説明

メンテナンス装置およびそのプログラム

【課題】ユーザが日常的に使用する状態でネットワークを介したメンテナンスを可能とするためのメンテナンス装置を提供すること。
【解決手段】メンテナンス装置73に、宅内ネットワークに設定された固有の通信方式に設定変更する通信制御方式設定処理部11を具備し、ユーザが日常的に使用するいつもの動作状態でネットワーク上の家電機器をメンテナンスできる構成となり、固有の通信方式による通信を行うメンテナンス用通信制御処理部81と、実際のメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理部82を、それぞれ別の装置として構成することで、セキュリティを含む固有の通信方式ををメンテナンス業者などの第3者に渡さなくてもよい構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅内ネットワークに接続された家電機器を、宅内ネットワークを介してメンテナンスを行うメンテナンス装置およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家電機器をネットワークに接続する技術が開発されている。ネットワークに接続された家電機器は、宅内および宅外より操作することができる。宅内には、複数台の家電機器が存在し、宅内に存在する複数台の家電機器は同一の宅内ネットワークに接続され、管理される状況が一般的である。
【0003】
このようなシステムにおいては、宅内ネットワークを介して家電機器のメンテナンスを実行することができる。また、最近、情報セキュリティの観点から、宅内ネットワークにおいても、通信時に簡単には部外者が知りえないユーザ固有の情報を電文に付加したり、電文の暗号化を行うなどのセキュリティ対策がとられ始めている。
【0004】
セキュリティ対策された宅内ネットワークにおいて、宅内ネットワークを介してメンテナンスを行うために、家電機器で予め定められたメンテナンス用の通信方式に保持しておき、メンテナンス時にはその通信方式に設定変更し、メンテナンスを実行する方法がとられている。家電機器に予め定められたメンテナンス用の通信方式は、メンテナンス業者などで予め設定された通信方式であり、個々のユーザ固有の情報に依存するものではない(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
図7〜図9は、本発明の適用される通信システム及び従来の一般的なメンテナンス装置の構成、及びメンテナンス開始までの処理シーケンスを示すものである。図7は、従来及び本発明が適用される通信システムの一構成例を、図8は、従来のメンテナンス装置の一構成例を、図9は、従来のメンテナンス装置によるメンテナンス開始までの処理シーケンスの一例を示す。図7〜9を用いて、従来及び本発明の適用されるシステム及び従来の技術について説明する。
【0006】
従来及び本発明の適用される宅内のネットワーク71には、家電機器A72a、家電機器B72b、家電機器C72cの複数台の家電機器が接続されている。家電機器A72aのメンテナンスを実行する際には、メンテナンス装置73を家電機器A72aと同一のネットワーク71に接続する構成となる。
【0007】
メンテナンス装置73aは、通信制御処理部(図8の81)を具備し、宅内のネットワーク71に接続する構成である。セキュリティ設定された宅内のネットワーク71にメンテナンス装置73aを接続し、メンテナンスを実行するためには、家電機器A72aをメンテナンス用として設定された通信方式と同様の通信方式を用いて動作させていた。
【0008】
さらに、宅内のネットワーク71上には複数台の家電機器が存在するため、メンテナンス装置73aは、メンテナンス対象となる家電機器を特定する必要があり、対象機器特定処理部83でメンテナンス対象となる家電機器を特定するための情報(宛先情報)を設定する形がとられていた。
【0009】
以上のような構成において、メンテナンス装置73aは、対象機器特定処理部83にメンテナンス対象となる家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定するための情報(宛先情報)を設定(図9のS91)する。メンテナンス対象となる家電機器(例えば、家電機器A72a)は、動作状態をユーザが日常的に使用する動作状態から予め定められたメンテナンス用の通信方式に通信方式を変更する(S92)。
【0010】
メンテナンス装置73aは、メンテナンス対象となる家電機器(例えば、家電機器A72a)と予め定められたメンテナンス用の通信方式で通信を確立し(S93)、メンテナンス処理制御処理部82aでメンテナンス用通信方式で定められたメンテナンス処理を開始する(S94)。メンテナンス装置73aは、メンテナンス用通信方式で定められたメンテナンス情報(S96)に、対象機器特定処理部83で設定されたメンテナンス対象の家電機器を特定するための情報(宛先情報)(S95)を付加し、ネットワーク71を介してメンテナンス対象の家電機器(例えば、家電機器A72a)へ送信する。
【0011】
前記したメンテナンス対象の家電機器の特定方法として、例えば、メンテナンス対象の家電機器が保持する家電機器固有の情報(アドレスなど)をメンテナンス用として予め設定されたアドレスに設定変更し、メンテナンス装置は、メンテナンス情報をメンテナンス用のアドレス宛に送信することで、メンテナンス対象の家電機器にメンテナンス情報を送信する方法がある。また、前記したメンテナンス対象の家電機器の特定方法として、家電機器固有の情報(アドレスなど)をメンテナンス装置に設定する方法がある。
【特許文献1】特開2003−241827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような従来の構成では、家電機器に予め定められたメンテナンス用の通信方式は、メンテナンス業者などで予め設定された通信方式であり、メンテナンス用に特別の動きをするものとなり、家電機器の動作のメンテナンスを特定の条件下でしか行うことができない。したがって、メンテナンス対象となる家電機器をユーザが日常的に使用する動作状態で確認することができず、実際の動作状態でのメンテナンスにはならないという課題を有している。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、セキュリティ対策されたネットワークに接続された家電機器であってもユーザが日常的に使用する動作状態でメンテナンス可能とするためのメンテナンス装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するために本発明は、メンテナンス装置を、宅内ネットワークに接続するための通信制御処理部と、メンテナンス処理を実行するためのメンテナンス処理制御処理部と、前記通信制御処理部にセキュリティを含む固有の通信方式の設定変更を行う通信制御方式処理部を具備する構成とする。
【0015】
メンテナンス装置の通信制御方式処理部に、セキュリティを含む固有の通信方式として宅内個別情報(セキュリティ情報等)を設定することにより、メンテナンス対象の家電機器で予めメンテナンス用の通信方式を持たせることなく、メンテナンス対象となる家電機器の動作状態をユーザが日常的に使用する宅内個別情報(セキュリティ情報等)が設定された状態でメンテナンスすることが可能となり、メンテナンス対象の家電機器の動作確認を実際の動作状態にて行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のメンテナンス装置およびそのプログラムは、セキュリティ対策されたネットワークに接続された家電機器であってもユーザが日常的に使用する動作状態でメンテナンス可能とし、宅内のネットワークとの通信を制御する通信制御処理部と、実際のメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理制御部とをそれぞれ別の装置として構成することで、セキュリティに対するユーザの安心感を増大させ、また、メンテナンス処理制御部側の構成を軽くし、メンテナンス処理の性能の向上にも繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、メンテナンス装置を、宅内ネットワークとの通信を制御する通信制御処理部と、セキュリティを含む固有の通信方式を有する前記宅内ネットワークの通信方式を前記通信制御処理部に設定および変更する通信制御方式設定処理部と、前記通信制御処理部を介して前記宅内ネットワークに接続された家電機器のメンテナンス処理を実行するためのメンテナンス処理制御部と、前記メンテナンス処理制御部が前記宅内ネットワークに接続された家電機器からメンテナンス対象機器を特定するための情報を処理する対象機器特定処理部を具備する構成を有する。
【0018】
これにより、メンテナンス装置でセキュリティを含む固有の通信方式の設定変更を行うことができ、メンテナンス対象の家電機器で予めメンテナンス用の通信方式を持たせることなく、メンテナンス対象となる家電機器の動作状態をユーザが日常的に使用する宅内個別情報(セキュリティ情報等)が設定された状態でメンテナンスを可能とし、メンテナンス対象の家電機器の動作確認を実際の動作状態にて行うことができる。
【0019】
第2の発明は、メンテナンス装置を、固有の通信方式を有する宅内ネットワークに接続し、前記固有の通信方式によって前記宅内ネットワークに接続された家電機器とメンテナンスの通信を行う通信制御処理部と、前記通信制御処理部によって通信したメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理制御部を、それぞれ別の装置として構成し、前記通信制御処理部を具備するメンテナンス用通信制御処理装置と、前記メンテナンス処理制御部を具備するメンテナンス本体装置を有する構成とする。
【0020】
これにより、メンテナンス処理を実行させるメンテナンス本体装置に家電機器との通信を制御するための処理部を具備しない構成が可能となり、メンテナンス本体装置の構成を軽くすることができる。
【0021】
第3の発明は、第2の発明に加え、メンテナンス用通信制御処理装置は、前記通信制御処理部にセキュリティを含む固有の通信方式の設定および変更を行う通信制御方式設定処理部を具備することにより、ユーザは、宅内ネットワークに接続するための宅内個別情報(セキュリティ情報等)をメンテナンス業者などの第3者に渡さなくてもよい構成となり、安心感の増大につながる。
【0022】
第4の発明は、第2の発明に加え、メンテナンス用通信制御処理装置を、前記通信制御処理部を介して前記宅内ネットワークに接続された複数の家電機器のうちメンテナンス対象となる家電機器を特定する情報を設定する対象機器設定処理部と、前記対象機器設定処理部で設定された対象機器情報を用いて前記通信制御処理部の宛先情報を制御する対象機器情報制御部を具備する構成を有する。
【0023】
これにより、メンテナンス本体装置は、メンテナンス実行の際に、メンテナンス対象の家電機器を特定し、宛先情報を制御する必要がなくなり、メンテナンス本体装置の構成をさらに軽くすることができる。さらに、メンテナンス用通信制御処理装置は、メンテナンスの際にメンテナンス本体装置の処理負荷を軽減することができ、メンテナンス本体装置のメンテナンス処理の性能向上にも繋がる。
【0024】
第5の発明は、第1〜4の発明のいずれか記載のメンテナンス装置の機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムである。そして、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させて本発明のメンテナンス装置の少なくとも一部を容易に実現することができる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図7は本実施の形態の適用される通信システムを示し、図1は、本発明における第1の実施の形態にかかわるブロック図を示し、図2は、図1における動作の一例を示したシーケンス図を示している。
【0027】
図7において、本実施の形態の適用される宅内のネットワーク71には、家電機器A72a、家電機器B72b、家電機器C72cの複数台の家電機器が接続されている。家電機器A72aのメンテナンスを実行する際には、メンテナンス装置73を家電機器A72aと同一のネットワーク71に接続する構成となる。
【0028】
図1において、宅内のネットワーク71に接続されたメンテナンス装置73bは、宅内ネットワーク71に接続するための通信制御処理部81と、メンテナンス処理を実行するためのメンテナンス処理制御処理部82aと、通信制御処理部81にセキュリティを含む固有の通信方式の設定変更を行う通信制御方式設定処理部11と、接続されたネットワーク71上からメンテナンス対象となる家電機器を特定するための情報(アドレスなど)を処理する対象機器特定処理部83を具備した構成とする。
【0029】
以上のように構成されたメンテナンス装置において、図2を用いて、その動作を説明する。
【0030】
メンテナンス業者がメンテナンスを行う場合には、まず、通信制御方法設定処理部11で対象となる家庭のネットワークの通信に関わる宅内個別情報(セキュリティ情報等)を入力する(S21)。ここで、セキュリティ情報とは、自宅内ネットワークと他宅内ネットワークを識別するための情報や、自宅内ネットワーク上での通信データを暗号化するための情報などがある。宅内個別情報(セキュリティ情報等)を入力された通信制御方式設定処理部11は、通信制御処理部81の通信方法を、前記宅内個別情報(セキュリティ情報等)を用いた通信方式に設定変更する(S22)。
【0031】
通信制御処理部81の通信制御方式変更後、メンテナンス業者は、対象機器特定処理部83にメンテナンス対象の家電機器(例えば、家電機器A72aなど)を特定する情報(宛先情報)を設定し(S23)、メンテナンス処理制御部82aに設定されたメンテナンス処理を開始する(S24)。
【0032】
メンテナンス装置73bは、メンテナンス処理制御部82aで設定されたメンテナンス情報(S25)に対象機器特定処理部83に設定されたメンテナンス対象の家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定する情報(宛先情報)(S26)を加え、ネットワーク71を介してメンテナンス対象の家電機器(例えば、家電機器A72a)へ送信する。このとき、家電機器側では、メンテナンスモードに設定するなどの特別の処理を行う必要はない。
【0033】
これにより、メンテナンス対象の家電機器を予め設定されたメンテナンス用の通信方式に設定変更することなく、いつも動作している状態でメンテナンスを行うことが可能となる。
【0034】
前記した宅内個別情報の設定方法として、例えば、メンテナンス装置73bに表示領域と入力キーを備えた入力処理部(図示せず)を具備し、ECHONET(登録商標)のような無線通信では、入力処理部から宅内個別情報(セキュリティ情報等)として各家庭を識別するための符号であるハウスコードを設定する。これによって、メンテナンス装置73bは、メンテナンス装置73bに具備された入力処理部からの入力により宅内個別情報(セキュリティ情報等)を設定可能となり、宅内個別情報(セキュリティ情報等)を入力するために他の装置を必要としない構成とすることができる。
【0035】
また、前記した宅内個別情報(セキュリティ情報等)の設定方法として、メンテナンス装置73bにUSBやRS232Cなどのインタフェース(図示せず)を具備し、前記USBやRS232Cなどのインタフェースに接続された入力装置(パソコンなど)から宅内個別情報(セキュリティ情報等)を設定する。これによって、メンテナンス装置73bは、宅内個別情報(セキュリティ情報等)を入力するための入力処理部をメンテナンス装置73bに具備しない構成とすることが可能となり、メンテナンス装置の構成を軽くすることができる。
【0036】
また、前記した宅内個別情報(セキュリティ情報等)の設定方法として、宅内ネットワーク71を介してネットワーク71上の他の機器から特定のコマンドの送受信により情報を取得する。これによって、メンテナンス装置73bは、宅内個別情報(セキュリティ情報等)を取得するために表示領域や入力キーなどの入力処理部、またはUSBやRS232Cなどのインタフェースなどの新たなハード構成なく宅内個別情報(セキュリティ情報)を取得可能となり、メンテナンス装置73bの構成をより軽くすることができ、さらにメンテナンス装置73をより安価な構成とすることができる。
【0037】
(実施の形態2)
図3は、本発明における第2の実施の形態にかかわるブロック図を示し、図4は、図3における動作の一例を示したシーケンス図を示している。
【0038】
図3において、ネットワーク71に接続されるメンテナンス装置73cは、固有の通信方式を有する宅内ネットワーク71に接続し、固有の通信方式による通信を行う通信制御処理部81と、実際のメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理制御部82aを、それぞれ別の装置として構成する。
【0039】
固有の通信方式を有する宅内ネットワーク71に接続するメンテナンス用通信制御処理装置31aは、宅内ネットワーク71に設定された固有の通信方式による通信を行う通信制御処理部81と、メンテナンス処理制御部82aを有するメンテナンス本体装置32aと相互に通信可能とする通信処理部33を具備する構成とする。
【0040】
実際のメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理制御部82aを有するメンテナンス本体装置32aは、宅内ネットワーク71に接続された複数の家電機器のうちメンテナンスを行う家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定する対象機器特定処理部83と、メンテナンス用通信制御処理装置31と相互に通信可能とする通信処理部34を具備する構成とする。
【0041】
以上のように構成されたメンテナンス装置において、図4を用いて、その動作を説明する。
【0042】
図4は、第2の実施の形態におけるシーケンスの一例を示したものである。メンテナンス用通信制御処理装置31aは、宅内ネットワーク71と接続する通信制御処理部81に宅内個別情報(セキュリティ情報等)を用いた通信制御方式の設定を行う(S42)。メンテナンス本体装置32aは、メンテナンス対象となる家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定するための情報を取得し、対象機器の特定を行う(S41)。メンテナンス用通信制御処理装置31aおよびメンテナンス本体装置32aは、それぞれ通信制御方式の設定(S42)および対象機器の特定(S41)後、メンテナンス用通信制御処理装置31aとメンテナンス本体装置32a間の通信確立処理を行う(S43)。
【0043】
メンテナンス用通信制御処理装置31aとメンテナンス本体装置32aは、通信確立処理(S43)により通信可能となると、メンテナンス本体装置32aは、メンテナンス情報(S44)に対象機器特定処理部83に設定されたメンテナンス対象の家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定する情報(宛先情報)(S45)を加え、メンテナンス用通信制御処理装置31aへ送信する。
【0044】
メンテナンス用通信制御処理装置31aは、メンテナンス本体装置32aから宛先情報(S45)およびメンテナンス情報(S44)を受信すると、メンテナンス情報(S46)に宛先情報(S47)を付与しネットワーク71を介してメンテナンス対象の家電機器(例えば、家電機器A72a)へ送信する。このとき、家電機器側では、メンテナンスモードに設定するなどの特別の処理を行う必要はない。
【0045】
前記したメンテナンス用通信制御処理装置31aの通信処理部33とメンテナンス本体装置32aの通信処理部34との通信方法として、例えば、USBケーブルやRS232Cケーブルなどで接続し、コマンドによりデータの送受信を行う方法がある。
【0046】
また、前記したメンテナンス用通信制御処理装置31aへ宅内個別情報(セキュリティ情報等)を用いた通信制御方式の設定方法として、例えば、メンテナンス用通信制御処理装置31aを表示領域と入力キーを備えた入力処理部(図示せず)を具備した構成とし、ECHONET(登録商標)のような無線通信では、宅内個別情報(セキュリティ情報等)としてハウスコードを設定する方法がある。これによって、メンテナンス用通信制御処理装置31aは、メンテナンス用通信制御処理装置31aに具備された入力処理部からの入力により宅内個別情報(セキュリティ情報等)を設定可能となり、宅内個別情報(セキュリティ情報等)を入力するために他の装置を必要としない構成とすることができる。
【0047】
また、前記したメンテナンス用通信制御処理装置31aへ宅内個別情報(セキュリティ情報等)の設定方法として、メンテナンス用通信制御処理装置31aに宅内個別情報をパソコンなどの外部装置から入力するために、USBやRS232Cなどのインタフェース(図示せず)をメンテナンス用通信制御処理装置31aに具備し、前記インタフェースに接続された入力装置から入力される宅内個別情報により設定する方法がある。これによって、メンテナンス用通信制御処理装置31は、宅内個別情報(セキュリティ情報等)を入力するための入力処理部をメンテナンス用通信制御処理装置31aに新たに具備しない構成とすることが可能となり、メンテナンス用通信制御処理装置31aの構成を軽くすることができる。
【0048】
また、前記したメンテナンス用通信制御処理装置31aへ宅内個別情報(セキュリティ情報等)の設定方法として、メンテナンス用通信制御処理装置31aをネットワーク71に接続し、宅内ネットワーク71を介してネットワーク71上の他の家電機器(例えば、家電機器B72b、家電機器C72c)からコマンドの送受信により宅内個別情報(セキュリティ情報等)を取得する方法がある。これによって、メンテナンス用通信制御処理装置31aは、宅内個別情報(セキュリティ情報等)を取得するために表示領域や入力キーなどの入力処理部、またはUSBやRS232Cなどのインタフェースなどの新たなハード構成なく取得可能となり、メンテナンス用通信制御処理装置31の構成をより軽くすることができ、さらにメンテナンス用通信制御処理装置31aをより安価な構成とすることにつながる。
【0049】
以上のような本実施の形態において、メンテナンス装置73cは、メンテナンス処理を実行させるメンテナンス本体装置32aに家電機器72aとの通信を制御するための処理部を具備しない構成が可能なため、メンテナンス業者はメンテナンス本体装置32aの構成を軽くすることができる。メンテナンス本体装置32aの構成を軽くすることができる。
【0050】
(実施の形態3)
また、図3、図4のように、実施の形態2における本発明のメンテナンス装置73cのメンテナンス用通信制御処理装置31aに宅内ネットワーク71に接続するための宅内個別情報(セキュリティ情報等)を設定するための通信制御方式設定処理部11を具備する構成とし、通信制御方式の設定(S42)を行う構成とする。
【0051】
以上のような本実施の形態において、宅内ネットワーク71に接続するための宅内個別情報(セキュリティ情報等)を用いた通信制御方式の設定(S42)するメンテナンス用通信制御処理装置31aをユーザが管理し、メンテナンス処理を実行するメンテナンス本体装置32aをメンテナンス業者などの第3者が管理する構成が可能なため、ユーザは宅内ネットワーク71に接続するための宅内個別情報(セキュリティ情報等)をメンテナンス業者などの第3者に渡さなくても良い構成となり、安心感の増大になる。
【0052】
(実施の形態4)
図5は、本実施の形態における第4の発明にかかわるブロック図を示し、図6は、図5における動作の一例を示したシーケンス図を示している。
【0053】
図5において、メンテナンス用通信制御処理装置31bは、実施の形態2に加え、宅内ネットワークに接続された複数の家電機器のうちメンテナンスを行う家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定する情報を設定するための対象機器設定処理部51と、対象機器設定処理部51で設定された情報を制御する対象機器情報制御部52を具備する構成とする。
【0054】
以上のように構成されたメンテナンス装置において、図6を用いて、その動作を説明する。
【0055】
図6は、第4の実施の形態におけるシーケンスの一例を示したものである。
【0056】
メンテナンス用通信制御処理装置31bは、通信制御方式設定処理部11で宅内個別情報(セキュリティ情報等)による通信方式の設定を行う(S61)。さらに、メンテナンス用通信制御処理装置31bは、ネットワークに接続された複数の家電機器のうちメンテナンスを行う家電機器(例えば、家電機器A72a)を特定する(S62)。メンテナンス用通信制御処理装置31bは、宅内個別情報(セキュリティ情報等)による通信方式の設定(S61)およびメンテナンス対象の家電機器の特定(S62)後、メンテナンス本体装置32bと通信確立処理を行う(S63)。
【0057】
メンテナンス用通信制御処理装置31bとメンテナンス本体装置32bは、通信確立処理により通信可能となる(S63)と、メンテナンス情報をメンテナンス用通信制御処理装置31bに送信する(S64)。メンテナンス用通信制御処理装置31bは、メンテナンス本体装置32bから受信したメンテナンス情報(S64)に対象機器設定処理部51に設定されたメンテナンス対象の家電機器を特定する情報(宛先情報)を対象機器情報制御部52で付加し(S65)、宛先情報(S66)を付与したメンテナンス情報(S67)を家電機器A72aへ送信する。
【0058】
前記した対象機器情報制御部52での制御方法として、例えば、ECHONET(登録商標)のようなホームネットワークシステムでは、メンテナンス本体装置32bから受信したメンテナンス内容にECHONET(登録商標)アドレスを付加し、ネットワーク71上の家電機器A72aに対してメンテナンス内容を送信する方法がある。
【0059】
また、前記した対象機器情報制御部52での制御方法として、ネットワーク71上の家電機器A72aから宛先情報をメンテナンス用通信制御処理装置31bとしたメンテナンス内容を受信した場合、メンテナンス内容のみをメンテナンス本体装置32bへ送信する方法がある。これによって、メンテナンス本体装置32bは、メンテナンス対象となる家電機器A72aを特定する必要がなくなり、メンテナンス用通信制御処理装置31bは、メンテナンス本体装置32bの処理負荷を軽減することが可能となる。
【0060】
以上のような本実施の形態において、メンテナンス本体装置は、メンテナンス対象の家電機器を特定するための処理をメンテナンス実行の際に行う必要がなくなり、メンテナンス本体装置の構成をさらに軽くすることができる。さらに、メンテナンス用通信制御処理装置は、メンテナンスの際にメンテナンス本体装置の処理負荷を軽減することができ、メンテナンス本体装置のメンテナンス処理の性能向上にも繋がる。
【0061】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように本発明のメンテナンス装置およびそのプログラムにより、メンテナンス業者は、セキュリティ対策されたネットワークに接続された家電機器であってもユーザが日常的に使用するいつもの動作状態でメンテナンス可能となり、さらに、宅内個別情報(セキュリティ情報等)をユーザにより管理することで、宅内ネットワークの情報セキュリティにも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態1のメンテナンス装置の構成例を示す図
【図2】本実施の形態1のメンテナンス装置におけるシーケンスの一例を示す図
【図3】本実施の形態2、3のメンテナンス装置の構成例を示す図
【図4】本実施の形態2、3のメンテナンス装置におけるシーケンスの一例を示す図
【図5】本実施の形態4のメンテナンス装置の構成例を示す図
【図6】本実施の形態4のメンテナンス装置におけるシーケンスの一例を示す図
【図7】本実施の形態および従来技術の適用されるメンテナンスシステムの構成を示す図
【図8】従来のメンテナンス装置の一構成例を示す図
【図9】従来のメンテナンス装置におけるシーケンスの一例を示す図
【符号の説明】
【0064】
11 通信制御方式設定処理部
31a、31b メンテナンス用通信制御処理装置
32a、32b メンテナンス本体装置
33 メンテナンス用通信制御処理装置のメンテナンス本体装置間の通信処理部
34 メンテナンス本体装置のメンテナンス用通信制御処理装置間の通信処理部
51 対象機器設定処理部
52 対象機器情報制御部
71 対象とする通信ネットワーク
72a、72b、72c 家電機器
73a、73b、73c、73d メンテナンス装置
81 通信制御処理部
82a、82b メンテナンス処理制御部
83 対象機器特定処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅内ネットワークとの通信を制御する通信制御処理部と、セキュリティを含む固有の通信方式を有する前記宅内ネットワークの通信方式を前記通信制御処理部に設定および変更する通信制御方式設定処理部と、前記通信制御処理部を介して前記宅内ネットワークに接続された家電機器のメンテナンス処理を実行するためのメンテナンス処理制御部と、前記メンテナンス処理制御部が前記宅内ネットワークに接続された家電機器からメンテナンス対象機器を特定するための情報を処理する対象機器特定処理部を具備することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
固有の通信方式を有する宅内ネットワークに接続し、前記固有の通信方式によって前記宅内ネットワークに接続された家電機器とメンテナンスの通信を行う通信制御処理部と、前記通信制御処理部によって通信したメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理制御部を、それぞれ別の装置として構成することを特徴とし、前記通信制御処理部を具備するメンテナンス用通信制御処理装置と、前記メンテナンス処理制御部を具備するメンテナンス本体装置で構成することを特徴とする請求項1記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
請求項2において、宅内ネットワークに接続された家電機器とメンテナンスの通信を行う通信制御処理部を具備するメンテナンス用通信制御処理装置は、前記通信制御処理部にセキュリティを含む固有の通信方式の設定および変更を行う通信制御方式設定処理部を具備することを特徴とする請求項2記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
請求項2において、前記通信制御処理部を具備するメンテナンス用通信制御処理装置は、前記通信制御処理部を介して前記宅内ネットワークに接続された複数の家電機器のうちメンテナンス対象となる家電機器を特定する情報を設定する対象機器設定処理部と、前記対象機器設定処理部で設定された対象機器情報を用いて前記通信制御処理部の宛先情報を制御する対象機器情報制御部を具備することを特徴とする請求項2記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のメンテナンス装置の機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−157116(P2006−157116A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340226(P2004−340226)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】