説明

ヨーネ菌に対する抗体用アッセイ

パラ結核に特異な抗原に対する免疫応答の検出法で、被検物の試料をパラ結核に特異な抗原とインキュベートし、試料中の抗体の存在をパラ結核に特異な抗原に対する免疫応答の指示により検出することを含む方法。抗原は新規のヨーネ菌株JTC303から得ることができる。抗原はJTC303培養濾液から得ることができる。又パラ結核に特異な抗原と、哺乳類のパラ結核に特異な抗原に対する免疫応答検出用の診断キットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は2006年9月8日に出願した米国仮特許出願番号60/843,110に基づいて優先権を主張する。
【0002】
政府の利害
本発明の一部は米国農務省(USDA)農業研究教育普及局(CSREES)助成金00−35204−9311を受け、米国政府の支援で行われた。米国政府は本発明の幾らかの権利を有することができる。
【0003】
技術分野
本発明は診断検査の分野に関する。より詳細にはこの発明により、ヨーネ菌(Mycobacterium paratuberculosis)に対する抗体用アッセイに使用できる新規な抗原調合液、キット及び方法が提供される。
【背景技術】
【0004】
慢性肉芽腫性腸炎病原菌(Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis:以後ヨーネ菌と呼ぶ)は、乳牛や他の動物に慢性の下痢、体重のロスや栄養失調で特徴付けられるヨーネ病(パラ結核)を生じ、評価損失は米国だけでも一年当たり2億2千万ドルに達する。世界的にはこの疾病の有病率は、低い発生率地域(英国のような)の検査集団で3−4%と低い範囲から、米国内の幾つかの地域(ウイスコンシン州とアラバマ州)の集団で50%と高レベルの範囲になる。ヨーネ病の乳牛はそのミルクにヨーネ菌を排出する。人ではマイコバクテリウムパラ結核バチルス(M. paratuberculosis bacilli)がクローン病患者の検査組織で見つかり、本病原菌は人畜共通感染症の潜在的な可能性を示唆する。
【0005】
ウシのパラ結核の診断は難しく、通常原因物質のヨーネ菌又はこの原因物質に対する免疫応答のいずれかを検出して達成する。試料中のマイコバクテリウム種の検出と同定の臨床法の多くは、細菌の物理的特性、生理的特性、又は生化学的特性の分析が必要である。これらの方法は、検出すべき試料中の細菌濃度が比較的高い必要があり、臨床技師の経験と専門知識に依存する可能性があり、時間がかかる。マイコバクテリウム種はしばしば生体外での増殖が困難で培養物中の有用密度に達するのに数週間かかるので、これらの方法は又感染の蔓延を止めるための診断と介入の遅延をもたらす。例えば糞便のマイコバクテリウムの微生物培養液は広く用いられる診断試験である。しかしこのアッセイの完了には最大16週間が必要である。
【0006】
市販の診断試験薬は存在する。例えば酵素結合免疫吸着測定(Enzyme-Linked lmmunoabsorbent Assay:ELISA)技術に基づく血清検査はよく知られた市販のイムノアッセイである。ELISA技術は酵素結合抗体マーカーを用いて固体担体に付着した既知抗原に結合した検体の抗体を検出することに基づく。しかしウシのパラ結核用の既存の市販ELISAキットの精度は比較的悪い。市販のELISAキットを比較すると、アッセイは糞便培養陽性なウシに対する診断感度は27.9%乃至44.5%で全体に同等の範囲で実施されることが示された(Collins等, 2005, Clin. Diagn. Lab. Immunol. 12: 685−692)。より最近の研究では、ヨーネ菌用の市販ELISAの感度は約13.5%とより低いことが分かって(Sweeney等,2006年,J. Vet. Diag. Invest. 18:2−6)。従って免疫応答の検出に基づくパラ結核の診断試験に対する技術的な必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Collins等,2005,Clin.Diagn.Lab.Immunol.12:685−692
【非特許文献2】Sweeney等,2006年,J.Vet.Diag.Invest.18:2−6
【発明の概要】
【0008】
本発明は診断検査の分野に関する。より詳細にはこの発明により哺乳類のパラ結核検出用の組成物と方法が提供される。
【0009】
本発明により、2006年8月15日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)にPTA−7788として寄託した単離ヨーネ菌株JTC303が提供される。又JTC303の単離変異株も提供される。
【0010】
本発明によりヨーネ菌株JTC303から単離した抗原と、それから誘導した変異体株が提供される。これらの抗原はバクテリア細胞ホモジネート、即ち細胞抽出物(CE)から得られる。好ましい実施様態では、抗原はJTC303培養濾液(CF)から得る。
【0011】
本発明によりパラ結核に特異な抗体と抗体断片が提供される。この抗体はヨーネ菌株JTC303から得た抗原に特異的であっても良い。好ましくはこの抗体はヨーネ菌株JTC303培養濾液から得た抗原に特異的であっても良い。パラ結核に特異な抗体又は抗体断片は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ラベル化抗体等でも良い。
【0012】
本発明により、非特異的な抗体を除去するために試料と混合できる吸収性抗原が提供される。これらの抗原はマイコバクテリアの細胞抽出物(CE)から誘導できる。抗原は抗原調合液として加えることができる。吸収性抗原は好ましくはマイコバクテリウムフレイ(Mycobacterium phlei)の細胞抽出物から得る。好ましい代替え実施様態では、吸収性抗原はマイコバクテリウムテライ(Mycobacterium terrae)の細胞抽出物から得る。
【0013】
又対象物のパラ結核の診断法が提供され、その方法は該対象物の試料をヨーネ菌株JTC303から得た培養濾液と接触し、該抗体又はその断片の特異的結合の検出により該試料中に抗体の存在の有無を分析することを含み、この場合抗体の存在により該対象物がパラ結核を有することを示す。この診断法は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、又はたとえば寒天ゲル免疫拡散法、補体結合法等のような幾つかの他抗体検出技術のいずれか一つでも良い。
【0014】
パラ結核の診断は血清又はミルクを含む種々な形の哺乳類試料を用いて実施できる。この試料は臨床試料でも良い。試料採取する哺乳類はヒトでも良く、又動物、例えばウシでも良い。
【0015】
又この発明により、対象物中のパラ結核に特異な抗原の調合液に対して免疫応答を検出する診断キットが与えられ、ヨーネ菌株JTC303からのパラ結核に特異な抗原と抗ウシ免疫グロブリン抗体が含まれる。抗ウシ免疫グロブリン抗体はラベル化されても良い。キットは又吸収性抗原調合液を含んでも良い。キットはパラ結核に特異な抗原を対象物の試料と共にインキュベートする容器を含んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は細胞抽出物のタンパク質(レーン1とレーン2)及び培養濾液のタンパク質(レーン3)でのドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果を示す画像である。
【図2】図2はマイコバクテリウムフレイを用いる血清前吸収の前(A)とその後(B)の細胞抽出物のタンパク質の免疫ブロットの画像(レーン1とレーン2)と、培養濾液のタンパク質の免疫ブロットの画像(レーン3)を示す。
【図3】図3は等電点電気泳動(IEF)SDS−PAGEを用いて分離した細胞抽出タンパク質(A)と、培養濾液タンパク質(B)の画像を示す。
【図4】図4は感染ウシと非感染ウシからの培養濾液の平均ELISA値(黒色バー)と細胞抽出物の平均ELISA値(斜め縞バー)を示すグラフである。
【図5】図5は感染ウシ6匹の血清を用いた細胞抽出物のタンパク質(左レーン)と培養濾液のタンパク質(右レーン)を比較した免疫ブロット画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の詳細な説明での読者の理解を助けるために、以下の定義が提供される。
【0018】
総称的表現および特定的表現は特記のない限り複数形を含む。
【0019】
“抗原”は対象物中に免疫応答、特に抗体産生を誘起する物質である。抗原は通常この対象物に無関係なタンパク質又は多糖類であるが、担体タンパク質と結合した小分子(ハプテン類)を含む任意の形の分子でも良い。例えばヨーネ菌抗原はこの抗原で対象物を免疫にした場合、対象物中に抗ヨーネ菌応答を誘起する物質である。
【0020】
“抗原性調合液”は抗原を含有する調合液である。
【0021】
“培養濾液(CF)”は増殖細菌培養物から得た濾過水相を意味する。培養濾液は、例えば遠心分離又は濾過を用いて、培養物で増殖したバクテリア細胞を除去して得ても良い。培養濾液は好ましくは初期対数増殖期の細菌培養物から得るべきである。より好ましくは、培養濾液は培養したヨーネ菌株JTC303から得る。ヨーネ菌株JTC303に関しては、初期対数期は培養物インキュベーション後約8乃至12週間である。
【0022】
“抗体”は最も広義に用い、具体的にはパラ結核に特異なモノクローナル抗体(アゴニスト、拮抗薬及び中和抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有するパラ結核に特異な抗体組成物、単鎖のパラ結核特異性抗体、及びパラ結核特異性抗体の断片類を含む。この抗体類は抗パラ結核特異性モノクローナル抗体又は抗パラ結核ポリクローナル抗体自体でもよく、またその免疫学的に有効な断片類(例えばFab, Fab’又はF(ab’)2)、又は通常Fv領域と命名される抗体の一本鎖バージョンを含んでも良い。結合性断片類と一本鎖バージョンを含むポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の産生法は技術的に周知である。
【0023】
ここで用いる“免疫グロブリン”は抗体として機能する糖タンパク質を意味する。抗体と免疫グロブリンという用語は互換的に使用できる。免疫グロブリン類は血液、組織液並びに多くの他の身体分泌物中に見いだされる。これらは細菌又は異物類に対する生物の免疫応答に関与する。
【0024】
ヨーネ菌に感染した雌牛はパラ結核に特異な免疫グロブリンを産生できる。感染雌牛の試料は、例えば抗ウシ免疫グロブリン特異性抗体と結合して、標準的血清アッセイにより検出可能な免疫グロブリンを含有できる。抗ウシ免疫グロブリン特異性抗体は検出可能なラベルを持てる。
【0025】
ここで用いる“複合物”は、指示薬システムと化学的に結合した抗ウシ免疫グロブリン特異性抗体のような検出分子を意味し、又“ラベル”と呼ばれる。
【0026】
ここで用いる“ラベル”は、“ラベル化”抗体(複合物)を生成するように抗体と直接又は間接的に接合した検出可能な化合物又は組成物を意味する。このラベルは自身で検出可能(例えば放射性同位体ラベル又は蛍光ラベル)でもよいし、酵素ラベルの場合には基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒した後に生成物を検出可能にできる。
【0027】
本出願で用いる“対象物”は、任意のヒト又は動物、又はヒト又は動物由来の一つ以上の細胞を意味する。“対象物”は、ヒト、イヌ、馬、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ等を含む家庭動物、家畜、動物園の動物、スポーツ用動物、愛玩動物を含む哺乳類に分類される任意の生物を意味する。好ましくはこの哺乳類はヒトである。より好ましくはこの哺乳類はウシである。
【0028】
本出願に用いる“特異性”は、診断血清検査の特異性を意味し、試験精度の一つの尺度として用いる。パラ結核のELISAの特異性は、陰性の試験結果をもたらす真のパラ結核非感染哺乳類の比率である。診断特異性は通常パーセントで表す。
【0029】
本出願に用いる“感度”は、診断血清検査の感度を意味し、試験精度の別の尺度として用いる。パラ結核のELISAの特異性は、陽性の試験結果をもたらす真のパラ結核感染哺乳類の比率である。この場合には、感染哺乳類はパラ結核の対比試験で最も広く使用される培養物で、生前の臨床試料培養物で陽性の培養結果を生ずる感染哺乳類と定義される。診断特異性は通常パーセントで表す。
【0030】
所定の診断アッセイに関しては、特異性と感度は通常アッセイ解釈のカットオフ、即ち陰性結果と陽性結果間の境界線を規定する数値に基づいて反比例の関係にある。感度を増加するようにアッセイのカットオフを変化すると、特異性は減少する。
【0031】
“ROC”(受信者動作特性)曲線は、臨床病理実験室で用いる試験の評価に使用する方法を意味する。ROC曲線下面積は、試験精度の有用な全体的尺度であり、異なる試験又は異なる装置の比較に使用できる。ROC分析により、その特異性と感度を考慮に入れてこの試験の診断精度が要約される(Gardner及びGrainer,2006年,Vet.Clin.Pathol.35:8−17)。
【0032】
本発明により2006年8月15日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)にPTA−7788として寄託したヨーネ菌株JTC303が提供される。又ヨーネ菌のJTC303菌株はアメリカンブリーダー協会(ABS)で飼育のホルスタイン雄牛(番号H1822)由来の試料から本発明者が単離した。試料は回腸(小腸末端部)組織であった。
【0033】
単離したヨーネ菌株JTC303の変異体も又この発明の実施に有用である。本発明の目的に関するヨーネ菌株JTC303の変異体は、JTC303と類似のゲノム配列を今なお含有するがヌクレオチドの変化、欠失又は付加のような一つの変異、二つの変異、三つの変異、又はそれ以上の変異の存在により親株ゲノムとは異なるゲノムの変異体である。
【0034】
JTC303株は、限定はされないが照射法や化学法を含む技術的に周知の任意のランダム変異誘発法を用いて変異誘発出来る。特に好ましいのは化学的ランダム変異誘発であり、最も好ましいのはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)のような適切な試薬を用いる変異である。新規細菌株の誘発変異と選択に関する一般法は技術的に周知で、例えば以下に記載されている。Miller, 1992年、“細菌遺伝学の短期コース”(Short Course in Bacterial Genetics)、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press), Cold Spring Harbor, ニューヨーク州;Singer及び Berg、1991年、“遺伝子とゲノム:変化する展望”(Genes and Genomes: A Changing Perspective)、ユニバーシティサイエンスブックス(University Science Books)、 Mill Valley, カルフォルニア州;Sambrook等、1989年、“分子クローニング:実験室マニュアル、第二版”(Molecular Cloning: A laboratory Manual, 2nd ed.)、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、 Cold Spring Harbor, ニューヨーク州;及びKaufman等,1995年、“生物と医学における分子的細胞的方法のハンドブック”(Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology and Medicine)、1995年、CRC出版(CRC Press)、 Boca Raton,フロリダ州。
【0035】
一実施態様では、本発明はヨーネ菌に対する抗体のアッセイに利用できる新規な抗原調合液を提供する。好ましくはこの抗原調合液はマイコバクテリア培養濾液から得られる。より好ましくはこの培養濾液はヨーネ菌JTC303培養濾液である。
【0036】
本発明の実施に有用な培養濾液は、他のマイコバクテリア菌株から得ることも出来る。このような培養濾液は抗原調合液として使用できる。他の培養濾液は又菌株JTC303から得た培養濾液と組み合わせることもできる。好ましくは培養濾液は実験室で保持したヨーネ菌株よりはむしろ臨床的なヨーネ菌株から得るべきである。
【0037】
本発明を実施するためには、熟練技術者は抗原調合液濾液を得るためにマイコバクテリアの増殖に適する他の培地組成、ブロス等を使用することを周知している。これらの培地は種々化合物で修飾、補充したり、酸性化できる。グリセリン添加は細胞の増殖と抗原の収率を増加する。好ましくはその培地はグリセリンベースであるべきである。既存の市販培地も修飾できる。例えば7H9ブロス(ベクトンディキンソン社(Becton Dicknson)、Cockeysville、メリーランド州)では、グルコースをグリセリンで置換して修飾できる。この置換により細菌の増殖が増加され抗原の収率向上をもたらす。培地のpHは好ましくは5.5乃至6.5に維持するべきである。より好ましくはこの培地のpHは約6.0に維持するべきである。好ましい実施様態では、細菌増殖用培地は、pH約6.0に修飾されたワトソン−ライド(Watson−Reid)(WR)ブロス(Sung及びCollins、2003年、Appl. Environ. Microbiol. 69:6833−6840に記載の処方)である。
【0038】
一つの実施例では、初期対数期のヨーネ菌培養物を遠心分離し細菌を(ペレットとして)除去する。次いで残留した水性培養濾液をサイズ排除フィルター、好ましくは分子量5,000のサイズ排除フィルターを用いて濃縮する。又培養濾液は、例えばpH6.8の10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて透析できる。
【0039】
細菌培養物から得た全ての水相は細胞濾液と考えるべきである。例えば、3,000xgで10分間遠心分離を用いて細菌(ペレットとして)を分離した場合、全ての上澄み液は培養濾液と考えるべきである。
【0040】
培養濾液は種々のマイコバクテリアのタンパク質、炭水化物、脂質、代謝物、成長因子などのような種々の抗原化合物を含んでも良い。タンパク質は、例えばリン酸化、グリコシル化、及び/又はアセチル化により更に修飾できる。培養濾液中の化合物は細胞外でも、分泌でも、排泄でも、細菌代謝の副産物などでも良い。通常、培養濾液としては、抗原として作用し、免疫応答を誘発するに必要な化合物を含むことだけが必要である。
【0041】
免疫応答検出用のアッセイを実施する際、抗原を固体担体に付着できる。例えば抗原を用いてELISAのような酵素ベースアッセイ用のミクロプレートウエルを塗布できるが、抗原−抗体相互作用を検出する多くの他の同等技法がある。これには、例えばラジオイムノアッセイ、寒天ゲル免疫拡散法、凝集、補体結合などが挙げられる。
【0042】
一実施態様では、試料をヨーネ菌抗原に接触する前に血清又はミルクのような試料を吸収性抗原と混合する。この吸収性抗原を混合して試料中の非特異性抗原を吸収する。吸収性抗原は吸収性抗原調合液の形で添加できる。これらの吸収性抗原はマイコバクテリアの一タイプ由来でも良い。代わりに複数の異なるマイコバクテリア由来でも良い。好ましくは吸収性抗原はマイコバクテリウムテライ由来又はマイコバクテリウムフレイ由来である。抗原はこれら生物の細胞抽出物であり、最終濃度が希釈試料1ミリリッター当たり約250マイクログラムで、試料の推奨する希釈は1:50である。
【0043】
他の実施態様では、本発明は上記の抗原又は下記の抗原の任意のものに特異的に結合する抗体を提供する。これはパラ結核に特異な抗体である。随意的にはこの抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片、又は一本鎖抗体である。パラ結核に特異な抗体は抗原と結合でき、抗原・抗体複合体を作り出す。
【0044】
一旦抗原・抗体複合体が形成されると、第二の抗体又は同等の検出分子を用いて第一のパラ結核に特異な抗体の存在を検出する。抗原・抗体複合体を第一の抗体と結合するこの第二の抗体と一緒にする。抗原・抗体複合体は固体担体に付着しても良い。次いで結合していない試料成分を除去する。代わりに抗原・抗体複合体を第二の抗体に結合する前に標準的分離法を用いて他の血清成分から分離しても良い。このような分離・精製段階後、第二の抗体を用いて第一の抗体の存在を検出する。代わりに免疫グロブリンと結合する非抗体分子を用いてパラ結核に特異な抗体を検出する。このような分子の例としてはプロテインAとプロテインGが挙げられる。
【0045】
第二の抗体はラベル、例えばビード、放射性同位元素、リガンド、化学発光分子、染料、蛍光分子、又は酵素でラベル化できる。イムノアッセイに有用なラベル化抗体と試薬は米国特許4,490,473に開示されている。
【0046】
ヨウ素−125(125I)又はその他の放射性元素のような放射性ラベルは周知の手法で適用できる。ヨウ素−125(125I)又はその他の放射性ラベルによる抗体ラベル化法は、Greenwood等、1963年、 Biochem. J., 89: 114−123; Harlow 及びLane, 2006年,“ヨウ素による抗体のラベル化”(Labeling Antibodies with Iodine)、コールドスプリングハーバープロトコル(Cold Spring Harbor Protocols)、 pdb.prot4287に示される。
【0047】
蛍光ラベルとこのラベルを抗体に結合する手順は、米国特許4,256,834と米国特許4,261,968に記載されている。ラベル化二次抗体複合体は周知であり、ビオチン化標的を検出するためのラベル化ビオチン結合タンパク質、蛍光物質でラベルしたプロテインAコンジュゲートとプロテインGコンジュゲート、金コンジュゲート、及びゼノン(Zenon)抗体ラベル化技術(インビトロゲン社(Invitrogen)、カルフォルニア州)が挙げられる。
【0048】
多種多様な酵素ラベルが適用でき、これらは技術的に周知の方法により分析に用いられる基質に合わせて選択する。例えば、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ベータグルクロニダーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、ウレアーゼ、ホスファターゼ、及びグルコース酸化酵素のような酵素は、米国特許3,875,011、米国特許3,791,932及び米国特許3,879,362に記載のような技術的に認められた技法で抗体と都合良く結合する。好ましくは酵素免疫アッセイに対して広く使用されるビオチン・アビジンラベル化法を用いて、本発明の免疫グロブリンに特異な抗体又は適切な代替え物をラベルする。
【0049】
代わりに第二の抗体の結合は、この第二の抗体が接着する固体表面との複合体の接着性、又は血清中の補体成分を活性化する複合体の能力、又は技術的に周知な方法で推測することができる。
【0050】
本発明は又ヨーネ菌誘発の免疫応答検出に関する生体外の検定方法に関する。従って哺乳類、好ましくはウシのパラ結核に特異な抗原に対する免疫応答を検出する方法が提供される。この方法は、ヨーネ菌株JTC303培養物の増殖、この培養物の水溶液相から細菌細胞の除去、及び生成物を濃縮して抗原性培養濾液を得、哺乳類からの試料をこの培養濾液とインキュベートし、試料中に抗体の存在を検出してパラ結核に特異な抗原に対する免疫応答を示すことを含む。
【0051】
アッセイ形式は、ウエスタンブロット、放射能免疫沈降法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、又はサンドイッチELISAを含む酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)でも良い。一様態では、JTC−ELISAという名のアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)形式を用いて、血清中のウシ抗体の検出に本発明のJTC303培養濾液の抗原を利用する。
【0052】
この方法はカラムのような固体支持材、計深棒、フィルター又はマイクロタイターディッシュを使用できる。ELISAはラベル化抗免疫グロブリン抗体を用いてパラ結核に特異な抗原と結合する抗体の検出が含まれる。この方法の実施に用いる抗原はヨーネ菌JTC303から得られる。好ましくはこの抗原はヨーネ菌JTC303培養濾液から得られる。ELISA は又競合アッセイでも良い。このアッセイは定量化を含んでも良い。このアッセイは又自動化しても良く、例えば標準ELISAの自動プレート読み取り機を使用してもよい。
【0053】
対象物から得た血清又はミルクを始めとする種々の試料を用いて、対象物のパラ結核に特異な免疫応答の検出を行う。試料採取した対象物は哺乳類でも良い。好ましくはこの哺乳類はヒト又は動物、例えばウシである。
【0054】
従って本発明によりパラ結核、ヨーネ病、クローン病、及び関連腸疾患に対する新規な診断試験が提供される。
【0055】
JTC−ELISAは、全血試料、血清、ミルク、糞便試料、又は他の診断試料を始めとする標的病原体(ヨーネ菌)の抗体を含む種々の試料で使用できる。
【0056】
ある好ましい実施態様では、血清の前吸収後にELISAを実施しても良い。細胞抽出物のタンパク質を用いてこの血清の前吸収を実施しても良い。これらの細胞抽出物のタンパク質は、例えば均質化マイコバクテリウムフレイ又はマイコバクテリウムテライのようなマイコバクテリアから得られる。
【0057】
複合系のような僅かな試薬の修正により、JTC−ELISAは畜牛以外の動物種のパラ結核に特異な抗体の検出に使用できる。これらの哺乳類の種属としては、ヤギ、ヒツジ、バイソン、ラマ、及び他の反芻動物、プセウド反芻動物(pseudo- ruminants)、更にはヒト及びヒト以外の霊長類が挙げられる。
【0058】
本発明は又ヨーネ菌誘発の免疫応答の検出用キットに関する。このキットは、提供試料のパラ結核に特異な抗体(免疫グロブリン(Ig))に免疫学的に結合する抗原を含む。キットはヨーネ菌培養濾液から得た抗原を含んでも良い。好ましくは培養濾液はヨーネ菌株JTC303から得られる。キットは又抗ウシ免疫グロブリン抗体を含んでも良い。
【0059】
感染した雌牛の試料をこの抗原に接触すると、ウシ免疫グロブリン(Ig)抗体は抗原と結合し抗原・抗体(Ig)複合物を形成する。抗ウシIg抗体を用いて提供試料中にパラ結核に特異な抗体(免疫グロブリン)が存在することを検出する。抗ウシIg抗体は、例えばビード、放射性同位元素、リガンド、化学発光分子、蛍光分子、酵素、又は他の検出可能な複合物でラベル出来る。抗ウシIg抗体の検出は定量化できる。
【0060】
代わりの好ましい実施態様では、抗免疫グロブリン抗体は試験すべき検体が得られた種の免疫グロブリンに向かう。例えば試験する検体がヒト被験者から得た場合、抗Ig抗体は抗ヒトIg抗体である。
【0061】
一実施態様では、本発明はウシ科(雌牛)から得た試料中のヨーネ菌抗体アッセイ用のELISA診断キットに関する。好ましくはこのELISAキットは、ヨーネ菌株JTC303の抗原とラベルしても良い抗ウシIg抗体を含む。
【0062】
このキットは血清又はミルクのような哺乳類試料の診断に使用できる。試験した市販のELISAキットと比較すると、JTC−ELISAはバックグランドノイズを顕著に削減する。JTC−ELISAのバックグランドノイズが比較的低いので、熟練工はラベルからの信号を増幅して更に診断試験の信号対ノイズ比を改良できる。好ましい実施態様では、ビオチン・アビジンラベル化法を抗体信号の増幅に用いても良い。
【実施例】
【0063】
本発明は記載の特定の手順、プロトコル、対象物、又は試薬に限定されず、変更できると理解する必要がある。又ここで用いた専門用語は特定の実施態様を説明する目的のためだけに用いており、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、本発明は特許請求の範囲により限定されると理解する必要がある。以下の実施例は説明のために提供するもので、特許請求の発明を限定するものではない。
【0064】
実施例1
ヨーネ菌からの抗原取得
ヨーネ菌の抗原をウシのパラ結核に関する血清診断アッセイ開発の候補として評価した。試験した菌株はヨーネ菌株JTC303、ATCC19698, K10、及びJTC114であった。
【0065】
使用した培地は、Middlebrook 7H (7H9) ブロス(ベクトンディキンソン社(Becton Dickinson)、Cockeysville、メリーランド州)と、0.0002%(重量/容積)Mycobactin J (アライドモニター社(Allied Monitor)、Fayeteivlle、ミズーリ州)を補充した修飾 Watson−Reid (WR) ブロスであった。修飾WR培地のpHは6.0に調整した。
【0066】
抗原は均質化細胞(細胞抽出物(CE))、又は培養濾液(CF)から得た。通常CFは約40倍に濃縮した。
【0067】
ヨーネ菌の培養濾液(CF)又は細胞抽出物(CE)のタンパク質発現プロファイルと抗原性を、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、一次元電気泳動(1−DE)免疫ブロット、二次元電気泳動(2−DE)免疫ブロット、及びELISAにより比較した。ガラスビーズと高速攪拌機を用いて、細胞を機械的に破壊してCEタンパク質を抽出した。固定相の液体培養物の上澄み液からCFタンパク質を収集し、サイズ排除濾過により濃縮した。
【0068】
ヨーネ菌で自然に感染した雌牛の血清を用いて、CFタンパク質とCEタンパク質の抗原性を先ず1−DE免疫ブロットと2−DEブロットで決定した。
【0069】
以前に報告されたように、ヨーネ菌の増殖にどちらの培地(WR対7H9)を用いるかによりCEタンパク質のプロファイルは異なった(Sung及びCollins, 2003年、Appl. Environ. Microbiol. 70: 1688−1697)。図1にWatson−Reid培地で培養(レーン1)した細菌と、7H9培地で培養(レーン2)した細菌のヨーネ菌細胞抽出物のタンパク質と、Watson−Reid培地で培養した細菌の培養濾液のタンパク質(レーン3)のSDS−PAGEイメージを示す。分子量はゲル左側にキロダルトン(kDa)で示す。WR培地で増殖したヨーネ菌の対数期初期培養物で産生のCF抗原が好ましい。
【0070】
免疫ブロットによりCEタンパク質とCFタンパク質間の抗原性の差異が浮き彫りにされた。図2に示すように、培養濾液(CF;レーン3)のタンパク質は、細胞抽出物(CE)のタンパク質(レーン1とレーン2)に比べ感染畜牛の血清により強く反応した。WR培地又は7H9培地で増殖したヨーネ菌から産生したCEタンパク質を免疫ブロットした後に、弱い着色と僅かなバンドが現れた。マイコバクテリウムフレイの細胞抽出物のタンパク質を用いた血清の前吸収後に、これはより明確になった(パネルB)。
【0071】
CE調合液とCF調合液の2−DE免疫ブロットを、マイコバクテリウムフレイによるCEタンパク質の血清吸着ありとなしで実施した。全てのタンパク質の全染色強度を画像解析ソフトウエアで決定比較した。ヨーネ菌で感染した雌牛の血清の全免疫活性は、CEタンパク質よりCFタンパク質に対して強くなり、1−DE免疫ブロットの結果と一致する(図3)。
【0072】
マイコバクテリウムフレイのCEタンパク質による血清吸着により、CE抗原とCF抗原両者の免疫反応点の数が顕著に減少したが、その影響はCFタンパク質よりCEタンパク質のほうが大きかった。幾つかのCFタンパク質は、血清吸着ありでもなしでも同じ免疫ブロットの染色強度を示した。
【0073】
培養濾液のタンパク質間には、細胞抽出物のタンパク質と比べると差が認められた。23×30cmの2−DEゲルの画像解析により、おおよそ400個のCEタンパク質と240個のCFタンパク質に分離された(図3)。図3に示すように、CEタンパク質の質量と等電点は、二次元等電点SDS−PAGE(2−DE)ゲル上で比較的均一に分布した(A)。その一方大部分のCFタンパク質(B)は37 kDaより小さく、酸性等電点の値(pH 4.0乃至pH 5.5)を有した。幾つかのタンパク質は類似の質量であるが異なる等電点の連なった点として出現し、リン酸化、グルコシル化、又はアセチル化により修飾されたタンパク質の存在を示唆した。
【0074】
固相抗原として細胞抽出物(CE)のタンパク質と培養濾液(CF)のタンパク質を用いて、自然にヨーネ菌に感染した畜牛444匹と非感染の畜牛412匹の血清をELISAにより試験した(図4)。CE又はCF(1 μg/ml)を固相抗原に用いた。血清はCEよりCF中でのより多くのタンパク質と強く反応した。CE抗原(斜め縞バー)とCF抗原(黒色バー)の平均ELISA光学濃度は、感染畜牛と非感染畜牛に対してそれぞれ有意に異なる(p<0.0169及びp<0.001)。表2に示すように、ELISAの結果の受診者動作特性(ROC)曲線解析により、CEに比しCFの曲線下面積が有意に大きいことが示された(p<0.05)。
【0075】
培養濾液と細胞抽出物の抗原性を幾つかの実験で直接比較した。ヨーネ菌感染の畜牛の血清400個以上の集団から無作為に選択した血清6個について、免疫ブロットの解析を行った。図5にマイコバクテリウムフレイの細胞抽出物で吸収後のヨーネ菌感染の畜牛6頭の試験血清6個(A−F)の免疫ブロットを示す。この免疫ブロットを3,3‘−ジアミノベンジジン四塩酸塩で展開した。CEタンパク質(A−Fの左レーン)とCFタンパク質(A−Fの右レーン)の免疫ブロットは、CFタンパク質に対してより強い反応性を示した。
【0076】
培養濾液は細胞抽出物より免疫原性タンパク質をより多く有することが見いだされ、CEの代わりにCF誘導のタンパク質を用いることで、ウシのパラ結核に対する血清検査が改良できること示唆する。
【0077】
SDS−PAGEゲルの解析により、大部分のCFタンパク質は低い分子量(<50 kDa)であり、対照的にCEでは大きさが100 kDaまでは均一に分布することが示された。2−DEによりCFタンパク質は大部分がpH4.0と5.5の間の狭い範囲の等電点値を有するが、CEタンパク質はpH4.0乃至7.0で均一に分布する等電点値を有した。
【0078】
実施例2
ヨーネ菌株のCF抗原の比較
JTC303から得た培養濾液の抗原性を、他の菌株から得た培養濾液の抗原性と比較し、より新しい市販のキット(アイデックスラボラトリーズ社(IDEXX Laboratories, Inc.)、 Westbrook, メイン州)と比較した。
【0079】
この実験には貯蔵の非感染雌牛412頭から非感染の雌牛試料44個を選んだ。更に貯蔵の感染雌牛444頭からヨーネ菌感染の雌牛試料48個を試験した。培養濾液の抗原に対するELISA結果の要約を表1に示す。このROC曲線下面積はJCT303抗原に対して遥かに大きく、他の試験したものに比べこの試験が優れていることを示す。
【0080】
【表1】

* 2ヶ月は抗原収集時の培養齢を示し、対数期増殖の初期に近似される。
【0081】
実施例3
ELISA試験の比較
良く特性評価されたウシ血清を用いて、ウシパラ結核用の新規ELISA(JTC−ELISA)を開発評価した。この新規ELISAは分泌ヨーネ菌抗原とマイコバクテリウムフレイ抗原による血清の吸収に基づく。市販のアビジンービオチン複合物系を用いてJTC−ELISAの分析感度が増強される。
【0082】
このJTC−ELISAを前述のウシ血清パネル(Collins等、 2005年、 Clin. Diagn. Lab. Immunol. 12:685−692)上で評価した。パラ結核の症例(n=444)は糞便培養陽性の雌牛であり、対照物(n=412)はパラ結核フリーの7つの米国中西部酪農家畜群に住む雌牛であり、4年以上試験陰性である、即ち自主的ウシヨーネ病プログラムにおいてレベル4であった。
【0083】
JTC−ELISAの結果を、IDEXX社(アイデックスラボラトリーズ社(IDEXX Laboratories, Inc.,Westbrook, メイン州)、CSL/Biocor(CSL/Biocor、Omaha,ネブラスカ州)、Pourquier研究所(Institut Pourquier、Montpelier、フランス)、及びシンビオティックス(シンビオンティック社(Synbiotic Corp., San Diego, カルフォルニア州)により市販のパラ結核ELISAキットで産生の結果とROC(受信者動作特性曲線)分析により比較した。ELISA感度、特異性、及びROC曲線下面積を以下の表にする。
【0084】
比較試験では、JTC−ELISAによるとヨーネ菌に感染し多量のヨーネ菌をその糞便中に排泄する乳牛を診断感度が50%以上で検出同定する。これは試験した既存の市販ELISAキットに比べ有意に大きい。また高い診断特異性(97%以上)を保持し、試験した既存の市販キットよりROC曲線下面積も優れた(表2参照)。
【0085】
これらのデータは、ウシのパラ結核に広く使用される4つの市販ELISAキットに比べ、JTC−ELISAが同等の特異性を持ちながら有意なより高い診断感度を有することを示す。
【0086】
【表2】

C.I.=95%信頼区間
【0087】
本発明は記載の特定の装置、手順、プロトコル、対象、又は試薬に限定されず、変更できると理解する必要がある。又ここで用いた専門用語は特定の実施様態を説明する目的のためだけに使用し、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、本発明はその特許請求の範囲によってだけ制限されると理解する必要がある。診断分析技術の熟知者には明白な種々の条件とパラメーターの他の適切な修正と応用は、本発明の範囲内である。ここに挙げた出版物、特許、及び特許出願の全ては、全ての目的のためにその全てを文献としてここに組み入れる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
2006年8月15日にアメリカンタイプカルチャーコレクションにPTA−7788として寄託した単離されたヨーネ菌株JTC303。
【請求項2】
パラ結核に特異な抗原を産生できる請求項1のヨーネ菌株JTC303の変異体。
【請求項3】
請求項1のヨーネ菌株JTC303又は請求項2の変異体から単離された抗原。
【請求項4】
培養濾液中の請求項3の抗原。
【請求項5】
請求項3の抗原と結合する単離抗体。
【請求項6】
抗体がヨーネ菌株JTC303培養濾液からの抗原と結合する請求項5の抗体。
【請求項7】
モノクローナル抗体である請求項5又は請求項6の抗体。
【請求項8】
ポリクローナル抗体である請求項5又は請求項6の抗体。
【請求項9】
ラベル化した請求項5乃至請求項8のいずれか一つの抗体。
【請求項10】
被検物のパラ結核に特異な抗原に対する免疫応答検出法であって、
(a)被検物の試料をヨーネ菌株JTC303から得た培養濾液と接触し、
(b)試料中の抗原に結合した抗体の存在を検出して、パラ結核に特異な抗原に対する免疫応答を示す、
ステップを含む方法。
【請求項11】
更にマイコバクテリウム細胞抽出物を用いて非特異性抗体を吸収することを含む請求項10の方法であって、この試料を培養濾液と接触する前に吸収を実施する方法。
【請求項12】
細胞抽出物がマイコバクテリウムフレイ又はマイコバクテリウムテライからのものである請求項11の方法。
【請求項13】
ステップ(b)が酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用することを含む請求項10又は請求項11の方法。
【請求項14】
ELISAが少なくとも感度50%以上を有し、少なくとも97%の特異性を有する請求項13の方法。
【請求項15】
被検物がヒトである請求項10乃至14のいずれか一つの方法。
【請求項16】
被検物がウシである請求項10乃至14のいずれか一つの方法。
【請求項17】
試料が血清である請求項10乃至14のいずれか一つの方法。
【請求項18】
試料がミルクである請求項10乃至14のいずれか一つの方法。
【請求項19】
被検体のパラ結核に特異な抗原に対する免疫応答検出用キットであり、
(a)ヨーネ菌株JTC303のパラ結核に特異な抗原と、
(b)被検物に特異な抗免疫グロブリン抗体を含む
キット。
【請求項20】
更に吸収抗原調合液を含む請求項19のキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−502729(P2010−502729A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527538(P2009−527538)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/077625
【国際公開番号】WO2008/030865
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(509067485)ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファウンデーション (2)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】