説明

メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法

メラミン工場由来のメラミン含有水性流れをアルデヒド含有流れと接触させる、メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法ならびにメラミン工場由来のメラミン含有水性流れと尿素含有流れとをアルデヒド含有流れと接触させる、メラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法またはメラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法に関する。
【0002】
メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物(MF)またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド初期縮合物(MUF)としても知られるこの種の流れは、MFおよびMUF樹脂の製造における出発物質として用いられているが、現在、その規模は限られている。
【0003】
従来技術によれば、MFおよびMUF樹脂は、固形メラミンおよび粒状尿素またはプリル尿素およびホルムアルデヒド水溶液をベースとして製造される。これらの出発物質は、樹脂工場まで長距離輸送される場合が多い。ホルムアルデヒド水溶液を輸送する際は、要求される安全対策を遵守することが必要であり、また、事故が発生した場合は環境被害をもたらす可能性がある。こうした理由から、樹脂工場はホルムアルデヒド工場の近くに位置している場合が多い。この固形メラミンおよび任意的な粒状尿素またはプリル尿素は、樹脂製造が行えるように、水および/またはホルムアルデヒド水溶液に溶解される。
【0004】
従来技術による方法の欠点は、高額な費用をかけて水分を除去し、メラミンの粒度分布に細心の注意を払いながらメラミンを再結晶させて、固形メラミンを製造しなければならないことにある。次いで、この固形メラミンは樹脂工場に輸送されるが、ここでは樹脂製造が行えるようにメラミンを再び水中に溶解させなければならない。
【0005】
本発明の目的は、この欠点を解消することにある。
【0006】
この目的は、メラミン工場由来のメラミン含有水性流れをアルデヒド含有流れと接触させることにより達成される。この目的はまた、メラミン工場由来のメラミン含有水性流れと尿素含有流れとをアルデヒド含有流れと接触させることによっても達成される。
【0007】
メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れを調製するこのような方法により、固形メラミンを形成するためにメラミン含有水性流れから水を分離することが不要になる。
【0008】
より高い純度および特定の粒度分布のいずれかを有するメラミンを得るためにメラミンを再結晶させることはもはや不要である。これにより、エネルギー、設備投資、および人件費という観点で大幅な節減を達成することが可能となる。
【0009】
本発明による方法の他の利点は、メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れならびにメラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れが長期間にわたって安定であり、安全および環境上の問題を引き起こすことなく長距離輸送ができることにある。
【0010】
さらなる利点は、このようにすることで、メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れの大量生産が採算に見合うようになるため、このような流れをMFおよびMUF樹脂製造の出発物質として利用できるようになることにある。
【0011】
メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れは初期縮合物である。初期縮合物は、メラミン、アルデヒド、および任意的に尿素を遊離および/または溶解および/または反応形態で含む水溶液である。メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れは低粘度であるため、これらの生成物を貯槽に保管して、ポンプを使って輸送することが可能である。
【0012】
メラミン含有水性流れはメラミン工場由来のものである。メラミン工場は、反応器、急冷器(quench)、およびストリッパーを含む反応区域を含み、メラミンを副生成物から精製する回収区域がそれに続く。
【0013】
メラミン含有水性流れは、例えばメラミン反応器のすぐ下流で分離することができるが、この方法におけるさらに下流側でメラミン含有水性流れを分離することも可能である。好ましくは、メラミン含有水性流れは、ストリッパーの下流で工場から分離される。この分離の結果として、メラミン含有水性流れの圧力が低下し、次いでこの流れは初期縮合物の製造に使用される。
【0014】
メラミン工場内の反応器下流の様々な場所から送られてくる幾つかの流れを合一して1つの流れとすることが可能である。メラミン工場で製造されるメラミンの全部またはメラミンの量の一部のみをメラミン含有水性流れとして使用することも同様に可能である。
【0015】
好ましくは、メラミン含有水性流れの総量は、反応器から抜き出される流れ全体の5重量%を超え、より好ましくは10重量%を超え、特に好ましくは20重量%を超える。
【0016】
好ましくは、メラミン含有水性流れの総量は、反応器から抜き出される流れ全体の95重量%未満、より好ましくは、75重量%未満、特に好ましくは、50重量%未満である。
【0017】
製造されたメラミン全体の少なくとも一部は、例えば純粋なメラミンを得るための回収区域における下流の段階をすべて通過するわけではないと考えれば、メラミン合成区域および回収区域のすべての部品の能力を増大させる必要なくメラミン工場が最適化される可能性が本発明による方法によって提供される。
【0018】
メラミン含有水性流れは、好ましくは水を5〜50重量%含み、特に好ましくは水を10〜25重量%含む。メラミン含有水性流れには水を加えることも除去することもできる。
【0019】
メラミン含有水性流れは精製することが好ましいが、この流れを初期縮合物の製造に用いる場合はこのことは必ずしも必要ではない。精製は、樹脂調製を行うための規格値を満たす初期縮合物を得るために実施される。精製は、初期縮合物を調製する前に実施することができるが、初期縮合物そのものを精製することも可能である。メラミン含有水性流れまたは初期縮合物の精製は、例えば、メラミン含有水性流れを濾過器、液体サイクロン、もしくは遠心分離器を通過させ、かつ/または洗浄を例えば水で行うことによって実施することができる。その結果として、例えば、メラミン副生成物(例えば、尿素、グアニジン、CO、NH、メラム、メレム等)が除去される。メラミンを接触メラミン製造方法によって得た場合の残留触媒は、所望により、例えば初期縮合物を濾過することによって除去することができる。
【0020】
アルデヒドとしてのアルデヒド含有流れは、例えば、ホルムアルデヒド、フルフラール、および/またはグリオキサルを含む。好ましくは、アルデヒド含有流れは、ホルムアルデヒドを含む。
【0021】
ホルムアルデヒド含有流れは気体であってもよいが、例えば、ホルムアルデヒドの水またはメタノール溶液であってもよい。ホルムアルデヒド含有流れは、例えばホルムアルデヒド工場からのほぼ純粋なホルムアルデヒドの気体流れの場合など、基本的にホルムアルデヒドから構成されるものであってもよいが、これは、通常ホルマリンと称されるホルムアルデヒド水溶液の例にあるように、必ずしも必要ではない。実際には、ホルマリンは、ホルムアルデヒドを20重量%〜60重量%およびメタノールを0重量%〜15重量%含む場合が多い。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、ホルムアルデヒド含有流れは、ホルムアルデヒドを周知の方法によって調製する(これは、メタノールを原料とする接触反応を用いて行われる場合が多い)ホルムアルデヒド工場から送られてくる気体である。このことには、ホルムアルデヒド工場から抜き出されたホルムアルデヒド含有流れを本発明に従いそのままメラミン含有水性流れおよび任意的に尿素含有流れと接触させることができるという利点がある。
【0023】
メラミン含有水性流れおよびアルデヒド含有流れに加えて、メラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れを調製するために尿素含有流れも利用する場合、尿素含有流れは、固形(造粒または噴射造粒された)尿素であっても、あるいは尿素含有水性流れであってもよい。固形尿素は、これを溶解させることと、したがって初期縮合物を形成することができる反応混合物を得ることとを目的として、メラミン含有水性流れに混合することができる。尿素含有水性流れは、固形尿素から調製したものであっても、あるいは尿素工場から分離されたものであってもよい。
【0024】
尿素工場には、合成区域および1またはそれ以上の回収区域が含まれ、これに蒸発区域および造粒または噴射造粒区域が続く。合成区域は、NHおよびCOを高温高圧下で尿素に変換する区域である。この反応によって水が遊離する。合成区域から抜き出される流れが合成液であり、これは、尿素および水に加えて、NH、CO、およびカルバメートも含む場合がある。従来通り純粋な固形尿素を得ることを目的とする場合は、合成液は、次いで、回収区域、蒸発区域においてさらなる幾つかの段階に付され、次いで、造粒または噴射造粒によって固形尿素が形成される。尿素工場から尿素含有水性流れがそのまま分離されることは本発明のさらなる利点である。それは、このようにすることで、尿素含有流れを尿素工場の蒸発区域および造粒または噴射造粒区域を通過させることが不要となり、エネルギー、設備投資、および人件費のさらなる節減が可能になるためである。
【0025】
尿素含有水性流れが尿素工場から分離される場合、これは例えば合成液であるかまたは回収区域で形成される尿素水性流れの1つである。尿素工場内の合成区域下流の幾つかの場所から送られてくる幾つかの流れを合一して1つの流れにすることも可能である。尿素工場において尿素含有流れとして製造された尿素の全量を使用することも、あるいは一部の量のみを使用することも同様に可能である。
【0026】
好ましくは、尿素含有流れは、反応器から抜き出される流れ全体の20重量%未満であり、より好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満である。
【0027】
製造された尿素の全体の少なくとも一部は、例えば純粋な尿素を得るための回収区域におけるさらなる段階をすべて通過するわけではないと考えれば、尿素合成区域および回収区域のすべての部品の能力を増大させる必要なく尿素工場が最適化される可能性が本発明による方法により提供される。
【0028】
好ましくは、尿素含有流れの水分含有量は、5%を超え、かつ50%未満である。尿素含有流れには、水を加えることも除去することもできる。
【0029】
メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れを調製するための、メラミン含有水性流れ、任意的な尿素含有流れ、およびホルムアルデヒド含有流れの合一は、メラミン含有水性流れを形成するメラミン合成区域およびメラミンを精製する任意的な回収区域を含む工場内において実施することができ、この工場は、メラミン含有水性流れをホルムアルデヒド含有流れおよび任意的に尿素含有流れと接触させ、それによってメラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れを形成させるかまたはメラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れを形成させる合一区域と、ホルムアルデヒド含有流れおよび任意的な尿素含有流れを合一区域に輸送するためならびにメラミン工場からのメラミン含有水性流れを合一区域に輸送するための手段とを含む。
【0030】
この工場には、尿素含有流れを形成する尿素合成区域および尿素含有流れから尿素以外の化合物を完全にまたは部分的に除去する任意的な回収区域も含まれていてもよく、合一区域に添加される尿素含有流れはこの尿素合成区域に由来するものである。
【0031】
合一区域においては、メラミン含有水性流れ、任意的な尿素含有流れ、およびホルムアルデヒド含有流れが互いに接触され、それによってMFまたはMUF初期縮合物が形成される。これには多かれ少なかれ、メラミン、ホルムアルデヒド、および任意的な尿素の反応、通常は縮合反応が付随する。上記反応は、通常、自発的に進行する。こうした理由から、合一区域で用いるのに適した方法および条件は数多くある。一般に、特定の触媒は必要ない。合一段階は、連続式だけでなく回分式でも実施することができる。合一段階は、大気圧下で実施することができるが、任意的に高圧または減圧下でも実施することができる。通常は、経済性を考慮して、大気圧が選択されるであろう。合一段階を実施する際の温度は広範囲に変化させることができ、通常は、50℃〜150℃の間、好ましくは、この温度は、60℃〜140℃の間、より好ましくは70℃〜120℃の間である。
【0032】
本発明の方法に従い形成されるメラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れにおけるホルムアルデヒドおよびメラミンのモル比(F/M比)は、好ましくは0.5および〜20.0の間、特に好ましくは1.5〜12.0の間にある。
【0033】
メラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れにおけるホルムアルデヒド、尿素、およびメラミンのモル比(F/(NHの比で表される)は、好ましくは0.5〜5.0の間、特に好ましくは1.0〜3.0の間にある。
【0034】
メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れは、メラミンおよび任意的な尿素の量に対してモル過剰のホルムアルデヒドを含む。こうすることにより、これらの流れが確実に長期間安定性を維持するとともに長距離輸送に好適なものとなる。メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れならびにメラミン、尿素、およびホルムアルデヒド含有水性流れは、他の微量成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、未反応の出発物質、ホルムアルデヒド合成または尿素もしくはメラミン調製の副生成物だけでなく、添加剤も挙げられる。このような添加剤の例としては、アルコール、アミン、アミノアルコール、ならびに他の有機および無機化合物が挙げられる。
【0035】
メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れまたはメラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れは、例えば噴霧乾燥によって固形物に変換することができる。この固形物は、水性流れよりも一層長期間にわたって安定である。
【0036】
ホルムアルデヒド含有流れが気体である場合、合一段階は、例えば槽または吸収塔内において、例えばホルムアルデヒド含有流れをメラミン含有水性流れおよび/または尿素含有水性流れに通過させることによって実施することができる。このような吸収塔は、ホルムアルデヒド調製に周知の方法において、気体ホルムアルデヒド流れから水を利用してホルマリンを調製するために使用されている。本発明の実施態様においては、吸収塔を含むホルムアルデヒド調製方法において、吸収塔に水を供給するのではなくメラミン工場からのメラミン含有水性流れおよび任意的な尿素含有流れを供給することによって合一段階を実施することが可能である。
【0037】
メラミン含有水性流れおよび/または尿素含有水性流れ中の水の総量が所望の用途に十分でない場合は、有利には、合一区域に水性流れを供給する。既に形成されたMFまたはMUF初期縮合物に水を供給するかまたは除去することも可能である。
【0038】
こうして形成されたMFまたはMUF初期縮合物は、多くの異なる方法で適用することができる。例えば、MF樹脂もしくはMUF樹脂としてまたはMF樹脂もしくはMUF樹脂中に、またはMFもしくはMUF接着剤としてまたはMFもしくはMUF接着剤中に用いられる。これらの用途においては、MFまたはMUF中にホルムアルデヒドがモル過剰に存在する場合は、メラミンおよび/または尿素を初期縮合物に供給することが必要な場合もある。これによりF/M比が低下するため、このようにすることで例えばMF初期縮合物からMF樹脂またはMF接着剤を製造することができる。これらの段階は当業者に周知である。
【0039】
2つの図面および実施例に基づき、本発明がこれらに限定されることなく明らかになるであろう。
【0040】
図1は、従来技術によるMF樹脂の製造方法を説明するものである。メラミンは、MF樹脂工場の場所とは異なる場所にあるメラミン工場で製造される。メラミン(M)は、メラミン工場において、尿素(U)をメラミン反応器(R)に加えることによって製造される。メラミン工場にはさらに、急冷器(Q)、ストリッパー(S)、回収区域(O)、および乾燥器(D)が含まれる。メラミン工場では固形メラミンが製造され、これは貯蔵および輸送される。MF樹脂工場の場所と同じ場所にホルムアルデヒド工場があり、ここには合成区域(FH)および吸収区域(A)が含まれる。合成区域には空気(L)およびメタノールが導入され、高温下で触媒を用いることによってホルムアルデヒドが形成される。
【0041】
次いで、ホルムアルデヒドは吸収区域に輸送され、ここで気体ホルムアルデヒドが水に吸収される。次いで、このホルムアルデヒド溶液はMF樹脂工場に投入される。樹脂の調製に必要なメラミンは、メラミン工場から長距離輸送されることによって供給され、まず固形メラミンが水に溶解される。次いで、このメラミン水溶液は、MF樹脂(MF)を調製するために樹脂工場に投入される。
【0042】
図2は、本発明によるMF初期縮合物(MFP)を出発物質としてMF樹脂(MF)を製造する方法について説明するものである。樹脂工場の場所は、MF初期縮合物の製造に必要なメラミン工場およびホルムアルデヒド工場のある場所とは異なっている。MF初期縮合物は、MF樹脂が調製される場所まで輸送される。固形メラミン(M)または溶解された固形メラミンも任意的にMF樹脂工場に加えられる。メラミンは、メラミン工場において尿素(U)をメラミン反応器(R)に加えることによって製造される。メラミン工場にはさらに、急冷器(Q)およびストリッパー(S)が含まれる。ストリッパーを経た後に得られるメラミン含有水性流れは本発明による合一区域(C)に投入される。合成区域(FH)を含むホルムアルデヒド工場においては、ホルムアルデヒドが高温下で触媒を用いることによって製造される。ここで形成されたホルムアルデヒドガスも本発明による合一区域に加えられ、ここでメラミン含有水性流れに吸収され、その結果として、MF初期縮合物(MFP)が形成される。
【0043】
実施例I
MF初期縮合物を調製するために、ホルムアルデヒド含有流れ497gを2.0Lの反応器に加えた。ホルムアルデヒド含有流れのpHをNaOHを用いて8.5に合わせ、メラミン含有水性流れ466gを加えた。
【0044】
このメラミン含有水性流れは、メラミン工場のストリッパーを経た後にそのまま分離されたものである。
【0045】
このメラミン含有水性流れには、メラミン79重量%および水21重量%が含まれており、ホルムアルデヒド含有流れには、ホルムアルデヒド30重量%および水70重量%が含まれていた。
【0046】
次いで、pHを8.5に戻した。
【0047】
この溶液を95℃に加熱した。10分後に反応が開始し、約40分後に曇点に達するまでこれを監視した。曇点とは、20℃の大量の水に初期縮合物を1滴加えたときに、もはやそのままでは溶解せずに、濁りを示す時点と定義される。
【0048】
さらに反応を監視し、水トレランス(water tolerance)(WT)を測定するために試料を10分毎に採取した。WTが2.3に達したら、室温に冷却することによって反応を停止した。
【0049】
WTとは、20℃において、初期縮合物が濁り出すまでに初期縮合物1グラムに添加できる水の量(グラム)と定義される。
【0050】
MF初期縮合物が完全に冷却される前に2μmの濾過器で濾過した。
【0051】
このWT値に達した初期縮合物は30日間を超えて安定であり、さらなる反応を行うことなく輸送することができる。
【0052】
固形分率が55重量%であり、F/Mモル比が1.7であるMF初期縮合物が得られた。
【0053】
噴霧乾燥を行うことにより、永続的に安定なMF初期縮合物を得ることができる。
【0054】
実施例II
MF初期縮合物を調製するために、ホルムアルデヒド含有流れ300gを2.0Lの反応器に加えた。ホルムアルデヒド含有流れのpHをNaOHを用いて7.9に合わせ、メラミン含有水性流れ547gを加えた。
【0055】
このメラミン含有水性流れは、メラミン工場のストリッパーを経た後にそのまま分離されたものである。
【0056】
このメラミン含有水性流れには、メラミン79重量%および水21重量%が含まれており、ホルムアルデヒド含有流れには、ホルムアルデヒド55.4重量%および水44.6重量%が含まれていた。
【0057】
次いで、pHを7.9にした。
【0058】
この溶液を60℃に加熱した。10分後に反応が開始し、約45分後に曇点に達するまでこれを監視した。曇点とは、20℃の大量の水に初期縮合物を1滴加えたときに、もはやそのままでは溶解せずに、濁りを示す時点と定義される。
【0059】
さらにこの反応を、総反応時間が300分に達するまで監視した。F/Mモル比が10であるMF初期縮合物が得られた。
【0060】
この初期縮合物は30日間を超えて安定であり、さらなる反応を行うことなく輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、従来技術によるMF樹脂の製造方法を説明するものである。
【図2】図2は、本発明によるMF初期縮合物(MFP)を出発物質としてMF樹脂(MF)を製造する方法について説明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法であって、メラミン工場由来のメラミン含有水性流れをアルデヒド含有流れと接触させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
メラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れの製造方法であって、メラミン工場由来のメラミン含有水性流れと尿素含有流れとをアルデヒド含有流れと接触させることを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記メラミン含有水性流れが、前記アルデヒド含有流れと接触される前に精製されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記尿素含有流れが、尿素工場に由来することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記アルデヒドが、ホルムアルデヒドであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れのF/M比が、0.5〜20.0であることを特徴とする、請求項1、3、または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記メラミン、尿素、およびアルデヒドを含有する水性流れのF/(NH比が0.5〜5.0であることを特徴とする、請求項2、4、または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ホルムアルデヒド含有流れが、ホルムアルデヒド工場由来の気体流れであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記メラミン含有水性流れが、水を5〜50重量%含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記メラミン含有水性流れが、前記メラミン工場のストリッパーに由来することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記メラミン含有水性流れおよび任意的な前記尿素含有流れと前記ホルムアルデヒド含有流れとの前記接触が、前記ホルムアルデヒド工場において実施されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記メラミン含有水性流れと前記ホルムアルデヒド含有流れとの前記接触が、前記ホルムアルデヒド工場内の吸収塔において実施されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記メラミンおよびアルデヒドを含有する水性流れが、濾過によって精製されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
反応器、急冷器、およびストリッパーを含むメラミン合成区域ならびに前記メラミンを精製する回収区域を含むメラミン工場を最適化する方法であって、前記メラミン合成区域の能力を前記回収区域の能力を超えて増大させ、かつ前記メラミン合成区域からのメラミン流れの一部をメラミン含有水性流れとして請求項1または2に記載の方法に用いることを特徴とする、方法。
【請求項15】
メラミン含有水性流れを形成するメラミン合成区域および前記メラミンを精製する任意的な回収区域を含む、メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れを調製するための工場であって、前記工場が、前記メラミンおよびホルムアルデヒドを含有する水性流れが形成されるように前記メラミン含有水性流れをホルムアルデヒド含有流れと接触させる合一区域と、前記ホルムアルデヒド含有流れを合一区域に輸送するためならびにメラミン工場からの前記メラミン含有水性流れを前記合一区域に輸送するための手段とを含むことを特徴とする、工場。
【請求項16】
メラミン含有水性流れを形成するメラミン合成区域および前記メラミンを精製する任意的な回収区域を含む、メラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れを調製するための工場であって、前記工場が、前記メラミン、尿素、およびホルムアルデヒドを含有する水性流れが形成されるように前記メラミン含有水性流れを尿素含有流れおよびホルムアルデヒド含有流れと接触させる合一区域と、前記ホルムアルデヒド含有流れおよび前記尿素含有流れを合一区域に輸送するためならびにメラミン工場からの前記メラミン含有水性流れを前記合一区域に輸送するための手段とを含むことを特徴とする、工場。
【請求項17】
前記工場が、尿素含有流れを形成する尿素合成区域および前記尿素含有流れから尿素以外の化合物を完全にまたは部分的に除去する任意的な回収区域をさらに含むことを特徴とし、前記合一区域に加えられる前記尿素含有流れが、前記尿素合成区域に由来することを特徴とする、請求項16に記載の工場。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−518043(P2008−518043A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537820(P2007−537820)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000712
【国際公開番号】WO2006/043805
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】