021】
【化4】


(式中、R4は水素原子、更に置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアルコキシ基であり、R5は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基である。また、yは4,6又は8である。)
【0022】
で示されるカリックスアレン化合物があげられる。このようなカリックスアレン化合物と
しては、具体的には、5,11,17,23,29,35 −ヘキサ−tert−ブチル−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、
37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、或いは例えば特開昭60−179482号公報に記載されている 37,38,39,40,41,42−ヘキサ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔6〕アレン、 25,26,27,28−テトラ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔4〕アレン等が好ましく用いられる。
【0023】
本発明における速硬化添加剤の使用量は2−シアノアクリレート100重量部に対して通常、0.005〜5.0重量部であり、好ましくは0.01〜1.0重量部である。
【0024】
本発明の接着剤組成物の20℃での粘度は通常、1〜200mPa・sであり、好ましくは1〜100mPa・s、更に好ましくは1〜50mPa・sである。
200mPa・sより粘度が高いと接着に要する時間が長くなる傾向がある。
【0025】
本発明の接着剤組成物の粘度は、通常、増粘剤等を配合することにより調製される。増粘剤としては、2−シアノアクリレートに溶解し、増粘効果を発現するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アクリルゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリアルキル−2−シアノアクリレート、エチレン−酢ビ共重合体、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルの重合体であるアクリル樹脂等が挙げられ、これらの増粘剤は1種又は2種以上を混合して使用することができる。アクリル樹脂のモノマーとして用いられるもののうち、メタクリル酸エステルとしては、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−iso−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−iso−ブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリル等が挙げられ、アクリル酸エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−iso−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルアクリル酸アリル、アクリル酸テトラヒドロフリフリル等が挙げられ、前記モノマーからなる重合体としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル等の前記モノマーの単独重合体や前記モノマーの中の構造の異なる少なくとも2種からなるコポリマー、ターポリマー、テトラマー等の共重合体が挙げられる。また、これらのコポリマー、ターポリマー、テトラマー等の共重合体同士を2種以上混合したものでもよい。
【0026】
前記アクリル樹脂としては、通常、重量平均分子量10〜100万、更に好ましくは重量平均分子量12〜50万のポリメタクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルと前記メタクリル酸アルキル以外のメタクリル酸エステル若しくはアクリル酸エステルとの共重合体が用いられ、その添加量は通常、2−シアノアクリレート100重量部に対して1〜10重量部である。
【0027】
本発明において、必要に応じてメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素酢酸コンプレックス、三フッ化ホウ素メタノールコンプレックス、トリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤を本発明の性能を阻害しない範囲で適宜、添加配合して使用することができる。
【0028】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0029】
〔試験方法〕
(1)粘度の測定法
JIS K−6833−6.3「粘度測定法」に準ずる方法により測定した。
単位 (mPa・s)
【0030】
(2)メッシュ浸透性
ナイロンメッシュ上に接着剤組成物を1滴落とし、メッシュへの染込み性を評価した。
メッシュ浸透性の評価
◎:2秒以内に染込む ○:3秒以上〜5秒以内に染込む
×:染込むまでに6秒以上かかる
【0031】
(3)セットタイムの測定法
EPDM試験片(25mm×50mm×厚さ2mm)の上にナイロンメッシュ(100目)(25mm×50mm×厚さ0.5mm)を置いてメッシュ上から接着剤組成物を1滴落とし、引張剪断方向に手で引っ張った時にメッシュが試験片から外せなくなるまでの時間を測定し、セットタイムとした。単位 (秒)
セットタイム評価
12秒以下・・・◎、13〜19秒・・・○、
20〜25秒・・・△、30秒以上・・・×
【0032】
(4)引張剪断接着強さの測定法
EPDM試験片(25mm×50mm×厚さ2mm)の上にナイロンメッシュを置いてメッシュ上から接着剤を1滴落とし、24時間養生した後にJIS K−6861に準ずる方法により引張剪断接着強さを測定した。単位 (N)

引張速度:200mm/min

引張剪断接着強さの評価
引張剪断接着強さの評価
10N以上・・・○、9〜8N・・・△、7N以下・・・×
【実施例1】
【0033】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部(C)ガーリック酸0.008重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Aを調製し、粘度測定、メッシュ浸透性評価、セットタイム測定、引張剪断接着強さを行なった。
【実施例2】
【0034】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0005重量部(C)ガーリック酸0.03重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Bを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【実施例3】
【0035】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部(C)ガーリック酸0.01重量部、重量平均分子量15万のメタクリル酸メチル/アクリル酸メチルコポリマーを11.6重量部添加して粘度100mPa・S(20℃)の2−シアノアクリレート接着剤組成物Cを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【実施例4】
【0036】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部(C)ガーリック酸0.01重量部、(D)ポリエチレングリコール(400)モノメチルエーテルメタクリレート 0.5重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Dを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【実施例5】
【0037】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部(C)ガーリック酸エチル0.01重量部、(D)12−クラウン−4−エ−テル 0.3重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Eを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【実施例6】
【0038】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)BF・O(C 0.0002重量部(C)ガーリック酸0.003重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Fを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【実施例7】
【0039】
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)SO 0.0005重量部(C)ガーリック酸0.01重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Gを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【0040】
(比較例1)
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Hを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【0041】
(比較例2)
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部(C)サリチル酸0.01重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Iを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【0042】
(比較例3)
(A)2―シアノアクリレート100重量部に対して、(B)HBF 0.0002重量部(C)ポリエチレングリコール(400)モノメチルエーテルメタクリレート 0.5重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物Jを調製し、実施例1と同様に各種測定を行った。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2−シアノアクリレート100重量部に対して(B)ホウフッ化水素酸(HBF)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(BF・O(C)および二酸化硫黄(SO)から選ばれる少なくとも1種を0.0001〜0.001重量部および(C)下記式(1)で示されるヒドロキシ化合物0.001〜0.1重量部含有することを特徴とするメッシュ素材用2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
【化1】

(式中、rは2または3を表す。Rは水素原子、直鎖または分岐のあるアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
【請求項2】
(C)ヒドロキシ化合物がガーリック酸及び/またはガーリック酸エステルであることを特徴とする請求項1記載のメッシュ素材用2−シアノアクリレート系接着剤組成物。

【公開番号】特開2008−179704(P2008−179704A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14569(P2007−14569)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】