説明

ユークリッド空間リード−マラー符号の軟判定復号を実行する方法

【課題】尤度計算を用いて最適分解変数iを選択することによるリード−マラー(RM)符号の符号語の軟判定復号を提供する。
【解決手段】符号RM(r,m)が、{(u,uv)|u∈RM(r,m−1)かつv∈RM(r−1,m−1)}として表される。ここで、uvはu及びvの成分ごとの乗算を表し、(u,uv)=(r,r)である。受信した符号語は、最適分解変数に基づいてr=u及びr=uvに分離され、rは、最適分解変数に従って、RM(r−1,m−1)復号器を用いて復号され、復号されたv及び復号されたビットの第1の集合が得られる。復号されたvは、(r+rv)/2を用いてrと結合され、(r+rv)/2は、RM(r,m−1)復号器を用いて復号され、復号されたu及び復号されたビットの第2の集合が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包括的には誤り訂正コーディングに関し、より詳細には、受信信号から軟情報を復号することに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワーク
光ネットワーク等の高速通信ネットワークにおいて、レイテンシが主な課題である。これによって、レイテンシと、実施の複雑度と、チャネル符号の選択において重要なコーディング利得との間にトレードオフが生じる。多くの場合に、いかなるコーディング技法の使用も、復号及び符号化の複雑度の追加、並びにレイテンシの増大という犠牲を払うことでしか利得をもたらすことができない。十分な利得をもたらす一方で、符号化及び復号の複雑度を低く保つコーディング技法を見つけることが重要である。
【0003】
リード−マラー(RM)符号
利用可能な帯域幅をより効率的に利用するために、光ファイバー通信システムにおいてポーラー符号(米国特許第7,756,424号「Optical CDMA communications system using OTDL device」を参照されたい)が光学的に用いられてきた。リード−マラー符号、すなわちポーラー符号のサブセットを用いて、シャノン限界によって予測される容量限界に近い性能を達成することができる。リード−マラー復号器は線形誤り訂正符号を用いる。リード−マラー(RM)符号は、局所的に検査可能な符号及び局所的に復号可能な符号の分類に属す。RM符号は、通信用途における確率的検査可能証明の設計において有用である。リード−マラー符号の特殊な例には、アダマール符号及びウォルシュ−アダマール符号が含まれる。
【0004】
RM符号は、特殊な構造を有する多項式に基づく明快な構成を有する。より高次のRM符号を、より低次のRM符号から再帰的に構成することができる。これによって、リード−ソロモン符号等の、同様の性能を有する他の誤り訂正符号よりも数千倍少ない複雑度を有する復号プロセスが可能になる。
【0005】
軟判定復号
当該技術分野において既知であるように、硬判定復号器は、通常0又は1の、可能な離散値の固定の集合を有するデータを復号する。
【0006】
軟判定復号器は、誤り訂正符号を用いて符号化されたデータを復号し、データは0から1の範囲の連続値をとる。追加情報は、各入力データポイントの信頼性(確率)を示し、元のデータのより良好な推定値を形成するのに用いられる。したがって、軟判定復号器は通常、破損したデータが存在するときに、硬判定復号器よりも良好に機能する。
【0007】
2つのタイプの軟判定復号器が存在する。第1に、最大尤度(ML)復号器が、特定の符号語がチャネルを介して送信された確率を求める。第2に、最大事後確率(MAP)復号器が、情報ビットがチャネルを介して送信される符号語を生成するのに用いられた確率を求める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既存の方式よりも優れた性能を有するリード−マラーの軟情報を復号する方法が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の実施の形態は、既存の方式よりも優れた性能を示すリード−マラーの軟情報を復号する方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、優れた性能を有するユークリッド空間リード−マラー(RM)符号の符号語の軟判定復号を実行する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の1つの実施の形態による、最適分解変数を見つける方法の概略図である。
【図2】この発明の1つの実施の形態による、リード−マラー符号の復号方法の概略図である。
【図3】この発明の1つの実施の形態による、リード−マラー符号の復号方法の別の概略図である。
【図4】この発明の別の実施の形態による、リード−マラー符号の復号方法の概略図である。
【図5】この発明の別の実施の形態による、リード−マラー符号の復号方法の別の概略図である。
【図6】この発明の別の実施の形態による、リード−マラー符号のMAP復号方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施の形態は、ユークリッド空間リード−マラー(RM)符号の軟判定復号を実行する方法を提供する。図1〜図6に示す本方法及び手順のステップは、当該技術分野において既知のメモリ及び入力/出力インターフェースに接続されたプロセッサにおいて実行することができる。
【0013】
次数(order)r及び長さ2の符号語の符号RM(r,m)は、m個の変数を有し、項が次数(degree)rの単項式からなるブール多項式の係数に関連付けられた全ての二値ベクトルの集合である。単項式は、変数の累乗の積であり、すなわち正式には、変数の有限数の乗算によって得られた任意の値である。
【0014】
そのような符号は、
【0015】
【数1】

【0016】
個の有効な符号語及び最小ハミング距離2m−rを有する。マッピング
【0017】
【数2】

【0018】
及び
【0019】
【数3】

【0020】
を用いて、例えば二相位相変調(BPSK)シンボルを用いてRM(r,m)符号語を送信する。関数
【0021】
【数4】

【0022】
は二項係数であり、すなわちn個の要素からなるより大きな集合からk個の要素からなる集合を構成する方法の数である。
【0023】
最大尤度復号
一次リード−マラー符号の最大尤度復号及びアダマール変換
RM(1,m)符号の多項式は、1+x+…+xである。RM(1,m)符号は、符号語のそれぞれが、BPSKマッピング後に、アダマール行列
【0024】
【数5】

【0025】
又は
【0026】
【数6】

【0027】
における行となるという属性を有する。このため、符号化器は入力ビットシーケンスb,b,…,bm+1を以下のようにマッピングする。符号化器はまず、m個の下位ビットb,…,bm+1を検査し、この2進数の10進数表現を計算する。これによってインデックス
【0028】
【数7】

【0029】
がもたらされる。次に、符号化器は、b=0の場合、
【0030】
【数8】

【0031】
のi番目の行を送信するか、又はb=1の場合、
【0032】
【数9】

【0033】
のi番目の行を送信する。
【0034】
復号器は、2個の座標を有する受信ベクトルを検査する。m個の変数は、直交部分空間を形成し、アダマール変換によって検出することができ、定数1(constant one)の存在によりアダマール変換の結果が無効になる。
【0035】
Yを受信ベクトルとし、
【0036】
【数10】

【0037】
をサイズ2×2のアダマール行列とすると、復号器は、尤度
【0038】
【数11】

【0039】
を求める。受信ベクトルYは送信される符号語であり、ゼロ平均及び雑音分散σを有する加法的白色ガウス雑音によって破損されているものと仮定する。
【0040】
を尤度Lのi番目の要素の値とする。このとき、復号器は
【0041】
【数12】

【0042】
を求める。ここで、関数arg maxは、最大値を得るインデックスを返す。Lの符号によって
【0043】
【数13】

【0044】
が与えられる。インデックス
【0045】
【数14】

【0046】
の二進展開は、いずれの変数が存在するかを示し、このため
【0047】
【数15】

【0048】
から
【0049】
【数16】

【0050】
の値の推定値を与える。
【0051】
RM(m,m)を復号する最大尤度復号
符号RM(m,m)の生成行列Gは最大階数であり、2つの要素(GF(2))のガロア域において反転可能である。このため、復号器はGの行列反転を実行してG−1を得て、2を法とした算術において、閾値演算後の受信ベクトルをG−1と乗算する。
【0052】
より高次のリード−マラー符号の最大尤度復号及び再帰的分解
RM(1,m)符号及びRM(m,m)符号を復号する上記の2つの手順を所与として、次に、一般的なRM(r,m)符号を再帰的に復号することができる。RM(r,m)符号は、よく知られているプロトキン分解を介して、RM(r−1,m−1)符号及びRM(r,m−1)符号に分解することができることに留意する。
【0053】
このため、BPSKマッピングの後、RM(r,m)をRM(r,m)={(u,uv)|u∈RM(r,m−1)かつv∈RM(r−1,m−1)}として表すことができる。ここで、uvはu及びvの成分ごとの乗算を表す。このため、分解変数x(j=1,2,…,m)の選択に依拠して、RM(r,m)の符号語は適切な順列を適用した後、以下のように書くことができる。
【0054】
【数17】

【0055】
ここで、上付き文字jは、変数xがプロトキン分解において用いられたことを表すのに用いられる。u及びuを用いて、r及びrのi番目の座標を表す。uの対数尤度比(LLR)、LLR(u)をrから求めることができる。同様に、uの対数尤度比(LLR)、LLR(u)をrから求めることができる。v=u(u)であるので、vの対数尤度比LLR(v)は、LLR(u)及びLLR(u)に関して以下のように表すことができる。
【0056】
【数18】

【0057】
LLR(v)を計算する手順を有しているので、vの復号を実行することができる。これは、vと同じLLR値を有する受信ベクトルrを生成することによって達成される。このため、rは受信符号語に対応し、vが送信されたものと仮定する。これは、i=1,2,…,2m−1についてr=LLR(v/2を設定することによって行われる。RM(r−1,m−1)復号器を有すると仮定し、この復号器にrを通してvを得る。
【0058】
プロトキン分解を実行するのに用いることができるm個の変数が存在すると同時に、
【0059】
【数19】

【0060】
となるような最適分解変数
【0061】
【数20】

【0062】
が存在する。ここで、関数arg maxは、最大絶対値を返す。
【0063】
【数21】

【0064】
の上記の選択によってvを正しく検出する確率が最大になる。
【0065】
結果としてML復号器のより低い性能をもたらす一変形として、
【0066】
【数22】

【0067】
を用いることが可能である。ここで、関数arg max minは、vの絶対値(|・|)の最大インデックスj及び最小インデックスiを返す。
【0068】
従来技術は、分解変数のLLRを求めず、絶対値(abs)関数を用いず、最大値を見つけることを用いない。最大尤度(ML)復号器を用いるか又は最大事後確率(MAP)復号器を用いるかに依拠して用いることができる2つの変形が存在する。max関数とabs関数との間に「sum」関数を挿入するか、max関数とabs関数との間に「min」関数を挿入することができる。
【0069】
図1は、最適分解変数101を求める手順100の概略図である。例えば、符号RM(2,3)102について、符号の多項式構成において3つの変数が用いられている。これは、3つの可能な分解変数x、x、xが存在することを意味する。
【0070】
手順は、各分解変数に対応するビットy〜yを再配置して(110)、j=1、2、及び3についてu及びuを得る。
【0071】
分解変数のそれぞれについて、手順はLLR vを求める。abs関数131を全ての計算されたvに適用し、次にsum関数又はmin関数151をインデックスiに適用する。このとき、arg max関数141によって求められる最も大きな値に対応する分解変数インデックスjが最適分解変数101である。
【0072】
ここでvが得られるので、rを計算することによってvをrにおいて補償することができる。RM(r,m−1)復号器への入力を(r+r)/2として形成することができる。
【0073】
次に、RM(r−1,m−1)復号器を用いてvを復号することができる。vが復号されると、uについて2つの観測値が存在する。一方はrについてのものであり、一方はrvに関するものである。ガウス分布チャネルについて、2つの観測値を平均化することができ、RM(r,m−1)復号器を用いてuを復号することができる。このプロセスは再帰的に適用することができる。
【0074】
図2は、このプロセスを概略的に示している。図1に示す手順に従って符号RM(r,m)について最適分解変数が求められた(100)後、r202に対応するビットの半分が、RM(r−1,m−1)復号器203を用いて復号される。符号次数rに依拠して、RM(r−1,m−1)203は、部分符号rを復号するための更なる再帰を要求することができるか、又はr−1=1(すなわちr=2)である場合、アダマール変換を用いて部分符号rを復号することができる。
【0075】
RM(r−1,m−1)復号器は復号されたv204及び対応する復号されていないビットの第1の集合を返す。復号されたvを用いて、(r+r)/2 205を求めることによってuを推定する。RM(r,m−1)復号器206を用いて計算ベクトルが復号される。r=m−1の場合、部分符号(r+r)/2を行列反転を用いて復号することができる。そうでない場合、更なる再帰を用いて部分符号を復号する。RM(r,m−1)復号器は、復号されたビットu207及び対応する復号されていないビットの第2の集合を返す。
【0076】
図3は、手順のより詳細な概略図を示している。まず、手順は、RM(r,m)をプロトキン分解、及び上述した分解変数
【0077】
【数23】

【0078】
の選択を用いてRM(r−1,m−1)及びRM(r,m−1)に分解することによって最適分解変数
【0079】
【数24】

【0080】
101を求める。
【0081】
次に、手順はrが現在復号可能であるか否かを判断する(310)。RM(r−1,m−1)に対応するプロトキン分解からの入力rは、(r−1=1)である場合、この時点で復号可能である。
【0082】
真である場合、アダマール変換に基づくRM(1,m−1)復号器の最大尤度復号器を用い、入力rを用いてvを復号する(311)。
【0083】
r−1>1である場合、このときはRM(r−1,m−1)及び入力rに対してプロトキン分解が再帰される(312)。
【0084】
が得られると、RM(r,m−1)復号器への入力の生成に進むことができる。これは(r+r)/2 320として生成される。
【0085】
RM(r,m−1)符号がr=m−1の条件を満たす場合、入力(r+r)/2を復号して、上述したRM(m−1,m−1)符号の生成行列を用いてuを生成することができる。
【0086】
r<m−1であるか否かをチェックする(330)。真である場合、このときはRM(r,m−1)符号及び入力(r+r)/2に対して再びプロトキン分解が実行される(331)。そうでない場合、行列反転を用いて復号する(332)。
【0087】
最適分解を用いた最大尤度リスト復号
最大尤度復号は通常、受信信号に最も類似した符号語及び対応する復号されていないビットパターンを見つける。いくつかの用途では、単一の類似した符号語のみでなく、複数の符号語も見つけることが有用である可能性がある。
【0088】
これを行うために、図4に示されているように、RM(r−1,m−1)403の復号器は、複数の最も近い符号語からなる小さな集合を求める。例えば、RM(1,m)の場合、これは以下によって行うことができる。
【0089】
図1に従って最適分解変数が求められた(101)後、r402に対応するビットの半分が、RM(r−1,m−1)復号器403を用いて復号される。rの値に依拠して、RM(r−1,m−1)は部分符号rを復号するための更なる再帰を要求することができるか、又はr−1=1(すなわちr=2)の場合、リストアダマール変換を用いて部分符号rを復号することができる。RM(r−1,m−1)復号器は、複数の復号されたv404及び対応する復号されていないビットを返す。
【0090】
復号されたvを用いて、(r+r)/2 405を計算することによってuを推定する。推定値のそれぞれについて(全てのiにわたる反復)、RM(r,m−1)復号器406を用いて計算ベクトルが復号される。r=m−1の場合、行列反転を用いて部分符号(r+r)/2を復号することができる。そうでない場合、更なる再帰を用いて部分符号を復号する。RM(r,m−1)復号器が復号されたu407及び対応する復号されていないビットを返す。
【0091】
リストアダマール変換
Yを受信ベクトルとし、
【0092】
【数25】

【0093】
をアダマール行列とする。復号器は尤度
【0094】
【数26】

【0095】
を求める。LをLのi番目の要素の値とすると、復号器は、Lの値の集合に対応する複数の
【0096】
【数27】

【0097】
を見つける。各
【0098】
【数28】

【0099】
について、
【0100】
【数29】

【0101】
の符号(sign)が
【0102】
【数30】

【0103】
を与える。インデックス
【0104】
【数31】

【0105】
はいずれの変数が存在するかを示し、したがって
【0106】
【数32】

【0107】
から
【0108】
【数33】

【0109】
の値を示す。各
【0110】
【数34】

【0111】
の全てのビットパターンは符号語に対応する。次に、これらを用いてv、v等を見つけることができる。
【0112】
各vについて(r+r)/2が求められ、RM(r,m−1)復号器に渡される。これらのベクトルのそれぞれを用いて対応するビット、すなわちuベクトルを復号することができる。
【0113】
図5は、手順のより詳細な概略図を示している。手順は図3に非常に類似している。例外は、r=2のとき、リストアダマール復号器を用いていくつかの最も近いvを見つけることである。複数のvが返されるので、手順は複数の(r+r)/2 520を求め、手順はこれらのベクトルを用いて全てのiにわたってループし(530)、複数のuを復号する。
【0114】
最大事後確率(MAP)復号
従来技術では、MAPは符号語に対してのみ動作し、個々のビットに対しては動作しない。この発明の実施の形態は、ビットレベルのMAP復号の方法を提供する。RM(1,m)及びRM(m,m)について正確なMAP復号器が提供され、より高次のRM符号について近似MAP復号器が提供される。加えて、リスト最大尤度(ML)復号器に基づいた高速MAP復号器も提供する。
【0115】
RM(1,m)のためのMAP復号器
rを受信ビットとし、σを雑音分散とし、
【0116】
【数35】

【0117】
をアダマール行列とする。このとき、以下の擬似コードを用いてビットの対数尤度LLRbitを求めることができる。
【0118】
【数36】

【0119】
ここでAは全ての二値ベクトルの行列である。
【0120】
RM(m,m)のMAP復号器
rを受信ビットとし、σを雑音分散とし、c(i=1,2,…,2)を全ての二値ベクトルとする。まず、r及びσを所与として全てのcの尤度を求める。これは確率理論に基づいてよく知られている。その後、2を法としてc=Gbであることに留意する。ここでGは生成多項式であり、bは復号されていないビットである。2を法とした算術でGの反転を求めることは容易である。cの尤度及びGの反転を用いて、次に各ビットのMAPを求めることができる。
【0121】
より高次のリード−マラー符号のMAP復号器
図6は、より高次のRM符号のための復号方法を示している。この方法はML復号器に類似している。以下の差異を強調する。
【0122】
最適分解変数の最適値を求める(101)ために、以下を用いる。
【0123】
【数37】

【0124】
RM(r−1,m−1)603復号器はrに対応する復号されていないビットのLLR604のみを返す。
【0125】
本方法は、ビットのLLRを用いて、符号語が結果としてrをもたらす尤度を求める。実質的な確率、例えば0.01より高い確率を有する全ての符号語を検討する。これらの符号語はビットごとにrと乗算され、残りのビットを復号するのに用いることができる補償された受信符号語を与える。
【0126】
加えて、r605を用いて残りのビットを復号することができる。RM(r,m−1)606の復号器は可能性があるごとに呼び出される。明確にするために、RM(r,m−1)は少なくとも2回呼び出され、多くの符号語が実質的な確率を有する場合、はるかに多くの回数呼び出すことができる。
【0127】
各再帰的呼び出しのLLRによって、特定の補償された符号語又はrに対応するビットのLLRが求められる。
【0128】
ビットの全てのLLRが結合される(607)。まず、実質的な確率を有する各補償された符号語の確率を用いて、重み付けされた合計を用いてビットのLLRを求めることができる。最後に、rからのビットのLLRが、補償された符号語からのLLRに加えられる。
【0129】
MLリスト復号器を用いたMAP復号器
より高速なMAP復号器のために、図4について上述したMLリスト復号器を用いることが可能である。リスト復号器は、観測信号を所与として尤度が最も高い少数の符号語を返す。ここで、各符号語は入力ビットパターンに対応する。少数の尤度が高い符号語を用いて、少数の尤度が高いビットパターンが特定される。次に、これらの尤度が高いビットパターンの重み付けされた合計を検討することによって近似MAPを計算することができる。
【0130】
この符号は、光ファイバー通信ネットワーク、無線通信ネットワーク、及び有線通信ネットワークにおいて用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユークリッド空間リード−マラー(RM)符号の符号語の軟判定復号を実行する方法であって、次数r及び長さ2の符号語の符号RM(r,m)は、m個の変数を有し、項が次数rの単項式からなるブール多項式の係数に関連付けられた全ての二値ベクトルの集合であり、該方法は、
尤度計算を用いて最適分解変数iを選択するステップと、
符号RM(r,m)を{(u,uv)|u∈RM(r,m−1)かつv∈RM(r−1,m−1)}として表すステップであって、ここで、uvはu及びvの成分ごとの乗算を表し、(u,uv)=(r,r)であるものと、
受信した符号語を、前記最適分解変数に基づいてr=u及びr=uvに分離するステップと、
前記最適分解変数に従って、RM(r−1,m−1)復号器を用いてrを復号するステップであって、復号されたv及び復号されたビットの第1の集合を得るものと、
(r+rv)/2を用いて、前記復号されたvをrと結合するステップと、
RM(r,m−1)復号器を用いて(r+rv)/2を復号するステップであって、復号されたu及び復号されたビットの第2の集合を得るものと、
を含み、
前記各ステップはプロセッサにおいて実行される、ユークリッド空間リード−マラー(RM)符号の符号語の軟判定復号を実行する方法。
【請求項2】
前記選択するステップはvの対数尤度比を求め、絶対値演算及び最大値演算を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択するステップは和演算を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択するステップは最小値演算を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
RM(1,m)符号の前記復号するステップは、アダマール変換を用いて、送信された符号語の最大尤度(ML)推定値を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
RM(1,m)符号の前記復号するステップは、複数の最も尤度の高い復号されたvのリストアダマール変換を用いる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
RM(m,m)符号は行列反転によって復号される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
RM(1,m)符号を前記アダマール変換を用いて復号し、前記符号語内の前記送信された情報ビットの最大事後確率(MAP)推定値を得る、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
受信ベクトルに基づいて各符号語の尤度を求めるステップであって、前記行列反転を用いて前記RM(m,m)符号を復号して、前記符号語内の送信された情報ビットの最大事後確率(MAP)推定値を得るものを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記RM(r−1,m−1)復号器の出力において、前記送信された情報ビットの前記MAP推定値に基づいて有効な符号語の確率を求めるステップと、
前記RM(r−1,m−1)の出力から最も尤度の高い符号語を選択するステップであって、該符号語をrと結合するものと、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
重み和演算を用いて前記情報ビットの前記MAP推定値を求めるステップを更に含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−151839(P2012−151839A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−287619(P2011−287619)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】