説明

ライトガイド発光要素を備える板状体

【課題】 窓ガラス本来の透明性を損なうことなく、窓ガラスの機能又は美観を高める。
【解決手段】 肉厚部を挟んで相対向する表面と裏面とを有する透光性又は半透光性の窓ガラス77であって、表面側又は裏面側から該窓ガラス77に入射する光の明るさ変化又は外部光源との位置方位関係に応じて出射すべき光の強弱を変え、該窓ガラス77の機能又は美観を高める機能光又は印象光Loとして外部に出射するための単数又は複数の光ファイバ(ライトガイド部材)79が埋設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライトガイド発光要素を備える、透光性又は半透光性の板状体に係り、例えば、建物や自動車用の窓ガラスに適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
この種の板状体として、特許文献1には、複数の側面発光型光ファイバで編み込まれた織物を2枚の透明ガラス板で挟んだ状態で、焼結し一体化してパネル本体を形成し、このパネル本体の側端面から外にはみ出た光ファイバの基端部を束ねて専用光源に結合することで、面状照明を具現する面発光パネルが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、コンクリートの不透明パネル板に光ファイバを埋設し、光ファイバの基端部から太陽電池で発生した起電力で発光体を発光させ、発生した光を光ファイバで導いて、パネル板の表面に出現した光ファイバの先端から放射させる光装飾パネルが開示されている。
また、特許文献3には、プラスチックの透明パネル板に蛍光性光ファイバを埋設し、埋設された光ファイバ側面を受光面とし、先端部を発光面とする蛍光発光パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4234907号
【特許文献2】実開平6−79599号公報
【特許文献3】特開平4−56806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の面発光パネルでは、美観に寄与しない長尺の光ファイバが、外部にはみ出る構成のため、不恰好である上、パネルを設置する際、運搬する際、はみ出た光ファイバが邪魔であり、不便である。加えて、不注意な取扱いによって、はみ出た光ファイバが破損する虞もある。
また、特許文献2に記載の光装飾パネル装置は、本来的に不透光のコンクリートパネル板に光を通す機能を付加しようという発想であるので、光を通す機能をすでに備えているガラス板などの透明パネル板には、無関係の発想である。
【0006】
また、特許文献3に記載の透明パネルに埋設される蛍光性光ファイバは、側面受光型の光ファイバであると共に、光ファイバの長さ方向に沿う全側面からも着色蛍光を放射する側面放射型光ファイバでもあるので、実質的には蛍光模様入りパネル板であり、その分、透明パネル板の無色透明性が損なわれる、という欠点がある。加えて、蛍光性光ファイバの長さが、10cmを超えれば、光入射端側で入射した光(又は発生した蛍光)は、途中の側面で放射されるので、光出射端側まで届かないという欠点もある。
【0007】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、透明板状体本来の透明性を損なうことなく、透明板状体の機能や美観を高めることができるライトガイド発光要素を備える板状体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の構成は、肉厚部を挟んで相対向する表面と裏面とを有する透光性又は半透光性の板状体に係り、前記表面側又は裏面側から前記肉厚部に入射した光を、前記肉厚部内を這う所定の経路に沿って伝播させ、当該板状体の機能又は美観を高める機能光又は印象光として、前記表面側又は裏面側から外部に出射するための単数又は複数のライトガイド部材が当該板状体内に埋設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明の構成によれば、ライトガイド部材が板状体の中に埋設されるので、透明板状体の外観美が損なわれない上、取扱いが容易となる。また、専用光源を用いなくても、外部光を拾って輝くので、省電力化向きである。加えて、簡素な構成で、透明板状体本来の透明感を失うことなく、透明板状体の美観を高める印象光(意匠光)を外部に出射でき、又は、透明板状体の機能を高める表示光などの機能光を外部に出射できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の第1の実施例であるライトガイド構造の美的発光要素又は機能発光要素を備える窓ガラス(透明板状体)の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の第2の実施例であるライトガイド構造の美的発光要素又は機能発光要素を備える窓ガラス(透明板状体)の構成を示す図である。
【図3】同窓ガラスの動作を示す図である。
【図4】同窓ガラスにおいて、LED光源ユニットがLED装着部に装着されている構成を示す図である。
【図5】この発明の第3の実施例であるライトガイド構造の美的発光要素又は機能発光要素を備える窓ガラス(透明板状体)の構成を示す斜視図である。
【図6】同窓ガラスの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の板状体は、建物や自動車用の窓ガラスなどに適用できる他、例えば、書架・食器棚用戸ガラス、テーブルガラス等にも適用できる。さらに、パーティション用板状体、インテリア用板状体、及び装飾板状体としても広く適用できる。
【実施形態1】
【0012】
以下、この発明の好適な一実施形態について説明する。
この発明の一実施形態である板状体は、肉厚部を挟んで相対向する表面と裏面とを有する透光性又は半透光性の窓用板状体(以下、簡単に、透明板状体という)に係り、光を入射させる光入射端面と、上記肉厚部内を這う所定の経路を形成する光ガイド部と、上記光を出射させる光出射部とからなる単数又は複数のライトガイド部材が、美的発光要素として、または、機能発光要素として、透明板状体の上記表面、裏面及び各側面のいずれの面からもはみ出ることなく、透明板状体内に埋設されて構成されている。
【0013】
ここで、ライトガイド部材の一部が、透明板状体の表面から露出又ははみ出している場合であっても、この露出又ははみ出し部分が、美観を損なう余計物ではなく、美観上又は機能上必要なときは、このような透明板状体は、この発明の範囲内である。
透明板状体の体内では、ライトガイド部材の光入射端面は、外部光を取り込み易い部位に配置され、光出射部は、所定の特徴部位の構成要素として配置され、光ガイド部は、光入射端面及び光出射部の位置や所望のパターンに沿って、その長さと曲線形状が定められる。
【0014】
上記構成において、透明板状体の表面側又は裏面側から上記光入射端面に入射した光は、上記光ガイド部に導かれ、上記光出射部から、透明板状体の機能(例えば、表示機能)又は美観を高める機能光又は印象光(意匠光)として、上記表面側又は裏面側から外部に出射する。ここで、光出射部には、光を出射する端面に限らず、美観上機能上の要望に応じて、所望の光を出射する(所定の長さを持つ)側面も含まれる。なお、この明細書において、透明板状体の各部位のうち、光出射部が配置又は配線された部位のことを、透明板状体に表現された「所定の特徴部位」とも言う。
【0015】
透明板状体の表面側又は裏面側から上記光入射端面に入射した光には、例えば、自然光や、室内照明灯を含む各種照明光源からの照明光が含まれるが、これらに限らず、例えば、鏡面体などの二次光源からの反射光も含まれる。また、専用光源からの制御信号に基づく出力光も含まれる。
また、実現したい美観表現に応じて、ライトガイド部材、とくに光入射端面や光出射部の構造形状や配置状態を設定変更することで、例えば、輪郭が鮮明な輝き、ぼんやりとした輝き、やわらかな輝き、眩しい輝き、強弱又は色彩が変動する輝き、波打つ輝きなど、多様な輝き(印象光、機能光)を実現でき、また、輝きを発散させたり、輝きに階調性を持たせることもできる。
【0016】
ライトガイド部材の光入射端面は、可能な限り、外部光の到来方向に向けて配置されるのが好ましい。同様に、光出射端面は、看る者の目線や視野方向を考慮して、看る者の側に向けて配置されるのが好ましい。要するに、光入射端面及び光出射端面の向きは原則として任意に設定できる。一般に、外部光の到来方向と看る者に視認される方向とは異なるので、原則として、ライトガイド部材の光入射端面の光軸方向と、光出射端面の光軸方向とは一致しない。ライトガイド部材の光入射端面及び光出射端面を、上記のような配置構成とすれば、透明板状体の物品色(受けた外部光のうち表面で反射散乱する光により人間の網膜を刺激する物体の性質)や透明板状体の裏面側から入射して表面側に抜ける背後透過光に較べて、一段と明るい印象光又は表示光を所定の特徴部位(光出射部)から出射できるので、薄暗い室内でも、明るい室内でも、透明板状体に設けられた所定の特徴部位を輝かせることができる。
【0017】
ここで、透明板状体もライトガイド部材も透明なら、透明板状体の体内に埋設されたライトガイド部材は、透明板状体から容易には識別できないので、透明板状体の透明美観性が損なわれることはない。しかしながら、例えば、透明板状体とライトガイド部材との屈折率差を可能な限り小さくしたり、透明板状体の表面をフロスト面、凹凸面、レンズ面、又は波面にしたり、着色や模様付けするなどの工夫をすれば、透明板状体の透明美観性をさらに高めることができる。このようにすれば、特徴部位での光反射による輝きとは異なる、特徴部位の孤立的な輝きが、看る者に神秘的な美感を引き起こす。なお、透明板状体とライトガイド部材(コア部)との屈折率差は、任意であるが、0.4以下に設定されるのが好ましく、0.2以下であれば、さらに好適である。また、ライトガイド部材に反射防止膜を施すようにしても良い。
【0018】
また、好適なライトガイド部材としては、ステップインデックス形の光ファイバ又はグレーデッドインデックス形の光ファイバ、又は、側面に単数又は複数の光出射部(光出射側面)を有する側面放射型の光ファイバを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、コア部とクラッド部とからなる通常の光ファイバに代えて、成形体素材のそれよりも高い屈折率を有するコア部のみからなる光ファイバを用いても良い。また、美的ライトガイド部材として機能する限り、光ファイバに代えて、例えば、平板状の導波路でも良く、波板状や各種曲面板状の導波路でも良い。
【0019】
透明板状体の材料としては、低融点ガラスやクリスタルガラスを含む公知の各種ガラス素材及び各種プラスチック素材を好適に挙げることができるが、これに限定されない。同様に、ライトガイド部材(光ファイバ)としても、公知の各種ガラス素材及び各種プラスチック素材を好適に挙げることができるが、これに限定されない。ここで、透明板状体の材料とライトガイド部材との組み合わせは、同質の材質同士の組み合わせに限らず、異質の材質間の組み合せでも良い。しかしながら、いずれの組み合せでも、ライトガイド部材が溶融状態の透明板状体の体内で溶融損壊しないように、透明板状体の材料に対して、(少なくともコア部の)融点又は軟化点が高いライトガイド部材を用いるのが好ましい。
【0020】
ここで、ライトガイド部材としてガラスの光ファイバが用いられるなら、例えば、太さ10μm−10mmの光ファイバを所定の断面形状に束ねて光出射端面を得るようにしても良く、必要に応じて、単一線を用いても良い。これに対して、ライトガイド部材としてプラスチックの光ファイバが用いられるなら、例えば、太さ50μm−20mmの単一線を好適に用いることができるが、必要に応じて、所定の断面形状に束ねて用いることもできる。また、様々な美観表現を実現するために、ライトガイド部材(光ファイバ)の光出射端面を、点状、粒状、真円形、半円形、楕円形、半楕円形、矩形、三角形、円筒形、スター形、三ヶ月形の形状とすることができ、不規則で無秩序な形状とすることもできる。また、光出射端面の断面形状と光入射端面の断面形状は異なっていても良い。
【0021】
なお、印象点又は意匠点として、微細又は繊細な輝きを実現したい透明板状体、又は高解像性の表示点又は識別点を実現したい透明板状体には、コア径を小さくすることが望ましいことは勿論である。複数の光ファイバを束にすれば、太径の印象点、意匠点、表示点又は識別点を得ることもできる。
この発明の透明板状体は、単層板状体に限らず、合せ板状体や複層板状体(例えば、複層ガラス等)にも好適に適用できる。また、この発明の透明板状体には、半透光性板状体も含まれるので、フロストガラスも透明板状体である。透明板状体は、平面板状体に限らず、曲面板状体も含まれる。
【実施例1】
【0022】
以下、図面を参照して、この発明の実施例について、詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施例であるライトガイド構造の美的発光要素又は機能発光要素を備える窓ガラス(透明板状体)の構成を示す斜視図である。
この例の窓ガラス77は、透明な板状ガラス78と、該板状ガラス78の体内に埋設された複数本の側面放射型の光ファイバ79とから概略構成されている。複数本の光ファイバ79は、板状ガラス78の肉厚部に(窓ガラスの表面、裏面及び各側面からはみ出ることなく)、風に靡く草木模様に並べられて埋設されている。この例では、光ファイバ79の基端部は、受光部として、窓ガラス77の下端部に集束され、図1に示すように、その光入射端面79aを、例えば、室内側に向け、列状に並べられて配置されている。
【0023】
この例では、側面放射型の光ファイバ79を用いているので、光入射端面79aから入射した、室内照明光などの外部光Liは、弓形に曲げられた光ガイド部79bの側面(光出射部)に沿って、線状又は散点状の印象光(意匠光)Loを外部に出射する。それゆえ、窓ガラス77に、多彩な線形美(風に靡く草木)が映し出される。これに対して、光入射端面79aを遮光すれば、外部光Liは入射しないので、風に靡く草木は消えて、通常の透明な窓ガラス77に戻る。
【0024】
次に、光ファイバ79の光入射端面79aの列に、例えば、外部照明光源として、図示せぬLED照明灯や電気スタンドを近づけると、あるいは、スポットライトをあてると、これらの出力光Liが、光入射端面79aから入射して、光ガイド部79b内を伝播しながら弓形の側面から放射されるので、光ガイド部79bが、あたかも、草木の茎のように輝いて見える。
なお、外部照明光源の出力光(外部光Li)をあてがう室内側と反対側の、窓ガラス77の屋外側には、外部に光が漏れるのを防止するために、遮光シート等を貼着するようにしても良い。また、光入射部79aの配列部位に対応する窓ガラス面に、LEDチップ基板を当接又は貼着するようにしても良い。なお、複数の光入射部79aとLED素子とを1対1に対応付けして、点滅を時系列で変化させるようにすれば、草木が風に靡いて見える。
【0025】
この構成において、光ファイバ79の先端面である光出射端面79cも、例えば、室内側を向く態様に配置すれば、草木の先端部(花芯、実又は種)がひときわ輝いて見えるので、窓ガラス77で美観を表現できる。
また、この実施例の光ファイバ79を各種模様や形状と関連付けて、例えば、焼き付け加工によるプリントパターンやカッティングパターン等と対応付けして埋設するようにすれば、光装飾性に優れた窓ガラス77を得ることができる。
【0026】
埋め込む光ファイバの数は、必要に応じて、増減できる。必要に応じて、ガラス材に代えて、プラスチック材を用いても勿論良い。また、光入射端面79aを、屋外側に向けて配置すれば、自然光を取り込むことができるので、光ファイバ79の光ガイド部79bや光出射端面79cなどの光出射部から放たれる印象光は、朝昼夕で変化するので、太陽の動きに応じた美観の変化を楽しむことができる。
【0027】
この例の窓ガラス77は、次のようにして、作られる。
まず、光ファイバ79のそれぞれに、加熱加圧処理により、予め、例えば、風に靡く曲線形状を与えた後、光ファイバ79の構成材のうち、少なくともコア材の軟化点よりも低い温度条件の下で、溶融又は軟化している、工程中の板状ガラスの中に、曲線形状を宛てる光ファイバ79を埋め込み、この後、板状ガラスを冷却すると、窓ガラス77が完成する。なお、溶融又は軟化している板状ガラスの中に、光ファイバ79を埋め込む際には、光ファイバ79を、板状ガラスの溶融時又は軟化時の温度又はその近傍にまで予熱しておくのが好ましい。上記構成及び製造方法は、透光性又は半透光性のプラスチック等の透明板状体にも適用できる。なお、薄厚の透明板状体の中に収まる態様で、ガイド部79bに対して光入射端面79a(光出射端面79c)を曲げるのは、容易ではない。これを克服するには、ガイド部79b−光入射端面79a(光出射端面79c)間の曲線領域を、他の直線領域に対して、細径とすることで解決できる。細径の領域を曲げるのは比較的容易な上、光は細径の光ファイバ内でも伝播に支障はないからである。他の解決方法として、光入射端面79cが配置される部位の窓ガラス(透明板状体)77の肉厚をいくぶん厚肉とする方法を採用しても良い。
【実施例2】
【0028】
図2は、この発明の第2の実施例であるライトガイド構造の美的発光要素又は機能発光要素を備える窓ガラス(板状体)の構成を示す図、また、図3は、同窓ガラスの動作を示す図である。
この例の窓ガラス80は、同図(a)に示すように、相対向する第1及び第2の主表面(表裏面)と、肉厚部81と、該肉厚部81に、機能的要素又は美的発光要素として埋め込まれた複数の光ファイバ82とから概略構成されている。光ファイバ82は、光ガイド部82bが、表裏面に沿って垂直方向に延びる態様で埋め込まれていて、その入射端面82aは、表面を臨む又は表面と面一の態様に、また、光出射端面82cは表面又は裏面を望む(同図(c)、(d))、又は、図中上側面を望む(同図(b)、又は、表面又は裏面と面一の態様に、それぞれ配置されている。なお、図中上側面を望む(同図(b)構成の光出射端面82cからの出射光は、この例の美観形成には用いられない。
【0029】
この例では、光出射端面82cのみから、輝度の高い印象光を出力できる光ファイバ82を用いても良く、これに代え、あるいは、これに加えて、長さを持つ側面から線状の印象光を出力させることができる側面放射型の光ファイバを用いても良い。なお、必要に応じて、所望の長さ領域のみ印象光を放射する側面放射型の光ファイバを用いることもできるし、所定の間隔で散点状に印象光を放射させる側面放射型の光ファイバを用いることもできる。例えば、光ファイバ82の光ガイド部82bのうち、図2(a)中、上方の直線部分のみに側面放射機能をもたせるようにすれば、例えば、図3に示すように、透明な窓ガラス80内に直線状のオーロラLLを表現できる。
なお、複数の光入射部82aとLED素子とを1対1に対応付けして、点滅を、プログラム制御で、時系列に、あるいは、順番に変化させるようにすれば、透明な窓ガラス80内に直線状の時々刻々と変化するオーロラLLを表現できる(図3)。
【0030】
複数の光入射部82aとLED素子とを1対1に対応付ける手段としては、例えば、図4に示すように、光ファイバ82の入射端面(受光面)82aが集結する窓ガラス80の下端部にLED装着部83を設け、このLED装着部83にLED光源ユニット84を、粘着テープ等で、着脱自在に貼着する方法を挙げることができる。貼着方式により装着するときは、各入射端面の列が好適な位置でLED光を受光できるにように、窓ガラス(LED装着部83)側に位置決め用の凸部(又は凹部)を設け、LED光源ユニット84側に位置決め用の凹部(又は凸部)を設けるのが好ましい。
【0031】
ここで、LED光源ユニット84は、薄型軽量であることが望ましく、また、LED光源ユニット84がLED装着部83に貼着された状態では、各入射端面82aと、LED光源ユニット84の各LEDとが、1対1で相対向する配置状態となるように構成されている。このようにして、各入射端面82aがLED光を受光できる好適な位置に位置決めされる。LED光源ユニット84は、着脱自在のバッテリ又は太陽電池を備えている。
【0032】
LED光源ユニット84は、単数又は複数のカラーLED又はフルカラーLEDセットを備えるようにしても良い。また、光ファイバ82の入射端面(受光面)とLEDとの組合せは、1対1でもよく、M対1でも良く、1対N(M、Nは2以上の自然数)でも良い。また、LED光源ユニット84が、各光ファイバ82ごとに対応して配置されるLED又はカラーLEDセットと、各LED又はカラーLEDセットの発光(点滅、色)を動的に制御する駆動回路とを備える構成とすれば、光ファイバ82から出射される印象光又は表示光を動的に制御できる。この種の好適な駆動回路としては、プログラム制御で発光を動的に演出するプログラム内蔵のコンピュータ回路を挙げることができる。
【0033】
また、LED光源ユニット84又はLED装着部83は、タイマを備え、該タイマからの出力信号に基づいて、LED又はフルカラーLEDセットの点灯/消灯又は色変化を制御するようにすれば、時計として機能することもできる。つまり、文字や絵柄の計時パターンが窓ガラスに埋め込まれた窓時計を実現できる。また、上記した光ファイバの特質により、印象光Loが、室内側にのみ出射し、室外側へは出射しないように構成できるので、室内側にいる者には窓ガラスに表わされた文字や模様を見ることができるが、室外側からは見えず、透明感のみを感ずるように構成することもできる。また、光ファイバの上記特質から、室内側にいる者に表示する文字や模様と、室外にいる者に表示する文字や模様とが、異なるように表示することもできる。
【0034】
このような回路構成とすれば、曲目や時刻に合わせて、動画を演出することができる。また、光ファイバ先端の光出射部のみから発光させるようにすれば、ドット表示も可能であり、図柄模様等の画像に限らず、文字数値情報を表示させることもできる。上述の実施例では、LED光源ユニット84をLED装着部83に装着する手段として、LED光源ユニット84とLED装着部83とを貼着するようにしたが、これに限らず、例えば、ネジ等を用いる螺着、挟着又は嵌着でも良い。なお、埋め込まれる光ファイバ82は複数に限らず、1本でも良い。
【実施例3】
【0035】
図5は、この発明の第3の実施例であるライトガイド構造の美的発光要素又は機能発光要素を備える窓ガラス(透明板状体)の構成を示す図である。
この例の窓ガラス85は、同図(a)に示すように、相対向する第1及び第2の主表面(表裏面)と、肉厚部とからなると共に、複数の光ファイバ86が機能的又は美的発光要素として埋め込まれている。光ファイバ86は、光ガイド部86bが、表裏面に沿って波打ちながら上方に延びる態様で埋め込まれている。その入射端面86aは、表面を臨む又は表面と面一の態様に、その光出射端面86cは表面又は裏面を望む、又は、表面又は裏面と面一の態様に、それぞれ配置されている。
【0036】
この例では、例えば、光ファイバ86の光ガイド部86bのうち、図5(a)中、上方の波線部分のみに側面放射機能をもたせるようにすれば、例えば、図6に示すように、透明な窓ガラス85内に波打つオーロラLLを表現できる。
なお、複数の光入射端面86aの列とLED素子とを1対1に対応付けして、点滅を、プログラム制御で、時系列に、あるいは、順番に変化させるようにすれば、透明な窓ガラス85内に時々刻々と波打つオーロラLCを表現できる(図6)。
【0037】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、窓ガラスにあらわれる模様は任意である。
【0038】
(付記1)
この発明の板状体は、前記表裏面のうち、一方の面又は他方の面に、LED光源ユニットを着脱自在に装着するためのLED装着部を備え、該LED装着部では、前記各ライトガイド部材の前記一端部が、前記LED光源ユニットを構成する対応するLEDと相対向してLED光を受光できる態様で配置されている。
(付記2)
この発明の板状体は、前記LED装着部には、前記各ライトガイド部材の前記一端部と対応する前記LEDとが、相対向する態様で、前記LED光源ユニットを螺着、嵌着又は貼着するための位置決め手段が設けられている。
(付記3)
この発明の板状体は、前記LED光源ユニット又は前記LED装着部が、前記カラーLED又はフルカラーLEDの点灯/消灯又は色変化をプログラム制御するプログラム内蔵のコンピュータ回路を備えている。
(付記4)
この発明の板状体は、前記LED光源ユニット又は前記LED装着部が、前記カラーLED又はフルカラーLEDの点灯/消灯又は色変化を動的に制御する駆動回路を備えている。
(付記5)
この発明の板状体は、前記LED光源ユニット又は前記LED装着部が、タイマを備え、該タイマからの出力信号に基づいて、カラーLED又はフルカラーLEDの点灯/消灯又は色変化を制御する構成となっている。
【0039】
産業上の利用性
この発明は、例えば、建物や自動車用の窓ガラス等の板状体に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
77、80、85 窓ガラス(窓用板状体)
81 肉厚部
79、82、86 光ファイバ
79a、82a、86a 光入射部
79b、82b、86b 光ガイド部
79c、82c、86c 光出射部
83 LED装着部
84 LED光源ユニット
Li 外部光
Lo 印象光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚部を挟んで相対向する表面と裏面とを有する透光性又は半透光性の板状体であって、
前記表面側又は裏面側から前記肉厚部に入射した光を、前記肉厚部内を這う所定の経路に沿って伝播させ、当該板状体の機能又は美観を高める機能光又は印象光として、前記表面側又は裏面側から外部に出射するための単数又は複数のライトガイド部材が当該板状体内に埋設されていることを特徴とするライトガイド発光要素を備える板状体。
【請求項2】
肉厚部を挟んで相対向する表面と裏面とを有する透光性又は半透光性の板状体であって、
光を入射させる光入射端面と、前記肉厚部内を這う所定の経路を形成する光ガイド部と、前記光を出射させる光出射部とからなる単数又は複数のライトガイド部材が、当該板状体の前記表面、前記裏面及び各側面のいずれの面からもはみ出ることなく、当該板状体内に埋設されていて、
当該板状体の前記表面側又は裏面側から前記光入射端面に入射した光は、前記光ガイド部に導かれ、前記光出射部から、当該板状体の機能又は美観を高める機能光又は印象光として、前記表面側又は裏面側から外部に出射することを特徴とするライトガイド発光要素を備える板状体。
【請求項3】
前記板状体は、ガラス又はプラスチックからなることを特徴とする請求項1又は2記載のライトガイド発光要素を備える板状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−77604(P2012−77604A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197729(P2011−197729)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(592003393)
【Fターム(参考)】