説明

モバイルプリンタ

【課題】 モバイルプリンタ側に大きな処理負担をかけることなく、様々なインターネットサイトが提供する画像データを印刷できるようにする。
【解決手段】 モバイルプリンタ1は、アプリケーション・サービス・プロバイダ6等から、インターネット5を介して画像データを受信する。受信した画像データを印刷しようとするときは、画像の解像度を判定する。そして、その解像度が当該プリンタの解像度に適合しないときは、画像データの送信元に対して、当該プリンタの解像度に適合する解像度を指定して画像データの再送信を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等を介して適宜の場所でデータを受信して印刷可能なモバイルプリンタに関するものであり、特に、受信した画像データの解像度を判定する手段と、受信した画像データの解像度が当該プリンタの解像度に適合しないとき、画像データの送信元に対して、当該プリンタの解像度に適合する解像度を指定して画像データの再送信を要求するようにしたモバイルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1(特開2002−221760号公報)に示されるように、携帯電話と接続可能なモバイルプリンタが開発されており、その携帯電話がカメラ付きのものであれば、撮影した画像をその場で印刷でき、また、カメラ付きでなくても、送信されてきたメールの添付画像やインターネットを通じてダウンロードした画像等を印刷できる。
【0003】
上記特許文献1に開示されたモバイルプリンタにおいては、接続アダプタの枠部は接続端子が設けられた端部の外形に合わせて、がたつきなく接続されるように形成されている。接続アダプタの細筒部は、モバイルプリンタのホルダー部に合わせて、がたつきなく接続されるように形成されている。携帯電話の端部を接続アダプタの枠部に差し込み、接続アダプタの細筒部をホルダー部に差し込むと、携帯電話がモバイルプリンタに一体化される。一方の手でモバイルプリンタを把持すれば、モバイルプリンタと携帯電話の両方を安定して保持することができ、空いた他方の手でモバイルプリンタと携帯電話の操作を自在に行うことができる。
【0004】
また、視覚障害者用として、例えば、特許文献2(特開2003−333144号公報)に示されるように、携帯電話で受信した画像を点字プリンタにより出力するようにしたモバイルプリンタも提案されている。
【0005】
上記特許文献2に開示されたモバイルプリンタは、視覚障害者、および視聴覚障害者が携帯電話によるデータ通信を、健常者とほぼ同等の利便性において利用できる環境を提供することを目的としたものであり、携帯電話が受信する音声情報、文字情報等の情報データを点字パターンに変換する処理部と、点字パターン出力可能な小型プリンタと点字パターン形成可能なシートとを内蔵する携帯電話から構成されたものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−221760号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−333144号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、モバイルプリンタは、プリンタのサイズが限定されることもあって、印刷する際の解像度がきわめて限定される。その点、上記特許文献2に示されるような、点字プリンタを具えたモバイルプリンタでは、より一層限定される。一方、インターネットには、様々なサイトが存在していて、それらから提供される画像データは、様々な解像度のものがある。
【0008】
そのため、インターネットからダウンロードした画像データをモバイルプリンタで印刷しようとしても、画像データの解像度とプリンタの印刷解像度とが合致せずに印刷できない場合が多々発生する。それに対しては、プリンタ側で、画像データの画素の間引き等、画像処理を行ってプリンタの印刷解像度に合わせるようにすればよいが、機器の物理的サイズがある程度の大きさに限定されるモバイルプリンタにそのような機能を持たせるには限界があるという問題がある。
【0009】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、受信した画像データの解像度を判定する手段と、受信した画像データの解像度が当該プリンタの解像度に適合しないとき、画像データの送信元に対して、当該プリンタの解像度に適合する解像度を指定して画像データの再送信を要求するように構成することにより上記問題点を解消し得ることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、モバイルプリンタ側に大きな処理負担をかけることなく、様々なサイトが提供する画像データを印刷できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
インターネットを介して画像データを受信する手段と、受信した画像データを印刷出力する手段と、受信した画像データの解像度を判定する手段と、受信した画像データの解像度が当該プリンタの解像度に適合しないとき、画像データの送信元に対して、当該プリンタの解像度に適合する解像度を指定して画像データの再送信を要求する手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる画像形成装置において、前記印刷出力を点字で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のモバイルプリンタは、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1にかかる発明においては、受信した画像データの解像度が当該プリンタの解像度に適合しないとき、画像データの送信元に対して、当該プリンタの解像度に適合する解像度を指定して画像データの再送信を要求するようにしたので、モバイルプリンタ側では、画像データの画素の間引き等、画像処理を行う必要はなく、モバイルプリンタに大きな処理負担をかけることなく、様々なサイトが提供する画像データを印刷できるようなる。
【0014】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる画像形成装置において、印刷出力を点字で行うようにしたので、視覚障害者でも画像の認識が可能になり、しかも、通常の印刷と比べて解像度が格段に落ちる点字プリンタでも、最適な解像度で画像データを受け取ることにより、点字形式での最適な印刷が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本願発明の概略構成を示すブロック図である。図2は、解像度の一覧表を示す説明図である。図3は、解像度を指定して配信要求するコマンドの一例を示す説明図である。図4は、画像印刷の処理手順を示すフローチャートである。
【実施例】
【0016】
図1は、本願発明の概略構成を示すブロック図である。モバイルプリンタ1は、携帯電話器に別体の小型プリンタが接続されるか、携帯電話器に小型プリンタが一体的に組み込まれたもので、携帯電話の基地局2,携帯電話網3及び携帯電話会社のサーバ4を介してインターネット5に接続されていて、アプリケーション・サービス・プロバイダ6等との間で通信可能になっている。
【0017】
図1に示すモバイルプリンタ1は、サーバ4との間で通信部10により通信を行う。図示はしないが、通信部10は、送,受話器を有していて、通話機能も具えている。通信部10には、モバイルプリンタ1の各種処理を制御する制御部11を介して、操作部12と記憶部13が接続されている。操作部12は、キーボードと表示器を具えていて、各種操作入力や画像等の表示が可能になっている。記憶部13は、通信部10で受信した画像データ等を一時的に格納するためのものである。印刷制御部14は、記憶部13に格納した画像データを処理して印刷エンジン15に渡し、印刷エンジン15で、用紙に印刷して排紙する。
【0018】
このモバイルプリンタ1では、モバイルプリンタ側に大きな負担をかけることなく、様々なサイトが提供する画像データを印刷できるようにするため、受信した画像データの解像度を判定する。そして、判定した結果、当該プリンタで印刷できないものであると判定したとき、画像データの送信元に対して、当該プリンタに合った解像度を指定して画像データの再送信を要求する。
【0019】
解像度は、縦方向のライン数とライン上の画素密度(dpi)で定義される。例えば、図2に示すように、ライン数L1〜L6,画素密度R0〜R3の組み合わせで解像度を特定できる。ライン数L1〜L6としては、例えば、100,200,・・・、画素密度R0〜R3としては、例えば、100dpi,200dpi,・・・のように、予め決めておく。
【0020】
そして、解像度を指定して画像データの再送信を要求するには、例えば、図3に示すようなコマンドを使って行う。図3において、イの部分(第1〜3行)は前処理コマンド、ロの部分(第4行)はセッション番号、ハの部分(第5行)は解像度を指定するコマンドで、この場合は、図2の表において、画素密度がR3で、ライン数がL5〜L6である解像度を指定している。そして、ニの部分(第6行)は転送手順確認コマンド、ホの部分(第7〜8行)は終了コマンド、ヘの部分(第9行)は通信の完了を示す。なお、解像度の指定は、図3の場合では、直接、画素密度とライン数で指定したが、図2の解像度の一覧表における、画素密度R0〜R3とライン数L1〜L6の交点を示すコード「1」〜「24」を使って指定してもよい。
【0021】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本発明の実施例にかかるモバイルプリンタ1の画像印刷の処理手順を説明する。この処理は、制御部11で実行される。通信部10で画像データを受信したら、その画像の解像度を判定する(ステップS1)。判定した結果、その画像の解像度が、当該モバイルプリンタ1の印刷解像度に適合するものであるか否かを判別する(ステップS2)。
【0022】
ステップS2で、当該モバイルプリンタ1の印刷解像度に適合しないものであったら、画像データの送信元のアプリケーション・サービス・プロバイダ3に対して、当該モバイルプリンタ1で印刷可能な解像度を指定して、同じ内容の画像データを要求する(ステップS3)。その後、アプリケーション・サービス・プロバイダ3から画像データを受信して(ステップS4)、それを印刷制御部14に渡し、印刷エンジン15で印刷出力させる(ステップS5)。
【0023】
なお、上記実施例では、最初から静止画像を受信して、印刷する場合で説明したが、本発明は、動画の受信中に、動画の一画面を切り出して印刷する場合にも適用できる。その場合は、画面と解像度を指定して静止画像の送信を要求することになる。
【0024】
また、上記実施例では、モバイルプリンタで、通常の画像印刷を行う場合で説明したが、本発明は、視覚障害者でも印刷画像を認識できるようにした点字式のモバイルプリンタにも適用できる。点字式のモバイルプリンタは、通常の印刷と比べて解像度が格段に粗くなるが、送信元に対して、そのプリンタに最適な解像度で画像データを要求することにより、点字形式での最適な印刷が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の概略構成を示すブロック図である。
【図2】解像度の一覧表を示す説明図である。
【図3】解像度を指定して配信要求するコマンドの一例を示す説明図である。
【図4】画像印刷の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1…モバイルプリンタ
2…基地局
3…携帯電話網
4…サーバ
5…インターネット
6…アプリケーション・サービス・プロバイダ
10…通信部
11…制御部
12…操作部
13…記憶部
14…印刷制御部
15…印刷エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介して画像データを受信する手段と、受信した画像データを印刷出力する手段と、受信した画像データの解像度を判定する手段と、受信した画像データの解像度が当該プリンタの解像度に適合しないとき、画像データの送信元に対して、当該プリンタの解像度に適合する解像度を指定して画像データの再送信を要求する手段とを備えたことを特徴とするモバイルプリンタ。
【請求項2】
前記印刷出力を点字で行うことを特徴とする請求項1記載のモバイルプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−30277(P2007−30277A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215150(P2005−215150)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】