説明

ライティングダクトシステム

【課題】給電部を基端部に設けることなくライティングダクトを左右対称に構成して、給電を行うことができる給電部を有するライティングダクトシステムを提供する。
【解決手段】ライティングダクトシステム1は、少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられこの灯具と電気的に接続可能であって、互いに絶縁された一対の導電バー8を有し、この一対の導電バー8をそれぞれ対向するように保持する一対の側壁及び貫通孔が設けられ、前記一対の側壁を接続する上壁を有し下面が開放した長尺状のライティングダクト2と、このライティングダクト2を天井面に固定するための固定部3と、前記一対の導電バー8とそれぞれ電気的に接続される接続端子部10を有する給電部6と、外部電源と接続され、天井面側から前記貫通孔を通って前記給電部6の前記接続端子部10と電気的に接続される接続線5と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられ電気的に接続されるライティングダクトと、接続線を電気的に接続してライティングダクトに電源を供給するための給電部とを有するライティングダクトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、主に住宅用照明器具として、少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられ電気的に接続されるライティングダクトを有するライティングダクトシステムが用いられている。
【0003】
このようなライティングダクトシステムは、例えば引掛シーリングに接続された接続線を電気的に接続してライティングダクトの前記灯具に電源を供給するための給電部を有して構成されている。
【0004】
また、ライティングダクトは、長手方向の略中心位置に配設された固定部によって天井面に固定されるようになっている。
【0005】
例えば、特許文献1には、カバーを利用して、給電部を構成する接続具本体の梱包を簡略化する等を目的として、前記接続具本体をライティングダクトの基端部の開口に嵌装し、この接続具本体の基端部にカバーを被着させたもので、カバーの開口した一端部の内壁面と接続具本体の基端部外側面に、接続具本体の先端部をカバーの他端部側に位置させた収納状態と、接続具本体の先端部をカバーの一端部の開口より外方向に突出させる使用状態とにおいて互いに係合する係合部とを有するライティングダクトの電源接続ユニットに関する技術が開示されている。
【特許文献1】実公平5−31835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来技術では、給電部を構成する接続具本体が、ライティングダクトの基端部に配設された構成であるため、ライティングダクトの中心に対して、ライティングダクトシステム全体が左右対称にならず、外観が損なってしまうといった不都合があった。
【0007】
また、前記従来技術において、ライティングダクトは、着脱自在な灯具がこのライティングダクトの長手方向にスライド可能に構成され、前記接続具本体を介して電源が灯具に給電される構成となっているので、例えば、複数の灯具が前記接続具本体近傍に配置された場合には、この接続具本体の重みに起因してライティングダクトが撓んでしまうといった虞れもある。
【0008】
さらに、前記特許文献1では、ライティングダクト基端部に設けられた前記接続具本体に直接、引掛シーリングの接続線(電源線)が引き込まれて電気的に接続された構成であるため、左右対称ではないものと同様に外観が損なってしまうといった不都合もあった。
【0009】
そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、給電部を基端部に設けることなくライティングダクトを左右対称に構成して、給電を行うことができる給電部を有するライティングダクトシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明のライティングダクトシステムは、少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられるとともに、この灯具と電気的に接続可能であって、互いに絶縁された一対の導電バーを有し、この一対の導電バーをそれぞれ対向するように保持する一対の側壁及び貫通孔が設けられ、前記一対の側壁を接続する上壁を有するとともに、下面が開放した長尺状のライティングダクトと;前記ライティングダクトに設けられ、このライティングダクトを天井面に固定するための固定部と;前記一対の導電バーとそれぞれ電気的に接続される接続端子部を有する給電部と;外部電源と接続されるとともに、天井面側から前記貫通孔を通って前記給電部の前記接続端子部と電気的に接続される接続線と;を具備している。
【0011】
請求項1の発明のライティングダクトシステムにおいて、前記給電部は、前記ライティングダクトの基端部以外の位置、例えばライティングダクトの長手方向の略中心部に固定、又は長手方向にスライド可能な装着される。この場合、前記給電部は、ライティングダクトの長手方向の略中心部近傍に配置することが望ましい。
【0012】
また、前記給電部は、前記接続端子と前記導電バーとを導通状態にしたときは、この状態を保持することができるようになっている。このことにより、確実に電源を前記灯具に給電することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明のライティングダクトシステムは、請求項1に記載のライティングダクトシステムにおいて、前記接続端子部は、前記導電バーと電気的に接触可能な接触刃を有し、この接触刃が前記導電バーに接触したときに、前記導電バーに電源を供給することを特徴とする。
【0014】
請求孔2の発明において、前記接続端子部は、前記ライティングダクト内に固定されていてもよいし、長手方向に移動可能な構成であっても良い。
【0015】
請求項3に記載の発明のライティングダクトシステムは、請求項2に記載のライティングダクトシステムにおいて、前記給電部は、ライティングダクトの開放した下面側から器具本体に取り付けられると共に、前記給電部を回転させることで、前記接触刃を前記導電バーに接触させると同時に給電部をライティングダクトに保持する接触状態、又は前記接触刃を前記導電バーと非接触部にすると同時に給電部をライティングダクトに対して移動可能とする非接触状態とすることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明において、前記給電部を回転させて前記接触刃を導電バーに接触させた際に、給電部をライティングダクトに保持する接触状態、又は前記接触刃を前記導電バーと非接触部にすると同時に給電部をライティングダクトに対して移動可能とする非接触状態とするのに必要な所定の接触圧が得られるような構成が望ましい。
【0017】
請求項4に記載の発明のライティングダクトシステムは、請求項2に記載のライティングダクトシステムにおいて、前記給電部は、カム部を有し、このカム部を回転させることで、前記接触刃を前記導電バーに接触させると同時に給電部をライティングダクトに保持する接触状態、又は前記接触刃を前記導電バーと非接触部にすると同時に給電部をライティングダクトに対して移動可能とする非接触状態とすることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明において、前記給電部にカム部を設けた場合でも、前記給電部を回転させて前記接触刃を導電バーに接触させた際に、給電部をライティングダクトに保持する接触状態、又は前記接触刃を前記導電バーと非接触部にすると同時に給電部をライティングダクトに対して移動可能とする非接触状態とするのに必要な所定の接触圧が得られるような構成が望ましい。
【0019】
請求項5に記載の発明のライティングダクトシステムは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のライティングダクトシステムにおいて、前記給電部の接続端子部は、前記接続線の基端部とプラグイン接続されることを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明において、前記接続端子部は、止めネジ等によって前記接続線の基端部とプラグイン接続することか望ましい。
【0021】
請求項6に記載の発明のライティングダクトシステムは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のライティングダクトシステムにおいて、前記給電部の接続端子部は、板バネを有し、前記接続線の基端部とこの板バネとが接続されるSL端子構造であることを特徴とする。
【0022】
請求項6の発明において、板バネは、前記接続線の基端部との接触状態を保持するための所定の付勢力を有することが望ましい。
【0023】
請求項7に記載の発明のライティングダクトシステムは、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のライティングダクトシステムにおいて、前記固定部は、前記ライティングダクトの長手方向にスライド移動可能に取り付けられて自在に位置変更が可能であることを特徴とする。
【0024】
請求項7の発明において、前記固定部は、前記ライティングダクトの長手方向全体に渡って移動可能であることが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の本発明によれば、給電部を基端部に設けることなくライティングダクトを左右対称に構成して、給電を行うことができる給電部を有するライティングダクトシステムを提供することが可能となる。
【0026】
請求項2の発明によれば、さらに、前記接続端子部が、前記導電バーと電気的に接触可能な接触刃を有しているので、ライティングダクトの接続位置を任意に決定することができる。
【0027】
請求項3及び請求項4の発明によれば、さらに、ライティングダクトと接続線の電気的な接続作業が容易となり、また、接続状態を保持することができるので、電源供給の安定化を図ることができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、さらに、前記給電部の接続端子部が、前記接続線の基端部とプラグイン接続されるようになっているので、ライティングダクトと接続線との接続構成が簡単になり、また、接続作業が容易となる。
【0029】
請求項6の発明によれば、さらに、前記給電部の接続端子部は、前記接続線の基端部とこの板バネが接続されるSL端子構造であるので、ライティングダクトと接続線との接続構成が簡単となり、また、接続作業が容易となる。
【0030】
請求項7の発明によれば、さらに、前記給電部は、前記ライティングダクトの長手方向にスライド移動可能に取り付けられて自在に位置変更が可能であるので、灯具のレイアウト等の自由度が拡大することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1から図7は本発明に係るライティングダクトシステムの第1の実施の形態を示し、図1は第1の実施の形態のライティングダクトシステムの全体構成を示す一部破断した側面断面図、図2は図1のライティングダクトシステムを下からみた場合の構成図、図3及び図4はライティングダクト及びプラグ式の給電部との電気的接続構造を説明するための断面図であり、図3は接続前の状態を示し、図4は接続完了状態を示している。また、図5から図7はライティングダクトと給電部との電気的接続構造の変形例を示す断面図であり、図5は接続前の状態を示し、図6は接続完了状態を示し、図7はSL端子構造の給電部の具体的な構成を示す断面図である。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態のライティングダクトシステム1は、少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられて電気的に接続可能な導電バー8を有するライティングダクト2と、このライティングダクト2を天井面等に固定するための固定部3と、外部の電源供給部と電気的に接続するための引掛シーリング受け部(図示せず)に着脱自在に取り付けられる引掛シーリング4と、この引掛シーリング4に電気的に接続された電源線5aを内部に有する接続線5と、この接続線5の電源線5aが電気的に接続される接続端子部10を有し、この接続端子部10を介して前記ライティングダクト2の導電バー8に電源を供給するための給電部6とを有して構成されている。
【0034】
ライティングダクト2は、少なくとも1個以上の灯具(図示せず)が着脱自在に吊り下げられ電気的に接続可能であり、また、これら図示しない灯具がライティングダクト2の長手方向にスライド移動可能に構成されている。
【0035】
具体的には、ライティングダクト2は、図3に示すように、両側側に設けられた側壁2X及び貫通孔2aを有する上壁2Yを有している。また、一対の側壁2Xは、それぞれ長手方向に渡って対向配置されている絶縁体7を介して前記導電バー8を保持している。また、ライティングダクト2の下面には、長手方向に渡って取付孔2Zが設けられている。
【0036】
そして、この取付孔2Zに前記灯具が挿通された後、この灯具を例えば水平方向に回転させることにより、この灯具に設けられた図示しない接触刃が図3に示す両側の導電バー8と接触する。このことにより、ライティングダクト2に装着された灯具には、導電バー8を介して電源が供給されるようになっている。
【0037】
尚、ライティングダクト2の両側基端部には、例えば樹脂などの非導電性部材で形成されたエンドキャップ2bが嵌装されており、このエンドキャップ2bにより、前記導電バー8に対する遮蔽及び吊り下げられた灯具の落下防止等を図ることができるようになっている。
【0038】
また、ライティングダクト2の略中央近傍には、図1及び図2に示すように、固定部3が取り付けられている。この固定部3を、天井面等に配設された引掛シーリング受け部を有する取付部に取り付けることによって、図1に示すライティングダクトシステム1を配設することができる。
【0039】
固定部3は、図1及び図2に示すように円形状で且つ装着側に開口を有して構成されており、この開口を介して引掛シーリング4からの接続線5が前記ライティングダクト2側へと導出されている。
【0040】
そして、前記接続線5は、ライティングダクト2の長手方向の略中心部に設けられた貫通孔2aを介して挿通され、その接続線5の基端部の電源線5aが、図1及び図3に示すように、前記給電部6の接続端子部10に電気的に接続される。
【0041】
次に、本実施の形態における給電部6の構成について、図1、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0042】
図1及び図2に示すように、前記給電部6は、前記ライティングダクト2の基端部以外の位置に設けられており、具体的には、ライティングダクト2の長手方向の略中心部で且つ底面側に設けられている。
【0043】
前記給電部6は、図3及び図4に示すように、前記接続端子部10と電気的に接続されライティングダクト2の導電バー8に対して接触又は非接触が可能な接触刃9を有し、この接触刃9が前記導電バー8に接触した場合に、ライティングダクト2の導電バー8に電源を供給するように構成されている。
【0044】
この給電部6の具体的な構成が図3及び図4に示されている。
【0045】
本実施の形態では、前記給電部6は、接続線5の電源線5aの基端部が接続端子部10にネジ11により電気的に接続されている。尚、接続線5の電源線5aの基端部がプラグイン接続される構成であっても良い。
【0046】
そして、この接続端子部10は、電気的に接続された前記接触刃9と一体的に構成されている。
【0047】
また、前記給電部6は、ライティングダクト2の取付孔2Zに回転可能に取り付けられており、この給電部6を回転させることで、前記接続端子部10及び前記接触刃9についても回転させる。つまり、前記給電部6の回転を調節することで、前記接触刃9を導電バー8に対して接触又は非接触が可能な構成となっている。また、前記給電部6は、前記接触刃9が導電バー8と接触した際には、その接触状態を保持するように構成されている。
【0048】
例えば、図3は、接触刃9と導電バー8との非接触状態を示しており、この場合、前記給電部6は回転可能状態である。
【0049】
そして、作業者が、給電部6を例えば90度回転させると、給電部6の回転に伴い、接続端子部10及び接触刃9も90度回転することになる。
【0050】
このとき、前記接触刃9は、一体的に構成された、外側方向に突起する形状の接触突起部9aがそれぞれ導電バー8と接触する。このような接触状態が図4に示されている。
【0051】
つまり、図4に示すように、接続端子部10と電気的に接続された接触刃9の各接触突起部9aが確実にそれぞれの導電バー8と接触することで導通状態となり、また、給電部6は、前記各接触突起部9aと各導電バー8との接触圧等によってこの接触状態を保持する。
【0052】
こうして、引掛シーリング4の接続線5内の電源線5a、接続端子部10、接触刃9(接触突起部9a)、及び導電バー8間は導通状態となり、外部の電源供給部からの電源が確実に導電バー8に給電され、すなわち、この導電バー8に電気的に接続される少なくとも1つの灯具に電源が供給される。
【0053】
本実施例のライティングダクトシステム1では、前記したように給電部6が、前記ライティングダクト2の基端部以外の位置、すなわち、ライティングダクト2の長手方向の略中心部に設けられている。
【0054】
そのため、ライティングダクト2は、図1及び図2に示すように、固定部3及び給電部6を中心として、左右対称に形成することが可能となる。このことにより、外観が良好なライティングダクトシステム1を得ることが可能となり、特にデザインや外観を重要視する住宅用照明器具として用いるには有効である。
【0055】
また、本実施の形態では、給電部6がライティングダクト2の基端部に設けられていないので、前記給電部6の重みを考慮せずに、ライティングダクト2に灯具を装着することも可能である。この場合、外観が良好となるようにライティングダクト2の左右に同じ数の灯具を装着すれば、従来技術のように給電部6の重みによる撓みも発生しない。
【0056】
尚、本実施の形態では、前記給電部6は、ライティングダクト2の長手方向の略中心部に配置したが、これに限定されることはなく、適宜中心部から離れた位置に移動させて固定保持するように構成しても良い。また、前記給電部6は、取付孔2Zに着脱可能で略中心近傍に配置したが、取付孔2Zへの装着に限定されることはなく、ライティングダクト2の取付孔2Zがない底面部の中心部に固定するように構成しても良い。
【0057】
従って、第1の実施の形態によれば、給電部6を基端部に設けることなくライティングダクト2を左右対称に構成して、給電を行うことができる給電部6を備えたライティングダクトシステム1を構成することが可能となる。
【0058】
また、従来技術のように給電部6を基端部に設けずにライティングダクト2を左右対称に構成するとともに、従来あった給電部をカバーするカバーも無くすことができるので、外観的にも良好である。
【0059】
尚、第1の実施の形態では、前記給電部6における前記接続端子部10の構造は、電源線5aを、ライティングダクト2の底面に配置された給電部6内の接続端子部10にネジ11を用いて電気的に接続した端子構造を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば後述する変形例に示すように、SL端子構造の接続端子部を用いて構成しても良い。
【0060】
このような変形例を図5から図7を参照しながら説明する。
図5から図7に示すように、本変形例では、前記給電部6は、ライティングダクト2内部に設けられたもので、前記電源線5aの基端部5bが導電性の板バネ13を介して電気的に接続されたSL端子構造の接続端子部10を有し、前記給電部6内の回転部材12を回転させることで、前記接続端子部10と電気的に接続された接触刃14を前記導電バー8に接触させると同時にこの接触状態を保持するように構成されている。
【0061】
具体的には、前記給電部6は、ライティングダクト2の固定部3が取り付けられる上壁2Yに回転可能に設けられている。
【0062】
また、この給電部6は、ライティングダクト2の上壁2Yに設けられた貫通孔2aから各電源線5aの基端部5bを挿入して接続するための配線挿入口2cを有している。そして、この給電部6の接続端子部10は、前記配線挿入口2cより挿入された電源線5aの基端部5bと電気的に接続される導電性の板バネ13と、この板バネ13と電気的に接続されライティングダクト2の導電バー8に対して接触又は非接触が可能な接触刃14と、この給電部6に対して回転可能に構成された回転部材12と、この回転部材12を回転した際に、前記接触刃14を導電バー8に接触又は非接触させるためのカム部15とを有して構成されている。尚、前記電源線5aの基端部5bは、例えば配線挿入口2cに差込可能となるような導電性のプラグとして形成しており、単に電源線5aのみの構成であっても良い。
【0063】
板バネ13は、図7に示すような板バネであり、電源線5aの基端部5bが差し込まれた際に、接触する基端部5bを保持する方向に付勢する特性を有している。この場合、板バネ13は、少なくとも2点で前記電源線5aの基端部5bと確実に接触して電気的に接続されることになる。
【0064】
また、この板バネ13には、前記接触刃14が固定されて電気的に接続されている。
【0065】
そして、回転部材12を回転させることで、この回転部材12に設けられたカム部15によって前記接触刃14を導電バー8方向へと押し広げて、前記接触刃14を導電バー8に対して接触が可能である。また、さらに回転部材12を回転させることで、前記カム部15によって前記接触刃14を導電バー8から離間させて非接触状態にさせることも可能である。
【0066】
例えば、図5は、接触刃14と導電バー8との非接触状態を示しており、この場合、前記給電部6及び回転部材12は回転可能状態である。
【0067】
そして、作業者が、回転部材12を例えば90度回転させたとする。すると、給電部6及び回転部材12の回転に伴い、この回転部材12に設けられたカム部15が90度回転する。
【0068】
すると、このカム部15は、前記接触刃14を導電バー8方向へと押し広げる。これにより、前記接触刃14は、導電バー8に対して接触する。このような接触状態が図6に示されている。
【0069】
つまり、図6に示すように、接続端子部10の板バネ13と電気的に接続された接触刃14が確実にそれぞれの導電バー8と接触することで導通状態となり、また、給電部6は、前記各板バネ13の付勢力と前記各接触刃14と各導電バー8との接触圧等によってこの接触状態を保持する。
【0070】
こうして、引掛シーリング4の接続線5内の電源線5a、接続端子部10、板バネ13、接触刃14、及び導電バー8間は導通状態となり、外部の電源供給部からの電源が確実に導電バー8に給電され、すなわち、この導電バー8に電気的に接続される少なくとも1つの灯具に電源が供給される。
【0071】
尚、本変形例では、前記回転部材12のカム部15に、前記接触刃14方向に付勢するようなバネ特性を持たせ、前記ライティングダクト2に対して前記給電部6を水平方向にスライド可能となるように構成しても良い。
【0072】
また、前記第1の実施の形態及び変形例では、給電部6の接続端子部10の構造が、プラグ式構造又はSL端子構造を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電源線5aと接続端子部10とを確実に接続し、さらに、接触刃9が導電バー8に確実に接触可能な構成であれば、いずれの端子構造を用いて構成しても良い。
【0073】
(第2の実施の形態)
図8及び図9は本発明に係るライティングダクトシステムの第2の実施の形態を示し、図8は第2の実施の形態のライティングダクトシステムの全体構成を示す一部破断した側面断面図、図9は図8のライティングダクトシステムを下からみた場合の構成図である。尚、図8及び図9は、第1の実施の形態のシステムと同様な構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0074】
第2の実施の形態のライティングダクトシステム1Aは、図1及び図2に示すように、ライティングダクト2の長手方向の中央近傍に、貫通孔としての所定の長さのスライド長穴2Aを設け、前記給電部6が、スライド長穴2Aにスライド可能に装着されるとともに、このスライド長穴2Aの長手方向をスライドさせて自在に位置変更が可能となるように構成されている。
【0075】
この場合、前記給電部6の接続端子10の端子構造は、例えば図5及び図6にて説明した変形例に示すSL端子構造を適用して構成されている。すなわち、給電部6は、ライティングダクト2内部に配置されることになる。
【0076】
尚、このようなSL端子構造、すなわち、SL端子構造の接続端子部10を有する給電部6を、ライティングダクト2内に設けずに、前記第1の実施の形態において、ライティングダクト2の貫通孔2aを大きく開口させると同時に、給電部6をライティングダクト2の取付孔2Zの長手方向に自在にスライド移動可能に装着するように構成しても良い。
【0077】
その他の構成及び作用は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0078】
従って、第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他に、前記給電部6をライティングダクト2の長手方向にスライド移動自在に構成したことにより、装着する灯具に応じたレイアウトの選択の自由度を向上させることができる。
【0079】
尚、前記給電部6のライティングダクト2の長手方向のスライド移動させるためのスライド機構については、前記第2の実施の形態におけるスライド機構に限定されるものではなく、確実に導電バー8と電気的に接続して給電が可能で且つスライド移動が可能な構成であればいずれのスライド機構を用いて構成しても良い。
【0080】
ところで、従来のライティングダクトシステムには、特に住宅用照明等の設置形態に応じてライティングダクト2をレイアウトするために、ライティングダクト2を固定部3に対して長手方向にスライド移動自在にするスライド機構を備えたものがある。
【0081】
ところが、このようなスライド機構は、ライティングダクト2にスライド用ガイドレール等の別部材を設けて構成されるため、コストが高価となり、また、ライティングダクトシステム1の取付後に、ライティングダクト2を所望する方向にスライドすることが出来ない等の不都合があった。
【0082】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、ライティングダクトとスライド機構とを一体化して構成することで、安価で且つ使い勝手の良いスライド機構を有するライティングダクトシステムを提供することも可能である。このような実施の形態を図10を参照しながら説明する。
【0083】
(第3の実施の形態)
図10は本発明の係るライティングダクトシステムの第3の実施の形態を示し、ライティングダクト及び固定部の中心近傍の断面図である。尚、図10は前記第1の実施の形態と同様な構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0084】
第3の実施の形態のライティングダクトシステム1Bは、少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられて電気的に接続可能な導電バー8を有するライティングダクト20と、このライティングダクト20に設けられ、このライティングダクト20を天井面に固定するための固定部3と、外部の電源供給部と電気的に接続するための引掛シーリング4と、前記固定部3内より導入され、前記引掛シーリング4に電気的に接続された接続線5と、前記ライティングダクト20に設けられた貫通孔2a′を介して前記接続線5が導入され、この導入された接続線5の電源線5aが電気的に接続される接続端子部10を有し、この接続端子部10と前記ライティングダクト2の導電バー8とを接触させて前記接続端子部10と前記導電バー8とを導電状態にして前記導電バー8に電源を供給するもので、ライティングダクト20の基端部以外の位置に設けられた給電部6とを具備し、前記ライティングダクト20内部にこのライティングダクト20を長手方向にスライド移動させるためのスライド機構(第1及び第2のスライドガイド部22、23)を一体的に設けて構成されている。
【0085】
尚、前記ライティングダクトシステム1Bにおける前記給電部6の構成は、前記第1の実施の形態と略同様である。
【0086】
図10に示すように、前記ライティングダクトシステム1Bのライティングダクト20は、下部側については、前記第1又は第2の実施の形態のライティングダクト2と略同様に構成されている。
【0087】
そして、ライティングダクト20の上部側の上面には貫通孔2a′が設けられており、この貫通孔2aには電源線5aを挿入すると同時にライティングダクト20を長手方向にスライド移動可能にするためのスライドガイド固定部21が設けられている。
【0088】
このスライドガイド固定部21は、図8に示すように、前記ライティングダクト20の上面と係合する第1のスライドガイド部22と、この第1のスライドガイド部22とで前記ライティングダクト20の上面を挟持するとともに、ライティングダクト20の内周側面と係合する第2のスライドガイド部23とを有している。
【0089】
すなわち、前記ライティングダクト20は、このスライドガイド固定部21の前記第1及び第2のスライドガイド部22、23によって、長手方向へのスライド移動が自在である。
【0090】
従って、ライティングダクト20は、このライティングダクト20が有するスライドガイド固定部21の第1及び第2のスライドガイド部22、23によって自在に長手方向へのスライド移動が可能であるために、仮に固定部3を天井面に取り付けた後でも、作業者の所望レイアウトとなるように、ライティングダクト20をスライドさせることができる。
【0091】
尚、前記スライドガイド固定部21は、前記固定部3と前記ライティングダクト20とを固定する機能も有しており、組立性も用意で且つ低コストな構造となっている。
【0092】
その他の構成は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0093】
従って、第3の実施の形態よれば、ライティングダクト20とスライド機構21〜23とを一体化して構成することで、従来別部材であったスライド機構を用いずにライティングダクト20を長手方向に自在のスライド可能に構成することができるので、コストを低減することができるとともに、固定部3を天井面等に固定して取り付けた後でも、ライティングダクト20を自在にスライド移動させることができるので、使い勝手の良いのスライド機構を有するライティングダクトシステムの実現が可能となる。
【0094】
尚、第3の実施の形態では、ライティングダクト20の上面を、第1及び第2のスライドガイド部22、23で挟持しながらライティングダクト20をスライド可能にしたスライド機構について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばライティングダクト20と一体的に構成することでライティングダクト20を自在にスライド可能な構成であればいずれの構造を用いて構成して良い。
【0095】
尚、本発明は、以上述べた実施の形態及び変形例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のライティングダクトシステムの全体構成を示す一部破断した側面断面図。
【図2】図1のライティングダクトシステムを下からみた場合の構成図。
【図3】ライティングダクト及びプラグ式の給電部との電気的接続構造を説明する断面図で接続前の状態を示す図。
【図4】ライティングダクト及びプラグ式の給電部との電気的接続構造を説明する断面図で接続完了状態を示す図。
【図5】ライティングダクトと給電部との電気的接続構造の変形例を示す断面図で接続前の状態を示す図。
【図6】ライティングダクトと給電部との電気的接続構造の変形例を示す断面図で接続完了状態を示す図。
【図7】図6のSL端子構造の給電部の具体的な構成を示す断面図。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態のライティングダクトシステムの全体構成を示す一部破断した側面断面図。
【図9】図8のライティングダクトシステムを下からみた場合の構成図。
【図10】本発明の係る第3の実施の形態のライティングダクトシステムにおけるライティングダクト及び固定部の中心近傍の断面図。
【符号の説明】
【0097】
1、1A…ライティングダクトシステム、
2…ライティングダクト、
2Z…取付孔、
2a…貫通孔、
3…固定部、
5…接続線、
6…給電部、
8…導電バー、
9…接触刃、
10…接続端子部、
13…板バネ、
14…接触刃、
15…カム部、
20…ライティングダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個以上の灯具が着脱自在に吊り下げられるとともに、この灯具と電気的に接続可能であって、互いに絶縁された一対の導電バーを有し、この一対の導電バーをそれぞれ対向するように保持する一対の側壁及び貫通孔が設けられ、前記一対の側壁を接続する上壁を有するとともに、下面が開放した長尺状のライティングダクトと;
前記ライティングダクトに設けられ、このライティングダクトを天井面に固定するための固定部と;
前記一対の導電バーとそれぞれ電気的に接続される接続端子部を有する給電部と;
外部電源と接続されるとともに、天井面側から前記貫通孔を通って前記給電部の前記接続端子部と電気的に接続される接続線と;
を具備したことを特徴とするライティングダクトシステム。
【請求項2】
前記接続端子部は、前記導電バーと電気的に接触可能な接触刃を有し、この接触刃が前記導電バーに接触したときに、前記導電バーに電源を供給することを特徴とする請求項1に記載のライティングダクトシステム。
【請求項3】
前記給電部は、ライティングダクトの開放した下面側から器具本体に取り付けられると共に、前記給電部を回転させることで、前記接触刃を前記導電バーに接触させると同時に給電部をライティングダクトに保持する接触状態、又は前記接触刃を前記導電バーと非接触部にすると同時に給電部をライティングダクトに対して移動可能とする非接触状態とすることを特徴とする請求項2に記載のライティングダクトシステム。
【請求項4】
前記給電部は、カム部を有し、このカム部を回転させることで、前記接触刃を前記導電バーに接触させると同時に給電部をライティングダクトに保持する接触状態、又は前記接触刃を前記導電バーと非接触部にすると同時に給電部をライティングダクトに対して移動可能とする非接触状態とすることを特徴とする請求項2に記載のライティングダクトシステム。
【請求項5】
前記給電部の接続端子部は、前記接続線の基端部とプラグイン接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のライティングダクトシステム。
【請求項6】
前記給電部の接続端子部は、板バネを有し、前記接続線の基端部とこの板バネとが接続されるSL端子構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のライティングダクトシステム。
【請求項7】
前記固定部は、前記ライティングダクトの長手方向にスライド移動可能に取り付けられて自在に位置変更が可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のライティングダクトシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−26668(P2009−26668A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190206(P2007−190206)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】