説明

メッセージ通信システム

【課題】空間に分散された、利用者が手に取って使える媒体を介し、情報の書き込みと読み出しの機能を区別して、利用者端末での操作を簡便にし、利用者の意思に沿った画面を利用者端末に最初から提示する。
【解決手段】利用者が利用者端末装置2を用いて物理オブジェクト1上の書き込み用タグ11のコードを読み取ってメッセージを作成すると、このメッセージが送信される。データ管理サーバ3は、利用者端末装置2からのメッセージを受信すると、これをメッセージデータベースに登録する。また、相手の利用者が利用者端末装置2を用いて同じ物理オブジェクト1上の読み出し用タグ12のコードを読み取ると、読み出し要求信号が送信される。データ管理サーバ3は、利用者端末装置2からの要求信号を受信すると、管理しているメッセージをデータベースから読み出して相手の利用者端末装置2に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、画像、音声といったメッセージの送受信を行なうメッセージ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロフェッショナルではない一般の人でも、容易にテキスト、画像、ゲーム、音楽、動画など、さまざまなデジタルコンテンツを作成し、インターネット配信することができるようになっている。
【0003】
最近、そのようなコンテンツをオンラインでなく、公共の場所などの現実空間において扱う取り組みが始められている。このような取り組みでは、コンテンツを利用する物理的状況がコンテンツ利用手段やその機能にどのような影響を与えるのかが注目されている。
【0004】
例えば非特許文献1に開示されるような「place blogging(場所依存型ブログ)」では、物理的なある場所において利用者がコンテンツを登録する。これらのコンテンツは、その場所に利用者が存在することを仮想的なキーとして検索、読み出しされ、閲覧が可能となる。
【0005】
例えば、博物館において、ある展示物について誰かが残したメッセージを、同じその展示物の前に後日訪れた別の人が閲覧することが可能となる。
【0006】
【非特許文献1】Churchill, E. F., Nelson, L. and HSieh, G. Cafe life in the digital age: augmenting information flow in a cafe-work-entertainment space, In Extended Abstract of CHI 2006, ACM Press (2006), 123-128
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したPlace bloggingでは、公共空間で分散利用可能で利用者がタンジブル(tangible)に、つまり手に取って使える媒体を情報の登録や閲覧のために用いておらず、これら登録や閲覧を行なえる箇所が固定されているので、メッセージを登録した場所に相手が移動できない場合のコミュニケーションに用いることはできない。また、コミュニケーションを成立させるためには、ある利用者による情報の書き込みおよび当該書き込んだ情報の他の利用者による読み出しが必要であるが、前述したPlace bloggingでは、機能が情報の書き込みと読み出しとで区別されていない。
【0008】
また、従来よりQRコード(登録商標)などの二次元コードを雑誌や広告媒体に印刷して用いる方法があるが、前述したPlace bloggingと同様、機能をディジタル情報の書き込みと読み出しとで区別していない。このように機能が区別されていない場合、利用者に対して書き込みと読み出しを選択するための操作が必要となり、機器の構成が複雑となる。また、機能の選択のための新規のソフトウェアを実装する必要がでてきてしまう。加えて、二次元コードを前述したように用いた場合登録したい情報をバーコード化して印刷する必要があるので、扱える情報の種別や容量が限られてしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、空間に分散された、利用者が手に取って使える媒体を介し、情報の書き込みと読み出しの機能を区別して、利用者端末での操作を簡便にし、利用者の意思に沿った画面を利用者端末に最初から提示することが可能になるメッセージ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係わるメッセージ通信システムは、利用者により手に取って使用可能なタグ付物理媒体、利用者端末装置およびサーバ装置を有するメッセージ通信システムであって、タグ付物理媒体は、当該タグ付物理媒体ごとに固有のメッセージ書き込み用タグおよびメッセージ読み出し用タグを有し、当該タグは、当該タグが書き込み用のタグであるか読み出し用のタグであるかが視覚的に区別可能であり、利用者端末装置は、タグ付物理媒体の各タグのコードを読み取る読み取り手段と、この読み取ったコードを復号する復号手段と、読み取り手段によりメッセージ書き込み用タグのコードを読み取って、復号手段により当該コードを復号した場合のメッセージの入力を受け付ける入力手段と、入力手段により入力したメッセージをサーバ装置に送信する第1の送信手段と、読み取り手段によりメッセージ読み出し用タグのコードを読み取って、復号手段により当該コードを復号した場合に、メッセージの読み出し要求信号をサーバ装置に送信する第2の送信手段と、サーバ装置から送信されたメッセージを出力する出力手段とを備え、サーバ装置は、利用者端末装置により送信されたメッセージを管理する管理手段と、利用者端末装置の第2の送信手段により送信された読み出し要求信号を受信した場合に、当該メッセージを利用者端末装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空間に分散された、利用者が手に取って使える媒体を介し、情報の書き込みと読み出しの機能を区別して、利用者端末での操作を簡便にし、利用者の意思に沿った画面を利用者端末に最初から提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムの物理オブジェクトおよび利用者端末装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムのデータ管理サーバの構成例を示すブロック図である。図3は、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムの物理オブジェクトの外観の一例を示す図である。
【0013】
本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムは、タンジブル方式、つまり、実際に手に触れられる物理媒体を用いたメッセージ通信システムであり、図1、図2、図3に示すように、物理オブジェクト1、利用者端末装置2およびデータ管理サーバ3を有する。
【0014】
物理オブジェクト1は、公共空間で分散利用可能で利用者が手に取って携帯可能な物理媒体であり、メッセージ書き込み用タグ11とメッセージ読み出し用タグ12を有する。つまり、物理オブジェクト1はタグ付物理媒体である。
【0015】
図3に示すように、物理オブジェクト1上では、メッセージ書き込み用タグ11の位置に「write」との文字が印刷され、メッセージ読み出し用タグ12の位置に「read」との文字が印刷されている。つまり利用者がメッセージ書き込み用タグ11とメッセージ読み出し用タグ12を視覚的に区別できるようになっている。
【0016】
メッセージ書き込み用タグ11は物理オブジェクトごとに固有の識別情報である物理オブジェクトIDを含むメッセージ書き込み用のコードを表すタグである。また、メッセージ読み出し用タグ12は物理オブジェクトIDを含むメッセージ読み出し用のコードを表すシール状のタグである。これらのタグのコードはQRコードなどの二次元コードで表される。
【0017】
物理オブジェクトIDは数字にアルファベット1文字が続いて構成される。同じ物理オブジェクト1におけるメッセージ書き込み用タグ11で示される物理オブジェクトIDとメッセージ読み出し用タグ12で示される物理オブジェクトIDの数字部分は同じである。また、メッセージ書き込み用タグ11で示される物理オブジェクトIDのアルファベット1文字は「W」であり、メッセージ読み出し用タグ12で示される物理オブジェクトIDのアルファベット1文字は「R」である。
【0018】
この実施形態では、物理オブジェクト1は、図3に示すように葉っぱの形状をしたカード型の物理媒体であり、この表面にメッセージ書き込み用タグ11およびメッセージ読み出し用タグ12を有する。
【0019】
このシステムでは、利用者端末装置2が、物理オブジェクト1のメッセージ書き込み用タグ11のコードを読み取った後で入力したメッセージをデータ管理サーバ3に送信し、当該データ管理サーバ3がこのメッセージを管理する。
【0020】
また、利用者端末装置2は、物理オブジェクト1のメッセージ読み出し用タグ12のコードを読み取ると、メッセージ読み出し要求信号をデータ管理サーバ3に送信する。データ管理サーバ3は要求信号を受信すると、管理しているメッセージを要求元の利用者端末装置2に送信する。
【0021】
メッセージ書き込み用タグ11のコードには、利用者による登録対象のメッセージの管理先であるデータ管理サーバ3のメールアドレスが埋め込まれ、メッセージ読み出し用タグ12のコードには、読み出し対象のメッセージのアクセス先のデータ管理サーバ3のURLが埋め込まれる。
【0022】
なお、物理オブジェクト1の大きさ、形状、材質は特に限定されるものではない。また、メッセージ書き込み用タグ11やメッセージ読み出し用タグ12に添付するコードは二次元コード以外の視覚的なコードや無線タグであってもよい。
【0023】
また、物理オブジェクト1は、メッセージ書き込み用タグ11とメッセージ読み出し用タグ12を当該物理オブジェクト1の同一平面に有し、利用者がメッセージ書き込み用タグ11とメッセージ読み出し用タグ12の違いを同時に視認できるようになっている。
これにより、読み取り対象のコードの種別が変わるたびに、当該コードが表面にくるように物理オブジェクト1を利用者が裏返す必要が無くなる。
【0024】
また、図1に示すように、利用者端末装置2は、物理オブジェクトインタフェース部21、メッセージ作成部22、メッセージ提示部23および通信部24を備える。メッセージ作成部22はメッセージの入力手段であり、通信部24は第1送信部27および第2送信部28を備える。
ここでは、利用者端末装置2は携帯電話機である。物理オブジェクトインタフェース部21は、物理オブジェクト1の各タグのコードの読み取りおよび復号を行なう。具体的には、物理オブジェクトインタフェース部21は読み取り部25および復号部26を備える。読み取り部25はカメラを有し、このカメラで物理オブジェクト1の各タグのコードを撮影する。復号部26は、この撮影したコードを復号する。つまり物理オブジェクトインタフェース部21はコードの読み取り手段および復号手段である。
【0025】
メッセージ作成部22は、キーボードやマイクロホンを有する入力手段であり、このキーボードへの文字入力操作、当該キーボードへの入力操作に従った利用者端末装置2の図示しない記憶装置に記憶される画像情報の指定、もしくはマイクロホンへの音声入力にしたがってメッセージを生成する。
【0026】
メッセージ提示部23は、ディスプレイ装置やスピーカ装置を有する出力手段であり、データ管理サーバ3からの文字、画像、音声といったメッセージを利用者に提示する。
【0027】
また、図2に示すように、データ管理サーバ3は、利用者端末装置2との通信を行う通信部31およびメッセージ管理部32を備える。通信部31は受信部38および送信部39を備える。メッセージ管理部32はメッセージの管理手段である。
メッセージ管理部32は、メッセージ書き込み部33、メッセージ読み出し部34、メッセージ消去部35、メッセージ登録時刻管理部36および記憶装置37を備える。
【0028】
図4は、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムのデータ管理サーバの記憶装置に記憶されるメッセージデータベースの構成例を表形式で示す図である。
記憶装置37は不揮発性メモリなどの記憶媒体であって、図4に示した構成のメッセージデータベースを記憶する。
メッセージデータベースは、読み出しコード、書き込みコード、メッセージ登録時刻およびメッセージ内容を管理するためのデータベースである。
【0029】
この読み出しコードは、物理オブジェクト1のメッセージ読み出し用タグ12のコードを利用者端末装置2が復号して得られる物理オブジェクトIDである。
また、書き込みコードは、物理オブジェクト1のメッセージ書き込み用タグ11のコードを利用者端末装置2が復号して得られる物理オブジェクトIDである。
このデータベースでは、数字部分が同じ各種コードにメッセージ登録時刻およびメッセージ内容が対応付けて管理される。
【0030】
メッセージの内容は、利用者端末装置2から送信されたメッセージであり、利用者端末装置2からの読み出し要求信号にしたがって利用者端末装置2への送信対象となるメッセージである。このデータベースで管理するメッセージ内容は、当該メッセージが文字である場合には、その全文であり、画像や音声データである場合には、当該データファイルのファイル名である。メッセージが画像や音声データである場合には、このデータファイルはデータ管理サーバの記憶装置37に保存される。つまり、読み出し対象のデータがメッセージが画像や音声データである場合には、データベース上のファイル名をキーにデータファイルを記憶装置37から読み出すことになる。
【0031】
メッセージ登録時刻は、利用者端末装置2から送信されたメッセージの当該メッセージデータベースにおける管理開始時刻である。
メッセージ書き込み部33は、利用者端末装置2からのメッセージの内容を記憶装置37のメッセージデータベースに書き込む。
また、メッセージ読み出し部34は、利用者端末装置2からの読み出し要求信号にしたがって、記憶装置37のメッセージデータベースからメッセージを読み出す。
このデータベースでは、1つの物理オブジェクト1に関わる登録可能なメッセージ内容の数は1つであるとする。
【0032】
メッセージ消去部35は、記憶装置37のメッセージデータベースで管理されるメッセージのうち、当該メッセージデータベース上で対応付けられる登録時刻から予め定められた時間が経過したメッセージを消去する。
【0033】
この場合、メッセージ書き込み部33、メッセージ読み出し部34は、記憶装置37のメッセージデータベースを参照して有効期限切れのメッセージの有無を判定し、該当するメッセージが存在する場合には、メッセージ消去部35がメッセージデータベースから該当メッセージの登録を消去する。
メッセージ登録時刻管理部36は現在時刻を計時し、メッセージデータベースへのメッセージの登録時の現在時刻がメッセージ登録時刻となる。
【0034】
次に、ここまで示した構成のメッセージ通信システムの動作について説明する。まず、メッセージの書き込み時の処理について説明する。図5は、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムによるメッセージ書き込み処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、利用者が物理オブジェクト1および利用者端末装置2を手に取って物理オブジェクトインタフェース部21の一部であるカメラをメッセージ書き込み用タグ11に近接させた上で、利用者端末装置2のメッセージ入力部22のキーボードへの予め定められた入力操作を行なうと、物理オブジェクトインタフェース部21の読み取り部25は、物理オブジェクト1上のメッセージ書き込み用タグ11のコードを読み取り、復号部26は、この読み取ったコードを復号して、この復号して得た物理オブジェクトIDのアルファベット部分を参照することで、当該復号したコードが読み出し用のコードか書き込み用のコードかを判断する。復号部26は、物理オブジェクトIDのアルファベット部分が「W」である場合には当該復号したコードが書き込み用のコードであると判断し、当該コードに含まれるデータ管理サーバ3のメールアドレスおよび書き込みコードを取得する(ステップS1)。
【0036】
利用者がメッセージ作成部22への操作により書き込み用のメッセージの作成または指定を行なうと、通信部24の第1送信部27は、このメッセージおよび前述した取得済みの書き込みコードをデータ管理サーバ3のメールアドレス宛てに送信する(ステップS2)。
【0037】
データ管理サーバ3の通信部31の受信部38が、利用者端末装置2からのメッセージおよび書き込みコード、つまり物理オブジェクトIDを受信すると(ステップS3)、メッセージ管理部32のメッセージ書き込み部33は、記憶装置37に記憶されるメッセージデータベースを読み出して、書き込みコードに関して、予め決められた有効期限内のデータが当該データベースに登録されているか否かを判別する(ステップS4)。
【0038】
メッセージ書き込み部33は、前述した条件を満たすメッセージがメッセージデータベースに登録されている場合には(ステップS5のYES)、メッセージの登録が不可能であることを示す文字などのメッセージを通信部31の送信部39を介して利用者端末装置2に送信する(ステップS6)。
【0039】
データ管理サーバ3からの登録不可能メッセージを利用者端末装置2の通信部24が受信すると、メッセージ提示部23は、受信したメッセージをディスプレイ装置の画面に表示させる。
【0040】
一方、メッセージ書き込み部33は、前述した条件を満たすメッセージがメッセージデータベースに登録されていない場合には(ステップS5のNO)、メッセージ登録時刻管理部36が計時する現在時刻を計時し、利用者端末装置2から受信したメッセージおよび該当物理オブジェクトIDを、前述した現在時刻を登録時刻とし、当該登録時刻の情報と対応付けて記憶装置37のメッセージデータベースに登録する(ステップS7)。
そして、メッセージ書き込み部33は、メッセージの登録完了を示す文字などのメッセージを通信部31の送信部39を介して利用者端末装置2に送信する(ステップS8)。
【0041】
データ管理サーバ3からの登録完了メッセージを利用者端末装置2の通信部24が受信すると、メッセージ提示部23は、受信したメッセージをディスプレイ装置の画面に表示させる。これにより利用者端末装置2で入力したメッセージがデータ管理サーバ3側に書き込まれたことが利用者が確認できる。
【0042】
次に、メッセージの読み出し時の処理について説明する。図6は、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムによるメッセージ読み出し処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、別の利用者が物理オブジェクト1および当該利用者が所持する利用者端末装置2を手に取って、物理オブジェクトインタフェース部21のカメラをメッセージ読み出し用タグ12に近接させた上で、メッセージ入力部22のキーボードへの予め定められた入力操作を行なうと、物理オブジェクトインタフェース部21の読み取り部25は、物理オブジェクト1上のメッセージ読み出し用タグ12のコードを読み取り、復号部26は、この読み取ったコードを復号して、この復号して得た物理オブジェクトIDのアルファベット部分を参照することで、当該復号したコードが読み出し用のコードか書き込み用のコードかを判断する。復号部26は、物理オブジェクトIDのアルファベット部分が「R」である場合には当該復号したコードが読み出し用のコードであると判断し、当該コードに含まれるデータ管理サーバ3のURLおよび読み出しコードを取得する(ステップS11)。
【0044】
すると、通信部24の第2送信部28は、取得済みの読み出しコードに関わるメッセージの読み出し要求信号を、取得済みのURLに対応するデータ管理サーバ3に送信する。
データ管理サーバ3の通信部31の受信部38が、利用者端末装置2からのメッセージ読み出し要求信号を受信すると(ステップS12)、メッセージ管理部32のメッセージ読み出し部34は、記憶装置37に記憶されるメッセージデータベースを読み出して、このデータベース上でメッセージ読み出し要求信号で示される読み出しコードと対応付けられ、かつ予め決められた有効期限内のメッセージのデータが当該データベースに登録されているか否かを判別する(ステップS13)。
【0045】
メッセージ読み出し部34は、前述した条件を満たすメッセージのデータがメッセージデータベースに登録されていない場合には(ステップS14のNO)、登録済みメッセージデータが存在しないことを示す文字などのメッセージを通信部31の送信部39を介して利用者端末装置2に送信する(ステップS15)。
【0046】
データ管理サーバ3からの、登録済みメッセージデータが存在しないことを示すメッセージを利用者端末装置2の通信部24が受信すると、メッセージ提示部23は、受信したメッセージをディスプレイ装置の画面に表示させる。
【0047】
一方、メッセージ読み出し部34は、前述した条件を満たすメッセージがメッセージデータベースに登録されている場合には(ステップS14のYES)、当該メッセージをメッセージデータベースから読み出す。すると、通信部31の送信部39は、このメッセージを利用者端末装置2に送信する(ステップS16)。
【0048】
データ管理サーバ3からのメッセージを利用者端末装置2の通信部24が受信すると、メッセージ提示部23は、受信したメッセージをディスプレイ装置の画面に表示させる。
これによりデータ管理サーバ3側で管理されるメッセージが相手側の利用者端末装置2に読み出される。
また、メッセージ管理部32のメッセージ消去部35は、あらかじめ設定された一定時間間隔でメッセージデータベース内の有効期限切れメッセージを消去する。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムでは、手に取って携帯可能な物理オブジェクト1を用いて書き込みや読み出しといった機能の区別が目で見て判る形でメッセージの書き込みや読み出しを行うことで、空間に分散された、利用者が手に取って使える媒体を介し、情報の書き込みと読み出しの機能を区別してディジタル情報によるコミュニケーションを実現することができる。
【0050】
このようなシステムにおいて、メッセージの書き込みを行なった利用者が当該メッセージを提供したい相手に物理オブジェクト1を渡すようにすれば、物理オブジェクト1をあたかもメッセージを運ぶ仮想的なコンテナのように扱えるようになる。
【0051】
また、書き込みと読み出しの機能を区別したタグを物理オブジェクト1にそれぞれ備えることにより、利用者端末装置2による書き込みと読み出しの選択操作を不要とすることができるので、当該利用者端末装置2の機構を簡単にでき、利用者端末装置2での操作を簡便にし、利用者の意思に沿った画面をタグの読み取り後において利用者端末装置2に最初から提示することができる。よって、いわゆるIT弱者と呼ばれる人同士でも気軽にメッセージの伝達を行なうことができる。
【0052】
加えて、ある利用者から別の利用者への提示対象となるメッセージ自体はデータ管理サーバ3において管理するので、メッセージの種別を文字や画像に限らず音声も対象とすることができ、従来のようにメッセージ自体を二次元コードなどに変換する場合と比較して伝達可能なメッセージの種別が多様となる。また、送受信可能なメッセージの容量はデータ管理サーバ3の記憶装置37の容量に左右されるものであり、物理オブジェクト1の種別や大きさに左右されない。
【0053】
例えば、前述したようにタグのコードに二次元コードを用いる場合には、物理オブジェクト1に書き込み用のタグと読み出し用のタグを区別して備えておけば、カメラ、バーコード読み取り機能、電子メール機能、ウェブページ閲覧機能を備える携帯電話機を利用することで、別途専用の機器やソフトウェアを用意する必要なくメッセージの書き込みや読み出しを行うことが可能となる。
【0054】
さらに、データ管理サーバ3が、書き込まれたメッセージの経過時間に応じてメッセージの消去などを行うメッセージ管理を行うことで、時間に応じた物理オブジェクト1の利用場所におけるメッセージ交換の活性度を計算することができる。
【0055】
以上説明した実施形態では、物理オブジェクト1のタグとして二次元コードを添付したタグを用いる構成としたが、これに限らず、非接触タグなどを利用してもよい。この揚合、物理オブジェクト1は、電波が互いに干渉し合わない位置に書き込み用と読み出し用のタグをそれぞれ有するようにするとともに、物理オブジェクト1上の各タグの位置にリーダを近接させた場合の機能を示す文字を明記すればよい。
【0056】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態にしたがったタンジブルメッセージ通信システムの物理オブジェクトおよび利用者端末装置の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムのデータ管理サーバの構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムの物理オブジェクトの外観の一例を示す図。
【図4】本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムのデータ管理サーバの記憶装置に記憶されるメッセージデータベースの構成例を表形式で示す図。
【図5】本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムによるメッセージ書き込み処理の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態にしたがったメッセージ通信システムによるメッセージ読み出し処理の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
1…物理オブジェクト、2…利用者端末装置、3…データ管理サーバ、11…メッセージ書き込み用タグ、12…メッセージ読み出し用タグ、21…物理オブジェクトインタフェース部、22…メッセージ作成部、23…メッセージ提示部、24,31…通信部、25…読み取り部、26…復号部、27…第1送信部、28…第2送信部、32…メッセージ管理部、33…メッセージ書き込み部、34…メッセージ読み出し部、35…メッセージ消去部、36…メッセージ登録時刻管理部、37…記憶装置、38…受信部、39…送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により手に取って使用可能なタグ付物理媒体、利用者端末装置およびサーバ装置を有するメッセージ通信システムであって、
前記タグ付物理媒体は、
当該タグ付物理媒体ごとに固有のメッセージ書き込み用タグおよびメッセージ読み出し用タグを有し、当該タグは、当該タグが書き込み用のタグであるか読み出し用のタグであるかが視覚的に区別可能であり、
前記利用者端末装置は、
前記タグ付物理媒体の各タグのコードを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取ったコードを復号する復号手段と、
前記読み取り手段により前記メッセージ書き込み用タグのコードを読み取って、前記復号手段により当該コードを復号した場合のメッセージの入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段により入力したメッセージを前記サーバ装置に送信する第1の送信手段と、
前記読み取り手段により前記メッセージ読み出し用タグのコードを読み取って、前記復号手段により当該コードを復号した場合に、メッセージの読み出し要求信号を前記サーバ装置に送信する第2の送信手段と、
前記サーバ装置から送信されたメッセージを出力する出力手段とを備え、
前記サーバ装置は、
前記利用者端末装置の第1の送信手段により送信されたメッセージを管理する管理手段と、
前記利用者端末装置の第2の送信手段により送信された読み出し要求信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記読み出し要求信号を受信した場合に、当該メッセージを前記利用者端末装置に送信する送信手段とを備えた
ことを特徴とするメッセージ通信システム。
【請求項2】
前記タグ付物理媒体のメッセージ書き込み用タグのコードは、前記サーバ装置の通信先アドレスを含み、
前記第1の送信手段は、
前記入力手段により入力したメッセージを前記通信先アドレスに対応する前記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のメッセージ通信システム。
【請求項3】
前記タグ付物理媒体のメッセージ読み出し用タグのコードは、前記サーバ装置の通信先アドレスを含み、
前記第2の送信手段は、
前記読み出し要求信号を前記通信先アドレスに対応する前記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のメッセージ通信システム。
【請求項4】
前記サーバ装置の前記管理手段は、前記利用者端末装置により送信されたメッセージを当該メッセージの管理開始時刻と対応付けて管理し、
前記管理手段により管理する管理開始時刻からの経過時間が予め定められた時間となった際に当該管理開始時刻と対応するメッセージを消去する消去手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載のメッセージ通信システム。
【請求項5】
前記メッセージ書き込み用タグとメッセージ読み出し用タグとを、前記タグ付物理媒体における、それぞれのタグが書き込み用、読み出し用のいずれかであるかを視覚的に同時に区別可能な位置に有する
ことを特徴とする請求項1記載のメッセージ通信システム。
【請求項6】
前記タグ付物理媒体の前記メッセージ書き込み用タグとメッセージ読み出し用タグの位置が当該タグ付物理媒体における同一平面上にある
ことを特徴とする請求項1記載のメッセージ通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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