説明

メモリカード及びデジタルコンテンツシステム

【課題】有効期限を延長して視聴を可能にするメモリカード及びデジタルコンテンツシステムを提供する。
【解決手段】
デジタルコンテンツの貸出期限を記憶する期限記憶部15aと、デジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けた場合に、期限記憶部15aを参照し、現在日時が貸出期限を超過しているか否かを判定する貸出期限判定部16aと、現在日時が貸出期限の範囲内であると判定された場合に、デジタルコンテンツの視聴を許可する視聴許可部16cと、デジタルコンテンツの視聴を停止する操作が行われた場合に、デジタルコンテンツの総経過時間を記憶する視聴記憶部15bと、現在日時が貸出期限を超過していると判定された場合に、視聴記憶部15bに記憶されている総経過時間を出力する制御部10と、デジタルコンテンツの貸出期限を更新する更新情報を受け付けた場合に、期限記憶部15aの貸出期限を更新する期限更新部16bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード及びメモリカードを利用したデジタルコンテンツシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品に代えて、通信ネットワーク環境を利用した電子データのレンタルサービスが広く行われるようになっている。このような状況下において、著作権管理のため、時間を正確に管理して電子データであるデジタルコンテンツの視聴を制御する機能を搭載したメモリカードが開発されている。例えば、メモリカードの内部に、時間を計測できる時刻計測部を実装して、メモリカードの内部で常時、データの有効期限等の時間管理を行うメモリカードが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−63079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のメモリカードを実際にレンタルサービスに適用すると、有効期限が到来した時点で、未視聴であったり、途中までしか視聴していなかったりするデジタルコンテンツを見ることができなかった。よって、このサービスは、利用者にとって、利用しにくいものになっていた。また、このサービスは、サービス提供者にとってもサービス向上という観点から十分なものではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、有効期限が到来した場合であっても、有効期限を延長して視聴を可能にするメモリカード及びデジタルコンテンツシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明は、デジタルコンテンツの貸出期限を記憶する期限記憶手段(15a)と、前記デジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けた場合に、前記期限記憶手段(15a)を参照し、現在日時が前記貸出期限を超過しているか否かを判定する貸出期限判定手段(16a)と、前記貸出期限判定手段(16a)により現在日時が前記貸出期限の範囲内であると判定された場合に、前記デジタルコンテンツの視聴を許可する視聴許可手段(16c)と、前記デジタルコンテンツの視聴を停止する操作が行われた場合に、前記デジタルコンテンツの総経過時間を記憶する視聴記憶手段(15b)と、前記貸出期限判定手段(16a)により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段(15b)に記憶されている総経過時間を出力する出力手段(10)と、前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新する更新情報を受け付けた場合に、前記期限記憶手段(15a)の前記貸出期限を更新する期限更新手段(16b)を備え、前記更新情報には、前記総経過時間に基づいて計算された前記デジタルコンテンツの再生時間と、更新期間が含まれていることを特徴とするメモリカード(1)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のメモリカード(1)において、課金単位である所定時間ごとに編集されている前記デジタルコンテンツのプレビュー画像群を格納するプレビュー画像群格納手段(12)と、前記貸出期限判定手段(16a)により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段(15b)に記憶されている総経過時間に基づいて、前記プレビュー画像群格納手段(12)から未視聴部分のプレビュー画像を特定し、プレビュー画像の開始位置を決定する決定手段(10)を備え、前記出力手段(10)は、前記貸出期限判定手段(16a)により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段(15b)に記憶されている総経過時間と共に、前記プレビュー画像群格納手段(12)に格納されているプレビュー画像群と、前記決定手段(10)により決定されたプレビュー画像の開始位置を出力することを特徴とするメモリカード(1)である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載のメモリカード(1)と、前記メモリカード(1)を読み取る通信端末(2)と、前記貸出期限を管理する管理サーバ(3)と、を備えるデジタルコンテンツシステム(100)であって、前記メモリカード(1)は、デジタルコンテンツの貸出期限を記憶する期限記憶手段(15a)と、前記通信端末(2)から前記デジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けた場合に、前記期限記憶手段(15a)を参照し、現在日時が前記貸出期限を超過しているか否かを判定する貸出期限判定手段(16a)と、前記貸出期限判定手段(16a)により現在日時が前記貸出期限の範囲内であると判定された場合に、前記デジタルコンテンツの視聴を許可する視聴許可手段(16c)と、前記通信端末(2)から前記デジタルコンテンツの視聴を停止する操作が行われた場合に、前記デジタルコンテンツの総経過時間を記憶する視聴記憶手段(15b)と、前記貸出期限判定手段(16a)により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段(15b)に記憶されている総経過時間を前記通信端末(2)に出力する出力手段(10)と、前記通信端末(2)から前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新する更新情報を受け付けた場合に、前記期限記憶手段(15a)の前記貸出期限を更新する期限更新手段(16b)を備え、前記更新情報には、前記総経過時間に基づいて計算された前記デジタルコンテンツの再生時間と、更新期間が含まれており、前記通信端末(2)は、前記デジタルコンテンツの視聴要求を受け付けた場合に、当該デジタルコンテンツの貸出期限が超過しているか否かを前記メモリカード(1)に問合せる問合せ手段(20a)と、前記問合せ手段(20a)により問合せた結果、現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合、前記出力手段(10)から受け付けた前記総経過時間に基づいて、前記更新情報を作成し、前記管理サーバ(3)に対して貸出期限の更新を申請する更新申請手段(20b)と、前記更新申請手段(20b)により貸出期限の更新の申請に基づいて、前記管理サーバ(3)から更新命令を受け付けた場合に、前記メモリカード(1)に対して前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新するように許可する更新許可手段(20c)を備え、前記管理サーバ(3)は、前記更新申請手段(20b)により貸出期限の更新の申請を受け付けた場合に、前記更新情報に基づいて、前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新するように前記更新許可手段(20c)に命令する命令手段を備えることを特徴とするデジタルコンテンツシステム(100)である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、デジタルコンテンツの視聴(再生)が停止操作されるたびに、総経過時間を記憶しておくので、貸出期限を超過して更新の手続を行うときに、デジタルコンテンツの未視聴部分だけを視聴できるように貸出期限を更新することができる。
【0011】
(2)本発明は、課金単位である所定時間(例えば、10分)ごとに編集されているデジタルコンテンツのプレビュー画像群が格納されており、現在日時が貸出期限を超過していると判定された場合に、総経過時間に基づいて、プレビュー画像の開始位置を決定するので、未視聴部分だけを視聴できるように貸出期限を更新することができる。
【0012】
(3)本発明は、デジタルコンテンツの視聴(再生)が停止操作されるたびに、総経過時間を記憶しておくので、貸出期限を超過して更新の手続を行うときに、デジタルコンテンツの未視聴部分だけを視聴できるように貸出期限を更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルコンテンツシステムの全体構成並びにメモリカード及び通信端末の機能構成を示す図である。
【図2】メモリカードのセキュアチップ部のセキュアな領域に記憶されたデータの例及び管理サーバの記憶部に記憶された会員データの例を示す図である。
【図3】デジタルコンテンツ貸出処理のフローチャートである。
【図4】貸出端末が表示する画面例を示す図である。
【図5】貸出端末が表示する画面例を示す図である。
【図6】デジタルコンテンツ視聴処理のフローチャートである。
【図7】図6の続きのフローチャートである。
【図8】プレビューリストと課金リストを模式的に示す図である。
【図9】延長期間を申請する際に表示される延長期間申請画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0015】
図1は、デジタルコンテンツシステム100の全体構成を示し、メモリカード1、通信端末2及び管理サーバ3の機能構成を示す図である。図2は、メモリカード1のセキュアチップ部14のセキュアな領域に記憶されたデータの例及び管理サーバ3の記憶部32に記憶された会員データの例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、デジタルコンテンツシステム100は、通信ネットワークNを介して通信端末2と、管理サーバ3と、貸出端末4とが通信可能に接続されている。
【0017】
メモリカード1は、デジタルコンテンツの貸出時には、貸出端末4に挿入することでデジタルコンテンツを記憶し、デジタルコンテンツの視聴時には、通信端末2に挿入することで通信端末2を用いてデジタルコンテンツを視聴可能な、ICカードである。メモリカード1は、例えば、SDメモリカードである。ここで、デジタルコンテンツとは、デジタルデータで表現された文章、音楽、画像、映像、データベース、又はそれらを組み合わせた情報の集合をいい、例えば、映画等の動画データ(デジタルコンテンツデータ)をいう。メモリカード1は、制御部10と、記憶部12と、セキュアチップ部14と、通信部18とを備える。
【0018】
制御部10は、CPU(中央処理装置)等を備える制御装置である。制御部10は、例えば、通信端末2及び貸出端末4からの各命令や情報等を、記憶部12やセキュアチップ部14に振り分けたり、記憶部12やセキュアチップ部14の制御部16(後述する)からの各命令や情報等を、通信端末2や貸出端末4に振り分けて送信する。
【0019】
記憶部12は、制御部10が各種の処理を実行する上において必要なプログラムやデータ等を適宜記憶するようになされている。記憶部12は、大容量のメモリ領域であり、デジタルコンテンツ記憶部12aを備える。
デジタルコンテンツ記憶部12aは、大容量の記憶領域を有し、デジタルコンテンツデータを複数記憶することが可能である。
【0020】
セキュアチップ部14は、ユーザによる自由なアクセスを禁止するように制御されているセキュアなデバイスであり、ICチップの機能を有する。セキュアチップ部14は、記憶部15と、制御部16とを備える。
記憶部15は、期限記憶手段としての期限記憶部15aと、視聴記憶手段としての視聴記憶部15bと、会員情報記憶部15cとを備える。
【0021】
図2(a)は、セキュアチップ部14のセキュアな領域に記憶された期限管理テーブル及び会員情報記憶部15cの一例である。期限管理テーブルは、デジタルコンテンツを一意に特定するコンテンツIDと、コンテンツIDにより特定されるデジタルコンテンツのコンテンツ名と、デジタルコンテンツにおいて未視聴部分があるか否かを示す視聴記憶部15bと、貸出期限を示す期限記憶部15aとを対応付けて記憶する。また、期限管理テーブルには、デジタルコンテンツの視聴を停止する操作が行われた場合に、デジタルコンテンツの総経過時間が記憶される。なお、図中の視聴記憶部15bの「○」は、未視聴部分があることを示している。また、期限管理テーブルには、総経過時間と総再生時間がコンテンツごとに記憶されている。
会員情報記憶部15cは、メモリカードのユーザであって、デジタルコンテンツサービスを利用する会員を特定する会員情報である会員番号を記憶する。
【0022】
図1に戻り、制御部16は、CPU等を備え、ROMやEEPROMに記憶されているプログラムをRAMに展開して実行する制御装置である。制御部16は、制御部10を介して通信端末2や貸出端末4からの各命令や情報等を受信したり、制御部10を介して各命令や情報等を、通信端末2や貸出端末4に振り分けて送信する。
制御部16は、貸出期限判定手段としての貸出期限判定部16a、期限更新手段としての期限更新部16bと、視聴許可手段としての視聴許可部16cとを備える。
【0023】
貸出期限判定部16aは、デジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けた場合に、期限記憶部15aを参照し、現在日時が貸出期限を超過しているか否かを判定する。なお、現在日時は、メモリカード1のセキュアチップ部14にタイマ部を備えて取得しても良いし、管理サーバ3から取得しても良い。
【0024】
期限更新部16bは、デジタルコンテンツの貸出期限を更新する更新情報を受け付けた場合に、期限記憶部15aの貸出期限を更新する。ここで、更新情報は、総経過時間に基づいて計算されたデジタルコンテンツの再生時間と、更新期間が含まれている情報をいう。
視聴許可部16cは、貸出期限判定部16aにより現在日時が貸出期限の範囲内であると判定された場合に、デジタルコンテンツの視聴を許可する。
【0025】
通信部18は、通信端末2や貸出端末4に対して通信を行うためのインタフェースである。通信部18は、通信端末2や貸出端末4等の外部装置から電源の供給を受け、接触通信を行う。
【0026】
また、通信端末2は、メモリカード1に記憶されたデジタルコンテンツを視聴するための装置である。通信端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話機、モバイルPC、カーナビ(カーナビゲーションシステム)の端末等である。
通信端末2は、制御部20と、記憶部22と、カード挿入部23と、表示部25と、入力部26と、通信部28とを備える。
【0027】
制御部20は、記憶部22に記憶されているOSやアプリケーションプログラムにしたがって各種の処理を実行するCPUである。
制御部20は、これらのプログラムを実行することによって、問合せ手段としての超過情報取得部20aと、更新申請手段としての更新申請部20bと、更新許可手段としての更新許可部20cとを実現する。
【0028】
超過情報取得部20aは、デジタルコンテンツの視聴要求を受け付けた場合に、当該デジタルコンテンツの貸出期限が超過しているか否かをメモリカード1に問合せる機能を有している。また、超過情報取得部20aは、会員番号を取得する機能も有している。
【0029】
更新申請部20bは、超過情報取得部20aにより問合せた結果、現在日時が貸出期限を超過していると判定された場合、メモリカード1から受け付けた総経過時間に基づいて、更新情報を作成し、管理サーバ3に対して貸出期限の更新を申請する機能を有している。
【0030】
更新許可部20cは、更新申請部20bにより貸出期限の更新の申請に基づいて、管理サーバ3から更新命令を受け付けた場合に、メモリカード1に対してデジタルコンテンツの貸出期限を更新するように許可する機能を有する。
【0031】
記憶部22は、ROMやRAM等のメモリ領域であり、制御部20が各種の処理を実行する上において必要なプログラムやデータ等を適宜記憶するようになされている。
カード挿入部23は、メモリカード1を挿入するためのインタフェースである。カード挿入部23は、メモリカード1の接触端子と接触して電気的に導通し、制御部20及びメモリカード1間の通信を媒介する。
【0032】
表示部25は、例えば、CRTやLCD等により構成され、文字や画像等の表示を行うようになされている。
入力部26は、例えば、キーボードやマウス等により構成され、ユーザからの各種の指令、その他必要な情報等を入力するときにユーザにより操作される。
通信部28は、通信ネットワークNに対して接続され、管理サーバ3との通信を行うためのインタフェースである。
【0033】
また、管理サーバ3は、会員情報やデジタルコンテンツの貸出期限を管理するサーバである。管理サーバ3は、制御部30と、記憶部32と、通信部38とを備える。
制御部30は、管理サーバ3の全体を制御するCPUである。制御部30は、会員照合手段を備える。
【0034】
記憶部32は、制御部30を実行するための各種プログラム等を記憶する記憶領域である。記憶部32は、会員情報や、デジタルコンテンツの貸出期限を記憶している。
図2(b)は、記憶部32に記憶された会員データの一例を示す図である。会員データは、会員番号をキーとして、会員に関する情報を記憶している。
図1に戻り、通信部38は、通信ネットワークNに対して接続され、通信端末2や貸出端末4との通信を行うためのインタフェースである。
【0035】
貸出端末4は、デジタルコンテンツを貸出する際に使用する端末である。貸出端末4は、例えば、レンタルサービスを行う店舗やコンビニ等に設置されているキオスク端末である。貸出端末4は、メモリカード1の挿入部を有して、メモリカード1に対してデジタルコンテンツを送信することで、メモリカード1は、貸出端末4からデジタルコンテンツや貸出期限を受信して記憶する。
【0036】
通信ネットワークNは、例えば、インターネット回線を示す。通信ネットワークNは、その一部が無線通信をするものであっても良い。
【0037】
また、メモリカード1の制御部10(出力手段)は、貸出期限判定部16aにより現在日時が貸出期限を超過していると判定された場合に、視聴記憶部15bに記憶されている総経過時間を読み出して、通信部18を介して通信端末2へ出力する。
【0038】
また、記憶部12は、課金単位である所定時間ごとに編集されているデジタルコンテンツのプレビュー画像群を格納するプレビュー画像群格納手段としての機能を有する。本実施例では、プレビュー画像群は、貸出期限の更新を行う時に管理サーバ3から通信端末2を介して取得するものとして説明するが、これに限られず、貸出端末4からデジタルコンテンツをダウンロードするときに併せて取得しても良い。
【0039】
また、制御部10は、貸出期限判定部16aにより現在日時が貸出期限を超過していると判定された場合に、視聴記憶部15bに記憶されている総経過時間に基づいて、記憶部12に格納されているプレビュー画像群の中から未視聴部分のプレビュー画像を特定し、プレビュー画像の開始位置を決定する決定手段としての機能を有する。
【0040】
また、制御部10(出力手段)は、貸出期限判定部16aにより現在日時が貸出期限を超過していると判定された場合に、視聴記憶部15bに記憶されている総経過時間と、記憶部12に格納されているプレビュー画像群を読み出して通信端末2に送信し、また、総経過時間に基づいて決定したプレビュー画像の開始位置も併せて通信端末2に出力する。
【0041】
通信端末2は、メモリカード1から送信されてきた総経過時間と、プレビュー画像群と、プレビュー画像の開始位置に基づいて、更新手続に必要な画面を生成して、表示部25に表示する。
【0042】
次に、本実施形態を説明するための前提として、デジタルコンテンツの貸出処理について説明する。図3は、デジタルコンテンツ貸出処理のフローチャートである。図4及び図5は、貸出端末4が表示する画面例を示す図である。
【0043】
まず、前提として、メモリカード1には、既に会員情報が書き込まれているものとする。会員情報の書き込みは、例えば、購入してデータが何も入っていないメモリカード1をデジタルコンテンツのレンタルサービス店にユーザが持参して、図示しない店舗入力端末に対してメモリカード1を挿入することで行うことができる。会員情報は、例えば、管理サーバ3の記憶部32に記憶された会員データ(図2(b)参照)の1レコード分の情報であり、会員番号の他、店舗IDや入会日等を含む。
【0044】
図3のステップS11において、会員情報が書き込まれたメモリカード1をユーザが持参して貸出端末4に挿入することで、貸出端末4は、メモリカード1を受け付ける。
ステップS12において、貸出端末4の制御部は、会員情報の照合を行う。会員情報の照合は、貸出端末4の制御部がメモリカード1から会員情報を取得して、例えば、管理サーバ3に記憶された会員データを参照することで、照合を行うことができる。
【0045】
ステップS13において、貸出端末4の制御部は、ユーザにより選択された、ユーザが視聴したいデジタルコンテンツを表示する。そして、貸出端末4の制御部は、デジタルコンテンツのダウンロードの指示を受け付ける。図4(a)は、デジタルコンテンツの選択画面の一例を示す。図4(b)は、デジタルコンテンツのダウンロードの指示画面の一例を示す。
【0046】
図3に戻り、ステップS14において、貸出端末4の制御部は、データ容量の確認処理を行う。例えば、貸出端末4の制御部は、データ容量が不足している場合には、図5に示すメモリカード1のデータ容量画面を表示させることで、ユーザに不要なデータの削除を促して、ダウンロードをしたいデジタルコンテンツの容量を確保する。
【0047】
図3に戻り、ステップS15において、貸出端末4の制御部は、デジタルコンテンツをメモリカード1にダウンロードする。そうすることで、メモリカード1のデジタルコンテンツ記憶部12aは、ユーザが選択したデジタルコンテンツを記憶する。その際、メモリカード1の制御部10は、デジタルコンテンツ記憶部12aにダウンロードされたデジタルコンテンツに関する管理期限データを、セキュアチップ部14に送信することで、セキュアチップ部14は、管理期限データを管理期限テーブルに記憶する。
ステップS16において、ユーザがメモリカード1を貸出端末4から取り出すことで、貸出端末4の制御部は、本処理を終了する。
【0048】
なお、ユーザによる視聴したいデジタルコンテンツの選択は、例えば、貸出端末4がデジタルコンテンツのジャンル等を画面に表示して順番に進めていくことで、ユーザが画面から選択しても良い。また、デジタルコンテンツのタイトルや内容、コンテンツIDを含むバーコードを表示したカード状のものをデジタルコンテンツのレンタルサービスを行う店舗に陳列して、ユーザがそのカードを貸出端末4に持っていき、バーコードを貸出端末4に読み取らせることで選択しても良い。ユーザが画面から選択する貸出方法では、ユーザが興味をもつジャンルから選択していくことで、全てを貸出端末4によって処理することができ、省スペース化が図れ、店舗をデジタルコンテンツのレンタルサービスを行う店舗に特定しないメリットがある。また、カードによる貸出方法では、ユーザが手にとってそのデジタルコンテンツの内容を見ることができ、かつ、DVDやビデオ以上に設置スペースの省力化を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、貸出端末4を用いてデジタルコンテンツの貸出処理を行うものを説明したが、メモリカード1に会員情報を読み込ませた店舗入力端末に貸出端末4の機能を持たせて、店舗入力端末によって貸出処理を行っても良い。
【0050】
次に、デジタルコンテンツの視聴処理について説明する。図6及び図7は、デジタルコンテンツ視聴処理のフローチャートである。図8は、プレビューリストと課金リストを模式的に示す図である。図9は、通信端末2の表示部25が表示する延長期間申請画面の一例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、ステップS21において、メモリカード1は、通信端末2に挿入される。
ステップS22において、制御部20は、ステップS21による挿入に応じて、メモリカード1を受け付ける。
ステップS23において、制御部20は、デジタルコンテンツを視聴するためのビューアであるソフトウェアを起動する。
【0052】
ステップS24において、制御部20は、入力部26を介してデジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けることで、メモリカード1に対してデジタルコンテンツの開始指示を送信する。
【0053】
ステップS25において、メモリカード1は、ステップS24による開始指示を受信する。
ステップS26において、セキュアチップ部14の貸出期限判定部16aは、開始指示を受け付けたデジタルコンテンツの貸出期限を参照して、現在日時が貸出期限を超過しているか否かを判定する。貸出期限を超過している場合(YES)には、貸出期限判定部16aは、処理をステップS27に移す。他方、貸出期限の範囲内である場合(NO)には、貸出期限判定部16aは、処理を図7のステップS37に移す。
【0054】
ステップS27において、期限更新部16bは、貸出期限が超過している旨を通信端末2に対して送信する。
ステップS28において、通信端末2の制御部20(超過情報取得部20a)は、超過情報を取得する。
【0055】
ステップS29において、制御部20(更新申請部20b)は、管理サーバ3に対して貸出期限の延長を申請する。
ステップS30において、管理サーバ3の制御部30は、貸出期限の延長の申請を受信する。
ステップS31において、制御部30は、会員情報の照合を行う。
ステップS32において、制御部30は、ステップT31による会員情報の照合が行われた場合に、更新情報を通信端末2に対して送信する。
ステップS33において、通信端末2の制御部20は、管理サーバ3から更新情報を受信する。
【0056】
ここで、通信端末2と管理サーバ3との間で行われる貸出期限の更新処理について説明する。管理サーバ3は、上述したステップS32の工程により、更新情報としてプレビューリストと課金リストを通信端末2に送信する。
【0057】
プレビューリストとは、課金単位である所定時間(例えば、10分)ごとに編集されているデジタルコンテンツのプレビュー画像群により構成されているリストである。具体的には、プレビューリストは、図8(a)に示すように、例えば、2時間のデジタルコンテンツの場合には、10分ごとに作成された12個のプレビュー画像(ハイライト画像)が格納されて構成されている。
【0058】
また、課金リストとは、更新時間(例えば、10分ごと)と更新期間(例えば、1日、3日及び7日)とにより課金額が定められているリストである(図8(b)を参照)。
【0059】
また、制御部20は、管理サーバ3から受信した更新情報に基づいて、図9に示すように、更新申請を行うための画面(以下、更新期間申請画面という。)を作成する。なお、この更新期間申請画面は、管理サーバ3により作成された後、通信端末2に送信されても良い。
【0060】
ユーザは、更新期間申請画面を操作することにより、更新時間と更新期間を選択することができる。以下に、更新期間申請画面について説明する。
【0061】
更新期間申請画面(図9(a)を参照)では、総経過時間(視聴済み部分)に基づいて、デフォルトのプレビュー画像の開始位置が設定される。例えば、2時間のデジタルコンテンツにおいて、総経過時間が1時間1分であった場合には、更新期間申請画面は、1時間00分01秒〜1時間10分00秒に相当するプレビュー画像を開始位置として設定される。なお、プレビュー画像の開始位置は、操作バー(図9(a)中のA)を操作することによって、適宜、変更可能である。
【0062】
制御部20は、更新期間申請画面において、ユーザが「プレビュー」ボタンが選択されると、設定されている開始位置にあるプレビュー画像を再生する。また、制御部20は、更新期間申請画面において「決定」ボタンが選択されると、確認用画面(図9(b)を参照)に遷移し、確認用画面において「はい」ボタンが選択されると、更新期間の選択用の画面(図9(c)を参照)に遷移する。制御部20は、更新期間の選択用の画面において、「1日間」、「3日間」又は「7日間」が選択された場合、その情報を管理サーバ3に送信する。管理サーバ3は、通信端末2から送信されてきた情報に基づいて、課金処理を実行する。管理サーバ3は、課金処理が完了した後に、通信端末2に課金処理の完了通知を送信する。
【0063】
ステップS34において、通信端末2の制御部20(更新許可部20c)は、管理サーバ3から課金処理の完了通知を受け取った場合、貸出期限の延長更新をメモリカード1に対して許可する。
【0064】
ステップS35において、メモリカード1は、通信端末2から貸出期限の延長更新の許可を受信する。
ステップS36において、メモリカード1の期限更新部16bは、貸出期限を延長更新する。具体的には、期限更新部16bは、セキュアチップ部14に記憶された期限記憶部15aの期限を更新する。
【0065】
ステップS37において、視聴許可部16cは、該当のデジタルコンテンツの視聴を許可して、デジタルコンテンツ記憶部12aに記憶された該当のデジタルコンテンツを視聴可能にする。
ステップS38において、制御部20は、デジタルコンテンツの再生を行う。
【0066】
このように、メモリカード1は、セキュアな領域であるセキュアチップ部14にデジタルコンテンツの貸出期限を記憶し、貸出期限を超過していると判定された場合に、所定の更新処理によって貸出期限を延長更新してデジタルコンテンツの視聴を許可する。
【0067】
よって、デジタルコンテンツシステム100は、課金リストにしたがって、更新時間及び更新期間に応じた課金を行うので、貸出期限(レンタル期限)が過ぎて途中までしか視聴しなかった場合において、更新料金(延長料金)を決定するので、過去の視聴状況の割合に応じて更新料金を割り引くサービスをユーザに提供することができる。
また、メモリカード1は、セキュアな領域にデジタルコンテンツの貸出期限を記憶するので、貸出期限の不正な改ざん等を防ぐことができる。
また、メモリカード1によって、有効期限が到来した場合であっても、有効期限を延長して視聴を可能にできる。その結果として、ユーザは、再度初めからレンタル処理をする手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 メモリカード
2 通信端末
3 管理サーバ
4 貸出端末
10,20,30 制御部
12,22,32 記憶部
14 セキュアチップ部
18,28,38 通信部
23 カード挿入部
25 表示部
26 入力部
100 デジタルコンテンツシステム
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルコンテンツの貸出期限を記憶する期限記憶手段と、
前記デジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けた場合に、前記期限記憶手段を参照し、現在日時が前記貸出期限を超過しているか否かを判定する貸出期限判定手段と、
前記貸出期限判定手段により現在日時が前記貸出期限の範囲内であると判定された場合に、前記デジタルコンテンツの視聴を許可する視聴許可手段と、
前記デジタルコンテンツの視聴を停止する操作が行われた場合に、前記デジタルコンテンツの総経過時間を記憶する視聴記憶手段と、
前記貸出期限判定手段により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段に記憶されている総経過時間を出力する出力手段と、
前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新する更新情報を受け付けた場合に、前記期限記憶手段の前記貸出期限を更新する期限更新手段を備え、
前記更新情報には、前記総経過時間に基づいて計算された前記デジタルコンテンツの再生時間と、更新期間が含まれていることを特徴とするメモリカード。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリカードにおいて、
課金単位である所定時間ごとに編集されている前記デジタルコンテンツのプレビュー画像群を格納するプレビュー画像群格納手段と、
前記貸出期限判定手段により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段に記憶されている総経過時間に基づいて、前記プレビュー画像群格納手段から未視聴部分のプレビュー画像を特定し、プレビュー画像の開始位置を決定する決定手段を備え、
前記出力手段は、前記貸出期限判定手段により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段に記憶されている総経過時間と共に、前記プレビュー画像群格納手段に格納されているプレビュー画像群と、前記決定手段により決定されたプレビュー画像の開始位置を出力することを特徴とするメモリカード。
【請求項3】
請求項1に記載のメモリカードと、前記メモリカードを読み取る通信端末と、前記貸出期限を管理する管理サーバと、を備えるデジタルコンテンツシステムであって、
前記メモリカードは、
デジタルコンテンツの貸出期限を記憶する期限記憶手段と、
前記通信端末から前記デジタルコンテンツの視聴の開始指示を受け付けた場合に、前記期限記憶手段を参照し、現在日時が前記貸出期限を超過しているか否かを判定する貸出期限判定手段と、
前記貸出期限判定手段により現在日時が前記貸出期限の範囲内であると判定された場合に、前記デジタルコンテンツの視聴を許可する視聴許可手段と、
前記通信端末から前記デジタルコンテンツの視聴を停止する操作が行われた場合に、前記デジタルコンテンツの総経過時間を記憶する視聴記憶手段と、
前記貸出期限判定手段により現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合に、前記視聴記憶手段に記憶されている総経過時間を前記通信端末に出力する出力手段と、
前記通信端末から前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新する更新情報を受け付けた場合に、前記期限記憶手段の前記貸出期限を更新する期限更新手段を備え、
前記更新情報には、前記総経過時間に基づいて計算された前記デジタルコンテンツの再生時間と、更新期間が含まれており、
前記通信端末は、
前記デジタルコンテンツの視聴要求を受け付けた場合に、当該デジタルコンテンツの貸出期限が超過しているか否かを前記メモリカードに問合せる問合せ手段と、
前記問合せ手段により問合せた結果、現在日時が前記貸出期限を超過していると判定された場合、前記出力手段から受け付けた前記総経過時間に基づいて、前記更新情報を作成し、前記管理サーバに対して貸出期限の更新を申請する更新申請手段と、
前記更新申請手段により貸出期限の更新の申請に基づいて、前記管理サーバから更新命令を受け付けた場合に、前記メモリカードに対して前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新するように許可する更新許可手段を備え、
前記管理サーバは、
前記更新申請手段により貸出期限の更新の申請を受け付けた場合に、前記更新情報に基づいて、前記デジタルコンテンツの貸出期限を更新するように前記更新許可手段に命令する命令手段を備えることを特徴とするデジタルコンテンツシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168765(P2012−168765A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29636(P2011−29636)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】