モデル生成装置、その方法及びそのプログラム
【課題】メッシュフリー法の解析に用いることができるタイヤモデルを容易に生成できるモデル生成装置を提供する。
【解決手段】タイヤの断面形状を表す2次元の断面データを取得し、正規化領域に複数の節点を発生させ、前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割してサブセル領域を生成し、サブセル領域に分割された正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに複数のサブセル領域4を生成する。
【解決手段】タイヤの断面形状を表す2次元の断面データを取得し、正規化領域に複数の節点を発生させ、前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割してサブセル領域を生成し、サブセル領域に分割された正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに複数のサブセル領域4を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの解析を行うためのタイヤモデルを生成するモデル生成装置、その方法及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴム構造体を金型などに入れ金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形挙動を再現する変形シミュレーションの方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この変形シミュレーションは、メッシュフリー法を用いている。すなわち、金型により大きな変形が起こるゴム部材のみ、メッシュフリーモデルを用い、その形状に沿って一定の間隔で節点を配している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−14301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で用いられているメッシュフリーモデルは単純な矩形であるため、容易にシミュレーションを行うことができるが、タイヤ全体をメッシュフリー法によって計算する場合には、タイヤの構造が複雑であるため、メッシュフリー法を用いるタイヤモデルを生成することが困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、メッシュフリー法の解析に用いることができるタイヤモデルを容易に生成できるモデル生成装置、その方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成装置において、前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得部と、予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生部と、前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割部と、前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像部と、を有することを特徴とするモデル生成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤの断面形状を表す断面データに分割領域を容易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1のモデル生成装置のブロック図である。
【図2】モデル生成装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】タイヤの断面データを示す図である。
【図4】カーカス部材の断面データである。
【図5】正規化領域に節点を発生させた図である。
【図6】正規化領域をデローニ分割した状態の図である。
【図7】サブセル領域を写像した断面データの図である。
【図8】角柱を繋げてリング状にしたタイヤモデルの側面図の説明図である。
【図9】サブセル領域が生成された断面データから作られた角柱の斜視図である。
【図10】サブセル領域に分割された断面データから作られた3次元のタイヤモデルである。
【図11】実施例2の断面データ1の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態のモデル生成装置10について、図面に基づいて説明する。
【0011】
本実施例のモデル生成装置10は、CAD装置によって作られたタイヤの断面形状を表す断面データから解析、又は、シミュレーションに用いられるメッシュフリー法で用いるタイヤモデルを生成する装置である。
【0012】
モデル生成装置10について説明する前に、タイヤ100の構造について図3に基づいて説明する。
【0013】
タイヤ100は、図3に示すように、左右一対のビード部102及びサイドウオール部104と、両サイドウオール部104,104の間に跨がるトレット部106とを備えている。
【0014】
ビード部102には、環状のビードコア108と、その半径方向の外側のゴム製のビードフィラー110とが配設されている。左右一対のビードコア108,108の間には、タイヤ100の周方向に対し、直角に配列した多数のコードが延在してなるカーカス部材112が設けられ、トレット部106におけるこのカーカス部材112の半径方向の外側には、非伸長製コードからなるベルト部材114が設けられ、このベルト部材114のタイヤ100の半径方向の外側にトレットゴム部材116が設けられている。そして、トレット部106には、タイヤ100の周方向に延びる溝118が設けられており、この例では、中央寄りのメディエート118Aと、端部寄りのショルダー溝118Bとが各2本、合計4本設けられている。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1のモデル生成装置10について図1〜図10に基づいて説明する。
【0016】
(1)モデル生成装置10の構成
本実施例のモデル生成装置10の構成について、図1のブロック図に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、モデル生成装置10は、取得部12、発生部14、分割部16、写像部18、組み合わせ部22、展開部24及び出力部26を有する。
【0018】
なお、このモデル生成装置10は、例えば、マウスとキーボードを有する汎用のコンピュータを基本ハードウエアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、取得部12、発生部14、分割部16、写像部18、組み合わせ部22、展開部24及び出力部26は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現させることができる。このとき、モデル生成装置10は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、E−ROM等の記憶媒体に記憶して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。
【0019】
以下、各部12〜26の機能について順番に説明する。
【0020】
(2)取得部12
まず、取得部12について図4に基づいて説明する。
【0021】
取得部12は、図3のタイヤ100の右半断面形状に関する断面データ1をCAD装置から取得するものであり、材料毎に断面データ1を取得している。図4は、タイヤ100のカーカス部材112の形状に関する断面データ1を表しており、カーカス部材112の形状(輪郭)を表す点列群によって断面データ1が構成されている。なお、この断面データ1は、閉領域である必要がある。また、取得部12は、このカーカス部材112の断面データ1以外にベルト部材114、トレットゴム部材116などの断面データ1も入力される。以下の説明では、この中でカーカス部材112を表している断面データ1を用いて説明していく。
【0022】
取得部12には、このカーカス部材112の2次元の断面データ1の輪郭を表す各点の座標が、全体座標系であるX−Y直交座標系で表されてCAD装置から入力される。取得部12は、図4に示すようにこの断面データ1の左端部の位置を点P1、右側下端部を点P2、右上端部を点P3、左上端部を点P4と設定する。
【0023】
(3)発生部14
次に、発生部14について図5に基づいて説明する。
【0024】
発生部14は、予め設定された凸状の正規化領域2を設定する。正規化領域2は凸型形状でなければならず、本実施例では正方形の正規化領域2が予め設定されている。なお、この凸状の正規化領域2は、正方形以外に長方形、三角形でもよい。正方形の正規化領域2には、図5に示すように、局所座標系が設定されている。この局所座標系はu−w直交座標系であって、正規化領域2の左下角部が原点(0,0)に、右下角部が(1,0)に、右上角部が(1,1)に、左上角部が(0,1)に設定されている。
【0025】
発生部14は、この正規化領域2に複数の節点を発生させる。この節点の配置は、ランダムであってもよく規則的な配置でもよい。この節点の発生密度は、解析するタイヤ100の状態によって制御する。本実施例では図5に示すように、発生部14は、縦横格子状に節点を複数発生させている。
【0026】
(4)分割部16
次に、分割部16について図6に基づいて説明する。
【0027】
分割部16は、発生部14によって節点が発生した正規化領域2についてデローニ分割(Delaunay triangulation)して複数の三角形の分割領域3を生成する。「デローニ分割」とは、2次元平面上の点群を基にして隣接する点間で三角形を形成させ、その平面を三角形領域(分割領域3)の集合で埋め尽くす手法である。
【0028】
図6は、節点が発生した正規化領域2をデローニ分割した図である。
【0029】
次に、分割部16は、正規化領域2の分割領域3を更に細かく分割して、三角形のサブセル領域4に再分割する。三角形の分割領域3をサブセル領域4に再分割する方法は、次の通りである。
【0030】
第1に、分割部16は、三角形の分割領域3の各辺の中点を求める。
【0031】
第2に、分割部16は、三角形の分割領域3の重心を求める。
【0032】
第3に、分割部16は、3個の中点と重心を結ぶ。
【0033】
第4に、分割部16は、三角形の分割領域3の頂点と重心を結ぶ。
【0034】
これにより、三角形の分割領域3内部が6個の三角形のサブセル領域に再分割される。この三角形のサブセル領域4は、メッシュフリー法の解析に用いられる。デローニ分割においては、節点数として例えば2960個設け、このサブセル領域4に関しては、分割点数として36600個設け、サブセル領域4は58560個設ける。
【0035】
(5)写像部18
次に、写像部18について、図4、図6及び図7に基づいて説明する。
【0036】
写像部18は、分割部16でサブセル領域4までに分割された正規化領域2を図4に示す断面データ1に写像して、図7に示すような断面データ1にサブセル領域4を生成する。写像部18は、この写像に用いる写像関数として、本実施例ではブレンディング関数(Blending Function)F0,F1を用いる。
【0037】
まず、局所座標系における正規化領域2と、全体座標系における断面データ1との関係について説明する。
【0038】
図4に示すように、全体座標系における断面データ1は、その輪郭が点列群よって表され、各点の座標位置が全体座標系で表されている。上記したように取得部12は、図4に示すように、左下端部の位置を点P1、右下端部を点P2、右上端部を点P3、左上端部を点P4と設定している。
【0039】
一方、図6に示すように、局所座標系によって表されている正規化領域2の4つの角部は、節点Q1=(0,0)、節点Q2=(1,0)、節点Q3=(1,1)、節点Q4=(0,1)で表されている。そして、この正規化領域2の中は、複数の節点を用いてデローニ分割されている。
【0040】
写像部18が、正規化領域2を断面データ1に写像する場合には、節点Q1を節点P1に写像し、節点Q2を節点P2に写像し、節点Q3を節点P3に写像し、節点Q4を節点P4に写像する。なお、本実施例では、全体座標系における原点を、節点P1に設定する。そして、この正規化領域2における任意の節点Q5が、断面データ1のどの位置に写像されるかは、局所座標系における節点Q5と原点(0,0)との距離によって決定される。例えば、節点Q5=(0.33,0.4)とすれば、断面データ1における節点Q5に対応する節点P5は、X方向においてはP1−P2の距離の0.33の位置にあり、Y方向においてはP1−P4の距離の0.4の位置にある。具体的には、節点P5の座標位置を全体座標系において(X5,Y5)とすると、X5/(P1−P2の距離)=0.33であり、Y5/(P1−P4の距離)=0.4となる。
【0041】
全体座標系における座標(X,Y)を、局所座標系の座標(u,w)とした場合に、X=Ax(u,w)とY=Ay(u,w)で表されるとすると、Ax(u,w)は下記の式(1)で表され、Ay(u,w)は下記の式(2)で表される。但し、0<=u,w<=1である。
【数1】
【0042】
但し、F1(u)、F0(u)、F1(w)、F0(w)は、ブレンディング関数であって、下記の式(3)〜(6)で表されている。
【数2】
【0043】
また、式(1)と式(2)におけるAx(0,0)とAy(0,0)は、節点P1の全体座標系における座標値を示し、Ax(1,0)とAy(1,0)は、節点P2の座標値を示し、Ax(1,1)とAy(1,1)は、節点P3の座標値を示し、Ax(0,1)とAy(0,1)は、節点P4の座標値を示している。
【0044】
さらに、Ax(0,w)は、局所座標系における節点Q(0,w)を全体座標系における断面データ1に写像したときの全体座標系の座標値を示し、例えばw=0.2の場合には、図7における節点P6が対応するので、この節点P6の座標値(0,0.2)を代入する。この計算方法は、上記で説明したように、節点Q5から節点P5の座標値を求める方法と同様である。Ax(1,w)も同様にして座標値を求める。
【0045】
写像部18は、上記のようにして、局所座標系における全ての節点に関して、図7における全体座標系の断面データ1にその節点を写像し、また、この写像された各節点を基準に三角形のサブセル領域4の各頂点(三角形の分割領域3の各辺の中点、分割領域3の重心)も写像し、断面データ1にサブセル領域4を生成する。
【0046】
以上により、写像部18が、写像関数によって正規化領域2におけるデローニ分割された節点とサブセル領域4を、全体座標系における断面データ1に写像できる。
【0047】
写像部18は、このサブセル領域4が生成された断面データ1を、組み合わせ部22に出力する。
【0048】
(6)組み合わせ部22
次に、組み合わせ部22について説明する。
【0049】
上記において説明した断面データ1は、カーカス部材112の断面データ1である。そのため、例えば、ベルト部材114、トレットゴム部材116などの各部材についても同様の処理に、複数のサブセル領域4が生成された断面データ1がそれぞれ生成される。組み合わせ部22は、部材毎に生成された断面データ1を組み合わせて、タイヤ100の全体の断面データ1を生成する。
【0050】
まず、組み合わせ部22は、写像部18から出力されたサブセル領域4が生成された各部材の断面データ1を組み合わせて、図9に示すタイヤ100の全体がサブセル領域4に分割された断面データ1を生成し、展開部24に出力する。
【0051】
(7)展開部24
次に、展開部24について図8〜図10に基づいて説明する。
【0052】
展開部24は、組み合わせ部22から出力されたタイヤ100の全体の2次元の断面データ1を、タイヤ100の周期対称性を利用して3次元のタイヤモデル6に展開する。
【0053】
第1に、展開部24は、2次元の断面データ1を角柱に展開する。すなわち、展開部24は、2次元の断面データ1を所定の角度(数ラディアン)だけ積層して図8及び図9に示すような3次元の角柱5を生成する。
【0054】
第2に、展開部24は、タイヤ100の全体の断面データ1は右半分のみの3次元の角柱5であるため、左右対称の3次元の角柱5に展開する。
【0055】
第3に、展開部24は、図8、図10に示すように、3次元の左右対称の角柱5を基準面を基準にしてリング状に接続して、3次元のタイヤモデル6を生成する。
【0056】
なお、展開する順番は、上記順番に限らず、断面データ1を左右対称に展開して、角柱5を生成してもよく、リング状に展開した後、左右対称に展開してもよい。
【0057】
(8)出力部26
次に、出力部26について説明する。
【0058】
出力部26は、展開部24によって生成された3次元のタイヤモデル6を、解析装置などに出力する。
【0059】
(9)モデル生成装置10の動作状態
次に、モデル生成装置10の動作状態について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0060】
ステップS1において、取得部12が、部材毎の断面データ1を取得し、ステップS2に進む。
【0061】
ステップS2において、発生部14が、予め設定した正方形の正規化領域2に複数の節点を発生させ、ステップS3に進む。
【0062】
ステップS3において、分割部16が、正規化領域2に発生した複数の節点に関して、隣接する節点を用いてデローニ分割して、三角形の分割領域3を生成する。次に、分割部16は、分割領域3を再分割してサブセル領域4を生成する。そしてステップS4に進む。
【0063】
ステップS4において、写像部18が、サブセル領域4に分割された正規化領域2を断面データ1に写像し、断面データ1にサブセル領域4を生成し、ステップS5に進む。
【0064】
ステップS5において、組み合わせ部22は、サブセル領域4に分割された部材毎の断面データ1を組み合わせて、タイヤ100の全体の断面データ1を生成する。そしてステップS6に進む。
【0065】
ステップS6において、展開部24が、サブセル領域4に分割された断面データ1を展開して3次元のタイヤモデル32を生成する。そしてステップS7に進む。
【0066】
ステップS7において、出力部26は、展開部24によって展開された3次元のタイヤモデル6を解析装置などに出力し終了する。
【0067】
(10)効果
本実施例によれば、タイヤ100の形状を表す断面データ1にデローニ分割を直接行わず、凸状の正規化領域2において複数の節点を発生させ、隣接する節点を用いてデローニ分割して三角形の分割領域3を生成し、さらにサブセル領域4に分割し、これを断面データ1に写像することにより、容易に、かつ、正確にタイヤ100の断面データ1内にサブセル領域4を生成できる。
【0068】
また、写像領域は2次元の断面データ1であるため、その写像を容易に行うことができ、また、タイヤ100の周期対称性を利用することにより、2次元の断面データ1を容易に3次元のタイヤモデルに展開できる。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明の実施例2のモデル生成装置10について図13に基づいて説明する。
【0070】
本実施例と実施例1の異なる点は、断面データ1に正規化領域2を写像する場合の処理が異なる。すなわち、実施例1においては、1つの断面データ1に対して1つの正規化領域2を写像した。しかし、図4に示すように、カーカス部材112の断面データ1は曲線を描いて屈曲部分を有し、そのまま正規化領域2を写像すると、この屈曲部分において分割領域3が正確に写像できない場合がある。
【0071】
そこで、本実施例では図13に示すように、カーカス部材112の断面データ1を屈曲部分で第1の断面領域1−1と第2の断面領域1−2に分け、第1の断面領域1−1に1つの正規化領域2を写像し、第2の断面領域1−2に更に異なる正規化領域2を写像する。なお、この断面領域は閉領域である必要がある。
【0072】
本実施例では、複数の断面領域を設け、それぞれに正規化領域2を写像することにより、節点密度のコントロールやマッピングの精度も向上する。
【変更例】
【0073】
(1)変更例1
上記実施形態では、写像関数として、ブレンディング関数を用いたが、これに限らず他の写像関数を用いてもよい。
【0074】
例えば、ラディアルベーシス関数補間(RBF補間、Radial Basis function Interpolation)による手法を用いてもよい。すなわち、このRBF補間は任意の節点の回りの節点の移動量からその内部にある任意の節点の移動量を算出することにより、写像を行う。
【0075】
また、Lagrange族やSerendipity族と呼ばれる形状関数を用いて正規化領域2をタイヤ100の断面データ1へ写像してもよい。Lagrange族はLagrange多項式に基づいて作られた要素で隅節点だけでなく、要素の面内や立体内にも節点を用い、これらで内挿を行う。また、Serendipity族は要素の辺上にのみ節点を持ち、これらで内挿を行う。
【0076】
(2)変更例2
上記実施例では、部材毎に断面データ1を形成したが、これに限らずタイヤ100の全体の断面データ1で、サブセル領域4を一度に生成してもよい。
【0077】
(3)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1・・・断面データ、2・・・正規化領域、3・・・分割領域、4・・・サブセル領域、5・・・角柱、6・・・タイヤモデル、10・・・モデル生成装置、12・・・取得部、14・・・発生部、16・・・分割部、18・・・写像部、22・・・組み合わせ部、24・・・展開部、26・・・出力部、100・・・タイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの解析を行うためのタイヤモデルを生成するモデル生成装置、その方法及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴム構造体を金型などに入れ金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形挙動を再現する変形シミュレーションの方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この変形シミュレーションは、メッシュフリー法を用いている。すなわち、金型により大きな変形が起こるゴム部材のみ、メッシュフリーモデルを用い、その形状に沿って一定の間隔で節点を配している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−14301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で用いられているメッシュフリーモデルは単純な矩形であるため、容易にシミュレーションを行うことができるが、タイヤ全体をメッシュフリー法によって計算する場合には、タイヤの構造が複雑であるため、メッシュフリー法を用いるタイヤモデルを生成することが困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、メッシュフリー法の解析に用いることができるタイヤモデルを容易に生成できるモデル生成装置、その方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成装置において、前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得部と、予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生部と、前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割部と、前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像部と、を有することを特徴とするモデル生成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤの断面形状を表す断面データに分割領域を容易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1のモデル生成装置のブロック図である。
【図2】モデル生成装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】タイヤの断面データを示す図である。
【図4】カーカス部材の断面データである。
【図5】正規化領域に節点を発生させた図である。
【図6】正規化領域をデローニ分割した状態の図である。
【図7】サブセル領域を写像した断面データの図である。
【図8】角柱を繋げてリング状にしたタイヤモデルの側面図の説明図である。
【図9】サブセル領域が生成された断面データから作られた角柱の斜視図である。
【図10】サブセル領域に分割された断面データから作られた3次元のタイヤモデルである。
【図11】実施例2の断面データ1の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態のモデル生成装置10について、図面に基づいて説明する。
【0011】
本実施例のモデル生成装置10は、CAD装置によって作られたタイヤの断面形状を表す断面データから解析、又は、シミュレーションに用いられるメッシュフリー法で用いるタイヤモデルを生成する装置である。
【0012】
モデル生成装置10について説明する前に、タイヤ100の構造について図3に基づいて説明する。
【0013】
タイヤ100は、図3に示すように、左右一対のビード部102及びサイドウオール部104と、両サイドウオール部104,104の間に跨がるトレット部106とを備えている。
【0014】
ビード部102には、環状のビードコア108と、その半径方向の外側のゴム製のビードフィラー110とが配設されている。左右一対のビードコア108,108の間には、タイヤ100の周方向に対し、直角に配列した多数のコードが延在してなるカーカス部材112が設けられ、トレット部106におけるこのカーカス部材112の半径方向の外側には、非伸長製コードからなるベルト部材114が設けられ、このベルト部材114のタイヤ100の半径方向の外側にトレットゴム部材116が設けられている。そして、トレット部106には、タイヤ100の周方向に延びる溝118が設けられており、この例では、中央寄りのメディエート118Aと、端部寄りのショルダー溝118Bとが各2本、合計4本設けられている。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1のモデル生成装置10について図1〜図10に基づいて説明する。
【0016】
(1)モデル生成装置10の構成
本実施例のモデル生成装置10の構成について、図1のブロック図に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、モデル生成装置10は、取得部12、発生部14、分割部16、写像部18、組み合わせ部22、展開部24及び出力部26を有する。
【0018】
なお、このモデル生成装置10は、例えば、マウスとキーボードを有する汎用のコンピュータを基本ハードウエアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、取得部12、発生部14、分割部16、写像部18、組み合わせ部22、展開部24及び出力部26は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現させることができる。このとき、モデル生成装置10は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、E−ROM等の記憶媒体に記憶して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。
【0019】
以下、各部12〜26の機能について順番に説明する。
【0020】
(2)取得部12
まず、取得部12について図4に基づいて説明する。
【0021】
取得部12は、図3のタイヤ100の右半断面形状に関する断面データ1をCAD装置から取得するものであり、材料毎に断面データ1を取得している。図4は、タイヤ100のカーカス部材112の形状に関する断面データ1を表しており、カーカス部材112の形状(輪郭)を表す点列群によって断面データ1が構成されている。なお、この断面データ1は、閉領域である必要がある。また、取得部12は、このカーカス部材112の断面データ1以外にベルト部材114、トレットゴム部材116などの断面データ1も入力される。以下の説明では、この中でカーカス部材112を表している断面データ1を用いて説明していく。
【0022】
取得部12には、このカーカス部材112の2次元の断面データ1の輪郭を表す各点の座標が、全体座標系であるX−Y直交座標系で表されてCAD装置から入力される。取得部12は、図4に示すようにこの断面データ1の左端部の位置を点P1、右側下端部を点P2、右上端部を点P3、左上端部を点P4と設定する。
【0023】
(3)発生部14
次に、発生部14について図5に基づいて説明する。
【0024】
発生部14は、予め設定された凸状の正規化領域2を設定する。正規化領域2は凸型形状でなければならず、本実施例では正方形の正規化領域2が予め設定されている。なお、この凸状の正規化領域2は、正方形以外に長方形、三角形でもよい。正方形の正規化領域2には、図5に示すように、局所座標系が設定されている。この局所座標系はu−w直交座標系であって、正規化領域2の左下角部が原点(0,0)に、右下角部が(1,0)に、右上角部が(1,1)に、左上角部が(0,1)に設定されている。
【0025】
発生部14は、この正規化領域2に複数の節点を発生させる。この節点の配置は、ランダムであってもよく規則的な配置でもよい。この節点の発生密度は、解析するタイヤ100の状態によって制御する。本実施例では図5に示すように、発生部14は、縦横格子状に節点を複数発生させている。
【0026】
(4)分割部16
次に、分割部16について図6に基づいて説明する。
【0027】
分割部16は、発生部14によって節点が発生した正規化領域2についてデローニ分割(Delaunay triangulation)して複数の三角形の分割領域3を生成する。「デローニ分割」とは、2次元平面上の点群を基にして隣接する点間で三角形を形成させ、その平面を三角形領域(分割領域3)の集合で埋め尽くす手法である。
【0028】
図6は、節点が発生した正規化領域2をデローニ分割した図である。
【0029】
次に、分割部16は、正規化領域2の分割領域3を更に細かく分割して、三角形のサブセル領域4に再分割する。三角形の分割領域3をサブセル領域4に再分割する方法は、次の通りである。
【0030】
第1に、分割部16は、三角形の分割領域3の各辺の中点を求める。
【0031】
第2に、分割部16は、三角形の分割領域3の重心を求める。
【0032】
第3に、分割部16は、3個の中点と重心を結ぶ。
【0033】
第4に、分割部16は、三角形の分割領域3の頂点と重心を結ぶ。
【0034】
これにより、三角形の分割領域3内部が6個の三角形のサブセル領域に再分割される。この三角形のサブセル領域4は、メッシュフリー法の解析に用いられる。デローニ分割においては、節点数として例えば2960個設け、このサブセル領域4に関しては、分割点数として36600個設け、サブセル領域4は58560個設ける。
【0035】
(5)写像部18
次に、写像部18について、図4、図6及び図7に基づいて説明する。
【0036】
写像部18は、分割部16でサブセル領域4までに分割された正規化領域2を図4に示す断面データ1に写像して、図7に示すような断面データ1にサブセル領域4を生成する。写像部18は、この写像に用いる写像関数として、本実施例ではブレンディング関数(Blending Function)F0,F1を用いる。
【0037】
まず、局所座標系における正規化領域2と、全体座標系における断面データ1との関係について説明する。
【0038】
図4に示すように、全体座標系における断面データ1は、その輪郭が点列群よって表され、各点の座標位置が全体座標系で表されている。上記したように取得部12は、図4に示すように、左下端部の位置を点P1、右下端部を点P2、右上端部を点P3、左上端部を点P4と設定している。
【0039】
一方、図6に示すように、局所座標系によって表されている正規化領域2の4つの角部は、節点Q1=(0,0)、節点Q2=(1,0)、節点Q3=(1,1)、節点Q4=(0,1)で表されている。そして、この正規化領域2の中は、複数の節点を用いてデローニ分割されている。
【0040】
写像部18が、正規化領域2を断面データ1に写像する場合には、節点Q1を節点P1に写像し、節点Q2を節点P2に写像し、節点Q3を節点P3に写像し、節点Q4を節点P4に写像する。なお、本実施例では、全体座標系における原点を、節点P1に設定する。そして、この正規化領域2における任意の節点Q5が、断面データ1のどの位置に写像されるかは、局所座標系における節点Q5と原点(0,0)との距離によって決定される。例えば、節点Q5=(0.33,0.4)とすれば、断面データ1における節点Q5に対応する節点P5は、X方向においてはP1−P2の距離の0.33の位置にあり、Y方向においてはP1−P4の距離の0.4の位置にある。具体的には、節点P5の座標位置を全体座標系において(X5,Y5)とすると、X5/(P1−P2の距離)=0.33であり、Y5/(P1−P4の距離)=0.4となる。
【0041】
全体座標系における座標(X,Y)を、局所座標系の座標(u,w)とした場合に、X=Ax(u,w)とY=Ay(u,w)で表されるとすると、Ax(u,w)は下記の式(1)で表され、Ay(u,w)は下記の式(2)で表される。但し、0<=u,w<=1である。
【数1】
【0042】
但し、F1(u)、F0(u)、F1(w)、F0(w)は、ブレンディング関数であって、下記の式(3)〜(6)で表されている。
【数2】
【0043】
また、式(1)と式(2)におけるAx(0,0)とAy(0,0)は、節点P1の全体座標系における座標値を示し、Ax(1,0)とAy(1,0)は、節点P2の座標値を示し、Ax(1,1)とAy(1,1)は、節点P3の座標値を示し、Ax(0,1)とAy(0,1)は、節点P4の座標値を示している。
【0044】
さらに、Ax(0,w)は、局所座標系における節点Q(0,w)を全体座標系における断面データ1に写像したときの全体座標系の座標値を示し、例えばw=0.2の場合には、図7における節点P6が対応するので、この節点P6の座標値(0,0.2)を代入する。この計算方法は、上記で説明したように、節点Q5から節点P5の座標値を求める方法と同様である。Ax(1,w)も同様にして座標値を求める。
【0045】
写像部18は、上記のようにして、局所座標系における全ての節点に関して、図7における全体座標系の断面データ1にその節点を写像し、また、この写像された各節点を基準に三角形のサブセル領域4の各頂点(三角形の分割領域3の各辺の中点、分割領域3の重心)も写像し、断面データ1にサブセル領域4を生成する。
【0046】
以上により、写像部18が、写像関数によって正規化領域2におけるデローニ分割された節点とサブセル領域4を、全体座標系における断面データ1に写像できる。
【0047】
写像部18は、このサブセル領域4が生成された断面データ1を、組み合わせ部22に出力する。
【0048】
(6)組み合わせ部22
次に、組み合わせ部22について説明する。
【0049】
上記において説明した断面データ1は、カーカス部材112の断面データ1である。そのため、例えば、ベルト部材114、トレットゴム部材116などの各部材についても同様の処理に、複数のサブセル領域4が生成された断面データ1がそれぞれ生成される。組み合わせ部22は、部材毎に生成された断面データ1を組み合わせて、タイヤ100の全体の断面データ1を生成する。
【0050】
まず、組み合わせ部22は、写像部18から出力されたサブセル領域4が生成された各部材の断面データ1を組み合わせて、図9に示すタイヤ100の全体がサブセル領域4に分割された断面データ1を生成し、展開部24に出力する。
【0051】
(7)展開部24
次に、展開部24について図8〜図10に基づいて説明する。
【0052】
展開部24は、組み合わせ部22から出力されたタイヤ100の全体の2次元の断面データ1を、タイヤ100の周期対称性を利用して3次元のタイヤモデル6に展開する。
【0053】
第1に、展開部24は、2次元の断面データ1を角柱に展開する。すなわち、展開部24は、2次元の断面データ1を所定の角度(数ラディアン)だけ積層して図8及び図9に示すような3次元の角柱5を生成する。
【0054】
第2に、展開部24は、タイヤ100の全体の断面データ1は右半分のみの3次元の角柱5であるため、左右対称の3次元の角柱5に展開する。
【0055】
第3に、展開部24は、図8、図10に示すように、3次元の左右対称の角柱5を基準面を基準にしてリング状に接続して、3次元のタイヤモデル6を生成する。
【0056】
なお、展開する順番は、上記順番に限らず、断面データ1を左右対称に展開して、角柱5を生成してもよく、リング状に展開した後、左右対称に展開してもよい。
【0057】
(8)出力部26
次に、出力部26について説明する。
【0058】
出力部26は、展開部24によって生成された3次元のタイヤモデル6を、解析装置などに出力する。
【0059】
(9)モデル生成装置10の動作状態
次に、モデル生成装置10の動作状態について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0060】
ステップS1において、取得部12が、部材毎の断面データ1を取得し、ステップS2に進む。
【0061】
ステップS2において、発生部14が、予め設定した正方形の正規化領域2に複数の節点を発生させ、ステップS3に進む。
【0062】
ステップS3において、分割部16が、正規化領域2に発生した複数の節点に関して、隣接する節点を用いてデローニ分割して、三角形の分割領域3を生成する。次に、分割部16は、分割領域3を再分割してサブセル領域4を生成する。そしてステップS4に進む。
【0063】
ステップS4において、写像部18が、サブセル領域4に分割された正規化領域2を断面データ1に写像し、断面データ1にサブセル領域4を生成し、ステップS5に進む。
【0064】
ステップS5において、組み合わせ部22は、サブセル領域4に分割された部材毎の断面データ1を組み合わせて、タイヤ100の全体の断面データ1を生成する。そしてステップS6に進む。
【0065】
ステップS6において、展開部24が、サブセル領域4に分割された断面データ1を展開して3次元のタイヤモデル32を生成する。そしてステップS7に進む。
【0066】
ステップS7において、出力部26は、展開部24によって展開された3次元のタイヤモデル6を解析装置などに出力し終了する。
【0067】
(10)効果
本実施例によれば、タイヤ100の形状を表す断面データ1にデローニ分割を直接行わず、凸状の正規化領域2において複数の節点を発生させ、隣接する節点を用いてデローニ分割して三角形の分割領域3を生成し、さらにサブセル領域4に分割し、これを断面データ1に写像することにより、容易に、かつ、正確にタイヤ100の断面データ1内にサブセル領域4を生成できる。
【0068】
また、写像領域は2次元の断面データ1であるため、その写像を容易に行うことができ、また、タイヤ100の周期対称性を利用することにより、2次元の断面データ1を容易に3次元のタイヤモデルに展開できる。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明の実施例2のモデル生成装置10について図13に基づいて説明する。
【0070】
本実施例と実施例1の異なる点は、断面データ1に正規化領域2を写像する場合の処理が異なる。すなわち、実施例1においては、1つの断面データ1に対して1つの正規化領域2を写像した。しかし、図4に示すように、カーカス部材112の断面データ1は曲線を描いて屈曲部分を有し、そのまま正規化領域2を写像すると、この屈曲部分において分割領域3が正確に写像できない場合がある。
【0071】
そこで、本実施例では図13に示すように、カーカス部材112の断面データ1を屈曲部分で第1の断面領域1−1と第2の断面領域1−2に分け、第1の断面領域1−1に1つの正規化領域2を写像し、第2の断面領域1−2に更に異なる正規化領域2を写像する。なお、この断面領域は閉領域である必要がある。
【0072】
本実施例では、複数の断面領域を設け、それぞれに正規化領域2を写像することにより、節点密度のコントロールやマッピングの精度も向上する。
【変更例】
【0073】
(1)変更例1
上記実施形態では、写像関数として、ブレンディング関数を用いたが、これに限らず他の写像関数を用いてもよい。
【0074】
例えば、ラディアルベーシス関数補間(RBF補間、Radial Basis function Interpolation)による手法を用いてもよい。すなわち、このRBF補間は任意の節点の回りの節点の移動量からその内部にある任意の節点の移動量を算出することにより、写像を行う。
【0075】
また、Lagrange族やSerendipity族と呼ばれる形状関数を用いて正規化領域2をタイヤ100の断面データ1へ写像してもよい。Lagrange族はLagrange多項式に基づいて作られた要素で隅節点だけでなく、要素の面内や立体内にも節点を用い、これらで内挿を行う。また、Serendipity族は要素の辺上にのみ節点を持ち、これらで内挿を行う。
【0076】
(2)変更例2
上記実施例では、部材毎に断面データ1を形成したが、これに限らずタイヤ100の全体の断面データ1で、サブセル領域4を一度に生成してもよい。
【0077】
(3)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1・・・断面データ、2・・・正規化領域、3・・・分割領域、4・・・サブセル領域、5・・・角柱、6・・・タイヤモデル、10・・・モデル生成装置、12・・・取得部、14・・・発生部、16・・・分割部、18・・・写像部、22・・・組み合わせ部、24・・・展開部、26・・・出力部、100・・・タイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成装置において、
前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得部と、
予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生部と、
前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割部と、
前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像部と、
を有することを特徴とするモデル生成装置。
【請求項2】
前記サブセル領域が生成された2次元の前記断面データを、前記タイヤの周期対称性を利用して展開して、3次元の前記タイヤモデルを生成する展開部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモデル生成装置。
【請求項3】
前記展開部は、
2次元の前記断面データから3次元の角柱を生成し、
複数の前記角柱を周方向にリング状に展開し、
3次元の前記タイヤモデルを生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のモデル生成装置。
【請求項4】
前記取得部は、2次元の前記断面データを前記タイヤの部材毎にそれぞれ取得し、
前記写像部は、前記部材毎の前記断面データに前記正規化領域を前記写像関数を用いてそれぞれ写像して、前記部材毎の前記断面データに前記サブセル領域をそれぞれ生成し、
前記サブセル領域が生成された前記部材毎の前記断面データを一つに組み合わせて、前記タイヤ全体の前記断面データを生成する組み合わせ部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモデル生成装置。
【請求項5】
前記写像部は、
2次元の前記断面データを、閉領域からなる複数の断面領域に分割し、
前記断面領域毎に前記正規化領域を前記写像関数を用いてそれぞれ写像して、前記断面領域毎に前記サブセル領域をそれぞれ生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモデル生成装置。
【請求項6】
前記正規化領域が凸状である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモデル生成装置。
【請求項7】
前記写像部は、前記写像関数としてブレンディング関数、ラディアルベーシス関数、又は、形状関数を用いる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモデル生成装置。
【請求項8】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成装置が実行するモデル生成方法において、
前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得ステップと、
予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生ステップと、
前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割ステップと、
前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像ステップと、
を有することを特徴とするモデル生成方法。
【請求項9】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得機能と、
予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生機能と、
前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割機能と、
前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像機能と、
を実行させるためのモデル生成プログラム。
【請求項1】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成装置において、
前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得部と、
予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生部と、
前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割部と、
前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像部と、
を有することを特徴とするモデル生成装置。
【請求項2】
前記サブセル領域が生成された2次元の前記断面データを、前記タイヤの周期対称性を利用して展開して、3次元の前記タイヤモデルを生成する展開部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモデル生成装置。
【請求項3】
前記展開部は、
2次元の前記断面データから3次元の角柱を生成し、
複数の前記角柱を周方向にリング状に展開し、
3次元の前記タイヤモデルを生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のモデル生成装置。
【請求項4】
前記取得部は、2次元の前記断面データを前記タイヤの部材毎にそれぞれ取得し、
前記写像部は、前記部材毎の前記断面データに前記正規化領域を前記写像関数を用いてそれぞれ写像して、前記部材毎の前記断面データに前記サブセル領域をそれぞれ生成し、
前記サブセル領域が生成された前記部材毎の前記断面データを一つに組み合わせて、前記タイヤ全体の前記断面データを生成する組み合わせ部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモデル生成装置。
【請求項5】
前記写像部は、
2次元の前記断面データを、閉領域からなる複数の断面領域に分割し、
前記断面領域毎に前記正規化領域を前記写像関数を用いてそれぞれ写像して、前記断面領域毎に前記サブセル領域をそれぞれ生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモデル生成装置。
【請求項6】
前記正規化領域が凸状である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモデル生成装置。
【請求項7】
前記写像部は、前記写像関数としてブレンディング関数、ラディアルベーシス関数、又は、形状関数を用いる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモデル生成装置。
【請求項8】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成装置が実行するモデル生成方法において、
前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得ステップと、
予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生ステップと、
前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割ステップと、
前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像ステップと、
を有することを特徴とするモデル生成方法。
【請求項9】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する場合に、前記解析に用いるタイヤモデルを生成するモデル生成プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記タイヤの断面形状を表す2次元の閉領域からなる断面データを取得する取得機能と、
予め設定した正規化領域に複数の節点を発生させる発生機能と、
前記正規化領域における複数の前記節点をデローニ分割して多角形の分割領域を生成し、さらに、前記分割領域を再分割して前記メッシュフリー法で用いられるサブセル領域を生成する分割機能と、
前記サブセル領域に分割された前記正規化領域を、前記断面データに写像関数を用いて写像して、前記断面データに前記サブセル領域を生成する写像機能と、
を実行させるためのモデル生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−23106(P2013−23106A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161137(P2011−161137)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
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