説明

ライフサイクル情報処理装置、ライフサイクル情報処理方法及びライフサイクル情報処理プログラム

【課題】ライフサイクルの各フェーズ間で生成される異なった種類の情報を関連付けて処理できるライフサイクル情報処理装置を提供する。
【解決手段】構造化データ生成手段81は、ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、情報を構成する構成要素と、その構成要素間の関係を示す関係要素とを含むフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換された構造化データを生成する。リスト構造変換手段85は、構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換する。データ連結リスト生成手段86は、フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応するフェーズリスト内の位置にそのフェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたデータ連結リストを生成する。検索結果リスト生成手段87は、データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスのライフサイクルを通じて生成される情報を処理するライフサイクル情報処理装置、ライフサイクル情報処理方法及びライフサイクル情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、サービス産業が拡大している。例えば、自家用車販売からレンタカーやカーシェアリングへ事業をシフトさせる例に挙げられるように、製品を販売する事業から、製品の備える機能をサービスとして提供するサービス事業へシフトさせることがある。このように事業をシフトさせることに対し期待が持たれている。また、一般的な製品事業において、製品ライフサイクル管理、データライフサイクル管理など、継続的な品質改善や生産性の向上を実現するために、ライフサイクル視点での情報管理が行われている。
【0003】
ライフサイクル視点で、設計・開発・運用・改善など異なるフェーズの情報を統合管理する方法として、オントロジーを活用した研究がなされている。特許文献1には、業務レベルで参照される用語間の関係を定義するオントロジーを導入し、ポリシーと合わせて解析することで、情報を取得するために必要な範囲を明確に決定できる情報管理システムが記載されている。特許文献1に記載された情報管理システムは、予め定められたポリシーを解析して実行プランに変換し、操作対象のデータとなるデータリソース集合を決定するとともに、それらに適用すべき操作を決定する。
【0004】
一方、図式情報やダイアグラムを用いて、フェーズ間の情報共有を図る方法が用いられている。運用フェーズにおけるサービスの利用パターンを、設計関係者が設計フェーズで共有するために、UML(Unified Modeling Language)表記を利用している。また、設計や実装フェーズにおいて、企画フェーズにおける要件情報や、ソフトウェアやハードウェアを含めたシステムの仕様を明確化し妥当性を確認するために、SysML(System Modeling Language)などのドメイン固有モデリング言語(DSL:Domain Specific Language)が用いられている。UMLの仕様については非特許文献1に、SysMLの仕様については非特許文献2に記載された通りである。
【0005】
また、特許文献2には、ファイルシステム上のファイル、ディレクトリ及び構造化情報ファイルの内容を構成する要素の各情報に対するアクセスを一括管理し、統一的な方法によりシームレスにアクセスすることを可能とする情報アクセス管理装置が記載されている。特許文献2に記載された情報アクセス管理装置は、構造化情報ファイルの内容を構成する要素(以下、構成要素と記す。)の格納処理を依頼されると、その構造化情報を解釈し、指定された構造化情報中の位置に格納対象の情報を格納する。また、構成要素の取得処理を依頼されると、取得対象の内容に応じてバイナリデータ又は子要素のフルパス情報のリストを返却する。
【0006】
特許文献3には、アクセス集中による負荷を軽減しつつ製品をライフサイクル全体で管理することができる工程情報提供システムが記載されている。特許文献3に記載された工程情報提供システムは、工程情報取得手段が指定した製品の各工程情報(例えば、製造情報/流通情報/販売情報)を各工程管理サーバに問い合わせて抽出すると、製品情報生成手段がその工程情報をもとに木構造の製品情報を構成して表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−318146号公報(段落0021、図1)
【特許文献2】特開2005−326992号公報(段落0040〜0044)
【特許文献3】特開2006−171926号公報(段落0078〜0082、図6)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】OMG Unified Modeling Language (OMG UML),Infrastructure, V2.1.2 ,2007
【非特許文献2】OMG Systems Modeling Language (OMG SysML) Version 1.1 ,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
サービスのライフサイクルを通じて必要とされる情報を統合するために、業界や業種、業務に精通した者が、サービスの企画・設計・構築・運用・改善といった時間経過に沿って、その都度情報の関係を管理していくことが必要となる。このとき、各フェーズにおいて、企画担当者、設計担当者、実装担当者など異なる役割を持った「ヒト」や組織が、ビジネス目標と実現機能、サービス機能とサービスレベル合意、システムレベルのサービスレベル合意、といった異なる粒度の情報や異なる語彙を扱う必要がある。そのため、サービスのライフサイクルを通じて生成される情報の統合処理や再利用は困難であることが多い。
【0010】
すなわち、各フェーズにおいて人手で作成される図式情報やダイアグラムは、必ずしも、UML表記やSysMLなどのドメイン固有モデリング言語が統一的に用いられるわけではなく、多くは異なるフォーマットで作成される。そのため、異なるフェーズで作成・修正された異なる表記法の情報を統合することや、これらの情報を評価することは困難であることが多い。
【0011】
特許文献1に記載された情報管理システムでは、管理対象となる各データリソースと、それらを参照する業務の対応関係を表す用語(すなわち、オントロジー)を予め定義しておく必要がある。そのため、管理対象となる各データリソースの増加に伴い、オントロジーをその都度定義しなければならないという課題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載された情報アクセス管理装置では、異なるフォーマットの情報にアクセスすることは可能であるが、それらの情報を関連付けて把握することは困難である。
【0013】
また、特許文献3に記載された工程情報提供システムでは、異なるフェーズの情報を統合するためには、所定のフォーマットで情報を格納する必要がある。また、各フェーズに存在する情報を同一のキーワードで抽出した場合に、抽出したこれらの情報が異なるフェーズ間の情報とどのように関連しているか把握することは困難である。
【0014】
そこで、本発明は、ライフサイクルの各フェーズ間で生成される異なった種類の情報を関連付けて処理できるライフサイクル情報処理装置、ライフサイクル情報処理方法及びライフサイクル情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によるライフサイクル情報処理装置は、ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、情報を構成する要素である構成要素と、その構成要素間の関係を示す要素である関係要素とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換されたデータである構造化データを生成する構造化データ生成手段と、構造化データを記憶する構造化データ記憶手段と、構造化データ生成手段に生成された構造化データを構造化データ記憶手段に登録する構造化データ登録手段と、リスト構造で表わされた各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成手段と、構造化データ記憶手段に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換手段と、フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応するフェーズリスト内の位置にそのフェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リストを生成するデータ連結リスト生成手段と、データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する検索結果リスト生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明によるライフサイクル情報処理方法は、ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、情報を構成する要素である構成要素と、その構成要素間の関係を示す要素である関係要素とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換されたデータである構造化データを生成する構造化データ生成ステップと、構造化データを構造化データ記憶手段に登録する構造化データ登録ステップと、リスト構造で表わされた各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成ステップと、構造化データ記憶手段に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換ステップと、フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応するフェーズリスト内の位置にそのフェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リストを生成するデータ連結リスト生成ステップと、データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する検索結果リスト生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明によるライフサイクル情報処理プログラムは、ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、情報を構成する要素である構成要素と、その構成要素間の関係を示す要素である関係要素とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換されたデータである構造化データを記憶する構造化データ記憶手段を備えたコンピュータに搭載されるライフサイクル情報処理プログラムあって、前記コンピュータに、構造化データを生成する構造化データ生成処理、構造化データを構造化データ記憶手段に登録する構造化データ登録処理、リスト構造で表わされた各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成処理、構造化データ記憶手段に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換処理、フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応するフェーズリスト内の位置にそのフェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リストを生成するデータ連結リスト生成処理、および、データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する検索結果リスト生成処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ライフサイクルの各フェーズ間で生成される異なった種類の情報を関連付けて処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるライフサイクル情報処理装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】各フェーズで作成されたフェーズ内情報の例を示す説明図である。
【図3】XML(Extensible Markup Language)を用いて生成された構造化データの例を示す説明図である。
【図4】構造化データの例を示す説明図である。
【図5】リスト構造のデータ例を示す説明図である。
【図6】サービス情報循環リストの例を示す説明図である。
【図7】SVG(Scalable Vector Graphics)形式のデータ例を示す説明図である。
【図8】モデルGUI表示部250に出力させた検索結果リストの例を示す説明図である。
【図9】サービス情報循環リストが生成されるまでの処理の例を示すフローチャートである。
【図10】サービス情報循環リストの部分集合(部分リスト)を抽出する処理の例を示すフローチャートである。
【図11】構造化データの例を示す説明図である。
【図12】構造化データの例を示す説明図である。
【図13】サービス情報循環リストの例を示す説明図である。
【図14】リスト構造のデータ例を示す説明図である。
【図15】リスト構造のデータ例を示す説明図である。
【図16】サービス情報循環リストの例を示す説明図である。
【図17】サービス情報循環リストの構造イメージの例を示す説明図である。
【図18】部分リスト構造の一例を示す説明図である。
【図19】開発プロセス情報310を変換する場合の処理の例を示す説明図である。
【図20】構造化データをリスト構造に変換する処理の例を示す説明図である。
【図21】本発明におけるライフサイクル情報処理装置の最小構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明によるライフサイクル情報処理装置の一実施形態を示すブロック図である。本発明におけるライフサイクル情報処理装置100は、構造化データ生成部110と、構造化データ記憶部120と、ライフサイクル情報統合部130と、ライフサイクル情報再構築部140とを備えている。
【0022】
ライフサイクル情報処理装置100は、システム開発などのサービスにおける企画・設計・構築・運用・改善といったフェーズを含むライフサイクル上の情報を管理し、複数のフェーズを跨って情報検索等を行う装置である。
【0023】
構造化データ生成部110は、ライフサイクル内の各フェーズで、例えば、担当者によって作成された情報(以下、フェーズ内情報と記す。)をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換したデータ(以下、構造化データと記す。)を生成する。フェーズ内情報は、上記情報を構成する要素(以下、構成要素と記す。)と、構成要素間の関係を示す要素(以下、関係要素と記す。)とを含んでいる。例えば、構造化データ生成部110は、フェーズ内情報としてUMLにおける図(ダイアグラム)や、列挙されたデータなどをもとに、XMLなどを用いた構造化データを生成する。以下の説明では、構造化データ生成部110が、XMLを用いて構造化データを生成する場合を例に説明するが、構造化データの形式はXMLを用いた形式に限定されない。
【0024】
構造化データ生成部110は、入力装置である設計情報入力部200、開発プロセス情報入力部210、運用プロセス情報入力部220及び運用情報入力部230に接続される。構造化データ生成部110は、例えば、フェーズ内情報が入力された入力装置がどの装置かを判断して、どのフェーズのフェーズ内情報か判断してもよい。この場合、構造化データ生成部110は、例えば、設計情報入力部200からフェーズ内情報が入力されたときに、そのフェーズ内情報が設計フェーズで作成されたフェーズ内情報と判断してもよい。入力装置(より具体的には、設計情報入力部200、開発プロセス情報入力部210、運用プロセス情報入力部220及び運用情報入力部230)は、キーボードや、フェーズ内情報をライフサイクル情報処理装置100に送信する端末装置等によって実現されるが、入力装置の態様は、キーボードや端末装置に限定されない。また、設計情報入力部200、開発プロセス情報入力部210、運用プロセス情報入力部220及び運用情報入力部230は、ライフサイクル情報処理装置100に含まれていてもよく、また、別の装置で実現されていてもよい。
【0025】
なお、上記説明では、入力装置が複数存在し、フェーズ内情報が入力される入力装置をもとにフェーズ内情報が作成されたフェーズを判断する場合について説明したが、入力装置は1つであってもよい。この場合、構造化データ生成部110は、フェーズ内情報が入力される期間に応じてフェーズを判断してもよい。もしくは、フェーズ内情報と併せてフェーズが明示的に指定されて入力される場合であれば、構造化データ生成部110は、入力時に指定されたフェーズをもとに、フェーズ内情報が生成されたフェーズを判断してもよい。
【0026】
図2は、各フェーズで作成されたフェーズ内情報の例を示す説明図である。図2に示す例では、設計情報300が設計フェーズで作成されたフェーズ内情報、開発プロセス情報310が開発フェーズで作成されたフェーズ内情報、運用プロセス情報320が運用フェーズで作成されたフェーズ内情報、運用情報330が運用フェーズで作成されたフェーズ内情報であるものとする。具体的には、フェーズ内情報は、GUIで表示される情報やテキスト、各属性の属性値などを用いて作成される。なお、以下の説明では、設計情報300が設計情報入力部200から、開発プロセス情報310が開発プロセス情報入力部210から、運用プロセス情報320が運用プロセス情報入力部220から、運用情報330が運用情報入力部230からそれぞれ入力されるものとする。
【0027】
構造化データ生成部110は、構成要素及び関係要素を、それぞれの要素をユニークに識別できる識別子(以下、識別IDと記す。)を付与してフェーズ内情報から抽出する。例えば、図2に示す開発プロセス情報310から構成要素を抽出する場合、構造化データ生成部110は、矩形データの属性値(「企画担当」や「管理担当」)を識別IDとして構成要素に付与し、開発プロセス情報310から抽出してもよい。なお、属性値を持たない構成要素については、一意に識別できる情報を別途付与すればよい。例えば、図2に示す開発プロセス情報310の矩形データに属性値が存在しない場合、構造化データ生成部110は、一意に識別できる識別子(例えば、「Stakeholdr1 」や「Stakeholdr2 」)を識別IDとして構成要素に付与し、開発プロセス情報310から抽出してもよい。
【0028】
また、構造化データ生成部110は、関係要素についても同様に識別IDを付与してフェーズ内情報から抽出する。このとき、構造化データ生成部110は、関係要素が関連付ける構成要素の情報を併せて抽出してもよい。構造化データ生成部110は、これらの識別IDを識別子としてテキストベースの構造化データに変換する。
【0029】
図2及び図3を用いて、構造化データを生成する方法の一例について説明する。図3は、XMLを用いて生成された構造化データの例を示す説明図である。例えば、図2の例に示す開発プロセス情報310のオブジェクトとして「企画担当」、「管理担当」、「設計担当」が、ステークホルダーを示し、「企画担当」から「管理担当」への矢印が、機能の流れを示しているものとする。この場合、構造化データ生成部110は、開発プロセス情報310から構成要素として「企画担当」、「管理担当」及び「設計担当」を抽出し、図3に示すXMLの識別IDを示すstakeholder タグ及び属性を示すnameタグを用いて構造化データを生成する。また、構造化データ生成部110は、「企画担当」から「管理担当」への矢印を抽出し、この矢印を示すため、functionタグ及びnameタグを用いて構造化データを生成し、さらに、上記構成要素間の関連を示すため、toタグを用いてその矢印の示す先(フロー先)を示す構造化データを生成する。このように、構造化データ生成部110は、図2の例に示す図示された情報(例えば、木構造の情報など)や、オブジェクト間の関係を示す情報などを、XMLなどによって構造化されたデータに変換する。
【0030】
また、構造化データ生成部110は、構造化データを生成すると、その構造化データを構造化データ記憶部120に登録する。
【0031】
ライフサイクル情報統合部130は、構造化データをライフサイクルに沿って双方向のリンク関係を持つリスト構造(以下、サービス情報循環リストと記す。)を生成する。すなわち、ライフサイクル情報統合部130は、構造化データ記憶部120に記憶された構造化データをライフサイクルに沿ってリスト化したサービス情報循環リストに統合する。
【0032】
まず、ライフサイクル情報統合部130は、サービスの企画・設計・構築・運用といったフェーズを示すリスト構造(以下、セルと記すこともある。)をフェーズ毎に作成し、これらのセル間をライフサイクルの流れに沿ってリンク関係を持たせたリストを生成する。以下の説明では、このフェーズ間のリンク関係を示すリストのことを、特にフェーズリストと記すこともある。例えば、入力装置からから各フェーズで扱う情報が入力される際に、フェーズの順序が併せて入力される場合であれば、ライフサイクル情報統合部130は、その順序に従ってフェーズリストを生成してもよい。また、例えば、構造化データ生成部110が、各フェーズの構造化データを構造化データ記憶部120への登録時間を併せて記憶させる場合であれば、ライフサイクル情報統合部130は、その登録された(蓄積された)時間順にフェーズリストを生成してもよい。ただし、フェーズリストの生成方法は、上記方法に限定されない。ライフサイクル情報統合部130は、フェーズ毎に生成したセルを、これらのセル間をライフサイクルの流れに沿って双方向のリンク関係を持たせたリストを生成してもよい。この場合、各フェーズのセルが双方向にリンク付けされているため、リスト内のセルが辿りやすいという効果がある。
【0033】
また、ライフサイクル情報統合部130は、予め定められたルールに従って構造化データをリスト構造に変換し、変換したリスト構造のデータをフェーズリスト内のセルに連結させて、サービス情報循環リストを生成する。例えば、構造化データがXMLを用いて生成されている場合、ライフサイクル情報統合部130は、タグ名をリストの左側、タグ値をリストの右側に配置するとするルールに従って、リスト構造に変換してもよい。なお、構造化データをリスト構造に変換するルールは上記方法に限定されない。
【0034】
構造化データをリスト構造に変換する一例について図4及び図5を用いて説明する。図4は構造化データの例を示す説明図である。また、図5はリスト構造のデータの例を示す説明図である。図4に示す例では、構造化データとして、非機能要件(NFR:Non-functional Requirements )単位にタグが生成され、タグで囲まれた部分に関連するステークホルダーや機能が含まれていることを示す。また、図5に示す例では、図4に示す構造化データが、非機能要件及び機能のペア、ステークホルダー及び機能のペアの形式でリスト構造に変換されたことを示す。ライフサイクル情報統合部130は、図4に示すXMLを用いた構造化データから、その構造化に用いているタグをもとにリスト構造に変換する。ライフサイクル情報統合部130は、例えば、非機能要件及び機能を示すタグをもとに、これらのデータをペアにしたリスト構造のデータを生成してもよい。
【0035】
図6は、サービス情報循環リストの例を示す説明図である。図6に示す例では、セル351が、他のセル351へのポインタや各フェーズで扱う情報自身へのポインタなどを格納する領域を2つ含んでおり、これらのセル構造351をもとにサービス情報循環リスト350を形成していることを示す。また、リスト構造352が、構造化データを変換したリスト構造であることを示す。以下の説明では、セル構造351は2つのポインタを格納する領域を含んでいる場合について説明するが、セル構造351の構成は、上記構成に限定されない。
【0036】
変換したリスト構造のデータを連結させてサービス情報循環リストを生成する方法として、例えば、該当するフェーズのセル構造351に空きリストが存在する場合であれば、ライフサイクル情報統合部130は、その空きリスト部分とリスト構造のデータを置き換えることによりリスト構造のデータを連結してもよい。具体的には、リスト構造に変換したデータをサービス情報循環リストに追加する場合、ライフサイクル情報統合部130が、挿入部分の前側に位置するセルのポインタを追加するリスト構造のデータに設定し、追加したリスト構造のデータが指すポインタを、挿入部分の後側に位置するセルに設定してもよい。
【0037】
また、ライフサイクル情報統合部130は、リスト構造に含まれる構成要素が、既にサービス情報循環リストに存在しているか判断し、既に存在する場合にはその構成要素を追加せず、リスト構造内のセルにその同じオブジェクト(リスト構造のデータ)を参照させるようにしてもよい。すなわち、ライフサイクル情報統合部130は、その構成要素を追加する代わりに、サービス循環リスト内に既に存在する構成要素がそのリスト構造と同一の部分に存在するものとして取り扱うようにしてもよい。例えば、ライフサイクル情報統合部130は、連結しようとする構成要素がサービス情報循環リスト内に存在するか否か検索し、その構成要素が見つかった場合にその構成要素に対してポインタを設定すればよい。なお、リスト構造内の構成要素を検索する方法は広く知られているため、説明を省略する。このようにすることで、同一の情報を一元的に管理できるため、その情報に対する変更の反映漏れなどを防ぐことができる。図6に示す例で、リスト構造352内のセルが運用フェーズ内のセルと同一の場合、ライフサイクル情報統合部130は、運用フェーズ内のセルを参照させるようにしてもよい。この場合、長鎖線で囲んだ構成要素は同一であるが、運用フェーズ内のセルを参照しているリスト構造352内のセルについては、そのセルがリンクする先(右側)のセルは、実体が存在しないセル(すなわち、実体は運用フェーズ内のセル)である。
【0038】
また、ライフサイクル情報統合部130は、生成したサービス情報循環リストを構造化データ記憶部120に登録してもよい。
【0039】
構造化データ記憶部120は、構造化データ生成部110が生成した構造化データなどを記憶する記憶装置である。また、構造化データ記憶部120は、ライフサイクル情報統合部130が生成したサービス情報循環リストを記憶してもよい。
【0040】
ライフサイクル情報再構築部140は、リスト検索・合成部141と、モデルグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface。以下、モデルGUIと記す。)生成部142とを備えている。リスト検索・合成部141は、出力装置であるリスト検索・合成出力部240に、モデルGUI生成部142は、出力装置であるモデルGUI表示部250にそれぞれ接続されている。なお、リスト検索・合成出力部240及びモデルGUI表示部250は、ライフサイクル情報処理装置100に含まれていてもよく、また、別の装置で実現されていてもよい。出力装置(より具体的には、リスト検索・合成出力部240及びモデルGUI表示部250)は、例えば、ディスプレイ装置やプリンタ等により実現されるが、出力装置の態様は、ディスプレイ装置やプリンタに限定されない。
【0041】
リスト検索・合成部141は、例えば、利用者により指定される任意の検索条件に基づき、ライフサイクル情報統合部130が構築したサービス情報循環リストの部分集合(部分リスト)を抽出する。具体的には、リスト検索・合成部141は、対象とするフェーズやステークホルダー、ステークホルダーが提供する機能などの検索条件に従って、サービス情報循環リストを時間軸に沿って、あるいは遡って、対象となるフェーズにリンクされた部分リストを探索する。そして、リスト検索・合成部141は、該当部分のリスト構造を一つまたは複数抽出し、一つのリスト構造を生成する。
【0042】
例えば、「ステークホルダーが提供する機能名を抽出する」という検索条件が指定された場合、リスト検索・合成部141は、そのステークホルダーに関連する機能名を抽出する。リスト構造内から指定のリストを検索する方法は、例えば、ライフサイクル情報統合部130がリスト構造の構成要素を検索する方法と同様の方法を用いてもよい。なお、リスト構造内から指定のリストを検索する方法は、広く知られた他の方法を用いてもよい。リスト検索・合成部141は、検索条件に該当するリストを抽出すると、例えば、(ステークホルダー (機能名…))のように、複数フェーズから得られた機能名をリスト構造で合成した結果のリスト(以下、検索結果リストと記す。)を生成する。リスト検索・合成部141は、検索結果リストをリスト検索・合成出力部240に出力させる。
【0043】
モデルGUI生成部142は、リスト検索・合成部141が生成した検索結果リストをグラフィカルに出力するためのフォーマットに変換する。モデルGUI生成部142は、例えば、利用者が検索条件の指定とあわせて、グラフィカルに表現して出力する旨の指示を行った場合に、検索結果リストをグラフィカルに表現するための形式に変換してもよい。例えば、モデルGUI生成部142は、検索結果リストを、図7に示す例のようなSVG形式のフォーマットに変換してもよい。モデルGUI生成部142は、このように変換したデータを使用して、例えば、UMLやSysML形式でモデルGUI表示部250に表示させる。具体的には、モデルGUI生成部142は、モデルGUI表示部250のWebブラウザなどに変換したデータを出力させればよい。モデルGUI表示部250に検索結果リストの内容を出力させた例を図8に示す。
【0044】
構造化データ生成部110と、ライフサイクル情報統合部130と、ライフサイクル情報再構築部140(より詳しくは、リスト検索・合成部141とモデルGUI生成部142)とは、例えば、プログラム(ライフサイクル情報処理プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。例えば、プログラムは、ライフサイクル情報処理装置100が備える記憶部(図示せず)に記憶され、CPUは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、構造化データ生成部110、ライフサイクル情報統合部130、ライフサイクル情報再構築部140(より詳しくは、リスト検索・合成部141及びモデルGUI生成部142)として動作してもよい。
【0045】
次に、動作について説明する。図9は、サービス情報循環リストが生成されるまでの処理の例を示すフローチャートである。構造化データ生成部110は、設計情報入力部200や開発プロセス情報入力部210、運用プロセス情報入力部220や運用情報入力部230から入力されたフェーズ内情報である、設計情報300や開発プロセス情報310、運用プロセス情報320や運用情報330をもとに構造化データを生成する(ステップS111)。構造化データを生成したのち、構造化データ生成部110は、その構造化データを構造化データ記憶部120に登録する(ステップS112)。
【0046】
ライフサイクル情報統合部130は、サービスの企画・設計・構築・運用といったフェーズ毎にセル構造351を作成する。また、ライフサイクル情報統合部130は、構造化データ記憶部120からフェーズの順序や各フェーズの構造化データが登録された登録時間などを読み取り、フェーズの順序を決定する。この順序をもとに、ライフサイクル情報統合部130は、ライフサイクルの流れに沿ってフェーズ毎のセル構造351に双方向のリンク関係を持たせたサービス情報循環リスト(すなわち、フェーズリスト)を生成する(ステップS113)。
【0047】
次に、ライフサイクル情報統合部130は、構造化データ記憶部120から、或るフェーズに対応する構造化データを読み取り(ステップS114)、サービス情報循環リストの構成要素となるリスト構造に変換する(ステップS115)。例えば、図6に示す例では、リスト構造352が、企画フェーズに対応する構造化データを変換したリストであるものとする。
【0048】
ライフサイクル情報統合部130は、変換したリスト構造(すなわち、構成要素)が既にサービス情報循環リストに存在しているか判断する(ステップS116)。構成要素がサービス情報循環リストに含まれる場合(ステップS116におけるYES)、ライフサイクル情報統合部130は、そのリスト構造を追加せず、リスト構造内のセルにその同じオブジェクト(リスト構造のデータ)を参照させる。例えば、図6に示す例では、リスト構造352に含まれる構成要素352aが構成要素353aと同一の情報である場合に、ライフサイクル情報統合部130は、セル構造352bの一部のポインタ352pが参照する先を、構成要素353aとすればよい。
【0049】
一方、構成要素がサービス情報循環リストに含まれていない場合(ステップS116におけるNO)、ライフサイクル情報統合部130は、変換したリスト構造をサービス情報循環リストに連結する(ステップS118)。例えば、図6に示す例では、セル構造351の一部のポインタ351pをリスト構造352に設定することで、サービス情報循環リストに連結したことを示す。ライフサイクル情報統合部130は、その他のフェーズの構造化データが構造化データ記憶部120に記憶されているか判断し(ステップS119)、記憶されている場合には(ステップS119におけるYES)、ステップS114〜S119までの処理を繰り返す。一方、その他のフェーズの構造化データが記憶されていない場合(ステップS119におけるNO)には、処理を終了する。
【0050】
図10は、サービス情報循環リストの部分集合(部分リスト)を抽出する処理の例を示すフローチャートである。リスト検索・合成部141は、例えば、利用者により指定される任意の検索条件に基づき、ライフサイクル情報統合部130が構築したサービス情報循環リストの部分集合(部分リスト)を抽出する(ステップS211)。リスト検索・合成部141は、利用者が検索条件の指定とあわせて、グラフィックに表現して出力する旨の指示を行ったか否か判断する(ステップS212)。グラフィックに表現して出力する旨の指示があった場合(ステップS212におけるYES)、モデルGUI生成部142は、検索結果リストをグラフィカルに表現するためのデータ形式に変換し(ステップS213)、モデルGUI表示部250のWebブラウザなどに出力させる。なお、グラフィックに表現して出力する旨の指示がなかった場合には(ステップS212におけるNO)、抽出した部分集合をリスト検索・合成出力部240に出力させる。
【0051】
本発明によれば、構造化データ生成部110が、ライフサイクル内の各フェーズで作成されたフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って構造化データを生成し、構造化データ記憶部120に登録する。そして、ライフサイクル情報統合部130は、フェーズ毎のセルをライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることによりフェーズリストを生成する。また、ライフサイクル情報統合部130は、構造化データをリスト構造のデータに変換し、フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応するフェーズリスト内の位置にそのリスト構造のデータを連結させてサービス情報循環リストを生成する。その後、リスト検索・合成部141は、サービス情報循環リストから、或る検索条件に従って抽出した部分リストをもとに検索結果リストを生成する。よって、ライフサイクルの各フェーズ間で生成される異なった種類の情報を関連付けて処理できる。
【0052】
すなわち、ライフサイクルに沿ってフェーズリストを生成し、リスト構造を用いてライフサイクル上の各フェーズで生成される情報(時間の経過とともに発生する情報)を関連付ける(データ連結リストに連結する)。そのため、ライフサイクルの任意のフェーズで過去に遡ることができるため、必要とされる情報を漏れなく正確に抽出できる。
【0053】
さらに、複数のシステムを統合する場合を考える。この場合、ライフサイクルは閉ループとはならない場合も存在する。このような場合でも、統合前のサービスの開発情報を循環リストに連結させることにより、既存システムを置き換えることなく、過去のサービス開発時点に遡って情報をトレースすることができる。
【0054】
また、一般的な開発プロセス管理や運用プロセス管理では、プロセスに間接的に関与する設計情報や意思決定に関わるステークホルダーを管理することが困難であることが多い。しかし、本発明によれば、間接的に関わる情報をリストの一部である部分木として扱えるため、循環リストが直接参照するセルからリンク関係を持たせておくことができ、このような間接的に関与するステークホルダーも把握することができる。
【0055】
さらに、フェーズ毎にセルを作成して、そのフェーズのセル同士でリンク関係を持っているため、任意のフェーズを指定して分析が可能である。さらに、複数のフェーズを指定しても、抽出されたリストをリスト検索・合成部141が合成するので、フェーズを跨って分析(評価)することができる。一般的なシステムサービスにおいては、企画・設計・構築・運用・改善といった各フェーズの開発は、異なる役割を持った部門で別々に行われることが多い。そのため、開発の過程において作り込まれたサービス品質の分析など、フェーズを跨った情報処理が困難である。しかし、本発明によれば、任意のフェーズを跨ってサービス情報のトレースがし易くなるため、サービスの品質を決定する要因を特定しやすくなるという効果もある。
【0056】
また、オントロジーやXMLデータを用いたシステムでは、異なるフェーズで生成されるデータを個別に管理し、語彙や文字列の意味を比較して同一性を有するか否か判断する。そのため、同一性の判断方法によっては、必要な情報が検索できず、管理すべき情報から漏れてしまう恐れがある。本発明においては、循環リストから参照される同一データ(ステークホルダやサービス情報)が同一オブジェクト化されていることにより、XMLをはじめとするテキストベースの処理と異なり、同一性の判断がし易いという効果もある。また、サービス情報循環リストはリスト構造であるため、あるフェーズの任意のデータを削除した際、他のフェーズの情報も同様に削除できるという効果もある。
【0057】
また、異なるフェーズの異なるサービス情報であっても、リスト検索・合成部141が、中間形式のリスト構造(例えば、検索結果リスト)を生成する。そのため、XMLデータへの変換が容易なことから、例えば、SVGデータへ変換し、DSL/UMLの描画データ(GUI)の動的生成が容易であるというメリットもある。
【実施例1】
【0058】
以下、具体的な実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲は以下に説明する内容に限定されない。
【0059】
構造化データ生成部110は、図2に示すようなグラフィカルインタフェースを備えた設計情報入力部200、開発プロセス情報入力部210及び運用プロセス情報入力部220から入力された設計情報300、開発プロセス情報310及び運用プロセス情報320をもとに、図4、図11及び図12の例に示す構造化データを生成する。構造化データ生成部110は、構造化データを生成すると、その構造化データを構造化データ記憶部120に登録する。
【0060】
次に、ライフサイクル情報統合部130は、図13の例に示す、企画、設計、運用からなるサービス情報循環リスト(すなわち、フェーズリスト)を構築する。ライフサイクル情報統合部130は、構造化データ記憶部120より、企画フェーズの構造化データを読み取り、図5の例に示すリスト構造に変換し、図13に示す「Plan」に続く空リスト部分を置換する。同様に、設計フェーズ、運用フェーズの構造化データ(すなわち、図11及び図12)を読み取り、図14、図15に示す例のように変換し、図10の「Design」及び「Operation」に続く空リスト部分を置換する。このようにして、ライフサイクル情報統合部130は、リスト構造をサービス情報循環リストに連結する。本実施例により得られたサービス情報循環リストの結果の例を図16に示す。また、上記に示す操作を、他のフェーズの入力情報も同様に行った結果、得られるサービス情報循環リストの構造イメージの例を図17に示す。例えば、図17の例に示すように、一つのセル構造が複数のリンク構造へのポインタを有する場合、一方のポインタが示す先を「直接ステークホルダー」、もう一方のポインタが示す先を「間接ステークホルダー」と判断してもよい。
【0061】
次に、ライフサイクル情報再構築部140の動作について説明する。ライフサイクル情報再構築部140のリスト検索・合成部141は、「対象とするフェーズ」や「ステークホルダー」、「ステークホルダーが提供する機能」などの検索条件に従って、サービス情報循環リストを時間軸に沿って、あるいは遡って、対象となるフェーズにリンクされた部分リストを探索する。そして、リスト検索・合成部141は、該当部分のリスト構造を一つまたは複数抽出し、一つのリスト構造を生成する。
【0062】
図18に抽出した部分リスト構造の一例を示す。例えば、検索条件として「全フェーズのステークホルダーに関係するステークホルダーの一覧」と指示された場合、リスト検索・合成部141は、例えば、検索条件に該当するリストを抽出すると、抽出結果を合成した検索結果リストを生成する。図18に示す例では、「(st3 (st2) (st4 st5)) 」を検索結果リストとして生成したことを示す。同様に、例えば、検索条件として「ステークホルダーに関係するフェーズの一覧」と指示された場合、リスト検索・合成部141は、検索結果リストとして「(st2 (design operation))」と生成してもよい。また、検索条件として「実現機能に関係する要求」と指示された場合、リスト検索・合成部141は、検索結果リストとして「((g-func1 g-func2 g-func3 g-func4 g-func5) (func23 func24)) 」と生成してもよい。
【0063】
また、モデルGUI生成部142は、リスト検索・合成部141が生成した検索結果リストをグラフィカルに表現可能な形式に変換する。モデルGUI生成部142は、検索結果リストを図7に示す例のようなSVG形式のデータに変換する。モデルGUI生成部142は、図8に示す例のように、モデルGUI表示部250のWebブラウザなどにUMLやSysML形式で変換したデータを出力させる。
【実施例2】
【0064】
構造化データ生成部110がフェーズ内情報をもとに構造化データを生成する方法について、具体例を用いて説明する。図19は、図2に示す開発プロセス情報310をXMLを用いて変換する場合の処理の例を示す説明図である。まず、構造化データ生成部110は、開発プロセス情報310から、「企画担当」、「管理担当」等を、それぞれの属性値(「企画担当」、「管理担当」等)を識別IDとして付与した構成要素を抽出する。構造化データ生成部110は、抽出したこれらの構成要素を、構成要素を示すタグ(例えば、stakeholder)及び属性値を示すタグ(例えば、name)を用いて構造化データに変換する(図19(a))。同様に、例えば、関係要素として、「企画担当と管理担当を結ぶ矢印」を、関係要素を示すタグ(例えば、function)及び関連を示すタグ(例えば、from、to)を用いて構造化データに変換する(図19(b))。上記構成要素と関係要素を合成し(図19(c))、冗長タグ(例えば、nameタグとfromタグが一致するもの)を削除する(図19(d))。同様の手順で、他の構成要素及び関係要素を変換することにより、フェーズ内情報を構造化データに変換する。
【実施例3】
【0065】
ライフサイクル情報統合部130が、構造化データをリスト構造に変換する方法について、具体例を用いて説明する。図20は、図4の例に示す構造化データをもとに、図5の例に示すリスト構造に変換する処理の例を示す説明図である。ライフサイクル情報統合部130は、タグ名をリストの左側、タグ値をリストの右側に配置するとするルールに従って、構造化データをリスト構造のデータに変換する(図20(a))。次に、ライフサイクル情報統合部130は、変換したリスト構造のデータから、値のみを取り出したリスト構造のデータを生成する(図20(b))。ライフサイクル情報統合部130は、値のみを取り出したリスト構造のデータを組み替えたり、選択したりして、図20(c)や図20(d)の例に示すリスト構造を生成してもよい。
【0066】
図21は、本発明におけるライフサイクル情報処理装置の最小構成を示すブロック図である。本発明によるライフサイクル情報処理装置は、ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報(例えば、設計情報300、開発プロセス情報310、運用プロセス情報320、運用情報330)であって、情報を構成する要素である構成要素(例えば、開発プロセス情報310内の矩形データ)と、その構成要素間の関係を示す要素である関係要素(例えば、開発プロセス情報310内の矢印)とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルール(例えば、XMLタグを用いてオブジェクトを変換する)に従って変換されたデータである構造化データ(例えば、XMLにより構造化された構造化データ)を生成する構造化データ生成手段81(例えば、構造化データ生成部110)と、構造化データを記憶する構造化データ記憶手段82(例えば、構造化データ記憶部120)と、構造化データ生成手段81に生成された構造化データを構造化データ記憶手段82に登録する構造化データ登録手段83(例えば、構造化データ生成部110)と、リスト構造で表わされた各フェーズの情報(例えば、フェーズを示すリスト構造、すなわち、セル)をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成手段84(例えば、ライフサイクル情報統合部130)と、構造化データ記憶手段82に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換手段85(例えば、ライフサイクル情報統合部130)と、フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応するフェーズリスト内の位置にそのフェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リスト(例えば、サービス情報循環リスト)を生成するデータ連結リスト生成手段86(例えば、ライフサイクル情報統合部130)と、データ連結リストから、検索条件(例えば、利用者により指定される任意の検索条件)に従って抽出したリスト構造のデータ(例えば、部分リスト)をもとに検索結果のリスト(例えば、リスト構造で合成した結果のリスト、すなわち、検索結果リスト)を生成する検索結果リスト生成手段87(例えば、リスト検索・合成部141)とを備えている。
【0067】
そのような構成により、ライフサイクルの各フェーズ間で生成される異なった種類の情報を関連付けて処理できる。すなわち、ライフサイクルに沿ってフェーズリストを生成し、リスト構造を用いてライフサイクル上の各フェーズで生成される情報(時間の経過とともに発生する情報)を関連付ける(データ連結リストに連結する)。そのため、ライフサイクルの任意のフェーズで過去に遡ることができるため、必要とされる情報を漏れなく正確に抽出できる。
【0068】
また、データ連結リスト生成手段86が、連結するリスト構造に含まれるデータと同一のデータが既にデータ連結リストに存在している場合に、既にデータ連結リストに存在している同一のデータを、連結するリスト構造に含まれるデータとして参照させる(すなわち、データ連結リストに既に存在する構成要素がそのリスト構造と同一の部分に存在するものとして取り扱う)ことによりデータ連結リストを生成してもよい。この場合、同一の情報を一元的に管理できるため、その情報に対する変更の反映漏れなどを防ぐことができる。
【0069】
また、フェーズリスト生成手段84が、各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿って双方向にリンク付けすることによりフェーズリストを生成してもよい。この場合、この場合、各フェーズのセルが双方向にリンク付けされているため、リスト内のセルが辿りやすいという効果がある。
【0070】
また、上記実施形態には、検索結果リスト生成手段87が生成したリストをグラフィカルに出力するためのフォーマット(例えば、SVG形式のフォーマット)に変換するフォーマット変換手段(例えば、モデルGUI生成部142)を備えた構成が開示されている。
【0071】
また、フォーマット変換手段が、検索結果リスト生成手段87が生成したリストをScalable Vector Graphics形式のフォーマットに変換してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、サービスのライフサイクルを通じて生成される情報を処理するライフサイクル情報処理装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0073】
100 ライフサイクル情報処理装置
110 構造化データ生成部
120 構造化データ記憶部
130 ライフサイクル情報統合部
140 ライフサイクル情報再構築部
141 リスト検索・合成部
142 モデルGUI生成部
200 設計情報入力部
210 開発プロセス情報入力部
220 運用プロセス情報入力部
230 運用情報入力部
240 リスト検索・合成出力部
250 モデルGUI表示部
300 設計情報
310 開発プロセス情報
320 運用プロセス情報
330 運用情報
350 サービス情報循環リスト
351p,352p,353p ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、前記情報を構成する要素である構成要素と、当該構成要素間の関係を示す要素である関係要素とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換されたデータである構造化データを生成する構造化データ生成手段と、
前記構造化データを記憶する構造化データ記憶手段と、
前記構造化データ生成手段に生成された構造化データを前記構造化データ記憶手段に登録する構造化データ登録手段と、
リスト構造で表わされた各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成手段と、
前記構造化データ記憶手段に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換手段と、
前記フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応する前記フェーズリスト内の位置に当該フェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リストを生成するデータ連結リスト生成手段と、
前記データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する検索結果リスト生成手段とを備えた
ことを特徴とするライフサイクル情報処理装置。
【請求項2】
データ連結リスト生成手段は、連結するリスト構造に含まれるデータと同一のデータが既にデータ連結リストに存在している場合に、既にデータ連結リストに存在している同一のデータを、連結する前記リスト構造に含まれるデータとして参照させることによりデータ連結リストを生成する
請求項1記載のライフサイクル情報処理装置。
【請求項3】
フェーズリスト生成手段は、各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿って双方向にリンク付けすることによりフェーズリストを生成する
請求項1または請求項2記載のライフサイクル情報処理装置。
【請求項4】
検索結果リスト生成手段が生成したリストをグラフィカルに出力するためのフォーマットに変換するフォーマット変換手段を備えた
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のライフサイクル情報処理装置。
【請求項5】
フォーマット変換手段は、検索結果リスト生成手段が生成したリストをScalable Vector Graphics形式のフォーマットに変換する
請求項4記載のライフサイクル情報処理装置。
【請求項6】
ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、前記情報を構成する要素である構成要素と、当該構成要素間の関係を示す要素である関係要素とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換されたデータである構造化データを生成する構造化データ生成ステップと、
前記構造化データを構造化データ記憶手段に登録する構造化データ登録ステップと、
リスト構造で表わされた各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成ステップと、
前記構造化データ記憶手段に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換ステップと、
前記フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応する前記フェーズリスト内の位置に当該フェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リストを生成するデータ連結リスト生成ステップと、
前記データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する検索結果リスト生成ステップとを含む
ことを特徴とするライフサイクル情報処理方法。
【請求項7】
データ連結リスト生成ステップで、連結するリスト構造に含まれるデータと同一のデータが既にデータ連結リストに存在している場合に、既にデータ連結リストに存在している同一のデータを、連結する前記リスト構造に含まれるデータとして参照させることによりデータ連結リストを生成する
請求項6記載のライフサイクル情報処理方法。
【請求項8】
フェーズリスト生成ステップで、各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿って双方向にリンク付けすることによりフェーズリストを生成する
請求項6または請求項7記載のライフサイクル情報処理方法。
【請求項9】
検索結果リスト生成ステップで生成したリストをグラフィカルに出力するためのフォーマットに変換するフォーマット変換ステップを含む
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載のライフサイクル情報処理方法。
【請求項10】
フォーマット変換ステップで、検索結果リスト生成ステップで生成したリストをScalable Vector Graphics形式のフォーマットに変換する
請求項9記載のライフサイクル情報処理方法。
【請求項11】
ライフサイクル内の各フェーズで作成された情報であって、前記情報を構成する要素である構成要素と、当該構成要素間の関係を示す要素である関係要素とを含む情報であるフェーズ内情報をもとに、予め定められた構造化ルールに従って変換されたデータである構造化データを記憶する構造化データ記憶手段を備えたコンピュータに搭載されるライフサイクル情報処理プログラムあって、前記コンピュータに、
前記構造化データを生成する構造化データ生成処理、
前記構造化データを前記構造化データ記憶手段に登録する構造化データ登録処理、
リスト構造で表わされた各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿ってリンク付けすることにより、フェーズ間のリンク関係を示すリストであるフェーズリストを生成するフェーズリスト生成処理、
前記構造化データ記憶手段に記憶された構造化データを予め定められたルールに従ってリスト構造のデータに変換するリスト構造変換処理、
前記フェーズ内情報が作成されたフェーズに対応する前記フェーズリスト内の位置に当該フェーズ内情報を変換したリスト構造のデータを連結させたリストであるデータ連結リストを生成するデータ連結リスト生成処理、および、
前記データ連結リストから、検索条件に従って抽出したリスト構造のデータをもとに検索結果のリストを生成する検索結果リスト生成処理
を実行させるためのライフサイクル情報処理プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
データ連結リスト生成処理で、連結するリスト構造に含まれるデータと同一のデータが既にデータ連結リストに存在している場合に、既にデータ連結リストに存在している同一のデータを、連結する前記リスト構造に含まれるデータとして参照させることによりデータ連結リストを生成させる
請求項11記載のライフサイクル情報処理プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
フェーズリスト生成処理で、各フェーズの情報をライフサイクルの流れに沿って双方向にリンク付けすることによりフェーズリストを生成させる
請求項11または請求項12記載のライフサイクル情報処理プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
検索結果リスト生成処理で生成したリストをグラフィカルに出力するためのフォーマットに変換するフォーマット変換処理を実行させる
請求項11から請求項13のうちのいずれか1項に記載のライフサイクル情報処理プログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
フォーマット変換処理で、検索結果リスト生成処理で生成したリストをScalable Vector Graphics形式のフォーマットに変換させる
請求項14記載のライフサイクル情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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