説明

モノアシルグリセロールリパーゼ(MGLL)のタンパク質改変

高スループットスクリーニング及びタンパク質結晶化に好適な多くのMGLLの可溶性改変形態、並びにモノアシルグリセロールリパーゼタンパク質(MGLL)の結晶形態、並びにX線回折パターンの説明を開示する。MGLLの改変された作製物は、結晶学又は高スループットスクリーニングに好適なタンパク質の発現及び精製、並びにMGLLの活性剤として機能し得る、リガンドの同定を可能にする。X線回折パターンは、MGLL上のリガンド結合部位を同定し、かつ、MGLLアミノ酸残基とのリガンドの相互作用をモデル化することができるように、MGLLの三次元構造を原子分解能で決定することが可能である。このようなマップを用いて調製されるモデルは、MGLLの阻害剤として機能するものが挙げられるが、これらに限定されない、活性剤として機能し得るリガンドの設計を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、分子生物学、タンパク質精製、高スループットスクリーニング、タンパク質結晶化、X線回折解析、三次元構造決定、分子モデリング、及び構造に基づく合理的薬物設計の分野に関連する。本発明は、高スループットスクリーニング及びタンパク質結晶化に好適な多くのMGLLの可溶性改変形態、並びにモノアシルグリセロールリパーゼタンパク質(MGLL)の結晶形態、並びにX線回折パターンの説明を提供する。
【0002】
本発明によって提供されるMGLLの形態は、高スループットスクリーニング及び結晶学に好適なタンパク質の発現及び精製を可能にする。したがって、本発明のMGLLの形態には、MGLLの阻害剤としての使用を見出すものが挙げられるが、これらに限定されない、活性剤を同定するためのMGLLのスクリーニングへの用途がある。
【0003】
本発明の結晶のX線回折パターンは、MGLLの三次元構造を原子分解で決定し、MGLLのリガンド結合部位を同定し、かつ、MGLLのアミノ酸残基とのリガンドの相互作用をモデル化することができるように、十分な分解能のものである。本発明によって提供される高分解能マップ及びこのようなマップを用いて調製されるモデルは、活性剤として機能し得るリガンドの設計を可能にする。したがって、本発明のMGLLの三次元構造は、MGLLの阻害剤としての使用を見出すものが挙げられるが、これらに限定されない、活性剤の設計への用途がある。
【背景技術】
【0004】
本明細書を通して、特許、公開された出願、技術論文、及び学術論文を包含し得る種々の出版物は括弧内に引用され、各々の完全な引用は本明細書の末尾に見出され得る。それらの引用された各出版物はその全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0005】
Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)は、大麻に見出される主要な精神活性物質である。THCは、2つの異なるGタンパク質結合受容体の、カンナビノイド1受容体(CB1)及びカンナビノイド2受容体(CB2)を活性化する(Matsuda et al.1990、Munro et al.1993)。CB1は、主として、中枢神経系(CNS)に発現する(Hohmann and Herkenham1999、Farquhar−Smith et al.2000、Rice et al.2002、Walczak et al.2005)。しかしながら、CB2発現は、末梢組織にのみ制限されると思われる(Munro et al.1993、Galiegue et al.1995)。
【0006】
カンナビノイドのCNS媒介された鎮痛効果は、十分に立証されているが、カンナビノイドが、CB1又はCB2を含む末梢機構を通して、痛覚抑制を生み出すことができることを示唆する証拠も相次いでいる(Hohmann 2002)(Malan et al.2002)。Richardsonらは、カンナビノイドの抗痛覚効果は、CB1によって主に媒介されることを示した(Richardson et al.1998、Richardson 2000)。Hanusらは、CB2選択的作動薬の腹腔内投与は、ホルマリン試験において、後期応答を鎮静することができることを示した(Hanus et al.1999)。CB2選択的作動薬は、温痛覚及び痛覚過敏を軽減する(Malan et al.2001、Malan et al.2002、Quartilho et al.2003)、又はカサプサイチンの皮内投与によって惹起された痛覚過敏を鎮静する(Hohmann et al.2004)ことができることも示された。Ibrahimらは、CB2選択的作動薬を有するCB2の活性化は、実験神経因性疼痛を抑制することを示した(Ibrahim et al.2006)。総合すれば、相次ぐ証拠は、疼痛の治療のための周辺標的として、CB2を標的とする際に、大いなる潜在性がある治癒的価値を明らかに示唆している。本アプローチの有意な利点は、CB1を標的とすることによって生じた望ましくないCNS副作用をなくすことに留意すべきである。
【0007】
アラキドン酸誘導体の2−アラキドニルグリセロール(2−AG)は、CB1及びCB2に対する2つの主要かつ最もよく研究された内因性リガンドのうちの1つである(Gonsiorek et al.2000)。2−AGが、CB2の潜在的かつ十分な有効性を持つ作動薬として役立ち(Gonsiorek et al.2000、Sugiura et al.2000、Maresz et al.2005)、2−AGが、モノアシルグリセロールリパーゼ(MGLL)によって主に加水分解される(Dinh et al.2002、Dinh et al.2004、Saario et al.2004)ことを示している。2−AG加水分解を遮断した非競合MGLL阻害剤は、ストレスモデルにおいて、2−AGレベル及び痛覚抑制を増強することが見出された(Hohmann et al.2005、Makara et al.2005)。2−AGあるいは選択的MGLL抑制剤のいずれかの局所投与は、炎症性痛覚モデルにおいて、用量依存的な抗侵害受容作用を誘発したことも示された。更に、2−AGと組み合わせた選択的MGLL阻害在の局所投与は、更なる抗侵害受容作用をもたらした(Guindon et al.2007)。したがって、MGLLの選択的阻害剤は、疼痛の治療のための新規の治療的アプローチを提供し得る。しかしながら、本標的に達することは、酵素の豊富な知識なしには、考えられない(Vandevoorde and Lambert 2005)。
【0008】
リパーゼは、リパーゼが、過飽和溶液中に形成されたエマルションに対する加水分解の動力学を改善するという事実によってカルボキシルエステラーゼから分化されている脂肪分解酵素である。カルボキシルエステラーゼは、溶解限度をはるかに下回る半最大活性を有する、短鎖エステルの溶液を用いて最大活性を有することが示されている。溶解限度を超えることは、カルボキシルエステラーゼ活性への作用がないことを示した。その一方で、リパーゼは、溶解限度に近い基質濃度で、半最大活性を有する、乳化基質を用いて最大活性を有することが示された(Chahinian et al.2002)。ブタ膵リパーゼを用いた初期の研究は、エステル基質の溶液を用いた活性が低く、エマルションを形成するとすぐに急増加することを示した。ブタ膵リパーゼが、その不水溶性基質に結合する場合、酵素の立体構造変化によって活性化されると推測した。ブタ膵リパーゼを用いた研究は、Niniらによって検討された(Nini et al.2001)。
【0009】
一般に、リパーゼは、可撓性キャップドメインの下に埋められている触媒Ser−His−Aspトライアードを用いて折り畳まれる類似のα/β加水分解酵素を共有し、これらは、「ふた」又は「フラップ」とも称される(Brady et al.1990、Winkler et al.1990、Schrag et al.1991)。キャップドメインの一次配列においてほとんど保存されないが、それは、概して、ループ及び1つ以上の両親媒性ヘリックスから形成される。ヒト及びイヌ胃リパーゼのキャップドメインは、8つのヘリックス、回転、及びランダムコイルの複雑な混合からなる(Roussel et al.1999、Roussel et al.2002)。ヒト膵リパーゼの結晶構造において、ふたは、2つの短い両親媒性ヘリックスからなるヘリックス回転のヘリックスモチーフを採用する(van Tilbeurgh et al.1992)。
【0010】
多分子集合体として示される基質に対するリパーゼ活性(界面活性化)は、キャップドメインの構造変化によるものであることが長年示唆されている。また、ふたのクローズドからオープン構造の変化は、基質又は脂質膜との相互作用によって引き起こされていることも示唆されている(Brzozowski et al.1991、van den Berg et al.1995、van den Berg et al.1995、Nini et al.2001)。幾つかの他の報告ではまた、活性部位を被覆するループは、リパーゼ基質の特異性を介在することが示されている(Dugi et al.1992、Dugi et al.1995)。らせん状のふたの移動は、活性酵素において完全に曝露されるふたの疎水性側鎖を有するリパーゼの外面の疎水性の−親水性のバランスの変化をもたらすことが立証された(Faustinella et al.1992)。幾つかのリパーゼ、例えば、モルモット膵リパーゼ及び胆汁酸塩活性化リパーゼは、ふたドメインを有さない。それらの活性部位は、溶媒に自由にアクセス可能である。予想通りに、キャップドメインの欠失に基づいて、これらのリパーゼは、脂質/水界面によって活性化されない(Wang et al.1997)(Carriere et al.1997)。
【0011】
幾つかの微生物リパーゼ及び哺乳類リパーゼの三次元構造の判定を通して、リパーゼの構造について多くのことが確認されているが、MGLLの三次元構造は、未確認であり、その作用機序も十分に理解されていない。更に、MGLLは、他の哺乳類リパーゼとの配列相同性をほとんど示さず、その唯一の基質としてモノグリセリドを有するのは、リパーゼの中で特有である。MGLLは、エステラーゼ、リゾホスホリパーゼ、及びハロペルオキシダーゼを包含する微生物タンパク質に唯一遠縁であると考えられる(Karlsson et al.1997)。MGLLの仮想分子量モデルは、クロロペルオキシダーゼの結晶構造に基づいて構築された(Saario et al.2005、Saario et al.2006)。このモデルは、4つのヘリックスからなるふたドメインで折り畳まれたαβ加水分解酵素を示す。しかしながら、モデルは、仮想モデルであり、MGLLの実際の作用機序に対してほとんど洞察力を与えない。
【0012】
MGLLの結晶構造は、MGLLの選択的阻害剤を発見するための試みを大いに促進し得る。MGLLを用いた結晶化実験の潜在的な問題は、組み換えMGLL及び内在源からのMGLLの両方の溶液中でMGLLを精製し、かつ安定させるために洗剤を必要とすることである(Tornqvist and Belfrage 1976、Somma−Delpero et al.1995、Karlsson et al.2000)。洗剤なしで、精製されたMGLLタンパク質は、凝集される傾向があった。整列タンパク質結晶を得るのは困難であり得るため、高分解能X線結晶技術を可能にするために十分な規則性の構造内への洗剤可溶化タンパク質の結晶化は、問題があり得る(US6172262B1)。
【0013】
本発明は、精製のために洗剤を必要としないモノアシルグリセロールリパーゼタンパク質(MGLL)の多くの可溶性の改変された形態を提供する。本発明によって提供されたMGLLの形態は、高スループットスクリーニングにおいて活性剤を同定し、かつ結晶学に適したタンパク質の発現及び精製を可能にする。本発明はまた、MGLLの結晶形態及びX線回折パターンの説明も提供する。MGLLのキャップドメインにおいて、疎水性残基の選択的点突然変異は、精製及び安定性に対して洗剤を必要としない可溶性タンパク質を生成した。タンパク質は、ゲル濾過によって単量体挙動を示し、結晶化及び高スループットスクリーニングに適していた。加えて、表面リシン残基の選択的突然変異は、改良された品質の結晶を生成したタンパク質を産生した。MGLLの結晶構造は、原子分解で決定された。MGLLの形態は、高スループットスクリーニングにおいて阻害剤を同定するために使用することができる、タンパク質を提供し、MGLLの結晶構造は、MGLL阻害剤の構造に基づく薬物設計に対して重要なツールを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、MGLLの形態、又はそのフラグメント、若しくは標的構造モチーフ若しくは誘導体を含む組成物を提供し、キャップドメインの1つ以上の疎水性残基は、溶解度を改善するように突然変異されている。
【0015】
本発明はまた、MGLLの形態、又はそのフラグメント、若しくは標的構造モチーフ若しくは誘導体を含む組成物も提供し、キャップドメインの1つ以上の疎水性ロイシン残基は、溶解度を改善するように突然変異されている。
【0016】
本発明は、キャップドメインの1つ以上の突然変異疎水性ロイシン残基を含む、MGLLの形態を含む組成物を更に提供し、キャップドメインの前記1つ以上の突然変異疎水性ロイシン残基は、ヒトMGLLイソ型2の参照配列(配列番号1)に基づいて番号付けした、ロイシン162、ロイシン167、ロイシン169、ロイシン171、ロイシン174、ロイシン176、及びロイシン184からなる群から選択される。
【0017】
本発明は、キャップドメインの1つ以上の突然変異疎水性残基を含む、MGLLの形態を含む組成物を提供し、キャップドメインの前記1つ以上の疎水性残基は、セリン、グルタミン、又はアルギニンに突然変異されている。
【0018】
本発明の別の態様において、本発明は、アラニンに突然変異したリシンを更に含む、キャップドメインの1つ以上の突然変異疎水性ロイシン残基を含む、MGLLの形態を包含する。
【0019】
本発明はまた、アラニンに突然変異したリシンを更に含む、キャップドメインの1つ以上の突然変異疎水性ロイシン残基を含む、MGLLの形態も包含し、前記リシン残基は、ヒトMGLLイソ型2の参照配列に基づいて番号付けした、リシン36、リシン160、リシン165、リシン188、リシン206、リシン226、リシン259、及びリシン269からなる群から選択される。
【0020】
本発明は、本発明のMGLLの形態に結合する薬剤を同定する方法を更に包含し、この方法は、MGLLの形態と薬剤を接触させる工程と、MGLLの形態の薬剤の結合を測定する工程と、薬剤がMGLLの形態に結合することを決定する工程と、それによってMGLLの形態に結合する薬剤を同定する工程と、を含む。
【0021】
好ましい実施形態において、本発明は、MGLLの形態に結合する薬剤を同定する方法を包含し、MGLLの形態は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0022】
別の好ましい実施形態において、本発明は、MGLLの形態に結合する薬剤を同定する方法を包含し、結合は、MGLLの形態の熱安定度によって測定される。
【0023】
本発明は、本発明のMGLLの形態の活性を阻害する薬剤を同定する方法を更に包含し、方法は、MGLLの形態と薬剤を接触させる工程と、薬剤の存在下で、MGLLの形態の生物活性を測定する工程と、薬剤がない、MGLLの形態の生物活性を測定する工程と、薬剤の存在下で測定されたMGLLの形態の生物活性と、薬剤がないMGLLの形態の生物活性を比較する工程と、それによって、薬剤の存在下で測定された活性が、薬剤なしで測定された活性よりも少ない場合、MGLLの形態の生物活性を低下させる薬剤を同定する工程と、を含む。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明は、MGLLの形態の活性を阻害する薬剤を同定する方法を包含し、MGLLの形態は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0025】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明のMGLLの形態の活性を阻害する薬剤を同定する方法を包含し、生物活性は、酵素アッセイを用いて測定される。
【0026】
本発明は、モノアシルグリセロールリパーゼタンパク質(MGLL)の結晶構造から得られる三次元構造情報を生み出し、用いる方法を更に包含する。
【0027】
本発明はまた、阻害剤−MGLL錯体の結晶を得るために特定の結晶化条件も包含する。その後、結晶は、X線結晶学を用いて、錯体の三次元構造を得るために使用される。得られたデータは、MGLLの阻害剤である化合物を設計する目的として合理的な薬物発見のために使用される。
【0028】
本発明は、モノアシルグリセロールリパーゼ(MGLL)、又はそのフラグメント、若しくは標的構造モチーフ、若しくは誘導体を含む結晶、及びリガンドを包含し、リガンドは、小分子阻害剤である。別の実施形態において、結晶は、C2221の空間群を有する。
【0029】
本発明の別の態様において、本発明は、配列番号7に対して少なくとも95%の配列同一性を有するペプチドを含む、MGLLの形態を含む結晶を包含する。
【0030】
本発明の別の態様において、本発明は、(a)MGLL、又はそのフラグメント若しくは標的構造モチーフ、若しくは誘導体を含む結晶、及びリガンドの三次元構造における情報を含有するデータベースであって、リガンドは、小分子阻害剤であり、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に記憶される、データベースと、(b)情報を閲覧するためのユーザーインターフェースと、を含む、コンピュータシステムを包含する。
【0031】
本発明はまた、MGLLに会合する薬剤の潜在性を評価する方法を包含し、この方法は、(a)MGLLを薬剤に曝露する工程と、(b)MGLLのアミノ酸残基SER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279への前記薬剤の結合を検出する工程と、それによって、薬剤の潜在性を評価する工程と、を含む。
【0032】
本発明は、配列番号7の配列を有するペプチドに会合する薬剤の潜在性を評価する方法を更に包含し、この方法は、(a)配列番号7を薬剤に曝露する工程と、(b)配列番号7への薬剤の結合レベルを検出する工程と、それによって、薬剤の潜在性を評価する工程と、を含む。
【0033】
本発明には、モノアシルグリセロールリパーゼに対して、前記潜在的作動薬又は拮抗薬を同定する方法を更に包含し、この方法は、(a)前記潜在的作動薬又は拮抗薬を設計する、又は選択するために、小分子阻害剤と共結晶化されたMGLLの三次元構造を採用する工程を包含する。
【0034】
本発明は、モノアシルグリセロールリパーゼに対して、阻害剤の付着部位を位置決めする方法を含み、この方法は、(a)MGLLの結晶に対するX線回折データを取得する工程と、(b)MGLLの錯体及び阻害剤に対するX線回折データを取得する工程と、(c)X線回折データの差異を得るために、工程(b)で得られたX線回折データから工程(a)で得られたX線回折データを減算する工程と、(d)工程(a)で得られたX線回折データに対応する位相を取得する工程と、(e)阻害剤の異なるフーリエ画像を計算するために、工程(d)で得られた位相及び工程(c)で得られたX線回折データの差異を利用する工程と、(f)工程(e)で得られた計算に基づくMGLLへの阻害剤の付着部位を位置決めする工程と、を含む。
【0035】
本発明は、修飾された阻害剤を取得する方法を更に含み、この方法は、(a)MGLLを含む結晶及び阻害剤を取得する工程と、(b)結晶の原子座標を取得する工程と、(c)原子座標及び1つ以上の分子モデリング法を用いて、阻害剤とMGLLとの相互作用を修飾する方法を決定する工程と、(d)修飾された阻害剤を生成するために、工程(c)で得られた決定に基づいて阻害剤を修飾する工程と、を含む。
【0036】
本発明の別の態様において、本発明は、MGLLのアミノ酸残基のSER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279の構造座標によって画定される、結合ポケット、又は活性部位を含む、単離されたタンパク質フラグメントを包含する。
【0037】
本発明の別の態様において、本発明は、MGLLのアミノ酸残基のSER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279の構造座標によって画定される、結合ポケット又は活性部位を含む、フラグメントをコードする単離された核酸分子を包含する。本発明の別の態様において、本発明は、MGLLに会合する薬剤のスクリーニングする方法を包含し、この方法は、(a)タンパク質分子フラグメントを薬剤に曝露する工程と、(b)フラグメントへの薬剤の結合レベルを検出する工程と、を含む。本発明の別の態様において、本発明は、タンパク質分子フラグメントを含むキットを包含する。
【0038】
本発明は、MGLLポリペプチドリガンドを含む結晶錯体の産生のための方法を更に含み、この方法は、(a)MGLLポリペプチドと、PEG MME 5K、クエン酸ナトリウムpH5.5及びn−オクチル−β−D−グルコピラノシドを含む、好適な溶液中の前記リガンドを接触させる工程と、(b)前記溶液からMGLLポリペプチドリガンドの前記得られた錯体を結晶化する工程と、を含む。
【0039】
本発明は、MGLLを含む結晶及びリガンドの生成のための方法を更に包含し、このリガンドは、潜在的阻害剤を用いて、配列番号7を含むペプチドを結晶化する工程を含む、小分子阻害剤である。
【0040】
本発明は、モノアシルグリセロールリパーゼの潜在的阻害剤を同定するための方法を包含し、この方法は、a)表5の原子座標によって画定されるように、MGLLの三次元構造を使用する工程と、b)前記三次元構造において、SER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279から選択される1つ以上のMGLLのアミノ酸を異なるアミノ酸で置換し、修飾されたMGLLを生成する工程と、c)前記三次元構造を使用して、前記潜在的阻害剤を設計又は選択する工程と、d)前記潜在的阻害剤を合成する工程と、e)基質の存在下で、前記潜在的阻害剤と前記修飾されたMGLLを接触させ、MGLL又は前記修飾されたMGLLを阻害するための前記潜在的阻害剤の能力を試験する工程と、を含む。本発明は、この方法によって同定された阻害剤も含有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
ここで本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照し、例示のみの目的で説明する。
【図1A】配列番号1のヒトモノグリセリドリパーゼイソ型2のアミノ酸配列(Karlsson et al.2001)、受入番号NP_001003794、バージョンNP_001003794.1、GI:51242953を示す図。
【図1B】配列番号2のヒトモノグリセリドリパーゼイソ型1のアミノ酸配列(Wall et al.1997)、受入番号NP_009214、バージョンNP_009214.1、GI:6005786を示す図。
【図1C】それぞれ、ヒトモノグリセリドリパーゼイソ型2及びイソ型1でり、配列アライメントは、オンラインのBLAST 2 SEQUENCESソフトウェアを用いて行われ(Tatusova and Madden 1999)、配列番号1及び配列番号2の配列アライメントを示す図。
【図2A】配列アライメントは、ClustalWソフトウェアを用いて行われ、相同残基を黒字で示し、同一残基を緑字で示し、ヘリックス及びβシートの位置を、それぞれ、赤星及び緑色の列によって示し、活性部位残基を赤色でハイライトし、Leu169及びLeu 176を青色の矢印で示し、ヒトMGLLイソ型2(配列番号1)及び結晶化されたRsbQ(RsbQ、PDB1WOM)の配列アライメントを示す図。
【図2B】Leu 169及びLeu 176を赤紫色で示し、活性部位残基を緑色で示し、RsbQ(Pdb 1bro)に基づくヒトMGLLイソ型2の相同モデルのリボンダイアグラム表示を示す図。
【図2C】Leu 169及びLeu 176を赤紫色で示し、活性部位残基を緑色で示し、RsbQ(Pdb 1bro)に基づくヒトMGLLイソ型2の相同モデルの表面表示を示す図。
【図3A】N末端Hisタグを、非大文字の文字列で示し、TEV切断部位を、切断の部位上に矢印を用いて太字の非大文字の文字列で示し、配列番号3のwt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)を発現するために使用された作製物のアミノ酸配列を示す図。
【図3B】N末端Hisタグを、非大文字の文字列で示し、TEV切断部位を、切断の部位上に矢印を用いて太字の非大文字の文字列で示し、突然変異を太字の非大文字の文字列で示し、配列番号4のmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)の形態を発現するために使用された作製物のアミノ酸配列を示す図。
【図3C】TEV切断後の状態のままであるTEV切断部位からの1つのアミノ酸を太字の非大文字の文字列で示し、突然変異を太字の非大文字の文字列で示し、配列番号5のN末端HisタグのTEV切断後のmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)アミノ酸配列を示す図。
【図3D】N末端Hisタグを、非大文字の文字列で示し、TEV切断部位を、切断の部位上に矢印を用いて太字の非大文字の文字列で示し、突然変異を太字の非大文字の文字列で示し、配列番号6のmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)形態を発現するために使用された作製物のアミノ酸配列を示す図。
【図3E】TEV切断後の状態のままであるTEV切断部位からの1つのアミノ酸を太字の非大文字の文字列で示し、突然変異を太字の非大文字の文字列で示し、N末端HisタグのTEV切断後の配列番号7のmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)のアミノ酸配列を示す図。
【図4A】wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)に対する100%凝集、及びTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)に対する90%のモノマーを示す、洗剤の不在下で精製された、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)(赤紫色の点線)、及びTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)(青色の実線)に対するサイズ排除溶出プロファイルを示す図。
【図4B】200〜260nmの遠紫外線スキャンを、(i)に示し、210nmで観察され25〜80℃の融点を、(ii)に示し、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)及びTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)の円偏光二色性構造分析を示す図。
【図5】TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)の加水分解に対する複製のミカエリスメンテン曲線を示す図。
【図6】融解転移の中点は、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)に対して、58℃であり、TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)に対して、56.7℃であり、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)(緑線)及びTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)(赤線)に対する融解転移の熱変化データを示す図。
【図7A】化合物1の構造を示す図。
【図7B】化合物2の構造を示す図。
【図8】カラーコーディングは、二次構造(αヘリックス:赤紫色、βシート:黄色)に従うものであり、リガンド(化合物2)を、ボール&スティック表示で表し(緑色)、タンパク質は、他のシートに逆並行であるβ2を用いて、8つのβシートからなる典型的なα/β加水分解酵素折り畳みに適合し、阻害剤は、活性部位に位置決めされ、α4をα6に接続するループによって末端保護され、TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)及び化合物2の錯体の構造のリボンダイアグラムを示す図。
【図9】TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)及び化合物2の錯体の構造の表面表示を示す図。
【図10A】キャップドメインの位置を図示するために、シアンで色付けされたキャップドメインを有するMGLL(残基145〜206)のリボンダイアグラムを示す図。
【図10B】ブロモペルオキシダーゼA1(サーモン色)及びクロロペルオキシダーゼL(緑色)に、MGLL(橙色)のリボンダイアグラムのオーバーレイを示す図。
【図10C】キャップドメインは、全ての構造において、明確にするために、コアα/β加水分解酵素の間で良好なアライメントを示すように省略され、シュードモナスプチダのエステラーゼ(灰色)及びγラクタマーゼ(黄色)に、MGLL(橙色)のリボンダイアグラムのオーバーレイを示す図。
【図10D】異なるキャップドメインの重ね合わせは、MGLLと他の加水分解酵素との間で異なる配置をハイライトし、MGLLのキャップドメインのリボンダイアグラムを示す図。
【図10E】ブロモペルオキシダーゼA1(サーモン色)及びクロロペルオキシダーゼL(緑色)のキャップドメインのリボンダイアグラムのオーバーレイを示す図。
【図10F】シュードモナスプチダのエステラーゼ(灰色)及びガンマラクタマーゼ(黄色)のキャップドメインのリボンダイアグラムのオーバーレイを示す図。
【図11】野生型タンパク質に存在する場合、タンパク質凝集を防いだキャップドメインにおける、突然変異L169S及びL176S、並びに対称メートとの相互作用を行い得るβ2〜β4の間のループ上のK36Aの位置を示す、MGLLのリボンダイアグラムを示す図。
【0042】
表1:本発明のMGLLの形態及びmg/リットルの精製収率の表を示す。
表2:基質として4MC−B又はC−Aを用いて、種々のMGLLの動力学定数の表を示す。4MC−B基質の値は、2つ又は4つの別々のアッセイの平均である。C−A基質のkcat/KM値は、[S]<<KMで、5つの異なる基質濃度の加水分解の平均値である。
表3:TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)及び化合物2の錯体のデータ収集及び精密化統計値を示す。
表4:キャップドメインがないMGLL上に重ね合わせた、キャップドメインがない選択されたα/βの加水分解酵素の重ね合わせ統計を示す。
表5:TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)及び化合物2の錯体に対する座標を示す。
【0043】
定義
一般に、生物工学及び化学と同様に、本発明の説明は、多くの技術用語の使用を必要とする。あまり徹底的に行うのは実用的ではないが、これらの用語の幾つかの定義は、容易に参照できるように、本明細書に提供される。別段の規定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。他の用語に対する定義もまた、本明細書の他の場所で出現し得る。しかしながら、本明細書に提供される定義は、常に、定義された用語の意図した範囲及び意味を考慮しなければならない。本願に記載されているものと類似した又は等価な任意の方法及び部材を本発明の実施において使用することができるが、好ましい方法及び部材を記載する。
【0044】
用語「含む(comprising)」は「主として備えるが、必ずしも単独で備えるのではない」ことを意味する。更に、「comprise」及び「comprises」等の、単語「含む(comprising)」の変化形はそれに応じて変化した意味を有する。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「含有する(containing)」、「有する(having)」及び「包含する(including)」は、幅広い非限定的な意味で用いる。
【0046】
本明細書で使用するとき、「配列」とは、例えば、ポリペプチド中のアミノ酸の順序又はポリヌクレオチド中のヌクレオチドの順序のような、モノマーがポリマー中に生じる線形順序(linear order)を意味する。
【0047】
「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、本明細書では互換的に用いられ、アミノ酸残基がペプチド結合又は修飾ペプチド結合により結合したアミノ酸鎖を指す。アミノ酸鎖は、2つのアミノ酸を超える任意の長さのものであってよい。特に指定のない限り、「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、その種々の修飾形態をも包含する。かかる修飾形態は、自然発生的に修飾された形態であっても化学的に修飾された形態であってもよい。修飾形態の例としては、グリコシル化形態、リン酸化形態、ミリストイル化形態、パルミトイル化形態、リボシル化形態、アセチル化形態、ユビキチン化形態等が挙げられるが、これらに限定されない。修飾としては、分子内架橋、及び、脂質、フラビン、ビオチン、ポリエチレングリコール又はその誘導体のような種々の部分への共有結合等も挙げられる。更に、修飾はまた、環化、分岐及び架橋も含む。更に、遺伝子のコドンによりコードされた従来の20種のアミノ酸以外のアミノ酸もまた、ポリペプチドに含まれることができる。
【0048】
本明細書で使用するとき、タンパク質又は核酸分子は、タンパク質又は核酸分子が、実質的に、タンパク質又は核酸の源からの汚染物質から分離される場合、「単離された」と考えられる。
【0049】
本明細書で使用するとき、「天然タンパク質」という用語は、その天然源又は有機体から単離されたタンパク質のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含むタンパク質を指す。
【0050】
本明細書で使用するとき、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸のL異性体を指す。天然に存在するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシルグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、及びリシンである。具体的に指示されない限り、全てのアミノ酸は、本願において、L型であるものを指す。
【0051】
本明細書で使用するとき、「非天然アミノ酸」という用語は、タンパク質に天然に見出されないアミノ酸を指す。例えば、セレノメチオニンである。
【0052】
本明細書で使用するとき、「正電荷を持つアミノ酸」という用語は、正常な生理学的条件下で、正電荷を持つ側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。正電荷を持つ天然に存在するアミノ酸の例は、アルギニン、リシン、及びヒスチジンである。
【0053】
本明細書で使用するとき、「負電荷を持つアミノ酸」という用語は、正常な生理学的条件下で、負電荷を持つ側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。負電荷を持つ天然に存在するアミノ酸の例は、アスパラギン酸及びグルタミン酸である。
【0054】
本明細書で使用するとき、「疎水性アミノ酸」という用語は、水中で相対的に不溶性である、非荷電の非極性の側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。天然に存在する疎水性アミノ酸の例は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンである。
【0055】
本明細書で使用するとき、「親水性アミノ酸」という用語は、水中で相対的に可溶性である、非荷電の極性の側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。天然に存在する親水性アミノ酸の例は、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、及びシステインである。
【0056】
本明細書で使用するとき、「核酸」は、本明細書で定義されるように、タンパク質又はペプチドをコードするか、又はかかるペプチドをコードする核酸配列に相補的であるか、又は適切な厳密性条件下で、かかる核酸にハイブリダイズし、それに安定的に結合した状態である、RNA又はDNAとして定義される。核酸配列は、それぞれT、A、C、G、及びUと略される、チミジン、アデニン、シトシン、グアニン、及びウラシルの塩基の天然ヌクレオチド、並びに/又は天然ヌクレオチドの合成類似体から構成されてよい。
【0057】
「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴ」という用語は、例えば、100未満の残基長のような、相対的に短長の単鎖DNA又はRNA配列を指す。多くの方法に関しては、約16〜25のヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドが有用であるが、約25のヌクレオチドを超える長さのオリゴヌクレオチドが、時々使用され得る。幾つかのオリゴヌクレオチドは、核酸の相補鎖を合成するための「プライマー」として使用してよい。例えば、DNAプライマーは、相補的核酸配列とハイブリダイズして、DNAポリメラーゼを用いた反応における相補的DNA鎖の合成の準備をすることができる。オリゴヌクレオチドはまた、幾つかの核酸検出方法におけるハイブリダイゼーション、例えばノーザンブロッティング又は原位置ハイブリダイゼーションにも有用である。
【0058】
「組み換え体」とは、分子生物学技術を用いてその自然状態以外の何かに修飾されている、核酸、核酸にコードされたタンパク質、細胞、又はウイルス粒子を指す。例えば、組み換え細胞は、細胞の自然(非組み換え)形態には見出されないヌクレオチド配列を含有してよく、又は、別の方法では異常に低発現した、若しくは全く発現しない自然遺伝子を発現してよい。組み換え細胞は細胞の自然形態に見出される遺伝子を含有してもよく、遺伝子は人工的手段によって修飾され細胞に再導入される。この用語はまた、細胞から核酸を取り除くことなく修飾されている内因性核酸を含有する細胞も包含し、かかる修飾としては、例えば、遺伝子置換及び部位特異的変異により得られるものが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用するとき、「高い厳密性」という用語は、2つの核酸がハイブリダイズされ得、かつ、例えば、2つの核酸のハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの期間中、使用される、溶液中の塩及び/又は洗剤の濃度、溶液の温度を包含し得る、条件を指す。したがって、本明細書で使用するとき、「高い厳密性」という用語は、かかる核酸が、高度の相補性を共有する場合のみ、2つの核酸のハイブリダイゼーションを助長する溶液中の条件を指す。相補性度は、約90%〜100%の範囲が包含され得るが、これらに限定されない。したがって、「高い厳密性」条件は、異なる温度、並びに洗剤、塩、及び二価カチオンの種々の濃度を含む、緩衝液の使用が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用するとき、「ベクトル」とは、異種核酸が挿入され得る又は挿入される核酸分子を指す。幾つかのベクトルが宿主細胞に導入されて、ベクトルの複製、又はベクトル若しくは作成物によってコードされるタンパク質の発現が可能になり得る。ベクトルは、典型的には、選択マーカー、例えば、薬剤耐性を可能にするタンパク質をコードする遺伝子、複製配列の開始点、及び異種配列の挿入を可能にする多重クローニング部位を有する。ベクトルは、典型的には、プラスミドベースであり、小文字の「p」に続く文字及び/又は数の組み合わせにより指定される。本明細書で開示された出発プラスミドは、市販のもの若しくは無制限に公的に入手可能なもののいずれか、又は当該技術分野において公知の手順を適用することにより、入手可能なプラスミドから構築されてもよい。本発明に従って使用され得る多くのプラスミド並びに他のクローニング及び発現ベクトルは周知であり、当業者に容易に入手可能である。更に、当業者は、本発明における使用に好適な任意の数の他のプラスミドを容易に構築できる。本発明における、かかるプラスミド並びに他のベクトルの性質、構築及び使用は、本開示から当業者に容易に明らかとなる。
【0061】
本明細書で使用するとき、「活性」という用語は、標準的な技術に従ってインビボ又はインビトロで測定する際の、MGLLにより発揮される活性を指す。かかる活性の例は、リガンド若しくはその類似体に結合する能力、酵素活性、又は活性の変化から生じる細胞生理学の機能的変化等の直接活性が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
「高スループットアッセイ」又は「高スループットスクリーニング」という用語は、複数のサンプルの容易なスクリーニングを同時に、かつ/若しくは迅速な連続で可能にするアッセイ設計を指し、ロボット操作の能力を包含し得る。高スループットアッセイの別の所望の特性は、試薬の使用を低減する、又は所望の分析を成し遂げるための操作の数を最低限に抑えるように最適化したアッセイ設計である。高スループットアッセイ形式の例は、液体を取り扱う実験に使用される96ウェル、384ウェル、及び1536ウェルプレート、若しくは「ラボチップ(lab on a chip)」マイクロチャンネルチップが挙げられるが、これらに限定されない。プラスチック型及び液体取扱装置の小型化が進行すると、又は改良型アッセイ装置が設計されると、本発明の型を用いてより多くの試料を処理できることは、当業者に周知である。いかなる高スループットスクリーニングも、新規の化合物を試験するために利用され得、これは、MGLLと相互に作用する能力に対して同定されるか、又は設計される。高スループットスクリーニングにおける一般情報に関しては、例えば、(Devlin(編集者)1998)、及び米国特許番号(US5763263)を参照のこと。
【0063】
化合物を「選択すること」若しくは「選択する」という用語により、(a)タンパク質錯体若しくはその相互作用するタンパク質メンバーの調節物質であることが以前に未知の群から化合物を選ぶこと、並びに(b)タンパク質錯体若しくはその相互作用するタンパク質メンバーを結合する若しくはその機能及び活性を調節することが可能であることが既知である化合物を試験することの双方を包含することを意図している。化合物は、小有機又は無機化合物、抗体、タンパク質、又はその断片のような天然若しくは合成分子、アンチセンスヌクレオチド、干渉RNA(iRNA)及びリボザイム、並びにその誘導体、模倣物質及び類似体が挙げられるが、これらに限定されない、多数の化学的部類を包含する。好ましくは、それらは小有機化合物、即ち、10,000ダルトン以下、より好ましくは5,000ダルトン未満の分子量を有するものである。
【0064】
本明細書で使用するとき、「原子座標」又は「構造座標」という用語は、各原子に対して、X、Y、Z、及びBを包含する、タンパク質データバンク(PDB)形式において、MGLLの結晶における原子の位置を説明する、数学的座標を指す。結晶から得られた回折データを使用して、結晶の反復単位の電子密度マップを計算する。電子密度マップは、結晶内の個々の原子の位置(即ち、X、Y、及びZ座標)を構築するために使用され得る。当業者は、X線結晶学によって決定される一組の構造座標が、標準誤差が伴うことを理解している。本発明の目的上、表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に約1.5Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を有するいすれの供給源からのMGLLの構成座標のいずれの組も、実質的に同一若しくは相同であると考えられる。更に好ましい実施形態において、表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に約0.75Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を有するいずれの供給源からのMGLLの構成座標のいずれの組も、実質的に、同一若しくは相同であると考えられる。
【0065】
「原子型」という用語は、座標が測定された化学元素を指す。表5の3行の短縮は、元素を同定する。
【0066】
「X」、「Y」、及び「Z」という用語は、選択された結晶学的原点に関して測定された元素の結晶学的に決定された原子位置を指す。「B」という用語は、その平均位置に関して原子位置の平均偏差を測定する熱因子を指す。
【0067】
本明細書で使用するとき、「結晶」という用語は、X線を回折する分子のいずれかの三次元配列アレイを指す。
【0068】
本明細書で使用するとき、組成物内の「担体」という用語は、製品を混合する希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。
【0069】
本明細書で使用するとき、「組成物」という用語は、全体を形成するための異なる元素又は成分の組み合わせを指す。組成物は、1種以上の元素又は成分を含む。本発明の目的上、組成物は、担体をしばしば含むが、常にというわけではない。
【0070】
本明細書で使用するとき、「MGLL」は、モノアシルグリセロールリパーゼの発現の結果として得られるタンパク質を意味するとして使用される。この用語の意味の範囲内で、ヒトMGLLは、モノアシルグリセロールリパーゼでコードされる全てのタンパク質、それらの変異体、保存アミノ酸置換物、それらの代替スプライスタンパク質、及びそれらのリン酸化タンパク質を包含すると理解され得る。更に、本明細書で使用するとき、「MGLL」という用語は、モノアシルグリセロールリパーゼ及び他の動物からの相同体を包含することを理解され得る。例として、MGLLは、配列番号7を含むタンパク質、並びに、配列番号7に少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性、若しくは好ましくは配列番号7に80%、85%、90%、及び95%の配列同一性、若しくは更に好ましくは配列番号7に少なくとも約95%以上の配列同一性を含むそれらの変異体を包含する。
【0071】
本明細書で使用するとき、構造−活性相関の省略である「SAR」という用語は、化合物の活性/性質とその化学構造との間の相関に関する構造−活性/構造的性質関係を集合的に指す。
【0072】
本明細書で使用するとき、「分子構造」という用語は、特定の化合物の分子又は分子の錯体の三次元配列を指す(例えば、MGLL及びMGLLと相互作用するリガンドの三次元構造)。
【0073】
本明細書で使用するとき、「分子モデル化」という用語は、分子の外観の現実的モデルを作成し、リガンドの構造活性相関に関する予測を立てるために、計算方法、好ましくはコンピュータ支援方法の使用を指す。分子モデル化に使用される方法は、分子グラフィックスから計算化学に及ぶ。
【0074】
本明細書で使用するとき、「分子モデル」という用語は、共有結合により連結された分子の原子の三次元配列、又は1個以上の分子を含む錯体、例えばタンパク質−リガンド錯体の原子の三次元配列を指す。
【0075】
本明細書で使用するとき、「分子グラフィックス」という用語は、分子の三次元(3D)表示、例えば、コンピュータ支援の計算方法を用いて作成された3D表示を指す。
【0076】
本明細書で使用するとき、「コンピュータ読み取り可能な媒体」とは、コンピュータによって読み取り、かつ直接アクセスすることができる、任意の媒体を指す。かかる媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープ等の磁気的記憶媒体、光ディスク若しくはCD−ROM等の光学的記憶媒体、RAM及びROM等の電気的記憶媒体、並びに、磁気/光学的記憶媒体等のこれらのカテゴリーのハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用するとき、「記録される」とは、コンピュータ読み取り可能な媒体における記憶情報のための方法を指す。当業者は、コンピュータ読み取り可能な媒体における情報を記録するために、現在公知の方法のいずれかを容易に採用し、本発明のアミノ酸配列及び/又は原子座標/X線回折データ情報を含む製品を生産することができる。
【0078】
本明細書で使用するとき、「コンピュータベースのシステム」とは、本発明の配列及び/又はX線回折データを分析するために使用される、ハードウェア手段、ソフトウェア手段、及びデータ記憶手段を指す。本発明のコンピュータベースのシステムの最小ハードウェア手段には、中央演算処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、及びデータ記憶手段が包含される。当業者には、本発明で用いるのに、現在利用可能なコンピュータベースのシステムのどれが適しているかが容易に理解されよう。モニター等の可視化デバイスは、構造データを視覚化するために任意に提供される。
【0079】
上記のように、本発明のコンピュータベースのシステムは、本発明の配列及び/若しくは原子座標/X線回折データをその中に記憶するデータ記憶手段、並びに分析手段を支援し、かつ実施するために必要なハードウェア手段及びソフトウェア手段を含む。本明細書で使用するとき、「データ記憶手段」とは、本発明の配列若しくは原子座標/X線回折データを記憶することができるメモリ、又は本発明の配列若しくはX線データをそこに記録する製品にアクセスすることができるメモリアクセス手段を指す。
【0080】
本明細書で使用するとき、「検索手段」又は「分析手段」とは、標的配列若しくは標的構造モチーフをデータ記憶手段内に記憶された配列若しくはX線データと比較するためにコンピュータベースのシステムにおいて実施される、1つ以上のプログラムを指す。検索手段は、特定の標的配列若しくは標的モチーフを適合させるタンパク質のフラグメント若しくは領域を同定するために使用される。種々の既知のアルゴリズムは、公的に開示され、検索手段を実行するための種々の市販のソフトウェアが、本発明のコンピュータベースのシステムに使用され得る。当業者は、コンピュータ分析を実行するために、利用可能なアルゴリズムのうちのいずれか1つ又は実装するソフトウェアパッケージが、現行のコンピュータベースのシステムで用いるのに、適用され得ることを容易に理解されよう。
【0081】
本明細書で使用するとき、「標的構造モチーフ」又は「標的モチーフ」とは、任意の合理的に選択された配列若しくは配列の組み合わせを指し、この配列は、標的モチーフの折り畳み時に形成される三次元配置若しくは電子密度マップに基づいて選択される。当該技術分野において既知の種々の標的モチーフがある。タンパク質の標的モチーフには、酵素活性部位、阻害剤結合部位、構造サブドメイン、エピトープ、機能ドメイン、及びシグナル配列が挙げられるが、これらに限定されない。類似のモチーフは、RNAで知られている。入力及び出力手段の種々の構造形式が、本発明のコンピュータベースのシステムにおいて、情報を入力及び出力するために使用され得る。
【0082】
本明細書で使用するとき、「計算化学」という用語は、分子の物理的かつ化学的性質の計算を指す。
【0083】
本明細書で使用するとき、「分子置換」という用語は、未知結晶の観察された回折パターンを説明するために最善であるように、本発明に記載の前記原子座標を配置及び位置決定することによる、座標が未知のMGLLの結晶の予備的モデルを生成することを含む方法を指す。次いで、このモデルから位相を算出し、観察された振幅と組み合わせて、座標が未知の構造の近似的フーリエ合成を与えることができる(Rossmann 1972)。
【0084】
本明細書で使用するとき、「相同体」という用語は、第2の供給源からのタンパク質、コード核酸分子、若しくはそれらのいずれの機能性ドメインと、少なくとも約70%若しくは75%の配列同一性、又は少なくとも約80%の配列同一性、又は更に好ましくは、少なくとも約85%の配列同一性、又はなお更に好ましくは、少なくとも約90%の配列同一性、及び最も好ましくは、少なくとも約95%、97%若しくは99%のアミノ酸若しくは核酸配列同一性を有する第1の供給源からの前記タンパク質からの、タンパク質、若しくは機能性ドメインをコードする、MGLLタンパク質分子又は核酸分子を指す。第2の供給源は、一次アミノ酸若しくはヌクレオチド配列を変化させるいずれかの利用可能な手段により遺伝子的に改変された第1の供給源からの分子の1つの変形であってもよく、又は第1の供給源のものと同一若しくは異なる種からであってもよい。
【0085】
本明細書で使用するとき、「活性部位」という用語は、MGLL又はヒトMGLLの機能若しくは活性に直接関与するMGLLの構造モチーフ上の領域を指す。
【0086】
本明細書で使用するとき、「結合部位」又は「結合ポケット」という用語は、ヒトMGLLの一次アミノ酸配列及び/若しくはその三次元形状の結果として、リガンド、共同因子、若しくは阻害剤を含む別の化学的実体若しくは化合物と都合よく会合するヒトMGLLの領域又はMGLLを含む分子錯体を指す。本発明の目的上、MGLLに対する、又は表5の相当する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約1.5Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を有するいずれの供給源からのMGLLの相同体に対する、一組の構造座標により画定されるいずれの活性部位、結合部位又は結合ポケットも、実質的に、同一若しくは相同であると考えられる。更に好ましい実施形態において、MGLLに対する、又は表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約0.75Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を有するいずれの供給源からのMGLLの相同体に対する、構造座標のいずれの組も、実質的に、同一若しくは相同であると考えられる。
【0087】
「二乗平均平方根」という用語は、平均値からの偏差の二乗の相加平均の平方根を意味する。
【0088】
本明細書で使用するとき、「水素結合」という用語は、ただ1個の原子に共有結合する水素を共有し、一方で他と相互作用する2個の親水性原子(OあるいはNのいずれか)を指す。
【0089】
本明細書で使用するとき、「疎水性相互作用」という用語は、2個の疎水性残基又は原子(例えばC)により行われる相互作用を指す。
【0090】
本明細書で使用するとき、「共役系」という用語は、電子が全系内で完全に非局在化されている、互いに隣接する2個以上の二重結合を指す。これは、芳香族残基も包含する。
【0091】
本明細書で使用するとき、「芳香族残基」という用語は、非局在化共役系を有する側鎖を有するアミノ酸を指す。芳香族残基の例は、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンである。
【0092】
本明細書で使用するとき、「結合を阻害すること」という語句は、1個以上の分子、ペプチド、タンパク質、酵素、若しくは受容体の直接若しくは間接的な会合を防止若しくは低下すること、又は1個以上の分子、ペプチド、タンパク質、酵素、若しくは受容体の正常な活性を防止若しくは低下すること、例えばヒトMGLLの直接若しくは間接的な会合を防止若しくは低下することを指す。
【0093】
本明細書で使用するとき、「競合的阻害剤」という用語は、ヒトMGLLに結合し、それにより直接的にそれらと競合する阻害剤を指す。競合的阻害は、幾つかの例では、基質濃度を増加することにより完全に逆転されることがある。
【0094】
本明細書で使用するとき、「非競合的阻害剤」という用語は、その基質が結合する部位とは異なる部位に結合することによりヒトMGLLの機能的活性を阻害するものを指す。本明細書で使用するとき、「不競合的阻害剤」という用語は、MGLLの遊離あるいは結合形態のいずれかに結合できるものを指す。当業者は、標準的方法を用いて、コンピュータフィッティング酵素速度論的データにより競合的、非競合的、又は不競合的として阻害剤を同定し得る。例えば、(Segel 1975)を参照のこと。
【0095】
本明細書で使用するとき、「R又はS−異性体」という用語は、国際純正応用化学連合(IUPAC)により採択されたカーン−インゴルド−プレログ系(Cahn-Ingold-Prelog System)に従ってキラル炭素の2種の可能な立体異性体を指す。キラル炭素に付着する各基は、第1に、キラル炭素に直接付着する原子の原子番号に基づいて順位又は優先a、b、c、若しくはdに割り当てられる。最高の原子番号を有する基が最高の順位aを与えられ、次に高い原子番号を有する基が次の順位bを与えられ、以下同様である。次いで、最低の順位(d)の基を観点から外す。aからb次いでcへの経路のトレースが反時計廻りの場合には、異性体は(S)と命名され、反対方向の時計廻りの場合に、異性体は(R)と命名される。
【0096】
本明細書で使用するとき、「立体異性体」という用語は、空間におけるそれらの原子の配向においてのみ異なる個別の分子の全ての異性体に対する一般的用語である。それは、エナンチオマー及び互いの鏡像ではない1個以上のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を包含する。
【0097】
本明細書で使用するとき、「キラル中心」という用語は、4個の異なる基が付着している炭素原子を指す。
【0098】
本明細書で使用するとき、「エナンチオマー」又は「エナンチオマー的」という用語は、その鏡像に重ね合わせることができず、したがって光学的に活性である分子を指し、エナンチオマーは、偏光面を1つの方向で回転させ、その鏡像は、偏光面を反対の方向で回転させる。
【0099】
本明細書で使用するとき、「ラセミ」という用語は、エナンチオマーの等量部の混合物を指し、これは光学的に活性である。
【0100】
本明細書で使用するとき、「分解能」という用語は、分子の2つのエナンチオマー形態の1つの分離又は濃縮又は枯渇を指す。本願の文脈において、「分解能」という用語はまた、回折実験によって分解され得る、細部の量も指す。言い換えると、タンパク質結晶回折パターンの本来的な不規則性は、いくらかの回折角θmaxで消失するため、逆格子の相当する距離dminは、ブラッグの法則によって決定される。タンパク質結晶学の実際では、タンパク質電子密度の見かけ分解能は、dminの、データがマップの計算に含有される最小格子距離において、通常引用される。
【0101】
本明細書で使用するとき、「リガンド」という用語は、MGLL、MGLLのサブユニット、MGLLのドメイン、MGLLの標的構造モチーフ、若しくはMGLLのフラグメントと、又はそれらに結合するいずれかの分子、又は化学的実体を指す。したがって、リガンドは、例えば、小分子阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書で使用するとき、「小分子阻害剤」という用語は、測定可能なMGLL阻害活性を有する本発明で有用な化合物を指す。小さい有機分子に加えて、ペプチド、抗体、環状ペプチド及びペプチド擬似体も開示された方法に有用であると企図される。好ましい阻害剤は、好ましくは、10,000ダルトン以下、更に好ましくは、5,000ダルトン以下の小分子である。
【0103】
本明細書で使用するとき、原子、分子、又は化学基の会合(association)に関連して使用された場合の「結合する(bind)」、「結合すること(binding)」、「結合(bond)」、又は「結合された(bonded)」という用語は、2個以上の原子、分子、又は化学基のいずれかの物理的接触又は会合を指す。
【0104】
本明細書で使用するとき、「共有結合」又は「原子価結合」という用語は、結合分子により、通常は対で、電子を共有して創成される分子内の2個の原子間の化学結合を指す。
【0105】
本明細書で使用するとき、「非共有結合」という用語は、原子及び/又は分子の間の共有結合の形成に関与しない原子及び/又は分子の間の相互作用を指す。
【発明を実施するための形態】
【0106】
本明細書において与えられる図及び実施例は例示のためのものであり、本発明及びその種々の実施形態を限定しないものであるということが最初に理解されるべきである。
【0107】
本発明は、モノアシルグリセロールリパーゼ(MGLL)、又はそのフラグメント、若しくは標的構造モチーフ、若しくは誘導体を含む結晶、及びリガンドを包含し、そのリガンドは、小分子阻害剤である。一実施形態において、そのフラグメント、若しくは誘導体は、配列番号7を含むペプチドである。
【0108】
別の実施形態において、結晶は、C2221の空間群を有する。異なる実施形態において、結晶は、少なくとも約3.2Åの分解能まで原子座標の決定のためのX線を効果的に回折する。好ましい実施形態において、リガンドは、結晶形態にある。非常に好ましい実施形態において、リガンドは、図7A又は図7Bに示される構造物、及びその誘導体である。
【0109】
本発明はまた、配列番号6に少なくとも95%の配列同一性を有するペプチドを含む、MGLLを含む、結晶も包含する。好ましい実施形態において、配列番号7を含む結晶は、表5の座標によって特徴付けられる原子構造を含む。別の好ましい実施形態において、結晶は、a=93.95、b=128.45、c=60.6の寸法を有するセルからなる群から選択される単位セルを含む。
【0110】
本発明の別の態様において、本発明は、(a)MGLL、又はそのフラグメント若しくは標的構造モチーフ、若しくは誘導体を含む結晶、及びリガンドの三次元構造における情報を含有するデータベースであって、リガンドは、小分子阻害剤であり、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に記憶される、データベースと、(b)情報を閲覧するためのユーザーインターフェースと、を含む、コンピュータシステムを包含する。一実施形態において、情報は、配列番号7を含む結晶から得られた回折データを含む。
【0111】
別の実施形態において、情報は、配列番号7を含む結晶の電子密度マップを含む。異なる実施形態において、情報は、表5の構造座標、又は表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約1.5Å未満の非水素原子の二乗平均平方根を含む、相同体の構造座標を含む。好ましい実施形態において、情報は、表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約0.75Å未満の非水素原子の二乗平均平方根を含む。非常に好ましい実施形態において、情報は、表5に従うアミノ酸のSER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279に対する構造座標、又は表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約1.5Å〜0.75Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を含む前記アミノ酸に対する類似の構造座標を含む。
【0112】
本発明はまた、MGLLに会合する薬剤の潜在性を評価する方法も包含し、方法は、(a)MGLLを薬剤に曝露する工程と、(b)MGLLのアミノ酸残基SER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279への前記薬剤の会合を検出し、それによって、潜在性を評価する工程と、を含む。本発明の一実施形態において、薬剤は、仮想化合物である。本発明の別の実施形態において、工程(a)は、化合物の原子構造をMGLLの三次元構造と比較する工程を含む。異なる実施形態において、工程(a)の比較する工程は、化合物とMGLLの少なくとも1つの結合部位との間でフィッティング操作を実行する計算手段を採用する工程を含む。好ましい実施形態において、結合部位は、表5に従うアミノ酸のSER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279に対する構造座標、又は表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約1.5Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を含む前記アミノ酸に対する類似の構造座標によって画定される。非常に好ましい実施形態において、工程(a)は、薬剤を結晶性の配列番号7に曝露する工程を含み、工程(b)の検出する工程は、薬剤−配列番号7の錯体の三次元構造を決定する工程を含む。
【0113】
本発明は、MGLLに対して、潜在的作動薬又は拮抗薬を同定する方法を包含し、方法には、(a)前記潜在的作動薬又は拮抗薬を設計する、又は選択するために、小分子阻害剤と共結晶化されたMGLLの三次元構造を採用する工程を包含する。一実施形態において、三次元構造は、表5の座標によって特徴付けられた原子構造、又は表5の対応する原子座標の非水素原子位置に重ね合わせられる場合に、約1.5Å未満の非水素原子の二乗平均平方根偏差を含む類似の構造座標に対応する。異なる実施形態において、方法には、(b)潜在的作動薬又は拮抗薬を合成する工程と、(c)MGLLと潜在的作動薬又は拮抗薬を接触させる工程と、を更に含む。
【0114】
本発明は、MGLLに対して、阻害剤の付着部位を位置決めする方法を含み、方法は、(a)MGLLの結晶に対するX線回折データを取得する工程と、(b)MGLLの錯体及び阻害剤に対するX線回折データを取得する工程と、(c)X線回折データの差異を得るために、工程(b)で得られたX線回折データから工程(a)で得られたX線回折データを減算する工程と、(d)工程(a)で得られたX線回折データに対応する位相を取得する工程と、(e)阻害剤の異なるフーリエ画像を計算するために、工程(d)で得られた位相及び工程(c)で得られたX線回折データの差異を利用する工程と、(f)工程(e)で得られた計算に基づくMGLLへの阻害剤の付着部位を位置決めする工程と、を含む。
【0115】
本発明は、修飾された阻害剤を取得する方法を更に含み、方法は、(a)MGLLを含む結晶及び阻害剤を取得する工程と、(b)結晶の原子座標を取得する工程と、(c)原子座標及び1つ以上の分子モデリング法を用いて、阻害剤とMGLLとの相互作用を修飾する方法を決定する工程と、(d)修飾された阻害剤を生成するために、工程(c)で得られた決定に基づいて阻害剤を修飾する工程と、を含む。一実施形態において、結晶は、配列番号7を含む配列を有するペプチドを含む。異なる実施形態において、1つ以上の分子モデリング法は、グラフィック分子モデル化及び計算化学からなる群から選択される。好ましい実施形態において、工程(a)は、阻害剤とMGLLのアミノ酸残基SER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279との相互作用を検出する工程を含む。本発明の別の実施形態において、本発明は、この方法によって同定されるMGLL阻害剤を包含する。
【0116】
本発明の別の態様において、本発明は、MGLLのアミノ酸残基のSER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279の構造座標によって画定される、結合ポケット、又は活性部位を含む、単離されたタンパク質フラグメントを包含する。一実施形態において、単離されたフラグメントが、固体支持体に連結される。
【0117】
本発明の別の態様において、本発明は、MGLLの構造座標によって画定される結合ポケット又は活性部位を含む、フラグメントをコードする単離された核酸分子を包含する。一実施形態において、ベクトルは、核酸分子を含む。別の実施形態において、宿主細胞は、ベクトルを含む。本発明の更に別の態様において、本発明は、タンパク質フラグメントを産生する方法を包含し、方法には、フラグメントを発現する条件下で、宿主細胞を培養する工程を含む。本発明の別の態様において、本発明は、MGLLに会合する薬剤のスクリーニングする方法を包含し、方法は、(a)タンパク質分子フラグメントを薬剤に曝露する工程と、(b)フラグメントへの薬剤の結合レベルを検出する工程と、を含む。本発明の別の態様において、本発明は、タンパク質分子フラグメントを含むキットを包含する。
【0118】
本発明の別の態様において、本発明は、MGLLポリペプチドリガンドを含む結晶錯体の産生のための方法を更に包含し、方法は、(a)MGLLポリペプチドと、PEG MME 5K、クエン酸ナトリウムpH5.5、及びn−オクチル−β−D−グルコピラノシドを含む、好適な溶液中の前記リガンドを接触させる工程と、(b)前記溶液からMGLLポリペプチドリガンドの前記得られた錯体を結晶化する工程と、を含む。一実施形態において、MGLLポリペプチドは、配列番号7のポリペプチドである。別の実施形態において、PEG MMEは、2000〜10000の範囲の平均分子量を有し、前記PEG MMEが、約1%w/v〜約5%w/vの範囲で溶液中に存在し、前記n−オクチル−β−D−グルコピラノシドが、約0.2%〜2%の範囲で溶液中に存在する。好ましい実施形態において、PEG MMEは、約5000の平均分子量を有し、約2.4%w/vで溶液中に存在し、前記n−オクチル−β−D−グルコピラノシドが、約0.6%で溶液中に存在する。
【0119】
本発明は、MGLLを含む結晶及びリガンドの生成のための方法を更に包含し、リガンドは、潜在的阻害剤を用いて、配列番号7を含むペプチドを結晶化する工程を含む、小分子阻害剤である。
【0120】
本発明は、MGLLの潜在的阻害剤を同定するための方法を包含し、方法は、a)表5に従って原子座標によって画定されるように、MGLLの三次元構造を使用する工程と、b)前記三次元構造において、SER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279から選択される1つ以上のMGLLのアミノ酸を異なるアミノ酸で置換し、修飾されたMGLLを生成する工程と、c)前記三次元構造を使用して、前記潜在的阻害剤を設計又は選択する工程と、d)前記潜在的阻害剤を合成する工程と、e)基質の存在下で、前記潜在的阻害剤と前記修飾されたMGLLを接触させ、MGLL又は前記修飾されたMGLLを阻害するための前記潜在的阻害剤の能力を試験する工程と、を含む。別の実施形態において、潜在的阻害剤は、データベースから選択される。好ましい実施形態において、潜在的阻害剤は、新規に設計される。別の好ましい実施形態において、潜在的阻害剤は、既知の阻害剤から設計される。非常に好ましい実施形態において、前記潜在的阻害剤を設計又は選択するために、前記三次元構造を採用する工程は、a)修飾されたMGLLと会合できる化学的実体又はフラグメントを同定する工程と、b)単一の分子に同定された化学的実体又はフラグメントをアセンブルして、前記潜在的阻害剤の構造を提供する工程と、を含む。一実施形態において、潜在的阻害剤は、配列番号7の競合性阻害剤である。異なる実施形態において、潜在的阻害剤は、配列番号7の不競合性又は非競合性阻害剤である。更に別の実施形態において、阻害剤は、この方法によって同定される。
【0121】
改変形態及びフラグメント
MGLLの改変形態又はそのフラグメント、例えば、SER48−HIS54、ARG57、TYR58、HIS77、HIS80、MET88、PHE93、PHE96、GLY120−ILE127、ILE145−VAL161、ALA163、SER176−ASN195、ASP197、ILE200、CYS201、ALA203、LEU205−VAL207、PHE209−SER218、ASP239−ASP243、TYR268−LEU275、THR279からなる群から選択される2つ以上のアミノ酸によって画定された活性部位を含む改変形態又はそのフラグメントは、合成又は組み換え手段を包含するいかなる利用可能な手段によっても調製され得る。次いで、かかるフラグメントは、本明細書に記載されるようなアッセイに使用され得、例えば、高スループットアッセイに限定されないが、フラグメント内で予期される剤(prospective agents)と活性部位との間の相互作用を検出する。
【0122】
本発明の形態及びフラグメントの組み換え発現又は産生のために、形態又はフラグメントをコードする核酸分子が、調製され得る。本発明の改変形態又はフラグメントをコードする核酸分子は、遺伝子コードの縮退のため、配列が異なってもよく、又はアミノ酸配列が異なるタンパク質若しくはタンパク質フラグメントをコードするため、配列が異なってもよい。2個以上のかかる核酸分子間の相同性又は配列同一性は、配列類似検索のために適応されているプログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、及びtblastx(Karlin and Altschul 1990)及び(Altschul 1993)(参照することにより全体に組み込まれる)によって採用されるアルゴリズムを用いて、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)解析によって決定される。
【0123】
BLASTプログラムによって使用されるアプローチは、クエリー配列とデータベース配列との間の類似セグメントを最初に考慮し、次いで、同定された全てのマッチの統計的有意性を評価し、最後に事前に選択された有意性の閾値を満足するマッチを総合するものである。配列データベースの類似検索における基本的問題の考察に関しては、(Altschul et al.1994)を参照されたく、これは、参照することにより全体に組み込まれる。ヒストグラム、記述、アラインメント、エクスペクト(即ち、データベース配列に対するマッチを報告する統計的有意閾値)、カットオフ、マトリックス、及びフィルタの検索パラメータは、デフォルト設定である。blastp、blastx、tblastn、及びtblastxによって使用されるデフォルト評点マトリックスの考察に関しては、(Henikoff 1992)を参照のこと。
【0124】
本発明のコード核酸分子又はそのフラグメント(即ち、合成オリゴヌクレオチド)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのプローブ又は特異性プライマーとして、又は本発明のタンパク質をコードする遺伝子配列を合成するために使用されるものは、化学技術、例えば、(Matteucci and Caruthers 1981)のホスホトリエステル法によって、又は自動化合成方法を用いて容易に合成することができる。加えて、より大きいDNAセグメントは、周知の方法、例えば、遺伝子の種々の調節セグメントを画定するオリゴヌクレオチドの群の合成、次いで、完全な改変された遺伝子を構築するためのオリゴヌクレオチドの連結によって容易に調製することができる。
【0125】
本発明のコード核酸分子は、診断及びプローブの目的のための検出可能な標識を含有するように、更に改変され得る。種々のかかる標識は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載のコード分子と共に容易に採用することができる。好適な標識には、ビオチン、放射能標識ヌクレオチド等が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、標識されたコード核酸分子を得るために、いずれかの当該技術分野で既知の標識を採用することができる。
【0126】
本発明は、本明細書に記載される、タンパク質又はタンパク質フラグメントに対するコード配列を含有する組み換えDNA分子(rDNA)を更に提供する。本明細書で使用するとき、rDNA分子は、分子操作されたDNA分子である。rDNA分子を生成する方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、(Sambrook et al.1989)を参照のこと。好ましいrDNA分子において、コードDNA配列は、発現制御配列及び/又はベクトル配列に操作可能に連結されている。
【0127】
本発明のタンパク質コード配列の1つが操作可能に連結されているベクトル及び発現制御配列の選択は、当該技術分野において周知のように、所望の機能的性質(例えば、タンパク質発現、及び形質転換される宿主細胞)に直接に依存する。本発明のベクトルは、宿主染色体内への複製又は挿入、及び好ましくは、rDNA分子中に包含される構造遺伝子の発現も指令することができる。
【0128】
操作可能に連結されたタンパク質コード配列の発現を制御するために使用される発現制御因子は、当該技術分野において既知であり、誘導可能なプロモータ、構成的プロモータ、分泌シグナル、及び他の制御因子が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導可能なプロモータは、例えば、宿主細胞の媒体内の栄養物に応答するように容易に制御される。
【0129】
本発明は、本発明のタンパク質又はタンパク質フラグメントをコードする核酸分子を用いて形質転換された宿主細胞も更に提供する。宿主細胞は、原核性又は真核性のいずれであってもよい。細胞株が細胞培養方法に適合し、発現ベクトルの増殖及び遺伝子産物の発現に適合する限り、本発明のタンパク質の発現のために有用な真核細胞は限定されない。好ましい真核宿主細胞には、昆虫、酵母、及び哺乳類細胞が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい真核宿主細胞は、スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9又はSf21)昆虫細胞を包含する。
【0130】
本発明の形質転換された宿主細胞は、組み換えタンパク質の産生を可能とする条件下で培養されてもよい。任意に、組み換えタンパク質は、媒体から又は細胞から単離され、タンパク質の回収及び精製は、ある不純物が容認できるような場合によっては、必要ではない場合がある。
【0131】
特定のアッセイ、例えば、上記のようなアッセイに必要な試薬と共に任意に包装した上記の核酸分子、タンパク質、タンパク質フラグメント、ベクトル及び/又は宿主細胞のいずれかを用いてキットを調製してもよい。かかるキットにおいて、タンパク質、タンパク質フラグメント又は他の試薬は、固体支持体、例えば、ガラス又はプラスチックビーズに付着させてもよい。
【0132】
高スループットアッセイ
化合物同定方法は、以下に記載のものを含むが、これらに限定されない、従来の実験アッセイ形式を用いて、又は高スループットアッセイにおいて、実施することができる。
【0133】
イムノアッセイは、例えば、生物学的液体のような錯体混合物中で、通常は低濃度で特定の生物化学物質の測定のために使用される技術の一群である。アッセイは、それらの相補性抗原に対して特異性及び高い親和性を有する、適切に調製され、選択された抗体に依存する。測定される物質は、必要な場合には、免疫原性巨大分子あるいはハプテン性小分子のいずれかの抗原性でなければならない。各試料に、既知で限定された量の特異性抗体を添加し、多くの場合に、結合:遊離比として表される、それと混合する抗原の割合を、抗体からのシグナルを定量化することによって推定する。定量化は、多くの容易に識別可能な標識を用いて達成され得、ラジオイムノアッセイ(RIA)の放射性同位体、フルオロイムノアッセイ(FIA)の蛍光性分子、スピンイムノアッセイの安定な遊離基、化学発光イムノアッセイ(CLIA)の化学発光分子、免疫金アッセイのコロイド状金粒子、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)の酵素が挙げられるが、これらに限定されない、種々の型のアッセイに使用することができる。
【0134】
通常のイムノアッセイ形式は、ELISAであり、これは、放射能化学の危険及び蛍光検出系の経費を回避する。代わりに、ELISAは、不溶性担持面上に連結され得る抗体(又は抗原)を使用し、次いで、試験溶液中の関連する抗原(又は抗体)を「捕捉」するために使用することに基づく、定量的イムノアッセイの1つの形態である。次いで、抗原−抗体錯体は、捕捉抗原(又は抗体)、又はその後の「検出」抗体(又は抗原)に共有結合され得る適切な酵素の活性を測定することによって検出される。ELISA技術における更なる情報に関しては、例えば、(Crowther 1995)、(Kemeny(編集者)及びChallacombe(編集者)1988)、(Kemeny 1991)、並びに(Ishikawa 1999)を参照のこと。
【0135】
酵素の比色分析アッセイは、多くの場合、比色計を用いて、化合物の標準及び試験量の双方と試薬との反応により発生する色を比較することによって、化合物の濃度又は量を決定する、定量的化学分析方法である。比色計は、目視に又は光電的に色強度又は色強度の差異を測定する装置である。β−ガラクトシダーゼ酵素活性の標準比色アッセイは、当業者には周知である、例えば、(Norton and Coffin 1985)を参照のこと。比色分析アッセイは、標準比色分析β−ガラクトシダーゼアッセイ(Sambrook et al.1989)において、基質としてO−ニトロフェニル−β−D−ガラクト−ピラノシド(ONPG,Sigma)を用いて全細胞溶解物について行うことができる。米国特許番号(US5733720)に記載されるように、自動化された比色分析アッセイも、β−ガラクトシダーゼ活性の検出に利用可能である。
【0136】
酵素によって作用した後、蛍光を発する酵素基質は、一般的に、周知である。かかる蛍光基質は、典型的には、例えば、共有化学結合を通して互いに結合する、2つの構成要素を有する。1つの構成要素は、まず光エネルギーを受け入れ、次いで、光エネルギーを発光することによって、蛍光を発することが可能な蛍光分子である。他の構成要素は、2つの構成要素が互いに共有結合する場合、蛍光分子が光エネルギーを受け入れる、又は発光するのを防ぐ実体である。適切な酵素の存在下で、酵素は、2つの構成要素間で共有結合を切断し、蛍光分子が、光エネルギーを受け入れ、発光することを可能にするために、1つの構成要素を他の構成要素から分離する。換言すれば、酵素は、蛍光分子を遊離し、それが蛍光を発するようにする。理想的には、蛍光基質は、水性緩衝液中で可溶性かつ安定性があり、それらに作用する酵素に対して高親和性があり、かつ、酵素作用に強いシグナルを産出すべきである(US5998593A)。
【0137】
蛍光酵素基質の蛍光構成要素から発光された蛍光を検出する工程は、一般的には、2つの工程において達成される。特に、蛍光分子は、第1に、光エネルギーを励起し、次いで、蛍光構成要素から発光した蛍光を検出する。概して、蛍光分子は、例えば、レーザー又は別の好適な光源からの光エネルギーを用いて励起することができる。蛍光は、蛍光分子によって発光される波長の光エネルギーを検出するように設計される装置を用いて検出される。かかる励起及び発光検出システムは、概して、特定の波長範囲で動作するように設計される(US5998593A)。
【0138】
Thermofluor(登録商標)アッセイは、リガンドの結合に基づくタンパク質の固有の融解温度のわずかな変化を検出する。タンパク質の天然形態と優先的に相互作用する化合物は、Tm、タンパク質の半分が折り畳まれない温度で、増加する(Pantoliano et al.2001)。当該技術は、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(1,8−ANS)等の染料の蛍光強度の変化をモニタリングする。蛍光染料は、水性環境下でクエンチされるが、変性タンパク質の疎水性コアに結合すると直ぐに蛍光性を増加する。
【0139】
MGLLの三次元構造のモデル化
表5で提供される原子座標データ又は相同タンパク質から誘導された座標データを使用して、MGLLの三次元モデルを構築してもよい。いずれかの利用可能な計算方法を使用して、三次元モデルを構築してもよい。出発点として、MGLL又はMGLL相同体の結晶性バージョンにおける分子又は原子の集合体(assemblage)から得たX線回折パターンが、結晶学及びX線回折技術の当業者には周知のツールを用いて、電子密度マップを構築するために使用することができる。次いで、公開された出版物中の回折データ及び/又は補足実験からのいずれかから取り出した追加の位相情報を再構築を完成するために使用してもよい。
【0140】
電子密度の構築のためのX線回折データを収集、解析、及び利用する基本概念及び手順に関しては、例えば、(Campbell 1984)、(Cantor and Schimmel 1980)、(Brunger 1993)、(Woolfson 1997)、(Drenth 1999)、(Tsirelson and Ozerov 1996)、並びに米国特許第(US5942428A)、(US6037117A)、(US5200910A)、及び(US5365456A)を参照されたく、これらのそれぞれは、その全体を参照することにより本明細書に特別に組み込まれる。
【0141】
分子モデル化の基本情報に関しては、例えば、(Schlecht 1998)、(Gans et al.1996)、(Cohen(編集者)1996)、及び(Smith 1996)を参照のこと。分子モデル化の詳細な情報を提供する米国特許には、米国特許第(US4906122A、US5030103A、US5583973A、US5612894A、US5994503A、US6071700A、US6075014A、US6075123A、US6080576A、US6093573A)を参照されたく、これらのそれぞれは、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0142】
関心対象のリガンドを同定及び設計するために原子座標を使用する方法
本発明の原子座標、例えば、表5に記載のもの又は表5のものと実質的に同一若しくは相同的な座標は、MGLLの三次元モデルを作成するため、並びにMGLLリガンド、阻害剤若しくは拮抗薬若しくは作動薬分子を同定及び設計するために利用可能ないずれの方法と一緒に使用してもよい。このような方法は、一形態においてアミノ酸配列及び/又はX線回折データを提供し、当業者に、MGLL又はそのサブドメインを包含する、関連分子の三次元構造を分析し、かつ分子モデル化を可能にする。
【0143】
例えば、三次元モデル化は、X線回折パターンから誘導される実験的に決定される座標、例えば、表5のものを用いて実行してもよく、ここで、かかるモデル化には、実際の構造の図の作図、実際の構造の物理的モデルの構築、及び座標を用いる関連サブユニット及びMGLL/リガンド及びMGLLサブユニット/リガンド錯体の構造の決定が挙げられるが、これらに限定されない。かかる分子モデル化は、MGLLの三次元構造に対応する原子座標を生成するために、既知のX線回折分子モデル化アルゴリズム又は分子モデル化ソフトウェアを利用することができる。
【0144】
上記のように、分子モデル化は、既知の結晶構造に配列として同定できるように関連する分子の実際的なモデルを構築するために、計算方法、好ましくはコンピュータ支援方法の使用を含む。それは、MGLL及び又は既知のリガンド若しくは阻害剤と複合したMGLLの構造から出発して、MGLLに結合する新規の小分子阻害剤をモデル化することも含む。リガンドモデル化に利用される方法は、分子グラフィックス(即ち、3D表示)からリガンドの結合若しくはリガンドの活性に関する予測を立てるための計算化学(即ち、物理的及び化学的性質の計算)に、新規のリガンドの設計に、及び化学合成のための薬物のようなリガンドを包含する新規分子の予測に、集合的に合理的薬物設計と呼ばれる方法にまで及ぶ。
【0145】
合理的薬物設計への1つのアプローチは、活性部位に結合するであろう既知の分子構造の検索である。分子モデル化を用いて、合理的薬物設計プログラムは、ある酵素の活性部位内に適合し得る薬物の一連の異なる分子構造を調査でき、どの構造か部位に実際に良く適合するかを決定することができる三次元環境内で移動させることによって、決定することができる。
【0146】
代替的ではあるが、関連する合理的薬物設計アプローチは、MGLLと追加的に有利な相互作用を行うために、小分子リガンドとの錯体の既知の構造から出発し、小分子の改変物をモデル化する。
【0147】
本発明は、例えば、小分子作動薬若しくは拮抗薬、又はMGLLと相互作用する他の治療薬のようなリガンドを選択及び設計するために、分子及びコンピュータモデル化技術の使用を包含する。例えば、本明細書に記載される本発明は、MGLLの活性部位若しくは他の領域の全て、若しくはその一部分に結合することによって、少なくとも1種のMGLL機能の競合的阻害剤として作用するリガンドの設計を包含する。
【0148】
本発明はまた、少なくとも1種のMGLL機能の非競合的阻害剤として作用する化合物の設計も包含する。これらの阻害剤は、その基質にすでに結合しているMGLLの活性部位若しくは他の領域の全て、若しくはその一部分に結合してもよく、MGLL活性部位に競合する競合的阻害剤よりも更に強力であり、非特異性が低くてもよい。同様に、別の化学的実体に結合されるかどうかにかかわらず、MGLLに結合し、MGLLの少なくとも1つの機能を阻害する不競合性阻害剤は、本発明のMGLL又はMGLLを含む錯体の原子座標を用いて設計してもよい。
【0149】
本発明の原子座標はまた、候補阻害剤及び/又は活性化剤とMGLLとの間の相互作用のための最適部位を決定するために、種々の異なる化学的特徴からなる分子とのMGLLの結晶をプローブするために必要な情報も提供する。例えば、溶媒で飽和した結晶から収集した高分解能X線回折データは、溶媒分子の各タイプが粘着する場所の決定を可能にする。次いで、それらの部位に結合する小分子を設計及び合成して、阻害活性に関して試験できる(Travis 1993)。
【0150】
本発明はまた、MGLLに全体として又は部分的に結合することができる化学的実体、薬剤、リガンド、又は化合物の小分子データベース及びライブラリをコンピュータ的にスクリーニングするための方法も包含する。このスクリーニングにおいて、結合部位又は部位へのかかる実体又は化合物の適合の質は、形状相補性により、又は推定された相互作用エネルギーのいずれかにより判定され得る(Meng et al.1992)。
【0151】
本発明によるMGLLの機能活性を促進又は阻害するように結合する化合物の設計は、一般的に、2つの要因への考慮を含む。第1に、化合物が、MGLLと物理的及び構造的に会合できなければならない。MGLLと化合物との会合に重要な非共有結合分子相互作用は、水素結合、ファンデルワールス、及び疎水性相互作用を包含する。第2に、化合物は、MGLLとの会合を可能とする立体配座を取ることができなければならない。化合物のある部分は、MGLLとの会合に直接的に関与し得ないが、これらの部分は、それでも、分子の全体的立体配座に影響することもある。同様に、これは、結合親和性、治療効力、薬剤類似品質、及び効力に著しく影響することもある。かかる立体配座の必要条件は、MGLLの活性部位又は他の領域の全て若しくは一部分と関連する化学的実体又は化合物の全体的三次元構造及び配向、又はMGLLと直接的に相互作用する数種の化学実体を含む化合物の機能性基の間の間隔を包含する。
【0152】
MGLL上のリガンド又は他の化合物の潜在的予測阻害剤作動薬、拮抗薬、又は結合効果は、その実際の合成及び試験の前に、コンピュータモデル化技術の使用によって解析され得る。与えられた化合物の理論的構造が、それとMGLLとの間の不十分な相互作用及び会合を示唆する場合には、化合物の合成及び試験を避けてもよい。しかしながら、コンピュータモデル化が、強い相互作用を示す場合には、分子を合成し、MGLLと相互作用するその能力に関して試験してもよい。この様式で、作用がない化合物の合成を回避してもよい。場合によっては、MGLLの特定部位と相互作用する化合物のためのSAR(構造−活性相関)を発展させるために、不活性化合物をモデル化で予測されたように合成し、試験してもよい。
【0153】
当業者は、MGLLと、更に具体的には、MGLLの個別の結合ポケット若しくは活性部位と会合するためのそれらの能力に関して化学的実体フラグメント、化合物、又は薬剤をスクリーニングするための幾つかの方法のうちの1つを使用し得る。このプロセスは、例えば、MGLL又はリガンドと複合したMGLLの原子座標に基づくコンピュータ画面上の活性部位の目視検査から開始してもよい。選択された化学的実体、化合物、又は剤は、種々の配向で位置決めされるか、又はMGLLの個別の結合ポケット内にドッキングされてもよい。ドッキングは、Accelrys,Inc.,San Diego,CA.から入手可能なQUANTA、Tripos,St.Louis,Missouriから入手可能なSYBYL、次いで、標準分子機構力場を用いるエネルギー最小化及び分子力学、例えば、Accelrys,Inc.,San Diego,CAから入手可能なCHARMm、及びUniversity of California,San FranciscoのAMBERのようなソフトウェアを用いて、達成されてもよい。
【0154】
専門のコンピュータプログラムが、化学的実体を選択するプロセス中で支援してもよい。これらには、Oxford University,Oxford,UKから入手可能なGRID(Goodford 1985)、Molecular Simulations,Burlington,Mass.から入手可能なMCSS(Miranker and Karplus 1991)、Scripps Research Institute,La Jolla,CAから入手可能なAUTODOCK(Goodsell and Olsen 1990)、及びUniversity of California,San Francisco,Californiaから入手可能なDOCK(Kuntz et al.1982)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
種々の官能基特性を有するプローブと巨大分子表面との間の可能性がある相互作用部位を決定するプログラムであるGRIDのようなソフトウェアの使用は、類似の阻害性タンパク質又は化合物の構造を決定するために表面部位を解析するために使用される。プローブとして分子上の適当な阻害剤の基(例えば、プロトン化一級アミン)を使用するGRID計算は、好適なエネルギー等高線レベルで接近可能な位置の周囲の電位ホットスポットを同定するために使用される。プログラムDOCKは、活性部位又はリガンド結合部位を解析し、相補的立体性質を有するリガンドを示唆するために使用され得る。
【0156】
好適な化学的実体、化合物、又は薬剤が選択されると、それらは単一のリガンド又は化合物又は阻害剤又は活性化剤内にアセンブルすることができる。アセンブリは、三次元イメージ上で互いにフラグメントの関係を目視検査して進めてもよい。これは、QUANTA又はSYBYLのようなソフトウェアを用いて手作業のモデル構築により続けてもよい。
【0157】
個別の化学的実体、化合物、又は薬剤の接続を支援するために有用なプログラムとしては、CAVEAT(Bartlett et al.1989)、MDL Information Systems,San Leandro,CAから入手可能なMACCS−3D等の3Dデータベースシステム(Martin 1992)、及びMolecular Simulations,Burlington,Massachusettsから入手可能なHOOKが挙げられるがこれらに限定されない。
【0158】
ファーマコフォア(pharmacophore)仮説を試験し、スクリーニングのための化合物を選択する三次元データベースを検索する数種の方法が利用可能である。これらには、プログラムCAVEAT(Bacon and Moult 1992)が包含される。例えば、CAVEATは、すでに活性部位に位置付けられるいずれかの数の化学的フラグメントを接続するための「スペーサー」として機能し得る環状化合物のデータベースを使用する。これにより、当業者は、緊密な結合に必要と既知又は予想されるフラグメントを接続する数百の可能な方法を迅速に生み出すことが可能である。
【0159】
上記のように、MGLLの阻害剤活性化剤、作動薬又は拮抗薬を1回の1つの化学的実体という段階方法により構築を行なう代わりに、かかる化合物は、空いた活性部位を用いて、あるいは所望により既知の分子のある部分を含むかのいずれかで、全体として、又は「新規に」設計され得る。これらの方法は、Biosym Technologies,San Diego,CAから入手可能なLUDI(Bohm 1992)、Molecular Simulations,Burlington,Mass.から入手可能なLEGEND(Nishibata and Itai 1991)、及びTripos Associates,St.Louis,Mo,.USAから入手可能なLeapFrogを包含する。
【0160】
例えば、プログラムLUDIは、その中に水素結合及び疎水性フラグメントの両方が位置する相互作用部位の表を決定することができる。次いで、LUDIは、4つの異なる相互作用部位をフラグメントに接続するリンカーのライブラリを使用する。次いで、より小さい「架橋」基、例えば、−CH2−及び−COO−がこれらのフラグメントを接続するために使用される。例えば、酵素DHFRに対して、周知の阻害剤メトトレキサート内の鍵となる官能基の配置がLUDIにより再作成された。例えば、(Rotstein and Murcko 1993)も参照のこと。
【0161】
他の分子モデル化技術も本発明に従って使用してもよい。例えば、(Cohen et al.1990)を参照のこと。例えば、(Navia and Murcko 1992)も参照のこと。
【0162】
上記の方法により、化合物が設計されるか又は選択されると、化合物がMGLLと結合又は会合し得る親和性は、計算的評価により、及び/又は化合物を合成した後の生物学的活性の試験により試験及び最適化され得る。阻害剤又は化合物は、全体的結合エネルギーが類似する1つ以上の立体配座でMGLLと相互作用し得る。そのような場合、結合の変形エネルギーは、遊離化合物のエネルギーと、化合物がMGLLに結合した場合に観察される立体配座の平均エネルギーとの差であると考えられる。
【0163】
MGLLを結合又は会合するように設計又は選択された化合物は、その結合状態において、好ましくはMGLLとの反発静電相互作用が欠失するように計算により更に最適化され得る。かかる非相補性(例えば、静電性)相互作用は、反発性電荷−電荷、双極子−双極子、及び電荷−双極子相互作用を包含する。具体的には、阻害剤が結合する場合の阻害剤とMGLLとの間の全ての静電気相互作用の和は、好ましくは、結合エンタルピーに対して中立又は有利な寄与となる。弱い結合性化合物はまた、SARを決定するためにこれらの方法によっても設計され得る。
【0164】
特定のコンピュータソフトウェアが、化合物変形エネルギー及び静電相互作用を評価するめに当該技術分野において利用可能である。かかる使用のために設計されたプログラムの例には、Gaussian 92、改訂C(Frisch et al.1992)、AMBER、University of California,San Francisco、Accelrys,Inc.,San Diego,CAから入手可能なQUANTA及びCHARMm、並びにBiosysm Technologies Inc.,San Diego,CA,USAから入手可能なInsight II/Discoverを包含される。他のハードウェアシステム及びソフトウェアパッケージは、当業者には公知であろう。
【0165】
上記のように、MGLLと会合する化合物が最適に選択又は設計されると、その結合特性を改善又は変更するために、その原子又は側基の幾つかで置換を行い得る。一般的に、最初の置換は、保存的、即ち、置換基が当初の基とほぼ同じ大きさ、形状、疎水性、及び電荷を有する。当然ながら、立体配座を改変すると、当該技術分野において既知の構成成分は、回避されることが理解されるべきである。かかる置換された化学化合物は、上記に詳述した同一の計算機的方法によりMGLLへの適合の効率を解析され得る。
【0166】
MGLLに対して調節された結合又は活性を有するリガンドを設計するための相同構造モデル化の使用。
【0167】
本発明は、標的酵素に対して更に緊密に結合又は更に特異的に相互作用する、出発化合物及びそれらの誘導体に対する改変物を設計するためのMGLL及び/又は阻害剤と複合したMGLLの原子座標及び構造の使用を包含する。
【0168】
MGLLと出発化合物との錯体の構造は、適用できる工業界及び他の使用物(例えば、医薬品)のための他の所望の性質、例えば、化学的安定性、溶解度、又は膜透過性を有する新規化合物を作製するために、その化合物の改変を誘導するために使用することができる(Lipinski et al.1997)。
【0169】
結合性化合物、作動薬、拮抗薬等は、当該技術分野において既知である。かかる化合物は、MGLLの安定化した結晶内に拡散又はそれで含浸して、X線回折データ採取のための錯体を形成することができる。代替的には、当該技術分野において既知又は未知の化合物は、沈降の前に化合物とMGLLとを混合してMGLLと共に共結晶化することができる。
【0170】
用途に合わせた高親和性、及び非常に特異的な化合物を作製するために、MGLLの構造は、選択された非標的分子及び非標的分子の同じ位置での残基に対するリガンドの結合部位で残基の構造を変化させて構成したハイブリッドの構造と比較することができる。このモデル化が達成されるプロセスは、相同構造モデル化と称される。これは、計算により既知構造の分子又は標的の側鎖を除去し、立体的にもっともらしい位置に置かれた未知構造の側鎖でそれらを置換して行われる。このように、標的及び非標的分子の活性部位の空隙の形状がいかに異なるかを理解することができる。したがって、このプロセスは、所望の標的分子に緊密に、かつ特異的に結合し得るが、同時に非標的分子への結合が立体的に阻止され得る化合物を作製するために、結合リガンドをいかに化学的に改変することができるかに関する情報を提供する。同様に、溶媒に面する結合リガンドの部分の知識は、追加の製薬学的目的のための他の官能基の導入を可能とするであろう。非標的酵素に対するよりも更に緊密に標的酵素に緊密に結合する分子(リガンド)を設計するための相同構造モデル化の使用は、広範な適用性を有する。
【0171】
データベース及びコンピュータシステム
MGLL又はその一部分のコンピュータの分子モデル化に有用なMGLLのアミノ酸配列若しくはヌクレオチド配列及び/又はX線回折データは、その使用を容易にするために種々の媒体中で提供され得る。本実施形態の1つの適用において、本発明のMGLL、又はその少なくとも1つのサブドメイン、アミノ酸及び核酸配列及び/又はX線回折データに関連するデータを含むデータベースが、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録される。当業者は、いずれかの現在公知のコンピュータ読み取り可能な媒体が、本発明のアミノ酸配列及び/又はX線回折データをその上に記録しているコンピュータ読み取り可能な媒体を含む製品を創成するために、どのようにして使用することができるかを容易に理解することができる。
【0172】
種々のデータ記憶構造は、本発明のアミノ酸配列及び/又は原子座標/X線回折データをその上に記録しているコンピュータ読み取り可能な媒体を創成するために、当業者により利用可能である。データ記憶構造の選択は、概して、記憶された情報へのアクセスに選択される手段に基づくであろう。加えて、種々のデータ処理プログラム及びフォーマットを使用して、コンピュータ読み取り可能な媒体上の本発明の配列及びX線回折データ情報を記憶することができる。配列情報は、市販のソフトウェア、例えば、WordPerfect及びMICROSOFT Word中にフォーマットされたワード処理テキストファイルで表されるか、又はASCIIファイルの形態で表され、データベースアプリケーション、例えば、DB2、Sybase、Oracle等内に記憶することができる。本発明の情報をその上に記録しているコンピュータ読み取り可能な媒体を取得するために、当業者は、容易にデータ処理構造フォーマット(例えば、テキストファイル又はデータベース)の幾つかを適合させることができる。
【0173】
X線回折データに基づく配列及び/又は原子座標を有するコンピュータ読み取り可能な媒体を提供することにより、当業者は、関連する分子、サブドメイン、擬似体、又はそのリガンドをモデル化するために配列及び原子座標又はX線回折データに日常的にアクセスすることができる。コンピュータアルゴリズムは、公的かつ商業的に利用可能であり、当業者が、コンピュータ読み取り可能な媒体中に提供されるこのデータにアクセスし、分子モデル化及び/又はRDD(合理的薬物設計)のためにそれを解析することを可能にする。例えば、(Mary Ann Liebert(Publishers)1995)を参照のこと。
【0174】
本発明は、本明細書中に記載の配列及び/又は回折データを含む、システム、具体的には、コンピュータベースのシステムを更に提供する。かかるシステムは、MGLL又はその少なくとも1つのサブドメインに対する構造決定及びRDDを実行するために設計されている。限定されない例は、UNIX based、Windows NT又はIBM OS/2オペレーティングシステムで機能するSilicon Graphics Incorporated及びSun Microsystemsから入手可能なマイクロコンピュータワークステーションである。
【0175】
種々の比較手段がまた、原子座標/X線回折データから一部誘導された構造モチーフ又は電子密度マップを同定するために、標的配列若しくは標的モチーフとデータ記憶手段とを比較するために使用することができる。当業者は、公的に利用可能なコンピュータモデル化プログラムのいずれか1つが、本発明のコンピュータベースのシステムのための検索手段として使用することができることを容易に認めることができる。
【0176】
本発明を利用する総合手順
分子モデル化は、MGLLの擬似体及びリガンドの合理的薬物設計(RDD)のために本発明により提供される。上記のように、薬物設計の例では、タンパク質上の部位と相互作用することが期待される潜在的擬似体及びリガンドを決定するために、コンピュータモデル化プログラムを使用する。次いで、潜在的擬似体又はリガンドは、活性及び/又は結合及び/又は相互作用に関してスクリーニングされる。MGLL関連擬似体又はリガンドに対して、スクリーニングの方法は、MGLLの少なくとも1種の生物学的活性、例えば、MGLLによる加水分解のようなアッセイより選択することができる。
【0177】
したがって、本発明により提供されるツール及び方法論は、所望の様式において、標的と結合するリガンドを同定及び設計するための手順中に使用され得る。かかる手順は、反復プロセスを利用し、これによって、リガンドが合成、試験、及び特徴付けられる。新規のリガンドは、最初のリガンドの試験及び特性付けで得られた情報に基づいて設計でき、次いで、かかる新規に同定されたリガンドは、それ自体を試験及び特徴付けすることができる。この一連のプロセスは、所望の結合性質を有するリガンドが得られるまで、必要に応じて何回も反復され得る。
【0178】
以下の工程(1〜7)が、全体手順の例としての機能を果たす。
1.標的の生物学的活性(例えば、MGLLによる加水分解)を選択する。
2.選択した生物学的活性となんらかの様式において、会合すると考えられるリガンドを同定する(例えば、リガンドは既知活性の阻害剤であってもよい)。リガンドの活性は、生体内及び/又は生体外方法により試験され得る。本発明のリガンドは、脂質、核酸、化合物、タンパク質、元素、抗体、糖類、異性体、炭水化物、造影剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、検出可能なプローブ、及び抗体、若しくはそのフラグメント、又はそれらのいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1つであり得るが、これらに限定されず、標識抗体として検出可能に標識することができる。かかる標識は、酵素標識、放射性同位元素、又は放射性化合物若しくは元素、蛍光性化合物若しくは金属、化学発光化合物及び生物発光化合物が挙げられるが、これらに限定されない。代替的には、いずれかの他の公知の診断又は治療薬剤が、本発明の方法に使用することができる。次いで、標的との関係における活性に関して好適な化合物を試験する。MGLLとリガンドとの間の錯体は、同時結晶化、あるいは更に一般的には、結晶内に小分子リガンドを拡散させるかのいずれかにより作製される。複合体結晶からのX線回折データを測定し、差電子密度マップを算出する。このプロセスは、標的分子上の結合リガンドの正確な位置を提供する。差フーリエ(difference Fourier)は、測定された回折幅と、座標から算出されたこれらの反射の位相を用いて計算される。
3.本発明の方法を用いて、電子密度マップ及び/又はリガンドと標的分子との相互作用の分子モデルを創成するために、X線結晶学が利用される。上記で考察したコンピュータプログラム内への標的の座標の入力により、巨大分子の最も可能性がある構造の算出が得られる。これらの構造を組み合わせ、かかるプログラムを用いる追加の算出により精密化して、リガンドの潜在的若しくは実際の活性若しくは結合部位を包含する標的の潜在的若しくは実際の三次元構造を決定する。リガンド又は擬似体の合理的薬物設計に有用なかかる分子モデル化(及び関連する)プログラムも本発明により提供される。
4.工程3で得られた電子密度マップ及び/又は分子モデルを、リガンドを含まない標的の電子密度マップ及び/又は分子モデルと比較し、観察/算出された差異を標的又はサブユニット上のリガンドの結合を特異的に位置決定するために使用する。
5.モデル化ツール、例えば、計算化学及びコンピュータモデル化は、標的と追加又は異なる相互作用を行うことができるようにリガンドの構造を調整又は変更するために使用される。リガンド設計は、異なる分子が標的、サブユニット、又はそのフラグメントの種々の部位とどのように相互作用するかを算出するコンピュータモデル化プログラムを使用する。したがって、この手順は、潜在的リガンド又はリガンド擬似体を決定する。
6.工程5からの新規に設計されたリガンドは、上記に考察した高スループットスクリーニング法を包含する適切な生体内又は生体外試験を用いて、その生物学的活性を試験することができる。次いで、潜在的リガンド又は擬似体をMGLL、又は少なくともその1つのフラグメントに関連する活性に関してスクリーニングする。かかるスクリーニング法は、本来の標的の少なくとも1つの生物学的活性に対するアッセイから選択される。本発明の方法によって提供される、得られたリガンド又は擬似体は、動物、例えば哺乳動物(ヒトを包含する)等の疾患を治療、スクリーニング、又は防止するために有用である。
7.当然ながら、上記の工程のそれぞれは、特定の目的に対して考慮して手順を精緻化するように当業者により望みどおりに変更することができる。また、手順のいずれの工程又は位相でも、追加のX線回折データを、MGLL、MGLL/リガンド錯体、MGLL構造標的モチーフ及びMGLLサブユニット/リガンド錯体に関して収集し得る。かかる追加の回折データは、所望の結合属性を有するリガンドの設計及び選択を更に支援し得るように電子密度マップ及び分子モデルを再構築するために使用することができる。
【0179】
本発明は、本シリーズの選択された化合物、リガンド若しくは擬似体中の構造非対称の結果として生じる、立体異性体、並びに光学異性体、例えば、鏡像異性体の混合物並びに個別の鏡像異性体及びジアステレオマーを包含することを企画すると理解されるべきである。
【0180】
本明細書中の方法によって開示又は発見された化合物又は薬剤の幾つかは、1個以上の不斉中心を含有してもよく、それ故に、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じる。本発明はまた、全てのかかる可能な形態、並びにそれらのラセミ及び分割された形態及びこれらの混合物を包含することを意味する。本明細書中に記載又は発見された化合物が、オレフィン性二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含有する場合、別途に特定しない限り、それはE及びZ幾何異性体を包含することを意図する。全ての互変異性体も同様に本発明に包含されることを意図する。
【実施例】
【0181】
更に説明しなくても、当業者は、上記の記述及び下記の例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を作製及び使用し、特許請求する方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を特異的に指摘するものであって、本開示の残部をいかようにも限定するものと解釈されない。
【0182】
BLAST検索及び配列アライメント
MGLL2イソ型(Karlsson et al.2001)及びイソ型1(Wall et al.1997)に対する参照配列を、それぞれ、図1:A及び図1:Bに示す。MGLLイソ型2及びMGLLイソ型1の配列は、MGLLイソ型1が、N末端で、更に10個のアミノ酸を有することを除いては、100%同一であることに留意されたい。MGLLイソ型2及びMGLLイソ型1に対するアライメントを図1:Cに示す。以下の説明にわたって、MGLLイソ型2に対するアミノ酸の番号付け(配列番号1)を使用して、本発明の改変された構築物のアミノ酸を指す。
【0183】
Protein Data Bank(Sussman et al.1998)に寄託された配列データセットに対してBLAST検索(Altschul et al.1990)を行い、MGLLに対して適切な配列相同性を有するタンパク質の公知の結晶構造を同定する。Protein Data Bankに見出されたMGLLに対して最も近いものは、バチルス・ズブチルスにおけるストレス応答系調節因子であるRsbQであった(Kaneko et al.2005)。RsbQは、ヒトMGLLとの25%の配列同一性を共有する。RsbQはまた、本作業時に、PDBにおいて利用可能ないずれの構造のMGLLに対しても、最高の配列同一性、かつ最小の挿入及び欠失を有していた。タンパク質RsbQ、PDB ID 1wom(Kaneko et al.2005)を、テンプレートとして使用した。ClustalWソフトウェアを用いて、RsbQの配列及びMGLLイソ型2を配列した(Thompson et al.1994、Higgins et al.1996)。RsbQは、Ser96、His247、及びAsp219からなる触媒トライアードを用いたα/β加水分解酵素である。MGLLのAsp−His−Ser触媒トライアードは、RsbQにおいて、対応する残基に一致した。このアライメントは、GeneMineソフトウェア内で、複製され(Lee and Irizarry 2001)、触媒残基のアライメントを阻害せず、二次構造の要素内で、挿入及び欠失を除外するように調整された。ヒトMGLLイソ型2及びRsbQの最終アライメントを、図2Aに示す。MGLLとRsbQとの間の配列同一性は、MGLLに対する相同性モデルを生成するためには低いが、低精度のモデルは、凝集を引き起こし得る分子外において疎水性残基を同定するために十分であることが推測された。
【0184】
相同性モデル
MGLLの相同性モデルは、鋳型としてRsbQと、GeneMineソフトウェアの「高速精緻化」オプションを用いて作成された(図2A)(Levitt 1992)(Lee and Irizarry 2001)。該モデルは、4つのヘリックスからなるα/β加水分解酵素ドメイン及びキャップドメインを示す。キャップドメインのヘリックス151〜185は、両親媒性性質、脂質結合に含まれるタンパク質の特性を示す。該ヘリックスは、172番目でのプロリン残基の出現により、わずかに湾曲する。ヘリックスを構成する32の残基のうち14の残基は、疎水性(図2A)を示す。疎水性残基のうち7つは、ロイシン(Leu 152、157、159、171、174、176、184)である。該モデルにおいて、Leu 159及び176の側鎖は、溶媒の方に向き、膜とのMGLLの相互作用に対する認識部位を構成する可能性がある。低精度のモデルであるため、側鎖が、相同性モデルにおいて分子のコアの方に向くと考えられる、他のロイシン残基はまた、MGLLの疎水性性質に寄与し、洗剤が必要であり得る。
【0185】
作製物の設計
作製物のライブラリは、凝集する傾向が少なく、精製のために洗剤を必要とせず、高スループットスクリーニング及び結晶化に更に好適であり得る、MGLLタンパク質を生成するために設計された。計52のmut−MGLL作製物は、キャップドメイン突然変異、表面突然変異、及び切断を混合し、一致させることによって生成された(表1)。キャップドメインの7つの異なる疎水性ロイシン残基(Leu又はLと表す)は、突然変異に対して選択された(Leu 162、167、169、171、174、176、及び184)。ロイシン残基は、セリン(Ser又はSと表す)、グルタミン(Gln又はQと表す)、又はアルギニン(Arg又はRと表す)によって置換された。加えて、8つのリシン残基(Lys又はKと表す)は、MGLL相同性モデル(Lys 36、160、165、188、206、226、259、及び269)の表面で同定され、アラニン(Ala又はAと表す)に突然変異し、結晶作製物を増加し、結晶化を促進し、結晶品質を改善する。表面突然変異は、独立して、あるいは他の表面突然変異と組み合わせるかのいずれかで、mut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、176S)の二重キャップドメイン突然変異作製物に導入された。N末端及びC末端切断作製物も設計された(表1)。N末端は、アミノ酸9、19、26、及び33で切断された。C末端は、297及び292で切断された。N末端及びC末端切断は、独立して、あるいは他の切断と組み合わせるかのいずれかで、導入され、mut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、176S)の二重キャップドメイン突然変異作製物に導入された(表1)。wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)作製物を含む、全ての作製物を、精製した後、タグが切断され得るように、N末端ヒスチジンタグ(Hisタグ)、次いで、TEVプロテアーゼ切断部位で改変した。TEVは、Tobacco Etch Virus(Invitrogen)に見出された高度な部位特異的プロテアーゼである。
【0186】
クローニング
MGLLのcDNAを、ヒト脳DNAからクローニングし、鋳型として使用し、ヒトMGLLイソ型2(配列番号1)に対する参照配列のアミノ酸1−303に対応する全長wt−MGLLのPCRフラグメントを生成する。3’及び5’PCRプライマーの配列を以下に示す。
5’プライマー:gagaatttggtattttcaaggtatgccagaggaaagttcccc
3’プライマー:tggatgtgtatgtttctatcagggtggggacgaagttcc
【0187】
PCR産物を精製し(GENECLEAN SPINキット、Qbiogene,Inc)、T4ポリメラーゼで処理し(New England Biolabs)、修飾されたpENTR.11cLICベクトルに連結し、TOP10ワンショットのコンピテント細胞に形質転換した(Invitrogen)。配列確認後、Quickchange突然変異生成(Stratagene)によって、突然変異体を添加した。配列確認されたプラスミドは、BaculoDirect Baculovirus Expression System(Invitrogen)を用いて、昆虫細胞にトランスフェクションするために精製された。全ての得られるタンパク質は、N末端のHisタグ、次いで、TEV切断部位及び異なるMGLL作製物のアミノ酸を含有した。低感染多重度(MOI)で、2つ以上の増幅に対してウイルスストックを繁殖させ、P2ウイルスストックを得た。
【0188】
wt−MGLL及びmut−MGLLの組み換え産生
大規模な発現を、2リットルの振盪フラスコ又はWAVEバイオリアクター(WAVE Products Group、GE Healthcare)において実行した。P2ウイルスを増大し、0.3のMOIの懸濁液中でSf9細胞を感染させ、72時間後、ウイルスを収穫することによって、高力価のP3ストックを生成した。wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)及びmut−MGLLに対する細胞ペーストは、1のMOIを有する、1.5×106細胞/mLの密度で、Sf9細胞を感染させることによって得た。感染した培養物は、140rpmで一定に振盪しながら、27℃に維持した。1000×gで、10分間、4℃で遠心分離することによって、感染させてから65〜72時間後、細胞を収穫した。細胞生存率は、Guava ViaCount又はトリパンブルーにより判定され、通常、収穫時、60〜80%であった。細胞ペレットを、広範囲のプロテアーゼ阻害剤を有するリン酸緩衝生理食塩水中で1回洗浄し、−80℃で保存した。
【0189】
野生型MGLL(wt−MGLL)の精製
wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)のパイロット精製を、洗剤の完全不在下で実施し、タンパク質は生成されなかった(データは示されず)。wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)の第2の精製は、溶解緩衝液中の洗剤のみを用いて行った。wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)の冷凍した細胞ペレットを解凍し、再懸濁し、1時間、4℃で、Bugbuster(登録商標)溶解緩衝液中に溶解した。Bugbuster(登録商標)溶解緩衝液は、洗剤を含有するInvitrogenからの特許を有する溶解緩衝液である。溶解物は、40,000×gで、1時間遠心分離することによって浄化された。この時点で、又は精製の残りの間、洗剤は添加されなかった。この時点から、精製プロトコル及び緩衝液は、mut−MGLLに対して下述されたものと同一であった。細胞培養の1リットルあたり平均2.2mgのwt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)を得た。更に、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析は、精製されたwt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)の完全な凝集を示し、これは、文献において前述されるように、wt−MGLL精製のために洗剤が必要であることを確認した。
【0190】
mut−MGLLの精製
突然変異MGLL(mut−MGLL)作製物を、洗剤の不在下で精製した。冷凍した細胞ペレットを解凍し、緩衝液A(50mM Hepes緩衝液pH7.5、400mM NaCl、5%グリセロール、0.05%BME、1X完全EDTA−freeプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche))中で再懸濁し、加圧細胞粉砕され、マイクロフルイダイザー・プロセッサ(Microfluidics)を用いて機械的に溶解した。抽出物を、40,000×gで、1時間、遠心分離することによって浄化した。除去された溶解物を、AktaXpressシステムを用いて、4℃で、1mLのHis−Trap FF Crudeカラム(GE−Healthcare)上で装填した。より大きな調製物に対しては、5mLのHis−Trap FF Crudeカラムを使用した。カラムを、30mMイミダゾールを含有する10〜15カラム体積(CV)の緩衝液A中で洗浄し、mut−MGLLを、5CVの50mM Hepes緩衝液pH7.5、400mM NaCl、5%グリセロール、0.05% BME、400mMイミダゾールを用いて溶出した。ほとんどの調製物において、調製の開始から、30mMイミダゾールを緩衝液A中に包含し、His−Trapカラムにおける非特異結合を軽減した。加えて、350mMのわずかに低いイミダゾール濃度を、後の精製中、最終溶出に使用し、更に純度を改善した。また、mut−MGLL作製物が、2%グリセロール中で安定したことを判定した後、グリセロール濃度も、4%まで低下させ、AktaXpressにおける背圧問題を回避した。溶出ピークを、200mM NaCl、2%グリセロール、2mM DDT、2mM EDTA.DTTを含有する、50mM Hepes pH7.5緩衝液で前駆平衡されたSuperdex 200HR 16/60において直接装填した。画分をSDS−PAGEによって分析した。mut−MGLLを含有する画分をプールした。精製収率を、基準としてBSAを有する製造説明書に従い、BioRadからのタンパク質アッセイキットを用いてBradfordアッセイによって判定した(Bradford 1976)。
【0191】
N末端及び/又はC末端切断を含む大部分の作製物は、可溶性タンパク質の精製を可能にする十分に高い発現を有さなかった(表1)。
【0192】
L174Q突然変異を含むmut−MGLL作製物を除く、キャップドメイン突然変異のみを含む、評価された作製物は、0.7〜4.5mg/Lで生成され、これは、発現を示さなかった(表1)。サイズ排除クロマトグラフィーによる分析は、精製されたmut−MGLLタンパク質が、90%の単量体であり、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)に対する100%の凝集と比較して、10%のみ凝集されたことを示し(図1A)、これは、突然変異がタンパク質溶解性を著しく改善し、精製中、洗剤の必要性を除去したことを示した。
【0193】
キャップドメインと表面突然変異の組み合わせで評価された作製物は、0.5〜3.6mg/Lの発現レベルを示し、SDS Pageにおいても、約90%単量体であることを示した(データは示さず)。
【0194】
TEV切断
N末端Hisタグを除去するために、mut−MGLLのそれぞれのugに対して0.2単位のTEVプロテアーゼを、mut−MGLLプールに添加した。反応を、4℃で、一晩行った。ヒスチジンタグの切断を、SDS−PAGEによってモニタリングした。
【0195】
錯体形成
結晶化実験のために、化合物を、1:2のモル比(mut−MGLL:化合物)において、添加した。TEV切断されたmut−MGLLを、第1に、50mM Hepes pH 7.5、200mM NaCl、2%グリセロール、2mM DTT、及び2mM EDTAを含有する緩衝液を用いて、0.3mg/mLに希釈した。化合物を希釈したタンパク質に添加し、混合物を、4℃で、一晩インキュベートした。一晩インキュベートした後、混合物lを、Ultrafree膜を用いて、6.0mg/mLの最終タンパク質濃度まで濃縮した(10KDaカットオフ)。この段階で、純度は、SDS−PAGEにより判定されるように、>98%であり、タンパク質は、結晶化実験のために準備が整った。
【0196】
円偏光二色性(CD)
1つの作製物であるTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)は、導入された突然変異が、タンパク質形成及び活性に悪影響を及ぼさなかったことを確証するために、CDによる更なる特性化のために選択された。円偏光二色性実験を、Aviv Instruments Incからの円偏光二色性スペクトロメーターモデル202において行った。wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)及びTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)(10mMカコジル酸pH7及び140mM NaCl中の5μMタンパク質)のCDスキャンを、200〜260nmで測定した。融点を、210nmでモニタリングした。CDスペクトルを、モル楕円率に変換し、図1Bに示す。
【0197】
wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)のCDスキャンを、洗剤の存在下で精製し、TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)は同様であり、2つの酵素が類似の立体配座を有することを示した(図1B)。該スキャンは、リパーゼに対して期待されるように、高いαヘリックス含有量が高いタンパク質の特徴を示していた。
【0198】
動態解析
改変された突然変異が、タンパク質活性に悪影響を及ぼさなかったことを確証するために、多くの新規生成されたMGLL突然変異を、酵素アッセイを使用することにより解析し、次いで、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)と比較した。少量の蛍光基質である、4−メチルクマリン酪酸(4MC−B)を使用して、改変された突然変異の活性をwt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)の活性と比較した。4MC−Bの加水分解に対する触媒効率(kcat/KM)は、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)と同様であり、全てのMGLL突然変異は、試験した(表2)。MGLL天然基質、2−AG、に構造的に更に近似する、更に大きい、より脂肪族的な蛍光基質である、クマリンアラキドン酸(C−A)を使用して、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)の活性を、TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)と比較した。C−A基質の加水分解に対する触媒効率は、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)とTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)との間で同等であり、突然変異がMGLL活性に影響を及ぼさなかったことを確認した(表2)。
【0199】
4−メチルクマリン酪酸(4MC−B)及びクマリンアラキドン酸(C−A)基質の加水分解に対するミカエリスメンテン式パラメータは、37℃で、20mM Pipes pH7及び150mM NaCl中の4〜5nMのMGLLを用いて決定した。基質加水分解による蛍光の変化は、TecanからのSafire II機器における、335/440の励起/発光波長を用いて、モニタリングした。4MC−Bの加水分解に対する双曲率対基質濃度曲線は、Excelを用いてミカエリスメンテン式に適合させた。
【0200】
【数1】

【0201】
クマリンアラキドン酸(C−A)基質の溶解限度は、KM及びkcatの判定を可能にしなかった。C−Aの加水分解に対する見かけのkcat/KM比を、[S]<<KMで判定した。C−Aに対する見かけのkMは、>30μMであると推定された。報告されたkcat/KM値は、700〜40nMの5つの基質濃度から判定された独立した値からの平均である。
【0202】
熱安定性
Thermofluor(登録商標)アッセイは、タンパク質の活性部位又はアロステリック部位と相互に作用する小分子阻害剤のスクリーニングのための強力なツールである。アッセイは、リガンドの結合に基づくタンパク質の固有の融解温度のわずかな変化を検出する。タンパク質の天然形態と優先的に相互作用する化合物は、タンパク質の半分が折り畳まれない温度、Tm、で、増加する(Pantoliano et al.2001)。該技術は、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(1,8−ANS)等の染料の蛍光強度の変化をモニタリングする。蛍光染料は、水性環境下でクエンチされるが、変性タンパク質の疎水性コアに結合するとともに蛍光性を増加する。
【0203】
Thermofluor(登録商標)アッセイは、MGLL突然変異を、Thermofluor(登録商標)を用いて、高スループットスクリーニングのために使用し得るかを評価し、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)及びmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)を特性化するために、実行された。50mM Pipes pH7、200mM NaCl、100μM 1,8−ANS、及び0.001%Tween中の0.05mg/mLの濃度で、3マイクロリットルのタンパク質を、事前に分注した化合物プレートに添加した。ウェルは、蒸発を避けるために、シリコーンオイル(1μL、Fluka、タイプDC 200)で表面を覆った。最終化合物濃度は、150〜0.15μMで様々であった。アッセイプレートは、タンパク質変性を測定するために十分な温度範囲で全ての実験において、1℃/分の速度で、加熱された。蛍光は、光ファイバーを介して供給された紫外線(Hamamatsu LC6)で連続照射することにより測定され、カスタムバンドパスフィルタ(380〜400nm、>6ODカットオフ)を通して濾過された。蛍光発光は、500±25nmで発光を検出するために、濾過されたCCDカメラ(Sensys、Roper Scientific)を用いて光強度を測定することによって検出し、これにより、全ての384ウェルの同時に、かつ独立した読み込みを得た。各温度で1つ以上の画像が収集され、アッセイプレートの所定の領域においてピクセル強度の合計を温度に対して記録し、Tmを産出するために標準方程式に適合した。
【0204】
Thermofluor(登録商標)を用いた研究は、wt−MGLL(hMGLL 1−303)(配列番号3)が、非常に低い遷移の、凝集又は変性タンパク質に対する特性化を有した(図5)。しかしながら、TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S)(配列番号5)は、Tm値の56.7℃で、強力な遷移を得、改変した突然変異が、高スループットスクリーニングに好適である、更に可溶性のあるMGLLタンパク質を産生することを示した。
【0205】
結晶化
全ての突然変異は、上述の手順に従って精製され、結晶化試験に提起された。SDS Pageにより判定されるように、95%を超える純度を、全ての作製物に対して達成した。高スループットと手動結晶化スクリーニングの組み合わせを使用した。幾つかの作製物は、結晶を生成したが、洗剤を含有する結晶化条件のみ、結晶を産出した(データは示さず)。アポタンパク質は、広範囲の最適化試験にもかかわらず、8.0Å〜9.0Åのみの間で回折する結晶を生成した。メチルアラキドノイルフルオロホスホナート(MAFP)を用いた共結晶化は、回折を著しく改善しなかった。
【0206】
化合物1を有するTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)の共結晶化は、2.3Åまで回折したが、ある配向において、拡散散乱を有する結晶を生成した。更に最適化実験は、その錯体を有するデータ品質を改善しなかった。化合物1よりも更に10倍強力である化合物である、化合物2を有するTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)の共結晶化により、高品質の回折が達成された。TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)と化合物2錯体の結晶化は、22℃で、8%ポリエチレングリコールモノメチルエーテル5000分子量(PEG MME 5K)、100mMクエン酸ナトリウムpH5.5、及び2%n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(OBG)を含有する修飾されたウェル溶液と混合した6mg/mLタンパク質溶液を含有する懸垂液滴で達成され、これは、6%PEG MME 5K、及び100mMクエン酸ナトリウムpH5.5、及び2%OBGを含有するウェル溶液上で懸濁した。しかしながら、結晶は、自発的には生成されなかった。前述で得られた低品質の結晶から生成された種子溶液を使用して、結晶化小滴を播種した。良質な結晶を得るための最適な体積比は、1μlタンパク質溶液、0.5μl修飾されたウェル溶液、及び0.2μl希釈された種子ストック溶液であった。タンパク質濃度のいずれの増加は、結晶化試薬濃度の調節にもかかわらず、大量かつ積層された板状結晶をもたらした。6mg/mLよりも高い濃度で供給され、結晶化試験前に6mg/mLまで希釈されたタンパク質はまた、大量の結晶をもたらした。最終分解能は、TEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)及び化合物2錯体に対して、1.3Åであった。
【0207】
構造決定
結晶は、収穫され、16%PEG MME 5K、100mM Na−MES pH6.0、25%グリセロールまで転移され、液体窒素中で急速冷凍された。データセットを、Advanced Photon Source、ChicagoのIMCA−CADにて、100Kにて又はID19ビームラインにて、Rigaku M007HF発電機上で収集された。データ収集統計の概要が表3にある。データは、HKL2000一式で処理され(Otwinowski and Minor 1997)、構造は、PHASERの検索モデルとして、「非ヘムブロモペルオキシダーゼBPO−A1」(PDB ID 1A8Q)の修飾された構造を用いて分子置換により解かれた(McCoy et al.2007)。初期再構築は、PHENIXのAutoBuild Wizardにおいて、デフォルトプロトコルを用いて行われ(Adams et al.2002、Adams et al.2004、Terwilliger et al.2008)、精錬及び自動化された水ピックアップを、PHENIX.refineにおいて行い(Adams et al.2002、Adams et al.2004、Terwilliger et al.2008)、Coot(Emsley and Cowtan 2004)は、水分子のモデル構築、リガンド配置、及び手動的割当のために採用した。リガンド抑制は、PHENIX.elbowにおいて、生成され(Adams et al.2002、Adams et al.2004)、最終モデルは、Cootにおいて実施されるツールを用いて認証され、図は、PyMolにおいて生成された(DeLano 2002)。化合物2を用いたTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7)の錯体の構造に対する座標を、表5として含む。
【0208】
MGLLの全体構造
MGLLは、脂質加水分解酵素のサブファミリーの一部であり、同様に、多様な触媒機能を有するα/β加水分解酵素のより大きなファミリーの一部である。このスーパーファミリーのメンバーには、エステル加水分解酵素、脂質加水分解酵素、チオエステル加水分解酵素、ペプチド加水分解酵素、ハロペルオキシダーゼ、デハロゲナーゼエポキシド加水分解酵素、及びC−C結合破壊酵素が含まれる(Holmquist 2000)。これらの酵素の全ては、α/β加水分解酵素折り畳みと称される、一般的な折り畳みモチーフを共有する(Ollis et al.1992、Heikinheimo et al.1999)。この折り畳みは、αヘリックスによって両側に配置された8つのβシートにより特徴付けられる。βシート2は、他のシートに対して逆平行であり、最初及び最後のヘリックス(α1又はαA及びα6又はαF)は、シートの片側に位置し、その一方、ヘリックスの残りは、反対側に存在する。α/β加水分解酵素折り畳みは、コア折り畳みモチーフを欠失することなく、多種多様の挿入を許容する。これらの挿入は、それぞれのタンパク質の触媒活性を修飾し、かつ調節する機能を果たす。それらは、様々な位置で生じるが、大部分は、ストランドβ6とへリックスα6の間のループ領域に位置する。
【0209】
本明細書には、ヒトMGLLイソ型2(化合物2を用いたTEV切断されたmut−MGLL(hMGLL 1−303 L169S、L176S、K36A)(配列番号7))の阻害剤結合形態の構造が記載され、これは、1.3Åの分解能に対する分子置換によって決定されている。MGLLの構造は、標準α/β加水分解酵素折り畳みに非常に近似する。構造は、8つのβシートによって特徴付けられ、これは、8つのαヘリックスを持つ両側に装飾した、部分的なβバレルを形成する。MGLLは、2つのヘリックス(α4(αD’1)及びα5(D’2))を含み、これらは、キャップドメインの一部であり、シートβ6とヘリックスa6(αD)の間のタンパク質配列に挿入される。ヘリックスα1(αA)及びα8(αF)は、バレルの凹面に位置し、ヘリックスα2(αB)、α3(αC)、α6(D)、及びα7(E)は、凸面にある。キャップドメインヘリックスは共に、βバレルの平面に垂直な分子の前に配向される。
【0210】
興味深いことに、この哺乳類のMGLLの全体構造は、European Institute of Bioinformatics(EBI)にて、タンパク質構造適合ツール(SSM)を用いて、最新発売のタンパク質データバンクと構造を比較する場合、いずれの哺乳類リパーゼよりも細菌リパーゼに近似する(Boutselakis et al.2003)。三次元アライメントは、細菌性ブロモペルオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ、及びアリールエステラーゼに対して幾つかの近似のヒットを生成する。同一のヒットはまた、タンパク質配列のみに対して、タンパク質データバンクのPHI−サーチによっても引き起こされた。いずれのジアシルグリセロールリパーゼ又はトリアシルグリセロールリパーゼに対しても類似の三次元ヒットが見出されなかったため、トリアシルグリセロール及びジアシルグリセロールエステルの開裂に対する構造条件は、モノグリセロールエステルの開裂に必要とされるものとは実質的に異なる。タンパク質のこれらのクラスが、類似の機能を行うとしても、リパーゼの系統樹において異なる枝を示すように思われる。
【0211】
三次元アライメント(クロロペルオキシダーゼL、PDBID:1A88、ブロモペルオキシダーゼA1、PDBID:1A8Q、P.putidaエステラーゼ、PDBID:1ZOI、γラクタマーゼ、PDBID:1HKH)からの幾つかのヒットの重ね合わせは、キャップドメインがないα/βヒドロキシラーゼコアが、非常によく重ね合わせることを示す(表4及び図10)。最大の違いは、MGLLのN末端の初めの20残基に見られ、それに対して、他のタンパク質において補体がない。更なる違いは、ヘリックスα6(D)において明白である。MGLLにおいて、α6は、約20の残基に連続的に広がり、その一方、他の構造において、部分的に分解され、短いループによって接続される2部分に分割される。
【0212】
MGLL結合ポケット
化合物2は、拡張し、閉鎖した結合ポケットに結合され、ヘリックスα4と、α6と、α7と、α5との間に位置する。化合物の溶媒接触可能表面積(712Å2)が、極めて大きいとしても、タンパク質によって、ほとんど完全に取り囲まれる。タンパク質は、いわゆる「キャップドメイン」、「ふた」、又は「フラップ」を採用することによってこれを達成し、タンパク質の膜結合状態に基づく結合部位へのアクセスを調節する。キャップドメインは、ヘリックスα4〜α5の残基からなる(文献を通して、αD’1及びαD’2とも称される)。MGLLの触媒トリアードは、残基Ser122、Asp239、His269からなり、結合ポケットの中央に位置する。触媒求核試薬Ser122は、ストランドβ5とヘリックスα3の間の急カーブに存在し、これはまた、一般に、「求核性のL型屈曲」とも称される。求核性のL型屈曲及びα1及びβ3を接続するループを含む、構造的に保存された水素結合ドナーのネットワーク(Gly50、Ala51、Met123、及びGly124)は、オキシアニオンホールと呼ばれ、触媒反応のアニオン性遷移を安定させる機能を果たす。化合物2のアミドカルボニルは、オキシアニオンホールに向き、触媒セリンに隣接したMet123の骨格アミド窒素との臨界水素結合を形成する。リガンドのアゼチジン−ピペラジン−ピラジン部分は、狭い両親媒ポケットに突出し、ほぼ完全に利用可能な空間を補充する。リガンドのこの部分は、タンパク質との水素結合相互作用に関与しないが、ピラジン窒素形態のうちの1つは、2つの埋められた水分子と残基Glu53、Arg57、及びHis272の側鎖を含む、水ネットワークへの水素結合を形成する。Tyr194とのピラジン環の向かい合わせのπ−スタッキング相互作用は、更に相互エネルギーを提供する。
【0213】
リガンドのベンゾキサゾール−シクロヘキサン部位における結合ポケットは、反対部位のその対照物よりもあまり閉塞しない。リガンドのベンゾキサゾール部分は、脂肪族残基の側鎖から主に構成される疎水性環境に位置する。シクロヘキサン部分は、更に広範な間隙に、ベンゾキサゾールと共に突出し、阻害剤の唯一の部分であり、タンパク質結合状態において、溶媒によって利用可能である。リガンドのこれらの部分は、大部分は、タンパク質とのファンデルワールス相互作用を形成する。分子のシクロヘキサン部分は、リガンドの残部ほど整列されていない。これにより、阻害剤が相互に作用するキャップドメインのこの領域(α4及びα5に接続するループ部分)が、タンパク質の残り部分と比較すると、著しく高い温度要因を示すという事実により説明することができる。高温要因は、この領域の固有の柔軟性を示し、リガンド結合及び遊離中、タンパク質の表面からのその変位を恐らく促進する。
【0214】
可能な突然変異
MGLL構造を得るために、幾つかの可能な突然変異を必要とした。ふたサブドメインにおける2つの突然変異(L169S及びL176S)は、タンパク質精製において、凝集を防ぎ、かつ洗剤を必要としないために十分なタンパク質の溶解度を高めるのに役立つ。L169Sは、ヘリックスα4(αD’1)のC末端部に位置し、ループ上のL176Sは、α4をα5に接続する。興味深いことに、改変されたタンパク質におけるキャップドメインは、かなり多くの表面曝露した脂肪族残基をなおも含むが、突然変異は、溶液中で凝集を防ぐのに十分なタンパク質の親油性特性を逆転させるのに恐らく十分である。
【0215】
K36A表面突然変異は、タンパク質の表面に存在する高い立体配座エントロピーを有する柔軟性のある残基の置換が、ある状況下で、結晶化を促進するのに役立つことを示す、一連の報告によって示唆された(Longenecker et al.2001、Mateja et al.2002)。K36A表面突然変異は、シートβ2とβ3を接続するループ上に存在する。このループは、Val170とPro172との間の隣接した対称関連分子のキャップドメインと相互に作用する。このパッキング相互作用の分析は、リシンが、このパッキング相互作用にぴったりと適合し、そのため、結晶化に対してその不在を必要とする直接の理由が明らかでないことを示す。
【0216】
それでもなお、キャップドメインのこの特定部分が、相対的に高い温度要因を示し、分子の他の部分ほど整列していないため、突然変異は、有益であると考えられる。この高い動的移動性は、立体配座のプールのある部分において、ふたをLys36の衝突させ得ることが考えられる。K36A突然変異は、この衝突に対する可能性を解消し、故に、分子の成功した結晶化に寄与し得る。
【0217】

【0218】
【表1】

【0219】
【表2】

【0220】
【表3】

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノアシルグリセロールリパーゼ(MGLL)の形態、又はそのフラグメント、若しくは構造モチーフ、若しくはその誘導体を含み、キャップドメインの1つ以上の疎水性残基が溶解度を改善するように突然変異されている、組成物。
【請求項2】
前記キャップドメインの前記1つ以上の疎水性残基が、ロイシンである、請求項1に記載のMGLLの形態を含む組成物。
【請求項3】
前記キャップドメインの前記1つ以上の疎水性残基が、ロイシン162、ロイシン167、ロイシン169、ロイシン171、ロイシン174、ロイシン176、及びロイシン184からなる群から選択され、前記アミノ酸番号が、ヒトMGLLイソ型2(配列番号1)の参照配列に基づく、請求項1に記載のMGLLの形態を含む組成物。
【請求項4】
前記キャップドメインの前記1つ以上の疎水性残基が、セリン、グルタミン、又はアルギニンに突然変異されている、請求項1に記載のMGLLの形態を含む組成物。
【請求項5】
アラニンに突然変異するリシンを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のMGLLの形態を含む組成物。
【請求項6】
前記1つ以上の疎水性残基が、リシン36、リシン160、リシン165、リシン188、リシン206、リシン226、リシン259、及びリシン269からなる群から選択されるリシン残基であり、前記アミノ酸番号が、ヒトMGLLイソ型2(配列番号1)の参照配列に基づく、請求項1に記載のMGLLの形態を含む組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のMGLLの形態に結合する薬剤を同定する方法であって、
a.前記MGLLの形態を前記薬剤と接触させる工程と、
b.前記薬剤が、前記MGLLの形態に結合するかどうかを決定する工程と、
c.それによって、前記MGLLの形態に結合する薬剤を同定する工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記MGLLの形態が、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記結合が、前記MGLLの形態の熱安定度を測定することによって決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載のMGLLの形態の活性を阻害する薬剤を同定する方法であって、
a.前記MGLLの形態を前記薬剤と接触させる工程と、
b.前記薬剤の存在下で、前記MGLLの形態の生物活性を測定する工程と、
c.前記薬剤の不在下で、前記MGLLの形態の生物活性を測定する工程と、
d.工程(b)で測定された前記生物活性と、工程(c)で測定された前記生物活性を比較し、それによって、工程(b)で測定された前記生物活性が、工程(c)で測定された前記生物活性よりも少ない場合、前記MGLLの形態の前記生物活性を阻害する薬剤を同定する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記MGLLの形態が、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記生物活性が、酵素アッセイで測定される、請求項10に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−520427(P2011−520427A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506477(P2011−506477)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/041646
【国際公開番号】WO2009/132260
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.UNIX
3.WINDOWS
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】