説明

メディアデータ再生装置、メディアデータ配信装置、メディアデータ再生方法、メディアデータ再生プログラム、メディアデータ配信プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体

本発明のメディアデータ再生装置は、データ配信業者側の被補完データ配信サーバ1及び被補完データDB2、補完データ配信サーバ3及び補完データDB4とからなるメディアデータ配信装置の、被補完データ配信サーバ1からネットワークAを介して被補完データを受信し、補完データ配信サーバ3からネットワークBを介して補完データを受信した後、被補完データ及び補完データからメディアデータを合成し再生処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ネットワークを介して、音楽データなどのメディアデータを配信・再生するメディアデータ再生装置、メディアデータ配信装置、メディアデータ再生方法、メディアデータ再生プログラム、メディアデータ配信プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
一般に、音楽、映画、テレビ番組、コンピュータプログラムなどをコンテンツ情報として含むメディアデータは、著作権などの観点から、権利者に無断で閲覧、複製などを行うことが禁じられている。なお、本明細書において、メディアデータとは、画像データ(静止画像データ、動画像データ)、音声データ、音楽データ、コンピュータプログラムおよびその関連データを含むものであって、コンピュータを含む各種再生機器において、再生対象となるコンテンツ情報を含む全てのデータを意味する。
したがって、このようなメディアデータを配布する場合には、権利を有しない悪意者の盗用、複製を如何に回避するかが問題となっている。
例えば、CDやハードディスクなどの記録媒体にメディアデータを記録して配布する場合には、これら記録媒体から読み出したメディアデータを異なる記録媒体に書き込むことも容易である。したがって、このような配布形態では、CDプレーヤーやCD−ROMドライブなど市販の記録媒体および装置を用いるだけで、比較的容易に上記メディアデータの複製が作成されてしまう。このような複製行為の対策としては、DVDプレーヤーおよびディスクのように、不法なデータ読み出しができないように、暗号化された状態でメディアデータを記録したり、不法なデータ複製ができないように、複製禁止(プロテクト)処理を施したりする手法がある。また、ネットワークを用いたメディアデータの配信時において、配信対象のメディアデータに、ソフトウェア的な暗号化処理等を施して不法な読み出しを禁止したり、複製禁止(プロテクト)処理を施したりする手法も知られている。
また、著作権保護機能を有するメモリカードとして、単なるソフトウェア処理ではなく、メモリカード固有のハードウェア情報を関連付けることによって、メディアデータのプロテクト処理を行うものも知られている。著作権保護機能を有するメモリカードは、例えば各メモリカードに固有のID情報とメディアデータとを一体的に保有している。これにより、本来そのメディアデータが記録されているべきメモリカードのID情報とは異なるID情報を有するメモリカードに記録されたメディアデータを記録、複製できないようなプロテクト処理を施すものである。
しかし、どのような暗号化処理やプロテクト処理を施したとしても、暗号化処理やプロテクト処理の処理内容を悪意者に知られた場合には、復号化処理やプロテクトはずし処理によるメディアデータの盗用、複製を回避することはできない。例えば、メディアデータに暗号化処理を施しても、暗号化方式やこれに用いられる暗号キーの情報が漏洩した場合、暗号化処理の効力は無力化する。これに対して、メディアデータの保護レベルを強化するために暗号化処理を高度化すれば、暗号化処理や復号化処理に要する時間や処理負担は増大する。したがって、実際のメディアデータの配布サービスにおいては、サービスコストを抑制するために、あまりに高度な暗号化処理を採用することは難しい。
また、前述の著作権保護機能付きメモリカードのように、記録媒体のハードウェア構造を特殊なものとすると、記録媒体の構造が複雑となるので、記録媒体が高価なものとなってしまうという問題点も生じる。
図5は、従来のネットワークを介したメディアデータの配信における問題点を説明するための模式図である。同図に示すように、配布情報DB(データベース)が、ネットワークを介して、特定の識別情報(電話番号など)を有する携帯電話やパーソナルコンピュータにメディアデータを配信する場合、送受信されるメディアデータは、ネットワーク途中で悪意者にモニタリングされ、漏洩するおそれがある。特に、ネットワークとしてインターネットを用いた場合には、種々のパケットモニタリングによって、通信データの内容が漏洩する可能性が高い。このとき、送受信するメディアデータに暗号化処理を施していたとしても、データの盗用者が、暗号化処理の内容(暗号化方式や暗号キー)を知得していた場合、漏洩したメディアデータは不正利用されてしまう。
さらには、ネットワーク途中でのメディアデータ盗用がなかったとしても、図5に示すように、ダウンロード済のメディアデータが記録されている、携帯電話やパーソナルコンピュータから、記録媒体(例えばハードディスクやメモリカード)が取り出され、メディアデータが盗み出されたり、複製されたりする危険がある。
メディアデータの配布には、以上の問題点が存在するにもかかわらず、とりわけ音楽データなどは、その性質上、広く、ファイルフォーマット等の情報を公開する必要があった。したがって、配布後のメディアデータやその著作権を保護することは極めて困難であった。このため、現在、音楽データなどのメディアデータをネットワーク配信するのは一部の業者に限られている。現在、ネットワーク配信を行っている業者であっても、メディアデータの盗用、複製を防止するために、配信後のメディアデータを受信端末内に蓄積することを禁止している場合が多い。
しかしながら、データ配信業者が、配信後のメディアデータを受信端末内に蓄積することを禁止する場合には、利用者は、利用(再生)の度に、ネットワーク経由でメディアデータをダウンロードする必要が生じるので、次のような問題点を招来していた。
まず、ネットワークの通信速度がメディアデータのデータサイズと比較して不足している場合には、メディアデータの利用待ち時間が長くなってしまう。例えば、1時間相当の音楽データ(メディアデータ)を再生する場合の利用待ち時間(受信時間)が10時間であれば、利用者の一般的な許容限度をこえてしまう。
特開2002−91452号公報(公開日:2002年3月27日)には、ネットワークを介して、メディアデータをダウンロードする際に、既に取得済みの試聴用のサンプルデータを除いて、上記メディアデータをダウンロードする技術が開示されている。この技術によれば、サンプルデータ部分の重複したダウンロードを回避できる。したがって、サンプルデータ部分の重複したダウンロードによる無駄な通信時間を短縮できることになる。しかし、上記従来技術においても、結局、ネットワークを介して、メディアデータ全体をダウンロードすることになるので、メディアデータのデータ量が大きくなれば、ダウンロードに要する通信時間は長大なものとなってしまう。
また、特開2002−204228号公報(公開日:2002年7月19日)には、デジタルコンテンツ(メディアデータ)を二つ以上の部分に分割して、各部分を暗号化する技術が開示されている。この技術によれば、セキュリティレベルは向上する。しかし、上記従来技術においても、通信すべきデータ量が減少するわけではないので、ダウンロードに要する通信時間は殆ど短縮することはできない。
さらに、前述のように、配信後のメディアデータを受信端末内に蓄積することを禁止する場合には、利用(再生)の度にメディアデータが送信される。したがって、ネットワークのトラフィック負担が大きくなり、ネットワークの使用に従量制の料金が課される場合には、メディアデータの通信コストは大きなものとなってしまう。
このようなメディアデータのダウンロードに伴う待ち時間や通信コストの問題は、利用者にメディアデータの配信サービス利用を躊躇させる原因となり、配信サービスの事業性に大きな悪影響を与えていた。
特開2002−278859号公報(公開日:2002年9月27日)には、コンテンツを欠落コンテンツと差分コンテンツに分解または分割した後、両者に基づいて、コンテンツを再生する技術が開示されている。しかし、この従来技術では、欠落コンテンツのみに基づいて、コンテンツを再生できる可能性があるので、セキュリティや配信サービスの事業性の点で問題がある。例えば、利用者が、欠落コンテンツのみに基づいて、画像や音声の少なくとも一部分を再生したり、断続状態などの不完全状態で再生したりする可能性がある。このような場合には、データ配信業者は、適切な課金や配信データの管理を行うことができない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便な構成によって、メディアデータを盗用・複製などから保護する高い安全性と、利用者の利便性とを確保するメディアデータ再生装置、メディアデータ配信装置、メディアデータ再生方法、メディアデータ再生プログラム、メディアデータ配信プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【発明の開示】
本発明のメディアデータ再生装置は、メディアデータの一部を被補完データとして記録する記録部と、利用者の指示入力を受け付ける指示入力受付部と、上記指示入力受付部が受け付けた上記メディアデータの再生指示に応じて、上記被補完データを補完する補完データを、ネットワークを介して外部装置から受信する受信部と、上記記録部に記録された被補完データと、上記受信部が受信した補完データとに基づいて圧縮されたメディアデータを合成し、この圧縮されたメディアデータを、圧縮の逆手順によって伸長して再生可能なメディアデータとしたうえで再生する制御部とを備えることを特徴としている。
また、本発明のメディアデータ再生方法は、メディアデータの一部を被補完データとして記録する記録段階と、利用者の指示入力を受け付ける指示入力受付段階と、上記指示入力受付段階で受け付けた上記メディアデータの再生指示に応じて、上記被補完データを補完する補完データを、ネットワークを介して外部装置から受信する受信段階と、上記記録段階で記録された被補完データと、上記受信段階で受信した補完データとに基づいて圧縮されたメディアデータを合成し、この圧縮されたメディアデータを、圧縮の逆手順によって伸長して再生可能なメディアデータとしたうえで再生する合成再生段階とを備えることを特徴としている。
本発明において、被補完データと補完データとは、両者を合成することにより、メディアデータの全体が再現されるものであれば、特にその形態を限定されるものではない。例えば、メディアデータ全体のうち、特定位置のビット情報を補完データとし、上記メディアデータ全体から、該ビット情報(補完データ)を除いた部分を被補完データとすることができる。
上記の構成によれば、音楽データ、音声データ、動画像データ、静止画像データ、コンピュータプログラムおよびその関連データなどから構成されるメディアデータの一部のみが被補完データとして、利用者の再生指示に先立ち、あらかじめ記録されている。その後、利用者の入力した再生指示に応じて、上記被補完データを補完する補完データが、ネットワーク経由で受信され、あらかじめ記録されていた被補完データと合成されることにより、圧縮された状態のメディアデータが得られる。この圧縮されたメディアデータはそのままでは再生できないが、圧縮の逆手順によって伸長され再生可能なメディアデータとなる。このようにして得られた再生可能なメディアデータに基づいて、メディアデータのコンテンツ情報が再生される。
上記の構成によれば、利用者から再生指示が入力されてはじめて、全てのメディアデータが再現されることになるので、再生指示前に記録された被補完データや、再生指示に応じてネットワーク送信される補完データのそれぞれが盗用されたとしても、メディアデータ全体が盗用・複製されるおそれはなくなる。
特に、本発明においては、被補完データおよび補完データは、メディアデータそのものではなく、そのままでは再生不能な圧縮されたメディアデータの部分データであるから、被補完データ(または補完データ)単独で再生することはできない。すなわち、本発明によれば、被補完データは、補完データの存在なしには再生できないことが保証されるので、データの不正な再生を効果的に防止することができる。
また、利用者は、メディアデータの利用時に、上記補完データのみをネットワーク受信すればよいので、ネットワーク通信の待ち時間や通信コストに伴う煩雑さを回避することができるので、高い利便性を実現することが可能になる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1(a)は、楽曲再生端末における被補完データの受信手順を示すフローチャートである。
図1(b)は、楽曲再生端末における補完データの受信手順を示すフローチャートである。
図2は、本発明の一実施形態に係る楽曲配信システムの概略構成を示すブロック図である。
図3は、上記楽曲配信システムを構成する楽曲再生端末の概略構成を示すブロック図である。
図4(a)は、被補完データ配信サーバが、ある楽曲データを被補完データと補完データとに分離する場合の手順を示すフローチャートである。
図4(b)は、補完データ配信サーバが、ある楽曲データを被補完データと補完データとに分離する場合の手順を示すフローチャートである。
図5は、従来のネットワーク配信における問題点を説明するための模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の一形態について図1乃至図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
(1.楽曲配信システムの構成)
図2は、本実施形態に係る楽曲配信システムの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、上記楽曲配信システムは、データ配信業者側の被補完データ配信サーバ1及び被補完データDB2、補完データ配信サーバ3(メディアデータ配信装置)及び補完データDB4(メディアデータ配信装置)と、利用者側の楽曲再生端末5(メディアデータ再生装置,以下、単に「端末」とも称する)とがそれぞれネットワークA、ネットワークBを介して接続される構成である。被補完データ配信サーバ1は、ネットワークAを介して楽曲再生端末5に被補完データを提供し、補完データ配信サーバ3は、ネットワークBを介して楽曲再生端末5に補完データを提供する。
本実施形態において、被補完データと補完データとは、両者を合成することにより、圧縮された状態の楽曲データ(メディアデータ)の全体が再現される関係にあるが、詳細については後述する。
上記構成において、被補完データ配信サーバ1と補完データ配信サーバ3とは公知のネットワークサーバである。また、被補完データDB2は大容量ハードディスクや各種の光磁気ディスクなどによって構成されており、被補完データDB2には被補完データが多数蓄積されている。同様に、補完データDB4も大容量ハードディスクや各種の光磁気ディスクなどによって構成されており、補完データDB4には上記被補完データを補完する補完データが多数蓄積されている。
ネットワークA、ネットワークBとしては、インターネット、LAN(Local Area Network)など公知の通信ネットワークや、公衆通信回線、専用線、ISDN(Integrated Services Digital Network)など公知の通信回線を利用することができる。本実施形態では、ネットワークAとして、11Mbps〜54Mbps程度の速度でデータ通信を実現する無線LANネットワークを、ネットワークBとして、144kbps〜2.4Mbps程度の速度でデータ通信を実現する第三世代携帯電話ネットワークを採用するものとする。
なお、本実施形態では、ネットワークAとネットワークBとを別構成としたが、共通のネットワーク構成を採用してもよい。ただし、ネットワークAとネットワークBとを別構成として、上記被補完データの送信経路と上記補完データとの送信経路を分ける方が、ネットワーク上のデータ盗用によって、全楽曲データを不正取得される危険は小さくなる。
また、データ配信サーバ1及び補完データ配信サーバ3、被補完データDB2及び補完データDB4を、それぞれ共通の構成としてもよい。
(2.楽曲再生端末の構成)
図3は、楽曲再生端末5の概略構成を示すブロック図である。楽曲再生端末5は、例えば車両内に設置される端末装置であって、同図に示すように、CPU20(制御部)、操作入力部21(指示入力受付部)、表示部22、オーディオインタフェース23、オーディオアナログ回路24、スピーカ25、記憶部インタフェース26、記憶部27(記録部,記録媒体)、通信インタフェース28、通信部29(受信部)、送受信アンテナ30から構成されている。また、上記の各構成は、入出力バス31を介して互いに接続されている。
CPU20は、例えば、マイクロコンピュータによって構成され、その演算・制御機能によって、楽曲再生端末5の各部動作を司る構成である。
操作入力部21は、テンキーをはじめとするボタンやスイッチ、ポインティングデバイスなどで構成されており、楽曲再生端末5の利用者の操作に応じた信号を、入出力バス31を介してCPU20に供給する。楽曲の再生/停止指示などは、利用者が操作入力部21を操作することにより指示されることになる。なお、操作入力部21として音声認識手段を採用すれば、利用者の発話による音声指示を受け付けることもできる。
表示部22は、LCD、LEDなどの表示素子によって構成されており、操作入力部21による操作内容や、楽曲情報などの各種メッセージを表示する。
オーディオインタフェース23は、各種のデジタル信号処理を行うデジタルシグナルプロセッサと、処理後のデジタル音声信号に基づいてアナログ音声信号を生成するDACを含み、CPU20の指示に基づいてアナログ音声信号を出力するインタフェース回路である。
オーディオアナログ回路24は、各種のアンプ回路や変調回路を含み、オーディオインタフェース23から出力されたアナログ音声信号を増幅、変調するものである。オーディオアナログ回路24から出力されたアナログ音声信号(後述する楽曲データの再生を含む)は、スピーカ25で音声出力される。なお、スピーカ25で音声出力するかわりに、ヘッドフォン接続端子を設け、外部にヘッドフォンを接続する構成としてもよい。
記憶部27は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリなどで構成され、記憶部インタフェース26および入出力バス31を介してCPU20が読み出すための各種プログラムやデータが記憶されている。特に、楽曲再生装置5の記憶部27には、後述する楽曲データ再生プログラムと、多数の被補完データからなるデータベースとが記憶されている。
通信部29は、無線LANネットワーク(ネットワークA)、第三世代携帯電話ネットワーク(ネットワークB)のそれぞれを介して、データ通信を行う通信回路である。通信部29は、通信同期信号や各種の通信プロトコルなどを制御する通信インタフェース28を介して、CPU20からの通信指示を受け取り、送受信アンテナ30から電波信号を出力することによって外部装置との通信を行い、無線パケット通信によるデータ通信機能を提供する。
(3.楽曲配信システムの動作例)
次に、図1(a),図1(b),図4(a),図4(b)を参照しながら、本実施形態に係る楽曲配信システムの動作例について説明する。
なお、以下の説明において、補完データ配信サーバ3の動作と、楽曲再生端末5の動作とは、それぞれ、楽曲データ配信プログラムと楽曲データ再生プログラムとをコンピュータ(CPU)に実行させることにより、実現されるものであって、上記楽曲データ配信プログラムと上記楽曲データ再生プログラムとは、それぞれ、補完データ配信サーバ3と楽曲再生端末5とが備えるコンピュータ読み取り可能な記録媒体(楽曲再生装置5の記憶部27を含む)に記録されている。
(3−1.被補完データ配信サーバの動作例)
図4(a)は、被補完データ配信サーバ1が、ある楽曲データを被補完データと補完データとに分離する場合の手順を示すフローチャートである。
まず、図4(a)に示すように、被補完データ配信サーバ1は、新規の楽曲データ(新規データ)の入力を受け付け(ステップ40、以下「S40」と表記する)、新規の楽曲データが供給されるまで、その状態を維持する(S41)。
次に、被補完データ配信サーバ1は、入力された新規の楽曲データを圧縮する(S42)。これにより、後のデータ送信量を抑制できるとともに、不審者が被補完データ、補完データを盗用・複製して楽曲データを復元することを困難にすることができる。圧縮方式としては、MP3方式、Ogg Vorvis方式、ATRAC3方式、WMA方式、TwinVQ方式、AAC方式など、任意の圧縮方式を採用することができる。楽曲データの再生時に、元の楽曲データを完全に復元したい場合には可逆圧縮方式を用い、元の楽曲データからある程度情報量が失われてもよい(音質が低下してもよい)場合には、非可逆圧縮方式を採用する。なお、本ステップにおいて、楽曲データに圧縮処理を施すだけでなく、暗号化処理を併せて施せば、より確実に楽曲データを保護することが可能になる。
次に、被補完データ配信サーバ1は、S42で圧縮した楽曲データを、被補完データと補完データに分離する(S43)。前述のように、被補完データと補完データとは、両者を合成することにより、楽曲データの全体が再現されるものであれば、特にその形態を限定されるものではないから、本ステップにおける分離手法も種々のものが考えられる。
被補完データと補完データとのうち、少なくとも一方は、複数の部分データから構成されるように、分離することも好ましい。この構成によれば、全ての部分データを取得しなければ、メディアデータの再生は不能となるため、不正な再生を効果的に防止することができる。また、楽曲再生端末5は、利用者の時間的な都合や通信コスト上の都合などに応じ、複数の段階にわけて、個々の部分データを取得することが可能になる。
ただし、上記被補完データの合計データサイズは、上記補完データの合計データサイズより大きいことが好ましい。これにより、後に送受信する補完データのデータサイズを比較的小さいものとすることができるので、ネットワーク通信の待ち時間や通信コストを一層抑制することが可能になる。
ここでは、圧縮状態の楽曲データを被補完データと補完データとに分離する代表的な手法として[手法A]〜[手法C]を説明しておく。
[手法A] 圧縮状態の楽曲データ全体のうち、特定位置のビット情報を補完データとして、上記メディアデータ全体から、上記ビット情報(補完データ)を除いた部分を被補完データとすることができる。例えば、S42で圧縮した楽曲データを8ビット構成のバイト列にして、各バイト情報の特定1ビットを抜き出して補完データとし、残り部分を被補完データとする。この場合、補完データはメディアデータの8分の1のデータサイズ、被補完データはメディアデータの8分の7のデータサイズとなる。なお、補完データとして抜き出すデータ量は、1ビットに限られるものではなく、2ビット以上であってもよい。
[手法B] 圧縮状態の楽曲データを構成するビット情報のうち、ぞれぞれどの部分を補完データと被補完データとに割り当てるかの情報をあらかじめ設定した分離テーブルを用いて、楽曲データを、補完データと被補完データとに分離することができる。
例えば、圧縮状態の楽曲データが8ビットを1単位とするデータ構造であれば、分離テーブルには、あらかじめ、各データ単位においてどのビット情報を補完データとするかが設定されている。すなわち、上記分離テーブルには、8ビットの情報量を有する各データ単位において、何番目のビット情報から何番目のビット情報までを補完データとするかについて、「L番目のビット情報からM個分のビット情報」のように指定されている。この場合、例えば、すべてのデータ単位において、Lの値を1〜8の範囲からランダムに選択し、Mの値を1に固定してもよい。また、Lの値を1に固定し、Mの値を1〜8の範囲からランダムに選択してもよい。また、すべてのデータ単位において、Lの値を1に固定し、Mの値を1〜3の範囲からランダムに選択してもよい。さらに、各データ単位において、Lの値とMの値との両者を1〜8の範囲からランダムに選択してもよい。
ただし、圧縮状態の楽曲データが8ビットを1単位とするデータ構造であって、L+M−1の値が8をこえる場合には、8を減ずるなどして、必ず、上記単位内の情報データが指定されるようにする。
このような分離テーブルは、所定の項目数を有しており、楽曲データの先頭部分から繰り返し適用することが好ましい。例えば、256の項目数を有する分離テーブルを、楽曲データの1番目〜256番目のデータ単位に適用した後、順次、上記分離テーブルを上記楽曲データの257番目〜512番目、513番目〜768番目のデータ単位に繰り返し適用することによって、1つの楽曲データを、補完データと被補完データとに分離することができる。
このような分離テーブルは、データの分離側、合成側が共通して備える必要があるが、上記分離テーブルの内容を定期/不定期に変更すれば、第三者による楽曲データの不正取得をより困難なものとすることができる。
[手法C] 圧縮状態の楽曲データの経時的データ配列の一部を補完データとする一方、残り部分を被補完データとすることができる。すなわち、圧縮状態の楽曲データから所定の時間間隔で補完データを抽出・分離することによって、補完データと被補完データとを生成することができる。例えば、圧縮状態の楽曲データの冒頭から10秒相当分ごとに1秒相当分のデータを抽出して補完データとする一方、楽曲データから補完データを除いたデータを被補完データとすることができる。比較的単純な分離手法であるが、被補完データの不正取得者は、10秒ごとに1秒間のデータ欠落が生じるので、正しい圧縮状態の楽曲データを得ることはできない。したがって、被補完データ単独での再生は、極めて困難であるから、楽曲データの不正な再生を効果的に防止することができる。
この手法によれば、端末における合成再生処理を比較的簡単なものとして、合成再生処理に要する時間を短縮するという効果も得られる。前記[手法B]と同様、楽曲データのうち、ぞれぞれ、どの部分を補完データと被補完データとに割り当てるかの情報をあらかじめ設定した分離テーブルを用いることも好ましい。このような分離テーブルは、データの分離側、合成側が共通して備える必要があるが、上記分離テーブルの内容を定期/不定期に変更すれば、第三者による楽曲データの不正取得をより困難なものとすることができる。
もちろん、上記[手法A]〜[手法C]のいずれを採用するとしても、楽曲再生端末5(端末)側でその逆手順(圧縮方式の逆手順である伸長方式を含む)を知得し、この逆手順に基づいて、楽曲データを合成再生することができるようにしておく必要がある。
次に、被補完データ配信サーバ1は、S43で分離した補完データを、補完データ配信サーバ3に提供する(S44)。被補完データ配信サーバ1は、直接的な通信手段によって、上記補完データを補完データ配信サーバ3に提供してもよいし、被補完データ配信サーバ1の管理者が外部の各種記録媒体を用いて間接的に、上記補完データを補完データ配信サーバ3に提供してもよい。
最後に、被補完データ配信サーバ1は、S43で分離した被補完データを、無線LANネットワーク(ネットワークA,図2参照)を介して、楽曲再生端末5(端末)に送信する(S45)。
本実施形態のように、被補完データを、上記無線LANネットワークなどのブロードバンドネットワークを介して楽曲再生端末5に送信する構成を採用すれば、一般に、補完データと比較してデータサイズの大きい被補完データを効率よく、楽曲再生端末5に提供することができる。
例えば、ホットスポット(商標)などと呼ばれる無線LANネットワークは、現在、レストラン、ショッピングセンタ、ガソリンスタンド、公共機関、駐車場、交差点において、急速に普及しており、このようなホットスポットを利用すれば、楽曲再生端末5が設置車両と共に移動する場合であっても、楽曲再生端末5は効率的に被補完データを取得することが可能になる。
また、被補完データの取得にあたっては、楽曲再生端末5の利用者が、あらかじめ所望の被補完データ名(楽曲データ名)を指定しておくことが好ましい。これにより、楽曲再生端末5は、利用者が再生指示する可能性が高い楽曲データに対応する被補完データをあらかじめ取得することが容易になるので、利用者の利便性を大幅に向上させることができる。
ただし、被補完データ配信サーバ1から楽曲再生端末5への被補完データの提供は、各種記録媒体を用いて間接的に行われてもよい。例えば、非補完データを光磁気ディスクに記録した状態で配布・販売し、楽曲再生端末5の利用者が上記光磁気ディスクを用いて、上記被補完データを楽曲再生端末5の記憶部27(図3参照)に格納してもよい。または、あらかじめ、楽曲再生端末5(端末)の工場出荷時に、上記被補完データを楽曲再生端末5の記憶部27(図3参照)に格納しておいてもよい。
被補完データは比較的データサイズが大きいが、単体では楽曲データを再現することができず、安全な状態を保つことが可能なので、その配布形態を比較的自由なものとすることができる。例えば、前述の光磁気ディスクによる配布形態では、数ギガバイトに及ぶ非補完データの配布を簡易かつ低コストに実現することが可能になる。
なお、図1(a)は、楽曲再生端末5における被補完データの受信手順を示すフローチャートである。図1(a)に示すように、楽曲再生端末5は、利用者による楽曲データの再生指示に先立ち、あらかじめ被補完データ配信サーバ1からの被補完データ受信(配布)を待機し(S10)、被補完データ配信サーバ1から被補完データが配布されるまで、その状態を維持する(S11)。
楽曲再生端末5は、被補完データ配信サーバ1から被補完データが配布されれば、上記被補完データを受信して記憶部27(図3参照)に記憶する(S12,記録段階)。
(3−2.補完データ配信サーバの動作例)
図4(b)は、補完データ配信サーバ3が、ある楽曲データを被補完データと補完データとに分離する場合の手順を示すフローチャートである。
まず、図4(b)に示すように、補完データ配信サーバ3は、楽曲再生端末5(端末)からの補完データの送信要求を待機し(S50)、楽曲再生端末5からの補完データの送信が要求されるまで、その状態を維持する(S51)。
次に、補完データ配信サーバ3は、楽曲再生端末5(端末)の利用者に識別情報やパスワード(楽曲再生端末5の固有情報などでもよい)の入力送信を要求し、楽曲再生端末5の利用者を認証する(S52)。この認証により、正規の利用者のみに補完データが提供されるので、それ以外の者は、楽曲再生端末5を用いた楽曲データの合成再生を実現できないことになり、楽曲データを不正な盗用・複製から強力に保護することができる。
補完データ配信サーバ3は、上記認証の失敗が続き、補完データの送信要求が不正アクセスであると考えられる場合には、その事実を内部で記憶したり、管理者に通報したりすることが好ましい。
楽曲再生端末5は、S52において、楽曲再生端末5の利用者認証に失敗したときは、補完データの送信要求の待機状態(S50)に戻る一方、認証に成功した場合には、S50〜S51で受信した楽曲再生端末5の要求に応じて、要求された補完データを補完データDB4から取り出し(S53)、第三世代携帯電話ネットワーク(ネットワークB,図2参照)を介して楽曲再生端末5(端末)に送信する(S54)。
なお、楽曲再生端末5の通信部29は、上記補完データを暗号化された状態で受信することが好ましい。これにより、利用者の再生指示に応じて、第三世代携帯電話ネットワーク(ネットワークB)から補完データを受信する際に、上記補完データを暗号化された状態で受信するので、ネットワーク上でデータが盗用された場合であっても、その内容が解読される危険を抑制することができる。
図1(b)は、楽曲再生端末5における補完データの受信手順を示すフローチャートである。
図1(b)に示すように、楽曲再生端末5は、まず、利用者からの利用要求(再生指示)を待ち受ける(S20,指示入力受付段階)。楽曲再生端末5は、利用者からの利用要求(再生指示)を受け付けるまで、その状態で待機する(S21)。利用者からの利用要求(再生指示)を受け付ければ、次のステップに進み、要求された楽曲の被補完データ(被補完データが、複数の部分データから構成される場合は、全ての部分データ)が記憶部27(図3参照)に記憶されているか否かを確認する(S22)。楽曲再生端末5は、要求された楽曲の被補完データが記憶部27に記憶されていなければ、利用者からの利用要求の待ち受け状態(S20)に戻る一方、要求された楽曲の被補完データが記憶部27に記憶されていれば、次のステップに進む。
次のステップでは、楽曲再生端末5は、要求された楽曲(被補完データ)に対応する補完データの送信を補完データ配信サーバ3に要求し、適宜の利用者認証を受けた後、補完データ配信サーバ3から送信される補完データを受信する(S23,受信段階)。補完データが、複数の部分データから構成される場合は、全ての部分データが揃うように、データを取得する。
次に、楽曲再生端末5は、記憶部27に記録された被補完データと、S23で受信した補完データとに基づいて圧縮されたメディアデータを合成し、この圧縮されたメディアデータを、圧縮の逆手順によって伸長して再生可能なメディアデータとしたうえで再生する(S24,合成再生段階)。上記被補完データと上記補完データとを合成して再生するときには、前記S43において、楽曲データを被補完データと補完データに分離した手順([手法A]〜[手法C]参照)の逆手順、および圧縮方式に対応する伸張方式を実行することにより、上記楽曲データの全てを合成および伸張し、再生することができる。
最後に、楽曲再生端末5は、S24における合成再生の後、上記圧縮されたメディアデータおよび上記再生可能な状態のメディアデータと、S23で受信した補完データとを破棄する(S25)。これにより、楽曲データの再生後においても、再現された楽曲データや、再現に必要な補完データが盗用・複製されることを回避することができるので、楽曲データの保護をより完全なものとすることができる。
なお、S25における楽曲データの破棄は、楽曲データ全体の合成再生が終了してから行われるよりも、上記楽曲データの合成再生と並行しながら、既再生部分について順次行われることが好ましい。さらには、複数の楽曲データを連続して合成再生する場合には、利用者の指示する数曲前までの楽曲データを残して、それ以前に再生が終了した楽曲データを破棄することも好ましい。
これにより、楽曲再生端末5内の記憶部27(図3参照)上に存在する合成後の楽曲データを必要最小限のものとすることができるので、インサーキットエミュレータなどを用いた、記憶部27の記憶内容の一括複製・解析によって、楽曲データが盗用・複製される危険を抑制することができる。
以上、楽曲再生端末5は、例えば車両内に設置されるものとして説明したが、その設置場所や物理的形態は特に限定されるものではなく、例えば、着脱容易な外部ハードディスクを備える構成として、この外部ハードディスクを、車両内から各家庭内に移動/設置することができるものであってもよい。この場合、楽曲再生端末5に対する被補完データの供給は、上記外部ハードディスクを、家庭内に設置されたブロードバンドネットワークに接続することによって、実現されることも好ましい。
さらに、楽曲再生端末5は、異常情報を検知する異常検知手段を備え、この異常検知手段が検知した異常情報に基づいて、通信部29または/およびCPU20の動作を停止することが好ましい。
ここで、異常情報を検知する異常検知手段とは、楽曲再生端末5の筐体が突然に開けられたり、内蔵のデバッグ用端子やメモリに対する予定外の電気接続がなされたり、楽曲再生端末5内で実行するプログラムが不審な挙動を示したりするなど、楽曲データの不正な盗用・複製に関連する情報を検知する手段のことをいう。
異常情報および異常検知手段の例としては、次のような例が挙げられる。
▲1▼ 楽曲再生端末5の筐体を開けたことを検知するセンサを設け、筐体が開けられたことを異常情報として検知する例。
▲2▼ 楽曲再生端末5の接続端子にプローブやインサーキットエミュレータが接続されたことを検知するセンサを設け、外部装置の不正接続やアクセスを異常情報として検知する例。
▲3▼ 楽曲再生端末5のCPU20が実行するプログラムのうち、チェックサム、データファイルのサイズ、メモリの利用量に所定量の変動が生じたことを異常情報として検知する例。
上記の構成により、楽曲再生端末5から、不審者が楽曲データの不正な盗用・複製を試みた場合には、通信部29による補完データの受信動作または/およびCPU20による楽曲データの合成再生動作が停止されるので、楽曲データを不正な盗用・複製から強力に保護することができる。
以上、楽曲配信システムにおける楽曲データの配信・再生を例に挙げて、本発明の一実施態様を説明したが、配信・再生の対象となるメディアデータが、その他の音声データ、動画像データ、静止画像データ、コンピュータプログラム、これらの複合データなどから構成されるメディアデータであっても、同様に本発明を適用することができる。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記記録部には、記録媒体を通じて、上記被補完データが外部から供給されることが好ましい。同様に、本発明のメディアデータ再生方法において、上記記録段階で記録される上記被補完データは、記録媒体を通じて外部から供給されることが好ましい。
これら構成によれば、比較的データサイズの大きい被補完データを、ネットワークではなく、その被補完データが記録された記録媒体を読み込むことによって、簡便に取得することができる。これにより、ネットワークを介して、被補完データを取得する場合と比較して、通信負担、およびこれに伴う待ち時間や通信コストを大幅に軽減することが可能になる。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記被補完データと上記補完データとのうち、少なくとも一方は、複数の部分データから構成されることが好ましい。
この構成によれば、全ての部分データを取得しなければ、メディアデータの再生は不能となるため、不正な再生を効果的に防止することができる。また、メディアデータ再生装置は、利用者の時間的な都合や通信コスト上の都合などに応じ、複数の段階にわけて、個々の部分データを取得することが可能になる。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記制御部は、上記再生の後、上記圧縮されたメディアデータ、上記再生可能な状態のメディアデータ、および上記受信部が受信した補完データを破棄することが好ましい。
これにより、メディアデータの再生後においても、再現されたメディアデータや、再現に必要な補完データが盗用・複製されることを回避することができるので、メディアデータの保護をより完全なものとすることができる。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記被補完データの合計データサイズは、上記補完データの合計データサイズより大きいことが好ましい。
これにより、利用者の再生指示に応じて、ネットワークから受信する補完データのデータサイズを比較的小さいものとすることができるので、補完データの送受信に関する待ち時間や通信コストを一層抑制することが可能になる。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記受信部は、上記補完データを暗号化された状態で受信することが好ましい。
これにより、利用者の再生指示に応じて、ネットワークから補完データを受信する際に、上記補完データを暗号化された状態で受信するので、ネットワーク上で上記補完データが盗用され、その内容が解読される危険を抑制することができる。
また、上記メディアデータ再生装置は、異常情報を検知する異常検知手段を備え、上記異常検知手段が検知した異常情報に基づいて、上記受信部または/および上記制御部の動作を停止することが好ましい。
ここで、異常情報を検知する異常検知手段とは、メディアデータ再生装置の筐体が突然に開けられたり、内蔵のデバッグ用端子やメモリに対する予定外の電気接続がなされたり、メディア再生装置内で実行するプログラムが不審な挙動を示したりするなどの、メディアデータの不正な盗用・複製に関連する情報を検知する手段のことをいう。
上記の構成により、メディアデータ再生装置から、不審者がメディアデータの不正な盗用・複製を試みた場合には、上記受信部による補完データの受信動作または/および上記制御部によるメディアデータの合成再生動作が停止されるので、メディアデータを不正な盗用・複製から強力に保護することができる。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記メディアデータは、ビット情報で構成されており、上記補完データは、上記ビット情報における特定位置のデータである一方、上記被補完データは、上記メディアデータから上記補完データを除いたデータであることが好ましい。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記メディアデータは経時的データ配列を有しており、上記補完データは、上記経時的データ配列から所定の時間間隔で抽出されたデータである一方、上記被補完データは、上記メディアデータから上記補完データを除いたデータであることが好ましい。
また、上記メディアデータ再生装置において、上記制御部は、上記メディアデータにおける上記補完データと上記被補完データとの割り当て情報を格納したデータテーブルに基づいて、上記被補完データと上記補完データとの合成再生を行うことが好ましい。
これらの構成によれば、任意のメディアデータから生成された上記補完データと上記被補完データとに基づいて、上記メディアデータを適切に再現することができる。また、上記データテーブルの内容を定期/不定期に変更することによって、第三者による楽曲データの不正取得をより困難なものとすることができる。
本発明のメディアデータ配信装置は、上記メディアデータ再生装置からの要求に応じて、上記補完データを上記受信部に送信することを特徴としている。
これにより、メディアデータの強力な保護とネットワーク配信時の利便性とを実現する上記メディアデータ再生装置に対して、適切なメディアデータの配信を実現することができる。
また、上記メディアデータ配信装置は、上記メディアデータ再生装置の利用者を認証した場合にのみ、該メディアデータ再生装置からの要求に応じて、上記補完データを上記受信部に送信することも好ましい。
これにより、正規の利用者のみに補完データが提供されるので、それ以外の者は、上記メディアデータ再生装置を用いたメディアデータの合成再生を実現できないことになり、メディアデータを不正な盗用・複製から強力に保護することができる。
また、上記いずれかのメディアデータ再生装置、メディアデータ再生方法、または上記メディアデータ配信装置の機能は、コンピュータ上で、メディアデータ再生プログラム、またはメディアデータ配信プログラムを実行することによって実現することができる。
さらに、上記メディアデータ再生プログラム、または上記メディアデータ配信プログラムは、それらを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み取って、コンピュータに実行させることができる。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用の可能性】
以上のように、本発明のメディアデータ再送装置および配信装置は、ネットワーク経由で補完データを送受信することにより、メディアデータを安全かつ簡単に、配信および再生することができる。特に、音楽、映画、テレビ番組、コンピュータプログラムなど著作権を保護すべきメディアデータをネットワークで配信および再生することに適している。

【図2】

【図3】


【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアデータの一部を被補完データとして記録する記録部と、
利用者の指示入力を受け付ける指示入力受付部と、
上記指示入力受付部が受け付けた上記メディアデータの再生指示に応じて、上記被補完データを補完する補完データを、ネットワークを介して外部装置から受信する受信部と、
上記記録部に記録された被補完データと、上記受信部が受信した補完データとに基づいて圧縮されたメディアデータを合成し、この圧縮されたメディアデータを、圧縮の逆手順によって伸長して再生可能なメディアデータとしたうえで再生する制御部とを備えることを特徴とするメディアデータ再生装置。
【請求項2】
上記記録部には、記録媒体を通じて、上記被補完データが外部から供給されることを特徴とする請求項1に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項3】
上記被補完データと上記補完データとのうち、少なくとも一方は、複数の部分データから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記再生の後、上記圧縮されたメディアデータ、上記再生可能な状態のメディアデータ、および上記受信部が受信した補完データを破棄することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項5】
上記被補完データの合計データサイズは、上記補完データの合計データサイズより大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項6】
上記受信部は、上記補完データを暗号化された状態で受信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項7】
異常情報を検知する異常検知手段を備え、
上記異常検知手段が検知した異常情報に基づいて、上記受信部または/および上記制御部の動作を停止することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項8】
上記メディアデータは、ビット情報で構成されており、
上記補完データは、上記ビット情報における特定位置のデータである一方、
上記被補完データは、上記メディアデータから上記補完データを除いたデータであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項9】
上記メディアデータは経時的データ配列を有しており、
上記補完データは、上記経時的データ配列から所定の時間間隔で抽出されたデータである一方、
上記被補完データは、上記メディアデータから上記補完データを除いたデータであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項10】
上記制御部は、上記メディアデータにおける上記補完データと上記被補完データとの割り当て情報を格納したデータテーブルに基づいて、上記被補完データと上記補完データとの合成再生を行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置からの要求に応じて、上記補完データを上記受信部に送信することを特徴とするメディアデータ配信装置。
【請求項12】
上記メディアデータ再生装置の利用者を認証した場合にのみ、該メディアデータ再生装置からの要求に応じて、上記補完データを上記受信部に送信することを特徴とする請求項11に記載のメディアデータ配信装置。
【請求項13】
メディアデータの一部を被補完データとして記録する記録段階と、
利用者の指示入力を受け付ける指示入力受付段階と、
上記指示入力受付段階で受け付けた上記メディアデータの再生指示に応じて、上記被補完データを補完する補完データを、ネットワークを介して外部装置から受信する受信段階と、
上記記録段階で記録された被補完データと、上記受信段階で受信した補完データとに基づいて圧縮されたメディアデータを合成し、この圧縮されたメディアデータを、圧縮の逆手順によって伸長して再生可能なメディアデータとしたうえで再生する合成再生段階とを備えることを特徴とするメディアデータ再生方法。
【請求項14】
上記記録段階で記録される上記被補完データは、記録媒体を通じて外部から供給されることを特徴とする請求項13に記載のメディアデータ再生方法。
【請求項15】
コンピュータを、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のメディアデータ再生装置として機能させることを特徴とするメディアデータ再生プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のメディアデータ再生プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
コンピュータを、
請求項11または12に記載のメディアデータ配信装置として機能させることを特徴とするメディアデータ配信プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のメディアデータ配信プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【国際公開番号】WO2004/036914
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【発行日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544990(P2004−544990)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013368
【国際出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】