説明

ラインインクジェットプリンター

【課題】インクの吐出タイミングを制御するための信号を容易に得ることが可能な構成を備えたラインインクジェットプリンターを提供すること。
【解決手段】ラインインクジェットプリンター1は、紙送りローラー10による紙送り量を検出するための第1エンコーダー31と、インクの吐出タイミングを制御する信号を得るための第2エンコーダー34を備える。第1エンコーダー31および第2のエンコーダー34の各エンコーダースケール32、35は紙送りモーター12から紙送りローラー10へ駆動力を伝達する減速機構13の中間ローラー20に設けられる。第2エンコーダー34は紙送りローラー10によって記録紙Pが所定量だけ搬送される間に、予め設定した数のパルス信号を出力させるので、第2エンコーダー34からの信号をインクジェットヘッド3からのインクの吐出タイミングを図るための制御信号として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの吐出タイミングを計るための信号をエンコーダーから取得するラインインクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターとしては、印刷位置を経由する搬送経路に沿って記録紙を送る紙送り動作と、印刷位置においてキャリッジに搭載されたインクジェットヘッドを紙送り方向と直交する記録紙幅方向に移動させながら記録紙に向かってインクを吐出するインク吐出動作とを交互に行なうことにより記録紙に印刷を施すシリアルインクジェットプリンターが一般的である。このようなシリアルインクジェットプリンターは、特許文献1に記載されている。同文献のシリアルインクジェットプリンターは、記録紙の紙送り量を検出するためのモーターエンコーダーと、記録紙幅方向におけるインクジェットヘッドの位置を検出するためのリニアエンコーダーを備えており、モーターエンコーダーからの信号とリニアエンコーダーからの信号に基づいてインクジェットヘッドのインク吐出制御を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−24653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドとして記録紙の印刷領域の幅以上の幅寸法を備えるものを用意することができれば、インクジェットプリンターとしてラインインクジェットプリンターを構成することが可能となる。この場合、ラインインクジェットプリンターでは印刷時にインクジェットヘッドが停止しているので、記録紙幅方向におけるインクジェットヘッドの位置を検出するラインエンコーダーを備える必要はなく、ラインエンコーダーから出力される位置情報に基づいてインクジェットヘッドからのインクの吐出タイミングを計る必要もない。
【0005】
しかし、ラインインクジェットプリンターでは、紙送りと並行してインクジェットヘッドからのインクの吐出動作が行なわれるので、記録紙搬送方向におけるインクジェットヘッドの位置に基づいて、インクの吐出タイミングを計る必要がある。ここで、記録紙搬送方向におけるインクジェットヘッドの位置は、特許文献1のモーターエンコーダーのように、紙送り量を検出するためのエンコーダーからの信号として出力されているので、当該エンコーダーからの信号を利用してインクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを計ることが考えられる。しかし、一般的に、紙送り量を検出するためのエンコーダーは紙送りを精度良く行うために高分解能のものが用いられているので、当該エンコーダーからの信号を、そのままインクの吐出タイミングを計るための信号として利用することは難しいという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、上記の点に鑑みて、インクの吐出タイミングを制御するための信号を容易に得ることが可能な構成を備えたラインインクジェットプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のラインインクジェットプリンターは、
インクジェットヘッドによる印刷位置を経由する搬送経路に沿って記録紙を搬送するための紙送りローラーと、
前記紙送りローラーを回転させるための紙送りモーターと、
前記紙送りモーターの回転を減速して前記紙送りローラーに伝達する減速機構と、
前記紙送りローラーによる紙送り量を検出するための第1エンコーダーと、
前記インクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御する信号を得るための第2エンコーダーと、を有し、
前記減速機構は、前記紙送りモーターの回転よりも低速で前記紙送りローラーよりも高速に回転する中間ローラーを備え、
前記中間ローラーには、前記第1エンコーダーの第1エンコーダースケールと、前記第2エンコーダーの第2エンコーダースケールとが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、紙送りローラーによる紙送り量を検出するための第1エンコーダーと、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御する信号を得るための第2エンコーダーとを別々に備えている。従って、第1エンコーダーを紙送り制御に適した分解能を備えるものとし、第2エンコーダーをインク吐出制御に適した分解能を備えるものとすることができる。よって、第2エンコーダーからインクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御するのに適した信号を得ることができる。また、第2エンコーダーの第2エンコーダースケールは紙送り量を検出するための第1エンコーダーの第1エンコーダースケールと共に一本の中間ローラーに取り付けられているので、第2エンコーダースケールと第1エンコーダースケールが一体に回転する。この結果、第2エンコーダーから出力される信号と第1エンコーダーから出力される信号にずれが生じることがないので、記録紙搬送方向におけるインクジェットヘッドの位置に基づいて、インクジェットヘッドからインクを正確に吐出させることができる。さらに、各エンコーダースケールが紙送りローラーよりも高速に回転する中間ローラーに取り付けられているので、各エンコーダースケールを紙送りローラーの回転軸に取り付ける場合と比較して、各エンコーダースケールの径を小さく抑えることができる。
【0009】
本発明において、第1エンコーダーを紙送り制御に適した分解能を備えるものとし、第2エンコーダーをインク吐出制御に適した分解能を備えるものとするためには、前記第1エンコーダーの分解能は、前記第2エンコーダーの分解能よりも高いことが望ましい。
【0010】
この場合において、第1エンコーダーの第1エンコーダースケールと、第2エンコーダーの第2エンコーダースケールとを中間ローラーに取り付けるためには、前記第1エンコーダースケールは、前記中間ローラーに同軸に取り付けられた第1円盤に設けられており、前記第2エンコーダースケールは、前記中間ローラーの軸線方向で前記第1円盤とは異なる位置において当該中間ローラーと同軸に取り付けられた第2円盤に設けられている構成を採用することができる。
【0011】
また、この場合において、前記第1エンコーダーの第1エンコーダースケールおよび前記第2エンコーダーの第2エンコーダースケールは、前記中間ローラーに同軸に取り付けられた一枚の円盤の半径方向の異なる位置に設けられている構成を採用することもできる。このようにすればエンコーダースケールを設けるための円盤が1枚で済むので、部品点数を抑制できる。
【0012】
本発明において、中間ローラーを備える減速機構を簡易に構成するためには、前記減速機構は、前記紙送りモーターの出力軸に取り付けられた第1プーリーと、前記第1プーリーよりも大径で前記中間ローラーに同軸に取り付けられている第2プーリーと、前記第2プーリーよりも小径で前記中間ローラーに同軸に取り付けられている第3プーリーと、前記紙送りローラーおよび前記第3プーリーよりも大径で当該紙送りローラーに同軸に取り付けられている第4プーリーと、前記第1プーリーと前記第2プーリーとの間に架け渡された第1無端ベルトと、前記第3プーリーと前記第4プーリーとの間に架け渡された第2無端ベルトと、を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2エンコーダーからインクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御するのに適した信号を得ることができる。また、第2エンコーダースケールと第1エンコーダースケールとが一体に回転し、第2エンコーダーから出力される信号と第1エンコーダーから出力される信号にずれが生じることがないので、記録紙搬送方向におけるインクジェットヘッドの位置に基づいて、インクジェットヘッドからインクを正確に吐出させることができる。さらに、各エンコーダースケールが紙送りローラーよりも高速に回転する中間ローラーに取り付けられているので、各エンコーダースケールを紙送りローラーの回転軸に取り付ける場合と比較して、各エンコーダースケールの径を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のプリンターの全体構成を示す概略縦断面図である。
【図2】インクジェットヘッドをノズル面の側から見た概略平面図である。
【図3】減速機構、および、印刷動作を制御する制御系の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したラインインクジェットプリンターを説明する。
【0016】
(全体構成)
図1は本発明の実施形態のラインインクジェットプリンターの全体構成を示す概略縦断面図である。ラインインクジェットプリンター1は、複数種類のカラーインクを用いて長尺状の記録紙Pに印刷を行うものである。ラインインクジェットプリンター1の後側部分にはロール紙装填部2が設けられており、ここに装填されたロール紙Qから引き出された記録紙Pは、インクジェットヘッド3による印刷位置Aを規定しているプラテン4の表面を経由する搬送経路5に沿って搬送される。
【0017】
ロール紙装填部2の上方には記録紙Pのスキューを防止するための用紙ガイド6が配置され、その後方にロール紙Qから記録紙Pを引き出すための繰り出しローラー7が配置されている。繰り出しローラー7は図示しない繰り出しモーターによって正逆方向に回転させられる。
【0018】
記録紙Pは、ロール紙Qから繰り出しローラー7に向かって斜め後方に引き出された後、繰り出しローラー7に掛け渡される。そして、繰り出しローラー7を介して前方に引き出された記録紙Pは、用紙ガイド6の後方に配置された負荷ローラー8を経由した後、用紙ガイド6およびその前方に配置された紙送りローラー対9を経由してプラテン4の表面を通過するようにセットされる。紙送りローラー対9は、記録紙Pに下側から当接する紙送りローラー10と、紙送りローラー10の側に上方から付勢された押圧ローラー11を備えている。紙送りローラー対9の下側には紙送りローラー10を正逆方向に回転させるための紙送りモーター12が配置されている。紙送りモーター12と紙送りローラー10の間には、紙送りモーター12の回転を減速して紙送りローラー10に伝達する減速機構13が構成されている。
【0019】
プラテン4の上方にはキャリッジ14に搭載されたインクジェットヘッド3が配置されている。プラテン4の下方にはインクカートリッジ装着部15が設けられている。インクカートリッジ装着部15には、シアン、マゼンダ、イエローおよびブラックの4色のインクのそれぞれを貯留するインクカートリッジが装着される。インクカートリッジ装着部15にインクカートリッジを装着すると、図示しないインク供給用のポンプ機構がインクカートリッジ内のインクタンクと接続された状態となり、インクジェットヘッド3へのインクの供給が可能となる。
【0020】
図2はインクジェットヘッド3をインクノズル面の側から見た概略平面図である。インクジェットヘッド3は、図2に示すように、第1ヘッド3Aおよび第2ヘッド3Bを備える複合ヘッドであり、第1ヘッド3Aにはブラックのインクを吐出するインクノズル列Bと、シアンのインクを吐出するインクノズル列Cが形成され、第2ヘッド3Bにはマゼンダのインクを吐出するインクノズル列Mと、イエローのインクを吐出するインクノズル列Yが形成されている。第1および第2ヘッド3A、3Bは記録紙Pよりも幅広に形成されており、各インクノズル列B、C、M、Yは記録紙Pの記録紙幅方向(プリンター幅方向)に延びており、記録紙Pの印刷領域全体をカバーできる幅の領域に配列されている。
【0021】
ここで、インクジェットヘッド3は、キャリッジ14に搭載された状態で、図1に示す印刷位置Aと、搬送経路5からプリンター幅方向の外側に外れたホームポジション(不図示)との間を往復移動するように構成されている。インクジェットヘッド3は、印刷位置Aに停止した状態で搬送経路5を搬送される記録紙Pに印刷を施し、印刷が終了するとホームポジションに退避させられて待機する。待機中には、インクジェットヘッド3のインクノズルの目詰まりを防止あるいは解消するためのメンテナンス動作が行なわれる。
【0022】
ラインインクジェットプリンター1は、ロール紙Qから引き出された記録紙Pが搬送経路5にセットされた状態で外部の機器から印刷指令を受けると、ホームポジションからインクジェットヘッド3を印刷位置Aに向かって移動させて、印刷位置Aに位置決めして停止させる。この状態で、紙送りローラー10を回転させて記録紙Pを搬送する紙送り動作と、インクジェットヘッド3から記録紙Pに向かってインクを吐出するインク吐出動作とを並行して行うことによって印刷位置Aを通過する記録紙Pに印刷を施す。
【0023】
(減速機構)
図3は減速機構13および印刷動作を制御する制御系の説明図である。減速機構13は、紙送りローラー10と平行に配置された中間ローラー20を備えている。また、減速機構13は、紙送りモーター12の出力軸に取り付けられた第1プーリー21と、第1プーリー21よりも大径で中間ローラー20に同軸に取り付けられている第2プーリー22と、第2プーリー22よりも小径で中間ローラー20に同軸に取り付けられている第3プーリー23と、紙送りローラー10および第3プーリー23よりも大径で紙送りローラー10に同軸に取り付けられている第4プーリー24を備えている。第2プーリー22は中間ローラー20の軸線方向の中央部分に固定されており、第3プーリー23は中間ローラー20の一方の軸端部分に固定されている。第4プーリー24は紙送りローラー10の一方の軸端部分に固定されている。第1プーリー21と第2プーリー22の間には第1無端ベルト25が架け渡されており、第3プーリー23と第4プーリー24との間には第2無端ベルト26が架け渡されている。減速機構13において、中間ローラー20は紙送りモーター12の回転よりも低速で紙送りローラー10よりも高速に回転する。本例では、回転ローラーと紙送りローラー10の減速比は4対1となっている。
【0024】
(制御系)
ここで、中間ローラー20の他方の端部には中間ローラー20と同軸に第1円盤30が固定されており、第1円盤30には第1エンコーダー31の第1エンコーダースケール32が設けられている。中間ローラー20の軸線方向において第1円盤30から内側に離れた位置には中間ローラー20と同軸に第2円盤33が固定されており、第2円盤33には第2エンコーダー34の第2エンコーダースケール35が設けられている。本例において、各エンコーダースケール32、35は、各円盤30、33の外周縁部分に等角度間隔で形成されたスリットであり、各エンコーダー31、34はこれらのスリットの移動を光学的に検出する。また、第1エンコーダー31の分解能は第2エンコーダー34の分解能よりも高く、本例では第1エンコーダー31は第2エンコーダー34の4倍の分解能を備えている。
【0025】
第1エンコーダー31は紙送りローラー10による記録紙Pの紙送り量を検出するためのものであり、第1エンコーダー31から出力される第1信号S1はラインインクジェットプリンター1の印刷動作を司る印刷制御部40に入力されている。印刷制御部40は、CPUやファームウエアを搭載するROMなどを備える電子回路であり、第1信号S1に基づいて紙送りモーター12を制御して紙送りローラー10による記録紙Pの紙送り量を制御する。
【0026】
第2エンコーダー34はインクジェットヘッド3におけるインクの吐出タイミングを制御する第2信号S2を得るためのものであり、第2エンコーダー34から出力される第2信号S2も印刷制御部40に入力されている。第2エンコーダー34から出力される第2信号S2は、中間ローラー20が1回転する間に、すなわち、紙送りローラー10による紙送り量が所定量に達する間に、予め設定した数(分解能に依存する数)のパルス信号を出力する。印刷制御部40はこのパルス信号に基づいてインクジェットヘッド3の各インクノズル列B、C、M、Yのインクノズルからインクを吐出するための駆動波形を生成する。また、印刷制御部40は、生成した駆動波形に基づいてインクジェットヘッド3に搭載されている圧電素子を駆動してインクジェットヘッド3からインクを吐出させる。
【0027】
(作用効果)
本例によれば、紙送りローラー10による紙送り量を検出するための第1エンコーダー31と、インクジェットヘッド3におけるインクの吐出タイミングを制御する信号を得るための第2エンコーダー34を別々に備えており、第1エンコーダー31を紙送り制御に適した高い分解能を備えるものとし、第2エンコーダー34をインク吐出制御に適した分解能を備えるものとしてある。よって、第2エンコーダー34からインクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御するのに適した信号を得ることができる。
【0028】
また、本例によれば、第2エンコーダー34の第2エンコーダースケール35は紙送り量を検出するための第1エンコーダー31の第1エンコーダースケール32と共に一本の中間ローラー20に取り付けられているので、第2エンコーダースケール35と第1エンコーダースケール32が一体に回転する。この結果、第2エンコーダー34から出力される信号と第1エンコーダー31から出力される信号にずれが生じることがないので、印刷制御部40は、記録紙搬送方向におけるインクジェットヘッド3の位置に基づいて、インクジェットヘッド3からインクを正確に吐出させることができる。
【0029】
さらに、各エンコーダースケール32、35が紙送りローラー10よりも高速に回転する中間ローラー20に取り付けられているので、円環状の各エンコーダースケール32、35を紙送りローラー10の回転軸に取り付ける場合と比較して、その径を小さく抑えることができる。この結果、各エンコーダースケール32、35が設けられている各円盤30、33の径を小さく抑えることができるので、インクジェットヘッド3がキャリッジ14に搭載された状態で印刷位置Aとホームポジションとの間を往復移動する際に、搬送経路5上を装置幅方向に移動するインクジェットヘッド3およびキャリッジ14と各円盤30、33が干渉することを回避できる。
【0030】
(その他の実施の形態)
上記の例では、第1エンコーダー31の第1エンコーダースケール32および第2エンコーダー34の第2エンコーダースケール35は、異なる円盤に設けられているが、これらを中間ローラー20に同軸に取り付けられた一枚の円盤の半径方向の異なる位置に設けてもよい。より具体的には、分解能が低い第2エンコーダー34の第2エンコーダースケール35を、第1エンコーダー31の第1エンコーダースケール32よりも半径方向の内側に設けてもよい。このようにすればエンコーダースケールを設ける円盤が1枚で済むので、部品点数を抑制できる。
【0031】
また、上記の例では、減速機構13は一本の中間ローラー20を備えるものであるが、中間ローラーを複数本設け、紙送りモーター12の回転を複数の中間ローラーを介することにより段階的に減速して紙送りローラー10に伝達する構成を採用してもよい。この場合には、同一の中間ローラーに第1エンコーダースケール32および第2エンコーダースケール35を取り付ければ、複数の中間ローラーのうちのいずれの中間ローラーに各エンコーダースケール32、35を取り付けてもよい。
【0032】
(エンコーダースケールの配置の参考例)
なお、減速機構13として、紙送りモーター12の第1プーリー21と紙送りローラー10の第4プーリー24の間に無端ベルトを架け渡す構成を採用することもできる。この場合には、減速機構13から中間ローラー20が省略されるので、紙送りローラー10の回転量を検出するための第1エンコーダー31と、インクジェットヘッド3におけるインク吐出制御を行うための信号を得るための第2エンコーダー34を搭載する場合には、第1エンコーダー31の第1エンコーダースケール32と、第2エンコーダー34の第2エンコーダースケール35を紙送りローラー10の他方の軸端側部分に設けておくことになる。
【符号の説明】
【0033】
1・・ラインインクジェットプリンター、2・・ロール紙装填部、3・・インクジェットヘッド、4・・プラテン、5・・搬送経路、6・・用紙ガイド、7・・繰り出しローラー、8・・負荷ローラー、9・・紙送りローラー対、10・・紙送りローラー、11・・押圧ローラー、12・・紙送りモーター、13・・減速機構、14・・キャリッジ、15・・インクカートリッジ装着部、20・・中間ローラー、21・・第1プーリー、22・・第2プーリー、23・・第3プーリー、24・・第4プーリー、25・・第1無端ベルト、26・・第2無端ベルト、30・・第1円盤、31・・第1エンコーダー、32・・第1エンコーダースケール、33・・第2円盤、34・・第2エンコーダー、35・・第2エンコーダースケール、40・・印刷制御部、A・・印刷位置、P・・記録紙、Q・・ロール紙、S1・・第1信号、S2・・第2信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドによる印刷位置を経由する搬送経路に沿って記録紙を搬送する紙送りローラーと、
前記紙送りローラーを回転させるための紙送りモーターと、
前記紙送りモーターの回転を減速して前記紙送りローラーに伝達する減速機構と、
前記紙送りローラーによる紙送り量を検出するための第1エンコーダーと、
前記インクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御する信号を得るための第2エンコーダーと、を有し、
前記減速機構は、前記紙送りモーターの回転よりも低速で前記紙送りローラーよりも高速に回転する中間ローラーを備え、
前記中間ローラーには、前記第1エンコーダーの第1エンコーダースケールと、前記第2エンコーダーの第2エンコーダースケールとが取り付けられていることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1エンコーダーの分解能は、前記第2エンコーダーの分解能よりも高いことを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1エンコーダースケールは、前記中間ローラーに同軸に取り付けられた第1円盤に設けられており、
前記第2エンコーダースケールは、前記中間ローラーの軸線方向で前記第1円盤とは異なる位置において当該中間ローラーと同軸に取り付けられた第2円盤に設けられていることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記第1エンコーダーの第1エンコーダースケールおよび前記第2エンコーダーの第2エンコーダースケールは、前記中間ローラーに同軸に取り付けられた一枚の円盤の半径方向の異なる位置に設けられていることを特徴とするラインインクジェットプリンター。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記減速機構は、
前記紙送りモーターの出力軸に取り付けられた第1プーリーと、
前記第1プーリーよりも大径で前記中間ローラーに同軸に取り付けられている第2プーリーと、
前記第2プーリーよりも小径で前記中間ローラーに同軸に取り付けられている第3プーリーと、
前記紙送りローラーおよび前記第3プーリーよりも大径で当該紙送りローラーに同軸に取り付けられている第4プーリーと、
前記第1プーリーと前記第2プーリーとの間に架け渡された第1無端ベルトと、
前記第3プーリーと前記第4プーリーとの間に架け渡された第2無端ベルトと、
を備えていることを特徴とするラインインクジェットプリンター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−56463(P2013−56463A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195747(P2011−195747)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】