説明

ラダー型ポリシルセスキオキサンを含む樹脂組成物およびその用途

【課題】信頼性、耐熱性および耐溶剤性に優れた剥離剤を与えるシリコーン樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
[1]炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基および炭素数が5〜24の範囲のシクロアルキル基からなる群より選ばれる一種以上を側鎖に有するラダー型ポリシルセスキオキサンを含む剥離剤用樹脂組成物。
[2]前記ラダー型ポリシルセスキオキサンが、反応性官能基を含むことを特徴とする上記[1]に記載の剥離剤用樹脂組成物。
[3]基材を備え、かつその基材の少なくとも一つの面に上記[1]〜[2]に記載のいずれかの剥離剤用樹脂組成物を硬化させてなる剥離剤層を備えたことを特徴とする剥離シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離剤の原料として好適に用いられるラダー型ポリシルセスキオキサンを含む樹脂組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムや紙等の基材に粘着剤を塗布して得られた粘着フィルムや粘着紙等の粘着面には、その粘着面を保護するため、通常剥離シートや剥離紙等が貼付されている。この様な剥離シートや剥離紙等に使用されている剥離剤としては、ポリジアルキルシロキサン構造を有するシリコーン樹脂組成物を原料とするシリコーン系剥離剤、アルキド樹脂組成物を原料とするアルキド系剥離剤および長鎖アルキル系樹脂組成物を原料とする長鎖アルキル系剥離剤が知られている。
しかしながら、ポリジアルキルシロキサン構造を有するシリコーン樹脂組成物には低分子量のシリコーン成分が含まれる。この低分子量のシリコーン成分は一般的に転移し易く、半導体分野においてシリコーン系剥離剤が塗布された剥離シートを粘着シートと組み合わせた場合、前記低分子量シリコーン成分が粘着シートの粘着剤層に転移して、半導体デバイス等の回路に悪影響を与える(特許文献1)。
一方、アルキド樹脂組成物を原料とするアルキド系剥離剤は剥離に要する力が大きすぎる傾向があり、その用途が限定される傾向があった(特許文献2)。
また、長鎖アルキル系樹脂組成物を原料とする長鎖アルキル系剥離剤は耐溶剤性や耐熱性に劣る傾向があった(特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−80638号公報
【特許文献2】特開2000−95929号公報
【特許文献3】特開平7−62306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、信頼性、耐熱性および耐溶剤性に優れた剥離剤を与える樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは鋭意検討した結果、シリコーン樹脂組成物の中でも、側鎖にアルキル基等の置換基を有するラダー型ポリシルセスキオキサンを含む樹脂組成物が、信頼性、耐熱性、耐溶剤性に優れた剥離剤を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、
[1](A)下記一般式(1)により表される構成単位を含有するラダー型ポリシルセスキオキサンを含むことを特徴とする剥離剤用樹脂組成物;
【化2】

(式中、Rは、炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基および炭素数が5〜24の範囲のシクロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。Rは、水素原子、炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基、炭素数が5〜24のシクロアルキル基、炭素数が6〜24のアリール基、炭素数が7〜24のアラルキル基および反応性官能基からなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。)を提供するものであり、
[2]一般式(1)のRが、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、アリル基、メチロール基、エチロール基、ビニル基および炭素数3〜24の二重結合を含む炭化水素基よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する反応性官能基を含むことを特徴とする上記[1]に記載の剥離剤用樹脂組成物を提供するものであり、
[3]前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)に加えて、架橋剤(B)をさらに含むことを特徴とする上記[1]または[2]のいずれかに記載の剥離剤用樹脂組成物を提供するものであり、
[4]前記架橋剤(B)が、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)100重量部に対して、0.01〜230重量部の範囲で含有されていることを特徴とする上記[3]に記載の剥離剤用樹脂組成物を提供するものであり、
[5]基材を備え、かつその基材の少なくとも一つの面に上記[1]〜[4]のいずれかに記載の剥離剤用樹脂組成物を硬化させてなる剥離剤層を備えたことを特徴とする剥離シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、信頼性、耐熱性および耐溶剤性に優れた剥離剤を与えるラダー型ポリシルセスキオキサンを含む樹脂組成物およびそれを用いた剥離シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず最初に、本発明に使用するラダー型ポリシルセスキオキサン(A)について説明する。前記ラダー型ポリシルセスキオキサンは、下記一般式(1)により表される構成単位を含むものである。
【0008】
【化3】

【0009】
ここで、Rは、炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基および炭素数が5〜24の範囲のシクロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。
またRは、水素原子、炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基、炭素数が5〜24のシクロアルキル基、炭素数が6〜24のアリール基、炭素数が7〜24のアラルキル基および反応性官能基からなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。
およびRは、それぞれ一種または二種以上から選ばれるものであってもよい。
【0010】
前記炭素数が2〜24のアルキル基の具体例としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ペンチル基、iso−ヘキシル基、iso−ヘプチル基、iso−オクチル基、iso−ノニル基、iso−デシル基、iso−ウンデシル基、iso−ドデシル基、iso−トリデシル基、iso−テトラデシル基、iso−ペンタデシル基、iso−ヘキサデシル基、iso−ヘプタデシル基、iso−オクタデシル基、iso−ノナデシル基、iso−エイコシル基、2,4−ジメチルペンチル基、2,4,6−トリメチルヘプチル基、2,4,6,8−テトラメチルノニル基等の分岐鎖のアルキル基等を挙げることができる。
【0011】
前記ラダー型ポリシルセスキオキサンを使用した剥離剤が良好な剥離性を示すことから、上記アルキル基は炭素数が4〜20の範囲のものが好ましく、炭素数が6〜18個の範囲のものであればなお好ましい。アルキル基は直鎖のアルキル基であればさらに好ましい。
【0012】
また、前記炭素数が2〜24の範囲の上記フッ化アルキル基の具体例としては、例えば、前記アルキル基の一個以上の水素原子をフッ素原子により置換したものが挙げられる。より好ましくは下記一般式(2)〜(4)により表されるもの等が挙げられる。
(2)−CHCF
(3)−CHCHCF
(4)−CHCHCH(Cn2n+1
ここで、nは1〜21の自然数を表わす。
【0013】
この様な上記フッ化アルキル基の具体例としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチル基等を例示することができる。
【0014】
前記フッ化アルキル基は炭素数が2〜24の範囲のものが好ましく、炭素数が4〜18の範囲のものであればなお好ましい。フッ化アルキル基は直鎖のフッ化アルキル基であればさらに好ましい。特にRが上記フッ化アルキル基を含む場合には、フッ素原子の導入割合により、得られた剥離剤用樹脂組成物を用いた剥離剤の剥離力を容易にコントロールできることから好ましい。
【0015】
また前記炭素数が5〜24の範囲の上記シクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等を例示することができる。
【0016】
前記炭素数が6〜24の範囲の上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ブチルメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0017】
前記炭素数が7〜24の範囲の上記アラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ジフェニルプロピル基等を挙げることができる。
【0018】
前記反応性官能基の具体例としては、例えば、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、メチロール基、エチロール基、ビニル基、炭素数3〜24の二重結合を含む炭化水素基等を含むもの等を挙げることができる。
【0019】
前記炭素数3〜24の二重結合を含む炭化水素基の具体例としては、例えば、アリル基、イソプロペニル基等を挙げることができる。
【0020】
本発明に使用する、ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)が前記反応性官能基を含む場合には、その割合はRおよびRの合計物質量(モル)を基準として通常0.1〜30モル%の範囲である。前記反応性官能基の割合が0.1モル%より少ない場合には得られた剥離剤の基材に対する密着力が十分得られない傾向があり、前記反応性官能基の割合が30モル%より多い場合には、得られた剥離剤の剥離性が十分に得られない傾向がある。
【0021】
次に本発明に使用する、一般式(1)により表される繰り返し単位構造からなるラダー型ポリシルセスキオキサンの製造方法について説明する。
【0022】
上記ラダー型ポリシルセスキオキサンは、下記一般式(5)
(5)R−Si(R
および/または下記一般式(6)
(6)R−Si(R
により表される化合物を加水分解、重縮合させることにより得ることができる。
【0023】
ここでRおよびRは先に説明した場合と同様である。また、Rの具体例としては、例えば、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。Rは反応性の面からメトキシ基またはエトキシ基が好ましい。Rは一種または二種以上を選択することができる。
【0024】
上記一般式(5)により表される化合物の具体例としては、例えば、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘプチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、トリデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ペンタデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘプタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ノナデシルトリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン等の直鎖のアルキルトリクロロシラン類、
iso−プロピルトリクロロシラン、iso−ブチルトリクロロシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、iso−ペンチルトリクロロシラン、iso−ヘキシルトリクロロシラン、iso−ヘプチルトリクロロシラン、iso−オクチルトリクロロシラン、iso−ノニルトリクロロシラン、iso−デシルトリクロロシラン、iso−ウンデシルトリクロロシラン、iso−ドデシルトリクロロシラン、iso−トリデシルトリクロロシラン、iso−テトラデシルトリクロロシラン、iso−ペンタデシルトリクロロシラン、iso−ヘキサデシルトリクロロシラン、iso−ヘプタデシルトリクロロシラン、iso−オクタデシルトリクロロシラン、iso−ノナデシルトリクロロシラン、iso−エイコシルトリクロロシラン、2,4−ジメチルペンチルトリクロロシラン、2,4,6−トリメチルヘプチルトリクロロシラン、2,4,6,8−テトラメチルノニルトリクロロシラン等の分岐鎖のアルキルトリクロロシラン類、
2,2,2−トリフルオロエチルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルトリクロロシラン、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシルトリクロロシラン、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチルトリクロロシラン等のフッ化アルキルトリクロロシラン類、
シクロペンチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、メチルシクロヘキシルトリクロロシラン、ジメチルシクロヘキシルトリクロロシラン等のシクロアルキルトリクロロシラン類、
【0025】
エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、エイコシルトリメトキシシラン等の直鎖のアルキルトリメトキシシラン類、
iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、iso−ペンチルトリメトキシシラン、iso−ヘキシルトリメトキシシラン、iso−ヘプチルトリメトキシシラン、iso−オクチルトリメトキシシラン、iso−ノニルトリメトキシシラン、iso−デシルトリメトキシシラン、iso−ウンデシルトリメトキシシラン、iso−ドデシルトリメトキシシラン、iso−トリデシルトリメトキシシラン、iso−テトラデシルトリメトキシシラン、iso−ペンタデシルトリメトキシシラン、iso−ヘキサデシルトリメトキシシラン、iso−ヘプタデシルトリメトキシシラン、iso−オクタデシルトリメトキシシラン、iso−ノナデシルトリメトキシシラン、iso−エイコシルトリメトキシシラン、2,4−ジメチルペンチルトリメトキシシラン、2,4,6−トリメチルヘプチルトリメトキシシラン、2,4,6,8−テトラメチルノニルトリメトキシシラン等の分岐鎖のアルキルトリメトキシシランン類、
2,2,2−トリフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルトリメトキシシラン、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシルトリメトキシシラン、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチルトリメトキシシラン等のフッ化アルキルトリメトキシシラン類、
シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルシクロヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシクロアルキルトリメトキシシラン類等を挙げることができる。
【0026】
上記一般式(5)により表される化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0027】
また、上記一般式(6)により表される化合物の具体例としては、例えば、上記の直鎖または分岐鎖のアルキルトリクロロシラン類、フッ化アルキルトリクロロシラン類、シクロアルキルトリクロロシラン類、直鎖または分岐鎖のアルキルトリメトキシシラン類、フッ化アルキルトリメトキシシラン類およびシクロアルキルトリメトキシシラン類に加えて、次のものを例示することができる。
【0028】
例えば、アクリロキシメチルトリクロロシラン、アクリロキシエチルトリクロロシラン、アクリロキシプロピルトリクロロシラン、アクリロキシシクロヘキシルトリクロロシラン、アクリロキシフェニルトリクロロシラン等のアクリル系トリクロロシラン類、
メタクリロキシメチルトリクロロシラン、メタクリロキシエチルトリクロロシラン、メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、メタクリロキシシクロヘキシルトリクロロシラン、メタクリロキシフェニルトリクロロシラン等のメタクリル系トリクロロシラン類
グリシジロキシメチルトリクロロシラン、グリシジロキシエチルトリクロロシラン、グリシジロキシピロピルトリクロロシラン、グリシジロキシシクロヘキシルトリクロロシラン、グリシジロキシフェニルトリクロロシラン等のグリシジル系トリクロロシラン類、
アミノメチルトリクロロシラン、アミノエチルトリクロロシラン、アミノプロピルトリクロロシラン、アミノシクロヘキシルトリクロロシラン、アミノフェニルトリクロロシラン等のアミノ系トリクロロシラン類、
イソシアナートメチルトリクロロシラン、イソシアナートエチルトリクロロシラン、イソシアナートプロピルトリクロロシラン、イソシアナートシクロヘキシルトリクロロシラン、イソシアナートフェニルトリクロロシラン等のイソシアネート系トリクロロシラン類、
メトキシメチルトリクロロシラン、メトキシエチルトリクロロシラン、メトキシプロピルトリクロロシラン、メトキシシクロヘキシルトリクロロシラン、メトキシフェニルトリクロロシラン、エトキシメチルトリクロロシラン、エトキシエチルトリクロロシラン、エトキシプロピルトリクロロシラン、エトキシシクロヘキシルトリクロロシラン、エトキシフェニルトリクロロシラン等のアルコキシ系トリクロロシラン類、
トリクロロシリル酢酸、トリクロロシリルプロピオン酸、トリクロロシリル酪酸等のカルボキシル基含有トリクロロシラン類、
ヒドロキシメチルトリクロロシラン、ヒドロキシエチルトリクロロシラン、ヒドロキシプロピルトリクロロシラン等のヒドロキシアルキル系トリクロロシラン類、
アリルトリクロロシラン、イソプロペニルトリクロロシラン等のアルケニル系トリクロロシラン類、
ビニルトリクロロシラン等のビニル系トリクロロシラン類、
フェニルトリクロロシラン、ナフチルトリクロロシラン等のアリール系トリクロロシラン類、
【0029】
アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシシクロヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシフェニルトリメトキシシラン等のアクリル系トリメトキシシラン類、
メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシシクロヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシフェニルトリメトキシシラン等のメタクリル系トリメトキシシラン類、
グリシジロキシメチルトリメトキシシラン、グリシジロキシエチルトリメトキシシラン、グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジロキシシクロヘキシルトリトリメトキシシラン、グリシジロキシフェニルトリメトキシシラン等のグリシジル系トリメトキシシラン類、
アミノメチルトリメトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノシクロヘキシルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン等のアミノ系トリメトキシシラン類、
イソシアナートメチルトリメトキシシラン、イソシアナートエチルトリメトキシシラン、イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、イソシアナートシクロヘキシルトリメトキシシラン、イソシアナートフェニルトリメトキシシラン等のイソシアネート系トリメトキシシラン類、
3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系トリエトキシシラン類、
メトキシメチルトリメトキシシラン、メトキシエチルトリメトキシシラン、メトキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシシクロヘキシルトリメトキシシラン、メトキシフェニルトリメトキシシラン、エトキシメチルトリメトキシシラン、エトキシエチルトリメトキシシラン、エトキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシシクロヘキシルトリメトキシシラン、エトキシフェニルトリメトキシシラン等のアルコキシ系トリメトキシシラン類、
トリメトキシシリル酢酸、トリメトキシシリルプロピオン酸、トリメトキシシリル酪酸等のカルボキシル基含有トリメトキシシラン類、
ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等のヒドロキシアルキル系トリメトキシシラン類、
ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のヒドロキシアルキル系トリエトキシシラン類、
アリルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン等のアルケニル系トリメトキシシラン類、
ビニルトリメトキシシラン等のビニル系トリメトキシシラン類、
フェニルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン等のアリール系トリメトキシシラン類等を挙げることができる。
【0030】
上記一般式(6)により表される化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0031】
上記一般式(5)および/または(6)により表される化合物を加水分解、重縮合させる方法に制限はなく、いかなる方法により実施してもよい。
【0032】
例えば、含水有機溶媒中において、一般式(5)および/または(6)により表される化合物を、酸性もしくは塩基性触媒の存在下に、通常0〜100℃、好ましくは20〜40℃の温度範囲において、通常1〜24時間加水分解、重縮合させることにより、一般式(1)の繰り返し構造単位からなるラダー型ポリシルセスキオキサン(A)を得ることができる。
【0033】
加水分解、重縮合終了後は、反応混合物の水層を分液除去し、得られた有機層から有機溶媒を減圧下に回収する等の操作により、前記一般式(1)の繰り返し構造単位からなるラダー型ポリシルセスキオキサン(A)を単離することができる。
【0034】
本発明に使用するラダー型ポリシルセスキオキサン(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常1000〜100000好ましくは、20000〜50000の範囲である。
【0035】
次に本発明に使用する架橋剤(B)について説明する。
本発明のラダー型ポリシルセスキオキサンを含む樹脂組成物は、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)に加えて、架橋剤(B)をさらに含むものであってもよい。
【0036】
本発明において使用することができる架橋剤(B)としては、本発明に使用するラダー型ポリシルセスキオキサン(A)が反応性官能基を含まない場合、例えば、ウレタン化合物、ウレア化合物、アミド化合物、アミノ樹脂、エネルギー線硬化性化合物等を挙げることができる。
ウレタン化合物、ウレア化合物、アミド化合物、アミノ樹脂、エネルギー線硬化性化合物等は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
ウレタン化合物を架橋剤とする場合、例えば、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)に、水酸基含有化合物とイソシアネート基含有化合物とを添加してウレタン化させることにより架橋構造を形成することができる。同様に、ウレア化合物を架橋剤とする場合、アミノ基含有化合物とイソシアネート基含有化合物とを添加してウレア化させることにより架橋構造を形成することができる。また、アミド化合物を架橋剤とする場合、カルボキシル基含有化合物とイソシアネート基含有化合物とを添加してアミド化させることにより架橋構造を形成することができる。
【0038】
前記水酸基含有化合物としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルアルコール、末端に水酸基を有するアルキッド樹脂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0039】
前記アミノ基含有化合物としては特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
【0040】
前記カルボキシル基含有化合物としては特に限定されないが、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸、末端にカルボキシル基を有するアルキッド樹脂等が挙げられる。
【0041】
前記イソシアネート基含有化合物としては特に限定されないが、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリメチロールプロパン(TMP)アダクトTDI、TMPアダクトIPDI等が挙げられる。
【0042】
前記イソシアネート基含有化合物を用いる場合、架橋反応を促進させるために、触媒を用いてもよい。この様な触媒としては、アミン系触媒や有機金属触媒が一般的であり、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエーテル、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン等のアミン系触媒、
オクタン酸第一錫、オレイン酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫メルカプチド、ジメチル錫ジマレエート、オクタン酸鉛等の有機金属触媒等が挙げられる。
【0043】
上記触媒は、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いてもよく、通常、架橋剤(B)100重量部に対して0.001〜5.0重量部、好ましくは0.01〜1重量部の量が用いられる。
【0044】
前記アミノ樹脂を架橋剤とする場合、アミノ基を含む化合物が架橋構造を形成してアミノ樹脂となることにより、耐溶剤性、耐熱性および基材密着性等に優れた剥離剤を得ることができる。
【0045】
この様なアミノ基を含む化合物としては、架橋構造を形成することができるアミノ基を含む化合物であれば特に限定されず、例えばメラミン化合物、グアナミン化合物、尿素化合物等を用いることができる。より具体的には、メラミン、グアナミン、または尿素に塩基性条件下にホルムアルデヒドを付加反応させて得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化グアナミン誘導体またはメチロール化尿素誘導体に、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコールを反応させて、部分的または完全にエーテル化した化合物等が挙げられる。
【0046】
本発明の剥離剤用樹脂組成物においては、前記アミノ樹脂における架橋反応を促進するために酸性触媒を用いてもよい。ここで酸性触媒とは、触媒作用を果たす化合物のうち酸の性質を有するものをいう。この様な酸性触媒としては、例えば、無機酸または有機酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の飽和モノカルボン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類等が挙げられる。これらの中では、塩酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0047】
上記酸性触媒は、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いてもよく、上記アミノ樹脂100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量が用いられる。酸性触媒の量が上記範囲内であることにより、アミノ樹脂の架橋反応が十分に進行し、良好な架橋構造を形成することができる。
【0048】
前記エネルギー線硬化性化合物を架橋剤として使用する場合、剥離剤用樹脂組成物または剥離剤にエネルギー線を照射することにより架橋構造が形成されるため、得られた剥離シートの耐熱性、耐溶剤性、基材密着性等を向上させることができる。
【0049】
前記エネルギー線硬化性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系化合物、その他の単量体等を挙げることができる。
なお本発明における(メタ)アクリル酸との表記は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
【0050】
本発明に使用する(メタ)アクリル酸エステル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸に対応する炭素数を除く前記エステルの炭素数が1〜20の範囲のものが好ましく、例えば、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリル酸アクリルアミド類、
アミノメチル(メタ)アクリレート、ジアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、ジアミノプロピル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル類、
【0051】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、
アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリル酸不飽和エステル類、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリル酸エステル類、
【0052】
トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサントリオールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリル酸エステル類、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリル酸エステル類、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0053】
(メタ)アクリル酸エステルは一種または二種以上から選ばれるものを使用することができる。
【0054】
また前記他の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン等のアルキルスチレン類、ブタジエン、イソプレン等のジエン系オレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
【0055】
前記他の単量体は一種または二種以上から選ばれるものを使用することができる。
【0056】
本発明の前記樹脂組成物を硬化させることにより本発明の剥離剤を得ることができるが、前記樹脂組成物を硬化させる際にエネルギー線を使用する場合、特に紫外線等の電磁波を用いる場合には、前記樹脂組成物(A)には光重合開始剤を用いることが好ましい。
【0057】
この様な光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン]、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル等が挙げられる。光重合開始剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。光重合開始剤の配合量は、上記一般式(1)により表される繰り返し構造単位からなるラダー型ポリシルセスキオキサン(A)100重量部に対し、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0058】
前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)が、反応性官能基を有しない構成単位のみからなる場合、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)と架橋剤(B)とによるsemi−IPN構造が形成される。これにより、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)の側鎖の自由度が確保されるため、剥離性や基材密着性等に優れた剥離剤を形成することができる。
【0059】
前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)が反応性官能基を有する構成単位を含む場合、架橋剤(B)として前記反応性官能基と反応性を有する官能基のものと組み合わせることにより架橋構造が形成される。例えば、反応性官能基Rがアクリル基、メタクリル基であれば架橋剤の官能基はアクリル基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基との組み合わせ、同エポキシ基であれば同アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基との組み合わせ、同アミノ基であれば同イソシアネート基との組み合わせ、同イソシアネート基であれば同アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプト基、ウレタン結合との組み合わせ、同メトキシ基、エトキシ基であればイソシアネート基との組み合わせ、同カルボキシル基であれば、同イソシアネート基、エポキシ基、アジリジニル基、アルミキレート、チタンキレート、シラン化合物との組み合わせ、同メチロール基、エチロール基であれば同イソシアネート基との組み合わせ、同ビニル基であればシラン化合物(SiH)と組み合わせればよい。
架橋剤の好適な例として、TMPアダクトTDI、TMPアダクトXDI、TMPアダクトHDI等のイソシアネート基含有化合物、
N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ化合物、
アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミキレート化合物、
チタンテトラアセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、テトライソプロポキシチタン、テトラメトキシチタン等のチタンキレート化合物、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物、
トリメトキシアルミニウム等のアルミ化合物等を用いることができる。
【0060】
本発明の剥離剤用樹脂組成物において、上記架橋剤(B)の使用量は、用いる架橋剤の種類によっても異なるが、通常、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)100重量部に対して0.01〜230重量部、好ましくは1〜100重量部の範囲で用いられる。架橋剤(B)を上記範囲内で用いることにより、耐溶剤性、耐熱性および基材密着性に優れた剥離剤用樹脂組成物を得ることができる。
【0061】
本発明の剥離剤用樹脂組成物は、上記成分を混合または反応させることにより得ることができる。また、本発明の剥離剤用樹脂組成物は、塗工性や取り扱い性等の観点から、通常、有機溶剤を含有している。
前記有機溶剤としては、各成分の溶解性が良好であり、かつ各成分と反応しない溶剤であれば特に制限されず用いることができる。
前記有機溶剤の具体例としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エタノール、プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールものメチルエーテル等のグリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒類等を挙げることができる。
有機溶剤は一種もしくは二種以上を使用することができ、通常、前記剥離剤用樹脂組成物の固形分量が1〜60重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲となるように用いられる。
【0062】
本発明の前記樹脂組成物(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤を使用することができる。この様な添加剤としては、例えば、充填剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
【0063】
次に本発明の樹脂組成物を使用した剥離シートについて説明する。
本発明の樹脂組成物を使用した剥離剤は前記剥離剤用樹脂組成物を硬化させてなるものであり、本発明の樹脂組成物を使用した剥離シートは、基材を備え、かつその基材の少なくとも一方の面に前記剥離剤層を備えてなるものである。
【0064】
前記剥離シートに使用される基材は、特に限定されるものではなく、いかなるものであっても使用することができる。この様な基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリノルボルネン等のオレフィン樹脂を含むフィルム類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン樹脂を含むフィルム類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のエステル樹脂を含むフィルム類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の共重合体樹脂を含むフィルム類、ポリスチレン、ポリ−α―メチルスチレン等のポリスチレン樹脂を含むフィルム類、ポリカーボネート等のカーボネート樹脂を含むフィルム類、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール樹脂を含むフィルム類、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱樹脂を含むフィルム類、セルローストリアセテート等のアセテート樹脂を含むフィルム類、上質紙、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙類、不織布、織布等の布類、アルミ箔、銅箔等の金属箔類等を挙げることができる。
【0065】
前記基材の厚さは、使用目的等に応じて適宜決定されるが、通常は6〜300μmの範囲であり、好ましくは12〜250μmの範囲である。
また前記基材が紙類の場合、その厚さは通常、秤量として20〜450g/m、好ましくは40〜220g/mの範囲である。
【0066】
前記剥離シートは、前記基材の少なくとも一方の面に前記剥離剤層を備えるものであるが、かかる構成の前記剥離シートを製造する方法としては、例えば、前記基材の少なくとも一方の面に前記剥離剤用樹脂組成物の有機溶剤溶液を、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法等の塗布方法により塗布した後、前記剥離剤用樹脂組成物を硬化させることにより得ることができる。
【0067】
前記剥離剤用樹脂組成物を硬化させる方法としては、例えば、加熱オーブン、通風オーブン等の装置を用いて加熱する方法等が挙げられる。この場合、有機溶剤も同時に除去される。
【0068】
また前記剥離剤用樹脂組成物を硬化させる方法としては、例えば、エネルギー線を照射する方法が挙げられる。エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線等が挙げられる。前記紫外線は、高圧水銀ランプ等により得られ、電子線は電子線加速器等によって得られる。エネルギー線は紫外線が好ましい。
【0069】
上記の方法により、剥離シートを得ることができる。上記の方法により得られた剥離シートの剥離剤層の厚みは0.01〜15μmの範囲であれば好ましく、0.05〜10μmの範囲であればさらに好ましい。
【0070】
本発明によれば、信頼性、耐熱性および耐溶剤性に優れた剥離剤を与えるラダー型ポリシルセスキオキサンを含む樹脂組成物およびそれを用いた剥離シートを得ることができる。
【実施例1】
【0071】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0072】
本実施例における試験方法は次の通りである。
・参考例1〜15のラダー型ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量の測定:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件にて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
[測定条件]
GPC測定装置:東ソー株式会社製HLC−8020
GPCカラム(以下の順に通過):東ソー株式会社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
【0073】
・耐溶剤性試験:剥離シートを作製後、溶剤型アクリル系粘着剤BPS−5127(東洋インキ製造株式会社製)をこの剥離シートに塗布し、剥離シートの表面状態を観察した。剥離シート上の剥離剤が明らかに溶解しているかまたは膨潤している場合には×を、外観上変化していない場合には○を付した。結果を表1に示した。
・耐熱変化試験:剥離シートを作製後、溶剤型アクリル系粘着剤BPS−5127(東洋インキ製造株式会社製)をこの剥離シートに塗布し、乾燥機により100℃2分間の条件にて溶剤を除去した。次に乾燥機により70℃10分間の条件に保持した後、JIS Z0237の試験方法に準じて剥離力を測定した。70℃10分間の条件に保持する前後の剥離力の差が±10g以下の場合には○を、この範囲外の場合には×を付した。結果を表1に示した。
・経時変化試験:剥離シートを作製直後、この剥離シートにアクリル系粘着テープ「No.31B」テープ(日東電工株式会社製)を貼付し、貼付30分後に剥離力を測定した。全く同様にして剥離シートを作製してから23℃、湿度50%の条件にてこの剥離シートを1週間保持した後、剥離力を測定した。両者の剥離力の差が±10g以下の場合には○を、この範囲外の場合には×を付した。結果を表1に示した。
・剥離力試験:剥離シート作製後、この剥離シート面上にテストコーターを用いて溶剤型アクリル系粘着剤BPS−5127(東洋インキ製造株式会社製)を、厚みが50μmとなるように塗布し、100℃2分間の条件にて乾燥した後、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、JIS Z0237の試験方法に準じて剥離力を測定した。単位をN/20mmとして結果を表1に示した。
【0074】
参考例1
n−ヘキシルトリメトキシシラン20g(97mmol)とメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1g(3mmol)をトルエン20gに溶解し、水10gとメタンスルホン酸0.93g(9.7mmol)を加え、室温にて24時間撹拌した。
有機層と水層とを分離した後、有機層からトルエンを減圧留去し、無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量12000)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンAと呼ぶ。
【0075】
参考例2
オクタデシルトリメトキシシラン20g(53.5mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.52g(5.4mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量8000)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンBと呼ぶ。
【0076】
参考例3
オクタデシルトリメトキシシラン20g(53.5mmol)、フェニルトリメトキシシラン2g(10.1mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.52g(5.4mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量7200)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンCと呼ぶ。
【0077】
参考例4
オクタデシルトリメトキシシラン20g(53.5mmol)、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン1g(4.2mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.52g(5.4mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量8000)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンDと呼ぶ。
【0078】
参考例5
n−ヘキシルトリメトキシシラン20g(97mmol)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1g(5.6mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.93g(9.7mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量9200)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンEと呼ぶ。
【0079】
参考例6
オクタデシルトリメトキシシラン20g(53.5mmol)、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン1g(4mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.52g(5.4mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量7000)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンFと呼ぶ。
【0080】
参考例7
オクタデシルトリメトキシシラン20g(53.5mmol)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン1g(3.4mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.26g(2.7mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量8300)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンGと呼ぶ。
【0081】
参考例8
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1g(3mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.87g(9.1mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量9500)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンHと呼ぶ。
【0082】
参考例9
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.87g(9.1mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量11000)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンIと呼ぶ。
【0083】
参考例10
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、フェニルトリメトキシシラン2g(10.1mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.87g(9.1mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15gを得た(重量平均分子量6900)。以下、これをポリシルセスキオキサンJと呼ぶ。
【0084】
参考例11
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン1g(4.2mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.87g(9.1mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量8800)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンKと呼ぶ。
【0085】
参考例12
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1g(5.6mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.87g(9.1mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量8900)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンLと呼ぶ。
【0086】
参考例13
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン1g(4mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.87g(9.1mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量8100)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンMと呼ぶ。
【0087】
参考例14
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン20g(90.5mmol)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン1g(3.4mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.43g(4.5mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量7200)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンNと呼ぶ。
【0088】
参考例15
シクロヘキシルトリメトキシシラン20g(98mmol)、トルエン20g、水10gおよびメタンスルホン酸0.94g(9.8mmol)を用いて、参考例1の場合と同様の操作により無色透明の粘稠な液体15g(重量平均分子量6000)を得た。以下、これをポリシルセスキオキサンOと呼ぶ。
【0089】
実施例1
ポリシルセスキオキサンA 100gに光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、トルエンを除去した後の剥離剤層の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液を厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という。)上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、フュージョンHバルブ240W/cmの1灯取付コンベア式紫外線照射機によりコンベアスピード20m/分の条件にて2回紫外線を照射し、前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート1を得た。
【0090】
実施例2
ポリシルセスキオキサンA 100gにメチルメタクリレート 5gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にて乾燥してトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート2を得た。
【0091】
実施例3
ポリシルセスキオキサンA 100gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1gおよび光開始剤Darocure1173(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート3を得た。
【0092】
実施例4
ポリシルセスキオキサンB 100gにメチルメタクリレート 5gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート4を得た。
【0093】
実施例5
ポリシルセスキオキサンC 100gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート5を得た。
【0094】
実施例6
ポリシルセスキオキサンD 100gにヘキサメチレンジアミン 1.2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート6を得た。
【0095】
実施例7
ポリシルセスキオキサンD 100gに光開始剤SP−170(旭電化工業株式会社製)0.5gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート7を得た。
【0096】
実施例8
ポリシルセスキオキサンE 100gにトリメチロールプロパンとトルイレンジイソシアネートとの反応混合物であるコロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製)5.8gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート8を得た。
【0097】
実施例9
ポリシルセスキオキサンF 100gに1,6−ヘキサンジオール1.1gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート9を得た。
【0098】
実施例10
ポリシルセスキオキサンG 100gにp−トルエンスルホン酸0.1gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、140℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート10を得た。
【0099】
実施例11
ポリシルセスキオキサンH 100gに光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にて乾燥してトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート11を得た。
【0100】
実施例12
ポリシルセスキオキサンH 100gにメチルメタクリレート 5gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にて乾燥してトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート12を得た。
【0101】
実施例13
ポリシルセスキオキサンH 100gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1gおよび光開始剤Darocure1173(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート13を得た。
【0102】
実施例14
ポリシルセスキオキサンI 100gにメチルメタクリレート 5gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート14を得た。
【0103】
実施例15
ポリシルセスキオキサンJ 100gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート15を得た。
【0104】
実施例16
ポリシルセスキオキサンK 100gにヘキサメチレンジアミン 1.2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート16を得た。
【0105】
実施例17
ポリシルセスキオキサンK 100gに光開始剤SP−170(旭電化工業株式会社製)0.5gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート17を得た。
【0106】
実施例18
ポリシルセスキオキサンL 100gにトリメチロールプロパンとトルイレンジイソシアネートとの反応混合物であるコロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製)5.8gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート18を得た。
【0107】
実施例19
ポリシルセスキオキサンM 100gに1,6−ヘキサンジオール1.1gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート19を得た。
【0108】
実施例20
ポリシルセスキオキサンN 100gにp−トルエンスルホン酸0.1gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、140℃1分間の条件にてトルエンを除去して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート20を得た。
【0109】
実施例21
ポリシルセスキオキサンO 100gにメチルメタクリレート 5gおよび光開始剤Irgacure651(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)2gを添加し、トルエンにて固形分が10重量%となるように希釈して、樹脂組成物のトルエン溶液を得た。次に、乾燥した後の剥離剤の厚みが1μmとなるように、前記樹脂組成物のトルエン溶液をPETフィルム上に塗布し、100℃1分間の条件にてトルエンを除去後、実施例1と同様の条件で紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて剥離シート21を得た。
【0110】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の剥離剤用樹脂組成物は、信頼性、耐熱性および耐溶剤性に優れた剥離剤を提供できることから、様々な用途に用いることができる。例えば、粘着シート、テープ、ラベル等の粘着製品における剥離シートとして、また合成皮革の製造の際に用いられる工程剥離シートとして利用することができる。特に、本発明の剥離シートは、従来のシリコーン樹脂組成物の様に低分子のシリコーン成分が含まれていないことから安定した製品物性を示し、半導体デバイス等を製造する際に用いられる粘着製品の剥離シートとして好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)により表される構成単位を含有するラダー型ポリシルセスキオキサンを含むことを特徴とする剥離剤用樹脂組成物;
【化1】

(式中、Rは、炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基および炭素数が5〜24の範囲のシクロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。Rは、水素原子、炭素数が2〜24のアルキル基、炭素数が2〜24のフッ化アルキル基、炭素数が5〜24のシクロアルキル基、炭素数が6〜24のアリール基、炭素数が7〜24のアラルキル基および反応性官能基からなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。)。
【請求項2】
一般式(1)のRが、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、メチロール基、エチロール基、ビニル基および炭素数3〜24の二重結合を含む炭化水素基よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する反応性官能基を含むことを特徴とする請求項1に記載の剥離剤用樹脂組成物。
【請求項3】
前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)に加えて、架橋剤(B)をさらに含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の剥離剤用樹脂組成物。
【請求項4】
前記架橋剤(B)が、前記ラダー型ポリシルセスキオキサン(A)100重量部に対して、0.01〜230重量部の範囲で含有されていることを特徴とする請求項3に記載の剥離剤用樹脂組成物。
【請求項5】
基材を備え、かつその基材の少なくとも一つの面に請求項1〜4のいずれかに記載の剥離剤用樹脂組成物を硬化させてなる剥離剤層を備えたことを特徴とする剥離シート。

【公開番号】特開2006−219570(P2006−219570A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33773(P2005−33773)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】