説明

ユニット床材

【課題】ユニット床材をいずれの向きに配置しても、隣接する全てのユニット床材に連結することができるユニット床材を提供すること。
【解決手段】平面視略正方形をした本体部と、この本体部の四辺に沿って、本体部の裏面から厚さ方向下向きに突出する雄嵌合部と、この雄嵌合部を本体部の厚さ方向に受け入れて嵌合する雌嵌合部とが設けられたユニット床材であって、本体部の各辺には、各辺の中心線を対称軸にして対称位置の一方に雄嵌合部、他方に雌嵌合部が対をなすように少なくとも一対設けられているとともに、全ての辺の雄嵌合部と雌嵌合部の配列パターンが同一に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダやバルコニーのコンクリート床等の下地床面に敷設されるユニット床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バルコニー、ベランダ等の意匠性を上げる為に、コンクリートや防水シートの上にユニット床材を敷設することが行われている。
すなわち、ユニット床材は、通常、正方形や長方形をしているとともに、雄連結部を隣接する二側縁に有し、この雄連結部と連結可能な形状の雌連結部を残りの二側縁に有し、雄連結部を隣接して配置される別のユニット床材の雌連結部に次々に連結させることにより、下地床面の大きさ及び形状に応じて、必要な枚数のユニット床材を下地床面に敷き並べて、下地床面を覆い隠す化粧床面を形成できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記のユニット床材は、連結時にユニット床材の方向を変えると、連結できない側縁が生じてしまうため、表面に方向性のある模様がなされていても、決まった順序どおりに施工するしかない。そのため、ユニット床材の方向を任意に変えるためには、図8に示すように、雄連結部Aおよび雌連結部Bの配置を異ならせた2種類のユニット床材X,Yを用意する必要がある上、ユニット床材X,Yそれぞれの必要枚数をあらかじめ決めておく必要があり、施工に手間が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−247328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ユニット床材をいずれの向きに配置しても、隣接する全てのユニット床材に連結することができるユニット床材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、平面視略正方形をした本体部と、この本体部の四辺に沿って、本体部の裏面から厚さ方向下向きに突出する雄嵌合部と、この雄嵌合部を本体部の厚さ方向に受け入れて嵌合する雌嵌合部とが設けられたユニット床材であって、本体部の各辺には、各辺の中心線を対称軸にして対称位置の一方に雄嵌合部、他方に雌嵌合部が対をなすように少なくとも一対設けられているとともに、全ての辺の雄嵌合部と雌嵌合部の配列パターンが同一に形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、雌嵌合部が、無負荷状態で本体部側の基端部から先端に向かって水平面に対して下り勾配となる傾斜状態になり、ユニット床材が載置面に載置されたとき雌嵌合部の底面がユニット床材の載置面に沿う可撓性を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、雌嵌合部が側面に雄嵌合部を圧入嵌合可能な切欠きを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、ユニット床材の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン三次元共重合体等のポリスチレン系樹脂などが挙げられるが、成型性、経済性などを考慮するとオレフィン系樹脂が望ましい。
また、必要に応じて、酸化防止剤や紫外線吸収剤光安定剤等の耐候性向上材料、あるいは、顔料、帯電防止剤等、公知の添加剤を加えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、平面視略正方形をした本体部と、この本体部の四辺に沿って、本体部の裏面から厚さ方向下向きに突出する雄嵌合部と、この雄嵌合部を本体部の厚さ方向に受け入れて嵌合する雌嵌合部とが設けられたユニット床材であって、本体部の各辺には、各辺の中心線を対称軸にして対称位置の一方に雄嵌合部、他方に雌嵌合部が対をなすように少なくとも一対設けられているとともに、全ての辺の雄嵌合部と雌嵌合部の配列パターンが同一に形成されているので、ユニット床材をいずれの向きに配置しても、隣接する全てのユニット床材に連結することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、雌嵌合部が、無負荷状態で本体部側の基端部から先端に向かって水平面に対して下り勾配となる傾斜状態になり、ユニット床材が載置面に載置されたとき雌嵌合部の底面がユニット床材の載置面に沿う可撓性を備えているので、請求項1記載の発明の効果に加えて、雄嵌合部を雌嵌合部に上方から嵌合させやすいという利点がある。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、雌嵌合部が側面に雄嵌合部を圧入嵌合可能な切欠きを備えているので、雄嵌合部を雌嵌合部に側方から嵌合させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかるユニット床材の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のユニット床材1aは、合成樹脂製で、平面視略正方形をした表面材2と、表面材2を設置面上に支持する枠体3aとを備えている。
枠体3aは、表面材2と略同一形状をした本体部4と、本体部4の裏面から本体部4の厚さ方向に突出する脚部5と、この本体部4の四辺に沿って、本体部4の裏面から厚さ方向下向きに突出する雄嵌合部6と、この雄嵌合部6を本体部4の厚さ方向に受け入れて嵌合する雌嵌合部70とを備えている。
【0014】
図1に示すように、本体部4の各辺には、雄嵌合部6と雌嵌合部70とが、それぞれ3つずつ同じピッチで設けられている。雄嵌合部6は、本体部4の各辺を中心線D1または中心線D2で二等分したときの各辺の一側に配置され、雌嵌合部70は、各辺の他側に配置されていて、かつ、雄嵌合部6と雌嵌合部70とは、中心線D1または中心線D2を対称軸にして、対称位置の一方に雄嵌合部6が、他方に雌嵌合部70が対をなすように設けられている。
そして、本体部4の全ての辺において、雄嵌合部6と雌嵌合部70の配列パターンが同一となっている。
【0015】
雌嵌合部70は、図2に示すように、本体部4の側壁8の下端に、無負荷状態で側壁8側の基端部から先端に向かって、水平面に対して傾斜角度αが、例えば25度の下り勾配となるように設けられている。
側壁8には、雌嵌合部70の両側に開口する一対の切欠き溝9,9が設けられている。また、側壁8は、切欠き溝9,9で囲まれた部分が、その他の部分に比べて薄肉に形成されていて、雌嵌合部70に、ユニット床材1aが、下地床面等の載置面に載置されたときに、雌嵌合部70の底面73がユニット床材1aの載置面に沿う可撓性を付与している。
【0016】
以上詳細に説明したとおり、本実施形態のユニット床材1aは、雄嵌合部6と雌嵌合部70とが、上記の配列パターンで設けられているので、ユニット床材1aをいずれの向きに配置しても、隣接する全てのユニット床材1aに連結することができる。
また、表面材2が方向性のある模様を有する場合には、ユニット床材1aの連結方向を変えることにより、模様の方向を任意に変化させることができるので、従来のように2種類のユニット床材を用意する必要がなく、施工しやすい。
【0017】
また、雌嵌合部70は、無負荷状態で本体部側の基端部から先端に向かって水平面に対して下り勾配となる傾斜状態になっているので、ユニット床材1a同士を連結する場合に、図3(a)に示すように、雌嵌合部70が雄嵌合部6の下方に入り込むため、雄嵌合部6を雌嵌合部70の上方から嵌合させやすいという利点がある。
また、雌嵌合部70は、ユニット床材1aが載置面に載置されたときに雌嵌合部70の底面73がユニット床材1aの載置面に沿う可撓性を有しているので、載置面に載置されたユニット床材1aの端部が、載置面から浮き上がる恐れがなく、良好な連結状態を保つことができる。
また、一辺に設ける雄嵌合部6と雌嵌合部70の個数を各3個ずつとし、合計6個としたので、十分な連結強度を有しながら容易に連結できる。
【0018】
次に、本発明にかかるユニット床材の第2の実施形態について説明する。
図4に示すように、本実施形態のユニット床材1bは、枠体3bに設けられている雄嵌合部6と雌嵌合部70の配置が異なっていること以外は、第1の実施形態のユニット床材1aと同様の構成であるので、同一構成部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本体部4の各辺には、雄嵌合部6と雌嵌合部70とがそれぞれ3つずつ同じピッチで交互に設けられていて、かつ、雄嵌合部6と雌嵌合部70とは、中心線D1または中心線D2を対称軸にして、対称位置の一方に雄嵌合部6が、他方に雌嵌合部70が対をなすように設けられている。
そして、本体部4の全ての辺において、雄嵌合部6と雌嵌合部70の配列パターンは同一となっている。
本実施形態のユニット床材1bについても、ユニット床材1aと同様の効果が得られる。
【0019】
次に、本発明にかかるユニット床材の第3の実施形態について説明する。
図5,図6に示すように、本実施形態のユニット床材1cは、合成樹脂製で、平面視略正方形をした表面材2と、表面材2を設置面上に支持する枠体3cとを備えている。
枠体3は、表面材2と略同一形状をした本体部4と、本体部4の裏面から本体部4の厚さ方向に突出する脚部5と、この本体部4の四辺に沿って、本体部4の裏面から厚さ方向下向きに突出する雄嵌合部6と、この雄嵌合部6を本体部4の厚さ方向に受け入れて嵌合する雌嵌合部71とを備えている。
【0020】
図5に示すように、本体部4の各辺には、雄嵌合部6と雌嵌合部71とがそれぞれ3つずつ同じピッチで設けられている。雄嵌合部6は、本体部4の各辺を中心線D1または中心線D2で二等分したときの各辺の一側に配置され、雌嵌合部71は、各辺の他側に配置されていて、かつ、雄嵌合部6と雌嵌合部71とは、中心線D1または中心線D2を対称軸にして、対称位置の一方に雄嵌合部6が、他方に雌嵌合部71が対をなすように設けられている。
そして、本体部4の全ての辺において、雄嵌合部6と雌嵌合部71の配列パターンは同一となっている。
【0021】
雌嵌合部71は、本体部4の側壁8から水平方向に突設されており、雌嵌合部71の側面には、雄嵌合部6を圧入嵌合可能な切欠き10が設けられている。
切欠き10は、図7に示すように、雄嵌合部6の挿入方向上流側から下流側に向かって狭くなるように形成されている。具体的には、切欠き10は、上流側開口部11の開口幅W1が、雄嵌合部6の幅方向長さwよりも広く、下流側開口部12の開口幅W2が、雄嵌合部6の幅方向長さwよりも狭くなっている。
さらに、切欠き10の下流側開口部12には、本体部4の端縁に平行な面を有する係止部13が、下流側開口部12の開口端縁の全長にわたって形成されている。
【0022】
本実施形態のユニット床材1c同士を連結する場合には、図7に示すように、雄嵌合部6を雌嵌合部71の切欠き10に向かって押し込むと、切欠き10が押し広げられて、雄嵌合部6が切欠き10の下流側開口部12を通過して、雌嵌合部71に嵌合する。嵌合後は、雄嵌合部6が戻り方向に移動しても、雄嵌合部6の側面61が、係止部13に当接するため、雄嵌合部6の抜けが阻止される。
【0023】
以上詳細に説明したとおり、本実施形態のユニット床材1cは、雄嵌合部6と雌嵌合部71とが、上記の配列パターンで設けられているので、ユニット床材1cをいずれの向きに配置しても、隣接する全てのユニット床材1cに連結することができる。
また、表面材2が方向性のある模様を有する場合には、ユニット床材1cの連結方向を任意に変えることにより、模様の方向を任意に変化させることができるので、従来のように2種類のユニット床材を用意する必要がなく、施工しやすい。
【0024】
また、雌嵌合部71の側面に、雄嵌合部6を圧入嵌合可能な切欠き10が設けられているので、ユニット床材1c同士を連結する場合に、雄嵌合部6を雌嵌合部71の側方から嵌合させればよく、前記のユニット床材1a,1bのように、雌嵌合部71を水平面に対して下り勾配となる傾斜状態に設けなくても、連結作業を容易に行うことができる。
また、切欠き10の下流側開口部12に係止部13が設けられているので、雄嵌合部6と雌嵌合部71との嵌合状態を良好に維持することができる。
【0025】
なお、本発明において、雄嵌合部および雌嵌合部の個数や配列パターンは、上記実施形態に限られず、本体部4の各辺に、各辺の中心線D1または中心線D2を対称軸にして対称位置の一方に雄嵌合部、他方に雌嵌合部が対をなすように少なくとも一対設けられているとともに、全ての辺の配列パターンが同一であればよい。
【0026】
また、雌嵌合部70の水平面からの傾斜角度αは、雄嵌合部6を嵌合させやすく、かつ、ユニット床材が載置面に載置されたときに、雌嵌合部70の底面73がユニット床材の載置面に沿う可撓性を有していれば限定されるものではないが、20度〜30度程度が好適である。
【0027】
また、本発明の雌嵌合部は、上記実施形態の雌嵌合部70、71に限定されるものではなく、雄嵌合部6に嵌合させてユニット床材同士を連結できる構造を有していればよい。
【0028】
また、本実施形態のユニット床材1a〜1cはいずれも、全てが合成樹脂で形成されているが、本発明のユニット床材は、これに限られず、例えば、枠体3a〜3cを合成樹脂で形成し、表面材2に磁器タイル、木材タイル、無機焼結タイルなどを用いてもよい。さらに、表面材2と枠体3a〜3cとは、接着による固定に限られず、ビスなどの係止具で固定してもよい。また、枠体3a〜3cの形状は、上記実施形態に限られず、任意の形状で構わない。
【0029】
また、切欠き溝9,9は、必ずしも必要ではなく、雌嵌合部70に、無負荷状態で本体部側の基端部から先端に向かって水平面に対して下り勾配となる傾斜状態になり、ユニット床材が載置面に載置されたとき雌嵌合部の底面がユニット床材の載置面に沿う可撓性を付与する手段が設けられていればよい。したがって、例えば、側壁8における雌嵌合部70との連接部分を弾性材料で形成してもよいし、雌嵌合部70の側壁8側の基端部を弾性材料で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかるユニット床材の第1の実施形態の底面図である。
【図2】第1の実施形態のユニット床材1aを構成する枠体3aの側面図である。
【図3】雄嵌合部6を雌嵌合部70に嵌合させる手順を示す説明図である。
【図4】本発明にかかるユニット床材の第2の実施形態の底面図である。
【図5】本発明にかかるユニット床材の第3の実施形態の底面図である。
【図6】第3の実施形態のユニット床材1cを構成する枠体3cの側面図である。
【図7】雄嵌合部6を雌嵌合部71に嵌合させる手順を示す説明図である。
【図8】従来のユニット床材の平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1a ユニット床材
1b ユニット床材
1c ユニット床材
4 本体部
6 雄嵌合部
70 雌嵌合部
71 雌嵌合部
10 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略正方形をした本体部と、この本体部の四辺に沿って、本体部の裏面から厚さ方向下向きに突出する雄嵌合部と、この雄嵌合部を本体部の厚さ方向に受け入れて嵌合する雌嵌合部とが設けられたユニット床材であって、
本体部の各辺には、各辺の中心線を対称軸にして対称位置の一方に雄嵌合部、他方に雌嵌合部が対をなすように少なくとも一対設けられているとともに、全ての辺の雄嵌合部と雌嵌合部の配列パターンが同一に形成されていることを特徴とするユニット床材。
【請求項2】
雌嵌合部が、無負荷状態で本体部側の基端部から先端に向かって水平面に対して下り勾配となる傾斜状態になり、ユニット床材が載置面に載置されたとき雌嵌合部の底面がユニット床材の載置面に沿う可撓性を備えている請求項1に記載のユニット床材。
【請求項3】
雌嵌合部が側面に雄嵌合部を圧入嵌合可能な切欠きを備えている請求項1に記載のユニット床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−243126(P2009−243126A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90226(P2008−90226)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】