説明

ラジオ放送受信装置

【課題】プリセットボタンに間違いなく放送局名を登録することで、使い勝手の良いラジオ放送受信装置を提供することである。
【解決手段】RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10は放送局名を記すためのテキストデータを含むデータ放送が多重されるラジオ放送を受信するラジオ受信部16と、前記テキストデータを表示する表示部14と、登録された放送局を選局するためのプリセットボタンと、各放送局名を記憶した記憶部15と、プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記テキストデータが記憶部15に記憶されている何れかの放送局名と一致した場合、該一致した放送局名をプリセットボタンに登録し、受信した前記テキストデータが記憶部15に記憶されている何れの放送局名とも一致しなかった場合、受信した前記テキストデータをプリセットボタンに登録しないように制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RDS/RBDS放送等を受信するラジオ放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FM放送にテキスト等の各種データを多重放送するシステムが規格化されており、欧州ではRDS(Radio Data System)、北米ではRBDS(Radio Broadcast Data System)と呼ばれている。RDS又はRBDSによるFM多重放送(以下、RDS/RBDS放送と記す)におけるRDS/RBDSデータの一つにPS(放送局名)というデータがあり、8文字の文字列で表されるデータである。PSは本来、放送局名を記すものであったが、最近ではダイナミックにPSデータを更新すること(所謂ダイナミックPS)で現在放送中の曲の歌手名やアルバム名を交互に放送するなどの用途に使われることが多い。そのため、ラジオ放送受信装置のプリセットボタンに放送局名を登録する際、受信したPSデータをそのまま登録すると、歌手名など放送局名以外の名称が登録される場合が生じる。
【0003】
ダイナミックPSによる種々の不都合を解消する技術としては、例えば、特許文献1に、RDS放送を受信してその周波数とPSデータを記憶し、プリセットメモリとしてのテーブルを作成するとともに、プリセットメモリから放送局を呼び出すときは、対応する前記テーブル中のレコードにおけるPSデータの内容を出力する多重放送受信機において、RDS放送のうち、ダイナミックPSを行っているものを検出し、検出したRDS放送の前記テーブル内のレコードにおけるPSデータの内容をスペース等のデータに置き換える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−135148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術ではPSデータの内容をスペース等のデータに置き換えることで、無意味な表示が行われることは防止できるが、上述したプリセットボタンに正確に放送局名が登録されないという問題は解決できない。したがって、ラジオを聴く際に、プリセットボタンを押して選局すると、画面に間違った放送局名が表示される場合が生じ、ユーザを混乱させることになる。
【0006】
本発明は、プリセットボタンに間違いなく放送局名を登録することで、使い勝手の良いラジオ放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、放送局名を記すためのテキストデータを含むデータ放送が多重されるラジオ放送を受信する受信部と、前記テキストデータを表示する表示部と、登録された放送局を選局するためのプリセットボタンとを備えたラジオ放送受信装置において、各放送局名を記憶した記憶部と、前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記テキストデータが前記記憶部に記憶されている何れかの放送局名と一致した場合、該一致した放送局名を前記プリセットボタンに登録し、受信した前記テキストデータが前記記憶部に記憶されている何れの放送局名とも一致しなかった場合、受信した前記テキストデータを前記プリセットボタンに登録しないように制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記のラジオ放送受信装置において、前記データ放送が放送局識別コードを含み、前記記憶部は、前記各放送局名を各放送局識別コードに対応させて記憶し、前記制御部は、前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記放送局識別コード及び前記テキストデータが前記記憶部に記憶されている何れかの放送局識別コード及びそれに対応した放送局名と一致した場合にのみ、該一致した放送局名を前記プリセットボタンに登録するように制御するようにしてもよい。
【0009】
また上記のラジオ放送受信装置において、前記記憶部は、前記各放送局名に対応させて各放送波の周波数を記憶し、前記制御部は、前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記テキストデータ及び放送波の周波数が前記記憶部に記憶されている何れかの放送局名及びそれに対応した周波数と一致した場合にのみ、該一致した放送局名を前記プリセットボタンに登録するように制御するようにしてもよい。
【0010】
また本発明は、放送局識別コードを含むデータ放送が多重されるラジオ放送を受信する受信部と、放送局名を表示する表示部と、登録された放送局を選局するためのプリセットボタンとを備えたラジオ放送受信装置において、各放送局識別コード及びそれに対応した放送局名を記憶した記憶部と、前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記放送局識別コードが前記記憶部に記憶されている何れかの放送局識別コードと一致した場合、該一致した放送局識別コードに対応した放送局名を前記プリセットボタンに登録し、受信した前記放送局識別コードが前記記憶部に記憶されている何れの放送局識別コードとも一致しなかった場合、受信した放送局識別コードの放送局を前記プリセットボタンに登録しないように制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記のラジオ放送受信装置において、前記プリセットボタンへ放送局名を登録するには、オートメモリ、放送局リスト、所定ボタンの操作の何れかによって行うことができる。
【0012】
また上記のラジオ放送受信装置において、前記データ放送は、例えばRDS放送又はRBDS放送である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ラジオ放送受信装置のプリセットボタンに間違いなく放送局名を登録することができるので、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一例のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一例のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置におけるプリセットボタンの登録に関する動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一例のラジオ放送受信状態のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置の前面図である。
【図4】各放送局名を記したデータベースの一例を示す図である。
【図5】本発明の一例のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置におけるプリセットボタンの登録に関する動作を示すフローチャートである。
【図6】各放送局識別コード及びそれに対応した放送局名を記したデータベースの一例を示す図である。
【図7】各放送局名及びそれに対応した放送波の周波数を記したデータベースの一例を示す図である。
【図8】本発明の一例のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置におけるプリセットボタンの登録に関する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のラジオ放送受信装置の一例として、車両搭載用のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置を用いて説明する。RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置の主たる機能はナビゲーション機能とRDS放送受信機能とである。ナビゲーション機能は、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波等に基づいて現在地(車両位置)を特定し、現在地をその付近の地図上に重ねて表示し、さらに目的地が設定されている場合は走行予定経路(誘導経路)に沿って車両を目的地まで案内(誘導)する機能である。RDS放送受信機能は、FM放送を受信し、選局されているチャンネルの番組を出力するとともに、RDSデータを取得して交通情報等を出力する機能である。
【0016】
図1は、本発明の一例のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10は、交通情報受信部11と、ナビゲーション部12と、表示制御部13と、表示部14と、記憶部15と、ラジオ受信部16と、復調/RDSデコード/ソース信号切替部17と、CD再生部18と、音声信号増幅部19と、スピーカー20と、操作部21と、制御部22とを備えている。また、交通情報受信部11及びラジオ受信部16はRDS放送を受信するアンテナ30に、ナビゲーション部12はGPS衛星からの電波を受信するアンテナ31にそれぞれ接続されている。
【0017】
交通情報受信部11は、RDS放送の一部のチャンネルを用いて交通情報等のデータを提供しているRDS−TMC(Radio Data System - Traffic Message Channel)のデータを受信する受信機である。RDS−TMCデータに含まれる情報としては、地点Aから地点Bまで10kmの渋滞有りなどの渋滞情報、工事、事故、通行止めなどの交通規制情報、駐車場の空き情報、雪、凍結スリップ注意などの気象情報、会議、スポーツイベント開催などのイベント情報等がある。
【0018】
ナビゲーション部12は、アンテナ31がGPS衛星から受信した電波を処理して測位用データを取り出し、この測位用データに基づいて車両の現在地を特定する。なお、現在地の特定には、車両の向きを検知するためのジャイロセンサ、車両の走行速度を検知するための車速センサ等を併用してもよい。またナビゲーション部12は、目的地までの走行予定経路の算出も行う。ナビゲーション部12は、誘導画面の表示や経路探索などに必要となる地図データベースを有し、地図データベースには、道路、施設、背景等の情報を含む地図データ、地図データに基づいて地図や誘導画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。またナビゲーション部12は、交通情報受信部11で受信したTMCデータから必要な交通情報やイベント情報等の抽出も行う。
【0019】
表示制御部13は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部22からの指示に基づいて、ラジオ放送受信中の選局画面の画像データや誘導画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。RDS−TMCデータの交通情報がある場合はその交通情報を最前面に重畳する。そして、作成した画像データを表示制御部13が有するRAMに記憶し、記憶した画像データに基づいて表示部14に画像表示用の信号を送り、表示部14の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部14には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0020】
記憶部15は、仕様によって、各放送局名(PS)を記したデータベース、各放送局識別コード(PI)及びそれに対応した放送局名(PS)を記したデータベース、各放送局名(PS)及びそれに対応した放送波の周波数を記したデータベースの何れかを有し、制御部22によって読み出し可能となっている。なお、これらのデータベースは制御部22内のROMに記憶してもよい。
【0021】
ラジオ受信部16は、チューナ等で構成されており、RDS放送信号を受信する。復調/RDSデコード/ソース信号切替部17は、RDS放送信号を復調し、ラジオ番組の音声信号を音声信号増幅部19へ出力し、RDS信号をデコードして各種RDSデータを制御部22へ出力し、ラジオ又はCDのどちらのソース信号を音声信号増幅部19へ出力するかの切り替えを行う。
【0022】
CD再生部18は、CD等の光ディスクからデータを読み出し、復調/RDSデコード/ソース信号切替部17へ再生信号を出力する。音声信号増幅部19は、ラジオ又はCDの音声信号を増幅してスピーカー20から放音させる。
【0023】
操作部21は、ハードキーやタッチパネルで構成される。ハードキーは、電源のオン/オフを行う電源キー等を含んでおり、装置本体の前面に設けられる。タッチパネルは、例えば、格子状に配置された透明な電極を有する感圧式のパネルであって、表示部14の表示領域上に配設される。操作部21に含まれるプリセットボタンは、ハードキー又はタッチパネルのどちらを用いてもよいが、タッチパネルを用いるとボタンに放送局名を表示することができる。
【0024】
制御部22は、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10の制御を統括的に行う。制御部22は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPUと、CPUで使用されるデータやCPU16で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAMと、各種制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROMとを含んでいる。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。
【0025】
なお、表示部14及びスピーカー20はRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10とは別の装置とし、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10を表示装置及びスピーカーに接続する構成であってもよい。
【0026】
次に、図1のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10を用い、プリセットボタンの登録に関する動作について説明する。
【0027】
図2は、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10におけるプリセットボタンの登録に関する動作を示すフローチャートであり、図3は、ラジオ放送受信状態のRDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10の前面図の一例である。
【0028】
図3に示すように、装置本体の筐体の前面下部に各種ハードキー21jが配設され、その上方に表示部14が配設されている。表示部14はタッチパネル方式を採用しており、プリセットボタン21a〜21hが表示され、各プリセットボタン21a〜21hには登録されている放送局名が記されている。また、表示部14には、プリセットボタンが操作されることによって選局した現在選局中の放送局名も表示されている。
【0029】
本実施形態では、ユーザがラジオを聴いているときに所定ボタンを所定操作(例えば、所望のプリセットボタンを長押し)して現在の選局チャンネルをその所定ボタン(例えば、所望のプリセットボタン)に登録させる場合について説明する。
【0030】
まず、ラジオを受信している状態において、ステップS10で制御部22はプリセットボタンが長押しされたか否かを判別する。例えばプリセットボタン21aが長押しされた場合、ステップS11へ進んで制御部22は復調/RDSデコード/ソース信号切替部17から直近に受信したRDSデータを取得し、ステップS12へ進んでRDSデータからPSデータを抽出する。なお、ステップS11からステップS15においては、表示部14の放送局名を表示する位置に選局中の周波数を表示するようにすることが望ましい。
【0031】
続いてステップS13へ進んで、制御部22は記憶部15に記憶されている各放送局名(PS)を記したデータベースから各放送局名を読み出し、ステップS12で抽出したPSデータに一致する放送局名があるか否かを判別する。図4に、各放送局名を記したデータベースの一例を示す。
【0032】
ステップS13において一致する放送局名があった場合、ステップS14へ進んで制御部22はその一致した放送局名を長押しされたプリセットボタン21aに登録する。登録時には、プリセットボタン21aの押下で選局できるように、他に少なくともそのプリセットボタン21aに対応させて放送波の周波数も登録する。なお、プリセットボタン21aの登録内容は例えば記憶部15又は制御部22に記憶すればよい。ステップS14の処理が完了すると、表示部14は図3に示す状態となり、プリセットボタン21aの枠内に登録された放送局名が表示され、表示部14の上部に現在選局中の放送局名も表示される。
【0033】
一方、ステップS13において抽出したPSデータがデータベースの何れの放送局名とも一致しなかった場合、ステップS15へ進んで一回目は計時を開始し、二回目以降は所定時間経過したか否かを判別する。そして、所定時間経過していなければ、ステップS11に戻り、新たなRDSデータを取得する。ダイナミックPSが放送されている場合であれば、PSデータの内容が刻々と変化しているので、所定時間を数十秒程度に設定しておけば、PSデータに放送局名が流れる可能性が高い。
【0034】
一方、ステップS15において所定時間経過していれば、PSデータに放送局名が流れていないと判断し、プリセットボタン21aへの放送局名の登録を断念し、処理を終了する。この場合は、表示部14に放送局名を登録できなかった旨のメッセージ等を表示すれば、ユーザに分かり易い。なお、放送局名が登録できなかった場合でもプリセットボタン21aの押下で選局できるように放送波の周波数等を登録し、放送局名の代わりに周波数を表示させるようにしてもよい。
【0035】
そして、次回、登録されたプリセットボタン21aが押下されると、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10は、登録されている放送局を選局するとともに、表示部14にはプリセットボタン21aに登録されている放送局名を表示させる。
【0036】
このように、ユーザの手動操作によってプリセットボタン21aへ放送局名を登録する際、受信したPSデータが記憶部15に記憶されている何れかの放送局名と一致した場合、該一致した放送局名をプリセットボタン21aに登録し、一方、受信したPSデータが記憶部15に記憶されている何れの放送局名とも一致しなかった場合、受信したPSデータをプリセットボタン21aに登録しないようにすることにより、プリセットボタン21aに間違いなく放送局名を登録することができるので、使い勝手が向上する。
【0037】
他の形態としては、図5に示すフローチャートにしたがって処理してもよい。ステップS20、ステップS21はステップS10、ステップS11と同様であり、ステップS22でRDSデータからPSデータ及びPIコードを抽出する。
【0038】
続いてステップS23へ進んで、制御部22は記憶部15に記憶されている各放送局識別コード(PI)及びそれに対応した放送局名(PS)を記したデータベースから各放送局識別コード及びそれに対応した放送局名を読み出し、ステップS22で抽出したPIコード及びPSデータに一致する放送局識別コード及びそれに対応した放送局名があるか否かを判別する。図6に、各放送局識別コード及びそれに対応した放送局名を記したデータベースの一例を示す。
【0039】
ステップS23において一致する放送局識別コード及びそれに対応した放送局名があった場合、ステップS24へ進む。一方、ステップS23において抽出したPIコード及びPSデータがデータベースの何れの放送局識別コード及びそれに対応した放送局名とも一致しなかった場合、ステップS25へ進む。ステップS24、ステップS25はステップS14、ステップS15と同様である。
【0040】
そして、次回、登録されたプリセットボタン21aが押下されると、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10は、登録されている放送局を選局するとともに、表示部14にはプリセットボタン21aに登録されている放送局名を表示させる。
【0041】
このように、ユーザの手動操作によってプリセットボタン21aへ放送局名を登録する際、受信したPIコード及びPSデータが記憶部15に記憶されている何れかの放送局識別コード及びそれに対応した放送局名と一致した場合にのみ、該一致した放送局名をプリセットボタン21aに登録することにより、プリセットボタン21aに間違いなく放送局名を登録する精度が向上する。
【0042】
なお、PIコードの代わりに各放送波の周波数を用いてもよい。この場合、図7に示すような、各放送局名(PS)及びそれに対応した放送波の周波数を記したデータベースを記憶部15に記憶しておけばよい。図7に示すように、1つの放送局名に対して複数の周波数が割り当てられている場合がある。
【0043】
このように、ユーザの手動操作によってプリセットボタン21aへ放送局名を登録する際、受信したPSデータ及び放送波の周波数が記憶部15に記憶されている何れかの放送局名及びそれに対応した周波数(複数ある場合は何れか1つの周波数)と一致した場合にのみ、該一致した放送局名をプリセットボタン21aに登録することにより、プリセットボタン21aに間違いなく放送局名を登録する精度が向上する。したがって、PSデータと放送波に乗っている各放送局に固有なデータとを組み合わせて用いることで、間違いなく放送局名を登録する精度が向上する。
【0044】
さらに他の形態としては、図8に示すフローチャートにしたがって処理してもよい。ステップS30、ステップS31はステップS10、ステップS11と同様であり、ステップS32でRDSデータからPIコードを抽出する。
【0045】
続いてステップS33へ進んで、制御部22は記憶部15に記憶されている各放送局識別コード(PI)及びそれに対応した放送局名(PS)を記したデータベース(図6参照)から各放送局識別コードを読み出し、ステップS32で抽出したPIコードに一致する放送局識別コードがあるか否かを判別する。
【0046】
ステップS33において一致する放送局識別コードがあった場合、ステップS34へ進んで制御部22はその一致した放送局識別コードに対応した放送局名をデータベースから読み出し、長押しされたプリセットボタン21aに登録する。登録時にはプリセットボタン21aの押下で選局できるように、他にも、少なくともそのプリセットボタン21aに対応させて放送波の周波数も登録する。なお、プリセットボタン21aの登録内容は例えば記憶部15又は制御部22に記憶すればよい。
【0047】
一方、ステップS33において、抽出したPIコードがデータベースの何れの放送局識別コードとも一致しなかった場合、ステップS35へ進む。ステップS35はステップS15と同様である。
【0048】
そして、次回、登録されたプリセットボタン21aが押下されると、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10は、登録されている放送局を選局するとともに、表示部14にはプリセットボタン21aに登録されている放送局名を表示させる。
【0049】
このように、ユーザの手動操作によってプリセットボタン21aへ放送局名を登録する際、受信したPIコードが記憶部15に記憶されている何れかの放送局識別コードと一致した場合、該一致した放送局識別コードに対応した放送局名をプリセットボタン21aに登録し、受信したPIコードが記憶部15に記憶されている何れの放送局識別コードとも一致しなかった場合、受信したPIコードの放送局をプリセットボタン21aに登録しないようにすることにより、プリセットボタン21aに間違いなく放送局名を登録することができるので、使い勝手が向上する。
【0050】
なお、オートメモリによって自動でプリセットボタンに登録する動作についても上記の各実施形態とほぼ同様である。具体的には、ユーザがラジオを聴いているときにオートメモリボタンを押すと、RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置10は、最も低い周波数から順にサーチし、受信可能な周波数であると判断すると、上述したプリセットボタン21aに登録する処理と同様にして登録し、次の受信可能な周波数をサーチして次のプリセットボタンに登録することを繰り返す。
【0051】
また、放送局リストによって自動でプリセットボタンに登録する動作についても上記の各実施形態とほぼ同様である。放送局リストを作成するには2つ以上のチューナが必要であり、ユーザがラジオを聴いている裏で定期的にオートメモリと同様のサーチが行われ、現在受信可能な放送局リストが作成され、放送局リストの各放送局が各プリセットボタンに割り当てられる。そして、ユーザがラジオを聴いているときに放送局リストボタンを押すと直ぐに、表示部14に放送局リストに対応したプリセットボタンが並べて表示される。
【0052】
なお、上記の実施形態で挙げたPSデータは、放送局名を記すためのテキストデータの一例であり、RDS/RBDS以外の規格ではPSデータと呼ばないこともあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ラジオ放送受信機能のみを搭載した装置をはじめ、例えばラジオ放送受信機能を搭載したナビゲーション装置、ラジオ放送受信機能を搭載したオーディオ装置、ラジオ放送受信機能を搭載した携帯機器などラジオ放送受信機能を搭載した各種電子機器に利用することができる。また、それらの機器は車載用のポータブル型又は固定型、家庭用、携帯用などを問わず利用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 RDS放送受信機能搭載ナビゲーション装置
11 交通情報受信部
12 ナビゲーション部
13 表示制御部
14 表示部
15 記憶部
16 ラジオ受信部
17 復調/RDSデコード/ソース信号切替部
18 CD再生部
19 音声信号増幅部
20 スピーカー
21 操作部
21a〜21h プリセットボタン
21j ハードキー
22 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局名を記すためのテキストデータを含むデータ放送が多重されるラジオ放送を受信する受信部と、前記テキストデータを表示する表示部と、登録された放送局を選局するためのプリセットボタンとを備えたラジオ放送受信装置において、
各放送局名を記憶した記憶部と、
前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記テキストデータが前記記憶部に記憶されている何れかの放送局名と一致した場合、該一致した放送局名を前記プリセットボタンに登録し、受信した前記テキストデータが前記記憶部に記憶されている何れの放送局名とも一致しなかった場合、受信した前記テキストデータを前記プリセットボタンに登録しないように制御する制御部とを備えたことを特徴とするラジオ放送受信装置。
【請求項2】
前記データ放送が放送局識別コードを含み、
前記記憶部は、前記各放送局名を各放送局識別コードに対応させて記憶し、
前記制御部は、前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記放送局識別コード及び前記テキストデータが前記記憶部に記憶されている何れかの放送局識別コード及びそれに対応した放送局名と一致した場合にのみ、該一致した放送局名を前記プリセットボタンに登録するように制御することを特徴とする請求項1記載のラジオ放送受信装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記各放送局名に対応させて各放送波の周波数を記憶し、
前記制御部は、前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記テキストデータ及び放送波の周波数が前記記憶部に記憶されている何れかの放送局名及びそれに対応した周波数と一致した場合にのみ、該一致した放送局名を前記プリセットボタンに登録するように制御することを特徴とする請求項1記載のラジオ放送受信装置。
【請求項4】
放送局識別コードを含むデータ放送が多重されるラジオ放送を受信する受信部と、放送局名を表示する表示部と、登録された放送局を選局するためのプリセットボタンとを備えたラジオ放送受信装置において、
各放送局識別コード及びそれに対応した放送局名を記憶した記憶部と、
前記プリセットボタンへ放送局名を登録する際、受信した前記放送局識別コードが前記記憶部に記憶されている何れかの放送局識別コードと一致した場合、該一致した放送局識別コードに対応した放送局名を前記プリセットボタンに登録し、受信した前記放送局識別コードが前記記憶部に記憶されている何れの放送局識別コードとも一致しなかった場合、受信した放送局識別コードの放送局を前記プリセットボタンに登録しないように制御する制御部とを備えたことを特徴とするラジオ放送受信装置。
【請求項5】
前記プリセットボタンへ放送局名を登録するには、オートメモリ、放送局リスト、所定ボタンの操作の何れかによって行うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のラジオ放送受信装置。
【請求項6】
前記データ放送は、RDS放送又はRBDS放送であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のラジオ放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204888(P2012−204888A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65135(P2011−65135)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】