説明

ラクタム系ポリマー誘導体

【課題】架橋ラクタム系ポリマーを開示する。
【解決手段】ペンダントアクリレート基を有するラクタム系ポリマーは、マイケル付加型アクリレート反応物によって架橋される。架橋ラクタム系ポリマーは、医学的応用および薬物応用に有用である。更に、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー誘導体の製法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーおよびそれらの誘導体のようなラクタム系ポリマー誘導体と、架橋ラクタム系ポリマーとに関する。更に詳しくは、本発明は、ペンダントアクリレート基(pendant acrylate groups)で官能化されたラクタム系ポリマーから誘導された架橋ポリマーと、該架橋ポリマーの製造方法および使用方法とに関する。本発明は更に、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー誘導体の製造方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
分解性架橋ポリマーネットワーク(degradable crosslinked polymer networks)は、例えば、薬物送達、組織工学(tissue engineering)、植込み可能なデバイスおよび原位置(in-situ)ゲル化材料のような多くのバイオテクノロジー応用および医療応用において重要である。分解性結合が存在することによって、植え込まれたポリマーの長期的生体適合性の必要性、または、植え込まれたポリマーを外科的に回収する必要性がなくなる。分解性ネットワークは、組織工学において好都合であり、組織工学では、構造の支持、細胞付着および成長に一時的な足場を必要とする。
【0003】
ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)は、ポリビニルピロリドン、PVP、ポビドン(Povidone)またはプラスドン(Plasdone)としても知られているが、例えば、エアロゾルヘアスプレー、接着剤、平版印刷用溶液、顔料分散体、薬物製剤、洗浄製剤および化粧品製剤のような製品の中で商業的に使用されている水溶性ラクタム系ポリマーである。PVPを包含するラクタム系ポリマーの一般分類体系は、例えば、ロビンソン(Robinson),B.V.等「PVP:ポリビニルピロリドン(ポビドン)の反応速度論および毒物学の批判的批評(PVP: A Critical Review of the Kinetics and Toxicology of Polyvinylpyrrolidone (Povidone))」(1990);米国特許第3,153,640号、同第2,927,913号、同第3,532,679号明細書;ならびに英国特許第811,135号明細書に記述されているように周知である。PVPは、1939年以来、医薬品において広く使用されてきた。医薬品にPVPが最初に使用されたのは、第二次世界大戦中であり、その時は、PVPの3.5%溶液が合成血漿増量剤として患者に注入された。PVPの毒性は、ヒトおよび他の霊長類を包含する様々な種で広く研究されてきたが、非常に低い。PVPは更に、コンタクトレンズを着用するときの内部湿潤剤として用途も見出されている。
【0004】
ペンダントアクリレート基を有する官能性ラクタム系ポリマーの調製は、米国特許第20060069235号公報(「‘235号公報」)に記述されている。‘235号公報には概して、先ず、ラクタム系ポリマーを還元剤で処理して、ヒドロキシル基で官能化されたラクタム系ポリマーを形成することが記述されている。該ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは次いで、アクリレート基を含有するヒドロキシル反応性化合物で更に官能化されて、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーが形成された。更に詳しくは、ラクタム系ポリマーは、還元剤を用いてプロトン性溶媒に溶解され、次いで、40℃〜90℃の間で2日間以下の間加熱された。沈降によって精製された後、得られたヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは次いで、例えば、塩化アクリロイルのようなアクリレート基を含有するヒドロキシル反応性化合物で更に官能化された。塩化アクリロイルの場合、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーは、該ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー上のヒドロキシル基を、酸捕捉剤を含有する不活性有機溶媒の中でアクリロイル化すること(acryloylation)によって調製された。その塩酸塩は、濾過によって除去され、該ポリマーは、回転式蒸発(rotary evaporation)により溶媒を除去することによって回収された。最後に、該アクリレート官能性ラクタム系ポリマーは、沈降によって精製された。
【0005】
‘235号公報には、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーから架橋ポリマーヒドロゲルを調製することも記述されている。架橋反応は、フリーラジカル重合によって達成された。該フリーラジカル重合は、熱重合開始剤および熱を使用することによって、または、光開始剤および紫外線もしくは可視光線を使用することによって開始された。フリーラジカル重合の反応速度論によると通常、結果的に高分子量ポリマー鎖が形成される。高分子量ポリマーは、例えば、コンタクトレンズのような幾つかの応用には有用である場合があるが、フリーラジカル重合によって生成された高分子量ポリマー鎖は、幾つかの生物医学的応用には有益でないかもしれない。結果的に得られるポリマーは、それの流体力学的体積が大きいため、体から容易には排除することができない。例えば、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーのフリーラジカル重合によって、結果的に、変性ラクタム系ポリマーに共有結合したポリアクリレートセグメントを含有する架橋ネットワークが生じる。その架橋ネットワークは、加水分解したとき、既知の分子量の範囲(出発ラクタム系ポリマーの分子量と同一の分子量)のラクタム系ポリマーを提供する。しかし、高分子量を含む様々な分子量のポリアクリル酸が考えられる。これらの鎖の分子量は、更に複雑な状態にする連鎖移動剤(additional complication of chain transfer agents)を添加しなければ、ほとんど制御されない。更に、光重合型ポリマーでは、重合開始剤による光減衰によって、到達可能な最大硬化深さが数mmに制限される。したがって、光重合型ポリマーは、ポリマーまたはデバイスが僅か数mmより大きい厚さを必要とする生物医学的応用に適用することはできない。
【0006】
例えば、植込み可能な生分解性医療デバイスまたは原位置重合可能な(in situ polymerizable)医療デバイスのような、幾種類かの生物医学的応用において、遊離基化学を用いて官能性ラクタム系ポリマーを架橋する場合の欠陥を考慮し、代替化学を用いてラクタム系ポリマーを架橋することは望ましいであろう。
【0007】
生物医学的応用においてPVP(ポリビニルピロリドン)を長期にわたって使用することを考慮するだけでなく、所望の特性を有する新たなポリマーを形成するように反応し得る反応性部分を、ポリマー骨格に沿って有するPVP誘導体(例えば、ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン)に関連する利点をも考慮して、ヒドロキシル部分がポリビニルピロリドン骨格の全体にわたりランダムに分布しているヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドンを生成するための改善された方法を持つことも有益であろう。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明は、架橋ラクタム系ポリマーである。該架橋ラクタム系ポリマーは、a)ペンダントアクリレート基で官能化されているラクタム系ポリマーと、b)マイケル付加型アクリレート反応物との反応生成物を含む。
【0009】
本発明の架橋ラクタム系ポリマーは、とりわけ医学的応用および薬物応用に有用である。例えば、それらポリマーは、組織増大、生理活性物質の運搬、硬組織の修復、止血、付着防止、組織工学応用、医療デバイスのコーティング、接着剤、シーラント、等に使用することができる。
【0010】
本発明は、特許請求の範囲に記載されるような、ヒドロキシル官能性ラクタム系のポリマーまたはコポリマーの誘導体を合成する方法にも向けられている。
【0011】
〔発明の詳細な説明〕
当業者は、本明細書の説明に基づき、本発明をそれの最大範囲まで利用することができるものと思われる。下記の特定の実施形態は、単なる例示的なものであり、残りの開示内容を決して限定するものではないと解釈されるべきである。
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。また、本明細書で言及される刊行物、特許出願明細書、特許明細書、及び他の参考文献は全て、参照されることによってそっくりそのまま組み入れられる。別段の規定がない限り、本明細書で用いられる%は全て重量による。更に、本明細書に記載される範囲は全て、2つの端点の間の諸数値のあらゆる組合せを、それらの数値を含めて含むことを意味する。
【0013】
1つの実施形態において、ペンダントアクリレート基で官能化されたラクタム系ポリマーは、‘235号公報に記述されている方法に従って調製することができる。これらの官能性ラクタム系ポリマーは、ポリマー骨格の中に、置換されたラクタム系モノマーおよび非置換ラクタム系モノマーから誘導された繰り返し単位を含有する。ある割合のそれらラクタム繰り返し単位は、初期に第2級または第3級のヒドロキシアルキルアミンに転化され、その後、アクリレートに転化される。該アクリレートは、ポリマー骨格の全体にわたってランダムに分布する。適切なラクタム系モノマーは、置換および非置換の4〜7員環のラクタム環を包含するが、それらに限定されない。適切な置換基は、C1〜3のアルキル基およびアリール基を包含するが、それらに限定されない。適切なラクタム系モノマーの例には、N−ビニルラクタム、例えば、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、N−ビニルマレイミド、N−ビニルスクシンイミド、およびそれらの混合物、および同種のものが包含される。
【0014】
1つの実施形態において、ラクタム系モノマーは、置換および非置換の4〜6員環のラクタム環である。適切なラクタム系モノマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、およびN−ビニル−4−メチル−2−ピロリドンである。1つの実施形態において、ラクタム系モノマーは、非置換の4〜6員環のラクタム環である。もう1つの実施形態において、ラクタム系モノマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、およびN−ビニルスクシンイミドから誘導された繰り返し単位である。更にもう1つの実施形態において、ラクタム系モノマーは、N−ビニル−2−ピロリジノンから誘導される。
【0015】
ラクタム系ポリマーは、ラクタム系モノマーに加えて、非ラクタム系モノマーから誘導された繰り返し単位を含有することができる。適切な非ラクタム系モノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)モノメタクリレート、それらの組合せ、および同種のものを包含するが、それらに限定されない。1つの実施形態において、非ラクタム系モノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せである。1つの実施形態において、架橋ラクタム系ポリマーを調製するために使用される官能性ラクタム系ポリマーは、ラクタムの繰り返し単位を少なくとも約10%、即ち、例えば、ラクタムの繰り返し単位を少なくとも約30%、またはラクタムの繰り返し単位を少なくとも約50%、含有する。本出願書類で用いられる「官能性ラクタム系ポリマー(functionalized lactam polymer)」は、例えば、ヒドロキシル基またはアクリレートのような官能基を有するラクタム系ポリマーを意味するものとする。
【0016】
もう1つの実施形態において、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、先ず、有効量の金属触媒の存在の下、ラクタム系ポリマーを有効量のポリオールに溶解することによって生成することができる。該ポリオールは、溶媒としても働く。本明細書で用いられるポリオールの「有効量」は、少なくとも、ラクタム系ポリマーを実質的に溶解するのに必要なポリオールの量とし、反応混合物中の全ての成分の全重量に基づき、約10重量%〜約99重量%、即ち、例えば、約40重量%〜約90重量%の間の範囲であってよい。金属触媒は、該金属触媒をラクタム系ポリマーに添加する前、添加した後、または添加と同時に、該ラクタム系ポリマーに添加することができる。
【0017】
適切なポリオールは、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、およびポリ(エチレングリコール)、グリセリン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、エトキシル化ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、キシリトール、リビトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、およびそれらの組合せを包含するが、それらに限定されない。1つの実施形態において、ポリオールは、エチレングリコール、グリセリン、またはそれらの混合物である。
【0018】
本明細書で用いられる、金属触媒の「有効量」とは、少なくとも、ラクタムとポリオールとの間の反応を所望の速度に促進するのに必要な金属触媒の量であるものとし、[ラクタム系ポリマーのモル]対[触媒のモル]比に基づき、[ラクタム系ポリマー約100〜約10,000モル]:[触媒約1モル]、即ち、例えば、[ラクタム系ポリマー約1000〜約5000モル]:[触媒約1モル]の範囲であってよい。
【0019】
適切な金属触媒は、錫触媒、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム触媒、カルシウムアセチルアセトネート等のカルシウム触媒、塩化マンガン等のマンガン触媒、イットリウムイソプロポキシド等のランタニド触媒、三酸化アンチモンまたはアンチモントリハライド(antimony trihalides)のようなアンチモン触媒、乳酸亜鉛等の亜鉛触媒、および、錫アルカノエート、錫アルコキシド、酸化錫、ハロゲン化錫(tin halides)および炭酸錫(tin carbonates)のような錫触媒、ならびに、それらの混合物を包含するが、それらに限定されない。適切な錫触媒は、オクチル酸第一錫(stannous octoate)[錫(II)2−エチル−ヘキサノネート(tin(II)2-ethyl-hexanonate)]、ジブチル錫オキシド、塩化錫(II)、および同種のもの、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。1つの実施形態において、錫触媒は、オクチル酸第一錫である。
【0020】
したがって、前記反応は、選定された溶媒が液体状態であるいかなる温度で行ってもよい。適切な温度には、約20℃〜約150℃の間の温度、即ち、例えば、約40℃〜約110℃の間の温度が包含される。圧力は、決定的に重要という訳ではなく、周囲圧力を用いることができる。反応時間は、例えば、選定された触媒の種類および量と、選定されたポリオールの種類および量と、選定された温度とによって変化することを、当業者ならば容易に認識するであろう。しかし、適切な反応時間には、約5日間以下、即ち、例えば、約1日間〜2日間、が包含されうる。
【0021】
1つの実施形態において、結果として得られるヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー生成物は、該ラクタム系ポリマー中のラクタム基の全モル含有量に基づき、約1モル%〜約99モル%の量、即ち、例えば、約1モル%〜約20モル%の量で、それのポリマー骨格に沿ってヒドロキシル基を有する。例えば、100,000の数平均分子量を有するヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーであって、ヒドロキシル基を約5モル%含有する、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、900個のモノマーラクタムの繰り返し単位当り、平均して約45個のヒドロキシル基を有する。
【0022】
結果として得られるヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは次に、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを形成するために、少なくとも1個のアクリレート基を含有するヒドロキシル反応性化合物と更に反応させることができる。この反応のための条件の詳細は、例えば、‘235号公報に開示されている。例えば、‘235号公報の実施例6には、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー上のヒドロキシル基をアクリロイル化することが記述されている。更に、‘235号公報の実施例7には、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー上のヒドロキシル基を2−イソシアナトエチルメタクリレートと反応させて、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを形成することが記述されている。
【0023】
1つの実施形態において、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーは、少なくとも約1.66×10−21g(約1000ダルトン)の数平均分子量を有する。もう1つの実施形態において、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーの数平均分子量は、約3.32×10−21g(約2000ダルトン)よりも大きい。更にもう1つの実施形態において、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーの数平均分子量は、約3.32×10−21g(約2000ダルトン)〜約4.98×10−19g(約300000ダルトン)、即ち、例えば、約3.32×10−21g(約2000ダルトン)〜約1.66×10−19g(約100000ダルトン)の間、または約3.32×10−21g(約2000ダルトン)〜約6.64×10−20g(約40000ダルトン)の間である。
【0024】
1つの実施形態において、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーは、マイケル付加型アクリレート反応物を用いた反応によって架橋することができる。マイケル付加型アクリレート反応物は、2官能性または多官能性である場合があり、ルトルフ(Lutolf),M.P.等:12(6)J. A. Bioconjugate Chem., 第1051頁(2001)、米国特許第6,958,212号明細書、および、スミス(Smith),M.B.,マーチ(March),J.:「マーチの最新有機化学反応、機構及び構造(March's Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms, and Structure)」,第1022頁〜1024頁(第5版,2001)、に一般的に記述されている。例えば、ルトルフ(Lutolf),M.P.:ハッベル(Hubbell), J.A.,4(3)Biomacromolecules,第713頁(2003)、ルトルフ,M.P.等:12(6)Bioconjugate Chem., 第1051頁(2001)、バーノン(Vernon),B.,等:64A J Biomed Mater Res Part A 第447頁(2003)[不飽和基を含有する末端官能性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート)で多官能性チオール含有化合物をマイケル付加することによる、化学的に架橋している分解性ヒドロゲルの調製]をも参照のこと。
【0025】
1つの実施形態において、マイケル付加型アクリレート反応物は、アクリレート反応性チオールである。適切なアクリレート反応性チオールは、システイン残基を含有するタンパク質、アルブミン、グルタチオン、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール[TCIアメリカ、オレゴン州ポートランド(Portland)]、オリゴ(オキシエチレン)ジチオール、ペンタエリトルトール ポリ(エチレングリコール)エーテル テトラ−スルフヒドリル、ソルビトール ポリ(エチレングリコール)エーテル ヘキサ−スルフヒドリル[好ましい分子量は約5,000〜20,000の範囲、サンバイオ・インコーポレイティッド(SunBio Inc.)、カリフォルニア州オリンダ(Orinda)]、ジメルカプトコハク酸[エポケミ・カンパニー・リミテッド(Epochem Co. Ltd.)、中国上海]、ジヒドロリポ酸[HOOC−(CH−CH(SH)−CH−CHSH、ジェロノバ・リサーチ・インコーポレイティッド(Gernova Research Inc.)、ネバダ州リーノー(Reno)]、ジチオトレイトール(dithiothreitol)[HS−CH−CH(OH)−CH(OH)−CHSH、シグマ・アルドリッチ・カンパニー(Sigma Aldrich Co.)、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)]、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(trimethylolpropane tris(3-mercaptopropionate))(シグマ・アルドリッチ・カンパニー、ウィスコンシン州ミルウォーキー)、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート(pentaerythritol tetrathioglycolate)、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)(pentaerythritol tetra(3- mercaptopropionate))、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)(dipentaerythritol hexakis(thioglycolate))(DPHTG)[オースチン・ケミカルズ(Austin Chemicals)、イリノイ州バッファローグローヴ(Buffalo Grove)]、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(ethoxylated pentaerythritol (PP150) tetrakis(3-mercapto propionate))[オースチン・ケミカルズ、イリノイ州バッファローグローヴ]、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。1つの実施形態において、アクリレート反応性チオールは、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)(DPHTG)(オースチン・ケミカルズ、イリノイ州バッファローグローヴ)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(オースチン・ケミカルズ、イリノイ州バッファローグローヴ)である。最も好ましいアクリレート反応性チオールは、エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(オースチン・ケミカルズ、イリノイ州バッファローグローヴ)である。
【0026】
代わりのマイケル付加型アクリレート反応物もまた適切であり、それら反応物は、アミン、エナミン、ニトリル、イミダゾールおよびそれの誘導体、アセトアセテート、ケトン、エノラート、ジチオカルバメートアニオン(dithiocarbamate anions)、ニトロアルカン、ならびに、それらの混合物を包含するが、それらに限定されないことを、当業者は認識するであろう。
【0027】
本発明の架橋アクリレート官能性ラクタム系ポリマーは、ほぼ室温〜約60℃の間、即ち、例えば、約25℃〜約40℃の間の温度の塩基性水性媒体の中に、マイケル付加型アクリレート反応物の存在下で、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを分散させることによって調製することができる。該塩基性水性媒体のpHは、約7より大きい、即ち、例えば、約7.5〜約11の範囲、即ち、約8〜約10.5の範囲または約8.5〜約10.5の範囲であるべきである。塩基のpHは、有機塩基もしくは無機塩基を添加することによって、かつ/または、所望の範囲のpHを提供する量の緩衝系を含有させることによって提供される。反応性を達成するために、他の化学合成修飾因子(chemical synthesis modifiers)(例えば、触媒、活性剤、重合開始剤、温度、または他の刺激(stimuli))を利用することができる。様々な生体適合性溶媒を、必要ならば、共反応物(co-reactants)の0.2〜100(重量)倍の量で、組み入れることもできる。それら生体適合性溶媒は、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、トリアセチン、プロピレングリコール、水、TWEEN(ポリソルベート)[アイシーアイ・アメリカズ・インコーポレイティッド(ICI Americas Inc.)、ニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater)]、ポリ(エチレングリコール)、およびそれらの組合せを包含するが、それらに限定されない
【0028】
1つの実施形態において、架橋ポリマーの反応条件は、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーが、約8.5〜約10のpHを有する水性塩基性媒体の中に約25℃〜約40℃の温度でマイケル付加型アクリレート反応物と一緒に混合される条件である
【0029】
前記の諸反応物のモル当量を使用することは、望ましいことがあり、場合によっては不可欠であるかもしれない。場合によっては、過剰モルの反応物を添加して、エステル部分の加水分解に起因する反応のような副反応を補うことができる。
【0030】
本発明の架橋ポリマーを有機溶媒中で調製することも適切であり、とりわけ、反応物が固体であり、容易には水に溶けず、水分散性でもない場合は、そうである。反応速度を改善するため、または所定の製剤の粘度を調整するため、水溶液、有機溶媒、ポリ(エチレングリコール)、または水性有機混合物を添加することもできる。
【0031】
もう1つの実施形態において、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、ヒドロキシルポリマー誘導体を形成するのに十分な条件の下、ヒドロキシル反応性化合物または重合剤の有効量と更に反応させることができる。そのようなヒドロキシルポリマー誘導体は、例えば、生物医学的応用のための生体接着材料またはシーラントとして有用である。本明細書で用いられる「ヒドロキシル反応性化合物または重合剤の有効量」は、少なくとも、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマー中のヒドロキシル基のモルに相当する量を意味するものとし、ヒドロキシル基のモル量の約10倍まで過剰となってもよい。
【0032】
1つの実施形態において、ヒドロキシル反応性化合物は、少なくとも1種類の追加の反応性部分を含有する。この種類のヒドロキシル反応性化合物は、水、生体組織または他の反応性化合物に暴露された時、結果的にヒドロキシルポリマーから誘導される架橋(hydroxyl polymer derivative crosslink)を生じることが望ましい場合に有用である。適切なヒドロキシル反応性化合物は、カルバメート、塩化アシル、塩化スルホニル、イソチオシアネート、シアノアクリレート、オキシラン、イミン、チオ炭酸塩、チオール、アルデヒド、アジリジン(aziridine)、アジド、およびそれらの混合物から成る群から選ばれた追加の反応性部分を含有することができる。
【0033】
適切なヒドロキシル反応性化合物の例は、塩化アクリロル(acrylol chloride)、2−イソシアナトエチルメタクリレート、エピクロロヒドリン、無水マレイン酸、グルタミン酸、メルカプトプロピオン酸、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0034】
1つの実施形態において、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、該ポリマーにヒドロキシル反応性化合物または重合剤を付加する前、反応性部分の副反応を防止するため、無水溶媒の有効量の中に溶解させることができる。本明細書で用いられる「無水溶媒の有効量」は、少なくとも、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを実質的に溶解させるのに必要な量を意味するものとし、該ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーの重量に基づき、約10重量%〜約99重量%の量、即ち、例えば、約40重量%〜約90重量%の間の量であってよい。適切な無水溶媒の諸例は、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0035】
例えば、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、無水1,4−ジオキサンの有効量に溶解させ、続いて2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート等のジイソシアネートの2当量と反応し、ペンダントイソシアネート基を有するヒドロキシルポリマー誘導体を形成することができる。ペンダントイソシアネート基を有するヒドロキシルポリマー誘導体は、次いで、水、生体組織、または他の反応性化合物(例えば、アミン、チオール、ヒドロキシル基含有化合物、および同種のもの)と接触したとき、架橋ネットワーク(crosslinked network)を形成するであろう。
【0036】
反応性部分を有する適切なヒドロキシル反応性化合物には、ジイソシアネート、例えば、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、p−フェニレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)、およびそれらの組合せ、および同種のものが包含される。
【0037】
もう1つの実施形態において、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、ヒドロキシルポリマー誘導体を形成するため、十分な条件の下、少なくとも1個の重合性基を含む重合剤の有効量と更に反応させることができる。本明細書で用いられる「重合性基(polymerizable groups)」は、アニオン重合、カチオン重合またはフリーラジカル重合を受けることのできるあらゆる部分を意味するものとする。
【0038】
適切なフリーラジカル重合性基には、アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキルアクリレート、アクリルアミド、C1〜6アルキルアクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニルC1〜6アルキル、または、それらの共重合体もしくは混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0039】
少なくとも1個のカチオン反応性基を含む適切な重合剤は、ビニルエーテル、1,1−ジアルキルオレフィン、エポキシド基、それらの混合物、および同種のものを包含するが、それらに限定されない。
【0040】
少なくとも1個のアニオン反応性基を含む適切な重合剤は、アクリレート、メタクリレート、スチリル、エポキシド基、それらの混合物、および同種のものを包含するが、それらに限定されない。
【0041】
1つの実施形態において、重合剤は、メタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、ならびに、それらの共重合体および混合物から成る群から選ばれる。
【0042】
1つの実施形態において、重合剤は、光重合剤であってよい。該光重合剤は、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、無水メタクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、または、それらの共重合体もしくは混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0043】
1つの実施形態において、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーは、十分な条件の下、ヒドロキシル反応性生理活性物質の有効量と更に反応させて、植込み可能なデバイスとして使用することのできる高分子プロドラッグ(polymeric prodrugs)を形成することができる。該生理活性物質は、ヒドロキシルポリマー誘導体−生理活性物質の結合部位が加水開裂(hydrolytic cleavage)される時、高分子プロドラッグから放出されることが可能である。1つの実施形態において、高分子プロドラッグは、スペーサー基(spacer group)を介してヒドロキシルポリマー誘導体に共有結合されている生理活性物質を含有し、しかも、該スペーサー基を該生理活性物質に連結している結合、または、該ヒドロキシルポリマー誘導体を該生理活性物質に連結している結合、または、それら両方の結合が加水分解される時、該生理活性物質は、該高分子プロドラッグから放出されることが可能である。上記に記載されるように、生理活性物質が共有結合している場合、該生理活性物質は、生理学的条件下で加水分解されることによって、制御されて放出されることが可能である。
【0044】
適切なヒドロキシル反応性生理活性物質には、ヒドロキシルポリマー誘導体に連結されるか、または、ヒドロキシルポリマー誘導体中に分散されるか、または、ヒドロキシルポリマー誘導体上に被覆されることのできる、いかなる生理活性物質も包含される。したがって、実質的な分解も副反応も受けることなく、ヒドロキシルポリマー誘導体上のヒドロキシル基と反応して、共有結合を形成することのできる、あらゆる生理活性物質を使用することができる。適切なヒドロキシル反応性生理活性物質の諸例は、以下の薬効分類のもの:アンギオテンシン変換酵素阻害剤、抗狭心症薬、抗不整脈剤、抗喘息薬、抗コレステロール剤(anti-cholesterolemics)、抗痙攣薬、抗うつ剤、下痢止め製剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧薬、抗感染薬、抗炎症薬、抗脂質薬(anti-lipid agents)、抗躁薬、制嘔吐剤、抗卒中薬、抗甲状腺製剤、抗腫瘍薬、鎮咳薬、抗尿酸薬、抗ウイルス剤、にきび用薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、タンパク同化剤、鎮痛薬、麻酔薬、血管形成阻害薬、制酸薬、抗関節炎薬、抗生物質、抗凝結薬、鎮吐剤、抗肥満薬、抗寄生虫薬、抗精神病薬、解熱剤、鎮痙薬、抗血栓剤、抗不安薬、食欲刺激薬、食欲抑制剤、β遮断薬、気管支拡張薬、心血管作動薬、大脳拡張剤、キレート化剤、コレシストキニン拮抗剤、化学療法薬、認知活性化物質(cognition activators)、避妊薬、冠動脈拡張薬、鎮咳剤、充血除去剤、脱臭薬、外皮用剤、糖尿病薬、利尿薬、皮膚軟化剤、酵素、赤血球生成剤、去痰薬、妊娠促進薬、殺菌剤、胃腸薬、成長調整物質、ホルモン補充薬、血糖上昇剤、睡眠薬、血糖降下薬、下剤、偏頭痛治療薬、ミネラルサプリメント(mineral supplements)、粘液溶解薬、麻薬、神経遮断薬、神経筋薬(neuromuscular drugs)、非ステロイド性抗炎症薬、栄養添加剤、末梢血管拡張薬、プロスタグランジン(prostaglandin)、向精神薬、レニン阻害薬(renin inhibitors)、呼吸促進薬、ステロイド剤、興奮剤、交感神経遮断薬、甲状腺製剤、精神安定剤(tranquilizers)、子宮弛緩薬、膣用製剤(vaginal preparations)、血管収縮剤、血管拡張剤、めまい薬(vertigo agents)、ビタミン、および創傷治療薬、を包含するが、それらに限定されない。
【0045】
適切な反応条件には、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーおよびヒドロキシル反応性生理活性物質と共混和性である(co-miscible)溶媒の有効量を使用することが包含される。本明細書で用いられる、このような溶媒の「有効量」は、少なくとも、ヒドロキシルポリマーおよび生理活性物質が溶解する量を意味するものとし、反応混合物中の全成分の全重量に基づき、約10重量%〜約99重量%の範囲であり、即ち、例えば、約40重量%〜約90重量%の間であってよい。そのような適切な溶媒の諸例は、水、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,4−ジオキサン、メチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、それらの組合せ、および同種のものを包含するが、それらに限定されない。
【0046】
前記反応は、薬剤の生物的活性(biological activity)を著しく変性することなく、反応速度を効果的に促進する温度であって、例えば、選定されたヒドロキシル反応性生理活性物質の種類および量、選定されたヒドロキシルポリマー誘導体の種類および量、ならびに同種のものによって影響されることがあるものの、典型的には約0℃〜約100℃に及びうる温度で進行するべきであることは、当業者ならば、容易に認識するであろう。ラクタム−OHヒドロキシル基と生理活性物質との間の求電子付加反応または求核置換反応によって、結果的に高分子プロドラッグが形成される。
【0047】
本発明によって生成される架橋ポリマーは、様々な物理的形態[例えば、液体、ワックス、固体、半固体、ヒドロゲル等のゲル、弾性固体、(ゼラチンのような)粘弾性固体、ゲル微小粒子で形成されている粘弾性液体、または、更に、一緒に混合された場合に諸反応物のいずれよりもかなり高い粘度の粘稠液体(viscous liquid)]を有することができる。用語「ゲル(gel)」とは、液体と固体との間の物質の状態をいう。したがって、「ゲル」は、液体の特性(即ち、形状は、弾力性があり、かつ、変形可能である)の一部と、固体の特性(即ち、形状は、2次元表面上で3次元を保持するのに十分に離散的(discrete)である)の一部とを有する。好ましい物理的形態は、弾性固体または粘弾性固体である。
【0048】
これらの架橋ポリマーは、様々な異なる薬物応用および医学的応用に使用することができる。一般に、本明細書に記述されるポリマーは、ポリマーが現在使用されている、いかなる医学的応用または薬物応用で使用されるように構成されてもよい。例えば、本発明のポリマーは、組織増大において(即ち、軟組織修復における充填材)、硬組織修復において(例えば、骨置換材料)、組織シーラントおよび組織接着材料として、組織接着の防止において(接着防止)、表面修飾(surface modifications)の提供において、組織工学応用、眼内レンズ、コンタクトレンズ、医療デバイスのコーティングにおいて、かつ、薬物/細胞/遺伝子の運搬応用において、止血剤として、有用である。本発明の開示の利益を有する当業者は、本発明のポリマー組成物の適切な投与を決定することができるであろう。
【0049】
1つの実施形態において、本発明の諸反応は、原位置(in-situ)で起こる、すなわち、それらの反応が、生きている動物または人体の器官もしくは組織の上のような局所部位で起こることを意味する。もう1つの実施形態において、それらの反応は、局所温度を60℃より高い温度まで上昇させる重合熱を放出しない。更にもう1つの実施形態において、ゲル化を引き起こすいずれの反応も、30分以内で起こり、更にまたもう1つの実施形態では15分以内で、また、更にもう1つの実施形態では5分以内で起こる。本発明のそのようポリマーは、所定位置にしっかり固定されるのに十分な接着強度と結合強度(cohesive strength)とを有するゲルを形成する。幾つかの応用では、接着強度、結合強度およびゲル化は必要条件ではないことを理解すべきである。
【0050】
原位置で起こる本発明の諸反応に関し、本発明で利用される諸反応物は通常、それら反応物が最初に投与部位で、または直前に互いに接触するように、該投与部位に運搬される。したがって、1つの実施形態において、本発明の諸反応物は、諸成分が別々に運搬されるのを可能にする装置を使用して、投与部位まで運搬される。そのような運搬システムは通常、例えば、ペースト、噴霧液、液体もしくは固体を運搬する単一デバイスまたは多頭デバイス(multihead device)と共に、諸反応物を別々に保持するための個々の区画(compartments)を備えている。本発明の諸反応物は、例えば、注射器および針、または様々なデバイスを用いて投与することができる。諸反応物は、該反応物を含有するデバイスであって、前記反応物のための出口と、前記反応物を放出するための放出器と、前記反応物を動物またはヒトの中に投与するための、前記出口にぴったり嵌る中空管状部材とを有する、デバイス、を有するキットの形態で提供することができるということも想像される。
【0051】
代わりに、諸反応物は、いずれかの種類の制御可能な押出しシステムを使用して別々に運搬することができるか、または、それら反応物は、別々のペースト、液体もしくは乾燥粉末の形態で、手動で運搬し、次いで、投与部位において手動で一緒に混合することができる。多成分系組成物を運搬するように構成される多くのデバイスは、当該技術分野において周知であり、本発明を実施するのに使用することもできる。
【0052】
代わりに、本発明の諸反応物は、液体または粉末としての不活性形態で調製することができる。そのような反応物は、次いで、予混合された形態で供給され、次いで、活性化剤を使用することによって、投与部位に使用された後、または、投与部位に使用される直前に活性化されることが可能である。1つの実施形態において、活性化剤は、一旦該活性化剤と一緒に混合された架橋ポリマーの形成を活性化する緩衝溶液である。
【0053】
もう1つの実施形態において、本発明に係る諸反応物から得られる架橋ポリマーが、ある部位に運搬される必要がなく、原位置で形成される応用については、該架橋ポリマーは、予め調製されて、本明細書で前に記述されたような関心ある応用(application of interest)によって決まる様々な液体または固体の形態をとることができる。
【0054】
任意的材料を、結果として得られる本発明の架橋ポリマーの中に組み入れられるべき諸反応物のうち1種類以上に添加することができるか、または、別々に投与することができる。任意的材料は、例えば、着色剤、希釈剤、着臭剤、キャリヤー、賦形剤、安定剤のような可視化剤、製剤エンハンサー(formulation enhancers)、または同種のものを包含するが、それらに限定されない。
【0055】
諸反応物(したがって、本発明の架橋ポリマー)は、外科的処置が行われる間の、それらの視認性を改善するため、可視化剤を更に含有することができる。可視化剤は、植込み可能な医療デバイスで使用するのに適した様々な着色物質または染料、例えば、連邦食品医薬品化粧品(Food Drug & Cosmetic)(FD&C)染料番号3および6、エオシン(eosin)、メチレンブルー、インドシアニン・グリーン(indocyanine green)、または、合成外科用縫合糸中に通常見出だされる染料、のいずれかから選定することができる。1つの実施形態において、可視化剤は、グリーン、ブルーまたはスミレ色(violet)である。可視化剤は、ポリマーの中に組み込まれても組み込まれなくても良い。1つの実施形態において、可視化剤は、本発明の諸反応物と反応し得る官能基を有していない。
【0056】
例えば、蛍光化合物[例えば、フルオレセイン(fluorescein)、エオシン、可視光下でグリーンもしくは黄色の蛍光染料]、X線画像装置下で視認性を得るためのX線造影剤(例えば、ヨード化合物)、超音波造影剤、または、磁気共鳴映像法(MRI)用造影剤(例えば、ガドリニウム含有化合物)のような追加の可視化剤を使用することができる。
【0057】
可視化剤は、少量で使用することができ、1つの実施形態では1%(重量/容積)未満で、もう1つの実施形態では0.01%(重量/容積)未満で、更にもう1つの実施形態では0.001%(重量/容積)未満で使用することができる。
【0058】
以下の諸実施例は、本発明を更に例示するのに役立ち、また、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって限定される。それら実施例において、特に明記されない限り、量は重量による。
【0059】
実施例
実施例1
ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン[K25、分子量=約30,000、フルカ(Fluka)、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)]143g(1.29モル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れたトリエチレングリコール[アルドリッチ(Aldrich)、ウィスコンシン州ミルウォーキー]888gに溶解させた。該PVP溶液に、水素化ホウ素ナトリウム[ベンピュア(VenPure)AF顆粒、98+%、アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー]48.7g(1.29モル)を、室温で1時間にわたって添加した。実質的な泡立ちが観察された。その反応を、110℃に加熱し、5時間の間撹拌した。その熱い反応混合物に、蒸留水500mLを添加した。該ポリマーは、1000分子量カットオフ透析膜[セルロース、スペクタム・ラボラトリーズ(Spectum Laboratories)、カリフォルニア州ランチョ・ドミンガス(Rancho Dominguez)]を使用して、5日間、蒸留水に対して透析され、次いで、2日間、2−プロパノールに対して透析された。該ポリマーは、ヘキサン:イソプロピルエーテル(50:50容量/容量)中に沈降されて、数平均分子量8,000および重量平均分子量24,500を有する白色固体を生じた[ゲル浸透クロマトグラフ、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)およびポリ(2−ビニルピリジン)標準を使用]。ヒドロキシル価(OH#)は、滴定によって決定した[OH#=水酸化カリウム53.4mg/試料1g、ヒドロキシル基当量(EW)=1050g/モル]。
【0060】
アクリレート官能性ポリビニルピロリドン(PVP−アクリレート)の合成
前記PVP−OH 4.5g(モノマー単位=41ミリモル、OH=4.3ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた500mL二頚丸底フラスコに入れた無水N,N−ジメチルアセトアミド250mLに溶解させた。塩化アクリロイル(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)0.39g(4.3ミリモル)と、カテコール(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)10mgとを、該ポリマー溶液に添加した。トリエチルアミン(フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)1.3g(13ミリモル)を添加し、次いで、該反応混合物を、70℃で6時間の間撹拌した。該ポリマー溶液は、濾過されて塩酸塩を除去し、次いで、イソプロピルエーテルで3回沈降されて、アクリレート基を約3モル%含有する固体ポリマーを生じた。これは、図1に示されるH NMR分光法によって確認した。H NMR(CDCl)δ=6.41〜6.29(bm,1H,アクリレート ビニル)、6.13〜6.01(bm,1H,アクリレート ビニル)、5.85〜5.66(bm,1H,アクリレート ビニル)、4.18〜3.44(bm,1H,PVP メチンプロトン)、3.43〜3.01(bm,2H,PVP)、2.49〜1.28(bm,6H,PVP)。
【0061】
第1の架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート451mgを、20mLガラス製シンチレーション用バイアル(scintillation vial)に入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)3.24gに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)[平均分子量=1201.5、FAO オースチン・ケミカル・カンパニー・インコーポレイティッド(Austin Chemical Company Inc.)、イリノイ州ベンセビレ(Benseville)]67mg(55.8マイクロモル)を、室温で該反応混合物に添加した。該反応混合物は、1分以内でゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0062】
第2の架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート0.71gを、5mLガラス製バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)1.6gに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)[平均分子量=1201.5、FAO オースチン・ケミカル・カンパニー・インコーポレイティッド、イリノイ州ベンセビレ]69mg(57.4マイクロモル)を、室温で該反応混合物に添加し、ボルテックス撹拌機で振盪した。該反応混合物は、24時間以内でゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0063】
第3の架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート0.33gを、5mLガラス製バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)321mgに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(平均分子量=1201.5)93mg(77.6マイクロモル)を、室温で該反応混合物に添加し、ボルテックス撹拌機で振盪した。該反応混合物は、2時間以内でゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0064】
第4の架橋ポリマーの合成
実施例1bからのPVP−アクリレート0.82gを、5mLガラス製バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)2.8gに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(平均分子量=1201.5)173mg(144マイクロモル)を、室温で該反応混合物に添加し、ボルテックス撹拌機で振盪した。該反応混合物は、一晩でゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0065】
実施例2
ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン[K30、平均分子量=約40,000、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー]100g(0.90ミリモル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れた2−プロパノール[アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー]700mLに溶解させた。該PVP(ポリビニルピロリドン)溶液に水素化ホウ素ナトリウム[ベンピュアAF顆粒、98+%、アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー]34g(0.90モル)を、室温で1時間にわたって添加した。実質的な泡立ちが観察された。その反応を、50℃に加熱し、16時間の間撹拌した。その反応混合物に、蒸留水500mLを添加した。ポリマーは、1000分子量カットオフ透析膜(セルロース、スペクタム・ラボラトリーズ、カリフォルニア州ランチョ・ドミンガス)を使用して、7日間、蒸留水に対して透析され、2日間、メチルアルコールに対して透析され、1日間、2−プロパノールに対して透析された。該ポリマーは、イソプロピルエーテル:アセトン(50:50容量/容量)中に沈降されて、OH#=KOH 20.5mg/試料1g、およびヒドロキシル基当量(EW)=2,700g/モルを有する白色固体を生じた。
【0066】
アクリレート官能性ポリビニルピロリドン(PVP−アクリレート)の合成
前記PVP−OH 25.2g(モノマー単位=227ミリモル、OH=9.3ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた500mL二頚丸底フラスコに入れた無水1,4−ジオキサン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)308gに溶解させた。塩化アクリロイル1.67g(18.4ミリモル)とヒドロキノン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)20mgとを、該ポリマー溶液に添加した。トリエチルアミン5.60g(55.3ミリモル)を添加し、次いで、該反応混合物を、70℃で6時間の間撹拌した。該ポリマー溶液は、濾過されて塩酸塩を除去し、次いで、イソプロピルエーテルで3回沈降されて、アクリレート基を約0.2〜0.3モル%含有する固体ポリマーを生じた。これは、H NMR分光法によって確認した。H NMR(CDCl)δ=6.75〜5.65(bm,3H,アクリレート ビニル)、4.21〜3.44(bm,1H,PVP メチンプロトン)、3.43〜2.80(bm,2H,PVP)、2.65〜0.60(bm,6H,PVP)。
【0067】
架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート2.54gを、20mLガラス製シンチレーション用バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)4.43gに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(平均分子量=1201.5)323mg(269マイクロモル)を、室温で該反応混合物に添加した。該反応混合物は、室温で24時間以内にゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0068】
ペミロラスト(pemirolast)(肥満細胞安定剤)を含有する架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート2.0gを、20mLガラス製シンチレーション用バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)3.1g、プロピレングリコール(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)2.0g、およびN−メチル−2−ピロリドン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)1.8gに溶解させた。該反応混合物に室温で、ペミロラスト(肥満細胞安定剤)[ディファルマ・ソシエタ・ペル・アチオニ(Dipharma S.p.A)、イタリー、ミラノ]109mg(475ミリモル)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PP150−TMP)(平均分子量=1201.5)501mg(417マイクロモル)を添加した。該反応混合物は、ボルテックス混合機を使用して2分間振盪され、次いで、直径70mmのアルミニウム製皿に注がれた。その膜は、室温で30分以内にゲル化した。
【0069】
ペミロラストの架橋ポリマーからの生体外での(In Vitro)放出
PP150−TMPを、前述のように反応混合物に添加して6.5時間の後、架橋膜の一部分(7.58g、厚さ2.5mm)を、リン酸緩衝液(pH=7.4、シグマ・アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)370mLに入れた。アリコート2.5mLを、各々の時点で取り去り、新たな緩衝液2.5mLと置き換えた。ペミロラストの放出は、紫外/可視分光法(UV/VIS spectroscopy)(λmax=256nm)で定量した。表1に、対応の放出プロフィールを示す。
【表1】

【0070】
リドカイン(lidocaine)を含有する架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート1.44gを、20mLガラス製シンチレーション用バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)3.0g、グリセリン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)1.4g、プロピレングリコール0.46g、およびN−メチル−2−ピロリドン2.1gに溶解させた。該反応混合物に室温で、リドカイン(シグマ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)251mg(1.07ミリモル)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(平均分子量=1201.5)329mg(274マイクロモル)を添加した。該反応混合物は、ボルテックス混合機を使用して2分間振盪され、次いで、直径70mmのアルミニウム製皿に注がれた。その厚い膜は、室温で30分以内にゲル化した。
【0071】
リドカインの架橋ポリマーからの生体外での放出
PP150−TMPを、前述の反応混合物に添加して3.1時間の後、架橋膜の一部分(0.98g、厚さ2.5mm)を、リン酸緩衝液(pH=7.4、シグマ・アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)20.0mLに入れた。アリコート2.5mLを、各々の時点で取り去り、新たな緩衝液2.5mLと置き換えた。リドカインの放出は、紫外/可視分光法(λmax=262nm)で定量した。表2に、対応の放出プロフィールを示す。
【表2】

【0072】
実施例3
ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン[K15、平均分子量=約10,000、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー]497g(4.47モル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れた蒸留水3リットルに溶解させた。該PVP溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(粉末、98+%、アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)360g(9.5モル)を、室温で3時間にわたって徐々に添加した。実質的な泡立ちが観察された。その反応を、70℃に加熱し、24時間の間撹拌した。濃塩酸[フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)、ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburg)]を添加して、pHを11から7に低下させた。ポリマーは、500分子量カットオフ透析膜(セルロース、スペクタム・ラボラトリーズ、カリフォルニア州ランチョ・ドミンガス)を使用して、10日間、蒸留水に対して透析された。回転式蒸発(rotary evaporation)によって水分を除去して、OH#=KOH 33.3mg/試料1g、およびヒドロキシル基当量(EW)=1,680g/モルを有する白色固体を生じた。
【0073】
アクリレート官能性ポリビニルピロリドン(PVP−アクリレート)の合成
前記PVP−OH 32.3g(モノマー単位=291ミリモル、OH=19ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた500mL二頚丸底フラスコに入れた、無水N,N−ジメチルホルムアミド(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)400mL、および無水ピリジン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)10mLに溶解させた。塩化アクリロイル3.48g(38.4ミリモル)と、4−(ジメチルアミノ)ピリジン100mg(0.82ミリモル)(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)と、ヒドロキノン20mgとを、該ポリマー溶液に添加した。その反応混合物は、次いで、100℃で1時間の間撹拌された。該ポリマー溶液は、濾過されて塩酸塩を除去し、次いで、イソプロピルエーテルで3回沈降されて、アクリレート基を約4〜5モル%含有する固体ポリマーを生じた。これは、H NMR分光法によって確認した。H NMR(DO)δ=6.39〜6.21(bm,1H,アクリレート ビニル)、6.18〜5.96(bm,1H,アクリレート ビニル)、5.95〜5.82(bm,1H,アクリレート ビニル)、4.01〜3.42(bm,1H,PVP メチンプロトン)、3.41〜2.95(bm,2H,PVP)、2.50〜1.10(bm,6H,PVP)。
【0074】
架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート2.29gを、20mLガラス製シンチレーション用バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=9.0)3.17gに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(平均分子量=1201.5)650mg(541マイクロモル)を、室温で該反応混合物に添加した。該反応混合物は、室温で2分間ボルテックス(vortexing)した後、2枚の平行プレート(直径=40mm)の間に注いだ。一点動的タイムスイープ試験(single point dynamic time sweep test)を用いて、レオメトリクス社製(Rheometrics)RDA−IIレオメーター(Rheometer)によるレオロジーデータを得た。該反応混合物は、室温で24時間以内にゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0075】
実施例4
アクリレート官能性ポリビニルピロリドン(PVP−アクリレート)の合成
実施例3からのPVP−OH 6.7g(モノマー単位=60ミリモル、OH=4ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた500mL二頚丸底フラスコに入れた無水1,4−ジオキサン400mLに溶解させた。塩化アクリロイル1.1g(12ミリモル)、およびトリエチルアミン3.6gを、この順で一滴ずつ添加した。ヒドロキノン100mgを該ポリマー溶液に添加し、その反応混合物は、次いで、55℃で6時間の間撹拌された。該ポリマー溶液は、濾過されて塩酸塩を除去し、次いで、イソプロピルエーテル:ヘキサン(50:50容量/容量)で3回沈降されて、アクリレート基を約5〜6モル%含有する固体ポリマーを生じた。これは、H NMR分光法によって確認した。H NMR(DO)δ=6.39〜6.21(bm,1H,アクリレート ビニル)、6.18〜5.96(bm,1H,アクリレート ビニル)、5.95〜5.82(bm,1H,アクリレート ビニル)、4.01〜3.42(bm,1H,PVP メチンプロトン)、3.41〜2.95(bm,2H,PVP)、2.50〜1.10(bm,6H,PVP)。
【0076】
架橋ポリマーの合成
PVP−アクリレート1.0gを、2ドラム(dram)ガラス製バイアルに入れたホウ酸塩緩衝溶液(pH=10.0)2g、およびN−メチル−2−ピロリドン2gに溶解させた。エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(平均分子量=1201.5)133mg(111マイクロモル)を、周囲温度で該反応混合物に添加した。該反応混合物は、周囲温度で30分以内にゲル化して架橋ヒドロゲルを形成した。
【0077】
実施例5
グリセリンおよび錫オクトエート(tin octoate)を使用した、ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン(K90、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)58g(521.9ミリモル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れたグリセリン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)619g(6,721ミリモル)に溶解させた。次いで、錫オクトエートのトルエン溶液の0.33モル溶液の400μLを、該PVP溶液に添加した。次いで、その溶液を110℃に加熱し、次いで、周囲圧力で90時間の間撹拌した。次いで、その濃厚溶液を希釈するため、その反応混合物にイソプロパノール500mLを添加した。そのPVP−OHポリマーは、アセトン中で沈降され、次いで、100分子量カットオフ透析膜(セルロース、スペクタム・ラボラトリーズ、カリフォルニア州ランチョ・ドミンガス)を使用して、7日間、蒸留水に対して、2日間、水/イソプロパノールに対して、かつ、1日間、水/メタノールに対して、順次透析された。該ポリマーは、最後に、アセトン中でもう1回沈降されて、OH#=KOH 70mg/試料1g、およびヒドロキシル基当量(EW)=801.4g/モルを有する白色固体を生じた。そのヒドロキシル官能性PVPは、H NMR分光法によって特徴付けられた。
【0078】
実施例6
エチレングリコールおよび錫オクトエートを使用した、ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン(K90、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)53.6g(483ミリモル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れたエチレングリコール(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)712g(11,471ミリモル)に溶解させた。次いで、錫オクトエートのトルエン溶液の0.33モル溶液の500μLを、該PVP溶液に添加した。次いで、その溶液を95℃に加熱し、次いで、24時間の間撹拌した。そのPVP−OHポリマーは、ヘキサン:アセトンの(50:50容量/容量)混合物中で繰り返し洗浄することによって精製され、次いで、遠心分離によって回収され、次いで、真空下、周囲温度で乾燥されて、OH#=KOH 107mg/試料1g、およびヒドロキシル基当量(EW)=520.4g/モルを有する白色固体を生じた。そのヒドロキシル官能性PVPは、重水素化ジメチルホルムアミドを使用し、H NMR分光法によって特徴付けられた。
【0079】
実施例7
エチレングリコールおよび錫オクトエートを使用した、ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン(K15、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)53.6g(482.3ミリモル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れた過剰のエチレングリコール(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)に溶解させた。次いで、錫オクトエートのトルエン溶液の0.33モル溶液の500μLを、該PVP溶液に添加した。次いで、その溶液を100℃に加熱し、次いで、24時間の間撹拌した。そのPVP−OHポリマーは、1000分子量カットオフ透析膜(セルロース、スペクタム・ラボラトリーズ、カリフォルニア州ランチョ・ドミンガス)を使用して、7日間の蒸留水に対する透析によって精製された。そのヒドロキシル官能性PVPは、重水素化クロロホルムを使用し、H NMR分光法によって特徴付けられた。
【0080】
実施例8
エチレングリコールおよび錫オクトエートを使用した、ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン(K25、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)100g(899.8ミリモル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れたエチレングリコール(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)791g(12,744ミリモル)に溶解させた。次いで、錫オクトエートのトルエン溶液の0.33モル溶液の2mLを、該PVP溶液に添加した。次いで、その混合物を125℃に加熱し、次いで、72時間の間撹拌した。そのポリマーは、数リットルのイソプロピルエーテル、アセトンおよびヘキサン中で順次沈降させた。該PVP−OHポリマーは、最後に、真空オーブン内で、周囲温度で乾燥されて、OH#=KOH 41.8mg/試料1g、およびヒドロキシル基当量(EW)=1300g/モルを有する暗色固体を生じた。そのヒドロキシル官能性PVPは、H NMR分光法によって特徴付けられた。
【0081】
実施例9
実施例8からのPVP−OHを使用した、PVP−アクリレートの合成
実施例8に記載される方法に従って調製した、ポリビニルピロリドン(K25)−エチレングリコール付加物(当量=1300)28.9g(22.2ミリモル)を、周囲温度および周囲圧力の下、機械的撹拌装置を備えた2リットル丸底フラスコに入れた1,4−ジオキサン300gに溶解させた。次いで、その反応混合物に、ヒドロキノン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)50mgを添加した。次いで、その反応混合物に、塩化アクリロイル4g(44.5ミリモル)を添加し、次いで、トリエチルアミン13.5g(133.4ミリモル)を添加した。その混合物は次いで、50℃で20時間の間加熱され、次いで、室温で7日間撹拌された。遠心分離によって、該混合物からトリエチルアンモニウム塩を除去した後、ロータベイター(Rotavator)R−144および水浴(Waterbath)B−481[ブチ・コーポレーション(Buchi Corporation)、デラウエア州ニューカッスル(New Castle)]を使用して、吸引器による真空の下、回転蒸発(rotoevaporation)によってジオキサン溶媒を混合物から除去した。温度は、室温から約50℃まで非常にゆっくりと上昇させた。次いで、結果として得られたポリマーは、メタノールに溶解され、次いで、イソプロピルエーテル:アセトンの50:50容量:容量の溶液中に沈降されて、僅かに褐色がかったポリマーを生じた。結果として得られたポリマーは、アクリレート基を3.8〜4.7モル%有することが分かった。これは、H NMR分光法によって決定された。
【0082】
実施例10
グリセリンおよび錫オクトエートを使用した、ヒドロキシル官能性ポリビニルピロリドン(PVP−OH)の合成
ポリビニルピロリドン(K25、フルカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)100g(899.8ミリモル)を、機械的撹拌装置を備えた4リットルビーカーに入れたグリセリン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)631.5g(6856.7ミリモル)に溶解させた。次いで、錫オクトエートのトルエン溶液の0.33モル溶液の2mLを、該PVP溶液に添加した。次いで、その溶液を100℃に加熱し、16時間の間撹拌した。そのPVP−OHポリマーは、イソプロピルエーテル、アセトンおよびヘキサンそれぞれ数リットル中で順次沈降された。該PVP−OHポリマーは、最終的に、1000分子量カットオフ透析膜(セルロース、スペクタム・ラボラトリーズ、カリフォルニア州ランチョ・ドミンガス)を使用して、7日間の蒸留水に対する透析によって精製された。該ポリマーは、最後に、アセトン中でもう1回沈降されて、OH#=KOH 70mg/試料1g、およびヒドロキシル基当量(EW)=801.4g/モルを有する白色固体を生じた。
【0083】
実施例11
実施例10からのPVP−OHを使用した、メタクリレート−官能性ポリビニルピロリドン(PVP−メタクリレート)の合成
上記の実施例10からのPVP−OH 1g(モノマー単位=9.0ミリモル、OH=1.3ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた20mLバイアルに入れた無水N,N−ジメチルホルムアミド(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)10mLに溶解させた。イソシアナトエチルメタクリレート(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)0.19g(1.3ミリモル)と、触媒としての1滴の錫オクタノエート(tin octanoate)溶液とを、該ポリマー溶液に添加した。該溶液は、次いで、室温で24時間の間撹拌された。該ポリマー溶液は、次いで、ヘキサン:イソプロピルエーテルの50:50混合物によって3回沈降されて、メタクリレート基を約1.3モル%含有する固体ポリマーを生じた。これは、重水素化ジメチルホルムアミドを用いたH NMR分光法によって確認した。
【0084】
実施例12
実施例10からのPVP−OHを使用した、アクリレート−官能性ポリビニルピロリドン(PVP−アクリレート)の合成
上記の実施例10からのPVP−OH 1g(モノマー単位=9.0ミリモル、OH=1.3ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた20mLバイアルに入れた無水N,N−ジメチルホルムアミド(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)10ml、および無水トリエチルアミン(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)1.1g(3.9ミリモル)に溶解させた。塩化アクリロイル(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)0.112g(1.3ミリモル)と、ヒドロキノン20mgとを、該ポリマー溶液に添加した。該反応混合物は、次いで、室温で24時間の間撹拌された。その混合物は、濾過されて塩酸塩を除去し、次いで、ヘキサン:イソプロピルエーテルの50:50混合物によって3回沈降されて、アクリレート基を約2〜3モル%含有する油状ポリマーを生じた。これは、重水素化ジメチルホルムアミドを用いたH NMR分光法によって確認した。
【0085】
実施例13
実施例10からのPVP−OHを使用した、メタクリレート−官能性ポリビニルピロリドン(PVP−イソプロペニル)の合成
上記の実施例10からのPVP−OH 1g(モノマー単位=9.0ミリモル、OH=1.3ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた20mLバイアルに入れた無水N,N−ジメチルホルムアミド(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)10mLに溶解させた。3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)0.26g(1.3ミリモル)と、触媒としての1滴の錫オクタノエート(tin octanoate)溶液とを、該ポリマー溶液に添加した。該溶液は、次いで、室温で24時間の間撹拌された。該PVP−イソプロペニルポリマーは、次いで、ヘキサン:イソプロピルエーテルの50:50混合物によって3回沈降されて、固体ポリマーを生じた。
【0086】
実施例14
実施例10からのPVP−OHと、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)と、を使用した、架橋ポリウレタンの合成
上記実施例10からのPVP−OH 1g(モノマー単位=9.0ミリモル、OH=1.3ミリモル)を、窒素入口、ゴム製隔壁および磁気撹拌子を備えた20mLバイアルに入れた無水N,N−ジメチルホルムアミド(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)10mLに溶解させた。該ポリマー溶液に、無水ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)(アルドリッチ、ウィスコンシン州ミルウォーキー)1.1g(3.9ミリモル)を添加した。該溶液は、次いで、架橋ポリマーゲルを形成するため、室温で約2時間の間撹拌された。
【0087】
実施例15
実施例11からのPVP−メタクリレートを使用した、コンタクトレンズの製造
20mLの琥珀色バイアル中で、メチルジ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロールメタクリレート(SIMAA)30重量部と、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=800〜1000)(mPDMS)22重量部と、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)31重量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)8.5重量部と、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.75重量部と、2−(2'−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(2-(2'- hydroxy-5-methacrylyloxyethylphenyl)-2H-benzotriazole)[ノルブロック(Norblock)7966]1.5重量部と、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(CGI819)0.23重量部と、tert−アミルアルコール(TAA)29重量部と、PVPポリビニルピロリドン(分子量=2,500)11重量部と、実施例11からのPVP−メタクリレート4.3重量部とを混ぜ合わせて、反応混合物を作った。希釈PVP(分子量=2,500)が、完全反応混合物の質量の7.8%を占めた。結果として得られた反応混合物は、透明かつ均質な溶液であった。ポリプロピレン製コンタクトレンズ鋳型を、充填し、閉鎖し、次いで、合計4mW/cmの可視光により47℃で20分間にわたって照射した。鋳型を開放して、レンズをイソプロパノール(IPA)の中に放出し、次いで、脱イオン水の中に移した。レンズは透明であった。
【0088】
〔実施の形態〕
(1)架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
反応生成物であって
a)ペンダントアクリレート基を有するラクタム系ポリマー、および、
b)マイケル付加型反応物、
の反応生成物、
を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(2)実施形態1に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、N−ビニルマレイミド、N−ビニルスクシンイミド、およびそれらの組合せから成る群から選ばれたラクタム系モノマーから誘導された、繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(3)実施形態2に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、およびN−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、およびそれらの組合せから成る群から選ばれたラクタム系モノマーから誘導された、繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(4)実施形態3に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、およびN−ビニルスクシンイミド、およびそれらの組合せから成る群から選ばれたラクタム系モノマーから誘導された、繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(5)実施形態4に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノンから誘導された繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(6)実施形態2に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、システイン残基を有するタンパク質、アルブミン、グルタチオン、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、オリゴ(オキシエチレン)ジチオール、ペンタエリトリトール ポリ(エチレングリコール)エーテル テトラ−スルフヒドリル、ソルビトール ポリ(エチレングリコール)エーテル ヘキサ−スルフヒドリル、ジメルカプトコハク酸、ジヒドロリポ酸、ジチオトレイトール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた、アクリレート反応性チオールである、架橋ラクタム系ポリマー。
(7)実施形態3に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた、アクリレート反応性チオールである、架橋ラクタム系ポリマー。
(8)実施形態4に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた、アクリレート反応性チオールである、架橋ラクタム系ポリマー。
(9)実施形態5に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)である、架橋ラクタム系ポリマー。
(10)実施形態6に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、およびポリ(エチレングリコール)モノメタクリレート、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(11)実施形態7に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(12)実施形態8に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(13)実施形態9に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
(14)方法において、
金属触媒の存在下で、少なくとも1種類のラクタム系ポリマーとポリオールとを反応させて、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを形成すること、
を含む、方法。
(15)実施形態14に記載の方法において、
前記ポリオールは、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、およびポリ(エチレングリコール)、グリセリン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、エトキシル化ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、キシリトール、リビトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、および1,2,4−ブタントリオール、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
(16)実施形態15に記載の方法において、
前記ポリオールは、エチレングリコール、グリセリン、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
(17)実施形態14に記載の方法において、
前記ポリオールは、ポリオールおよびラクタム系ポリマーの全重量に基づき、約10重量%〜約99重量%の量で存在する、方法。
(18)実施形態14に記載の方法において、
前記ポリオールは、ポリオールおよびラクタム系ポリマーの全重量に基づき、約40重量%〜約90重量%の量で存在する、方法。
(19)実施形態14に記載の方法において、
前記金属触媒は、アルミニウム触媒、カルシウム触媒、マンガン触媒、ランタニド触媒、アンチモン触媒、亜鉛触媒、錫触媒、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
(20)実施形態19に記載の方法において、
前記錫触媒は、オクチル酸第一錫、ジブチル錫オキシド、塩化錫(II)、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
(21)実施形態20に記載の方法において、
前記錫触媒は、オクチル酸第一錫であり、かつ、前記ラクタム系ポリマー中のラクタム基の全モルに基づき、約9モル%〜約50モル%の量で存在する、方法。
(22)実施形態14に記載の方法において、
前記金属触媒は、[ラクタム系ポリマー]対[触媒]のモル比が約100対1〜約10000対1であるような量で存在する、方法。
(23)実施形態14に記載の方法において、
前記金属触媒は、[ラクタム系ポリマー]対[触媒]のモル比が約1000対1〜約5000対1であるような量で存在する、方法。
(24)実施形態14に記載の方法において、
約20℃〜約150℃の間の温度で実施される、方法。
(25)実施形態14に記載の方法において、
約40℃〜約110℃の間の温度で実施される、方法。
(26)実施形態14に記載の方法において、
約5日を超えない時間の間実施される、方法。
(27)実施形態14に記載の方法において、
約24時間〜約48時間の間実施される、方法。
(28)実施形態14に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、ラクタム系ポリマーの全モル量に基づき、少なくとも1種類のラクタム基から誘導される繰り返し単位を少なくとも約10モル%含む、方法。
(29)実施形態14に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、ラクタム系ポリマーの全モル量に基づき、少なくとも1種類のラクタム基から誘導される繰り返し単位を少なくとも約30モル%含む、方法。
(30)実施形態14に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、ラクタム系ポリマーの全モル量に基づき、少なくとも1種類のラクタム基から誘導される繰り返し単位を少なくとも約50モル%含む、方法。
(31)実施形態28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム基は、置換された4〜7員環のラクタム環、非置換の4〜7員環のラクタム環、およびそれらの組合せから成る群から選ばれる、方法。
(32)実施形態28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム基は、非置換の4〜6員環のラクタム環である、方法。
(33)実施形態28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、N−ビニルマレイミド、ビニルスクシンイミド、およびそれらの組合せから成る群から選ばれるラクタム系モノマーを含有する、方法。
(34)実施形態28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリドンモノマーを含有する、方法。
(35)実施形態28に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、少なくとも1種類の非ラクタム系モノマーから誘導される繰り返し単位を更に含む、方法。
(36)実施形態35に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類の非ラクタム系モノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、およびポリエチレングリコールモノメタクリレート、およびそれらの組合せから成る群から選ばれる、方法。
(37)実施形態35に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類の非ラクタム系モノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
(38)実施形態14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを、少なくとも1種類のアクリレート基を含むヒドロキシル反応性化合物と反応させて、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを形成すること、
を更に含む、方法。
(39)実施形態38に記載の方法において、
前記アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを、マイケル付加アクリレート反応物と反応させて、架橋ラクタム系ポリマーを形成すること、
を更に含む、方法。
(40)実施形態14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを、ヒドロキシル反応性化合物と反応させて、ヒドロキシルポリマー誘導体を形成すること、
を更に含む、方法。
(41)実施形態14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを重合剤と反応させて、ヒドロキシルポリマー誘導体を形成すること、
を更に含む、方法。
(42)実施形態14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーをヒドロキシル反応性生理活性物質と反応させて、高分子プロドラッグを形成すること、
を更に含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
反応生成物であって、
a)ペンダントアクリレート基を有するラクタム系ポリマー、および、
b)マイケル付加型反応物、
の反応生成物、
を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、N−ビニルマレイミド、N−ビニルスクシンイミド、およびそれらの組合せから成る群から選ばれたラクタム系モノマーから誘導された、繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項3】
請求項2に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、およびN−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、およびそれらの組合せから成る群から選ばれたラクタム系モノマーから誘導された、繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項4】
請求項3に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、およびN−ビニルスクシンイミド、およびそれらの組合せから成る群から選ばれたラクタム系モノマーから誘導された、繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項5】
請求項4に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリジノンから誘導された繰り返し単位を含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項6】
請求項2に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、システイン残基を有するタンパク質、アルブミン、グルタチオン、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、オリゴ(オキシエチレン)ジチオール、ペンタエリトリトール ポリ(エチレングリコール)エーテル テトラ−スルフヒドリル、ソルビトール ポリ(エチレングリコール)エーテル ヘキサ−スルフヒドリル、ジメルカプトコハク酸、ジヒドロリポ酸、ジチオトレイトール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた、アクリレート反応性チオールである、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項7】
請求項3に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた、アクリレート反応性チオールである、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項8】
請求項4に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、ペンタエリトリトール テトラチオグリコレート、ペンタエリトリトール テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトール ヘキサキス(チオグリコレート)、およびエトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた、アクリレート反応性チオールである、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項9】
請求項5に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記マイケル付加型反応物は、エトキシル化ペンタエリトリトール(PP150)テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)である、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項10】
請求項6に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、およびポリ(エチレングリコール)モノメタクリレート、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項11】
請求項7に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項12】
請求項8に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項13】
請求項9に記載の架橋ラクタム系ポリマーにおいて、
前記ラクタム系ポリマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの組合せから成る群から選ばれた非ラクタム系モノマーからの繰り返し単位を更に含む、架橋ラクタム系ポリマー。
【請求項14】
方法において、
金属触媒の存在下で、少なくとも1種類のラクタム系ポリマーとポリオールとを反応させて、ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを形成すること、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記ポリオールは、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、およびポリ(エチレングリコール)、グリセリン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、エトキシル化ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、キシリトール、リビトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、および1,2,4−ブタントリオール、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記ポリオールは、エチレングリコール、グリセリン、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、
前記ポリオールは、ポリオールおよびラクタム系ポリマーの全重量に基づき、約10重量%〜約99重量%の量で存在する、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法において、
前記ポリオールは、ポリオールおよびラクタム系ポリマーの全重量に基づき、約40重量%〜約90重量%の量で存在する、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、
前記金属触媒は、アルミニウム触媒、カルシウム触媒、マンガン触媒、ランタニド触媒、アンチモン触媒、亜鉛触媒、錫触媒、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記錫触媒は、オクチル酸第一錫、ジブチル錫オキシド、塩化錫(II)、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記錫触媒は、オクチル酸第一錫であり、かつ、前記ラクタム系ポリマー中のラクタム基の全モルに基づき、約9モル%〜約50モル%の量で存在する、方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法において、
前記金属触媒は、[ラクタム系ポリマー]対[触媒]のモル比が約100対1〜約10000対1であるような量で存在する、方法。
【請求項23】
請求項14に記載の方法において、
前記金属触媒は、[ラクタム系ポリマー]対[触媒]のモル比が約1000対1〜約5000対1であるような量で存在する、方法。
【請求項24】
請求項14に記載の方法において、
約20℃〜約150℃の間の温度で実施される、方法。
【請求項25】
請求項14に記載の方法において、
約40℃〜約110℃の間の温度で実施される、方法。
【請求項26】
請求項14に記載の方法において、
約5日を超えない時間の間実施される、方法。
【請求項27】
請求項14に記載の方法において、
約24時間〜約48時間の間実施される、方法。
【請求項28】
請求項14に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、ラクタム系ポリマーの全モル量に基づき、少なくとも1種類のラクタム基から誘導される繰り返し単位を少なくとも約10モル%含む、方法。
【請求項29】
請求項14に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、ラクタム系ポリマーの全モル量に基づき、少なくとも1種類のラクタム基から誘導される繰り返し単位を少なくとも約30モル%含む、方法。
【請求項30】
請求項14に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、ラクタム系ポリマーの全モル量に基づき、少なくとも1種類のラクタム基から誘導される繰り返し単位を少なくとも約50モル%含む、方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム基は、置換された4〜7員環のラクタム環、非置換の4〜7員環のラクタム環、およびそれらの組合せから成る群から選ばれる、方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム基は、非置換の4〜6員環のラクタム環である、方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、N−ビニルマレイミド、ビニルスクシンイミド、およびそれらの組合せから成る群から選ばれるラクタム系モノマーを含有する、方法。
【請求項34】
請求項28に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類のラクタム系ポリマーは、N−ビニル−2−ピロリドンモノマーを含有する、方法。
【請求項35】
請求項28に記載の方法において、
前記ラクタム系ポリマーは、少なくとも1種類の非ラクタム系モノマーから誘導される繰り返し単位を更に含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類の非ラクタム系モノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、およびポリエチレングリコールモノメタクリレート、およびそれらの組合せから成る群から選ばれる、方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法において、
前記の少なくとも1種類の非ラクタム系モノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、アセトニトリル、およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、方法。
【請求項38】
請求項14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを、少なくとも1種類のアクリレート基を含むヒドロキシル反応性化合物と反応させて、アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを形成すること、
を更に含む、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、
前記アクリレート官能性ラクタム系ポリマーを、マイケル付加アクリレート反応物と反応させて、架橋ラクタム系ポリマーを形成すること、
を更に含む、方法。
【請求項40】
請求項14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを、ヒドロキシル反応性化合物と反応させて、ヒドロキシルポリマー誘導体を形成すること、
を更に含む、方法。
【請求項41】
請求項14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーを重合剤と反応させて、ヒドロキシルポリマー誘導体を形成すること、
を更に含む、方法。
【請求項42】
請求項14に記載の方法において、
前記ヒドロキシル官能性ラクタム系ポリマーをヒドロキシル反応性生理活性物質と反応させて、高分子プロドラッグを形成すること、
を更に含む、方法。

【公表番号】特表2009−541532(P2009−541532A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516653(P2009−516653)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/071438
【国際公開番号】WO2007/149804
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】