説明

ライン振り分け装置およびその方法

【課題】搬送物を搬送しつつ、これを振り分ける際に搬送物が転倒することを防止する。
【解決手段】一対の無端チェーン23の旋回駆動方向に沿って一定間隔で配され、長手方向両端部がこれら無端チェーン23に支持された複数本の案内杆25と、これら案内杆25の長手方向に沿って移動可能に案内杆25に支持され、ティシュカートン11をその搬入位置P1が設定された無端チェーン23の一方側から案内杆25の長手方向に沿って複数の搬出位置P2〜P4が設定された他方側へと移送するための複数のキャリア26と、これらキャリア26を搬入位置P1から所望の搬出位置へと導く振り分け機構とを具えた振り分け装置は、キャリア26に載置されたティシュカートン11の上面に近接または当接状態で対向し、無端チェーン23の旋回駆動速度に応じた速度で移動する保持面を有するベルトコンベヤーをさらに具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一寸法を有する直方体形状の搬送物を転倒させることなく振り分け搬送するための装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数枚のティシュペーパーを順に折り重ねた状態で収容したティシュカートンは、屋外での雨水や塵埃による悪影響を回避するため、通常、特許文献1などに開示されているように、透明な樹脂フィルムにて梱包された状態で販売されることが多い。近年、テュシュペーパーの寸法形状を変更することなく、ティシュカートンの寸法、特に高さを詰めてよりコンパクト化させることにより、輸送経費の削減や店舗における陳列スペースの削減に加え、消費者の持ち運びやすさに配慮したものが企画されている。一般的なティシュカートンにおける高さhと奥行dと幅wとの関係は、通常h<d<wである。このようなティシュカートンをパック詰めする場合、奥行dと幅wとで画成される面が重なり合うように、ティシュカートンが複数個ずつ、最も一般的には5個ずつ積み重ねてパック詰めされる。このため、ティシュカートンの製造ラインにおいては、その搬送効率およびパック詰めの際の作業性を考慮すると、ティシュカートンの高さhと幅wとで画成される面を上下にして搬送することが種々の点で都合がよい。
【0003】
このようなティシュカートンの搬送効率は、これを樹脂フィルムにてパック詰めするパック詰め効率よりも高いことが一般的である。このため、通常はパック詰めのラインをティシュカートンの製造ラインに対して複数ライン、例えば2〜4ライン設けてティシュカートンの製造効率を損なわないように配慮している。これに伴い、ティシュカートンの製造ラインとティシュカートンのパック詰めラインとの間には、複数個のティシュカートンを複数のパック詰めラインへ交互に振り分ける特許文献2に開示されているような振り分け装置が組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−107681号公報
【特許文献2】特公平05−020324号公報
【特許文献3】特開2003−026261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンパクト性の要求に伴ってティシュカートンの高さhが50mm以下になると、ティシュカートンの高さhと幅wとで画成される面を上下にして搬送する場合、ティシュカートンの姿勢が不安定となりやすい。これは、ティシュカートンの高さhがその奥行dの1/2以下となった場合も同様である。このような偏平でコンパクトなティシュカートンに対し、例えば毎秒0.5〜1.6メートルにも達する高速搬送を行うと、特に振り分け装置においてティシュカートンの振り分け時にこれが転倒してしまう可能性がある。このような場合、後工程のパック詰めラインでのハンドリングなどで不具合を生してしまうことが判明した。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、同一寸法を有する直方体形状の搬送物を高速で振り分け搬送する際に、これが転倒しやすい姿勢であっても確実に転倒を防止し得るようにした振り分け装置および振り分け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態は、相隔てて同軸状に配された一対の無端チェーンと、これら一対の無端チェーンを同時に旋回駆動させるチェーン駆動手段と、前記一対の無端チェーンの旋回駆動方向に沿って一定間隔で配され、長手方向両端部がこれら一対の無端チェーンに支持された複数本の案内杆と、これら案内杆の長手方向に沿って移動可能に当該案内杆に支持され、搬送物をその搬入位置が設定された前記一対の無端チェーンの一方側から前記案内杆の長手方向に沿って複数の搬出位置が設定された他方側へと移送するための複数のキャリアと、これら複数のキャリアを前記搬入位置から所望の前記搬出位置へと導く振り分け機構とを具え、同一寸法を有する直方体形状の搬送物を複数の搬出位置へと振り分ける装置であって、前記搬入位置から前記搬出位置まで前記キャリアに載置される搬送物の上面に近接または当接状態で対向し、前記無端チェーンの旋回駆動速度に応じた速度で移動する保持面を有する搬送物姿勢保持手段をさらに具えたことを特徴とする振り分け装置にある。
【0008】
本発明においては、チェーン駆動手段によって一対の無端チェーンが同時に旋回駆動され、これに伴って一対の無端チェーンに支持された複数本の案内杆およびこれら案内杆に支持された複数のキャリアも同時に旋回駆動される。搬送物は、一対の無端チェーンの一方側に設定された搬入位置にあるキャリアに載置され、一対の無端チェーンの他方側へと移送される。この搬送物の移送途中に配された振り分け機構により、キャリアが案内杆の長手方向に沿って移動し、搬送物は所望の搬出位置へと移送される。搬送物姿勢保持手段は、その無端チェーンの旋回駆動速度に応じた速度で移動する保持面がキャリアに載置される搬送物の上面に近接または当接状態で対向し、搬入位置から搬出位置に至るまで移送中の搬送物の転倒を防止する。
【0009】
本発明の第1の形態による振り分け装置において、振り分け機構が搬入位置と複数の搬出位置との間に設定された振り分け位置から複数の搬出位置を介して搬入位置へと至る複数本の案内カムと、キャリアにそれぞれ設けられて案内カムに係合し得るカムフォロアと、このカムフォロアが所望の案内カムと係合するように、振り分け位置にてキャリアを案内杆の長手方向に沿って駆動するアクチュエーターとを有するものであってよい。
【0010】
搬送物の高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にあり、その高さhと幅wとで画成される面が上下方向を向くようにキャリアに載置することができる。この場合、搬送物の奥行dと幅wとで画成される面が搬送方向を向くようにすることも可能である。また、キャリアの上面と搬送物姿勢保持手段の保持面との間隔Sがh≦S<(h2+d2)1/2の関係にあることが有効である。
【0011】
キャリアの上面の摩擦係数μおよび搬送物姿勢保持手段の保持面の摩擦係数μがμ<μの関係にあることが好ましく、この場合、無端チェーンの旋回駆動速度Vに対する搬送物姿勢保持手段の保持面の移動速度Vが0.9V≦V≦1.1Vの関係であってよい。
【0012】
搬送物姿勢保持手段が搬送物を挟んでこの振り分け装置に対して対称に配され、当該振り分け装置に同期して作動する第2の振り分け装置であり、保持面がこの第2の振り分け装置のキャリアの下面であってよい。
【0013】
搬送物がティシュペーパー束を収納したティシュカートンであってよい。
【0014】
本発明の第2の形態は、搬送物が搬入される搬入位置から搬送物を搬出する複数の搬出位置のうちの所望の搬出位置へと搬送物を振り分ける方法であって、前記搬入位置にて搬送物をキャリアに載置するステップと、前記搬入位置と複数の前記搬出位置との間に設定された振り分け位置にて所望の前記搬出位置へと前記キャリアを振り分けるステップと、前記振り分け位置から前記所望の搬出位置まで前記キャリア上の搬送物を搬送するステップと、前記搬入位置から前記所望の搬出位置まで前記キャリア上の搬送物の姿勢を保持するステップとを具えたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第2の形態による振り分け方法において、搬送物の姿勢を保持するステップは、保持部材をキャリア上の搬送物の上面に近接または当接させるステップを含むことができる。この場合、保持部材を搬送物の上面に近接または当接させるステップは、保持部材を搬送物の搬送速度に応じた速度で駆動するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の振り分け装置によると、搬入位置からキャリアに載置されて所望の搬出位置まで移送される搬送物の転倒を確実に防止することができる。
【0017】
振り分け機構が複数本の案内カムと、これら案内カムに係合し得るカムフォロアと、このカムフォロアが所望の案内カムと係合するようにキャリアを駆動するアクチュエーターとを有する場合、搬送物を確実に所望の搬出位置へと振り分けることができる。
【0018】
搬送物の高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にあり、その高さhと幅wとで画成される面がキャリアに載置されて上下方向を向く場合、搬送物の搬送効率を最大限に高めることができる。
【0019】
搬送物の奥行dと幅wとで画成される面が搬送方向を向く場合、搬送物をキャリアと共に案内杆の長手方向に沿って振り分ける際に、搬送物の姿勢の崩れを最小限に抑えることができる。
【0020】
キャリアの上面と搬送物姿勢保持手段の保持面との間隔Sがh≦S<(h2+d2)1/2の関係にある場合、移送方向に沿った搬送物の転倒を確実に防止することができる。
【0021】
キャリアの上面の摩擦係数μおよび搬送物姿勢保持手段の保持面の摩擦係数μがμ<μの関係にある場合、搬送物をキャリアの移動に合わせて安定して振り分け移送することができる。特に、無端チェーンの旋回駆動速度Vに対して搬送物姿勢保持手段の保持面の移動速度Vが0.9V≦V≦1.1Vの関係にある場合、より確実に搬送物を振り分け移送することができる。
【0022】
搬送物姿勢保持手段が搬送物を挟んでこの振り分け装置に対して対称に配される第2の振り分け装置の場合、搬送物をキャリアと共に案内杆の長手方向に沿って移動させた場合であっても、搬送物の姿勢の崩れを確実に防止することができる。また、同一の設備を流用することができるので、メンテナンス作業なども容易となる。
【0023】
本発明の振り分け方法によると、搬入位置から所望の搬出位置までキャリア上の搬送物の姿勢を保持するステップを具えているので、搬入位置からキャリアに載置されて所望の搬出位置まで移送される搬送物の転倒を確実に防止することができる。
【0024】
搬送物の姿勢を保持するステップが保持部材をキャリア上の搬送物の上面に近接または当接させるステップを含む場合、所定以上の搬送物の姿勢の崩れを阻止することができる。特に、この保持部材を搬送物の上面に近接または当接させるステップが保持部材を搬送物の搬送速度に応じた速度で駆動するステップを含む場合、所定以上の搬送物の姿勢の崩れをより確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の対象となるパック詰めティシュカートンの一例の外観を表す立体投影図である。
【図2】図1に示したパック詰めティシュカートンの製造ラインにおける振り分け部から包装部に至る搬送経路を模式的に表す立体投影図である。
【図3】図1に示したパック詰めティシュカートンの製造ラインにおける振り分け部の平面図であり、搬送物姿勢保持手段を省略している。
【図4】図3に示した振り分け部の側面図である。
【図5】図3および図4に示した振り分け部における振り分け機構の模式図である。
【図6】振り分け部の他の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によるライン振り分け装置をティシュカートンの5個パック詰めのラインに応用した実施形態について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、本発明の精神に帰属する他の任意の技術、すなわち同一寸法の直方体形状をなす搬送物を振り分け搬送する必要がある場合に応用することが可能である。
【0027】
本発明の対象となるパック詰めティシュカートンの外観を図1に示す。一般的な箱型のティシュカートン11は、高さhと奥行dと幅wとがh<d<wの関係にある。本実施形態では、ティシュカートン11の高さhを奥行dの1/2以下の寸法に設定し、そのコンパクト化に配慮したものとなっている。なお、奥行dと幅wとが同じ寸法のティシュカートン11であっても、本発明の対象となり得ることに注意されたい。
【0028】
同一寸法形状を有する複数個(図示例では5個)のティシュカートン11は、これらの奥行dと幅wとで画成される面(以下、これを上下面と記述する)12が重なり合うように積み重ねられ、透明樹脂フィルム13にてパック詰めされる。また、同じ樹脂フィルムにて形成された取手14の両端部がヒートシールにより一番上に位置するティシュカートン11の幅方向に沿って透明樹脂フィルム13に接合されている。
【0029】
このようなパック詰めティシュカートン10を製造するためのラインは、図示しないティシュペーパー束が封入されたティシュカートン11を製造するティシュカートン製造部と、姿勢変更部と、振り分け部15と、パック包装部16とを含む。
【0030】
ティシュカートン製造部は、ティシュ折り重ね部と、ティシュ束切断部と、ティシュ束挿入部と、ティシュカートン封止部とにさらに細分することができる。ティシュ折り重ね部は、ティシュペーパーの連続体を順に折り重ねてティシュペーパー束の連続体を形成する領域である。ティシュ束切断部は、ティシュ折り重ね部にて積層状態で折りたたまれたティシュペーパー束の連続体をカッターによって一定間隔で切断し、ティシュペーパー束を得る領域である。ティシュ束挿入部は、ティシュ束切断部にて切断されたティシュペーパー束を空のティシュカートンに挿入する領域である。ティシュカートン封止部は、ティシュペーパー束が収納されたティシュカートンの高さhと奥行dとで画成される面(以下、これを側面と記述する)17を形成する左右の蓋板をそれぞれ接着剤を用いて封止する領域である。これらティシュ折り重ね部からティシュカートン封止部に至るティシュカートン製造部の詳細については、例えば米国特許第4578927号明細書や米国特許第5595043号明細書などで周知である。
【0031】
姿勢変更部は、ティシュカートン製造部のティシュカートン封止部から送出されるティシュカートン11の高さhと幅wとで画成される面(以下、これを前後面と記述する)18が上下方向を向くように、ティシュカートン11の姿勢を変更させるためのものである。この姿勢変更部の一例として、特開2003−26261号公報に開示されたものを採用することができるが、他の周知の任意の構成のものを採用することも可能である。この姿勢変更部よりも下流側においては、前後面18を上下方向に向けたティシュカートン11がその搬送方向に沿って近接した状態で搬送されるようになっている。従って、姿勢が不安定なティシュカートン11の前後面18を上下に向けたとしても、その転倒をある程度防止することができる。
【0032】
上述した姿勢変更部よりも下流側のラインを図2に模式的に示し、振り分け部15の平面形状を図3に示し、その側面形状を図4に示し、振り分け部15の主要部の概略構造を模式的に図5に示す。
【0033】
姿勢変更部から搬入コンベヤ19を介してティシュカートン11が搬入される振り分け部15は、特公平5−20324号公報などで周知のライン自動振り分け装置(チャンネライザー)20を含む。本実施形態におけるライン自動振り分け装置20は、株式会社アキュレックス製のチャンネライザー MODEL MD (商品名)を改造したものである。このライン自動振り分け装置20は、ティシュカートン11を複数(本実施形態では3つ)の搬出位置P2〜P4へと連続的に振り分け可能な3つの搬送チャンネルを有する。第1および第2の搬送チャンネルは、それぞれ搬出コンベヤ21L,21Rを介して後続のパック包装部16にそれぞれ接続する。残りの搬送チャンネルは、一対の搬出コンベヤ21L,21Rの間に配された排出コンベヤ22に接続する。この排出コンベヤ22は、ティシュカートン製造部からの送出後に不良品であると判定されたティシュカートン11および必要に応じてこのティシュカートン11と同じパック詰め予定のティシュカートン11をライン外に排出するためのものである。
【0034】
このため、ティシュカートン製造部と振り分け部15との間のティシュカートン11の搬送ラインの途中には、ティシュカートン11が不良品であるか否かを判定するための図示しない不良カートン検出部が配されている。そして、ティシュカートンの少なくとも一部に何らかの異常を発見した場合には、振り分け部15から排出コンベヤ22を用いてライン外に排除するようになっている。
【0035】
本実施形態におけるライン自動振り分け装置20は、一対の無端チェーン23と、チェーン駆動手段24と、複数本の案内杆25と、複数のキャリア26と、振り分け機構27と、搬送物姿勢保持手段28とを具えている。
【0036】
チェーン駆動手段24は、相隔てて同軸状に配された一対の無端チェーン23を同時に旋回駆動させる。本実施形態のチェーン駆動手段24は、無端チェーン23とそれぞれ噛み合う前後2組のスプロケット24aと、一方の組のスプロケット24aを駆動するための駆動チェーン24bと、この駆動チェーン24bを旋回駆動する駆動モーター24cとを具えている。
【0037】
一対の無端チェーン23の旋回駆動方向に沿って一定間隔で配される複数本の案内杆25は、それらの長手方向両端部が一対の無端チェーン23の図示しないリンクプレートにそれぞれ支持されている。
【0038】
案内杆25の長手方向に沿って移動可能に案内杆25に支持されるキャリア26は、一対の無端チェーン23の一方側(図3および図4中、右側)から他方側(図3および図4中、左側)へとティシュカートン11を移送するためのものである。個々のキャリア26は、隣接する2本1組の案内杆25にまたがった状態でこれら2本1組の案内杆25にそれぞれ係合し、これらの長手方向に沿って移動可能である。無端チェーン23の一方側には、ティシュカートン11の搬入位置P1が設定され、ここに搬入コンベヤ19が接続している。また、無端チェーン23の他方側には、案内杆25の長手方向に沿って複数の搬出位置P2〜P4が設定され、これらに先の搬出コンベヤ21L,21Rおよび排出コンベヤ22がそれぞれ接続している。
【0039】
振り分け機構27は、複数のキャリア26を搬入位置P1から3つの搬出位置P2〜P4のうちの所望の位置へと導くものである。本実施形態における振り分け機構27は、3組のレール状をなす案内カム27aと、キャリア26にそれぞれ設けられてこれら3組の案内カム27aの何れかに係合し得るカムフォロア27bと、アクチュエーター27cとを有する。レール状をなす3組の案内カム27aは、搬入位置P1と搬出位置P2〜P4との間に設定された振り分け位置P5から個々の搬出位置P2〜P4を介して搬入位置P1へと至るようにそれぞれ配されている。アクチュエーター27cは、キャリア26と一体のカムフォロア27bが3組のうちの所望の案内カム27aと係合するように、振り分け位置P5にてキャリア26を案内杆25の長手方向に沿って駆動する。通常は、5個のティシュカートン11が通過する度にアクチュエーター27cが作動し、ティシュカートン11の振り分け方向を2つの搬出コンベヤ21L,21Rに向けて交互に切り換えるようになっている。
【0040】
搬入位置P1から搬出位置P2〜P4までキャリア26上に載置されるティシュカートン11の上面に近接または当接状態で対向する本実施形態における搬送物姿勢保持手段は、ベルトコンベヤー28である。このベルトコンベヤー28は、図示しない駆動源により無端チェーン23の旋回駆動速度に応じた速度で移動する保持面28aを有する。本発明における保持部材として機能するベルトコンベヤー28の保持面28aは、キャリア26上に載置されるティシュカートン11の上面(本実施形態ではティシュカートン11の高さhと幅wとで画成される前後面18)に近接または当接状態で対向する。このベルトコンベヤー28により、搬入位置P1から搬出位置P2〜P4に至るまで移送中のティシュカートン11の転倒が確実に防止される。
【0041】
ベルトコンベヤー28の保持面28aとティシュカートン11が載置されるキャリア26の上面との間隔Sは、h≦S<(h2+d2)1/2の関係にあることが好ましい。これにより、ティシュカートン11はキャリア26とベルトコンベヤー28との間で転倒することなく、安定した移動が可能となる。この場合、ベルトコンベヤー28によってティシュカートン11の振り分け移動が妨げられないように、キャリア26の上面の摩擦係数μをベルトコンベヤー28の保持面28aの摩擦係数μよりも大きく設定しておくことが好ましい。また、ベルトコンベヤー28の保持面28aの移動速度Vを無端チェーン23の旋回駆動速度Vとほぼ同じに設定することが有効である。しかしながら、キャリア26の上面の摩擦係数μをベルトコンベヤー28の保持面28aの摩擦係数μよりも大きく設定している限り、0.9V≦V≦1.1Vの関係を満たすのであれば、ティシュカートン11の姿勢がずれてしまうような問題は生じない。
【0042】
従って、チェーン駆動手段24によって一対の無端チェーン23が同時に旋回駆動され、これに伴って一対の無端チェーン23に支持された複数本の案内杆25およびこれら案内杆25に支持された複数のキャリア26も同時に旋回駆動される。搬入コンベヤ19から送り込まれるティシュカートン11は、一対の無端チェーン23の一方側に設定された搬入位置P1にてキャリア26上に移載され、一対の無端チェーン23の他方側へと移送される。そして、このティシュカートン11の移送途中に配された振り分け機構27により、キャリア26が案内杆25の長手方向に沿って移動し、ティシュカートン11は所望の搬出位置P2〜P4へと振り分け移送される。
【0043】
このように、本実施形態では振り分け部15を用いてティシュカートン11の搬送ラインを2つに分けているため、次のような利点を有する。すなわち、振り分け部15からティシュカートン11を搬出するための搬出コンベヤ21L,21Rの搬送速度を振り分け部15にティシュカートン11を搬入するための搬入コンベヤ19の搬送速度の約半分程度に設定することができる。この結果、ティシュカートン製造部のライン速度を最大限に高めてティシュカートン11の製造コストを低減させることが可能である。
【0044】
搬出コンベヤ21L,21Rの搬送方向下流端側には、この搬出コンベヤ21L,21R35に整列状態となって先頭に位置するティシュカートン11に当接し、その移動を阻止する図示しないストッパが配されている。
【0045】
本実施形態におけるパック包装部16は、一対の搬出コンベヤ21L,21Rの搬送方向下流側にそれぞれ隣接状態で接続する2台の図示しない包装機を具えている。各包装機は、搬出コンベヤ21L,21Rの搬送方向下流側に滞留するティシュカートン群から、ストッパに当接している先頭側から順に5個のティシュカートン11を側方に取り出し、これらを透明樹脂フィルム13で梱包する。さらに、樹脂フィルムにて形成された持ち運び用の取手14の両端部をヒートシールにて梱包用の透明樹脂フィルム13に接合する。
【0046】
このようにしてパック包装部16にて包装されたパック詰めティシュカートン10は、図示しない段ボール箱に所定パックずつ収容され、各消費地へ向けて搬送される。
【0047】
このティシュカートン11のパック詰めラインにおけるティシュ折り重ね部からパック包装部16に至る構成の詳細については、任意の周知の構成を適宜採用することが可能であり、姿勢変更部を振り分け部15とパック包装部16との間に配置することも可能である。
【0048】
上述した実施形態では、ベルトコンベヤー28を搬送物姿勢保持手段として振り分け部15の上方に配したが、この振り分け部15のライン自動振り分け装置20と同じ構成のものを振り分け部15の上方に配し、これらを同期して作動させることも可能である。
【0049】
上述した実施形態では、ベルトコンベヤー28を搬送物姿勢保持手段として振り分け部15の上方に配したが、この振り分け部15のライン自動振り分け装置20と同じ構成のものを振り分け部15の上方に配し、これらを同期して作動させることも可能である。
【0050】
このような振り分け部15の他の実施形態の側面形状を模式的に図6に示すが、先の実施形態と同一機能の要素には、これと同一符号を記すに止め、重複する説明を省略する。すなわち、本実施形態における搬送物姿勢保持手段は、ティシュカートン11を挟んで振り分け部15のライン自動振り分け装置20に対して対称に配される第2のライン自動振り分け装置20である。従って、第2のライン自動振り分け装置20の図示しないキャリア26(図3,図5参照)が本実施形態における保持部材として機能し、その下面が保持面28aとして機能する。本実施形態では、保持面28aである第2のライン自動振り分け装置20のキャリア26の下面とティシュカートン11との間の相対的なすべりが振り分け動作によって発生しない。このため、ティシュカートン11の姿勢を先の実施形態よりもさらに確実に維持することが可能となる。
【0051】
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0052】
10 パック詰めティシュカートン
11 ティシュカートン
12 ティシュカートンの上下面
13 透明樹脂フィルム
14 取手
15 振り分け部
16 パック包装部
17 ティシュカートンの側面
18 ティシュカートンの前後面
19 搬入コンベヤ
20 ライン自動振り分け装置
21L,21R 搬出コンベヤ
22 排出コンベヤ
23 無端チェーン
24 チェーン駆動手段
24a スプロケット
24b 駆動チェーン
24c 駆動モーター
25 案内杆
26 キャリア
27 振り分け機構
27a 案内カム
27b カムフォロア
27c アクチュエーター
28 搬送物姿勢保持手段(ベルトコンベヤー)
28a 保持面
h ティシュカートンの高さ
d ティシュカートンの奥行
w ティシュカートンの幅
P1 搬入位置
P2〜P4 搬出位置
P5 振り分け位置
S ベルトコンベヤーの保持面とキャリアの上面との間隔
無端チェーンの旋回駆動速度
ベルトコンベヤーの保持面の移動速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相隔てて同軸状に配された一対の無端チェーンと、
これら一対の無端チェーンを同時に旋回駆動させるチェーン駆動手段と、
前記一対の無端チェーンの旋回駆動方向に沿って一定間隔で配され、長手方向両端部がこれら一対の無端チェーンに支持された複数本の案内杆と、
これら案内杆の長手方向に沿って移動可能に当該案内杆に支持され、搬送物をその搬入位置が設定された前記一対の無端チェーンの一方側から前記案内杆の長手方向に沿って複数の搬出位置が設定された他方側へと移送するための複数のキャリアと、
これら複数のキャリアを前記搬入位置から所望の前記搬出位置へと導く振り分け機構と
を具え、同一寸法を有する直方体形状の搬送物を複数の搬出位置へと振り分ける装置であって、
前記搬入位置から前記搬出位置まで前記キャリアに載置される搬送物の上面に近接または当接状態で対向し、前記無端チェーンの旋回駆動速度に応じた速度で移動する保持面を有する搬送物姿勢保持手段をさらに具えたことを特徴とする振り分け装置。
【請求項2】
前記振り分け機構は、前記搬入位置と前記複数の搬出位置との間に設定された振り分け位置から前記複数の搬出位置を介して前記搬入位置へと至る複数本の案内カムと、前記キャリアにそれぞれ設けられて前記案内カムに係合し得るカムフォロアと、このカムフォロアが所望の前記案内カムと係合するように、前記振り分け位置にて前記キャリアを前記案内杆の長手方向に沿って駆動するアクチュエーターとを有することを特徴とする請求項1に記載の振り分け装置。
【請求項3】
前記搬送物は高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にあり、その高さhと幅wとで画成される面が前記キャリアに載置されて上下方向を向くことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振り分け装置。
【請求項4】
奥行dと幅wとで画成される面が搬送方向を向くことを特徴とする請求項3に記載の振り分け装置。
【請求項5】
前記キャリアの上面と前記搬送物姿勢保持手段の保持面との間隔Sがh≦S<(h2+d2)1/2の関係にあることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の振り分け装置。
【請求項6】
前記キャリアの上面の摩擦係数μおよび前記搬送物姿勢保持手段の保持面の摩擦係数μがμ<μの関係にあることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の振り分け装置。
【請求項7】
前記無端チェーンの旋回駆動速度Vに対する前記搬送物姿勢保持手段の保持面の移動速度Vは、0.9V≦V≦1.1Vの関係にあることを特徴とする請求項6に記載の振り分け装置。
【請求項8】
前記搬送物姿勢保持手段が搬送物を挟んでこの振り分け装置に対して対称に配され、当該振り分け装置に同期して作動する第2の振り分け装置であり、前記保持面がこの第2の振り分け装置のキャリアの下面であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の振り分け装置。
【請求項9】
搬送物がティシュペーパー束を収納したティシュカートンであることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の振り分け装置。
【請求項10】
搬送物が搬入される搬入位置から搬送物を搬出する複数の搬出位置のうちの所望の搬出位置へと搬送物を振り分ける方法であって、
前記搬入位置にて搬送物をキャリアに載置するステップと、
前記搬入位置と複数の前記搬出位置との間に設定された振り分け位置にて所望の前記搬出位置へと前記キャリアを振り分けるステップと、
前記振り分け位置から前記所望の搬出位置まで前記キャリア上の搬送物を搬送するステップと、
前記搬入位置から前記所望の搬出位置まで前記キャリア上の搬送物の姿勢を保持するステップと
を具えたことを特徴とする振り分け方法。
【請求項11】
搬送物の姿勢を保持する前記ステップは、保持部材を前記キャリア上の搬送物の上面に近接または当接させるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の振り分け方法。
【請求項12】
保持部材を搬送物の上面に近接または当接させる前記ステップは、前記保持部材を搬送物の搬送速度に応じた速度で駆動するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の振り分け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−79654(P2011−79654A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235347(P2009−235347)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】