説明

メディアプレーヤおよびコンテンツID決定方法

【課題】コンテンツのIDが明示的に設定されていないメディアであっても、そのメディアの記録データからIDを決定する。
【解決手段】本発明の実施の一形態であるメディアプレーヤ20は、実行対象のDVDメディア10により提供されるコンテンツについて、DVDメディア10での記録位置を示すアドレスを含むデータを抽出するデータ抽出部34と、コンテンツに関連する情報を保持する外部装置に対してコンテンツを識別するためのIDを通知することにより、そのIDと対応づけられたコンテンツに関連する情報を外部装置から取得するために、上記抽出されたデータにしたがって、コンテンツを識別するためのIDを決定するID決定部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に、メディアプレーヤおよびそのメディアプレーヤにより実行されるコンテンツID決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実行対象のメディアに対応するタイトル情報を、インターネット上のリモートデータベースからダウンロードするメディアプレーヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4195084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メディアのコンテンツの実行にあたり、そのコンテンツに関連する関連情報を、メディアプレーヤが外部の情報提供装置から取得する場合、典型的には、メディアプレーヤはそのコンテンツを識別するためのIDを情報提供装置へ通知する。上記の特許文献1では、メディア内にIDとなるTOCデータがあらかじめ記録されていることを前提としている。しかし、メディアに明示的にIDが記録されていない場合もある。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、コンテンツのIDが明示的に設定されていないメディアであっても、そのメディアの記録データからIDを決定することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のメディアプレーヤは、実行対象のメディアの記録データから、当該メディアにより提供されるコンテンツについて当該メディアでの記録位置を示すアドレスを含むデータを抽出するデータ抽出部と、抽出されたデータにしたがって、提供されるコンテンツを識別するためのIDを決定するID決定部と、メディアのコンテンツに関連する情報を保持する外部装置へIDを通知することにより、IDと対応づけられた提供されるコンテンツに関連する情報を当該外部装置から取得する関連情報取得部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、コンテンツID決定方法である。この方法は、メディアプレーヤにより実行される方法であって、実行対象のメディアの記録データから、当該メディアにより提供されるコンテンツについて当該メディアでの記録位置を示すアドレスを含むデータを抽出するステップと、メディアのコンテンツに関連する情報を保持する外部装置に対して提供されるコンテンツを識別するためのIDを通知することにより、当該IDと対応づけられた提供されるコンテンツに関連する情報を当該外部装置から取得するために、抽出するステップにおいて抽出されたデータにしたがって、提供されるコンテンツのIDを決定するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メディアの記録データから、そのメディアのコンテンツのIDを決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態であるメディア処理システムの構成を示す図である。
【図2】図1のメディアプレーヤの機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1のデータベースサーバの機能構成を示すブロック図である。
【図4】キーテーブルの構成を模式的に示す図である。
【図5】関連情報テーブルの構成を模式的に示す図である。
【図6】図1のメディアプレーヤの動作を示すフローチャートである。
【図7】図6のS12の動作を詳細に示すフローチャートである。
【図8】図1のデータベースサーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を説明する前に、まず概要を説明する。
メディアの記録データを読み込んで、映像や音楽等のコンテンツをユーザに提供するメディアプレーヤの中には、外部のデータベースサーバからコンテンツに関連する情報を取得し、コンテンツの提供にあわせてその関連情報をユーザに提供するものがある。例えば、CDメディアの実行に際して、各楽曲のタイトル名や演奏時間等の関連情報を外部のデータベースサーバから取得して表示するCDプレーヤがある。
【0012】
DVDメディアやBDメディアには、1つのメディア内に多数のタイトル・チャプタ・メニュー等、コンテンツの様々な属性情報(以下、「属性オブジェクト」とも呼ぶ。)
が存在する。メディアプレーヤが属性オブジェクトごとの関連情報を取得すべき場合、メディアプレーヤが取得すべき関連情報は、全体として膨大な数、データ量となる。また、メディアプレーヤの多機能化に伴い、メディアプレーヤは、あるコンテンツの実行に際して様々な関連情報を外部から取得してユーザに提供する必要がある。
【0013】
このように、メディアプレーヤが外部から取得すべき関連情報量が増大している中、コンテンツの実行に際して一度に関連情報を取得する方式は、ネットワークおよびメディアプレーヤの多くの資源が占有されることとなり好ましい方式ではない。本実施の形態では、コンテンツの実行に際して全体として膨大な量の関連情報を取得すべきメディアプレーヤにおける情報取得技術と、そのメディアプレーヤに対する情報提供技術とを提案する。
【0014】
本実施の形態のメディアプレーヤは、コンテンツの処理に際して、コンテンツのデータに基づいてコンテンツを識別するためのID(以下、「コンテンツID」とも呼ぶ。)を生成する。そして、そのコンテンツIDをもとに、コンテンツの関連情報にアクセスするためのキー情報(以下、「コンテンツキー」とも呼ぶ。)をあらかじめデータベースサーバから取得する。その後、コンテンツの実行状況やユーザ操作等に応じてコンテンツの関連情報が必要になった場合、その都度、コンテンツキーをもとに必要な関連情報をデータベースサーバから取得する。
【0015】
これにより、コンテンツの関連情報が全体として膨大なデータ量であっても、ある時点で必要とされる関連情報のみをメディアプレーヤが逐次取得することになるため、ネットワークおよびメディアプレーヤにおけるリソース占有量を低減できる。
【0016】
なおコンテンツキーは、データベースサーバに適した形式、言い換えればデータベースサーバにインストールされたDBMS(DataBase Management System)ソフトウェアに対し最適化されたデータである。本実施の形態では4バイトのデータである。その一方で、コンテンツIDは、メディア依存の形式であり、メディアの記録データ、すなわちコンテンツのデータに基づいて決定されるデータである。本実施の形態では、60バイトのデータである。すなわち、コンテンツIDはデータベースサーバに適した形式ではなく、メディアプレーヤはデータベースサーバに適した形式のコンテンツキーを取得して、関連情報の取得においてはコンテンツキーを使用する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態であるメディア処理システムの構成を示す。メディア処理システム100は、メディアプレーヤ20と、データベースサーバ50と、通販サイトサーバ70と、オンライン事典サーバ72とを備える。これらの装置は、LAN/WAN/インターネット等、公知の通信手段を含む通信網14を介して相互に接続される。
【0018】
DVDメディア10は、DVD−video規格のメディアであり、MPEG−2で圧縮された映像データが記録される。メディアプレーヤ20は、DVDメディア10に記録された映像データを読み込んで、その映像データの内容(以下、「コンテンツ」とも呼ぶ。)を伸長・再生し(以下、単に「実行する」とも呼ぶ。)、実行結果をディスプレイ12へ表示させる。また、タイトル・チャプタ・メニュー等の選択や、再生の実行・停止等の様々な操作をユーザから受け付け、その操作に応じた処理を実行する。なお、メディアプレーヤ20は、DVDメディアだけでなく、CDメディア、BDメディア等、様々な記録メディアを読み込んで、そのコンテンツを実行してもよい。
【0019】
データベースサーバ50、通販サイトサーバ70、およびオンライン事典サーバ72は、メディアプレーヤ20において実行されるコンテンツについて、その関連情報をメディアプレーヤ20へ提供する。データベースサーバ50は、メディアプレーヤ20で実行されうるコンテンツの関連情報を保持する。本実施の形態では、コンテンツの関連情報として、コンテンツに含まれる各タイトルの情報と各タイトルのチャプタの情報とを、自身に最適なコンテンツキーと対応づけて保持することとする。
【0020】
通販サイトサーバ70は、様々なコンテンツの通信販売サービスを提供するウェブサイトのデータベースサーバである。本実施の形態では、コンテンツの関連情報として、そのコンテンツの視聴者に購入を勧める他商品の情報を、自身に最適なコンテンツキーと対応づけて保持することとする。オンライン事典サーバ72は、オンラインでの百科事典サービスを提供するウェブサイトのデータベースサーバである。本実施の形態では、コンテンツの関連情報として、そのコンテンツに出演する出演者の情報を、自身に最適なコンテンツキーと対応づけて保持することとする。
【0021】
図2は、図1のメディアプレーヤ20の機能構成を示すブロック図である。本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、各機能ブロックは、その一部がソフトウェアとしてメディアプレーヤ20のメモリに保持されてプロセッサにより実行されてもよく、別の一部がハードウェアとして電子回路に実装されてもよい。
【0022】
メディアプレーヤ20は、メディア読込部22と、操作検出部24と、コンテンツ実行部26と、表示制御部28と、ID取得部30と、ID通知部38と、キー取得部40と、キー保持部42と、取得要求発行部44と、関連情報取得部46とを有する。キー保持部42は、データベースサーバ50、通販サイトサーバ70、オンライン事典サーバ72からコンテンツの関連情報を取得するためのコンテンツキーを記憶する記憶領域である。
【0023】
メディア読込部22は、DVDメディア10に記録された映像データをメディアプレーヤ20のメモリに読み込む。操作検出部24は、図示しない入力装置を介して、コンテンツの実行に対するユーザの操作を検出する。表示制御部28は、コンテンツ実行部26におけるコンテンツの実行結果をディスプレイ12へ表示させる。なお、コンテンツの実行結果を表示させる際には、外部から取得されたコンテンツの関連情報も適宜表示させる。
【0024】
コンテンツ実行部26は、読み込まれた映像データに対する伸長処理、再生処理を実行することにより、DVDメディア10のコンテンツを実行する。また、操作検出部24で検出されたユーザの操作にしたがって、DVDメディア10のコンテンツを実行する。さらに、コンテンツ実行部26は、コンテンツの実行中にそのコンテンツの関連情報が必要になった場合、必要な関連情報の取得を取得要求発行部44へ依頼し、取得された関連情報を関連情報取得部46から受け付ける。言い換えれば、コンテンツの関連情報を一度にまとめて取得するのではなく、コンテンツの実行に際して必要になった関連情報だけを逐次取得する。
【0025】
ID取得部30は、DVDメディア10の記録データにしたがって決定された、DVDメディア10のコンテンツIDを取得する。ID取得部30は、ファイル検出部32と、データ抽出部34と、ID決定部36とを含む。
【0026】
ファイル検出部32は、DVDメディア10に記録されたデータファイルの中から、DVDメディア10全体の挙動を制御するための「VIDEO_TS.IFO」と、複数のタイトルセットそれぞれの挙動を制御するための「VTS_xx_0.IFO」(xxは0パディングされた自然数)とを検出する。本実施の形態では、「VTS_xx_0.IFO」として、最初のタイトルセットを制御するための「VTS_01_0.IFO」と、最後のタイトルセットを制御するための「VTS_yy_0.IFO」(yyは最後のタイトルセットの番号)との2ファイルを検出する。以下、「VIDEO_TS.IFO」と「VTS_xx_0.IFO」とを総称する場合、「DVD制御ファイル」と呼ぶこととする。
【0027】
データ抽出部34は、ファイル検出部32において検出されたDVD制御ファイルのそれぞれから、各ファイルのデータの一部であり、各ファイルの先頭から予め定められた長さのデータを変換対象データとして抽出する。
【0028】
「VIDEO_TS.IFO」から抽出される変換対象データの長さは、DVDメディア10のコンテンツの複数の属性情報、具体的には複数のタイトルセットそれぞれの、DVDメディア10における記録位置を示す情報(以下、「アドレス」とも呼ぶ)を含むよう決定される。すなわち、「VIDEO_TS.IFO」から抽出される変換対象データには、TT_SRPT(TABLE OF TITLES)、VMGM_PGCI_UT(MENU PROGRAM CHAIN TABLE)、VMGM_C_ADT(MENU CELL ADDRESS TABLE)、VMGM_VOBU_ADMAP(MENU VOBU ADDRESS MAP)等として記録された各種アドレスが含まれる。
【0029】
また「VTS_xx_0.IFO」から抽出される変換対象データの長さは、タイトルセットの複数の属性情報、例えばメニューや映像データそれぞれの、DVDメディア10におけるアドレスを含むよう決定される。すなわち、「VTS_xx_0.IFO」から抽出される変換対象データには、VTS_TMAPT(TIME MAP TABLE)、VTSM_C_ADT(MENU CELL ADDRESS TABLE)、VTSM_VOBU_ADMAP(MENU_VIDEO_OBJECT_UNIT_ADDRESS_MAP)、VTS_C_ADT(CELL_ADDRESS_TABLE)、VTS_VOBU_ADMAP(VIDEO_OBJECT_UNIT_ADDRESS_MAP)等として記録された各種アドレスが含まれる。
【0030】
ID決定部36は、各DVD制御ファイルから抽出された変換対象データを所定のハッシュ関数に入力し、固定長のハッシュ値を取得して、各変換対象データのハッシュ値を結合したデータをコンテンツIDとして決定する。具体的には、ID決定部36は、3つのDVD制御ファイルそれぞれの変換対象データをSHA(Secure Hash Algorithm)−1関数に入力し、各々の変換対象データに対して20バイトのハッシュ値を取得する。そして、3つの変換対象データそれぞれのハッシュ値を文字列として連結した60バイトのデータをコンテンツIDとして決定する。
【0031】
ここで、ID取得部30において、DVDメディア10のコンテンツを一意に識別可能なIDが決定される理由を説明する。MPEG−2に代表される動画圧縮アルゴリズムは、フレーム間予測や動きベクトルを使用した動き補償によって圧縮効率を高めている。これにより、あるコンテンツの圧縮データと、そのコンテンツとは内容が異なるコンテンツの圧縮データとは、互いに異なるデータサイズとなる。すなわち、記録メディア内でのコンテンツの記録位置は、コンテンツが異なれば変化することになる。
【0032】
したがって、「VIDEO_TS.IFO」に記録されたアドレスは高確率でコンテンツごとに異なるものとなる。すなわち、「VIDEO_TS.IFO」から抽出された変換対象データを反映したIDとすることで、高い確率でIDの一意性を担保できる。さらに、「VTS_xx_0.IFO」に記録されたアドレスはタイトルセットの属性情報に関する詳細なアドレスであるため、「VTS_xx_0.IFO」から抽出された変換対象データを反映したIDとすることで、さらに高い確率でIDの一意性を担保できる。このように、ID取得部30は、コンテンツに関する複数の属性情報それぞれのアドレスを反映したIDを決定することにより、そのIDの一意性を高めている。
【0033】
また、ID取得部30の構成によれば、類似したコンテンツが記録されたDVDメディア、例えば同タイトルの通常版映像と特別版映像とがそれぞれ記録されたDVDメディアであっても、互いに異なるコンテンツIDが決定される。言い換えれば、ある映像コンテンツについて、その改変前と改変後とでは互いに異なるコンテンツIDが決定される。
【0034】
特別版映像は、典型的には、通常版映像のコンテンツの一部が改変されたものである。このような通常版映像と特別版映像との差異は、「VIDEO_TS.IFO」に記録された各タイトルセットのアドレス、また、「VTS_xx_0.IFO」に記録された各属性情報のアドレスに反映されることになる。コンテンツの一部改変が行われた場合、その改変されたタイトルセット以降のタイトルセットのアドレスは改変前とは異なるものになり、また、「VTS_yy_0.IFO」に記録された属性情報のアドレスも改変前とは異なるものとなる。例えばコンテンツに情報が追加された場合、改変前と比較して改変後は、アドレスすなわちメディアでの記録位置が後ろにずれることになる。したがって、ID取得部30は、特別版映像に対して、通常版映像のコンテンツIDとは異なるコンテンツIDを決定する。
【0035】
なお、ID取得部30は、DVDメディアに代えて、CDメディア・BDメディア等、他の記録メディアが読み込まれた際にも、そのコンテンツのアドレスにしたがってコンテンツIDを決定してよい。また、実行対象の記録メディアにあらかじめコンテンツの識別情報が設定されている場合には、その識別情報をコンテンツIDとして取得してもよい。
【0036】
ID通知部38は、メディア読込部22において読み込まれたメディアの種類(例えばCD、DVD、BD等)を示す情報と、ID取得部30において取得されたコンテンツIDをデータベースサーバ50へ通知する。キー取得部40は、その通知内容、すなわちメディアの種類およびコンテンツIDに対応するコンテンツキーをデータベースサーバ50から取得してキー保持部42へ記録する。
【0037】
取得要求発行部44は、コンテンツの関連情報を取得すべき旨の依頼をコンテンツ実行部26から受け付けると、関連情報の取得要求をデータベースサーバ50、通販サイトサーバ70、またはオンライン事典サーバ72へ送信する。この取得要求では、キー保持部42に記憶されたコンテンツキーと、コンテンツの関連情報のうちこの取得要求にて取得対象となる関連情報を指定するための情報(以下、「取得対象指定情報」とも呼ぶ。)とが対応づけられる。
【0038】
関連情報取得部46は、関連情報の取得要求に対する応答として、取得対象指定情報で指定した関連情報をデータベースサーバ50、通販サイトサーバ70、またはオンライン事典サーバ72から受信してコンテンツ実行部26へ通知する。なお関連情報として、必要な関連情報そのものではなく、他コンテンツのコンテンツキーおよび取得要求の送信先情報を受信した場合、そのコンテンツキーをキー保持部42へ記憶させる。その後、取得要求発行部44は、他コンテンツのコンテンツキーを含む関連情報取得要求を、送信先情報で指定された外部装置へ送信することにより、関連情報取得部46は必要な関連情報を取得する。
【0039】
図3は、図1のデータベースサーバ50の機能構成を示すブロック図である。データベースサーバ50は、キー保持部52と、関連情報保持部54と、ID受付部56と、キー提供部58と、取得要求受付部60と、関連情報提供部62とを有する。
【0040】
キー保持部52は、メディアプレーヤ20において実行されうる記録メディアのコンテンツについて、そのコンテンツIDとコンテンツキーとを対応づけたキーテーブルを記憶する記憶領域である。キー保持部52は、記録メディアの種類、例えばCD、DVD、BDごとにキーテーブルを保持する。これにより、メディアプレーヤ20において実行されうる様々な記録メディアに対応したコンテンツキーの提供を実現する。
【0041】
図4は、キーテーブルの構成を模式的に示す。同図のキーテーブルでは、60バイトのコンテンツIDと、4バイトのコンテンツキーとを対応づけられている。第1コンテンツに関するレコードであるキーレコード80aと、第1コンテンツとは異なる第2コンテンツに関するレコードであるキーレコード80bとについては後述する。図3に戻る。
【0042】
関連情報保持部54は、コンテンツの関連情報をそのコンテンツキーと対応づけた関連情報テーブルを記憶する記憶領域である。図5は、関連情報テーブルの構成を模式的に示す。タイトル情報欄には、コンテンツに含まれるタイトルの情報が記録される。チャプタ情報欄には、各タイトルに含まれるチャプタの情報が記録される。なお、図5の「実データ」とは、コンテンツキーではなく、タイトル情報、チャプタ情報そのものが記録されることを示している。
【0043】
図5のシリーズ作品欄には、コンテンツのシリーズ作品である別コンテンツのコンテンツキーが記録される。おすすめ作品欄には、通販サイトサーバ70に記録された当該コンテンツの関連情報、例えば当該コンテンツの視聴者に購入をすすめるべき他コンテンツについて、そのコンテンツキーが記録される。出演者情報欄には、オンライン事典サーバ72に記録された当該コンテンツの関連情報、例えば当該コンテンツに出演している出演者の情報について、そのコンテンツキーが記録される。第1コンテンツに関するレコードである関連情報レコード82aと、第2コンテンツに関するレコードである関連情報レコード82bとについては後述する。図3に戻る。
【0044】
ID受付部56は、メディアプレーヤ20において実行されるメディアの種類を示す情報と、そのメディアのコンテンツIDの通知をメディアプレーヤ20から受け付ける。キー提供部58は、通知されたメディアの種類に対応したキーテーブルを参照して、通知されたコンテンツIDに対応するコンテンツキーをメディアプレーヤ20へ送信する。
【0045】
取得要求受付部60は、メディアプレーヤ20において実行されているコンテンツ(以下、「当該コンテンツ」とも呼ぶ。)について、その関連情報の取得要求をメディアプレーヤ20から受け付ける。関連情報提供部62は、関連情報テーブルを参照して、コンテンツキーに対応づけられた当該コンテンツの関連情報のうち、取得対象指定情報で指定された関連情報をメディアプレーヤ20へ送信する。
【0046】
ここで、取得対象指定情報で指定された関連情報が、他コンテンツの関連情報である場合の処理を説明する。この「他コンテンツ」は、当該コンテンツとは異なるコンテンツを含み、また当該コンテンツと同じコンテンツであってもデータベースサーバ50以外の通販サイトサーバ70またはオンライン事典サーバ72において関連情報の実データが保持されているコンテンツを含む。この場合、関連情報提供部62は、当該コンテンツの関連情報として、他コンテンツのコンテンツキーと、取得要求の送信先情報(例えば、データベースサーバ50、通販サイトサーバ70、オンライン事典サーバ72のホスト名やIPアドレス)をメディアプレーヤ20へ送信する。これにより、メディアプレーヤ20に、他コンテンツのコンテンツキーを使用した関連情報取得要求を、他コンテンツの関連情報の保持装置へ発行させる。
【0047】
以上の構成による動作を以下説明する。
図6は、図1のメディアプレーヤ20の動作を示すフローチャートである。メディア読込部22は、実行対象のDVDメディア10から記録データの読み込みを開始する(S10)。ID取得部30は、後述するコンテンツID取得処理を実行して、DVDメディア10のコンテンツIDを取得する(S12)。ID通知部38は、実行対象のメディアの種類を示す情報とコンテンツIDとをデータベースサーバ50へ送信する。キー取得部40は、送信内容に対応するコンテンツキーをデータベースサーバ50から受信してキー保持部42に記憶させる(S14)。
【0048】
コンテンツ実行部26は、メディア読込部22において読み込まれたDVDメディア10の記録データと、操作検出部24において検出されたユーザ操作にしたがって、DVDメディア10のコンテンツ(当該コンテンツ)を実行する(S16)。当該コンテンツの実行中に、その関連情報が必要になった際(S18のY)、取得要求発行部44は、DVDメディア10のコンテンツキーを含む、必要となった関連情報の取得要求をデータベースサーバ50へ送信する。関連情報取得部46は、取得要求への応答として、必要となった関連情報をデータベースサーバ50から受信してコンテンツ実行部26へ送出する(S20)。
【0049】
当該コンテンツの関連情報ではなく(S18のN)、他コンテンツの関連情報が必要になった場合(S22のY)、取得要求発行部44は、DVDメディア10のコンテンツキーを含む、必要となった他コンテンツの関連情報の取得要求をデータベースサーバ50へ送信する。関連情報取得部46は、他コンテンツのコンテンツキーをデータベースサーバ50から受信してキー保持部42に記憶させる(S24)。続いて取得要求発行部44は、他コンテンツのコンテンツキーを含む、必要となった他コンテンツの関連情報の取得要求を、他コンテンツの関連情報を保持する外部装置へ送信する。関連情報取得部46は、他コンテンツの関連情報の実データをその外部装置から受信してコンテンツ実行部26へ送出する(S26)。
【0050】
当該コンテンツの関連情報も、他コンテンツの関連情報も必要なければ(S22のN)、S24、S26はスキップされる。表示制御部28は、関連情報取得部46において取得されたコンテンツの関連情報を含む、コンテンツ実行部26におけるコンテンツの実行結果をディスプレイ12へ表示させる(S28)。DVDメディア10の読み込みを終了する場合は(S30のY)、本フローの処理を終了し、読み込みを継続する場合は(S30のN)、S16に戻る。
【0051】
図7は、図6のS12の動作を詳細に示すフローチャートである。ファイル検出部32は、DVDメディア10に記録されたファイルのうち、ビデオマネージャのIFOファイル、および、先頭・最後のタイトルセットのIFOファイル、すなわち3つのDVD制御ファイルを検出する(S40)。データ抽出部34は、3つのDVD制御ファイルのそれぞれから変換対象データ、すなわちファイルの先頭から予め定められた長さのデータを取得する(S42)。ID決定部36は、変換対象データのそれぞれをSHA−1関数に入力して、変換対象データのそれぞれに対応するハッシュ値を取得する(S44)。そして、3つのハッシュ値を結合したデータをコンテンツIDとして決定する(S46)。
【0052】
図8は、図1のデータベースサーバ50の動作を示すフローチャートである。ID受付部56が、メディアの種類とコンテンツIDとの通知をメディアプレーヤ20から受信すると(S50のY)、キー提供部58は、そのメディアの種類に対応するキーテーブルを参照して、コンテンツIDに対応するコンテンツキーをメディアプレーヤ20へ送信する(S52)。コンテンツIDの通知を受信しない場合(S50のN)、S52はスキップされる。
【0053】
取得要求受付部60が関連情報の取得要求をメディアプレーヤ20から受信し(S54のY)、その取得要求が他コンテンツの関連情報を指定するものである場合(S56のY)、関連情報提供部62は、当該コンテンツの関連情報として他コンテンツのコンテンツキーをメディアプレーヤ20へ送信する(S58)。その取得要求が当該コンテンツの関連情報を指定するものである場合(S56のN)、関連情報提供部62は、当該コンテンツの関連情報の実データをメディアプレーヤ20へ送信する(S60)。関連情報の取得要求が受信されなければ(S54のN)、S56〜S60はスキップされる。
【0054】
次に、図4および図5を参照して、メディアプレーヤ20の動作をさらに説明する。メディアプレーヤ20は、第1コンテンツを実行する際、キーレコード80aのコンテンツIDをデータベースサーバ50へ通知して、キーレコード80aのコンテンツキーを取得する。メディアプレーヤ20は、第1コンテンツの実行中にタイトル情報・チャプタ情報の表示が必要になった場合、そのコンテンツキーを使用して、関連情報レコード82aのタイトル情報・チャプタ情報を逐次取得する。また、第1コンテンツのシリーズ作品の情報が必要になった場合、関連情報レコード82aのシリーズ作品欄に記録されたコンテンツキーを一旦取得し、そのコンテンツキーを使用して、関連情報レコード82bに記録されたデータを取得する。
【0055】
また、第1コンテンツのおすすめ作品が必要になった場合、関連情報レコード82aのおすすめ作品欄に記録されたコンテンツキーを一旦取得し、そのコンテンツキーを使用して、通販サイトサーバ70からおすすめ作品の情報を取得する。同様に、第1コンテンツの出演者情報が必要になった場合、関連情報レコード82aの出演者情報欄に記録されたコンテンツキーを一旦取得し、そのコンテンツキーを使用して、オンライン事典サーバ72から出演者情報を取得する。なお、コンテンツの関連情報の取得契機は、メディアプレーヤ20におけるコンテンツ実行状態に基づき自動で決定されてもよく、明示的なユーザ操作に応じて決定されてもよい。
【0056】
本実施の形態のメディアプレーヤ20によれば、実行対象のコンテンツの関連情報が全体としては膨大な情報量であっても、そのコンテンツの関連情報にアクセスするためのコンテンツキーのみをあらかじめ取得し、コンテンツの実行中に必要になった時点で必要になった関連情報だけを取得する。これにより、通信網14およびメディアプレーヤ20の資源占有量を低減できる。言い換えれば、コンテンツの関連情報ではあっても、実行に際して不要な関連情報は取得しないため、効率的な資源利用が実現される。
【0057】
また、メディアプレーヤ20によれば、記録メディアのコンテンツのアドレス情報に基づいてコンテンツIDが決定される。記録メディアのタイトル数や、ビデオ・オーディオのストリーム情報、例えばコーデック情報・ストリーム本数・言語情報等は異なるコンテンツであっても重複しやすい。また、総再生時間や各チャプタ時間は重複はしにくいが、完全にユニークにはなりにくい。これらに対して、少なくとも一部が異なる複数のコンテンツのそれぞれは、既述したように、異なるアドレス情報を有するため、メディアプレーヤ20によればコンテンツを一意に識別可能なコンテンツIDが決定される。
【0058】
このようにコンテンツを一意に識別可能なIDが決定されることにより、コンテンツごとに異なる、コンテンツの実行に際して必要となる関連情報を取得可能となる。さらに、ID決定ロジックが複雑でなく、容易に実装可能であり、かつ、迅速なID決定処理が実現される。さらにまた、ハッシュ関数を使用して固定長のコンテンツIDを決定するため、そのコンテンツIDを保持するために必要なデータ容量があらかじめ特定され、メディアプレーヤ20およびデータベースサーバ50の実装が容易となる。
【0059】
本実施の形態のデータベースサーバ50によれば、メディアプレーヤ20で実行対象となる記録メディアの種類ごとにキーテーブルを保持するため、メディアプレーヤ20で実行されうる様々な種類の記録メディアに対応可能となる。また、関連情報テーブルにおいて関連情報は、記憶メディアに依存した形式のコンテンツIDではなく、データベースサーバ50に適した形式のコンテンツキーと対応づけられるため、関連情報の効率的な保持、および、関連情報への効率的なアクセスが実現される。
【0060】
また、データベースサーバ50においては、当該コンテンツの関連情報として、他コンテンツのコンテンツキーを保持するため、メディアプレーヤ20は、ネットワーク上の様々な情報提供装置からコンテンツの実行に際し必要となる関連情報を収集できる。さらに、関連情報の実データは、その関連情報の保持装置のみが保持するため、重複した情報管理および情報の不整合の発生を回避できる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0062】
上記実施の形態では、変換対象データを抽出する対象となる「VTS_xx_0.IFO」として、最初のタイトルセットを制御するための「VTS_01_0.IFO」と、最後のタイトルセットを制御するための「VTS_yy_0.IFO」とを検出した。変形例では、それらに加えて、他のタイトルセット制御するDVD制御ファイルについても変換対象データを抽出する対象としてもよい。なお、変換対象データを抽出する対象ファイル数が多いほど、DVDメディア10のIDの一意性が高まるが、ID生成処理に要する時間等のコストも増大することになる。したがって、IDの一意性とID生成処理コストとを比較考量して、変換対象データを抽出する対象ファイル数が決定されることが望ましい。
【0063】
メディアプレーヤ20は、記録メディアを処理するための専用装置であってもよく、PCやゲーム機等、記録メディア読み込み機能を備えた各種情報処理装置であってもよい。また、コンテンツキーは、URL(Uniform Resource Locator)等、ネットワーク上の情報リソースを識別するためのURI(Uniform Resource Identifier)であってもよい。
【0064】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0065】
20 メディアプレーヤ、 22 メディア読込部、 24 操作検出部、 26 コンテンツ実行部、 28 表示制御部、 30 ID取得部、 32 ファイル検出部、 34 データ抽出部、 36 ID決定部、 38 ID通知部、 40 キー取得部、 42 キー保持部、 44 取得要求発行部、 46 関連情報取得部、 50 データベースサーバ、 52 キー保持部、 54 関連情報保持部、 56 ID受付部、 58 キー提供部、 60 取得要求受付部、 62 関連情報提供部、 100 メディア処理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行対象のメディアの記録データから、当該メディアにより提供されるコンテンツについて当該メディアでの記録位置を示すアドレスを含むデータを抽出するデータ抽出部と、
抽出されたデータにしたがって、前記提供されるコンテンツを識別するためのIDを決定するID決定部と、
メディアのコンテンツに関連する情報を保持する外部装置へ前記IDを通知することにより、前記IDと対応づけられた前記提供されるコンテンツに関連する情報を当該外部装置から取得する関連情報取得部と、
を備えることを特徴とするメディアプレーヤ。
【請求項2】
前記データ抽出部は、前記コンテンツに関する複数の属性情報それぞれのアドレスを含むデータを抽出し、
前記ID決定部は、前記複数の属性情報それぞれのアドレスを反映させて前記コンテンツのIDを決定することを特徴とする請求項1に記載のメディアプレーヤ。
【請求項3】
前記データ抽出部は、前記コンテンツに関する属性情報であって、前記コンテンツの改変に伴って前記メディアでの記録位置が変化する属性情報のアドレスを含むデータを抽出し、
前記ID決定部は、前記記録位置が変化する属性情報のアドレスを反映させて前記コンテンツのIDを決定することにより、前記コンテンツの少なくとも一部が改変された場合、改変後のコンテンツのIDとして、改変前とは異なるIDを決定することを特徴とする請求項1または2に記載のメディアプレーヤ。
【請求項4】
前記ID決定部は、前記抽出されたデータを所定のハッシュ関数に入力して得られる固定長のハッシュ値を、前記IDとして決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメディアプレーヤ。
【請求項5】
前記実行対象のメディアは、DVDメディアであり、
前記データ抽出部は、DVDメディアに記録された当該DVDメディアの挙動を制御するためのファイルから、当該DVDメディアにより提供されるコンテンツのアドレスを含むデータを抽出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のメディアプレーヤ。
【請求項6】
前記データ抽出部は、前記制御するためのファイルとして、DVDメディア全体の挙動を制御するためのファイルと、ビデオタイトルセットに関する挙動を制御するためのファイルとの両方から、前記アドレスを含むデータを抽出することを特徴とする請求項5に記載のメディアプレーヤ。
【請求項7】
前記データ抽出部は、前記制御するためのファイルの先頭から、前記アドレスを含む、あらかじめ定められた長さのデータを抽出することを特徴とする請求項5または6に記載のメディアプレーヤ。
【請求項8】
メディアプレーヤにより実行される方法であって、
実行対象のメディアの記録データから、当該メディアにより提供されるコンテンツについて当該メディアでの記録位置を示すアドレスを含むデータを抽出するステップと、
メディアのコンテンツに関連する情報を保持する外部装置に対して前記提供されるコンテンツを識別するためのIDを通知することにより、当該IDと対応づけられた前記提供されるコンテンツに関連する情報を当該外部装置から取得するために、前記抽出するステップにおいて抽出されたデータにしたがって、前記提供されるコンテンツのIDを決定するステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツID決定方法。
【請求項9】
メディアプレーヤに、
実行対象のメディアの記録データから、当該メディアにより提供されるコンテンツについて当該メディアでの記録位置を示すアドレスを含むデータを抽出する機能と、
抽出されたデータにしたがって、前記提供されるコンテンツを識別するためのIDを決定する機能と、
メディアのコンテンツに関連する情報を保持する外部装置へ前記IDを通知することにより、前記IDと対応づけられた前記提供されるコンテンツに関連する情報を当該外部装置から取得する機能と、
を実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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