説明

メニュー選択方法及び情報処理装置

【課題】階層構造のメニュー選択方法に係わり、ユーザの操作性を向上することで、時間短縮及び操作ミス削減等を実現できることである。
【解決手段】本階層メニュー選択方法においては、ユーザの操作によるメニュー及び項目の選択により実行されたコマンドの履歴をメニューに表示内容として取り込む第1の処理ステップと、更新されたメニュー(第1メニュー210の連続実行項目202、第2メニュー220)から、ユーザの操作により、再度実行する複数のコマンドの範囲(範囲206)を選択させる第2の処理ステップと、選択された複数のコマンド(コマンド240)の処理を順に連続して実行する第3の処理ステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAD端末やワードプロセッサのような情報処理装置及びコンピュータプログラムにおける階層構造メニュー選択方法に関し、特に、ユーザの操作により階層構造のメニュー(階層メニュー)から順次選択して目的の一連の処理・作業を実行する場合に好適なメニュー選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CAD端末やワードプロセッサのような情報処理装置において、システムの多機能化に伴って多数のメニューの表示選択を可能とするために、階層メニューの表示方式(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)が採用されている。この階層メニューの表示・選択の場合、次のようにして行われることが一般的である(図2)。
【0003】
即ち、まず画面に表示される第1階層メニューの中から、ユーザがマウスのクリック等の操作により、所望の項目(メニュー項目)を選択する。すると、この選択された項目に対応付けられるサブメニューである第2階層メニューが画面に表示される。同様に、この第2階層メニューの中から、ユーザの操作により、所望の項目を選択すると、更にそのサブメニューである第3階層メニューが画面に表示される。例えばこの第3階層メニューの中に、ユーザの最終的な目的(実行対象)とする動作等に対応付けられる項目が含まれているものとする。この目的の項目に関しては、当該第3階層メニューが最終階層となる。そして、ユーザの操作により、上記最終階層である第3階層メニューの中の目的の項目が選択される。これによって初めて、ユーザの目的の動作等が実現できる。目的の動作等とは、階層メニューにおける一連のメニュー及び項目の選択、特にその最終階層のメニューの項目の選択により特定されるコマンド(命令)の実行、即ちそのコマンドに対応付けられる所定の処理(コマンド処理)の実行のことである。
【0004】
階層メニュー選択方法について、例えば特許第3463331号(特許文献1)に記載されている。この技術によれば、一度実行された同一コマンドを、メニューからの選択回数を減らして、再度実行することができる。
【特許文献1】特許第3463331号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CAD端末やワードプロセッサのような情報処理装置においてユーザの操作性の向上は重要課題である。前述のメニュー選択方法において、メニューの階層構造は、多階層に及ぶ場合がよくある。また、現在一般的にはメニュー及び項目の数が増加傾向にある。ユーザが最終階層のメニュー及び項目に到達して目的のコマンドを実行するまでには、前述のように階層を辿って選択する一連の操作が必要である。従って、ユーザの操作が煩雑で時間がかかってしまう傾向がある。
【0006】
また、単一のコマンドの実行の操作だけでなく、更に、複数のコマンドを組み合わせて作業を行う場合がよくある。この場合、多数の種類、多数の回数のコマンドが実行されることになるので、ユーザ操作が更に煩雑になり時間がかかる。例えば、CAD等の画面において、四角形を描画し(第1のコマンド)、面取りし(第2のコマンド)、色の変更を行い(第3のコマンド)、寸法線を引き(第4のコマンド)、属性の設定をする(第5のコマンド)といったように、一連の複数のコマンド(処理)の組み合わせからなる作業がある。また更に、上記一連の作業を同様に複数回繰り返す場合もよくある。その場合、更に大きな手間がかかる。
【0007】
また、上記のようなユーザ操作の途中で誤選択などの操作ミスの恐れもある。この場合、操作のやり直しのために手間がかかる。上記複数のコマンドの組み合わせを使用して作業を繰り返すような場合は、なおさら手間がかかる。
【0008】
また、前述の従来技術例(特許文献1)では、コマンド(メニュー項目)単位での再実行の機能であり、上記のように複数のコマンドを組み合わせて作業を行う場合には、複数回の操作が必要になるので、煩雑等を改善する効果はあまり得られない。
【0009】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、階層構造のメニュー選択方法に係わり、ユーザの操作性を向上することで、時間短縮及び操作ミス削減等を実現できることである。特に、複数のコマンドを組み合わせて作業を行う場合でもユーザの操作性を向上できることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。前記目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において階層構造のメニューを画面に表示し当該メニューからユーザの操作により選択される項目に応じて処理を行うメニュー選択方法の技術であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。また、本情報処理装置(またはコンピュータプログラム等)は、本メニュー選択方法に対応する処理機能を備える。階層構造のメニューは、上位階層のメニューの項目ごとに下位階層のメニューまたは所定のコマンドが対応付けられ、ユーザの操作によるメニュー及び項目の選択により当該ユーザの最終目的(実行対象)となるコマンド(処理)が実行される構造である。
【0011】
(1) 本メニュー選択方法の構成では、ユーザの操作によるメニュー及び項目(特に最終目的のメニュー項目)の選択により実行された一連の複数のコマンド(それに対応付けられる項目)の履歴を、メニューに表示内容(例えば専用のメニュー項目)として取り込み(反映)する第1の処理ステップを有する。そして、第1の処理ステップ(取り込み)により更新されたメニューから、ユーザの操作により、再度実行する一連の複数のコマンド(それに対応付けられる項目)の範囲等を選択させる第2の処理ステップを有する。そして、第2の処理ステップにより選択された複数のコマンドの処理を、順に連続して実行(再実行)する第3の処理ステップを有する。
【0012】
(2) 更に、本メニュー選択方法の構成では、上記(1)により実行した一連の複数のコマンド(項目)を、繰り返し実行する場合のために、当該複数のコマンドに関する情報(履歴または単に専用の項目など)を、メニューに表示内容として取り込みする第4の処理ステップを有する。そして、第4の処理ステップにより更新された表示内容を含むメニューから、ユーザの操作により、繰り返し実行する場合の複数のコマンドの情報を単一の選択操作などによって選択させる第5の処理ステップを有する。そして、第5の処理ステップにより選択された複数のコマンドの処理を、順に連続して実行する第6の処理ステップを有する。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。本発明によれば、階層構造のメニュー選択方法に係わり、ユーザの操作性を向上することで、時間短縮及び操作ミス削減等を実現できる。特に、複数のコマンドを組み合わせて作業を行う場合でもユーザの操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
<情報処理装置>
図1において、本発明の一実施の形態のメニュー選択方法を適用した、CADやワードプロセッサ等のソフトウェアを備える情報処理装置のブロック構成を示している。本情報処理装置は、CPU10、メモリ20、記憶装置30、外部入出力装置40、ディスプレイ50、キーボード60、マウス70等を有する。
【0016】
CPU(中央処理装置)10は、メモリ20上のプログラム等を実行することにより、本装置全体を制御し、例えばCADの処理機能(グラフィカル・ユーザ・インタフェースを含む)を実現する。メモリ20には、プログラム部21、メニューデータ格納部22、コマンド実行履歴格納部23などを有する。記憶装置(主記憶装置)30は、例えばハードディスクドライブ等である。メモリ20上のデータは、記憶装置30上にも配置できる。外部入出力装置40は、例えばCADデータ等のやり取りを外部と行うためのCDドライブ等である。ディスプレイ50は、その画面にCAD等の階層メニューを含む情報を表示するために使用される出力装置である。キーボード60は、文字入力等のユーザ操作のために使用される入力装置である。マウス70は、クリックやドラッグ等のユーザ操作のために使用される入力装置である。
【0017】
プログラム部21は、CPU10で実行されるプログラムを記憶する。このプログラムは、本特徴となるメニュー表示選択制御のためのプログラムを含み、グラフィカル・ユーザ・インタフェース制御を含むOSや、CADのアプリケーションプログラム等を含む。メニューデータ格納部22は、画面に階層メニューを表示するためのメニューデータなどを格納する(図5)。コマンド実行履歴格納部23は、コマンド実行履歴データなどを格納する(図4)。
【0018】
<メニュー選択方法>
次に、図1の情報処理装置の構成におけるメニュー選択方法の処理及びユーザ操作等について説明する。
【0019】
<通常>
まず、図2において、本実施の形態のメニュー選択方法における、従来と同様である通常(基本)のメニュー表示選択による例を概略的に示している。まず、ディスプレイ50の画面には、予め、第1メニュー(第1階層メニュー)110が表示される。尚この第1メニュー110は、ユーザによる所定の操作によって表示されるものとしてもよい。ユーザによる所定の操作とは、例えば、キーボード60の所定のキー入力や、マウス70の所定のクリック、ドラッグなどである(以下同様)。
【0020】
第1メニュー110には、例えば上から順に、「MENU A」,「MENU B」,「MENU C」……といったように、複数の項目(メニュー項目)が含まれている。ユーザの所定の操作により、第1メニュー110の中から、所望の1つの項目が選択される。例えば、ユーザがマウス70を操作し、選択する項目、例えば「MENU C」項目113にカーソル101を移動してクリックする。なお移動のみ(クリック無し)で選択される形も可能である。選択されたもの(例えば「MENU C」項目113)を図面中では網掛けにより示しているが、表示形式は適宜変更可能である。
【0021】
次に、上記選択された項目(「MENU C」項目113)に対応付けられるサブメニュー(1つ下位の階層のメニュー)である、第2メニュー(第2階層メニュー)120が画面に表示される。第2メニュー120以下の階層の表示は、例えばプルダウン(ポップアップ)形式などによる。第2メニュー120には、同様に、例えば「MENU C1」,「MENU C2」,「MENU C3」……といったように、上位階層の項目(「MENU C」項目113)に対応付けられる複数の項目が含まれている。ユーザの所定の操作により、第2メニュー120の中から、所望の1つの項目が選択される。例えばユーザがマウス70を操作して、選択する項目、例えば「MENU C2」項目122にカーソル101を移動してクリックする。
【0022】
次に、上記選択された項目(「MENU C2」項目122)に含まれるサブメニューである第3メニュー(第3階層メニュー)130が画面に表示される。第3メニュー130には、同様に、例えば「MENU C21」,「MENU C22」,「MENU C23」……といったように、上位階層の項目(「MENU C2」項目122)に対応付けられる複数の項目が含まれている。ユーザの所定の操作により、第3メニュー130の中から、所望の1つの項目が選択される。例えばユーザがマウス70を操作して、選択する項目、例えば「MENU C23」項目133にカーソル101を移動してクリックする。ここで例えばこの選択された項目(「MENU C23」項目133)は、ユーザの最終目的(実行対象)の動作(即ちコマンドの実行)に対応した、最終階層のメニュー項目であるものとする。即ちこの「MENU C23」項目133に関して、第3メニュー130が最終階層である。
【0023】
次に、上記項目(「MENU C23」項目133)の選択の操作によって、ユーザの目的の動作に対応したコマンド140(例えば「コマンドC23」)が特定され、当該コマンド140が実行される。即ち、当該コマンド140に対応付けられる所定の処理手順(コマンド処理)が、本情報処理装置(CPU10)により実行される。
【0024】
上記の一連のユーザ操作により、単一のコマンド(処理)の実行が完了する。このコマンド処理は、一例としてCADにおける四角形を描画する処理などである。また、上記単一のコマンド処理だけでなく、上記同様に複数のコマンドを組み合わせて順に実行する操作及び処理により、所定の作業を実現することができる。一例として、CADにおいて、四角形を描画し(第1のコマンド)、面取りし(第2のコマンド)、色の変更を行い(第3のコマンド)、寸法線を引き(第4のコマンド)、属性の設定をする(第5のコマンド)といった、一連の複数のコマンドの組み合わせからなる作業がある。
【0025】
<連続実行(1)>
次に、上記基本を踏まえ、図3等を用いて、本情報処理装置における特徴となる処理機能(「連続実行」処理機能と称する)について説明する。「連続実行」処理機能は、本装置でユーザ操作により過去に実行されて履歴に残っている一連の複数のコマンドを再度実行する場合に有効に使用可能である。本装置では、画面に表示される階層メニューにおいて、例えば表示名称として「連続実行」とする項目(処理機能)を提供する。この「連続実行」処理機能では、図2のようなユーザの操作によって一度実行された一連の複数のコマンド(それに対応付けられるメニュー項目)の履歴に基づき、その情報を、図3のようにメニューの表示内容として反映する(第1メニュー210における「連続実行」項目202、第2メニュー220における複数の項目221〜226)。そして、メニューの中から、ユーザ操作により選択された範囲(例えば範囲206)の複数のコマンド(それに対応付けられる項目、例えば項目222〜225)を、まとめて、即ち順に連続して実行する(コマンド240)。
【0026】
本処理機能のために管理する情報データとして、以下のように、コマンド実行履歴(図4)とメニューデータ(図5)とを有する。
【0027】
<コマンド実行履歴>
本情報処理装置において、前記図2のような通常のメニュー及び項目(例えば「MENU C23」項目133)の選択により実行されたコマンド(例えば「コマンドC23」)の情報は、順次、メモリ20のコマンド実行履歴格納部23に、履歴(コマンド実行履歴)として格納される。
【0028】
図4において、コマンド実行履歴格納部23の格納データであるコマンド実行履歴のテーブル400の例を示している。このテーブル400は、実行順410、メニュー項目名(項目名)420、コマンド名430などの項目(列)を有する。
【0029】
実行順410は、時系列での当該コマンドの実行された順番を示す情報である。例えば古いものから順に1,2,……としている。メニュー項目名420は、図2のような階層メニューからユーザ操作により最終的に選択されたメニュー項目の表示名である。例えば、図2の場合で第3メニュー130(全項目)が最終階層であるとすると、その中の項目の表示名(例えば「MENU C23」)である。コマンド名430は、メニュー項目名420に対応付けられる、実行されたコマンド140の名称(例えば「コマンド C23」)である。本例では、簡単のため、メニュー項目名420の「MENU」をそのまま「コマンド」に置き換える場合を示している。
【0030】
メニュー項目名420(コマンド名430)は、実行順410に並んで格納される。例えば図4では、1:「MENU D32」(第1番目のコマンド),2:「MENU C51」(第2番目のコマンド),……,6:「MENU A14」(第6番目のコマンド),……,といったようになる。上記第1番目のコマンドは、本履歴のテーブル400に残存するうち、一番過去に実行されたものであり、下側のコマンドほど直近に実行されたものである。例として、図4の通り、一番直近に実行されたものを、6:「MENU A14」(第6番目のコマンド)とする。
【0031】
なお、本テーブル400には、例えば、所定の最大量または一定数まで、行データが格納され、これを超える場合、時系列で一番過去のメニュー項目名420の行データから順に捨てられる。
【0032】
図2の例では、「MENU C」項目113−「MENU C2」項目122−「MENU C23」項目133という項目群、特にその最終階層の項目である「MENU C23」項目133の選択により特定されるコマンド140(「コマンドC23」)が実行されると、その履歴情報が本テーブル400の最後に行データとして追加されることになる。
【0033】
<メニューデータ>
また本情報処理装置において、上記コマンド実行履歴格納部23に格納されたデータ(履歴情報)は、随時、メモリ20のメニューデータ格納部22の格納データであるメニューデータに反映される。即ち、当該メニューデータにコマンド実行履歴が取り込まれることにより、以後のメニュー表示内容が変化することになる。
【0034】
図5において、メニューデータ格納部22のメニューデータのテーブル500の例(図2の例と対応する)を示している。このメニューデータは、画面への階層メニューの表示内容を構成する情報(階層メニュー構成情報)である。また、本データは、例えば画像データ等を含んでもよい。
【0035】
このテーブル500は、第1メニュー項目510、第2メニュー項目520、第3メニュー項目530、実行コマンド名540などの項目(列)を有する。第1メニュー項目510は、第1メニュー110の各項目を示す。第2メニュー項目520、第3メニュー項目530も同様である。実行コマンド名540は、第1メニュー項目510、第2メニュー項目520、第3メニュー項目530といった項目群、特にその最終階層である第3メニュー項目530により特定され、それに対応付けられる、実行対象となるコマンドの名称を示す。
【0036】
例えば、「MENU A」には、「MENU A1」,「MENU A2」の2つが対応付けられ、「MENU A1」には、「MENU A11」〜「MENU A14」の4つが対応付けられ、各「MENU A11」〜「MENU A14」にそのまま「コマンド A11」〜「コマンド A14」が対応付けられる、といった具合である。
【0037】
なお、本例では、上記メニューデータでは、図2のような基本の構造を表し、図3の連続実行項目202等の表示のための情報、及び取り込まれるコマンド実行履歴のデータについては、特に設けずに図示省略している。これは例えば以下のようにして簡単に実現できる。即ち、本装置は、図2の基本の構成における第1メニュー110内の最後に、図3のような連続実行項目202等を付加し、更に当該項目に対応付けて第2メニュー(連続実行メニュー)220内に図4のコマンド実行履歴のデータを加工等して表示するように制御する。
【0038】
<連続実行(2)>
前記図3に戻り、「連続実行」処理機能について説明する。本情報処理装置において、メニューデータの更新により、画面に、第1メニュー(第1階層メニュー)210が表示される。この第1メニュー210は、図2の第1メニュー110の中に、特に最後の項目として、連続実行項目202を追加して表示するものである。
【0039】
所定のユーザ操作による、第1メニュー210からの連続実行項目202の選択により、サブメニュー(下位階層)として、第2メニュー(第2階層メニュー)220、言い換えれば「連続実行」メニューが表示される。例えば、マウス70操作により、連続実行項目202にカーソル201を移動してクリックすると、第2メニュー220がポップアップ表示される。
【0040】
第2メニュー220内には、表示内容として、コマンド実行履歴が反映されている。具体的には、第2メニュー220の表示の範囲(枠)205内に、コマンド実行履歴に相当する複数のメニュー項目、例えば項目221〜226が含まれている。項目221〜226は、図4の実行順410が1〜6の各行のメニュー項目名420に相当する。なお表示情報は、メニュー項目名420ではなくコマンド名430その他とすることも可能である。上記表示の範囲(枠)205は、一定の大きさ、または、表示項目数分の大きさ、または、画面内に表示可能な最大の大きさなどである。
【0041】
第2メニュー220の範囲(枠)205内には、コマンド実行履歴のうち、ユーザが直近で実行済みのコマンド(例えば「MENU A14」項目226)を含む複数項目を実行順410に従って表示する。なお上記複数項目の表示順は、図3のように実際のコマンドの実行順410と同じとしてもよいし、あるいはその逆順としてもよい。またこの表示順をユーザ設定に応じて変更可能としてもよい。表示項目の数は、一定数以内、または、範囲(枠)205内に表示可能な最大数などである。例えば、直近に実行したコマンドで数個から数十個の表示に制限する。この制限の数は、例えば、本装置のシステムにより予め設定されるか、またはユーザ設定可能とする。
【0042】
次に、ユーザ操作により、第2メニュー220から、所望の連続実行対象とする複数のコマンドに対応付けられる表示部位が選択される。特に、一連の複数の項目からなる範囲が選択される。例えば、第2メニュー220の範囲(枠)205のうち、マウス70操作により、選択する範囲206の最初の項目222へカーソル201を移動してボタンを押し(またはクリックし)、下方向へドラッグして最後の項目225へカーソル201を移動して、ボタンを離す(またはクリックする)。これにより、例えば「MENU C51」項目222〜「MENU B21」項目225の4つからなる範囲206が選択される。なお上記範囲の選択は、マウス70操作に限らず、例えば、表示項目(221等)ごとに、時系列順の番号を付与して表示し、ユーザがその番号をキーボード60から入力する形なども可能である。
【0043】
次に、本情報処理装置(CPU10)は、上記選択された範囲206の項目222〜225に対応付けられる複数のコマンド240(「コマンド C51」〜「コマンド B21」)を、実行順410(表示順)に従った処理順で、連続して実行する。
【0044】
上記連続実行動作により、少ない操作で一連のコマンドをまとめて再度実行することができる。
【0045】
<繰返実行>
次に、図6を用いて、本情報処理装置における更なる特徴となる処理機能(「繰返実行」処理機能と称する)について説明する。本装置では、画面に表示される階層メニューにおいて、例えば表示名称として「繰返実行」とする項目(処理機能)を提供する。この「繰返実行」処理機能では、前述の図3のような「連続実行」処理機能により複数コマンドをまとめて実行した動作を、ユーザが簡単な操作で繰り返して実行することができる。本装置は、前記「連続実行」動作などに基づき、その情報を、図6のようにメニューの表示内容として反映する(第1メニュー210Bにおける繰返実行項目203、第2メニュー220B(繰返実行メニュー)における複数の項目322〜325)。そして、メニューの中から、ユーザ操作により、繰返実行項目203が選択されると、直前の連続実行の動作により実行済みの一連のコマンド(項目、例えば前記範囲206の項目222〜225)を、再度まとめて実行する(コマンド340)。例えばユーザ設定により「繰返実行」処理機能を使用するように指示されている場合に、メニュー内に、「繰返実行」項目を設ける。
【0046】
本情報処理装置において、メニューデータの更新により、画面に、第1メニュー210Bが表示される。この第1メニュー210Bは、図3の第1メニュー210の中に、特に最後の項目として、繰返実行項目203を追加して表示するものである。
【0047】
ユーザ操作により、第1メニュー210Bから繰返実行項目203が選択される。例えば、マウス70操作により、繰返実行項目203にカーソル201を移動してクリックする。これにより、そのまま、前回の連続実行時の複数のコマンド340が同様に実行される。
【0048】
なお図6では、繰返実行項目203の選択後に、第2メニュー220B、言い換えれば「繰返実行」メニューを表示する場合を示している。この第2メニュー220Bには、表示内容として、前回の連続実行時の複数のコマンド(項目、例えば項目322〜325)が反映されている。この第2メニュー220Bの表示は、確認などに利用可能であり、また、ユーザ設定などにより省略することが可能である。
【0049】
上記繰返実行動作により、少ない操作で一連のコマンドの組み合わせによる処理(作業)を繰り返して実行することができる。
【0050】
<処理例>
次に、図7を用いて、上記構成における詳しい処理例について説明する。本情報処理装置において、CPU10は、プログラム部21のプログラムに従って、図7に示すような階層メニューの制御の処理を行う。ユーザによりキーボード60やマウス70等が操作されると、その操作の状態を表すデータがCPU10へ送られる。例えば、キーボード60の所定のキー入力や、マウス70の所定のクリック等を表すデータである。CPU10は、そのデータが、所定の操作による指示、例えばメニュー項目の選択による下位階層メニュー表示指示である場合、プログラムに従って、階層メニューの表示・選択等の処理を開始する。
【0051】
図7において(Sは処理ステップを表す)、CPU10は、指示に従って、メニューデータ格納部22のメニューデータにより、ディスプレイ50に、階層メニュー表示処理を行う(S101)。例えば図3のように、第1メニュー210には、通常の項目(211,212,……)と、連続実行項目202とが表示される。
【0052】
ユーザ操作により第1メニュー210のうちいずれかの項目が選択される。S102の処理では、特に、CPU10は、連続実行項目202の選択かどうかを判断する。通常のメニューの項目(211等)が選択された場合(S102−N)、前述の図2のような処理と同様に、第2メニュー220、第3メニュー230……といったように、複数の階層(第1〜第N)のうちの第n階層メニューを、最終階層(第N)のメニューに達するまで順に表示・選択する処理を行う。即ち、S103では、第n階層メニューの選択表示処理が行われ、S104では、最終階層(第N)メニューかどうか判断する。最終階層メニュー(例えば図2の第3メニュー230)に達した場合(S104−Y)、CPU10は、最終階層メニューの中から、ユーザの目的のコマンドに対応付けられるメニュー項目の選択操作を判断し、当該コマンド(コマンド処理)を実行する(S105)。
【0053】
CPU10は、実行したコマンドの履歴情報を、コマンド実行履歴格納部23に格納する(S106)。即ち図4のテーブル400の最後に、当該コマンド名及びメニュー項目名を含む行データを追加する。
【0054】
そして、CPU10は、コマンド実行履歴格納部23に格納された履歴情報を、メニューデータ格納部22のメニューデータに取り込む(反映する)処理を行う(S107)。これによりメニュー表示内容が更新される。即ち図5のテーブル500における第2メニュー(連続実行メニュー)220等に関する構成情報として、例えば図4のテーブル400の最新の行データを追加(関連付け)して更新する。上記反映方法としては、例えば、コマンド処理の実行の度に上記データを更新する方法などを用いることができる。
【0055】
S108で、CPU10は、処理終了判定を行い、特に終了指示が無い場合は、S101に戻る。ユーザの作業が続く場合、上記メニュー表示・選択による処理(S103〜S108)が同様に繰り返される。
【0056】
前記S102において、連続実行項目202が選択された場合(S102−Y)、S110では、CPU10は、その時点でのメニューデータをもとに、直近に実行された一連の複数のコマンド(項目)が含まれる図3のような第2メニュー(連続実行メニュー)220を表示する。但し最初は全項目(221〜226等)が非選択状態で表示される。そして、CPU10は、当該メニューの項目のうち、ユーザ操作により選択される範囲206、即ち連続実行対象となる複数のコマンド(項目)を判断する(S110)。例えば4つのコマンド(項目)による範囲206が選択され、当該選択に応じて表示内容も網掛けのように変化させる。
【0057】
S110で実行対象の複数のコマンドが決定(指定)されると、S111で、CPU10は、履歴情報に基づき、それらのコマンドの連続実行手順を所定メモリから読み出してプログラム上(プログラム部21)に取り込む。この連続実行手順は、指定された複数のコマンドを時系列で順に実行する手順である。
【0058】
その後、CPU10は、上記取り込んだ連続実行手順のコマンド処理を順次実行する(S112,S113)。S112は、単一のコマンド単位の処理であり、S113では全コマンドの実行が終了したかどうか判断する。指定範囲の全コマンド処理が実行されるまで、S112のコマンド単位の処理を繰り返す。
【0059】
これにより、上記処理の間、ユーザは、メニュー選択操作等が必要無く、一連のコマンドの実行が可能となる。よって、特に、複数のコマンドの組み合わせによる処理(作業)を行う場合などにおける操作性が向上し、時簡短縮、操作ミスの防止などが実現できる。
【0060】
また、S114では、CPU10は、「繰返実行」の指示があるかを判断する。当該指示がある、即ち繰返実行項目203が選択されている場合(S114−Y)、S112に戻って前回と同じ一連のコマンドを実行する。当該指示がない場合(S114−Y)、S108へ移る。
【0061】
また、S112,S113等におけるコマンド実行時に、途中でマウス70やキーボード60等の入力が必要な場合、その入力操作のための処理を途中に介在させるようにしてもよい。このような場合の例は、コマンドの値(変数値)の入力などである。例えば、四角形を描画するコマンドにおける始点と終点の座標を変える場合などである。また、このような途中で入力が必要な場合では、操作回数を低減するために、例えばキーボード60から実行(エンター)キーの入力があった場合に、当該コマンドで前回に入力した値がそのまま今回も有効とされる等の方法を用いることも可能である。
【0062】
また、上記一連のコマンド実行中に、ユーザ操作により他のメニュー(項目)が選択されること等によって、当該コマンド処理をその時点で終了させることも可能である。よってユーザはその終了時点以降の指定済みのコマンド処理を省略して次の作業に移ることができる。この途中終了操作は、例えばキーボード60入力等の命令によって行うことが可能である。
【0063】
また、連続実行項目202等が設けられるメニュー階層は、図3のような第1階層(第1メニュー210)に限らず、機能(コマンド種類)、操作性等に応じて、いずれの階層に設けられても構わない。
【0064】
以上のように、本実施の形態によれば、メニュー選択操作により一度実行された一連の複数のコマンドを、少なく簡便なユーザ操作により再度及び繰り返し実行することができるので、ユーザの操作性を向上でき、これにより時間短縮及び操作ミス削減等を実現できる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、CADやワードプロセッサ等の各種の情報処理システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施の形態の情報処理装置のブロック構成を示す図である。
【図2】従来技術例のメニュー選択方法におけるメニュー表示例、及び、本発明の一実施の形態のメニュー選択方法における通常(基本)のメニュー選択操作によるメニュー表示例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態のメニュー選択方法における複数コマンドの連続実行処理機能の使用時のメニュー選択操作によるメニュー表示例を示す図である。
【図4】本情報処理装置のメニューデータ格納部のテーブル例を示す図である。
【図5】本情報処理装置のコマンド実行履歴格納部のテーブル例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態のメニュー選択方法における複数コマンドの繰返実行処理機能の使用時のメニュー選択操作によるメニュー表示例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態の情報処理装置及びメニュー選択方法における処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10…CPU、20…メモリ、21…プログラム部、22…メニューデータ格納部、23…コマンド実行履歴格納部、30…記憶装置、40…外部入出力装置、50…ディスプレイ、60…キーボード、70…マウス、101,201…カーソル、202…連続実行項目、203…繰返実行項目、110,210,210B…第1メニュー(第1階層メニュー)、113,122,133,211,212,221〜226…項目(メニュー項目)、120,210,210B…第2メニュー(第2階層メニュー)、130…第3メニュー(第2階層メニュー)、140,240…コマンド,205…範囲(枠)、206…範囲、400,500…テーブル、410…実行順、420…メニュー項目名、430…コマンド名、510…第1メニュー項目、520…第2メニュー項目、530…第3メニュー項目、540…実行コマンド名。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置において階層構造のメニューを表示し当該メニューからユーザの操作により選択される項目に応じて処理を行うメニュー選択方法であって、
前記ユーザの操作による前記メニュー及び項目の選択により実行されたコマンドの履歴を、前記メニューに表示内容として取り込む第1の処理ステップと、
前記第1の処理ステップにより更新されたメニューから、前記ユーザの操作により、再度実行する複数のコマンドの範囲を選択させる第2の処理ステップと、
前記第2の処理ステップにより選択された複数のコマンドの処理を順に連続して実行する第3の処理ステップと、を有すること、を特徴とするメニュー選択方法。
【請求項2】
請求項1記載のメニュー選択方法において、
前記第3の処理ステップにより実行した複数のコマンドを、更に繰り返し実行する場合のために、当該複数のコマンドの繰り返しに関する情報を、前記メニューに表示内容として取り込む第4の処理ステップと、
前記第4の処理ステップにより更新されたメニューから、前記ユーザの操作により、前記複数のコマンドの繰り返しに関する情報を選択させる第5の処理ステップと、
前記第5の処理ステップにより選択された複数のコマンドの処理を順に連続して実行する第6の処理ステップと、を有すること、を特徴とするメニュー選択方法。
【請求項3】
階層構造のメニューを表示し当該メニューからユーザの操作により選択される項目に応じて処理を行う情報処理装置であって、
前記ユーザの操作による前記メニュー及び項目の選択により実行されたコマンドの履歴を、前記メニューに表示内容として取り込む第1の処理と、
前記第1の処理により更新されたメニューから、前記ユーザの操作により、再度実行する複数のコマンドの範囲を選択させる第2の処理と、
前記第2の処理により選択された複数のコマンドの処理を順に連続して実行する第3の処理と、を行うこと、を特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の情報処理装置において、
前記第3の処理により実行した複数のコマンドを、更に繰り返し実行する場合のために、当該複数のコマンドの繰り返しに関する情報を、前記メニューに表示内容として取り込む第4の処理と、
前記第4の処理により更新されたメニューから、前記ユーザの操作により、前記繰り返し実行する場合の前記複数のコマンドの繰り返しに関する情報を選択させる第5の処理と、
前記第5の処理により選択された複数のコマンドの処理を順に連続して実行する第6の処理と、を有すること、を特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−169564(P2009−169564A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5244(P2008−5244)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】