説明

ライセンス確認装置

【課題】ネットワークのトラフィックを増大させずに、フローティングライセンスされているソフトウェアが起動可能な装置を探索する。
【解決手段】
複数のファイルサーバのいずれかで所定のソフトウェアを動作させるためのライセンス確認を行うスキャナ1とを備えたネットワークシステム9で、スキャナ1は、ファイルサーバのそれぞれに対して、各ファイルサーバで動作するソフトウェアのライセンスタイプを問い合わせ12、ライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明したフローティングタイプサーバのうちの一つに対して、ネットワーク9内でフローティングライセンスによるソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせ13、これら2つの問い合わせ結果に基づいて、ソフトウェアが動作可能なファイルサーバを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されている複数の情報処理装置のいずれかで所定のソフトウェアを動作させるためにライセンス確認を行うための技術に関し、特に、その際にネットワークの負荷を増大させずに行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェアのライセンス方式には、大きく分けて二通りがある。すなわち、一方は動作させるコンピュータが特定されているノードロックライセンス方式であり、他方は動作させるコンピュータを特定せずに所定のネットワーク上での使用上限数が定められているフローティングライセンス方式である。
【0003】
ノードロックライセンス方式の場合、ソフトウェアを起動するときにネットワークにパケットを出力することはなく、そのコンピュータ内でライセンスの確認が行われる。
【0004】
これに対しフローティングライセンス方式では、ネットワーク内にライセンスを管理するライセンス管理サーバを備えた管理方式の場合、ソフトウェアを起動するときにこのライセンス管理サーバへライセンスに空きがあるか否かを問い合わせる。また、ライセンス管理サーバを備えないライセンス管理方式の場合、ソフトウェアを起動するときにネットワークに対して起動確認のためのパケットをマルチキャストまたはブロードキャストし、ライセンスに空きがあるか否かを確認している(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−222021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ライセンス確認を行うデータ送信装置と複数のデータ受信装置とがネットワーク接続されているとき、データ送信装置がネットワークに対してデータ受信装置を探索するためのパケットをマルチキャストまたはブロードキャストし、それに対する応答に基づいてデータの受信が可能な状態であるデータ受信装置を特定することはしばしば行われる。
【0006】
そこで、データ受信装置で動作するデータ受信ソフトがフローティングライセンスされているとき、上記のようにデータ送信装置から所定の探索パケットをマルチキャストまたはブロードキャストすると、以下のような問題が生じ得る。すなわち、上記データ受信装置を探索するためのパケットを受信した各データ受信装置が、フローティングライセンスの起動確認のためのパケットをマルチキャストまたはブロードキャストすれば、多数のデータ受信装置がほぼ同時にマルチキャストまたはブロードキャストすることになり、ネットワークのトラフィックが急増する。この結果、最悪の場合にはネットワークがダウンするおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ネットワークのトラフィックを増大させずに、フローティングライセンスされているソフトウェアが起動可能な装置を探索するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様に従うライセンス確認装置は、複数の情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記複数の情報処理装置のいずれかで所定のソフトウェアを動作させるためのライセンス確認を行うライセンス確認装置である。そして、前記複数の情報処理装置のそれぞれに対して、各情報処理装置で動作する前記ソフトウェアのライセンスタイプを問い合わせる第1の問い合わせ手段と、前記第1の問い合わせ手段による問い合わせによりライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明した情報処理装置のうちの一つに対して、前記ネットワーク内でフローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせる第2の問い合わせ手段と、第1及び第2の問い合わせ手段による問い合わせ結果に基づいて、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置を特定する手段と、を備える。
【0009】
好適な実施形態では、前記ライセンス確認装置の特定手段は、(1)、(2)の情報処理装置が、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置であると特定してもよい。
(1)前記第1の問い合わせ手段による問い合わせによりライセンスタイプがノードロックライセンスであると判明したすべてのノードロックタイプ情報処理装置
(2)前記第2の問い合わせ手段による問い合わせの結果、フローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能であるときは、すべての前記フローティングタイプ情報処理装置
【0010】
好適な実施形態では、前記特定手段により特定された前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置から一つの情報処理装置を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された情報処理装置がフローティングタイプ情報処理装置であるとき、当該選択されたフローティングタイプ情報処理装置に対して、前記ソフトウェアの起動を指示する起動手段をさらに備えてもよい。
【0011】
好適な実施形態では、前記特定手段により特定された前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置の識別情報を表示する表示手段をさらに備える。そして、前記選択手段は、前記表示手段に識別情報が表示された情報処理装置の中から、ユーザが所望する一つの情報処理装置を選択するようにしてもよい。
【0012】
好適な実施形態では、前記ソフトウェアはデータを受信するためのソフトウェアであってもよい。この場合、前記ライセンス確認装置は、前記起動手段が前記ソフトウェアの起動を指示した情報処理装置に対してデータを送信する送信手段をさらに備える用にしてもよい。
【0013】
本発明の一実施態様に従うネットワークシステムは、複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記複数の情報処理装置のいずれかで所定のソフトウェアを動作させるためのライセンス確認を行うライセンス確認装置とを備えたネットワークシステムである。そして、前記ライセンス確認装置は、前記複数の情報処理装置のそれぞれに対して、各情報処理装置で動作する前記ソフトウェアのライセンスタイプを問い合わせる第1の問い合わせ手段と、前記第1の問い合わせ手段による問い合わせによりライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明したフローティングタイプ情報処理装置のうちの一つに対して、前記ネットワーク内でフローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせる第2の問い合わせ手段と、第1及び第2の問い合わせ手段による問い合わせ結果に基づいて、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置を特定する手段と、を備える。さらに、前記それぞれの情報処理装置は、前記第1の問い合わせ手段による問い合わせに基づいて、予め定められている自装置のライセンスタイプを返信する手段と、自装置のライセンスタイプがフローティングライセンスである場合、前記第2の問い合わせ手段による問い合わせに基づいて、前記ネットワーク内で起動済みの前記ソフトウェア数がフローティングライセンスの上限数に達しているか否かを判定し、その判定結果を前記ライセンス確認装置へ送信する手段と、を備える。
【0014】
本発明の一実施態様に従う情報処理装置は、ネットワークに接続され、所定のプログラムが動作可能な情報処理装置であって、前記ネットワークに接続された他の装置から前記プログラムのライセンスタイプの問い合わせを受けると、予め定められている自装置のライセンスタイプを返信する手段と、自装置のライセンスタイプがフローティングライセンスである場合、前記他の装置からの問い合わせに基づいて、前記ネットワーク内で起動済みの前記ソフトウェア数がフローティングライセンスの上限数に達しているか否かを判定し、判定結果を前記他の装置へ送信する手段と、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るネットワークシステムについて図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態に係るネットワークシステムの構成図を図1に示す。本システムは、ネットワーク通信機能を有するスキャナ1と複数台のファイルサーバ2(2a,2b,2c)とを備え、それらが互いにネットワーク9を介して接続されている。そして、スキャナ1が備えるスキャナ機構100が読み込んだ画像データ等をいずれかのファイルサーバ2a,2b,2cへ転送する。
【0017】
ファイルサーバ2a,2b,2cは、特に相違点として指摘する点を除き、いずれも共通の構成を備える。そこで、各ファイルサーバ2a,2b,2cを特に区別する必要がある場合を除き、ファイルサーバ2として説明する。
【0018】
このとき、データ受信のための情報処理装置であるファイルサーバ2では、データを送信するスキャナ1から送信されたデータを受信するためのソフトウェア(以下、受信ソフトという)3を必要とする。この受信ソフト3のライセンス管理の形態には、特定のファイルサーバ2でのみ動作が可能なノードロックライセンス方式(以下、単にノードロックまたはノードロックライセンスという)と、動作するファイルサーバ2を特定せずネットワーク上で同時に動作可能なソフトウェアの上限数が定められているフローティングライセンス方式(以下、単にフローティングまたはフローティングライセンスという)とがある。そして、ファイルサーバ2ごとにいずれのライセンス形態であるかが予め定められている。
【0019】
本実施形態では、ネットワーク9にフローティングライセンスの対象となるファイルサーバ(以下、フローティングタイプサーバという)2だけが接続されている場合、あるいは、ノードロックライセンスの対象となるファイルサーバ(以下、ノードロックタイプサーバという)2及びフローティングタイプサーバ2の両方が接続されている場合について説明する。
【0020】
スキャナ1は、画像を光学的に読み取るスキャナ機構100と、液晶パネルなどの表示部110と、ネットワーク通信機構10とを備える。ネットワーク通信機構10は、例えばマイクロプロセッサ及びメモリ等を備えたコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
ネットワーク通信機構10には、ネットワークインタフェース11と、ライセンスタイプ探索部12と、フローティングライセンス確認部13と、ファイルサーバ情報記憶部14と、表示制御部16と、データ送信部17とを備える。
【0022】
ネットワークインタフェース11は、ネットワーク9に対するデータ入出力を制御する。例えば、ネットワークインタフェース11は、ネットワーク9に対してライセンス探索パケットをマルチキャストしたり、ライセンス確認パケットを特定のファイルサーバに対してユニキャストしたりする。また、ネットワーク9からパケットを取り込んだとき、取り込んだパケットのタイプを判定する。判定の結果、パケットがライセンス探索応答パケットであるときは、ライセンスタイプ探索部12へ渡し、パケットがライセンス確認応答パケットであるときは、フローティングライセンス確認部13へ渡す。なお、上記各パケットの詳細については後述する。
【0023】
ライセンスタイプ探索部12は、ライセンスタイプ探索パケットを生成し、このパケットをネットワークインタフェース11を介してネットワーク9に接続された他の装置へマルチキャストする。ここで、ライセンスタイプ探索パケット(以下、探索パケットという)とは、ネットワーク9に接続されているファイルサーバ2の中でフローティングタイプサーバ2を探索するためのパケットである。
【0024】
ライセンスタイプ探索部12が、各ファイルサーバ2がこの探索パケットに対して応答したライセンスタイプ探索応答パケット(以下、探索応答パケットという)を、ネットワークインタフェース11を介して受信すると、それぞれの探索応答パケットの内容を確認する。探索応答パケットには、それを作成したファイルサーバ2の識別情報(例えば、MACアドレス、IPアドレス等)とライセンスタイプを示す情報とが格納されている。ライセンスタイプ探索部12は、探索応答パケットに含まれている情報をファイルサーバ情報記憶部14に格納する。
【0025】
ファイルサーバ情報記憶部14は、例えば図2に示すようなファイルサーバ情報140が格納されている。すなわち、ファイルサーバ情報140は、ファイルサーバ2の識別情報141と、それぞれのライセンスタイプ142と、データ受信が可能な状態であるか否かを示すデータ受信可否143とが対応付けて記憶されている。上記探索パケットにより、識別情報141及びライセンスタイプ142が設定される。
【0026】
データ受信可否143は、それぞれのファイルサーバ2で受信ソフト3が既に起動されているか、あるいは即時起動可能であるときに「受信可」となり、それ以外のとき(起動されていないか、即時起動不可のとき)に「受信不可」となる。従って、ノードロックタイプサーバの場合は、常に「受信可」である。フローティングタイプサーバの場合、既に受信ソフト3が起動されているファイルサーバは「受信可」である。一方、受信ソフト3が起動されていない場合、ライセンスに空きがある場合は受信ソフト未起動のすべてのフローティングタイプサーバ2が「受信可」となるが、ライセンスに空きがない場合は受信ソフト未起動のすべてのフローティングタイプサーバ2が「受信不可」となる。
【0027】
再び図1を参照すると、フローティングライセンス確認部13は、ファイルサーバ情報記憶部14を参照して、フローティングタイプサーバ2を特定し、そのうちのいずれか一つにライセンス確認パケットを、ネットワークインタフェース11を介してユニキャストする。ここで、ライセンス確認パケット(以下、確認パケットという)とは、フローティングタイプサーバ2に対して、現時点でのフローティングライセンスの空きがあるかどうかを確認するためのパケットである。
【0028】
フローティングライセンス確認部13は、フローティングタイプサーバ2がこの確認パケットに対して応答したフローティングライセンス確認応答パケット(以下、確認応答パケットという)を、ネットワークインタフェース11を介して受信する。そして、フローティングライセンス確認部13は、その内容を確認してフローティングライセンスの空きの有無を把握し、ファイルサーバ情報記憶部14のフローティングタイプサーバ2のデータ受信可否143を設定する。
【0029】
表示制御部16は、ファイルサーバ情報記憶部14を参照し、受信可否143が「受信可」であるファイルサーバの識別情報を表示部110に表示する。このときの表示の一例を図3に示す。図3に示す受信可能ファイルサーバ選択画面200に表示されているファイルサーバ2の中から、ユーザは所望のファイルサーバ2を選択することができる。ここで選択されたファイルサーバ2の識別情報は、データ送信部17へ通知される。
【0030】
改めて図1を参照すると、データ送信部17は、ユーザに選択されたファイルサーバ2に対して、スキャナ機構100が読み取った画像データを送信する。この際、ユーザに選択されたファイルサーバ2がフローティングタイプサーバであり、かつ、受信ソフト3が起動していない場合は、データ送信部17が画像データの送信に先だって送信先となる選択されたフローティングタイプサーバ2に対して受信ソフト3の起動を指示する。
【0031】
ファイルサーバ2は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0032】
図1では、各ファイルサーバ2a、2b、2cを代表してファイルサーバ2aの構成を示しており、以下これを用いてファイルサーバ2の構成を説明する。
【0033】
ファイルサーバ2は、ネットワークインタフェース21と、ライセンスタイプ確認部22と、ライセンス情報記憶部23と、フローティングライセンス管理部24とを備える。
【0034】
ネットワークインタフェース21は、ネットワーク9に対するデータ入出力を制御する。例えば、ネットワークインタフェース21は、スキャナ1から送られた探索パケット及び確認パケットを受信する。また、探索パケット及び確認パケットのそれぞれに対する応答である探索応答パケット及び確認応答パケットをスキャナ1へ送信する。
【0035】
ライセンス情報記憶部23には、それぞれ自ファイルサーバ2のライセンスタイプが記憶されている。さらに、フローティングライセンスの場合、ライセンスされている上限数も合わせて格納されている。そこで、図1の場合、ファイルサーバ2a、2bはフローティングタイプサーバであるから、ファイルサーバ2a、2bのライセンス情報記憶部23には、フローティングライセンスを示す情報及びライセンスの上限数が格納されており、ファイルサーバ2cはノードロックタイプサーバであるから、ファイルサーバ2cのライセンス情報記憶部23には、ノードロックライセンスを示す情報が格納されている。
【0036】
ライセンスタイプ確認部22は、ネットワークインタフェース21を介して探索パケットを受信すると、ライセンス情報記憶部23を参照して探索応答パケットを生成し、送信元に対してネットワークインタフェース21を介して返信する。探索応答パケットには、自サーバの識別情報及びライセンス情報記憶部23に記憶されている自サーバのライセンスタイプが格納される。
【0037】
フローティングライセンス管理部24は、フローティングタイプサーバ2のみが備え、ノードロックタイプサーバでは省略可能である。従って、本実施形態ではファイルサーバ2cは、フローティングライセンス管理部24を備えていなくてもよい。
【0038】
フローティングライセンス管理部24は、ネットワークインタフェース21を介して確認パケットを受信すると、フローティングライセンスに空きがあるか否か、すなわち、既にネットワーク9上でフローティングライセンスの上限数だけ起動されているか否かを確認する。そして、フローティングライセンスの空きの有無などを格納した確認応答パケットを生成し、ネットワークインタフェース21を介して送信元へ返信する。
【0039】
フローティングライセンスの空きの確認は、フローティングライセンス管理部24がフローティングライセンスの起動確認パケットをネットワーク9に対してマルチキャストして行う。そして、フローティングライセンス管理部24が、他のファイルサーバ2から起動確認応答パケットを受信すると、ネットワーク9内で既に起動しているフローティングライセンスの受信ソフト数を計数する。ここで、起動済みの受信ソフト数よりも予めフローティングライセンスされている上限のライセンス数が多いときは、まだ起動可能であるので、ライセンスに空きがあると判定し、起動済みの受信ソフト数が上限のライセンス数に達しているときは、ライセンスに空きがないと判定する。
【0040】
一方、フローティングライセンス管理部24が上記の起動確認パケットを受信すると、自ファイルサーバ2内でデータ受信ソフトが起動されているか否かを確認し、その結果を含む起動確認応答パケットを生成して、送信元へ返信する。
【0041】
次に、上記のような構成を備えたネットワークシステムにおいて、全体の処理手順を図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0042】
まず、スキャナ1のスキャナ機構100が画像データをスキャンする(S1)。そして、このスキャンした画像データをいずれかのファイルサーバ2へ転送するために、スキャナ1はデータの受信が可能なファイルサーバ2を特定する(S2)。このステップS2の詳細な手順は後述する。
【0043】
ステップS2で受信可能なファイルサーバ2が特定されると、スキャナ1は図3に示すようなファイルサーバ選択画面200を表示部110に表示させて、ユーザに転送先のファイルサーバを選択させる(S3)。転送先のファイルサーバ2が選択されると、選択されたファイルサーバ2で受信ソフト3が未起動の場合は、スキャナ1のデータ送信部17が受信ソフト3を起動させた後、そのファイルサーバ2に対して画像データを転送する(S4)。
【0044】
これにより、フローティングライセンスされている受信ソフトを用いてデータを受信するファイルサーバ2を動的に特定することができる。
【0045】
つぎに、上記ステップS2のデータ受信が可能なファイルサーバを特定する手順を、図5に示すシーケンスチャートに従って説明する。
【0046】
まず、スキャナ1のライセンスタイプ探索部12が生成した探索パケットがネットワーク9に対してマルチキャストされると、各ファイルサーバ2a,2b,2cがこの探索パケットを取り込む(S21)。そして、各ファイルサーバ2a,2b,2cのライセンスタイプ確認部22が自らのライセンスタイプを確認し、これを格納した探索応答パケット生成してスキャナ1へ返信する(S22)。
【0047】
スキャナ1では、各ファイルサーバ2a,2b,2cからの探索応答パケットを受信することにより、ネットワーク9内に存在するフローティングタイプサーバ2を特定することができる。そして、スキャナ1が、フローティングライセンス確認部13が生成した確認パケットをフローティングタイプサーバ2のうちのいずれか一つへ送信する。本実施形態ではファイルサーバ2a,2bがフローティングタイプサーバなので、このうちファイルサーバ2aへ確認パケットをユニキャストする(S23)。
【0048】
確認パケットが送られたファイルサーバ2aでは、フローティングライセンス管理部24が生成したフローティングライセンス起動確認パケットをネットワーク9に対してマルチキャストする(S24)。そして、このマルチキャストされた起動確認パケットを取り込んだファイルサーバ2bのフローティングライセンス管理部24が、自らの中で受信ソフトが起動しているか否かを示す情報を含む起動確認応答パケットを生成し、ファイルサーバ2aへ返信する(S25)。
【0049】
ファイルサーバ2aは、起動確認応答パケットを受信すると、現在起動中のフローティングライセンスの受信ソフト数を把握できるので、これにより空きライセンスの有無も知ることができる。そして、ファイルサーバ2aのフローティングライセンス管理部24が空きライセンスの有無を格納した確認応答パケットを生成し、スキャナ1へ送信する(S26)。
【0050】
これにより、スキャナ1は、各ファイルサーバ2がノードロックタイプであるか、フローティングタイプであるかを把握できるとともに、フローティングライセンスに空きがあるか否かを把握できる。従って、受信ソフトが起動されているかあるいは起動可能であるファイルサーバ2を特定できる。ここで、受信ソフトが起動されているかあるいは起動可能であるということは、すなわち、そのファイルサーバ2へデータ転送可能であることを意味する。
【0051】
本実施形態では、確認パケットが1台のファイルサーバにだけ送信されるので、フローティングライセンスの起動確認パケットをマルチキャストするファイルサーバも1台だけである。これにより、多数のファイルサーバ2が同時にマルチキャストを行ってトラフィックを増大させ、ネットワークが不安定化することを回避できる。
【0052】
なお、スキャナ1からの確認パケットの送信先のファイルサーバは1台あれば十分であるが、必ずしも1台でなくてもよい。例えば、ネットワークが不安定化しない範囲であれば2台以上のファイルサーバへ確認パケットを送信するようにしてもよい。
【0053】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0054】
例えば、ライセンス確認装置であるスキャナにフローティングタイプサーバの識別情報を予め登録しておけば、探索パケットのマルチキャストを省略可能である。
【0055】
また、上記実施形態ではデータを送信するスキャナが受信ソフトのライセンス確認を行っているが、他のソフトウェアのライセンス確認を同時に行うようにしてもよい。この場合、ファイルサーバ情報140では、ソフトウェアの種類ごとにライセンスタイプが記憶される。さらに、ライセンスに使用できる機能が異なるなどのレベルがある場合、さらにレベル別に管理される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの構成図である。
【図2】ファイルサーバ情報140の一例を示す図である。
【図3】受信可能ファイルサーバ選択画面の一例を示す図である。
【図4】ネットワークシステム全体の処理手順を示す図である。
【図5】受信可能なサーバを特定する手順を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1…スキャナ、2、2a,2b,2c…ファイルサーバ、3…受信ソフト、12…ライセンスタイプ探索部、13…フローティングライセンス確認部、14…ファイルサーバ情報記憶部、16…表示制御部、17…データ送信部、21…ネットワークインタフェース、22…ライセンスタイプ確認部、23…ライセンス情報記憶部、24…フローティングライセンス管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記複数の情報処理装置のいずれかで所定のソフトウェアを動作させるためのライセンス確認を行うライセンス確認装置であって、
前記複数の情報処理装置のそれぞれに対して、各情報処理装置で動作する前記ソフトウェアのライセンスタイプを問い合わせる第1の問い合わせ手段と、
前記第1の問い合わせ手段による問い合わせによりライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明した情報処理装置のうちの一つに対して、前記ネットワーク内でフローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせる第2の問い合わせ手段と、
前記第1及び第2の問い合わせ手段による問い合わせ結果に基づいて、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置を特定する手段と、を備えるライセンス確認装置。
【請求項2】
前記特定手段は、(1)及び(2)の情報処理装置が、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置であると特定する請求項1記載のライセンス確認装置。
(1)前記第1の問い合わせ手段による問い合わせによりライセンスタイプがノードロックライセンスであると判明したすべてのノードロックタイプ情報処理装置
(2)前記第2の問い合わせ手段による問い合わせの結果、フローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能であるときは、すべての前記フローティングタイプ情報処理装置
【請求項3】
前記特定手段により特定された前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置から一つの情報処理装置を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された情報処理装置がフローティングタイプ情報処理装置であるとき、当該選択されたフローティングタイプ情報処理装置に対して、前記ソフトウェアの起動を指示する起動手段をさらに備える請求項1記載のライセンス確認装置。
【請求項4】
前記特定手段により特定された前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置の識別情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記表示手段に識別情報が表示された情報処理装置の中から、ユーザが所望する一つの情報処理装置を選択する請求項3記載のライセンス確認装置。
【請求項5】
前記ソフトウェアはデータを受信するためのソフトウェアであり、
前記起動手段が前記ソフトウェアの起動を指示した情報処理装置に対してデータを送信する送信手段をさらに備える請求項3または4記載のライセンス確認装置。
【請求項6】
複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記複数の情報処理装置のいずれかで所定のソフトウェアを動作させるためのライセンス確認を行うライセンス確認装置とを備えたネットワークシステムであって、
前記ライセンス確認装置は、
前記複数の情報処理装置のそれぞれに対して、各情報処理装置で動作する前記ソフトウェアのライセンスタイプを問い合わせる第1の問い合わせ手段と、
前記第1の問い合わせ手段による問い合わせによりライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明したフローティングタイプ情報処理装置のうちの一つに対して、前記ネットワーク内でフローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせる第2の問い合わせ手段と、
第1及び第2の問い合わせ手段による問い合わせ結果に基づいて、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置を特定する手段と、を備え、
前記それぞれの情報処理装置は、
前記第1の問い合わせ手段による問い合わせに基づいて、予め定められている自装置のライセンスタイプを返信する手段と、
自装置のライセンスタイプがフローティングライセンスである場合、前記第2の問い合わせ手段による問い合わせに基づいて、前記ネットワーク内で起動済みの前記ソフトウェア数がフローティングライセンスの上限数に達しているか否かを判定し、その判定結果を前記ライセンス確認装置へ送信する手段と、を備えるネットワークシステム。
【請求項7】
ネットワークに接続され、所定のプログラムが動作可能な情報処理装置であって、
前記ネットワークに接続された他の装置から前記プログラムのライセンスタイプの問い合わせを受けると、予め定められている自装置のライセンスタイプを返信する手段と、
自装置のライセンスタイプがフローティングライセンスである場合、前記他の装置からの問い合わせに基づいて、前記ネットワーク内で起動済みの前記ソフトウェア数がフローティングライセンスの上限数に達しているか否かを判定し、判定結果を前記他の装置へ送信する手段と、を備える情報処理装置。
【請求項8】
複数の情報処理装置とネットワークを介して接続されたライセンス確認装置が、前記複数の情報処理装置のいずれかで動作させる所定のソフトウェアのライセンス確認を行う方法であって、
前記複数の情報処理装置のそれぞれに対して、各情報処理装置で動作する前記ソフトウェアのライセンスタイプの問い合わせを行うステップと、
前記問い合わせによりライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明した情報処理装置のうちの一つに対して、前記ネットワーク内でフローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせるステップと、
前記二つの問い合わせ結果に基づいて、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置を特定するステップと、を備えるライセンス確認方法。
【請求項9】
ネットワークに接続され、所定のプログラムが動作可能な情報処理装置が行うライセンス確認のための方法であって、
前記ネットワークに接続された他の装置から前記プログラムのライセンスタイプの問い合わせを受けると、予め定められている自装置のライセンスタイプを返信するステップと、
自装置のライセンスタイプがフローティングライセンスである場合、前記他の装置からの問い合わせに基づいて、前記ネットワーク内で起動済みの前記ソフトウェア数がフローティングライセンスの上限数に達しているか否かを判定し、判定結果を前記他の装置へ送信するステップと、を備えるライセンス確認方法。
【請求項10】
複数の情報処理装置とネットワークを介して接続されたライセンス確認装置が、前記複数の情報処理装置のいずれかで動作させる所定のソフトウェアのライセンス確認を行うためのコンピュータプログラムであって、
前記ライセンス確認装置に実行されると、
前記複数の情報処理装置のそれぞれに対して、各情報処理装置で動作する前記ソフトウェアのライセンスタイプの問い合わせを行うステップと、
前記問い合わせによりライセンスタイプがフローティングライセンスであると判明した情報処理装置のうちの一つに対して、前記ネットワーク内でフローティングライセンスによる前記ソフトウェアのさらなる起動が可能か否かを問い合わせるステップと、
前記二つの問い合わせ結果に基づいて、前記ソフトウェアが動作可能な情報処理装置を特定するステップと、が行われるコンピュータプログラム。
【請求項11】
ネットワークに接続され、所定のプログラムが動作可能な情報処理装置に実行されると、
前記ネットワークに接続された他の装置から前記プログラムのライセンスタイプの問い合わせを受けると、予め定められている自装置のライセンスタイプを返信するステップと、
自装置のライセンスタイプがフローティングライセンスである場合、前記他の装置からの問い合わせに基づいて、前記ネットワーク内で起動済みの前記ソフトウェア数がフローティングライセンスの上限数に達しているか否かを判定し、判定結果を前記他の装置へ送信するステップと、が行われるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−202164(P2006−202164A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15011(P2005−15011)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】