説明

ユビキノンの分析装置及び分析方法

【課題】ユビキノンを再現性よく分析することができる分析装置及び分析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】試料溶液中のユビキノンを分析する分析装置1は、溶離液を一定流量で送液する送液部2と、前記送液部2から送り出された溶離液の流れに試料溶液を導入する試料導入部3と、前記試料導入部3で試料溶液が導入された試料含有溶離液からユビキノン成分を分離する分離部4と、前記分離部から送り出された目的成分含有溶離液を誘導体化する誘導体化部5と、誘導体を検出する検出部6と、前記検出部6から送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理部7とを備える。前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、前記反応液は塩基性溶液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置及び分析方法に関し、特にユビキノンの分析に用いる分析装置及び分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユビキノンは呼吸鎖の電子伝達系で電子の運搬体として働いており、哺乳動物をはじめとする多くの好気性生物のエネルギー生産において重要な働きを担っている。ユビキノンはベンゾキノン骨格にイソプレン鎖が複数付加した中性脂質の一種であり、イソプレン単位数の違う数種のユビキノンが知られている。これらのうち、イソプレン単位10個のものをユビキノン-10またはコエンザイムQ10(以下、CoQ10という)と呼んでいる。CoQ10は、古くから、うっ血性心不全の薬として用いられているが、ATP(アデノシン三リン酸:adenosine triphosphate)産生に重要である一方で、老化に伴い体内中の濃度が減少することから、近年、健康食品や化粧品に配合され、広く使用されるようになった。
【0003】
このCoQ10をはじめとする生体キノンの分析は、1970年代まで、Craven反応によって行われていた(例えば非特許文献1)。Craven反応は、塩基性条件下で活性メチレン基がキノン骨格に付加するものであるが、補色団となる活性メチレンを使用することにより、可視光領域に新たに吸収帯が生じる(化1)。
【0004】
【化1】

【0005】
従って、Craven反応はキノンに特異的な呈色反応である。ところが、反応性生物が不安定であるため、正確に定量することが不可能であり、さらに、CoQ類縁体、例えばCoQ9、CoQ10などの区別ができないことから、現在ではCraven反応による方法は使われていない。
【0006】
これに対し現在では、高速液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatograph 以下、HPLCという)が広く使用されており、HPLC-UV法(紫外可視分光分析法:Ultraviolet and visible spectrophotometry、例えば、非特許文献2)や、HPLC−ECD法(電子捕獲解離法:Electron Capture Dissociation、例えば、非特許文献3)が使用されている。
【非特許文献1】ELLIOT REDALIEU, INGER M. NILSSON, THOMAS M. FARLEY, KARL FORKERS,「Determination and Levels of Coenzyme Q10 in Human Blood」, ANALYTICAL BIOCHEMISTRY, 1968, 23, p.132−p.140
【非特許文献2】T.OKAMOTO, K.FUKUI, M.NAKAMOTO, T.KISHI, T.OKISHIO, T.YAMAGAMI, N.KANAMORI, H.KISHI, E.HIRAOKA, 「HIGH-PERFORMANCE LIQUID CHROMATOGRAPHY OF COENZYME Q-RELATED COMPOUNDS AND ITS APPLICATION TO BIOLOGICAL MATERIALS」, Journal of Chromatography, 1985, 342, p.35−p.46
【非特許文献3】Satoshi Yamashita, Yoshihiro Yamamoto, 「Simultaneous Detection of Ubiquinol and Ubiquinone in Human Plasma as a Marker of Oxidative Stress」, ANALYTICAL BIOCHEMISTRY, 1997, 250, p.66−p.73
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記非特許文献2及び3によっても、CoQ10に対する検出器の特異性が低いため、目的であるCoQ10以外の成分も検出される。このため、生体試料のように多くの成分を含んだ試料について分析するには、妨害となるピークとの分離が必要である。また、クリームやサプリメントなどの生体試料以外の分析をする場合であっても、妨害成分の影響を受ける場合がある。従って、上記非特許文献2及び3などの従来の分析法では、様々なケースに応じて分析時間を長くしたり、複雑な分析条件を検討しなければならなかった。
【0008】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、ユビキノンを再現性よく分析することができる分析装置及び分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、試料溶液中のユビキノンを分析する分析装置において、溶離液を一定流量で送液する送液部と、前記送液部から送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入部と、前記試料溶液が導入された試料含有溶離液から、ユビキノン成分を分離して目的成分含有溶離液を送り出す分離部と、前記目的成分含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化部と、前記誘導体を検出する検出部と、前記検出部から送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理部とを備え、前記溶離液は活性メチレン基を有する発色剤を含有し、前記反応液は塩基性溶液であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の分析装置において、前記発色剤が、シアノ酢酸エチルであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1記載の分析装置において、前記発色剤が、アセトニトリルであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、妨害成分を含まない試料溶液中のユビキノンを分析する分析装置において、溶離液を一定流量で送液する送液部と、前記送液部から送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入部と、前記試料溶液が導入された試料含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化部と、前記誘導体を検出する検出部と、前記検出部から送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理部とを備え、前記溶離液は活性メチレン基を有する発色剤を含有し、前記反応液は塩基性溶液であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、請求項4記載の分析装置において、分析開始後4分以内に分析を終了することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、試料溶液中のユビキノンを分析する分析方法において、前記送液ステップで送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入ステップと、前記試料溶液が導入された試料含有溶離液から、ユビキノン成分を分離して目的成分含有溶離液を送り出す分離ステップと、前記目的成分含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化ステップと、前記誘導体を検出する検出ステップと、前記検出ステップで送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理ステップとを備え、前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、前記反応液は、塩基性溶液であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、請求項6記載の分析方法において、前記発色剤が、シアノ酢酸エチルであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る発明は、請求項6記載の分析方法において、前記発色剤が、アセトニトリルであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9に係る発明は、妨害成分を含まない試料溶液中のユビキノンを分析する分析方法において、溶離液を一定流量で送液する送液ステップと、前記送液ステップで送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入ステップと、前記試料導入ステップから送り出された試料含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化ステップと、前記誘導体を検出する検出ステップと、前記検出ステップで送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理ステップとを備え、前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、前記反応液は、塩基性溶液であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項10に係る発明は、請求項9記載の分析方法において、分析開始後4分以内に分析を終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の分析装置によれば、Craven反応をHPLCのポストカラム誘導体化法に応用することにより、ユビキノンを再現性よく分析することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の分析装置によれば、Craven反応を確実に起させることにより、分析時間を短縮するとともに、分離条件を容易に検討することができる。
【0021】
また、請求項3に記載の分析装置によれば、HPLCの溶離液として一般的に使用されているアセトニトリルを発色剤に用いることにより、溶離液と同時に発色液として作用させることができるので、簡便に試薬調製をすることができる。
【0022】
また、請求項4に記載の分析装置によれば、他に妨害成分が無い場合には、分離部を省略することができ、正確な分析をより短縮することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の分析装置によれば、4分以内に分析を行なうことができる。
【0024】
また、請求項6に記載の分析方法によれば、Craven反応をHPLCのポストカラム誘導体化法に応用することにより、ユビキノンを再現性よく分析することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の分析方法によれば、Craven反応を確実に起させることにより、分析時間を短縮するとともに、分離条件を容易に検討することができる。
【0026】
また、請求項8に記載の分析方法によれば、HPLCの溶離液として一般的に使用されているアセトニトリルを発色剤に用いることにより、溶離液と同時に発色液として作用させることができるので、簡便に試薬調製をすることができる。
【0027】
また、請求項9に記載の分析方法によれば、他に妨害成分が無い場合には、分離部を省略することができ、正確な分析をより短縮することができる。
【0028】
また、請求項10に記載の分析方法によれば、4分以内に分析を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。まず、本発明に係る分析装置の全体構成について図1を参照して説明する。図1に示す分析装置1は、送液部2、試料導入部3、分離部4、誘導体化部5、検出部6及びデータ処理部7からなり、送液部2、試料導入部3、分離部4、誘導体化部5及び検出部6は、配管でそれぞれ連通され、送液部2から送り出された移動相としての溶離液が検出部6へ到達し得るように構成されている。また、検出部6とデータ処理部7は、電気的に接続されてなり、検出部6が送出する電気信号に基づいて、データ処理部7が解析処理を行なうように構成されている。
【0030】
送液部2は、溶離液槽10と第1のポンプ11とからなり、第1のポンプ11が溶離液槽10中の溶離液を高圧かつ一定流量で送り出すように構成される。溶離液は、発色剤を含有する。発色剤は、上述のように、活性メチレン基を含有するものを使用し、種々のものが考えられるが、例えば、シアノ酢酸エチルが好適に用いられる。また、発色剤の別の例として、HPLCの溶離液として一般的に使用されているアセトニトリルを用いることもできる。従って、アセトニトリルは、溶離液としてだけでなく、同時に発色剤として作用するため、簡便に試薬調整することができる。
【0031】
試料導入部3は、ユビキノンとしてのCoQ10を含む試料溶液を収容した試料溶液槽12と、オートインジェクター13とからなる。オートインジェクター13は、第1のポンプ11で送り出された配管内の溶離液中に試料溶液槽12中の一定体積の試料溶液を自動で導入し得るように構成されている。
【0032】
分離部4は、カラム14とカラム温度を一定に保つためのオーブン15で構成され、試料導入部3で試料溶液が導入された試料含有溶離液からCoQ10成分を分離して、目的成分含有溶離液を送り出す。カラム14は図示しないがカラム管と該カラム管に充填された固定相としての充填剤とからなる。充填剤には、種々のものが考えられるが、例えば、ODS(オクタデシルシリル化シリカゲル)等の逆相充填剤が好適に用いられる。
【0033】
誘導体化部5は、反応液槽20、第2のポンプ21、フィルタ22、ミキサー23及びコイル24とにより構成される。第2のポンプ21は、分離部4から送り出された目的成分含有溶離液中に反応液槽20中の反応液を送り出し、ミキサー23が目的成分含有溶離液と反応液とを混合して、誘導体を生成する。反応液は、塩基性条件下で活性メチレン基がキノン骨格に付加するCraven反応をさせるため、塩基性溶液である必要があり、例えば、水酸化カリウムが好適に用いられる。コイル24は、オーブン15で一定温度に保持され、誘導体がコイル24内を通過し得るように構成されるとともに、検出部6に連通されている。検出部6は、可視光線(400nm〜800nm)の吸収を測定する検出器を用いる。
【0034】
上記のような構成により分析装置1は、全体として、送液部2から試料導入部3及び分離部4を通過して誘導体化部5へ送り出される溶離液に、その過程において試料溶液を導入して、ユビキノン成分を分離した後、Craven反応させて誘導体化することにより、検出部6において試料溶液に含まれるCoQ10を正確に分析し得るように構成されている。
【0035】
次に、本発明の分析装置1の作用及び効果について説明する。分析装置1では、第1のポンプ11が溶離液槽10から溶離液を一定流量で配管へ送出する。第1のポンプ11から送出された溶離液は、まず、オートインジェクター13を通過する。オートインジェクター13は、配管内を流れる溶離液に、CoQ10を含む一定体積の試料溶液を導入する。これにより、溶離液は、試料溶液と混合して試料含有溶離液となる。試料含有溶離液は、配管内を通って、カラム14へと送られる。このカラム14において、試料含有溶離液は、固定相へ保持される程度の違いにより、目的成分であるCoQ10が分離される。次いで、カラム14で分離されたCoQ10を含む目的成分含有溶離液は、誘導体化部5を通過する。誘導体化部5では、第2のポンプ21が反応液槽20から塩基性溶液である反応液を目的成分含有溶離液へ導入する。反応液を導入された目的成分含有溶離液は、ミキサー23で混合され、一定温度に保持されたコイル24内を通過することにより、Craven反応し、誘導体として送出される。このように、目的成分含有溶離液は、コイルで一定時間保持されることにより、反応液と確実にCraven反応することができる。誘導体は、配管内を通って検出部6へ到達し、CoQ10の検出シグナルが検出される。検出部6は、検出シグナルに基いて電気信号を生成し、電気信号は、データ処理部7へと送信される。データ処理部7では、電気信号に基づいて、所定の演算処理を行い、クロマトグラムを作成し、図示しない出力手段へ作成したクロマトグラムを出力、表示する。
【0036】
上記のように分析装置1では、カラム14でユビキノン成分を分離した後の目的成分含有溶離液に反応液を導入し、Craven反応を配管内で進行させることで、反応時間を正確に一定に保ち、再現性のよい分析を可能とするように構成した。これにより、分析装置1では、分析時間を短縮できるとともに、分離条件の検討を容易に行なうことができる。
【0037】
また、分析装置1では、カラム14で他の少量不純物(妨害成分ともいう)を完全に分離するように構成した。従来は、製剤中の薬物を分析する場合、妨害ピークの有無などその特異性を証明するために、抜去品が必要であったが、本発明に係る分析装置1及び分析方法では原理的にその必要がない。従って、分析装置1及び分析方法は、抜去品が入手できない他社製品や生体試料を分析する場合に有用であり、他の分析方法では証明不可能な特異性を証明できることになる。さらに、分析装置1及び分析方法は、カラム14で他の少量不純物を完全に分離するように構成したことにより、様々な生体試料やCoQ10含有製品などの複雑な成分を含む試料についても、正確な分析をより短時間で行なうことができる。
【0038】
また、従来のクロマト分析ではピークの同定には標準品が必要であり、被分析物質は既知物質であることが必須である。つまり分解物や生体中の未知のキノン類の探索はできず、キノンに関する重要な情報を見逃す可能性があるが、Craven反応を配管内で進行させる分析装置1及び分析方法を利用することで、確実にキノン関連化合物を探し出すことができる。
【0039】
以下、具体的な実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
[実験1 基礎実験]
本発明に係る分析装置1及び分析方法でCoQ10の定量分析を行うにあたって、応答量としてのピーク面積を測定するため、以下の基礎実験を行った。
(1)UVスペクトル測定による検出条件の検討
先ず、Craven反応の検出波長を特定するため、Craven反応液と測定対象溶液について、UVスペクトルを測定した。測定方法は以下の通りである。
【0041】
CoQ10のヘキサン溶液(1mg/mL),シアノ酢酸エチル原液及び水酸化カリウムのエタノール溶液(0.5M)を調製し、UVスペクトル測定用の原液とした。UVスペクトル測定用の原液は、2mLのエタノール溶液にCoQ10のヘキサン溶液(1mg/mL)を40μL、シアノ酢酸エチル原液を100μL、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.5M)を200μL入れたCraven反応溶液と、2mLのエタノール溶液にCoQ10のヘキサン溶液(1mg/mL)を40μL入れた測定対象溶液を準備し、それぞれ攪拌後、測定用のセルに入れ、検出波長200〜800のUVスペクトル測定を行った。図2に、そのUVスペクトルを示す。Craven反応溶液では、図2(b)に示すように624nmの可視光領域(青色)に吸収が見られたが、測定対象溶液には図2(a)に示すようにその位置に吸収が見られなかった。従って、Craven反応の検出波長は624nmが適当であることが分かった。
【0042】
(2)時間変化測定
次に、Craven反応に要する時間を把握するため、以下の実験を行った。2mLのエタノール溶液に、CoQ10のヘキサン溶液(1mg/mL)を40μL、シアノ酢酸エチル原液を10μL、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.5M)を200μL入れ、攪拌後、直ちに測定用のセルに入れ、検出波長が624nmの吸収強度の測定を行った。測定は、時間変化測定モード(0〜1800秒)で行った。図3に、検出波長が624nmの吸収強度の時間変化を示す。同図から吸収強度は108秒後に最大となり、その後緩やかに低下した。従って、反応に必要な時間は1〜2分程度であることが分かった。
【0043】
[実験2 Craven反応を利用したCoQ10のHPLCポストカラム誘導体化分析法の特性]
(1)特異性
次に、Craven反応がCoQ10に特異的な呈色反応であることを確認するため、本発明に係る分析装置1及び分析方法を用いて、以下の実験を行った。
【0044】
反応系(+Reaction)として試料溶液たる10μg/mLのCoQ10のエタノール溶液を調製し、溶離液、反応液及びその他の条件は表1に示す分析条件1として、50μLを分析した。
【0045】
【表1】

【0046】
また、比較実験として、無反応系(-Reaction)及びブランクでも分析を行った。無反応系では、溶離液をシアノ酢酸エチルを含まないエタノール溶液とし、反応液を水/エタノール(6:4)混液として、上記試料溶液を分析した。さらに、ブランクとして、CoQ10を50μg注入したエタノール溶液50μLを分析した。
【0047】
図4に、ブランク(図4(a))、CoQ10の無反応系(図4(b))及びCoQ10の反応系(図4(c))での分析結果を示す。(c)に示すように、5.7minにピークが観察されたが、Craven反応無し(a,b)で分析した場合、このピークは観察されなかった。これにより、Craven反応が起こった場合にピークが観察されることが分かり、反応にポジティブな化合物が検出されることが分かった。すなわち、本発明に係る分析装置1及び分析方法を用いることにより、Craven反応の有無で特異性が証明できることが分かった。
【0048】
(2)検出感度及び定量範囲の測定
本発明に係る分析装置1及び分析方法におけるCoQ10の検出感度と定量可能な範囲を調べた。調査方法は、CoQ10のエタノール溶液を表2に示した濃度で調製し、それぞれ50μLを分析した。
【0049】
【表2】

【0050】
図5に検出感度付近の濃度で分析したクロマトグラムを示す。上記測定方法より求めた検出感度(S/N=3)は1ng(1.2pmol)であった。
【0051】
次いで、定量可能な範囲(ダイナミックレンジ)について実験を行った。CoQ10を1ng〜50μgの範囲で分析し、得られたクロマトグラムからピーク面積を測定して検量線を作成し、直線性を調べた結果を図6に示す。CoQ10が1ng〜50μgの範囲では完全に直線であった。このことから、本発明に係る分析装置1及び分析方法は、広いダイナミックレンジを有し、広範囲で定量が可能であることが分かった。
【0052】
(3)再現性
再現性については、表2のNo.6の試料(濃度約1μg/mL)を用いて、50μLを注入量とし、6回繰り返して分析を行い、それぞれのクロマトグラムからピーク面積を測定した。表3に再現性の結果を示す。
【0053】
【表3】

【0054】
6回の分析の相対標準偏差は0.21%であり、高い再現性を有することが分かった。これにより、精度の高い定量が可能であることが分かった。
【0055】
以上の実験結果より、本発明に係る分析装置1及び分析方法を用いることにより、試料溶液中のCoQ10の含有量を測定することが可能であることが証明された。
【0056】
[実験3 応用]
上記実験2の結果に基いて、CoQ10の含有量が未知の試料、すなわちCoQ10含有軟カプセル剤、食品及び生体試料中のCoQ10含有量について、それぞれ分析を行った。尚、CoQ10の定量分析は、各実験において検出強度624nmのクロマトグラムを作成し、該クロマトグラムからピーク面積を測定し、図6に示した検量線によってCoQ10の成分量を求め、試料溶液中のCoQ10の含有量を算出した。
(1)CoQ10含有軟カプセル剤中のCoQ10含量定量
CoQ10含有軟カプセル剤として試料(資生堂製Q10AA Multi,カプセル剤)1個をとり、半分に割り、n−ヘキサンを加えて内容物のみを分散させ、メスフラスコに移し、さらにn−ヘキサンを加えて正確に100mLとした。この液4mLを正確に量り、無水塩化第二鉄のエタノール(99.5)溶液(0.01→500)を加えて正確に20mLとし、試料溶液とした。
【0057】
別途、CoQ10標準品(カネカ・コエンザイムQ10)約50mgを精密に量り、n−ヘキサンに溶かし、正確に100mLとし、標準原液とした。この標準原液を2, 3, 4, 5及び6mLをとり、それぞれにエタノール(99.5)溶液を加えて正確に25mLとし、標準溶液とした。
【0058】
試料溶液及び標準溶液5μLについて、溶離液、反応液及びその他の条件を上記分析条件1(表1)として試験を行った。また、試料溶液について、無反応系(溶離液:エタノール、反応液:水/エタノール(6:4))での分析を行い、特異性を確認した。さらに、カラムを外して同様に分析を行った(Off column分析)。
【0059】
また、本発明に係る分析装置1及び分析方法と、一般的な方法を比較するため、試料溶液について、表4に示す日本薬局方(以下、日局という)の定量条件(日局15)でも試験を行い、両者のクロマトグラムパターンを比較した。
【0060】
【表4】

【0061】
図7にCoQ10含有軟カプセル剤試料の(a)無反応系(-Reaction)及び(b)反応系(+Reaction)における分析結果を示す。その結果、本試料1個中のCoQ10量は、52.3mgであった。図7(a)でピークが観察されなかったことから、本試料中に他の検出成分はないことが分かり、また、図7(b)においてCoQ10のみ観察されたことから、本発明に係る分析装置1及び分析方法においては、CoQ10以外の成分は検出されていないことが分かった。このため、さらにカラムを外して同様に定量分析を行い、その結果を図8に示す。カラムを外して行った本試料1個中のCoQ10の定量結果は、52.3mgであり、カラムをつけて行った実験結果と同じであった。このことから、他に妨害成分が無い場合には、カラムを外して分析を行うことが可能であり、その場合の分析時間は、約4分に短縮することができることが分かった。
【0062】
また、図9に、日局の分析条件で分析したクロマトグラムを示す。CoQ10のピークにショルダーピーク(shoulder peak)が重なっていることから、ピーク面積を正確に測定することができないので、日局の分析条件では、25分の分析でも正確に定量できないことが分かる。このように日局の分析条件では、更なるHPLC条件の検討が必要であり、この検討にも多くの時間が必要となる。これに対し、上記したように本発明に係る分析装置1及び分析方法によれば、妨害ピークはなく正確に定量することができ、さらにカプセル剤の分析は最短4分程度で終了することができる。
【0063】
(2)食品中のキノン関連化合物の分析
食品試料として、1)精米(房総産コシヒカリ、2005年産)、2)胚芽米(房総産コシヒカリ、2005年産)を使用して分析を行った。
【0064】
米試料の適量を乳鉢ですりつぶし、0.2gをとり、メタノール/1−プロパノール/ヘキサン(3:2:1)混液2mLを加えて攪拌し、超音波洗浄器で3分間処理した。これを遠心分離し(2500rpm×5min)、上静をとった。残渣には再びエタノール/1−プロパノール/ヘキサン(3:2:1)混液2mLを加えて上記と同様に処理し、上静をとり、1回目の操作で得られた上静と合せた。この液をアルゴンガスで揮発させ、さらに減圧下溶媒を留去し、1.2mMの塩化第二鉄(FeCl3)のエタノール溶液0.2mLを加えて攪拌し、試料溶液とした。
【0065】
別にCoQ10標準品を用いて、CoQ10の0.5, 2, 4, 6および10μg/mLのエタノール溶液を調整し、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液20μLについて、溶離液、反応液及びその他の条件は以下の表5に示す分析条件2で分析した。
【0066】
【表5】

【0067】
また、試料溶液について、無反応系[溶離液:10mM シアノ酢酸エチルのエタノール溶液、反応液:水/エタノール(6:4)]での分析を行い、特異性を確認した。
【0068】
図10に、上記各米試料のクロマトグラムを示す。米をはじめとする穀物類ではCoQ9が主キノン成分であった。また、(a)コシヒカリ精米及び(b)コシヒカリ胚芽米では無反応系でCoQ9及びCoQ10の位置にピークはなく、正確に定量されていることが分かった。また、マイナー成分としてCoQ10も含まれていることが分かった。CoQ9の直前のピークは、Craven反応の有無で強度が変化しなかったことから、反応とは関係の無い成分(青〜緑の色素)由来であることが分かった。表6に、上記各米試料中のCoQ9定量結果を示す。この結果から、精米より胚芽米の方がより多くのCoQ9を含むことが分かった。
【0069】
【表6】

【0070】
(3)生体試料中のキノン関連化合物の分析
生体試料として、牛血漿と牛肝臓の試料を使用して、各牛組織に含まれるキノン成分の分析を行った。牛血漿については、まず、牛血漿0.5mLをとり、メタノール2.5mL及びヘキサン5mLを加えて攪拌し、超音波洗浄器で3分間処理した。この処理後の液を遠心分離(2500rpm×5min)し、上層をとった。下層には再びヘキサン2mLを加えて同様に処理し、上層をとり、1回目の操作で得られた上層と合わせた。この液をアルゴンガスで揮発させ、さらに減圧下溶媒を留去し、1.2mMの塩化第二鉄(FeCl3)のエタノール溶液0.1mLを加えて攪拌し、試料溶液とした。
【0071】
牛肝臓については、牛肝臓0.04gをとり、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)0.5mLを加えてホモジナイズし、メタノール1mLおよびヘキサン2mLを加えて攪拌し超音波洗浄器で3分間処理した。この処理後の液を、遠心分離(2500rpm×5min.)し、上層をとった。下層にはヘキサン2mLを加えて同様に処理し、上層をとり、1回目の操作で得られた上層と合わせた。この液をアルゴンガスで揮発させ、さらに減圧下溶媒を留去し、1.2mM塩化第二鉄(FeCl3)のエタノール溶液0.2mLを加えて攪拌し、試料溶液とした。
【0072】
別にCoQ10標準品を用いて、CoQ10の0.5, 2, 4, 6および10μg/mLのエタノール溶液を調製し、標準溶液とした。試料溶液および標準溶液20μLについて、溶離液、反応液及びその他の条件は分析条件2(表5)で分析した。
【0073】
また、上記試料溶液について、無反応系[溶離液:100mM シアノ酢酸エチルのエタノール溶液、反応液:水/エタノール(6:4)]での分析を行い特異性を確認した。
【0074】
図11に上記各試料のクロマトグラムを示す。牛血漿及び牛肝臓では、CoQ10が主要なキノン成分で、CoQ9は微量に存在していることが分かった。いずれのクロマトグラムにおいても、妨害成分はなく、下段のCraven反応無しの分析でピークが観察されなかったことから、分析ではCoQのみが検出していることが確認された。表7に上記試料中のCoQ9及びCoQ10定量結果を示す。
【0075】
【表7】

【0076】
また、本発明に係る分析装置1及び分析方法と先行技術との比較のため、図12に、日局の方法(表4 日局15)で行ったクロマトグラムを示す。牛血漿サンプルでは妨害成分が多く、CoQ10は正確に定量できないことがわかる。また、CoQ10以外のピークが多いため、分析終了時間を定めることができず、少なくとも25分以上必要であることがわかった。牛肝臓サンプルもCoQ10にショルダーピークが重なっており、ピーク面積を正確に測定することができないことがわかった。特に本発明に係る分析装置1及び分析方法で確認された微量のCoQ9まで同定することは困難で、日局の方法ではCoQに関する重要な情報を見逃す可能性が高いといえる。
【0077】
[実験4 発色剤としてのアセトニトリルの有用性]
次に、シアノ酢酸エチルに代わる発色剤としてアセトニトリルの有用性について確認するため、以下の実験を行った。
(1)検出感度及び定量範囲の測定
先ず、Craven反応の検出波長を特定するため、Craven反応液と測定対象溶液について、UVスペクトルを測定した。測定方法は以下の通りである。
【0078】
CoQ10のエタノール溶液を表8に示す濃度で調製し、それぞれ10μLを表9に示した分析条件3で分析した。尚、UV検出との比較のため、多波長検出器の流路の次に紫外吸光検出器を配置した。
【0079】
【表8】

【0080】
【表9】

【0081】
図13に代表的なクロマトグラムと、その際得られたピークのUVスペクトルを示す。また、検出感度付近の濃度で分析したクロマトグラムを図14に示す。図13(b)より得られた極大波長は624nmではなかったが、これはアセトニトリルとシアノ酢酸エチルとで構造が異なっているためである。従って、発色剤としてアセトニトリルを用いた本実施例から、検出波長を550nmとした。本実施例より求めた検出感度(S/N=3)は2ng(2.3pmol)であった。
【0082】
次いで、定量可能な範囲(ダイナミックレンジ)について実験を行った。CoQ10を2ng〜10μgの範囲で分析し、得られたクロマトグラムからピーク面積を測定して検量線を作成し、直線性を調べた結果を図15に示す。CoQ10が2ng〜10μgの範囲では直線であった。このことから、本実施例に係る分析装置1及び分析方法は、広いダイナミックレンジを持ち、広範囲で定量が可能であることが分かった。
【0083】
(2)再現性
再現性については、表8のNo.7(濃度200ng/mL)を用いて、10μL(注入量200ng)を注入量とし、5回繰り返して分析を行い、それぞれのクロマトグラムからピーク面積を測定した。表10に再現性の結果を示す。
【0084】
【表10】

【0085】
5回の分析の相対標準偏差は、表10に示すとおり0.86%であり、高い再現性を有することが分かった。以上より、発色剤としてアセトニトリルを用いることにより、精度の高い定量が可能であることが分かった。
【0086】
本実験結果より、CoQ10の含有量が未知の試料溶液についても、本発明に係る分析装置1及び分析方法を用い、発色剤及び溶離液としてアセトニトリルを使用して得られたクロマトグラムからピーク面積を測定し、図15の検量線によってCoQ10の成分量を求め、試料溶液中のCoQ10の含有量を算出することが可能であることが証明された。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態に掛かる分析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】UVスペクトルを示す図であり、(a)測定対象溶液、(b)Craven反応液における結果である。
【図3】624nmの吸収強度の時間変化を示す図である。
【図4】CoQ10の分析結果を示す図であり、(a)ブランク、(b)無反応系、(c)反応系における結果である。
【図5】検出感度付近の濃度で分析したクロマトグラムであり、CoQ10の注入量が、(a)1ng、(b)2.5ng、(c)5ng、(d)10ngの場合の結果である。
【図6】定量可能な範囲における検量線である。
【図7】CoQ10含有軟カプセル剤試料の分析結果を示す図であり、(a)無反応系、(b)反応系における結果である。
【図8】カラムを外して行ったCoQ10含有軟カプセル剤試料の分析結果を示す図であり、(a)無反応系、(b)反応系における結果である。
【図9】日局の分析条件で分析したクロマトグラムである。
【図10】食品における分析結果を示すクロマトグラムであり、(a)コシヒカリ精米、(b)コシヒカリ胚芽米における結果である。
【図11】生体試料における分析結果を示すクロマトグラムであり、(a)牛血漿、(b)牛肝臓における結果である。
【図12】日局の分析条件で分析したクロマトグラムであり、(a)牛血漿、(b)牛肝臓における結果である。
【図13】発色剤としてアセトニトリルを使用した際の分析結果を示す図であり、(a)UVスペクトル、(b)における結果である。
【図14】検出感度付近の濃度で分析したクロマトグラムである。
【図15】定量可能な範囲における検量線である。
【符号の説明】
【0088】
1 分析装置
2 送液部
3 試料導入部
4 分離部
5 誘導体化部
6 検出部
7 データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料溶液中のユビキノンを分析する分析装置において、
溶離液を一定流量で送液する送液部と、
前記送液部から送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入部と、
前記試料溶液が導入された試料含有溶離液から、ユビキノン成分を分離して目的成分含有溶離液を送り出す分離部と、
前記目的成分含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化部と、
前記誘導体を検出する検出部と、
前記検出部から送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理部とを備え、
前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、
前記反応液は、塩基性溶液である
ことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記発色剤が、シアノ酢酸エチルであることを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記発色剤が、アセトニトリルであることを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項4】
妨害成分を含まない試料溶液中のユビキノンを分析する分析装置において、
溶離液を一定流量で送液する送液部と、
前記送液部から送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入部と、
前記試料溶液が導入された試料含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化部と、
前記誘導体を検出する検出部と、
前記検出部から送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理部とを備え、
前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、
前記反応液は、塩基性溶液であることを特徴とする分析装置。
【請求項5】
分析開始後4分以内に分析を終了することを特徴とする請求項4記載の分析装置。
【請求項6】
試料溶液中のユビキノンを分析する分析方法において、
溶離液を一定流量で送液する送液ステップと、
前記送液ステップで送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入ステップと、
前記試料溶液が導入された試料含有溶離液から、ユビキノン成分を分離して目的成分含有溶離液を送り出す分離ステップと、
前記目的成分含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化ステップと、
前記誘導体を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理ステップとを備え、
前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、
前記反応液は、塩基性溶液である
ことを特徴とする分析方法。
【請求項7】
前記発色剤が、シアノ酢酸エチルであることを特徴とする請求項6記載の分析方法。
【請求項8】
前記発色剤が、アセトニトリルであることを特徴とする請求項6記載の分析方法。
【請求項9】
妨害成分を含まない試料溶液中のユビキノンを分析する分析方法において、
溶離液を一定流量で送液する送液ステップと、
前記送液ステップで送り出された前記溶離液の流れに前記試料溶液を導入する試料導入ステップと、
前記試料導入ステップから送り出された試料含有溶離液に反応液を導入して、誘導体を生成する誘導体化ステップと、
前記誘導体を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで送出された電気信号に基づいて処理を行なうデータ処理ステップとを備え、
前記溶離液は、活性メチレン基を有する発色剤を含有し、
前記反応液は、塩基性溶液であることを特徴とする分析方法。
【請求項10】
分析開始後4分以内に分析を終了することを特徴とする請求項9記載の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−209150(P2008−209150A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44279(P2007−44279)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】