説明

モバイルプリンタシステム及びモバイルプリンタシステムの制御方法

【課題】 オペレータがモバイルプリンタの状態を容易に把握可能なモバイルプリンタシステムを提供する。
【解決手段】 モバイルプリンタシステム1は、タッチパネル41を備えたPDA40と、PDA40からの指示に応じて印刷指示を出力するホストコンピュータ10と、ホストコンピュータ10から送信される印刷指示に応じて、印刷を実行するモバイルプリンタ60とを備えている。モバイルプリンタ60は、モバイルプリンタ60内部のステータスを各種センサ76〜78を用いて監視し、ステータス信号生成部79は内部のステータスの変化に応じてステータス信号を生成して、ホストコンピュータ10に送信する。そして、ホストコンピュータ10は、モバイルプリンタ60に対応するPDA40にステータス信号に応じたステータス情報を送信し、PDA40は、タッチパネル41に前記ステータス情報に応じた情報をタッチパネル41上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルプリンタシステム及びモバイルプリンタシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、産業界の幅広い分野で日常的に用いられている。特に、パーソナルコンピュータが急速に発達した今日では、プリンタ無しで業務が行われることは珍しく、オフィスから作業現場においてまで様々な分野で用いられている。
【0003】
また、近年では、作業員が携行可能なモバイルプリンタを用いて、作業を行いながらプリントを行う形態で業務が行われている場合もある。たとえば、品質管理業務や生産ラインにおいては、製品の品質を確認したり製品を製造したりした直後に製品にラベルを付与するような場合がある。また、倉庫内の在庫管理業務等においても、在庫品を確認してその場でラベルを在庫に貼着させるような場合がある。このような場合には、ラベルに印刷を実行可能なモバイルプリンタを携行して、その場でラベルを印刷し、製品にラベルを貼着するような場合もある。
【0004】
このようなモバイルプリンタに限らずプリンタ等の各種機器では、機器の電池残量や機器内で生じる各種エラーをオペレータに通知する必要がある。従来のプリンタでは、プリンタ内部のバッテリ消耗時やメカニカルなエラーの発生時には、LEDを点滅させたり、警告音を発したりして、オペレータにプリンタの状態を通知し、対処を促すのが一般的である。
【0005】
また、プリンタ以外のモバイル製品においては、例えば、親機に子機の電池残量を通知することが可能なコードレス電話装置や、PCカードの電源状況をワイヤレスハンドセットを介して基地局に送信可能な通信装置も提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002―300239号公報
【特許文献2】特開平6−6305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モバイルプリンタの使用形態の中には、オペレータがモバイルプリンタと、このモバイルプリンタとセットで用いられる携帯用コンピュータ(PDA等)の二つを携行し、コンピュータを操作しながら、例えばオペレータの腰に取り付けられたモバイルプリンタから出力を行う場合が考えられる。このような構成においても、モバイルプリンタのLEDが点滅したり、警告音を発したりさせてオペレータにモバイルプリンタの異常を通知することは可能であるが、オペレータはモバイルプリンタの状況と携帯用コンピュータとの状況をそれぞれの機器において確認しなければならない。
【0007】
オペレータは、実際の作業現場においては、携帯用コンピュータのみを操作して作業を行っていることが想定される。したがって、モバイルプリンタの異常発生時に、いくらモバイルプリンタのLEDが点滅しても、オペレータはモバイルプリンタの異常に気がつかない場合も考えられる。
【0008】
また、音を発してオペレータにモバイルプリンタの異常を通知する方法は有効であると考えられるが、例えば騒音の大きい作業現場で作業を行う場合には、警告音が聞こえづらくすぐにプリンタの異常に気がつかない場合も考えられる。
【0009】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、オペレータがモバイルプリンタの状態を容易に把握可能なモバイルプリンタシステム及びモバイルプリンタシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、以下の構成により達成される。
(1) 表示部を備えた入力端末と、
前記入力端末からの指示に応じて印刷指示を出力するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータから送信される前記印刷指示に応じて、印刷を実行するモバイルプリンタと、を備え、
前記モバイルプリンタは、前記モバイルプリンタ内部のステータスを監視するとともに、前記ステータスの変化に応じて前記ホストコンピュータにステータス信号を送信し、
前記ホストコンピュータは、前記モバイルプリンタに対応する前記入力端末に前記ステータス信号に応じたステータス情報を送信し、
前記入力端末は、前記表示部に前記ステータス情報に応じた情報を表示することを特徴とするモバイルプリンタシステム。
(2) 前記ホストコンピュータは、前記入力端末に対応する前記モバイルプリンタを識別するための参照テーブルを有しており、前記参照テーブルに応じて前記ステータス情報を送信する前記入力端末を特定することを特徴とする(1)記載のモバイルプリンタシステム。
(3) 前記入力端末は、前記表示部に前記ステータス情報に応じたアイコンを表示することを特徴とする(1)または(2)記載のモバイルプリンタシステム。
(4) 前記入力端末と前記モバイルプリンタは、同一人に携帯されて使用されることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載のモバイルプリンタシステム。
(5) 前記入力端末と前記モバイルプリンタは、無線LANを介して前記ホストコンピュータと通信を実行することを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載のモバイルプリンタシステム。
(6) モバイルプリンタ内部のステータスを監視するとともに、前記ステータスの変化に応じてホストコンピュータにステータス信号を送信するステップと、
前記ホストコンピュータにて、前記モバイルプリンタに対応する入力端末に前記ステータス信号に応じたステータス情報を送信するステップと、
前記入力端末にて、その表示部に前記ステータス情報に応じた情報を表示するステップとを有することを特徴とするモバイルプリンタシステムの制御方法。
(7) 前記ホストコンピュータは、前記入力端末に対応する前記モバイルプリンタを識別するための参照テーブルを有しており、前記ホストコンピュータは前記参照テーブルに応じて前記ステータス情報を送信する前記入力端末を特定することを特徴とする(6)記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
(8) 前記表示部には前記ステータス情報に応じたアイコンを表示することを特徴とする(6)または(7)記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
(9) 前記入力端末と前記モバイルプリンタは、同一人に携帯されて使用されることを特徴とする(6)〜(8)の何れかに記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
(10) 前記入力端末と前記モバイルプリンタは、無線LANを介して前記ホストコンピュータと通信を実行することを特徴とする(6)〜(9)の何れかに記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のモバイルプリンタシステムによれば、入力端末にモバイルプリンタのステータス情報が集められて入力端末の表示部に表示されるので、オペレータは、入力端末の表示部を確認するだけで、モバイルプリンタのステータスを容易に把握することができる。したがって、オペレータは、モバイルプリンタには一切気をとめる必要なく、本来の業務に専念することができる。
【0012】
通常作業においては、オペレータは、入力端末をモバイルプリンタに比べて頻繁に確認することが多く、表示部上の表示が変化していれば、すぐにその変化に気がつき、タイムリーにモバイルプリンタの異常を察知することができる。したがって、騒音の大きい作業現場で作業を行う場合でも、モバイルプリンタが警告音を発する従来の場合のように、警告音が聞こえづらくすぐにモバイルプリンタの異常に気がつかないという問題が起こりにくい。勿論、本実施形態においても、入力端末が入力部上の表示を切り替えるとともに警告音を出し、オペレータの注意を促すように構成してもよい。
【0013】
また、本発明によれば、ホストコンピュータは、入力端末に対応するモバイルプリンタを識別するための参照テーブルを有しており、この参照テーブルに応じてステータス情報を送信する入力端末を特定するように構成されている。したがって、複数の入力端末及びモバイルプリンタを一台のホストコンピュータによって管理するような環境下であっても、ホストコンピュータはオペレータがペアで使用している入力端末とモバイルプリンタを常に把握しているので、適切且つタイムリーに対応する入力端末に情報を送信することが可能である。
【0014】
また、本発明によれば、入力端末は、表示部にステータス情報に応じたアイコンを表示する。このアイコンとしては、視覚的に目につきやすくその内容がわかり易いものを利用することができる。したがって、オペレータは、この表示部に表示されたアイコンを一目見るだけでモバイルプリンタの状態を把握することができ、適切な対処を取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるモバイルプリンタシステム及びモバイルプリンタシステムの制御方法の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかるモバイルプリンタシステムの全体構成を示すブロック図であり、図2は、オペレータの作業形態を示す模式図である。
本実施形態のモバイルプリンタシステム1は、複数のオペレータ#1〜#Nが同時に作業を行う作業現場に適用されたものである。
【0017】
各オペレータ#1〜#Nは、それぞれPDA40とモバイルプリンタ60とを携行して作業を行っている。図2を参照しながら説明すると、オペレータは、たとえばPDA40を手に持ち、そしてモバイルプリンタ60を腰にベルト等を介して取り付けた状態で作業を行う。具体的には、PDA40を操作しつつモバイルプリンタ60からラベル等を印刷して、各種作業を実行する。
【0018】
図3(a)及び図3(b)は、それぞれPDA40及びモバイルプリンタ60の模式的な斜視図である。
図3(a)に示すように、PDA40は、表示部兼データ入力部を兼ね備えたタッチパネル41と各種入力ボタンからなる複数の入力キー42が設けられている。PDA40は、基本的にユーザからの入力を受け付ける入力手段として、またユーザに情報を表示する表示手段として設けられたものである。
【0019】
一方、モバイルプリンタ60は、筐体60a内部に感熱紙からなる連続紙やラベル印刷用の連続紙が巻回された状態でロール紙として内部に収納されている。モバイルプリンタ60は、印刷指示に応じてこのロール紙に印刷を行い、ロール紙排出口61からロール紙を排出する。
【0020】
PDA40とモバイルプリンタ60のそれぞれは、図1に示すように、無線LANアクセスポイント20を介して有線LANネットワーク30に通信可能に接続されている。これらPDA40とモバイルプリンタ60は、それぞれ独立に無線LANアクセスポイント20を介してサーバ等のホストコンピュータ10と通信可能である。ここで、無線LANとしては、IEEE802.11a,b,g等の各種規格に応じたものであってよい。
【0021】
各オペレータが持つPDA40とモバイルプリンタ60は、ホストコンピュータ10と通信を行いながら、収集した情報をホストコンピュータ10に送信したり、PDA40またはホストコンピュータ10からの指示に応じてラベルの印刷を実行したりする。
【0022】
次に、図4を参照しながら、本実施形態のモバイルプリンタシステム1における各種制御について詳細に説明する。
図4は、本実施形態のモバイルプリンタシステムの制御ブロックを示す図である。図4では、説明の簡略化のために、あるオペレータが持つPDA40及びモバイルプリンタ60とホストコンピュータ10との間の関係のみを図示する。
【0023】
まず、PDA40について説明する。
PDA40は、送受信部51と、中央制御部52と、タッチパネル入力部53と、タッチパネル表示部54と、キー入力部55とを備えて構成されている。
【0024】
送受信部51は、無線LANアクセスポイント20及び有線LANネットワーク30を介してホストコンピュータ10とデータの送受信を行う。PDA40が受信する各種情報としては、オペレータが作業で用いる在庫情報や製品情報等の情報、モバイルプリンタ60のステータス情報等が挙げられる。一方、PDA40は、この送受信部51を介して、オペレータが入力した各種情報をホストコンピュータ10に送信する。
【0025】
中央制御部52は、CPUおよびRAM,ROM、HDD等の記憶装置等から構成されるPDA40の制御中枢であって、ROMやHDDから読み出された各種制御プログラムを実行することにより、送受信部51,タッチパネル入力部53,タッチパネル表示部54,キー入力部55等を制御し、PDA40を入力端末として機能させる。
【0026】
タッチパネル入力部53は、タッチパネル41の入力機能部分を制御する制御部であり、オペレータが触れたタッチパネル41上の部位に応じた入力信号を生成して中央制御部52に信号を送る。中央制御部52は、このタッチパネル入力部53から送られる入力信号に応じて、オペレータからの入力を解釈し、処理を行う。
【0027】
タッチパネル表示部54は、タッチパネル41の表示機能部分を制御する制御部であり、中央制御部52からの表示指示に応じて、文字情報や画像情報をタッチパネル41に表示する。
【0028】
キー入力部55は、複数の入力キー42からの入力を受け付ける制御部であり、キー操作に応じた入力信号を中央制御部52に送る。中央制御部52は、タッチパネル入力部53の場合と同様に、キー入力部55から送られる入力信号に応じて、オペレータからの入力を解釈し、処理を行う。
【0029】
次に、モバイルプリンタ60について説明する。
モバイルプリンタ60は、主として、送受信部71と、受信バッファ72と、コマンド解析部73と、主制御部74と、印刷制御部75と、用紙状態センサ76と、バッテリ状態センサ77と、エラーセンサ78と、ステータス信号生成部79と、を備えて構成されている。
【0030】
送受信部71は、無線LANアクセスポイント20及び有線LANネットワーク30を介してホストコンピュータ10とデータの送受信を行う。モバイルプリンタ60は、ホストコンピュータ10からコマンド形式の各種指示を受信し、この指示に応じて紙送りや印刷を実行する。一方、モバイルプリンタ60は、この送受信部71を介してモバイルプリンタ内部の状態を表すステータス信号をホストコンピュータ10に送信する。このステータス信号については後述する。
【0031】
受信バッファ72は、送受信部71を介して受信したコマンドを一時的に保存する。受信バッファ72に一時的に保存されたコマンドは、コマンド解析部73に受信順に順次読み出されていき、コマンド解析部73によってそのコマンドの指示内容が解析される。
【0032】
主制御部74は、コマンド解析部73が解析したコマンドの指示内容に応じて、モバイルプリンタ60全体を制御する制御中枢である。例えば、主制御部74は、印刷指示を受信した場合には、印刷制御部75に受信した印刷指示及び印刷データに基づき印刷を実行させる。
【0033】
用紙状態センサ76、バッテリ状態センサ77及びエラーセンサ78は、それぞれモバイルプリンタ60内部の用紙の有無、バッテリの電池残量、各種エラー等のモバイルプリンタ60の内部状態を取得するためのセンサである。これらのセンサ76〜78は、ホストコンピュータ10から指示に応じて、内部状態を示す各種情報を取得してもよいし、定期的にプリンタの内部状態のモニタを行い、状態が遷移したら(例えば、紙有り→紙無しに変化)その状態の変化を主制御部74に通知するようにしてもよい。
【0034】
ステータス信号生成部79は、モバイルプリンタ60の内部状態を示すステータス信号を生成する制御部である。このステータス信号生成部79は、定期的にホストコンピュータ10にモバイルコンピュータ60の状態を示すステータス信号を送信してもよいし、モバイルプリンタ60の内部状態が遷移したことを確認したら、その場でステータス信号を生成して、ホストコンピュータ10に送信するようにしてもよい。
【0035】
本実施形態では、ホストコンピュータ10は、モバイルプリンタ60からモバイルプリンタ60の内部状態の遷移を示すステータス信号を受信すると、そのオペレータが持つPDA40に対し、モバイルプリンタ60のステータスが変化したことを通知するように構成されている。具体的には、ホストコンピュータ10内には、現時点でそれぞれのオペレータがどのPDA40とモバイルプリンタ60とをペアで携帯しているかを示すPDA/モバイルプリンタ参照テーブル11を備えている。
【0036】
図5は、PDA/モバイルプリンタ参照テーブル11の一例を示す図である。
例えば、このPDA/モバイルプリンタ参照テーブル11は、一例として、各オペレータが作業を開始する準備段階で、オペレータ自身の識別番号であるオペレータ番号と、携帯するPDA40の整理番号と、モバイルプリンタ60の整理番号を入力することにより生成される。例えば、PDA40とモバイルプリンタ60の組み合わせが毎回の作業時に変わるような場合には、毎回の作業前にこれら3つの番号を登録していくことにより、PDA/モバイルプリンタ参照テーブル11がホストコンピュータ10内部に生成される。
【0037】
ホストコンピュータ10は、予め各PDA40及び各モバイルプリンタ60のIPアドレス等のネットワークパラメータを記憶しており、それぞれのPDA40及びモバイルプリンタ60を指定して通信が可能である。
【0038】
そして、ホストコンピュータ10は、PDA40から印刷指示を受け取ると、特別な指示がない限りこのPDA/モバイルプリンタ参照テーブル11を参照して、印刷指示を出力すべきモバイルプリンタ60を特定し、この特定されたモバイルプリンタ60に対応するネットワークパラメータを指定して指示を出力し、モバイルプリンタ60に印刷を実行させるようにする。また、モバイルプリンタ60からステータス信号を受信した場合には、同様にPDA/モバイルプリンタ参照テーブル11を参照し、対応するPDA40にモバイルプリンタ60のステータスが変化したことを通知する。
【0039】
モバイルプリンタ60のステータス情報は、例えば図3に示すように、PDA40のタッチパネル41にアイコン45として表示される。
【0040】
次に、図6〜図8を参照しながら、アイコン45の表示例を示す。
図6(a)は用紙有りの状態を示すアイコンであり、図6(b)は用紙無しの状態を示すアイコンである。また、図7(a)はモバイルプリンタ60のバッテリの電池残量がフルもしくはほぼフルの状態(例えば2/3以上)を示すアイコンであり、図7(b)はモバイルプリンタ60のバッテリの電池残量が半分程度(例えば1/4〜2/3)残っている状態を示すアイコンであり、図7(c)はモバイルプリンタ60のバッテリの残量がほぼ無い状態(1/4以下)を示すアイコンである。また、図8(a)はモバイルプリンタ60内部が正常に動作している状態を示すアイコンであり、図8(b)はモバイルプリンタ60内部でエラーが発生している状態を示すアイコンである。
【0041】
このように本実施形態では、図3に示すように、PDA40は、ホストコンピュータ10を介してモバイルプリンタ60のステータス情報をタッチパネル41に常に表示するように構成されている。このステータス情報は、モバイルプリンタ60内部の状態が遷移したことを示すステータス信号に応じて変化するので、モバイルプリンタ60の内部状態がほぼリアルタイムで示される。したがって、オペレータは、モバイルプリンタ60を見て確認しなくても、PDA40のタッチパネル41だけを確認することによってモバイルプリンタ60の状態を即座に把握することができる。
【0042】
図9は、本実施形態のモバイルプリンタシステム1におけるステータス情報通知処理のフローを説明するフローチャートである。以下、図9を参照しながら、本実施形態のモバイルプリンタシステム1におけるモバイルプリンタ60のステータス情報通知処理について説明する。以下の説明では、モバイルプリンタ60は、内部状態が一つでも変化した場合(正常状態から異常状態への変化及び/又は異常状態から正常状態への変化)にステータス信号をホストコンピュータ10に送信する場合を説明する。
【0043】
まず、モバイルプリンタ60では、主制御部74は、用紙状態センサ76、バッテリ状態センサ77及びエラーセンサ78から情報を収集し、用紙の有無,バッテリの電池残量、及びエラーの有無を確認する(ステップS11)。そして、ステップS12において、モバイルプリンタ60内部の状態に変化が無ければ、所定時間待機して再度ステップS11に戻る。すなわちモバイルプリンタ60内部の状態が変わらなければ、モバイルプリンタ60は、ステップS11及びステップS12を繰り返す。
【0044】
一方、モバイルプリンタ60内部の状態に一つでも変化があれば、例えば、用紙無しが検出されると、モバイルプリンタ60のステータス信号生成部79は、用紙無しを示すステータス信号を生成し、送受信部71を介してホストコンピュータ10にステータス信号を送信する(ステップS13)。
【0045】
ホストコンピュータ10は、モバイルプリンタ60から用紙無しを示すステータス信号を受信すると(ステップS14)、PDA/モバイルプリンタ参照テーブルを参照して、送信元のモバイルプリンタ60に対応する、すなわち用紙無しを送信したモバイルプリンタ60を携帯したオペレータが携帯しているPDA40の番号を特定する(ステップS15)。
【0046】
そして、ホストコンピュータ10は、番号を特定したPDA40のIPアドレス等の値とワークパラメータを参照しながら、モバイルプリンタ60の用紙無しを示すステータス情報を生成し、対応するPDA40に送信する(ステップS16)。
【0047】
PDA40は、ホストコンピュータ10からステータス情報を受信すると(ステップS17)、受信したステータス情報の内容に応じてタッチパネル41に表示しているアイコンの表示を切り替える。例えば、用紙無しの場合には、アイコンの表示を用紙有りを示す図6(a)の状態から、用紙無しを示す図6(b)に切り替える(ステップS18)。
【0048】
これにより、モバイルプリンタ60のステータスの変化が即座にPDA40のタッチパネル41に表示されることになる。したがって、オペレータは、PDA40だけを確認することにより、モバイルプリンタ60のステータスを常に把握することができる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態のモバイルプリンタシステム1は、表示部としてのタッチパネル41を備えた入力端末としてのPDA40と、PDA40からの指示に応じて印刷指示を出力するホストコンピュータ10と、ホストコンピュータ10から送信される印刷指示に応じて、印刷を実行するモバイルプリンタ60と、を備えている。モバイルプリンタ60は、モバイルプリンタ60内部のステータスを各種センサ76〜78を用いて監視し、ステータス信号生成部79は内部のステータスの変化に応じてステータス信号を生成して、ホストコンピュータ10に送信する。
【0050】
そして、ホストコンピュータ10は、モバイルプリンタ60に対応するPDA40にステータス信号に応じたステータス情報を送信し、PDA40は、タッチパネル41に前記ステータス情報に応じた情報を表示する。
【0051】
したがって、本実施形態のモバイルプリンタシステム1によれば、PDA40にモバイルプリンタ60のステータス情報が集められて、タッチパネル41に表示されるので、オペレータは、PDA40のタッチパネル41を確認するだけで、モバイルプリンタ60のステータスを容易に把握することができる。したがって、オペレータは、モバイルプリンタ60には一切気をとめる必要なく、本来の業務に専念することができる。
【0052】
通常作業においては、オペレータは、入力端末であるPDA40をモバイルプリンタ60に比べて頻繁に確認することが多く、タッチパネル41上の表示が変化していれば、すぐにその変化に気がつき、タイムリーにモバイルプリンタ60の異常を察知することができる。したがって、騒音の大きい作業現場で作業を行う場合でも、モバイルプリンタが警告音を発する従来の場合のように、警告音が聞こえづらくすぐにモバイルプリンタの異常に気がつかないという問題が起こりにくい。勿論、本実施形態においても、PDA40がタッチパネル上の表示を切り替えるとともに警告音を出し、オペレータの注意を促すように構成してもよい。
【0053】
また、本実施形態によれば、ホストコンピュータ10は、PDA40に対応するモバイルプリンタ60を識別するための参照テーブルを有しており、この参照テーブルに応じてステータス情報を送信するPDA40を特定するように構成されている。
したがって、複数のPDA及びモバイルプリンタを一台のホストコンピュータによって管理するような環境下であっても、ホストコンピュータはオペレータがペアで使用しているPDAとモバイルプリンタを常に把握しているので、適切且つタイムリーにPDAに情報を送信することが可能である。
【0054】
また、本実施形態によれば、PDA40は、タッチパネル41にステータス情報に応じたアイコンを表示する。このアイコンの例としては、図6〜図8に示すように、視覚的に目につきやすくその内容がわかり易いものを利用することができる。したがって、オペレータは、このタッチパネル41に表示されたアイコンを一目見るだけでモバイルプリンタ60の状態を把握することができ、適切な対処を取ることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、無線LANを例に挙げて説明を行ったが、これに限られることはなく、その他各種の無線コミュニケーション形態によってこれを実現するように構成してもよい。
また、本実施形態では、無線LANアクセスポイント20を一つだけ例示して説明を行ったが、これに限られることはなく、複数のエリア毎に複数の無線LANアクセスポイントを設置し、これらを一台のホストコンピュータで管理するような場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明にかかるモバイルプリンタシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】オペレータの作業形態を示す模式図である。
【図3】PDA及びモバイルプリンタの模式的な斜視図である。
【図4】モバイルプリンタシステムの制御ブロックを示す図である。
【図5】PDA/モバイルプリンタ参照テーブルの一例を示す図である。
【図6】用紙の有り/無しの状態を示すアイコンの一例である。
【図7】モバイルプリンタのバッテリの電池残量を示すアイコンの一例である。
【図8】モバイルプリンタ内部のエラーの有無を示すアイコンの一例である。
【図9】モバイルプリンタシステムにおけるステータス情報通知処理のフローを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1・・モバイルプリンタシステム 10・・ホストコンピュータ 20・・無線LANアクセスポイント 30・・有線LANネットワーク 40・・PDA 60・・モバイルプリンタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備えた入力端末と、
前記入力端末からの指示に応じて印刷指示を出力するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータから送信される前記印刷指示に応じて、印刷を実行するモバイルプリンタと、を備え、
前記モバイルプリンタは、前記モバイルプリンタ内部のステータスを監視するとともに、前記ステータスの変化に応じて前記ホストコンピュータにステータス信号を送信し、
前記ホストコンピュータは、前記モバイルプリンタに対応する前記入力端末に前記ステータス信号に応じたステータス情報を送信し、
前記入力端末は、前記表示部に前記ステータス情報に応じた情報を表示することを特徴とするモバイルプリンタシステム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータは、前記入力端末に対応する前記モバイルプリンタを識別するための参照テーブルを有しており、前記参照テーブルに応じて前記ステータス情報を送信する前記入力端末を特定することを特徴とする請求項1記載のモバイルプリンタシステム。
【請求項3】
前記入力端末は、前記表示部に前記ステータス情報に応じたアイコンを表示することを特徴とする請求項1または2記載のモバイルプリンタシステム。
【請求項4】
前記入力端末と前記モバイルプリンタは、同一人に携帯されて使用されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のモバイルプリンタシステム。
【請求項5】
前記入力端末と前記モバイルプリンタは、無線LANを介して前記ホストコンピュータと通信を実行することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のモバイルプリンタシステム。
【請求項6】
モバイルプリンタ内部のステータスを監視するとともに、前記ステータスの変化に応じてホストコンピュータにステータス信号を送信するステップと、
前記ホストコンピュータにて、前記モバイルプリンタに対応する入力端末に前記ステータス信号に応じたステータス情報を送信するステップと、
前記入力端末にて、その表示部に前記ステータス情報に応じた情報を表示するステップとを有することを特徴とするモバイルプリンタシステムの制御方法。
【請求項7】
前記ホストコンピュータは、前記入力端末に対応する前記モバイルプリンタを識別するための参照テーブルを有しており、前記ホストコンピュータは前記参照テーブルに応じて前記ステータス情報を送信する前記入力端末を特定することを特徴とする請求項6記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
【請求項8】
前記表示部には前記ステータス情報に応じたアイコンを表示することを特徴とする請求項6または7記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
【請求項9】
前記入力端末と前記モバイルプリンタは、同一人に携帯されて使用されることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。
【請求項10】
前記入力端末と前記モバイルプリンタは、無線LANを介して前記ホストコンピュータと通信を実行することを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載のモバイルプリンタシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−4160(P2006−4160A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179589(P2004−179589)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】