説明

ラッピングマシン

【課題】フィルム切断/保持装置4の位置調整を要することなく、ベール巾の異なるロールベールに適応し、かつ、フィルム切断/保持装置4の機能を損なわずにストレッチ装置3の位置を自由に設定できるラッピングマシンを構成する。
【解決手段】フィルム切断/保持装置4を、機体1に旋回自在に軸支せるターンテーブル2の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設し、ストレッチ装置3を前記ターンテーブル2の前面側に配位して機体1に装架し、そのストレッチ装置3と前記フィルム切断/保持装置4との間の中間部位に、前記ストレッチ装置3から前記ターンテーブル2上に載架したロールベールBの周面に向け繰り出されるラップフィルムfにテンションを与えるテンションローラRを、前記フィルム切断/保持装置4の前面の前方を占める位置に配位して機体1に支架する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に軸架したターンテーブルの上面に載置したロールベールの周面に、機体に装架したストレッチ装置から繰り出すラップフィルムを巻き付けてラップするラッピング装置についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ラッピングマシンは、被牽引型のものついて具体的に説明すれば、通常、図1、図2にあるように、後端側に走行輪10を備え前端側に連結器を設けた台車状に形成した機体1の後部に、縦方向の回転軸20により旋回するターンテーブル2を装架し、そのターンテーブル2の前方の部位に、そのターンテーブル2上に載置したロールベールBに巻き付けるラップフィルムfの巻束3aが装填されたストレッチ装置3を装架し、前記ターンテーブル2の前縁の左右方向の端部に、前記ストレッチ装置3から繰り出されるラップフィルムfを切断して切断端部を保持するフィルム切断/保持装置4を組み付け装設し、そのフィルム切断/保持装置4と前記ストレッチ装置3との間には、ラップし終えたターンテーブル2上のロールベールBからストレッチ装置3に渡る間のラップフィルムfを押し下げて前記フィルム切断/保持装置4に押し込むよう作動さすフィルム束ね装置5を装架し、さらに、前記ターンテーブル2の旋回作動及びそのターンテーブル2上面のテーブルローラ21の回転作動を駆動する油圧モータ等の駆動手段6と各作動部の作動をコントロールする制御手段(図示省略)を組み付け装架して構成してある。
【0003】
そして、ロールベール成形装置(図示省略)で成形したロールベールBを、それの周面にラップフィルムを巻き付けてラッピングするときは、
まず、ロールベールBを、ターンテーブル2の上面に載置する。
次いで、ターンテーブル2を旋回回動させ、同時にターンテーブル2上面に並列軸支してあるテーブルローラ21を回転させる。これにより、ラップフィルムfの端部を保持しているフィルム切断/保持装置4が、ターンテーブル2と共に回転軸20中心に旋回し、その旋回作動でストレッチ装置3から引き出されてくるラップフィルムfを、ターンテーブル2上のロールベールBの周面に巻き付けていく。このとき、ターンテーブル2上面に軸支してあるテーブルローラ21の回転作動で、ロールベールBがそれの軸芯線中心に転動回転することで、ロールベールBの周面に巻き付くラップフィルムfの位置が順次変位していき、ターンテーブル2が所定回数し終えて停止し、フィルム切断/保持装置4が始動時の状態位置に戻ったときには、ロールベールBの全周面をラップして包装が完了した状態となる。
【0004】
この状態となったとき、フィルム束ね装置5のアーム51が、油圧シリンダ52等の作動機構の作動で、下降回動して、ロールベールBの周面とストレッチ装置3の巻束3aとの間に張られた状態となっているラップフィルムfの中間部位を、束ねながら押し下げて、フィルム切断/保持装置4に押し込んでいき、該装置4が具備するカッターナイフにより切断させるとともに切断部位を挟持部材により保持させる。
【0005】
次いで、ターンテーブル2を後方にダンプ回動させて、包装し終えたロールベールBを放出し、一つのロールベールBのラッピング作業を終える。
【0006】
引き続いて裸のロールベールのラッピングを行うときは、上述の工程を繰して行う。
このラッピングマシンには、次の点に問題が生じている。
【0007】
第1には、フィルム切断/保持装置4とストレッチ装置3が、平面視において図3の(1)図にあるように、ターンテーブル2の上面に載架したロールベールBのベール側面の延長線上に位置するようにレイアウトされていないと、ロールベールBのラッピングを終えて、フィルム束ね装置5またはターンテーブル2のダンプ回動により、ロールベールBとストレッチ装置3との間のラップフィルムfの中間部分をフィルム切断/保持装置4に押し込むときに、ミスが生ずる。
【0008】
ストレッチ装置3が、ターンテーブル2の前縁に組み付けてあるフィルム切断/保持装置4の前方に位置するよう配置して機体1に装架されていても、ターンテーブル2上に載架するロールベールBのベール巾が、図3の(2)図に示している如く、850ミリと、通常の1200ミリ巾のものより狭い場合には、ロールベールBからストレッチ装置3との間に張られるラップフィルムfのラインが、フィルム切断/保持装置4の上方位置から外れるようになることで、ラップフィルムfはフィルム切断/保持装置4に入っていかず、ミスとなる。
【0009】
このため、ラッピングの対象とするロールベールBのベール巾が変わったときは、フィルム切断/保持装置4の組付位置を左右方向に変更調整して、ロールベールBとストレッチ装置3との間に張架されるラップフィルムfのラインの直下位置を占めるように調整しなければならず、そのために時間がかかるという作業性を厄介なものとする問題がある。また、ラッピングの対象とするロールベールのベール巾が変わって、前述の図3の(2)図にあるように、ラップフィルムfのラインがフィルム切断/保持装置4のV溝から外れるようになったとき、この外れて位置するラップフィルムfを、フィルム切断/保持装置4のV溝の間に向け強制的に誘導するよう、そのV溝の一対のガイドに案内板または誘導板を延長させて設けると、フィルム切断/保持装置4のラップフィルムfをはさみ切る作動が不確実になる別の問題が生じてくる。
【0010】
第2には、ストレッチ装置3が、前述した理由からターンテーブル2の上面に載架するロールベールBの側面にあわせて前縁の左右の端部に組み付けられるフィルム切断/保持装置4の前方に位置させる必要があるため、そのストレッチ装置3を、機体1から左右方向にオフセットさせて機体1に装架していることで、ラッピングマシンAの機体1を、トラクタTに牽引させて走行するときの旋回作動の際に、トラクタTの後輪のタイヤtが、図4の(1)図にあるように、オフセットしたこのストレッチ装置3に干渉して、ストレッチ装置3に損傷・破損を生ぜしめるようになる問題と、これを避けるため、機体1のフレームを図4の(2)図にあるよう前方に延長して、フレームの前端に設けられるヒッチ点Hを機体1の本体部から前方に離し、トラクタTの旋回作動が干渉なしに行えるようにすると、機体1の全長が長くなって、小回りができず、狭い場所で使えない不具合を生ぜしめるようになる問題がある。
【0011】
また、上述の如く、ストレッチ装置3には、装設する位置に制約があることで、機体1の構成をコンパクトに設計できない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明において解決しようとする課題は、ラッピングマシンに生じている上述の問題を解消せしめて、フィルム切断/保持装置4の位置調整を要することなく、ベール巾の異なるロールベールに適応し、かつ、フィルム切断/保持装置4の機能を損なわずにストレッチ装置3の位置を自由に設定できるラッピングマシンを構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明においては、上述の課題を解決するための手段として、フィルム切断/保持装置4を、機体1に旋回自在に軸支せるターンテーブル2の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設し、ストレッチ装置3を前記ターンテーブル2の前面側に配位して機体1に装架し、そのストレッチ装置3と前記フィルム切断/保持装置4との間の中間部位に、前記ストレッチ装置3から前記ターンテーブル2上に載架したロールベールBの周面に向け繰り出されるラップフィルムfにテンションを与えるテンションローラRを、前記フィルム切断/保持装置4の前面の前方を占める位置に配位して機体1に支架したことを特徴とするラッピングマシンを提起し、またこれに併せて、
フィルム切断/保持装置4を、機体1に旋回自在に軸支せるターンテーブル2の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設し、ストレッチ装置3を前記ターンテーブル2の前面側に配位して機体1に装架し、そのストレッチ装置3と前記フィルム切断/保持装置4との間の中間部位に、フィルム束ね装置5を配位して機体1に装架し、前記ストレッチ装置3から前記ターンテーブル2上に載架したロールベールBの周面に向け繰り出されるラップフィルムfにテンションを与えるテンションローラRを、前記フィルム束ね装置5より前方で、前記フィルム切断/保持装置4の前面の前方に位置する部位に配位して機体1に支架したことを特徴とするラッピングマシン。および、
前記ラッピングマシンにおいて、機体1に旋回自在に軸支せるターンテーブル2の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設するフィルム切断/保持装置4と、前記ターンテーブル2の前面側に配位して機体1に装架せるストレッチ装置3からターンテーブル2上に載架したロールベールBの周面に向け繰り出されるラップフィルムfにテンションを与えるテンションローラRとを、ターンテーブル2上に適応ベールサイズで一番大きいサイズのロールベールBを載架したときの、そのロールベールBの側面に沿う仮想延長線z上に、フィルム切断/保持装置4のガイド40の中心部とテンションローラRの中心部がそれぞれ位置するように配位して装設することを特徴とするラッピングマシンを提起するものである。
【発明の効果】
【0014】
フィルム切断/保持装置の位置を要することなく、ベール巾の異なるロールベールに適応させ得るので、位置調整のための時間が省け、作業性を良くする。フィルム切断/保持装置の機能を損なうことなくストレッチ装置の配置位置を自由に設定できることから、ストレッチ装置を機体中央に配置できるので機体をコンパクトに設計・構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従前のラッピングマシンの平面図で、(1)図は、ベール巾のサイズの小さいロールベールをターンテーブルに載架した状態時の平面図、(2)図は、ベール巾のサイズの大きいロールベールをターンテーブルに載架した状態時の平面図である。
【図2】同上ラッピングマシンの同上状態時の側面図である。
【図3】同上ラッピングマシンの、ストレッチ装置から繰り出されてロールベールの周面に向かうラップフィルムのフィルムラインと、ターンテーブルの前縁に設けたフィルム切断/保持装置との関係を示す説明図で、(1)図は、フィルムラインが、フィルム切断/保持装置の上方に位置している状態の平面図、(2)図はフィルムラインがフィルム切断/保持装置の上方から外れている状態の平面図である。
【図4】同上ラッピングマシンの、ストレッチ装置と、牽引するトラクタの後輪のタイヤとの干渉を説明する説明図で、(1)図は干渉している状態の平面図、(2)図は同上の干渉を避けるため、機体を前方に延長した例の平面図である。
【図5】本発明を実施せるラッピングマシンの平面図である。
【図6】同上ラッピングマシンの側面図である。
【図7】同上ラッピングマシンのロールベールをターンテーブル上に載架してラッピング作業を行っている状態時の平面図である。
【図8】同上ラッピングマシンの同上状態時の側面図である。
【図9】同上ラッピングマシンの各作動部の伝導機構を示す一部破断した側面図である。
【図10】同上ラッピングマシンの、各作動部の伝導機構を示す一部破断した平面図である。
【図11】同上ラッピングマシンの、ターンテーブルの駆動部の拡大した縦断面図である。
【図12】同上ラッピングマシンのフィルム束ね装置の前面図である。
【図13】同上のフィルム束ね装置の作用の説明図で(1)図は、ラップフィルムの上縁に下降回動するアームが当接した状態時の側面図、(2)図はラップフィルムを押し下げた状態時の側面図である。
【図14】同上ラッピングマシンの、テンションローラの一部破断した前面図である。
【図15】同上の同上テンションローラの軸支部分の一部破断した前面図である。
【図16】同上ラッピングマシンの、テンションローラの配置構成を説明する説明図で、ターンテーブル上に、適応ベールサイズで一番大きいロールベールを載置した状態の平面図である。
【図17】同上ラッピングマシンの、テンションローラと、フィルム切断/保持装置のVガイドと、ターンテーブル上に載架したロールベールの側面との、平面視における関係位置を示す説明図である。
【図18】同上ラッピングマシンの、ターンテーブル上にベール巾のサイズの小さいロールベールを載架したときに、適応する状態を示す説明図である。
【図19】同上ラッピングマシンが、牽引するトラクタの旋回作動時に、そのトラクタの後輪と機体に装架したストレッチ装置との間に干渉が生じないことを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0017】
図5乃至図8は、本発明手段の、被牽引型のラッピングマシンに実施した一実施例を示し、図5は平面図、図6は側面図、図7は作業状態時の平面図、図8は同上状態時の側面図である。
【0018】
図において、Aはラッピングマシンの全体、1はそのラッピングマシンAの機体、2はその機体1に縦方向の回転軸20により旋回自在に装架したターンテーブル、3は前記ターンテーブル2の前面側に配位して機体1に装架したストレッチ装置、4は前記ターンテーブル2の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設したフィルム切断/保持装置、5は、前記ストレッチ装置と前記フィルム切断/保持装置4との間の中間部位に配位して機体1に装架せるフィルム束ね装置、Rは、前記フィルム束ね装置5より前方で、前記フィルム切断/保持装置4の前面の前方を占める位置に配位して機体1に支架して、前記ストレッチ装置3から前記ターンテーブル2上のロールベールBの周面に向け繰り出されるラップフィルムfにテンションを与えるテンションローラ、をそれぞれ示している。
【0019】
機体1は、この例のラッピングマシンAが、定置式ではなく被牽引型であることから、後部側の左右の両側の走行輪10を装備し前方に突出する機体フレーム11の前端に連結ヒッチHを設けた牽引式の台車状に構成してある。
【0020】
ターンテーブル2は、上面側に横軸で回転するテーブルローラ21が並列支架され、それらテーブルローラ21にロールベールB支承用のベルト22がエンドレスに巻きかけてある通常のもので、機体1上面の後部位置に縦方向の回転軸30中心に旋回自在に軸支してある。そしてその縦軸の回転軸20及びテーブルローラ21の軸には、この例においては、図9・図10・図11の伝導機構の説明図にあるように、機体フレーム11の前端側に装架せる油圧ポンプPから油圧回路uを経て導かれる油圧により作動する油圧モータMが、伝導機構dを介し伝導連繋してあって、油圧モータMの作動により駆動されて回動するようにしてある。
【0021】
ストレッチ装置3は、ラップフィルムの巻束3aを装填する回転軸30と、その巻束3aから引き出されるラップフィルムfをガイドするガイドローラ31とを、支持支柱32に装架し、その支持支柱32の下端側に設けた組付機枠33により、ターンテーブル2の前方における機体1上面の所望の位置に組み付け装架し得るようにした通常のものであるが、この例においては、機体1上面の左右方向における中央部に配位して、機体フレーム11に組み付け装架してある。
【0022】
フィルム切断/保持装置4は、前記ストレッチ装置3から繰り出されるラップフィルムfによる、前記ターンテーブル2上に載架したロールベールBの周面に対するラッピングが終了して、ターンテーブル2の旋回回動が停止し、図8に示している状態となったときに、ストレッチ装置3とターンテーブル2上のロールベールBとの間に張られるラップフィルムfの途中を切断し、かつ切断した端部を保持する機能を有するものである。上述の図8において鎖線に示す状態にあるストレッチ装置3とロールベールBとの間のラップフィルムfが、ターンテーブル2のダンプ回動によるロールベールBの放出作動によって下降したとき、または、機体1に装架したフィルム束ね装置5のアーム51の下降回動によりラップフィルムfが押し下げられて下降してきたときに、この下降してくるフィルムfをガイドするためV溝を形成するよう一対に対向させて設けたガイド40・40と、このガイド40・40により形成される前記V溝に押し込まれてくるラップフィルムfに当接して切断する切断ナイフ41と、を装備する通常のものである。そして、このフィルム切断/保持装置4は、前述のターンテーブル2に設けた前枠23の、左右方向の一端に寄る部位に、左右方向における取付位置の調節を可能に取り付けてある。
【0023】
フィルム束ね装置5は、ラッピングマシンAによるラッピング作業において、ターンテーブル2が、設定した所定の回転数の旋回回動を終え、ロールベールRへのラップフィルムfの巻き付けを完了させて、旋回回動を停止し、これにより前述した図8の状態となったときに、ストレッチ装置3とロールベールBとの間に張り渡されるようになるラップフィルムfの中間部位を押し下げて、フィルム切断/保持装置4のV溝を形成する一対のガイド40・40の間に押し込むように機能するものである。その構成は、図12にあるように、支持支柱50の上端部に、アーム51を上下回動自在に軸支し、このアーム51と支持支柱50との間に油圧シリンダ52等からなる昇降作動機構を渡架装設することで構成して、図3の(1)図にあるよう、ストレッチ装置3とターンテーブル2上のロールベールBとの中間で、ターンテーブル2の前縁に設けられるフィルム切断/保持装置4より前方となる位置に配位して機体1に装架せしめる通常のものである。そして、常態においては、アーム51を支持支柱50から略直立する姿勢に維持せしめておき、ロールベールBのラッピングが終了して、前述の図8の状態となったときに、昇降作動機構を作動させて、アーム51を下降回動させ、そのアーム51を、図13の(1)図にあるようラップフィルムfの上縁に接当させた状態から同図の(2)図にあるよう深く下降させて、ラップフィルムfを押し下げ、フィルム切断/保持装置4のV溝状のガイド40・40内に押し込むように作動させるものである。このフィルム束ね装置5は、ロールベールBの周面に巻き付けるラップフィルムfの巾が狭く、ターンテーブル2のダンプ回動によるロールベールBの放出作動によりフィルムfの切断が行えるときには、省略される場合がある。
【0024】
テンションローラRは、上述の構成を装備せるラッピングマシンAにおいて、ラッピングの対象とするロールベールBをベール巾の異なるサイズのものに変更したときに、フィルム切断/保持装置4の位置調整を要することなく、V溝状のガイド40・40の間隔内に適確にラップフィルムfを押し込めるように適応させ得るようにするためと、フィルム切断/保持装置4の機能を損なうことなく、ストレッチ装置3の配置位置を自由に設定し得るようにするために、ラッピングマシンAの機体1に組み付け装備せしめたものである。
【0025】
テンションローラRは、この例においては、図14にあるよう、基端に組付機枠60を具備して、側方に延出する基端部61から直立する支持支柱62を成形し、その支持支柱62の頂部及び下部にそれぞれ側板上に突出する支持鈑63を設けて、それら支持鈑63に図15にあるように内輪と外輪との間にボールを介装したベアリング64をそれぞれ組み付け、組み付けた上下のベアリング64の外輪の外周側に、別に、図13の(1)図にあるようラップフィルムfの巾より長い軸筒状に成形したテンションパイプ65の上下の各端部を嵌着することで、この上下に長いテンションパイプ65がラップフィルムfに当接してテンションを与えるテンションローラRとなるよう構成してある。
【0026】
テンションローラRは、図7・図8にあるよう機体1に装架せるストレッチ装置3から繰り出されてターンテーブル2上のロールベールBに巻き付いていくラップフィルムfに対し、当接せしめてテンションを与えるものであるが、ストレッチ装置3とロールベールBとの間に張り渡されて自由空間に位置する状態となっているラップフィルムfの途中の部位に、当接させてテンションを与えることで、当接させた部位より繰り出し方向における前方(下流側)に位置するラップフィルムfのラインを規制するようになるので、このテンションローラRを、ストレッチ装置3とターンテーブル2に載架したロールベールBとの間で、ターンテーブル2の前枠23の左右の一端部に装設せるフィルム切断/保持装置4の前面の前方に位置する部位に配位して、機体1に支架せしめることで、このテンションローラRとの当接でテンションを受けながら該ローラRを経てロールベールBの側面に繰り出されていくラップフィルムfのラインが、フィルム切断/保持装置4の直上位置に位置してくるようにしている。
【0027】
これにより、ストレッチ装置3から繰り出されてロールベールBの周面に向かうラップフィルムfのラインは、フィルム切断/保持装置4の上方を通過する部分のラインが、テンションローラRを経てロールベールBの周面に向かうラインとなり、フィルム切断/保持装置4の直上位置を通過するラインとなる。
【0028】
そして、フィルム束ね装置5の作動、または、ターンテーブル2のダンプ回動により、ラップフィルムfを下降させたときは、このテンションローラRを経たラインの部分が、その下方に位置するフィルム切断/保持装置4に向け下降していくので、該装置4のガイド40の間隔内に適確に押し込まれるようになる。
【0029】
しかして、テンションローラRの配置位置は、この実施例では、図16にあるように、まずフィルム切断/保持装置4を、ターンテーブル2上に、適応ベールサイズの中で一番大きいベール巾のロールベールBを載置したときの、そのロールベールBの側面を基準として、その側面の仮想延長線z上に、V状に対向するガイド40・40の中心が位置するように位置合わせして取り付け、このフィルム切断/保持装置4の前方に、テンションローラRを配位し、それのローラRの中心が、ロールベールBの側面の仮想延長線z上に位置してくるように設定して、図17の説明図にあるよう、ロールベールBの側面とフィルム切断/保持装置4のV状のガイド40・40の中心と、テンションローラRのロールの中心とが、前述の仮想延長線z上に位置してくる配置構成としてある。
【0030】
そして、このテンションローラRの配置構成により、ターンテーブル2上にベール巾のサイズの小さいロールベールBを載架してラップ作業を行うときは、テンションローラRを経てロールベールBの周面に向かうラップフィルムfのラインが、フィルム切断/保持装置4の位置調整を行うことなく、図18にあるように、平面視において、そのフィルム切断/保持装置4のV状の一対のガイド40・40の間隔巾内にラップしてくるようにして、ラップフィルムfをフィルム切断/保持装置4に押し込んだときの該装置4によるラップフィルムfの切断と切断端部の保持が確実に行われるようにしている。
【0031】
また、この実施例は、テンションローラRを上述した如く配置構成して機体1に装架してあることで、ストレッチ装置3を機体1にオフセットして装架することを要しないことにより、図19にあるよう牽引するトラクタTの旋回作動の際に干渉のない機体1の中央に装架できるので、ラッピングマシンAをコンパクトに構成できる。
【符号の説明】
【0032】
A ラッピングマシン
B ロールベール
H ヒッチ点
M 油圧モータ
P 油圧ポンプ
R テンションローラ
T トラクタ
d 伝導機構
f ラップフィルム
t タイヤ
u 油圧回路
z 仮想延長線
1 機体
10 走行輪
11 機体フレーム
2 ターンテーブル
20 回転軸
21 テーブルローラ
22 ベルト
23 前枠
3 ストレッチ装置
3a 巻束
31 ガイドローラ
32 支持支柱
33 組付機枠
4 フィルム切断/保持装置
40 ガイド
41 切断ナイフ
5 フィルム束ね装置
50 支持支柱
51 アーム
52 油圧シリンダ
6 駆動手段
60 組付機枠
61 基端部
62 支持支柱
63 支持鈑
64 ベアリング
65 テンションパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム切断/保持装置(4)を、機体(1)に旋回自在に軸支せるターンテーブル(2)の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設し、ストレッチ装置(3)を前記ターンテーブル(2)の前面側に配位して機体(1)に装架し、そのストレッチ装置(3)と前記フィルム切断/保持装置(4)との間の中間部位に、前記ストレッチ装置(3)から前記ターンテーブル(2)上に載架したロールベール(B)の周面に向け繰り出されるラップフィルム(f)にテンションを与えるテンションローラ(R)を、前記フィルム切断/保持装置(4)の前面の前方を占める位置に配位して機体(1)に支架したことを特徴とするラッピングマシン。
【請求項2】
フィルム切断/保持装置(4)を、機体(1)に旋回自在に軸支せるターンテーブル(2)の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設し、ストレッチ装置(3)を前記ターンテーブル(2)の前面側に配位して機体(1)に装架し、そのストレッチ装置(3)と前記フィルム切断/保持装置(4)との間の中間部位に、フィルム束ね装置(5)を配位して機体(1)に装架し、前記ストレッチ装置(3)から前記ターンテーブル(2)上に載架したロールベール(B)の周面に向け繰り出されるラップフィルム(f)にテンションを与えるテンションローラ(R)を、前記フィルム束ね装置(5)より前方で、前記フィルム切断/保持装置(4)の前面の前方に位置する部位に配位して機体(1)に支架したことを特徴とするラッピングマシン。
【請求項3】
機体(1)に旋回自在に軸支せるターンテーブル(2)の前縁部で、左右方向の一端に寄る部位に装設するフィルム切断/保持装置(4)と、前記ターンテーブル(2)の前面側に配位して機体(1)に装架せるストレッチ装置(3)からターンテーブル(2)上に載架したロールベール(B)の周面に向け繰り出されるラップフィルム(f)にテンションを与えるテンションローラ(R)とを、ターンテーブル(2)上に適応ベールサイズで一番大きいサイズのロールベール(B)を載架したときの、そのロールベール(B)の側面に沿う仮想延長線(z)上に、フィルム切断/保持装置(4)のガイド(40)の中心部とテンションローラ(R)の中心部がそれぞれ位置するように配位して装設することを特徴とする請求項1または2記載のラッピングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−231749(P2012−231749A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103065(P2011−103065)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000132909)株式会社タカキタ (34)
【Fターム(参考)】