説明

ユーザ選定システムおよびプログラム

【課題】条件に合致するユーザが存在していない場合でも、適切なユーザを選定できるようにする。
【解決手段】ユーザ選定システムでは、希望条件情報で示される条件を1以上の部分的な条件から構成されるものとみなし、部分的な条件毎に、その条件に合致する実施条件情報をデータテーブルから抽出する。更に、抽出した実施条件情報に対応するユーザそれぞれを、希望条件情報に係る部分的な条件にて取引を実施するのに適したユーザとして選定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引を実施するのに適したユーザを選定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、取引の実施を希望するユーザ同士のマッチングを行う技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した技術を含む従来技術では、条件に合致するユーザが存在していなければ選定がなされないため、結局、条件に合致するユーザを探さなければならず、その手間を省くことができない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、条件に合致するユーザが存在していない場合でも、適切なユーザを選定できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)は、データテーブルと、情報抽出手段と、ユーザ選定手段と、を備えたユーザ選定システムである。
これらのうち、前記データテーブルは、ネットワークを介して通信可能なクライアントのユーザにおいて取引の実施を許容できる条件を示す実施条件情報を、そのユーザに対応づけて登録したものであり、前記情報抽出手段は、ネットワークを介して通信可能なクライアントから、該クライアントのユーザにおいて取引の実施を希望する条件を示す希望条件情報を受信した際、該希望条件情報で示される条件を構成しうる1以上の部分的な条件毎に、該部分的な条件において条件が合致する前記実施条件情報を、前記データテーブルから抽出して、前記ユーザ選定手段は、前記情報抽出手段により抽出された1以上の実施条件情報に対応づけられたユーザそれぞれを、前記希望条件情報で示される条件にて取引を実施するのに適したユーザとして選定する。
【0007】
このようなユーザ選定システムでは、希望条件情報で示される条件を1以上の部分的な条件から構成されるものとみなし、部分的な条件毎に、その条件に合致する実施条件情報をデータテーブルから抽出している。そして、こうして抽出した実施条件情報に対応するユーザそれぞれを、希望条件情報に係る部分的な条件にて取引を実施するのに適したユーザとして選定することができる。
【0008】
これにより、希望条件情報で示される条件に合致するユーザが存在していない場合でも、この条件を部分的な条件に分けて、各条件に合致する適切なユーザを選定することができる。
【0009】
なお、上記構成における「取引」とは、請負業務の受発注や、求人およびそれに対する応募などのことである。
また、この構成では、以下に示す第2の構成(請求項2)のようにするとよい。
【0010】
第2の構成では、前記希望条件情報で示される条件が全て合致する前記実施条件情報を全体実施条件情報とし、1以上の部分的な条件が合致する前記実施条件情報を部分実施条件情報とした場合が前提となる。この構成では、前記クライアントから前記希望条件情報を受信した際に、該希望条件情報についての前記全体実施条件情報が前記データテーブルに登録されているか否かを判定する全体判定手段,を備えている。
【0011】
そして、前記情報抽出手段は、前記全体判定手段により全体実施条件情報が登録されていると判定された場合、該登録されている全体実施条件情報を前記データテーブルから抽出する一方、前記全体実施条件情報が登録されていないと判定された場合、前記部分的な条件毎に、前記部分実施条件情報を前記データテーブルから抽出する。
【0012】
この構成であれば、希望条件情報で示される条件に合致する全体実施条件情報が登録されている場合には、その実施条件情報に対応するユーザを選定することができる。そして、希望条件情報で示される条件に合致する全体実施条件情報が登録されていない場合には、部分的な条件に合致する部分実施条件情報に対応するユーザを選定することができる。
【0013】
また、上記各構成は、以下に示す第3の構成(請求項3)のようにするとよい。
第3の構成では、当該ユーザ選定システムと通信可能なクライアントから前記実施条件情報を収集する情報収集手段と、前記情報収集手段により収集される実施条件情報を、それぞれ収集元であるクライアントのユーザに対応づけて前記データテーブルに登録する情報登録手段と、を備えている。
【0014】
この構成であれば、クライアントから収集した実施条件情報を、そのクライアントのユーザに対応づけて登録することにより、データテーブルを生成することができる。
また、上記各構成は、以下に示す第4の構成(請求項4)のようにするとよい。
【0015】
第4の構成では、前記ユーザ選定手段により選定されたユーザのクライアントに対し、該ユーザが取引を実施するのに適したユーザとして選定された旨を通知する被選定通知手段と、前記希望条件情報の送信元であるクライアントに対し、該希望条件情報で示される条件にて取引を実施するのに適したユーザが選定された旨を通知する選定終了通知手段と、を備えている。
【0016】
この構成であれば、選定されたユーザのクライアントに対し、取引を実施するのに適したユーザとして選定された旨を知らせると共に、条件情報の送信元であるクライアントに対し、取引を実施するのに適したユーザが選定された旨を知らせることができる。
【0017】
また、上記各構成は、以下に示す第5の構成(請求項5)のようにするとよい。
第5の構成では、前記実施条件情報が取引に関する期間および数量を示しており、かつ、該実施条件情報で示される期間および数量の全体が前記希望条件情報と合致する前記実施条件情報を前記全体実施条件情報とし、部分的な期間および数量のみが前記希望条件情報と合致する前記実施条件情報を部分実施条件情報とした場合が前提となる。
【0018】
この構成において、前記全体判定手段は、前記希望条件情報を受信した際、それぞれ交差する2軸で期間および数量を分布させるためのマップに、その希望条件情報で示される期間および数量を分布させた状態を基準状態とし、前記データテーブルに登録されている前記実施条件情報の中に、前記基準状態における前記マップの分布との関係で決まる実施条件情報が含まれている場合に、前記全体実施条件情報が登録されていると判定する。前記全体判定手段により前記全体実施条件情報が登録されていると判定されるのは、前記実施条件情報で示される期間および数量を前記マップに分布させた場合の領域が、前記基準状態における前記マップに分布している期間および数量の領域全てを含む場合である。
【0019】
また、前記情報抽出手段は、前記全体実施条件情報が登録されていないと判定された場合、前記データテーブルに登録されている前記実施条件情報のうち、前記基準状態における前記マップの分布との関係で決まる実施条件情報を、前記部分的な条件についての前記部分実施条件情報として抽出している。前記情報抽出手段により抽出される部分実施条件情報は、前記実施条件情報で示される期間および数量を前記マップに分布させた場合の領域が、前記基準状態における前記マップに分布している期間および数量の領域と所定割合以上重なっている実施条件情報であり、その重なっている領域で規定される部分的な条件についての前記部分実施条件情報とされる。
【0020】
さらに、前記情報抽出手段により部分実施条件情報が抽出される毎に、前記基準状態における前記マップに分布している期間および数量の領域から、その部分実施条件情報で示される期間および数量の前記マップにおける分布領域を除き、該除かれた状態を新たな前記基準状態として、前記情報抽出手段による前記部分実施条件情報の抽出を再度実施させる抽出実施手段,を備えている。
【0021】
そして、前記抽出実施手段は、前記基準状態においてマップ上に分布している期間および数量の領域が、所定のしきい値未満となるまで、前記情報抽出手段による前記部分実施条件情報の抽出を繰り返し実施させる。
【0022】
この構成であれば、希望条件情報で示される期間および数量をマップに分布させてなる領域と、実施条件情報で示される期間および数量を分布させた場合の領域と、の重複度合により、データテーブルに全体実施条件情報が登録されているか否かの判定,および,データテーブルからの部分実施条件情報の抽出を行うことができる。
【0023】
また、上記構成において、実施条件情報および希望条件情報が、取引の期間および取引内容の数量の他、該取引の内容または種類を示す情報である場合には、以下に示す第6の構成(請求項6)のようにするとよい。
【0024】
第6の構成では、前記希望条件情報および前記実施条件情報が、取引の期間および取引内容の数量の他、該取引の内容または種類を示す情報である場合が前提となる。そして、前記情報抽出手段は、前記クライアントから1以上の前記希望条件情報を受信した場合、該希望条件情報で示される内容または種類別に、前記実施条件情報の前記データテーブルからの抽出を実施する。
【0025】
この構成であれば、取引の内容または種類それぞれについて、データテーブルからの実施条件情報の抽出を行うことにより、取引の内容または種類毎に、取引の実施に適したユーザを選定することができる。
【0026】
なお、上述した各構成は、データテーブルおよび各手段を実装した単体の装置としてもよいし、データテーブルを実装してなる装置と、それ以外の手段を備えてなる装置と、を通信可能としたシステムとしてもよい。
【0027】
また、上記課題を解決するためには、第1から第6のいずれかにおける全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム(請求項7)としてもよい。
【0028】
このプログラムを実行するコンピュータシステムであれば、上記第1から第6のいずれかに係る請負選定システムと同様の作用,効果を得ることができる。
なお、上述したプログラムは、コンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、各種記録媒体や通信回線を介してユーザ選定システムや、これを利用するユーザ等に提供されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ユーザ選定システムの全体構成を示すブロック図
【図2】選定通知処理を示すフローチャート
【図3】情報登録ページ、ユーザ検索ページを示す図
【図4】発注情報テーブル、受注情報テーブルのデータ構造を示す図
【図5】ユーザ選定処理を示すフローチャート
【図6】特定の希望条件情報を示す図
【図7】特定の希望条件情報における基準状態マップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
ユーザ選定システム1は、図1に示すように、複数のクライアント2とネットワーク3を介して通信可能に接続された周知のサーバーコンピュータであり、制御部12,記憶部14,通信部16などを備えた周知のコンピュータシステムであって、通信部16を介してネットワーク3へと接続されている。
【0031】
また、このユーザ選定システム1には、ネットワーク3を介して各種ウェブページを配信するためのウェブサーバとして機能させるためのアプリケーションプログラムや、後述する各種処理を実行するためのプログラムなどが実装されている。
【0032】
また、クライアント2は、それぞれ制御部21,記憶部23,通信部25,表示部27,操作部29などを備えた周知のコンピュータシステムであって、通信部25を介してネットワーク3へと接続されている。
(2)ユーザ選定システム1による処理
以下に、制御部12が記憶部14に記憶されたプログラムに従って実行する各種処理手順について説明する。
(2−1)選定通知処理
はじめに、所定の手順を経てユーザ選定システム1にログインしたクライアント2から、後述するウェブページの配信を要求された際に起動される選定通知処理の処理手順を、図2に基づいて説明する。
【0033】
この選定通知処理が起動されると、まず、その起動に先立って受けた要求に係るウェブページが要求元のクライアント2へと配信される(s110)。ここで配信されるウェブページには、情報登録ページ,ユーザ検索ページなどがある。
【0034】
これらのうち、情報登録ページには、図3(a)に示すように、実施条件情報を入力するための入力欄110,この実施条件情報がどのような取引内容を示すものであるのかを指定するための指定ボタン120,入力欄110に入力された実施条件情報と指定ボタン120の指定結果をユーザ選定システム1に送信するための送信ボタン130などが配置されている。
【0035】
また、ユーザ検索ページには、図3(b)に示すように、ユーザが取引の実施を希望する条件を示す希望条件情報を入力するための入力欄210,この希望入力情報がどのような取引の内容または種類(以降、「取引内容等」という)を示すものであるのかを指定するための指定ボタン220,入力欄210に入力された希望入力情報と指定ボタン220の指定結果をユーザ選定システム1に送信するための送信ボタン230などが配置されている。なお、本実施形態では、ユーザが発注または受注可能な請負業務の種類,期間および数量(業務に要する人数,作業内容で規定される作業量などを数値化したもの;以下同様)など請負業務を募集するための条件を示す情報が、実施条件情報である場合を例示している。
【0036】
これらウェブページを受信したクライアント2からは、各入力欄に情報を入力すると共に、取引内容等を指定するための操作が行われた後、それら情報を返信するための操作(送信ボタンの選択)が行われることにより、情報が返信されてくる。
【0037】
こうしてウェブページが配信された後、クライアント2からの情報を受信したか否かがチェックされ(s120)、情報を受信していないと判定された場合(s120:NO)、上記s110でウェブページが配信された以降の経過時間が所定のしきい値を超えているか否かがチェックされる(s130)。
【0038】
このs130で経過時間がしきい値を超えていなければ(s130:NO)、プロセスがs120へと戻り、以降、経過時間がしきい値を超えないことを条件に、クライアント2からの情報が受信されるまで待機状態となる(s120:NO,s130:NO)。
【0039】
その後、クライアント2からの情報が受信されることなく、経過時間がしきい値を超えた場合(s130:YES)、直ちに選定通知処理が終了する。
また、上記s120でクライアント2からの情報が受信された場合(s120:YES)、受信された情報が実施条件情報であるか否かがチェックされる(s140)。
【0040】
このs140で実施条件情報であると判定された場合(s140:YES)、この実施条件情報が、選定通知処理の起動に先立ってログインしたクライアント2のユーザ(の識別情報)に対応づけて登録される(s150)。
【0041】
ここでは、取引内容等それぞれについてのデータテーブルが記憶部14に記憶されており、受信した実施条件情報に応じたテーブルへの登録が行われる。
本実施形態では、”発注”可能な請負業務に関する実施条件情報を登録するためのデータテーブルである発注情報テーブルと、”受注”可能な請負業務に関する実施条件情報を登録するためのデータテーブルである受注情報テーブルと、が記憶部14に記憶されており、情報に応じたテーブルへの登録が行われる。
【0042】
例えば、発注情報テーブルには、図4(a)に示すように、ユーザ毎に、ユーザが発注できる請負業務の種類,期間および作業量、ユーザが請負業務を発注可能な場所や、過去の実績などから判定されたユーザの評価などが登録されている。そして、s150では、”発注”可能な請負業務に関する実施条件情報を受信した場合に、この実施条件情報で示される請負業務の種類,期間および数量などを、実施条件情報の送信元であるクライアント2のユーザ(の識別情報)と共にセットしたデータレコードが発注情報テーブルに登録される。
【0043】
一方、受注情報テーブルには、図4(b)に示すように、ユーザ毎に、ユーザが受注できる請負業務の種類,期間および作業量、ユーザが請負業務を受注可能な場所や、過去の実績などから判定されたユーザの評価などが登録されている。そして、s150では、”受注”可能な請負業務に関する実施条件情報を受信した場合に、この実施条件情報で示される請負業務の種類,期間および数量などを、実施条件情報の送信元であるクライアント2のユーザ(の識別情報)と共にセットしたデータレコードが受注情報テーブルに登録される。
【0044】
なお、上述した各情報テーブルにおける「場所」は、あらかじめ定められたユーザの所在地などに基づいて登録される情報である。
こうして、上記s150により情報の登録が行われた後、選定通知処理が終了する。
【0045】
また、上記s140で実施条件情報ではなく(s140:NO)、希望条件情報であると判定された場合(s160:YES)、この希望条件情報に基づいて取引を実施するのに適したユーザが選定される(s170)。
【0046】
ここでは、希望条件情報を引数として後述するユーザ選定処理を実行することにより、希望条件情報で示される条件にて取引を実施するのに適した1以上のユーザが選定され、その選定された各ユーザ、取引内容等、期間および数量など、を示す1以上のユーザ情報が戻り値として返される。
【0047】
次に、該当するクライアント2のユーザへの通知メッセージが送信され(s180)、これが該当するクライアント2に対して送信される(s190)。
ここでは、まず、上記s170において選定された各ユーザへのメッセージとして、取引を実施するのに適したユーザとして選定された旨、取引の内容または種類、期間および数量、上記s120にて受信した希望条件情報の送信元であるクライアント2に対応するユーザの連絡先など、を通知するための通知メッセージ(例えばウェブページなど;以下同様)が上記ユーザ情報に基づいてそれぞれ生成され、これが選定されたユーザに対応するクライアント2にそれぞれ送信される。
【0048】
また、上記s120にて受信した希望条件情報の送信元であるクライアント2に対応するユーザへの応答用のメッセージとして、取引の実施に適したユーザが選定された旨、取引内容等、期間および数量、上記s170において選定されたユーザそれぞれの連絡先など、を通知するための通知メッセージがユーザ情報に基づいてそれぞれ生成され、これが希望条件情報の送信元であるクライアント2に送信される。
【0049】
なお、上記s170においてユーザが選定されなかった旨のユーザ情報が返された場合には、その旨を通知するための通知メッセージが該当クライアント2へと送信される。
このように、通知メッセージが送信された後、クライアント2側では、通知メッセージに含まれる連絡先に基づいて、ユーザ同士で容易に連絡を取ることができるようになる。
【0050】
こうして、上記s180で通知メッセージが送信された後、選定通知処理が終了する。
また、上記s140で、返信されてきた情報が実施条件情報,希望条件情報以外の情報であると判定された場合(s140:NO,s160:NO)、その情報に応じた処理(その他の処理)が行われた後(s190)、選定通知処理が終了する。
(2−2)ユーザ選定処理
続いて、選定通知処理のs170であるユーザ選定処理の処理手順を図5に基づいて説明する。
【0051】
このユーザ選定処理では、まず、選定通知処理から渡された希望条件情報を取得する(s210)。本実施形態において、希望条件情報は、取引内容等、期間および数量を示すものであり、取引内容等それぞれに対し、この取引内容等についての期間および数量が対応づけられている。
【0052】
次に、上記s210にて取得された希望条件情報で示される取引内容等のうち、以降の処理で処理対象となっていない取引内容等(未処理の取引内容等)が選択される(s220)。
【0053】
例えば、図6に示すように、希望条件情報が、特定の取引内容等Aについての期間t1〜t8および数量p2,特定の取引内容等Bについての期間t1〜t10および数量p4を示す場合、このs220では、取引内容等A,Bのいずれかこの時点で未処理のものが選択される。
【0054】
次に、希望条件情報で示される期間および数量のうち、上記s220にて選択された取引内容等についての期間および数量を、それぞれ交差する2軸で期間tmおよび数量pnを分布させるためのマップに分布させたものが、基準状態マップとして生成される(s230)。
【0055】
上記s220にて上述した取引内容等Aが選択された場合を例示すると、このs230では、図7(a)に示すように、期間t1〜t8にわたって数量p2を分布してなる基準状態マップが生成される。また、取引内容等Bが選択された場合を例示すると、このs230では、同図(b)に示すように、期間t1〜t10にわたって数量p4を分布してなる基準状態マップが生成される。
【0056】
次に、データテーブルに登録されている実施条件情報の中に、取引内容等が上記s220において選択された取引内容等と同一であり、かつ、上記s230にて生成された基準状態マップに分布している期間および数量の領域(以降「基準領域」という)全てに重複する領域を形成可能な実施条件情報(以降「全体実施条件情報」という)が存在しているか否かがチェックされる(s240)。
【0057】
ここでは、選定通知処理から渡された希望条件情報が、発注を希望する旨の希望条件情報であれば、発注情報テーブルの中から全体実施条件情報(を規定するデータレコード)の存在がチェックされ、受注を希望する旨の希望条件情報であれば、受注情報テーブルの中から全体実施条件情報(同上)の存在がチェックされる。
【0058】
また、ここでいう「基準領域全てに重複する領域を形成可能」は、実施条件情報における期間および数量をマップに分布させた場合に、この期間および数量で形成されるマップ上の領域(以降「条件領域」という)が、少なくとも基準領域全てと重なることである。
【0059】
例えば、上記s220により取引内容等Aが選択された場合を例示すると、少なくとも期間t1〜t8にわたって数量p2が分布された領域全体を含む領域を条件領域として形成可能な実施条件情報が全体実施条件情報となる(図7(a)参照)。また、取引内容等Bが選択された場合を例示すると、少なくとも期間t1〜t10にわたって数量p4が分布された領域全体を含む領域を条件領域として形成可能な実施条件情報が全体実施条件情報となる(同図(b)参照)。
【0060】
このs240で、全体実施条件情報が存在していると判定された場合(s240:YES)、これら1以上の全体実施条件情報(を規定するデータレコード)が情報テーブルから読み出される(s250)。ここでは、選定通知処理から渡された希望条件情報が、発注を希望する旨の希望条件情報であれば、発注情報テーブルの中から全体実施条件情報が読み出され、受注を希望する旨の希望条件情報であれば、受注情報テーブルの中から全体実施条件情報が読み出される。
【0061】
次に、上記s250において読み出された1以上の全体実施条件情報に対応するユーザのうち、いずれかの全体実施条件情報に対応するユーザが、希望条件情報で示される取引を実施するのに適したユーザとして選定される(s260)。
【0062】
ここでは、上記s250にて読み出された全体実施条件情報に係るデータレコードのうち、最も高い評価値がセットされている1のデータレコードが抽出され、このデータレコードにセットされた識別情報のユーザが、希望条件情報で示される取引を実施するのに適したユーザとして選定される。そして、選定されたユーザと、条件領域と基準領域との重複領域で規定される期間および数量と、を示す情報がユーザ情報として生成される。
【0063】
なお、このs260では、希望条件情報の送信元であるクライアント2のユーザ,および,全体実施条件情報を規定するデータレコードに対応するユーザそれぞれの「場所(図4参照)」同士を比較し、例えば、距離が近いなどの位置関係に応じたユーザを選定することとしてもよい。また、いずれかのユーザをランダムに選定することとしてもよい。
【0064】
こうして、上記s260にてユーザが選定された後、上記s210にて取得された希望条件情報で示される取引内容等の中に、以降の処理で処理対象となっていない取引内容等(未処理の取引内容等)が残っているか否かがチェックされる(s270)。
【0065】
このs270で未処理の取引内容等が残っていると判定された場合には(s270:YES)、プロセスがs220へ戻り、未処理の取引内容等に基づいて上記s220以降の処理が行われる。
【0066】
また、上記s240で該当する全体実施条件情報が存在していないと判定された場合(s240:NO)、情報テーブルに登録されている実施条件情報の中に、取引内容等が上記s220において選択された取引内容等と同一であり、かつ、上記s230にて生成された基準状態マップにおける基準領域の少なくとも一部に重複する領域を形成可能な実施条件情報(以降「部分実施条件情報」という)が存在しているか否かがチェックされる(s340)。
【0067】
ここでは、上記s240と同様、選定通知処理から渡された希望条件情報が、発注を希望する旨の希望条件情報であれば、発注情報テーブルの中から部分実施条件情報の存在がチェックされ、受注を希望する旨の希望条件情報であれば、受注情報テーブルの中から部分実施条件情報の存在がチェックされる。
【0068】
また、ここでいう「基準領域の少なくとも一部に重複する領域を形成可能」とは、実施条件情報における期間および数量をマップに分布させた場合に、この期間および数量で形成されるマップ上の条件領域が、少なくとも基準領域の一部と重なることである。
【0069】
例えば、上記s220により取引内容等Aが選択された場合を例示すると、期間t1〜t8にわたって数量p2が分布された基準領域の一部に重なる領域を形成可能であれば、いずれの実施条件情報も「基準領域の少なくとも一部に重複する領域を形成可能」な部分実施条件情報となる。具体的な例でいえば、基準領域の一部領域x1のみを形成可能な場合はもちろん、基準領域の一部領域と基準領域外の領域からなる領域x2を形成可能な場合も含まれる(図7(a)参照)。
【0070】
このs340で部分実施条件情報が存在していないと判定された場合(s340:NO)、プロセスがs270へ戻る。
また、上記s340で部分実施条件情報が存在していると判定された場合(s340:YES)、1以上の部分実施条件情報のうち、部分実施条件情報における期間および数量を分布させたマップ上の条件領域と、基準領域との重複する面積が最大となっている部分実施条件情報(を規定するデータレコード)が、データテーブルから読み出される(s350)。
【0071】
ここで、図7(c)に示すように、上記s220にて取引内容等Aが選択され、かつ、上記s340にて期間t1〜t2にわたって数量p2が分布された条件領域x3を形成可能な実施条件情報と、期間t2〜t5にわたって数量p1が分布された条件領域x4を形成可能な実施条件情報と、が部分実施条件情報として存在していると判定されたケースを例示する。このケースでは、条件領域x3よりも条件領域x4の方が基準領域と重複する面積が大きいため、この条件領域x4を形成可能な部分実施条件領域が情報テーブルから読み出される。
【0072】
次に、上記s260と同様、上記s350において読み出された部分実施条件情報に対応するユーザのうち、いずれかの部分実施条件情報に対応するユーザが、部分的な条件について取引を実施するのに適したユーザユーザとして選定される(s360)。ここでも、上記s260と同様に、選定されたユーザと、条件領域と基準領域との重複領域で規定される期間および数量と、を示す情報がユーザ情報として生成される。
【0073】
次に、上記s360にて選定されたユーザに対応する部分実施条件情報が、データテーブルから削除される(s370)。ここで、上述のように、上記s350において条件領域x4を形成可能な部分実施条件情報が情報テーブルから読み出され、これに対応するユーザが上記s360にて選定された場合を例示すると、この部分実施条件情報(を規定するデータレコード)が情報テーブルから削除される。
【0074】
次に、基準状態マップにおける基準領域から、上記s360にて選定されたユーザに対応する部分実施条件情報における期間および数量を分布させたマップ上の領域を除去し、こうして除去された残りの領域からなるマップを新たな基準状態マップとして更新する(s380)。
【0075】
ここで、上述のように、上記s350において条件領域x4を形成可能な部分実施条件情報が情報テーブルから読み出され、これが上記s370にて情報テーブルから削除された場合を例示すると、基準状態マップが、図7(d)に示すように、基準領域から条件領域x4が削除された残りの領域を新たな基準領域からなるマップへと更新される。
【0076】
次に、上記s380にて一部領域が除去された基準状態マップに、所定のしきい値以上の基準領域が残っているか否かがチェックされる(s390)。ここでは、基準状態マップにおいて期間および数量とで規定される格子領域が、連続して所定数以上連なって残っている場合に、しきい値以上の基準領域が残っていると判定される(図7参照)。
【0077】
このs390で基準領域がしきい値以上残っていると判定された場合(s390:YES)、プロセスが、上記s340へと戻り、以降、基準領域がしきい値未満となるまで、上記s340〜s390が繰り返される。
【0078】
そして、上記s390で基準領域がしきい値以上残っていないと判定された場合(s390:NO)、プロセスがs270へ移行する。
その後、上記s270で未処理の取引内容等が残っていないと判定されるまで、s220〜s260,s340〜390が繰り返され、未処理の取引内容等が残っていないと判定された場合に(s270:NO)、ユーザ選定処理が終了し、ここまでに選定された各ユーザについてのユーザ情報群を戻り値として選定通知処理へと戻る。
【0079】
なお、ここまでにユーザが選定されていない場合には、ユーザが選定されなかった旨を示すユーザ情報を戻り値として選定通知処理へと戻る。
(3)作用,効果
このようなユーザ選定システム1では、希望条件情報で示される条件を1以上の部分的な条件から構成されるものとみなし、部分的な条件毎に、その条件に合致する実施条件情報をデータテーブルから抽出している(図5のs240〜s390)。
【0080】
そして、こうして抽出した実施条件情報に対応するユーザそれぞれを、希望条件情報に係る部分的な条件にて取引を実施するのに適したユーザとして選定することができる(同図s260,s360)。
【0081】
これにより、希望条件情報で示される条件に合致するユーザが存在していない場合でも(同図s240:NO)、この条件を部分的な条件に分けて、各条件に合致する適切なユーザを選定することができる(同図s360)。
【0082】
また、上記実施形態では、希望条件情報で示される条件に合致する全体実施条件情報が登録されている場合には、その実施条件情報に対応するユーザを選定することができる(図5のs260)。そして、希望条件情報で示される条件に合致する全体実施条件情報が登録されていない場合には、部分的な条件に合致する部分実施条件情報に対応するユーザを選定することができる(同図s360)。
【0083】
また、上記実施形態では、クライアント2から収集した実施条件情報を、そのクライアント2のユーザに対応づけて登録することにより、データテーブルを生成することができる(図2のs140〜s150)。
【0084】
また、上記実施形態では、選定されたユーザのクライアント2に対し、取引を実施するのに適したユーザとして選定された旨を知らせると共に、希望条件情報の送信元であるクライアント2に対し、取引を実施するのに適したユーザが選定された旨を知らせることができる(図2のs180)。
【0085】
また、上記実施形態では、希望条件情報で示される期間および数量をマップに分布させてなる領域と、実施条件情報で示される期間および数量を分布させた場合の領域と、の重複度合により、データテーブルに全体実施条件情報が登録されているか否かの判定,および,データテーブルからの部分実施条件情報の抽出を行うことができる(図6のs340〜s390)。
【0086】
また、上記実施形態では、取引内容等それぞれについて、データテーブルからの実施条件情報の抽出を行うことにより(図6のs220〜s270)、取引内容等毎に、取引の実施に適したユーザを選定することができる。
(4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0087】
例えば、上記実施形態においては、単体のサーバーコンピュータによりユーザ選定システム1が構成されたものを例示したが、情報テーブルを実装してなる装置と、それ以外の手段を供えてなる装置と、を通信可能としたシステムとして構成してもよい。
【0088】
また、実施形態においては、請負業務の受発注に関する取引につき、その実施に適したユーザを選定するように構成されているが、この「取引」としては、請負業務の受発注に限られるものではなく、求人と求人に対する応募とを取引と定義し、その実施に適したユーザを選定する構成としてもよい。
(5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、図5のs250,s340,s350が本発明における情報抽出手段であり、同図s260,s360が本発明におけるユーザ選定手段であり、同図s230,s240が本発明における全体判定手段であり、同図s370〜s390が本発明における抽出実施手段であり、図2のs120が本発明における情報収集手段であり、同図s150が本発明における情報登録手段であり、同図s180が本発明における被選定通知手段,選定終了通知手段である。
【符号の説明】
【0089】
1…ユーザ選定システム12…制御部、14…記憶部、16…通信部、2…クライアント、21…制御部、23…記憶部、25…通信部、27…表示部、29…操作部、110…入力欄、3…ネットワーク、120…指定ボタン、130…送信ボタン、210…入力欄、220…指定ボタン、230…送信ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データテーブルと、情報抽出手段と、ユーザ選定手段と、を備え、
前記データテーブルは、ネットワークを介して通信可能なクライアントのユーザにおいて取引の実施を許容できる条件を示す実施条件情報を、そのユーザに対応づけて登録したものであり、
前記情報抽出手段は、ネットワークを介して通信可能なクライアントから、該クライアントのユーザにおいて取引の実施を希望する条件を示す希望条件情報を受信した際、該希望条件情報で示される条件を構成しうる1以上の部分的な条件毎に、該部分的な条件において条件が合致する前記実施条件情報を、前記データテーブルから抽出して、
前記ユーザ選定手段は、前記情報抽出手段により抽出された1以上の実施条件情報に対応づけられたユーザそれぞれを、前記希望条件情報で示される条件にて取引を実施するのに適したユーザとして選定する
ことを特徴とするユーザ選定システム。
【請求項2】
前記希望条件情報で示される条件が全て合致する前記実施条件情報を全体実施条件情報とし、1以上の部分的な条件が合致する前記実施条件情報を部分実施条件情報とした場合に、
前記クライアントから前記希望条件情報を受信した際に、該希望条件情報についての前記全体実施条件情報が前記データテーブルに登録されているか否かを判定する全体判定手段,を備えており、
前記情報抽出手段は、前記全体判定手段により全体実施条件情報が登録されていると判定された場合、該登録されている全体実施条件情報を前記データテーブルから抽出する一方、前記全体実施条件情報が登録されていないと判定された場合、前記部分的な条件毎に、前記部分実施条件情報を前記データテーブルから抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ選定システム。
【請求項3】
当該ユーザ選定システムと通信可能なクライアントから前記実施条件情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集される実施条件情報を、それぞれ収集元であるクライアントのユーザに対応づけて前記データテーブルに登録する情報登録手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のユーザ選定システム。
【請求項4】
前記ユーザ選定手段により選定されたユーザのクライアントに対し、該ユーザが取引を実施するのに適したユーザとして選定された旨を通知する被選定通知手段と、
前記希望条件情報の送信元であるクライアントに対し、該希望条件情報で示される条件にて取引を実施するのに適したユーザが選定された旨を通知する選定終了通知手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のユーザ選定システム。
【請求項5】
前記実施条件情報が取引に関する期間および数量を示しており、かつ、該実施条件情報で示される期間および数量の全体が前記希望条件情報と合致する前記実施条件情報を前記全体実施条件情報とし、部分的な期間および数量のみが前記希望条件情報と合致する前記実施条件情報を部分実施条件情報とした場合に、
前記全体判定手段は、前記希望条件情報を受信した際、それぞれ交差する2軸で期間および数量を分布させるためのマップに、その希望条件情報で示される期間および数量を分布させた状態を基準状態とし、前記データテーブルに登録されている前記実施条件情報の中に、前記基準状態における前記マップの分布との関係で決まる実施条件情報が含まれている場合に、前記全体実施条件情報が登録されていると判定して、
前記全体判定手段により前記全体実施条件情報が登録されていると判定されるのは、前記実施条件情報で示される期間および数量を前記マップに分布させた場合の領域が、前記基準状態における前記マップに分布している期間および数量の領域全てを含む場合であり、
前記情報抽出手段は、前記全体実施条件情報が登録されていないと判定された場合、前記データテーブルに登録されている前記実施条件情報のうち、前記基準状態における前記マップの分布との関係で決まる実施条件情報を、前記部分的な条件についての前記部分実施条件情報として抽出しており、
前記情報抽出手段により抽出される部分実施条件情報は、前記実施条件情報で示される期間および数量を前記マップに分布させた場合の領域が、前記基準状態における前記マップに分布している期間および数量の領域と所定割合以上重なっている実施条件情報であり、その重なっている領域で規定される部分的な条件についての前記部分実施条件情報とされ、
さらに、
前記情報抽出手段により部分実施条件情報が抽出される毎に、前記基準状態における前記マップに分布している期間および数量の領域から、その部分実施条件情報で示される期間および数量の前記マップにおける分布領域を除き、該除かれた状態を新たな前記基準状態として、前記情報抽出手段による前記部分実施条件情報の抽出を再度実施させる抽出実施手段,を備えており、
前記抽出実施手段は、前記基準状態においてマップ上に分布している期間および数量の領域が、所定のしきい値未満となるまで、前記情報抽出手段による前記部分実施条件情報の抽出を繰り返し実施させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の請負選定システム。
【請求項6】
前記希望条件情報および前記実施条件情報が、取引の期間および取引内容の数量の他、該取引の内容または種類を示す情報である場合において、
前記情報抽出手段は、前記クライアントから1以上の前記希望条件情報を受信した場合、該希望条件情報で示される内容または種類別に、前記実施条件情報の前記データテーブルからの抽出を実施する
ことを特徴とする請求項5のいずれかに記載の請負選定システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−123467(P2012−123467A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271715(P2010−271715)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(507159717)株式会社kodo.cc (3)
【Fターム(参考)】