説明

モジュールリテーナ

機能モジュールを収容するためのモジュールリテーナ1は、モジュールリテーナ1を支持ベルト2に取り付けるためのクランプ20を有する。クランプ20はモジュールリテーナ1の主要構造10に枢動可能に取り付けられる第1の側面21を持つ。モジュールリテーナ1はクランプ20の第2の側面22を主要構造10に動作可能に取り付け、クランプ20を支持ベルト2が受け入れられる閉位置に固定するための少なくとも1つのスナップ12をさらに有する。スナップ12はモジュールリテーナ1の主要構造10に挿入される機能モジュール3によって塞がれ、クランプ20を閉位置に固定するように設計され配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能モジュールを収容するためのモジュールリテーナ、特に支持ベルトに取り付け可能なモジュールリテーナに関する。本発明はさらにモジュールリテーナと機能モジュールを有するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療において、例えば患者の生理学的パラメータを決定するための機能モジュールが支持ベルトで患者の身体に取り付けられることが多い。一例は、カフとも呼ばれる膨張式ベルトで患者の腕、手首若しくは上腕に取り付けられる携帯型血圧モニタである。衛生的理由と容易なメンテナンスのために、機能モジュールを支持ベルトから分離することができることが望ましい。
【0003】
米国特許No.6,344,025B1はカフと取り外し可能な機能モジュールを持つ血圧モニタを記載する。カフは、カフにしっかりと密接に結合されるモジュールリテーナを備える。モジュールとモジュールリテーナは、機能モジュールとモジュールリテーナの容易な着脱のためのクイックロックシステムを備える。
【0004】
たとえそのように機能モジュールがモジュールリテーナから、従ってカフから容易に分離されることができたとしても、モジュールリテーナはカフに結合したままである。特に使い捨てベルトと併用される機能モジュールにとって、これは経済的理由から望ましくない。再利用可能ベルトにとって、ベルトとモジュールリテーナの異なる材料は洗浄と消毒を複雑にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、挿入された機能モジュールを確実に支えるためにモジュールリテーナが支持ベルトに容易にしっかりと取り付けられることができ、同時に、使用していないときにはモジュールリテーナが支持ベルトから容易に取り外されることができる、機能モジュールを収容するためのモジュールリテーナを実現することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は支持ベルトにモジュールリテーナを取り付けるためのクランプを有する機能モジュールを収容するためのモジュールリテーナを検討する。クランプはモジュールリテーナの主要構造に枢動可能に取り付けられる第1の側面を持つ。モジュールリテーナはさらに、モジュールリテーナの主要構造にクランプの第2の側面を動作可能に取り付け、クランプを支持ベルトが受け入れられる閉位置に固定するための少なくとも1つの何らかのスナップを有する。スナップは、モジュールリテーナの主要構造に挿入される機能モジュールによって塞がれ、従ってクランプを閉位置に固定するように設計され配置される。
【0007】
少なくとも1つのスナップと係合する枢動可能クランプの組み合わせによって、本発明にかかるモジュールリテーナは、モジュールリテーナを支持ベルトに容易に取り付け、支持ベルトから容易に分離するための機構を備える。永久に固定された構成要素が支持ベルトに結合される必要がなく、これはモジュールリテーナを単純で安価な使い捨てベルトとの使用によく適したものにする。支持ベルトへのモジュールリテーナの確実かつ安定な結合のために、スナップは挿入された機能モジュールによって塞がれるように設計され配置される。そのように、重量とコストを追加し得るさらなる固定機構が省略されることができる。さらに、一旦機能モジュールが挿入されるとモジュールリテーナと支持ベルト間の結合を固定するための余分な操作ステップが必要ない。
【0008】
有利な実施形態において、モジュールリテーナの主要構造はフレーム状であり側壁と底部を有し、側壁と底部は挿入された機能モジュールを収容するための容積を囲む。特定の有利な実施形態において、少なくとも1つのスナップは操作時に挿入された機能モジュールを収容するための容積に少なくとも部分的に入り込む。このように、少なくとも1つのスナップの閉塞がいかなる追加機械構成部品も必要とせずに実現される。
【0009】
本願はさらに機能モジュールを収容するためのモジュールリテーナと各機能モジュールを有するシステムを検討する。利点は前述のモジュールリテーナの利点に対応する。
【0010】
さらなる有利な実施形態は各従属請求項に提供される。本発明のなおさらなる利点と効果は図面と関連して以下に記載の実施形態から明らかとなり、それを参照して解明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】支持ベルトから取り外されたモジュールリテーナの第1の実施形態を略斜視図で示す。
【図2】支持ベルトに取り付けられた図1にかかるモジュールリテーナと、モジュールリテーナから分離された機能モジュールを示す。
【図3】機能モジュールがモジュールリテーナに挿入された、図2にかかる支持ベルトに取り付けられたモジュールリテーナを示す。
【図4】モジュールリテーナと機能モジュールの第2の実施形態の断面図を示す。
【図5】機能モジュールが挿入された、図4にかかるモジュールリテーナを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は支持ベルト2に隣接しているが、取り付けられていないモジュールリテーナ1の第1の実施形態を示す。
【0013】
モジュールリテーナ1は側壁と底部を持つフレーム状の主要構造10を有する。底部と反対側の上面は開いている。側壁と底部はこの図には示されていない機能モジュールを受けるための容積を囲む。
【0014】
例として、モジュールリテーナ1は機能モジュールとして血圧モニタを受けるように設計される。血圧モニタは少なくとも1つの圧力ホースを介して患者の四肢に巻きつけられ得るカフに接続される。血圧モニタは通常は測定を実行する間カフを自動的に膨張及び収縮させるように設計される。コンパクト設計と使いやすさのために、モジュールリテーナ1はカフによって支持される。一実施形態において支持ベルト2は、カフに取り付けられ、特にモジュールリテーナ1を担持する専用の個別ストラップである。代替的な実施形態において、モジュールリテーナ1はカフに直接取り付けられ得る。この点において、カフ自体が支持ベルト2としてはたらき得る。
【0015】
モジュールリテーナ1の主要構造10は底板の片側に取り付けられる2つのベアリング11を有する。2つのベアリング11のうち1つのみが図1で見えている。主要構造10の縦方向反対側に2つのスナップ12が設けられる。ベアリング11とスナップ12の詳細は以下に記載される。
【0016】
挿入された機能モジュールを所定位置に固定するための保持部材15としてはたらく小開口部が主要構造10の側壁に形成される。図示の実施形態において、4つの保持部材15が存在し、そのうち1つのみが説明の明確さの向上のために参照数字で標識される。さらに、主要構造10の側壁は開口部16とカットアウト17を持つ。開口部16は例えば電気若しくは空気圧コネクタなど、挿入された機能モジュールのコネクタへのアクセスを与える。カットアウト17は挿入された機能モジュールをモジュールリテーナから持ち上げて取り外すために掴むことを可能にする。カットアウトはノッチ14のための移動スペースを作るためにスナップ12に隣接する主要構造10の底部にも設けられる。このスペースはスナップが操作され内側に曲げられるときに必要である。主要構造10の底部は、ベルト内の開口部を通して若しくはベルト2自体を通して、例えば電気、光学、若しくは音響センサなど、例えばセンサで患者の皮膚にアクセスするために、さらなるカットアウト若しくは開口部も備え得る。
【0017】
モジュールリテーナ1はさらにクランプ20を有し、その第1の側面21は主要構造10に枢動可能に結合される。図示の実施形態において、クランプ20は第1の側面21において両脚が内側に曲がったU字形ワイヤから作られる。クランプ20の屈曲部分はベアリング11の中に挿入されており、従って図1では目に見えない。ベアリング11は基本的に、例えば主要構造10に一体にモールドされる管状要素に形成される、ホール若しくはスタッドホールである。
【0018】
主要構造10の方へ回転されると、クランプ20の第2の側面22はスナップ12と相互作用して係合する。図示の実施形態において、スナップ12の1つ1つは弾性部品13とノッチ14を含む。各スナップ12は基本的に主要構造10の側壁の一部を構成し、側壁内の垂直ギャップによって切り取られている。これは弾性トング(tongue)が弾性部品13として作られるように、底部の反対側において主要構造10に接続したままである。ノッチ14はトングの先端に形成される。
【0019】
ベアリング11とスナップ12の間に側方に位置する場合、ベルト2は、クランプ20の第2の側面22がスナップ12のノッチ14にはめ込むように、クランプ20をスナップ12と係合することによって主要構造10の底部とクランプ20の間に固定されることができる。以下、クランプ20がスナップ12に固定される位置は閉位置と呼ばれる。閉位置において、ベルト2は主要構造10とクランプ20によって主要構造の底部に垂直な方向に、及びベアリング11とスナップ12によって鉛直方向と垂直な方向に受け入れられる。
【0020】
図2はクランプ20が閉位置にある、ベルト2に取り付けられたモジュールリテーナ1を示す。図2はさらにモジュールリテーナ1への挿入のための機能モジュール3を示す。
【0021】
機能モジュール3は蓋31を持つ筺体30を有する。モジュールリテーナ1の保持部材15と相互作用することができる相補的保持部材32が筺体30の側壁上に形成される。機能モジュール3はさらに筺体30の前壁上に接続ポート33を有する。
【0022】
図2に示した状況において、機能モジュール3はまだモジュールリテーナ1に挿入されておらず、モジュールリテーナ1はスナップ12の弾性部品13を押してこれらを内側に曲げることによって再度ベルト2を取り外すことができる。従って、ノッチ14はクランプ20を閉位置から解放する。押されて内側に曲げられると、スナップは機能モジュール3を受けるために設けられる容積の中に少なくとも部分的に入り込む。
【0023】
図3は機能モジュール3がモジュールリテーナ1に挿入されている、ベルト2に取り付けられたモジュールリテーナ1を示す。機能モジュール3は、モジュールリテーナ1が機能モジュールのために設ける全容積を基本的に満たすように形作られる。これは特にスナップ12の真後ろの容積の部分を満たす。挿入されると、機能モジュール3の相補的保持部材31がモジュールリテーナ1の主要部10の保持部材15と係合する。図示の実施形態において、保持部材15は主要部10の壁の中の開口部であり、相補的保持部材32は筺体30の表面上に一体化して形成される小さなノーズ(nose)である。ノーズは容易に開口部にはめ込み、機能モジュール3をモジュールリテーナ1の中に保持する。例えばカットアウト17において、モジュールリテーナ1から離れる方向に十分な力を機能モジュール3に加えることによって、機能モジュール3をモジュールリテーナ1から再度取り外すために保持部材15と相補的保持部材32が取り外されることができる。
【0024】
図示の実施形態においては開口部が保持部材15として使用され、ノーズが相補的保持部材32として使用されるが、開口部とノーズは反対に使用されることができることが留意される。インデント若しくはノッチ及びアンダーカットのような、他のスナップ部材もまた保持若しくは相補的保持部材として使用されることができる。さらに、ねじ若しくはバヨネット結合のような非スナップ式の固定部材もまた適用されることができる。一般に、機能モジュールをモジュールリテーナにしっかりと固定するのに適した全部材が保持及び/又は相補的保持部材として使用されることができる。
【0025】
機能モジュール3がモジュールリテーナ1に挿入されると、機能モジュール3はスナップ12を内側に曲げるために必要なスペースを満たし、従ってスナップ12を塞ぐ。従って、クランプ20はもう閉位置から解放されることができず、モジュールリテーナ1、従って機能モジュール3が支持ベルト2にしっかりと取り付けられる。有利なことに、スナップ12付近の機能モジュール3とモジュールリテーナ1の一致する形状のために、スナップ12を塞ぐための追加機械構成部品は必要ない。
【0026】
次の図4及び5において、スナップ12の閉塞が、モジュールリテーナ1と機能モジュール3のシステムの第2の実施形態の断面図においてより詳細に示される。図4及び5は同一構成要素若しくは同等機能を持つ構成要素については図1乃至3と同じ参照数字を使用する。
【0027】
モジュールリテーナ1と機能モジュール3の第2の実施形態は主に図1乃至3に示した第1の実施形態に対応し、差はモジュールリテーナ1の主要構造10の底部と側壁の間の曲面移行部である。同様に、機能モジュール3の筺体30の側面と底部は曲面移行部を示す。
【0028】
図4は図2に類似する状況を描き、機能モジュール3はモジュールリテーナ1の上に位置するが中に挿入されていない。クランプ20は第2の側面22をスナップ12のノッチ14にはめ込んだ閉位置にある。しかしながら、説明の明確さの向上のために、支持ベルトは図4及び図5の両方に示していない。図4及び5は両方ともスナップ12を通る断面図を示す。明確さのために、スナップ12とベアリング11(すなわち描画面の後ろ)の間の断面における主要構造10の一連の側壁と底部は破線で示される。
【0029】
主要構造10の側壁と底部におけるカットアウトのために、スナップ12、特にノッチ14はクランプ20の第2の側面22と係合する若しくは離れるために矢印で示した通り内側に自由に動く。
【0030】
図5は機能モジュール3がモジュールリテーナ1に挿入されている状況を示す。この図から明らかな通り、ここで機能モジュール3はスナップ12が操作されるために必要なスペースを満たす。結果として、スナップ12の弾性部品13とノッチ14は内側に曲げられることができず、クランプ20はノッチ14によって閉位置に固定される。係合は、例えば指先で弾性部品13を押すことによって、スナップ12に横から力を加えることによっても、又は、例えば血圧モニタにおいてベルトとして使用されるカフを膨張させること若しくはベルトを支持することによって、モジュールリテーナ1の主要構造10の底部に加えられる力によっても、解放されることができない。
【0031】
本発明は図面と前述の説明において詳細に図示され記載されているが、かかる図示と記載は例示若しくは説明であって限定ではないと見なされるものであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態への他の変更は、図面、開示、及び添付の請求項の考察から、請求された発明を実施するうえで当業者によって理解されもたらされることができる。請求項において、"有する"という語は他の要素若しくはステップを除外せず、不定冠詞"a"若しくは"an"は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能モジュールを収容するためのモジュールリテーナであって、前記モジュールリテーナを支持ベルトに取り付けるためのクランプを有し、前記クランプは前記モジュールリテーナの主要構造に枢動可能に取り付けられる第1の側面と、前記モジュールリテーナの前記主要構造に前記クランプの第2の側面を動作可能に取り付け、前記クランプを前記支持ベルトが受け入れられる閉位置に固定するための少なくとも1つのスナップとを持ち、前記スナップは、前記モジュールリテーナの前記主要構造に挿入される機能モジュールによって塞がれ、前記クランプを前記閉位置に固定するように設計され配置される、モジュールリテーナ。
【請求項2】
前記主要構造がフレーム状であり、側壁と底部を有し、前記側壁と前記底部が挿入された機能モジュールを収容するための容積を囲む、請求項1に記載のモジュールリテーナ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスナップが、操作時に挿入された機能モジュールを収容するための容積に少なくとも部分的に入り込む、請求項2に記載のモジュールリテーナ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスナップが、前記クランプと係合するための弾性部品と前記弾性部品に取り付けられるノッチとを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモジュールリテーナ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスナップの前記弾性部品が前記主要構造の側壁と一直線になったフラットトングである、請求項4に記載のモジュールリテーナ。
【請求項6】
前記クランプが屈曲U字形ワイヤである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモジュールリテーナ。
【請求項7】
挿入された機能モジュールを保持するための少なくとも1つの保持部材をさらに有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモジュールリテーナ。
【請求項8】
挿入された機能モジュールを接続するための開口部が前記主要構造の前記側壁の少なくとも1つに設けられる、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のモジュールリテーナ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモジュールリテーナであって、機能モジュールを収容するための主要構造と、前記モジュールリテーナを支持ベルトに固定するためのクランプ及び少なくとも1つのスナップとを有する、モジュールリテーナと、
機能モジュールと、
を有するシステムであって、前記機能モジュールが、前記モジュールリテーナに挿入されるときに前記少なくとも1つのスナップを塞ぐように設計される、システム。
【請求項10】
前記機能モジュールが、前記モジュールリテーナに挿入されるときに前記少なくとも1つのスナップの操作のために利用される移動スペースを満たす、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517883(P2013−517883A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550539(P2012−550539)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050300
【国際公開番号】WO2011/092621
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】