説明

メール管理支援システム及び方法

【課題】 受信メールを好適に管理できるような支援を行う。
【解決手段】 メール管理支援システム(1)には、一以上の第一アカウントでの未分類の受信メールの分類結果を管理する分類管理手段(21)と、その分類結果に基づいて、第二のアカウントの未分類の受信メールをどのように分類するかの分類候補を計算する計算手段(15)と、前記計算された分類候補を表示する表示手段(15)とが備えられる。未分類の受信メールは、例えば、一以上の第一アカウントと第二アカウントとを含む複数のアカウントを宛先とした電子メールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの管理を支援するためのコンピュータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子メールを管理するための技術として、例えば特許文献1に開示の電子メール管理方法が知られている。この電子メール管理方法では、送信管理テーブルAと受信管理テーブルBとが用意される。送信管理テーブルAには、メールの送信時に、送信メールの識別子(ID)、日時、送付先等の付属情報とともに、リプライメールならその元になったメールのIDを、フォワードメールなら対象メールのIDが記入される。一方、受信管理テーブルBには、メールの受信時に、付属情報とともに、リプライメールなら元になった送信メールのIDが記入され、送信管理テーブルAを検索して自分の送信メールに対するメールならそのIDが記入される。これらのテーブルA,Bに記入された情報により、送受信メール間の関係を明示し、その探索によってその関係を自動的に抽出することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平9−54733号公報(例えば要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子メールソフトウェアには、一般に、送信フォルダと受信フォルダとがデフォルトで用意されている。送信箱には、送信した順序で電子メール(以下、送信メール)が蓄積されていき、受信箱には、受信した順序で電子メール(以下、受信メール)が蓄積されていく。そのため、送信箱や受信箱には、電子メールの本文や宛先或いは送信元等の属性に関係なく送信メールや受信メールが蓄積されていく。このままでは、送信メールや受信メールの管理が難しい。
【0005】
そこで、ユーザは、送信箱或いは受信箱の下位に、ユーザ所望の名前を付した一又は複数の新たなフォルダを作成し、送信箱或いは受信箱に蓄積されている電子メールを、電子メールの属性に基づいて、新たに作成した一又は複数のフォルダに分類することにより、電子メールの管理を行うことがある。電子メールの分類では、送信メールよりも受信メールの分類の方が幾分面倒であると考えられる。受信メールは、送信メールと違って、ユーザの意志とは関係なく来たものであり、また、本文を読まないと内容を理解できないことがあり、更に、本文を読まないまま放置されたままになることもあるからである。
【0006】
電子メールの管理技術として上述した特許文献1に開示の技術があるが、これは主に送信メールの管理のためのものであるので、受信メールの管理には適さないと考えられる。
【0007】
従って、本発明の一つの目的は、受信メールを好適に管理できるような支援を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの側面に従うメール管理支援システムは、一以上の第一アカウントでの受信メールの分類結果を管理する分類管理手段と、前記分類結果に基づいて、第二のアカウントの受信メールをどのように分類するかの分類候補を計算する計算手段と、前記計算された分類候補を表示する表示手段とを備える。「分類結果」は、今までの分類の履歴であっても良いし、現在の分類状況であってもよい。表示される分類候補は、計算された分類候補それ自体であっても良いし、分類候補の計算結果が加工されて得られた情報であっても良い。また、分類候補の計算は、未分類の受信メールについてのみ行われても良いし、分類済みの受信メールについて行われても良い。
【0009】
一つの実施態様では、前記受信メールは、前記一以上の第一アカウントと前記第二アカウントとを含む複数のアカウントを宛先とした電子メールであってもよい。
【0010】
一つの実施態様では、メール管理支援システムは、複数のアカウントが関連付けられた一以上のグループを管理するグループ管理手段を更に備えることができる。前記計算手段は、前記第二のアカウントと同一のグループに属する一以上の第一アカウントの分類結果に基づいて、前記分類候補を計算することができる。
【0011】
一つの実施態様では、前記分類結果は、どの第一アカウントでどの受信メールがどのフォルダに分類されたかを表す分類結果要素を一つ以上含んだものであってもよい。
【0012】
一つの実施態様では、前記計算手段は、一以上の分類結果要素に基づいて、前記第二のアカウントの受信メールの分類先候補とするフォルダを特定し、
前記表示手段は、前記特定されたフォルダが前記第二のアカウントで用意されていない場合には、前記特定されたフォルダを新たに準備するフォルダの候補として表示することができる。
【0013】
一つの実施態様では、メール管理支援システムは、複数のアカウント及び/又は複数のフォルダが関連付けられた一以上のグループを管理するグループ管理手段を更に備えることができる。前記計算手段は、同一のグループに属する一以上の第一アカウント及び/又は一以上のフォルダに基づいて、複数の分類結果要素を一以上の分類結果要素に絞り込み、前記絞り込まれた一以上の分類結果要素に基づいて、前記分類候補を計算することができる。具体的には、例えば、一つのグループには、複数のアカウント及び一以上のフォルダが関連付けられており、前記計算手段は、第二アカウントが関連付けられたグループと同一のグループに属する一以上の第一アカウントのどのフォルダにどの受信メールが分類されたかに基づいて、前記分類候補を計算することができる。
【0014】
メール管理支援システムは、一又は複数のコンピュータによって構成することができる。コンピュータは、例えば、サーバマシン或いはワークステーション等のコンピュータマシンとすることができる。各コンピュータは、プロセッサや記憶資源(例えばメモリ)といったハードウェア資源を備えることができる。
【0015】
また、上述した各手段は、ハードウェア、コンピュータプログラム又はそれらの組み合わせにより構築することができる。コンピュータプログラムは、所定のプロセッサに読み込まれて実行される。また、コンピュータプログラムがプロセッサに読み込まれて行われる情報処理の際、適宜に、メモリ等のハードウェア資源上に存在する記憶域が使用されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るメール管理支援システムが適用されたメールサーバを説明する。なお、以下の説明では「アカウント」という言葉が出てくる。一般に、「アカウント」という言葉は、ユーザを特定するためのID及びパスワードを指したり、電子メールアドレスのアットマークよりも前にある文字列を指したり、電子メールの送受信の設定単位を指したりすることがあるが、以下の説明で言う「アカウント」とは、電子メールの送受信の設定単位を指す。従って、同一のユーザが複数のアカウントを有することもできるし、一ユーザが一アカウントを有することもできる。
【0017】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るメールサーバのハードウェア構成例を示す。
【0018】
メールサーバ1は、一又は複数の記憶装置(例えばメモリ或いはハードディスク)により構成することができる記憶資源3と、記憶資源3に対して情報を読み書きすることができる制御部5(例えばCPU)と、メールサーバ1の外部に存在する通信機器と通信するための通信インターフェース装置(以下、通信I/F)7とを備える。メールサーバ1は、例えば、受信メールを管理することができる受信メールサーバであっても良いし、いわゆるWEBメールを管理することができるWEBメールサーバであっても良い。メールサーバ1の制御部5は、情報処理端末(例えばパーソナルコンピュータ或いは携帯電話機)11から送信された電子メールを受信して記憶資源3に蓄積し、その記憶資源3に蓄積されている各電子メールを、その電子メールの宛先アカウントの情報処理端末11に送信することができる。送信された電子メールが、宛先を複数のアカウントとするいわゆる同報送信された電子メールの場合、同一の電子メールが複数の情報処理端末11に送信される。
【0019】
以上が、メールサーバ1のハードウェア構成例についての説明である。このメールサーバ1は、送信メールの管理を支援することに適用されても良いが、主に、受信メールを管理することに適したものである。故に、このメールサーバ1において管理される電子メールは、特別な場合を除いて受信メールであるとする。
【0020】
図1Bは、図1Aに示したメールサーバ1が保持することができるコンピュータプログラム及びデータの一例を示す。
【0021】
メールサーバ1には、例えば、記憶資源3から制御部5に読み込まれて実行されるメール管理プログラム15が備えられる。メール管理プログラム15は、複数のアカウントの各々について、そのアカウント宛ての複数の受信メールのうち未分類の受信メール(例えば、受信箱に蓄積されたままの受信メール)がどれで分類済みの受信メール(例えば、受信箱以外のフォルダ)がどれであるかを記憶資源3で管理することができる。また、メール管理プログラム15は、どのフォルダをどのアカウントが参照することができるかや、どのアカウントでどの受信メールがどのフォルダに分類されたかや、どのグループにどのアカウント及び/又はどのフォルダが関連付けられているか等も記憶資源3で管理することができる。
【0022】
具体的には、例えば、記憶資源3には、どの受信メールがどのフォルダに格納されているかを管理するための分類管理テーブル(以下、「DIST」と記載する場合あり)21と、どのフォルダがどのグループに属するかを管理するためのフォルダグループ管理テーブル(以下、「FLD_GR」と記載する場合あり)23とが記憶される。また、記憶資源3には、例えば、どのアカウントがどのフォルダを参照できるかを管理するためのフォルダ参照管理テーブル(以下、「FLD_REF」と記載する場合あり)25と、どのアカウントがどのグループに属するかを管理するためのアカウントグループ管理テーブル(以下、「GRP」と記載する場合あり)27とも記憶される。さらに、記憶資源3には、例えば、メールサーバ1が受信した電子メールを管理するためのメール情報管理テーブル(以下、「ML」と記載する場合あり)29と、アカウントを管理するためのアカウント管理テーブル(以下、「ACNT」と記載する場合あり)31とも記憶される。
【0023】
以上が、メールサーバ1が保持することができるコンピュータプログラム及びデータの一例についての説明である。この実施形態の説明では、未分類の受信メールが蓄積されているフォルダを、上記のように「受信箱」と称し、分類された受信メールが蓄積されているフォルダを、単に「フォルダ」と称している。従って、この実施形態では、受信箱をフォルダとしての管理は行われていない。しかし、受信箱もフォルダの一種として管理されてもよい。
【0024】
上述したテーブル21,23,25,27,29及び31の各々は、一以上のレコードで構成することができる。以下、各テーブルの各レコードについて説明する。
【0025】
図2Aは、分類管理テーブル21のレコードである分類管理テーブルレコードの構成例を示す。
【0026】
分類管理テーブルレコード21Rには、メールIDとそのメールIDに対応付けられたフォルダIDとが含まれる。メールIDは、メールサーバ1が受信した電子メールを識別するための情報である。フォルダIDは、メールサーバ1で管理されている複数のフォルダの各々を識別するための情報である。例えば、各アカウントで同一のフォルダ名が設定されている場合、各アカウントが設定されている情報処理端末11では同一のフォルダ名が表示されるが、メールサーバ1で管理されているフォルダIDは異なる。
【0027】
図2Bは、フォルダグループ管理テーブル23のレコードであるフォルダグループ管理テーブルレコードの構成例を示す。
【0028】
フォルダグループ管理テーブルレコード23Rには、フォルダIDとそのフォルダIDに対応付けられたグループIDとが含まれる。グループIDは、それに対応付けられたフォルダIDが表すフォルダが属するグループである。同一のグループ(例えばグループID「g1」)に複数のフォルダ(例えば、フォルダID「A1」、「A2」)が属する場合、複数のフォルダグループ管理テーブルレコード23R(例えば、レコード{g1,A1}、{g1,A2})が用意される。
【0029】
図2Cは、フォルダ参照管理テーブル25のレコードであるフォルダ参照管理テーブルレコードの構成例を示す。
【0030】
フォルダ参照管理テーブルレコード25Rには、フォルダIDとそれに対応付けられたアカウントIDとが含まれる。アカウントIDは、それに対応付けられたフォルダIDが表すフォルダを参照することができるアカウントの識別情報である。
【0031】
図2Dは、アカウントグループ管理テーブル27のレコードであるアカウントグループ管理テーブルレコードの構成例を示す。
【0032】
アカウントグループ管理テーブルレコード27Rには、グループIDとそのグループIDに対応付けられたアカウントIDとが含まれる。
【0033】
グループIDは、それに対応付けられたアカウントIDが表すアカウントが属するグループである。同一のグループ(例えばグループID「g1」)に複数のアカウント(例えば、アカウントID「A」、「B」)が属する場合、複数のアカウントグループ管理テーブルレコード27R(例えば、レコード{A,g1}、{B,g1})が用意される。
【0034】
グループIDは、フォルダグループ管理テーブルレコード23Rに含まれているグループIDと同種のIDである。すなわち、一つのグループIDに、一以上のフォルダIDと一以上のアカウントIDとの両方が対応付けられている。換言すれば、一つのグループに、一以上のフォルダと一以上のアカウントとの両方が属する。
【0035】
図2Eは、メール情報管理テーブル29のレコードであるメール情報管理テーブルレコードの構成例を示す。
【0036】
メール情報管理テーブルレコード29Rは、メールサーバ1が受信した各電子メール毎に作成される。メール情報管理テーブルレコード29Rには、メールIDと、差出人(例えば電子メールの送信元のメールアドレス)、送信日及び宛先アカウント等のメール属性情報とが含まれている。
【0037】
図2Fは、アカウント管理テーブル31のレコードであるアカウント管理テーブルレコードの構成例を示す。
【0038】
アカウント管理テーブルレコード31Rは、各アカウント毎に用意される。アカウント管理テーブルレコード31Rには、アカウントIDと、そのアカウントIDに対応するアカウントに関するアカウント属性情報(例えばメールアドレス)とが含まれている。
【0039】
以下、本実施形態で行われる処理について説明する。
【0040】
図3は、メール管理プログラム15が行う処理流れの一例を示す。その処理流れの説明をより理解し易くするために、図4にも、その処理流れを別の形式で示す。図3及び図4を参照して、その処理流れを説明する。なお、以下の説明では、説明をより分かり易くするために、各アカウント毎にユーザが異なるものとし、A,B及びCの3つのアカウントが存在するものとし、且つ、メールサーバ1が受信する電子メールは、全て3つのアカウントA,B及びC宛ての電子メール(つまり、A,B,Cを宛先として同報送信された電子メール)であるとする。
【0041】
メール管理プログラム15は、準備処理を実行する(ステップS10)。準備処理では、どんなアカウントが存在するかがアカウント管理テーブル31に登録され、どのアカウントがどのフォルダを参照できるかがフォルダ参照管理テーブル23に登録され、どのグループにどのアカウント及びどのフォルダが属するかがフォルダグループ管理テーブル23及びアカウントグループ管理テーブル27にそれぞれ登録される。メール管理プログラム15は、各テーブル23,25,27及び31を、この準備処理のときだけでなく、別のタイミングで(例えば、アカウント、フォルダ或いはグループといった要素が追加或いは削除されたことが検出されたときに)、更新することができる。具体的には、例えば、新たにアカウントが追加された場合には、メール管理プログラム15は、アカウント管理テーブルレコード31Rを追加することができる。また、メール管理プログラム15は、アカウントが削除された場合には、そのアカウントのIDを含んだアカウント管理テーブルレコード31Rを削除したり、そのアカウントIDを含んだ他のテーブルレコード25R、27Rも削除したりすることができる。また、メール管理プログラム15は、或るアカウントで新たにフォルダが追加された場合には、そのアカウントのIDとフォルダのIDとを含んだフォルダ参照管理テーブルレコード25Rを追加することができる。また、メール管理プログラム15は、或るアカウントでフォルダが削除された場合には、そのアカウントのIDとフォルダのIDとを含んだフォルダ参照管理テーブルレコード25Rを削除したり、そのフォルダIDを含んだ他のテーブルレコード23Rも削除したりすることができる。また、メール管理プログラム15は、新たにグループが追加される場合には、そのグループのIDを含んだテーブルレコード23R、27Rを追加することができ、グループが削除される場合には、そのグループのIDを含んだテーブルレコード23R、27Rを削除することができる。また、メール管理プログラム15は、アカウント、フォルダ或いはグループといった対象が削除される場合、その対象に関わるレコードそれ自体を削除する代わりに、そのレコードの削除が要求されたことを表す履歴を残しても良い。
【0042】
準備処理が行われた後の各テーブル21,23,25,27,29及び31の構成例を図5Aに示す。図5A中の{}(中括弧)は、一つのレコードを示す。すなわち、ACNT31によると、アカウントA,B及びCが存在することがわかる。また、FLD_REF25によると、フォルダA1,A2,B1,C1があり、フォルダA1,A2をアカウントAが参照でき、フォルダB1をアカウントBが参照でき、フォルダC1をアカウントCが参照できることがわかる。また、FLD_GR23及びGRP27によると、グループg1,g2が存在し、グループg1にフォルダA1,A2,B1,C1及びアカウントA,B,Cが属し、グループg2にフォルダA1,B1及びアカウントA,Bが属することがわかる。
【0043】
メール管理プログラム15は、アカウントA,B及びC宛ての電子メールを受信した場合(S20でY)、その電子メールを各アカウントA,B,Cの受信箱に登録し、且つ、その電子メールに対応するMLレコード29Rを生成し、生成したMLレコード29RをML29に追加する(S22)。メール管理プログラム15は、アカウントA,B及びC宛ての電子メールを受信する都度に、S20〜S22の処理を繰り返すことができる。具体的には、例えば、7つの電子メールを受信した場合には、図5Bの参照番号29に例示するように、7つのMLレコード29RがML29に追加される。以下、その7つの電子メールをメール1,メール2,…,メール7と表す。
【0044】
メール管理プログラム15は、いずれかのアカウントA,B又はCで、受信メールの分類が行われた場合には(S30でY)、その分類された受信メールについてDISTレコード21RをDIST21に追加する(S31)。具体的には、例えば、メール管理プログラム15は、未分類のメール1(つまり受信箱にあるメール1)がフォルダA1に移された又は複製された場合には、{1,A1}というDISTレコード21RをDIST21に追加することができる。また、一度分類されたメール1がフォルダA1からフォルダA2に移された場合には、メール管理プログラム15は、{1,A1}というDISTレコード21RをDIST21から削除して、{1,A2}というDISTレコード21RをDIST21に追加しても良い。或いは、メール1がフォルダA1からフォルダA2に複製された場合には、メール管理プログラム15は、{1,A1}というDISTレコード21RをDIST21から削除せず、{1,A2}というDISTレコード21Rを新たにDIST21に追加しても良い。つまり、メール管理プログラム15は、受信メールが或るフォルダ(又は受信箱)から別のフォルダに移動されたのか複製されたのかに応じて、移動又は複製前のレコードを削除するか否かを実行することができる。上述のS30〜S31の処理は、受信メールの分類が行われる都度に実行される。
【0045】
上述したメール1,メール2,…メール7の分類結果の一例を図5B及び図6A〜図6Cに示す。すなわち、アカウントAでは、メール1〜7のうち、メール2,4及び6が受信箱に蓄積されたままであり(つまり未分類であり)、メール1,5が、受信箱からフォルダA1に移動され、メール3,7が受信箱からフォルダA2に移動された(図5Bでは、DISTレコード{1,A1}、{5,A1}、{3,A2}、{7,A2}に相当)。アカウントBでは、メール1〜7のうち、メール1,4,6及び7が受信箱に蓄積されたままであり、メール2,3,5が、受信箱からフォルダB1に移動された(図5Bでは、DISTレコード{2,B1}、{3,B1}、{5B1}に相当)。アカウントCでは、メール1〜7のうち、メール3以外が受信箱に蓄積されたままであり、メール3が、受信箱からフォルダC1に移動された(図5Bでは、DISTレコード{3,C1}に相当)。
【0046】
メール管理プログラム15は、所定の条件にマッチした場合に(S40でY)、或るアカウントの特定種類の受信メールについて、分類候補の計算処理を実行し(S41)、その処理結果を、そのアカウントが設定されている情報処理端末11に表示することができる(S42)。ここで、「所定の条件にマッチした場合」とは、例えば、情報処理端末11から受信メールの分類候補の提示を要求された場合であっても良いし、予め定められた条件に従うイベントが検出された場合であっても良い。また、「或るアカウント」とは、例えば、分類候補の提示を要求して来た情報処理端末11に設定されているアカウントであっても良いし、未分類の受信メールが最も多く存在するアカウント(このアカウントはメール管理プログラム15によって検出することができる)であっても良い。また、「特定種類の受信メール」とは、未分類の受信メール及び分類済みの受信メールの一方又は双方とすることができる。メール管理プログラム15は、何を特定種類の受信メールとするかを、例えば、情報処理端末11からの指示に応じて選択しても良いし、所定の設定に従って選択しても良い。
【0047】
以下、上記「或るアカウント」をアカウントCとし、「特定種類の受信メール」を未分類の受信メール1,2,4,5,6,7として、図7を参照し、S41の分類候補計算処理の流れの一例について詳細に説明する。なお、図7では、左半分が、処理流れの説明を示し、右半分が、各処理で得られるデータを示す。
【0048】
まず、メール管理プログラム15は、アカウントCの未分類受信メールIDのリストを得る(S41−1)。具体的には、例えば、メール管理プログラム15は、アカウントCのアカウントIDを含んだ全てのFLD_REFレコード25RからアカウントCにフォルダC1があることを特定し、且つ、メール1〜7のうちフォルダC1に分類された受信メールがメール3のみであってそれ以外の受信メールが未分類であることを、全てのMLレコード29Rと、フォルダC1のフォルダIDを含んだ全てのDISTレコード21Rとから特定することにより、特定された未分類の受信メールのID1,2,4,5,6及び7のリストを得ることができる。
【0049】
次に、メール管理プログラム15は、アカウントCのアカウントIDを含んだ全てのGRP27Rを参照することにより、アカウントCが属するグループのグループIDのリストを得る(S41−2)。アカウントCはg1というIDのグループのみに属しているので、ここでは、グループIDのリストとして、g1を得ることができる。
【0050】
次に、メール管理プログラム15は、S41−1で取得されたアカウントCでの未分類のメール1,2,4,5,6及び7のメールが、他のアカウントではどのフォルダに分類されているのかを特定する(S41−3)。具体的には、例えば、メール管理プログラム15は、S41−1で得られたリスト中のメールID1,2,4,5,6及び7を含んだDISTレコード21RをDIST21から検索し、検索された全てのDISTレコード{1,A1}、{2,B1}、{5,A1}、{5,B1}、{7,A2}を取得することができる。
【0051】
次に、メール管理プログラム15は、S41−3で特定されたフォルダと、そのフォルダが属するグループとの関連づけを表すデータを作成する(S41−4)。具体的には、例えば、メール管理プログラム15は、S41−3で取得された各DISTレコード毎に、そのDISTレコード中のフォルダIDに対応するグループIDをFLD_GR23から検索し、検索されたグループIDを、そのDISTレコードに結合することができる。
【0052】
次に、メール管理プログラム15は、S41−4で得られた一以上のデータを、S41−2で得たリスト中のグループIDを含んだデータに絞り込む(S41−5)。これにより、アカウントCが属するグループについてのデータが残る。
【0053】
次に、メール管理プログラム15は、S41−5で絞り込まれたデータの数を、フォルダID別にカウントする(S41−6)。そして、メール管理プログラム15は、S41−6でのカウント値が基準値N(Nは一以上の整数、ここでは例えば1)以上のフォルダIDを抽出する(S41−7)。
【0054】
メール管理プログラム15は、S41−7で抽出されたフォルダIDと、S41−3で得られたDISTレコードとに基づいて分類候補を作成することができる(S41−8)。具体的には、例えば、メール管理プログラム15は、S41−7で抽出されたフォルダIDと、そのフォルダIDのフォルダに分類された受信メールのメールIDとをセットにしたものを分類候補として作成することができる。
【0055】
以上が、分類候補計算処理の流れの一例である。なお、この分類候補計算処理において、同一のメールの分類先候補として複数のフォルダのIDが挙がった場合には、複数のフォルダIDの全てが採用されても良いし、所定の方法で絞り込まれたフォルダID(例えば、優先順位が所定値以上のフォルダID)のみが採用されてもよい。
【0056】
上述のS41−8の処理により、図7に例示する通り、アカウントCの未分類受信メール1,2,4,5,6及び7のうち、メール1の分類先候補がフォルダA1であり、メールの分類先候補がフォルダB1であり、メール5の分類先候補がフォルダA1及びB1の少なくとも一方であり、メール7の分類先候補がフォルダA2である、という結果が出た。
【0057】
メール管理プログラム15は、その結果を、例えば図8に示すような態様で表示することができる。
【0058】
すなわち、メール管理プログラム15は、アカウントCが設定されている情報処理端末11の画面に、フォルダA1に、未分類受信メール1,5を分類することと、フォルダA2に、未分類受信メール7を分類することと、フォルダB1に、未分類受信メール2,5を分類することとの提案を表示することができる。アカウントCでの未分類受信メール4,6は、分類候補計算処理で分類候補が計算されなかったメールなので(例えば、他のどのアカウントでも未分類なので)、分類候補が表示されない。フォルダA1,A2及びB1のいずれも、アカウントCで予め用意されていたフォルダではないので、メール管理プログラム15は、それらのフォルダA1,A2及びB1を新たに準備して図8のように表示することができる。その際、例えば、メール管理プログラム15は、各アカウントについて、フォルダIDと共にフォルダ名等も管理していれば、フォルダIDの表示に代えて又は加えて、フォルダ名も表示することができる。同一のフォルダについてフォルダ名がアカウント毎に異なっている場合には、いずれか一つのフォルダ名(例えば優先順位の高いアカウントのフォルダ名)が表示されても良いし、各アカウント毎のフォルダ名が表示されても良い。
【0059】
また、メール管理プログラム15は、ユーザが手動で受信メールを分類することを支援するために、他のアカウントでの受信メールの分類状況を、分類候補を表示している画面(或いは分類作業を行うための画面)と同じ画面上で(又は、別の画面をポップアップさせてその別の画面上で)、表示することができる。これにより、ユーザは、他のアカウントの分類状況を見ながら自分の受信メールを分類することができる。
【0060】
また、メール管理プログラム15は、この画面に表示された分類候補を承認する場合に操作する承認ボタン35と、その分類候補を承認しないで手動で分類する場合に操作する手動分類ボタン37とを表示しても良い。メール管理プログラム15は、承認ボタン35が押された場合、表示した分類候補の通りに未分類受信メールを分類することができる。その場合、メール管理プログラム15は、新たにフォルダを作成する場合には、その新たなフォルダに関するレコード25R及び21Rを追加することができる。
【0061】
以上、上述した実施形態によれば、自分のアカウントの受信メール(例えば未分類の受信メール)が他のアカウントでどのように分類されているかの状況に応じて、自分のアカウントの受信メールの分類候補が計算される。これにより、他のアカウントでの分類状況に基づいて、自分のアカウントの受信メールを分類することができるので、どのように受信メールを分類するかをあまり考えることなく受信メールの分類を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【0063】
例えば、各アカウント毎のフォルダは、そのアカウントが設定された情報処理端末11の電子メーラ(例えば電子メールソフトウェア)で管理されていてもよい。その場合、その情報処理端末11が、どんなアカウントが設定されているかや、各アカウントでどんなフォルダが設定されているかや、どのアカウントでどの未分類の受信メールがどのフォルダに分類されたか等の情報をメールサーバ1に送信し、メールサーバ1は、各情報処理端末11から受信した情報に基づいて、上述した実施形態のような管理を行っても良い。
【0064】
また、上述した実施形態では、全ての受信メールがアカウントA,B及びC宛であるが、宛先が異なる場合には(例えば、アカウントCのみであったり、アカウントA及びCのみであったりする場合には)、メール管理プログラム15は、以下のような処理を行うことができる。すなわち、例えば、メール管理プログラム15は、アカウントCについて分類候補の計算を行う場合、アカウントCの複数の特定種類の受信メール(例えば未分類受信メール)の中から、GRP27及びML29を参照することにより、アカウントCと同じグループに属するアカウントであって、アカウントCと共に宛先となっている受信メールを特定し、特定された受信メールについて、分類候補を計算しても良い。
【0065】
また、例えば、メール管理プログラム15は、或るアカウントについて受信メールの分類候補を計算した後又は受信メールの分類が行われた後、所定のタイミングで(例えば定期的に或いは他のアカウントで受信メールの分類が行われたことを検出した場合)、その或るアカウントでの分類済みの受信メールについて、他のアカウントでの分類結果を基に分類候補を計算して表示することができる。これにより、ユーザは、受信メールを一旦分類した後であっても、他のアカウントでの分類結果に基づいて、その分類済みの受信メールについての分類候補の提示を受け、その提示された分類候補に基づいて、分類し直すことができる。
【0066】
また、上述した実施形態では、受信メールの分類について説明しているが、受信メールに加えて、その受信メールを同報送信したアカウントでのその同報送信済みメールも、受信メールと同様に分類候補の計算対象とされてもよい。
【0067】
また、メール管理プログラム15は、例えば、或るフォルダから別のフォルダに受信メールを移動する又は複製することの指示を受けた場合、その受信メールに関する管理情報(例えばどのフォルダに存在するかを表す情報)を違えるだけで、受信メールそれ自体を移動させなくても良い。換言すれば、例えば、メール管理プログラム15は、或る受信メールが複数のフォルダに存在する場合、各フォルダ毎に受信メールを用意しても良いし、受信メールを共有とし、複数のフォルダを介してその一つの受信メールを参照させるようにしても良い。
【0068】
また、メール管理プログラム15は、例えば、各アカウント毎に、どのフォルダを公開或いは非公開にするかや、公開にするのであればどの他のアカウントに公開しても良いのかを、ユーザから受付けることができる。具体的には、例えば、アカウントAのフォルダA1について非公開とすることを指定された場合、メール管理プログラム15は、そのフォルダA1を、全ての他のアカウントB,Cに対して見せないようにすることができる(例えば、アカウントCで電子メールの分類が行われる際に、フォルダA1を表示しないようにすることができる)。アカウントAのフォルダA1について公開とすることを指定された場合、メール管理プログラム15は、そのフォルダA1を、全ての又は特定の他のアカウントB,Cに対して見せることができる(例えば、アカウントCで電子メールの分類が行われる際に、図8に例示したように、フォルダA1を表示することができる)。「特定の他のアカウント」は、例えば、アカウント単位で指定することもできるし、グループ単位で指定する(例えば、自分のアカウントと同じグループに属する他のアカウントには公開されても良いが、別のグループに属する他のアカウントには非公開にする)こともできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1Aは、本発明の一実施形態に係るメールサーバのハードウェア構成例を示す。図1Bは、図1Aに示したメールサーバ1が保持することができるコンピュータプログラム及びデータの一例を示す。
【図2】図2Aは、分類管理テーブル21のレコードである分類管理テーブルレコードの構成例を示す。図2Bは、フォルダグループ管理テーブル23のレコードであるフォルダグループ管理テーブルレコードの構成例を示す。図2Cは、フォルダ参照管理テーブル25のレコードであるフォルダ参照管理テーブルレコードの構成例を示す。図2Dは、アカウントグループ管理テーブル27のレコードであるアカウントグループ管理テーブルレコードの構成例を示す。図2Eは、メール情報管理テーブル29のレコードであるメール情報管理テーブルレコードの構成例を示す。図2Fは、アカウント管理テーブル31のレコードであるアカウント管理テーブルレコードの構成例を示す。
【図3】図3は、メール管理プログラム15が行う処理流れの一例を示す。
【図4】図4は、メール管理プログラム15が行う処理流れの一例を図3とは別の形式で示す。
【図5】図5Aは、図3のS10が行われた後の各テーブル21,23,25,27,29及び31の一例を示す。図5Bは、図3のS20〜S31が行われた後の各テーブル21,23,25,27,29及び31の一例を示す。
【図6】図6Aは、図3のS20〜31が行われた後のアカウントAでのメール分類状況の一例を示す。図6Bは、図3のS20〜31が行われた後のアカウントBでのメール分類状況の一例を示す。図6Cは、図3のS20〜31が行われた後のアカウントCでのメール分類状況の一例を示す。
【図7】図7は、図3及び図4のS41の分類候補計算処理の流れの一例を示す。
【図8】分類候補計算処理の結果が表示された画面構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0070】
1…メールサーバ 3…記憶資源 5…制御部 7…通信インターフェース装置(通信I/F) 11…メール送信端末 13A、13B、13C…メール受信端末 21…分類管理テーブル 23…フォルダグループ管理テーブル 25…フォルダ参照管理テーブル 27…アカウントグループ管理テーブル 29…メール情報管理テーブル 31…アカウント管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の第一アカウントでの受信メールの分類結果を管理する分類管理手段と、
前記分類結果に基づいて、第二のアカウントの受信メールをどのように分類するかの分類候補を計算する計算手段と、
前記計算された分類候補を表示する表示手段と
を備えるメール管理支援システム。
【請求項2】
前記受信メールは、前記一以上の第一アカウントと前記第二アカウントとを含む複数のアカウントを宛先とした電子メールである、
請求項1記載のメール管理支援システム。
【請求項3】
複数のアカウントが関連付けられた一以上のグループを管理するグループ管理手段を更に備え、
前記計算手段は、前記第二のアカウントと同一のグループに属する一以上の第一アカウントの分類結果に基づいて、前記分類候補を計算する、
請求項1記載のメール管理支援システム。
【請求項4】
前記分類結果は、どの第一アカウントでどの受信メールがどのフォルダに分類されたかを表す分類結果要素を一つ以上含んだものである、
請求項1記載のメール管理支援システム。
【請求項5】
前記計算手段は、一以上の分類結果要素に基づいて、前記第二のアカウントの受信メールの分類先候補とするフォルダを特定し、
前記表示手段は、前記特定されたフォルダが前記第二のアカウントで用意されていない場合には、前記特定されたフォルダを新たに準備するフォルダの候補として表示する、
請求項4記載のメール管理支援システム。
【請求項6】
複数のアカウント及び/又は複数のフォルダが関連付けられた一以上のグループを管理するグループ管理手段を更に備え、
前記計算手段は、同一のグループに属する一以上の第一アカウント及び/又は一以上のフォルダに基づいて、複数の分類結果要素を一以上の分類結果要素に絞り込み、前記絞り込まれた一以上の分類結果要素に基づいて、前記分類候補を計算する、
請求項4記載のメール管理支援システム。
【請求項7】
一以上の第一アカウントでの受信メールの分類結果を管理するステップと、
前記分類結果に基づいて、第二のアカウントの受信メールをどのように分類するかの分類候補を計算するステップと、
前記計算された分類候補を表示するステップと
を有するメール管理支援方法。
【請求項8】
一以上の第一アカウントでの受信メールの分類結果を管理するステップと、
前記分類結果に基づいて、第二のアカウントの受信メールをどのように分類するかの分類候補を計算するステップと、
前記計算された分類候補を表示するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能なコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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