説明

ラップフィルムの切り刃固定具及びラップフィルムを切る方法

【課題】ラップフィルムの切れ味を向上させる為に切り刃を変形しない様に固定する切り刃固定具を提供すること。又、ラップフィルムの切れ味を向上させる切り方を提供すること。以って地球環境保護や食品安全性に貢献すること。
【解決手段】断面が曲がり角度90°又はほぼ90°のL字形の部分を有する切り刃固定具なのであって、これをラップフィルム収納箱1の蓋体2の回動中心軸5から切り刃7まで延びる蓋体2の角部6に固定する様にする。
蓋体2の回動中心軸5側を構成する部分の表面がほぼ水平である状態から所定角度だけ予めラップフィルム収納箱1をその長手方向を軸に内側へ回転させておき、然る後にラップフィルム収納箱1の一端部を中心にラップフィルム収納箱1を外側へ回転させる様に動かしてラップフィルムを切る様にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品やその収納容器を包む為のラップフィルムを収納するラップフィルム収納箱に備えられた切り刃を固定する切り刃固定具及びラップフィルムを切る方法に係わり、ラップフィルムが良く切れる様に改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に上記ラップフィルムはこれを芯の囲りに幾重にも巻いてロール状とし、ラップフィルム収納箱に収納して必要な長さだけ引き出したら切り刃により切って使う様にしている。一方、近年は地球環境保護や食品安全性の観点から非塩素系(焼却処分してもダイオキシンの発生なし)で添加物を含まない(食品への移行の懸念なし)ラップフィルムが求められ、例えばポリエチレン等のラップフィルムが使用されて来ている(従来は添加物を含むポリ塩化ビニリデン等)。
しかしながらこのポリエチレン製のラップフィルムは引っ張るとよく延びるので、切り刃による切れ味が非常に悪く、その為、力を入れ過ぎて切り刃やラップフィルム収納箱が変形したり、破れ・押し潰れが発生して使用に耐えなくなる事がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ラップフィルムの切り刃による切れ味を向上させる為にこの切り刃を変形しない様に固定する切り刃固定具を提供する事であり、ラップフィルムの切れ味を向上させる切り方を提供する事であり、以って添加物のない非塩素系のラップフィルムを使う事によって地球環境保護や食品安全性の問題に貢献しようとするところにある。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
本発明は上記目的を達成する為、ラップフィルムを幾周にも巻いたロールを収納するラップフィルム収納箱の蓋体の回動中心軸から切り刃まで延びる蓋体の角部に固定して切り刃を固定する為の切り刃固定具であって、この切り刃固定具は断面が曲がり角度90°又はほぼ90°のL字形である様にした。そしてラップフィルムを切れ味鋭く切る方法として、切り刃固定具の蓋体の回動中心軸側にある部分と切り刃固定具の切り刃側にある部分との内で前者の部分の表面に親指を当ててラップフィルムを切る方法であって、蓋体の回動中心軸側を構成する部分の表面がほぼ水平である状態から所定角度だけ予めラップフィルム収納箱をその長手方向を軸に内側へ回転させておき、然る後にラップフィルム収納箱の一端部を中心にラップフィルム収納箱を外側へ回転させる様に動かしてラップフィルムを切る様にした。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば断面が曲がり角度90°(ほぼ90°)のL字形の切り刃固定具をラップフィルム収納箱の蓋体の角部に固定してある為、ラップフィルムを切る時に親指を切り刃固定具に当てれば切り刃はしっかりと固定され、ラップフィルム収納箱から離れる様に変形する(反る)事は起らず、ラップフィルムの切り刃による切れ味が大幅に向上する。従来はラップフィルムを切る時は切り刃がラップフィルム収納箱から離れる様に反り、変形する為、切れ味が悪くなり(切り刃がラップフィルムに鋭く当らなくなる)、この為、勢い力を入れ過ぎて切り刃やラップフィルム収納箱に破れや押し潰れが発生して、使用に耐えなくなる事があった。又、ラップフィルムは濡れ手で扱う事もあり、従来では切り刃付近の蓋体に水分が付着すると切り刃の抵抗力が弱くなって切る事は不可能になるが(蓋体は一般には紙製である)、本発明によれば切り刃固定具に保護されている為、切れ味の劣化はない。又、ラップフィルムを切る方法として、蓋体の回動中心軸側を構成する部分の表面がほぼ水平である状態から所定角度だけ予めラップフィルム収納箱をその長手方向を軸に内側へ回転させておき、然る後にラップフィルム収納箱の一端部を中心に外側へ回転させる様に動かしてラップフィルムを切るので、ラップフィルムは180°近く反転した状態(最も鋭く当る状態)で当る様になると共に(従来はほぼ90°の角度で当るのみ)、ラップフィルムは先ずその一端部において破れが生じ、この破れが起点となって次々と切れてゆくので、弱い力で切れ味鋭く良く切れる様になる。以上によりポリエチレンなどの非塩素系ラップフィルム(添加物なし)を使用しても切れ味が悪くなるなどの不便がないので、地球環境保護や食品安全性に貢献できる。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0006】
図1(イ)に本発明によるラップフィルムの切り刃固定具を示し、一般にラップフィルムは芯の周囲に幾周にも巻いてロール状として図2(イ)の如くラップフィルム収納箱1に収納してある。図2(イ)においてラップフィルム収納箱1には蓋体2が備えられ、一般には紙製であり、回動中心軸5を中心に回動可能に備えられている。蓋体2にはラップフィルムを切る為の切り刃7が備えられ、切り刃7は細かい鋸刃状のものであり、金属製、プラスチック製、紙製などがあり、指が少し触れた程度では切れない安全刃である。蓋体2は回動中心軸5側にある部分3と切り刃7側にある部分4と角部6とにより構成されている。図1(イ)は本発明によるラップフィルムの切り刃固定具で、断面が曲がり角度90°又はほぼ90°のL字形の部分を有する形状であり、一般にはプラスチック製とする。8は図2(イ)の蓋体2の回動中心軸5側にある部分3に当てる部分、9は切り刃7側にある部分4に当てる部分で、この部分9は切り刃7によりラップフィルムを切る時にひっかからない様にその端部を面取りしてある。10は角部である。尚、図1(ロ)の如く切り刃固定具を補強する補強部材12を備えても良い。11は親指を当てる為の位置を示す目印である。この切り刃固定具は図2(イ)の様に蓋体2の角部6と切り刃固定具の角部10とがきっちり合う様に蓋体2に当てられ、図2(ロ)の如く例えば粘着テープ14で固定される。この場合、切り刃固定具に図1(ハ)の様に穴13を形成しておき、この穴13より少し大き目の粘着テープで上から貼って蓋体2に固定する様にしても良い。尚、切り刃固定具を固定するに当り、図2(ハ)の様にラップフィルム収納箱が長い製品の場合は図示の如くラップフィルム収納箱の一端部側に完全に寄せ、寄せた方からラップフィルムを切ってゆく様にする。以上によりラップフィルムを切る時に親指を切り刃固定具(目印11)に当てれば切り刃7はしっかりと固定され、ラップフィルム収納箱1から離れる様に変形する(外側へ反る)事は起らず、切り刃7がラップフィルムに鋭い角度で当る様になるので、切れ味が大幅に向上する。又、従来では親指を当てる位置は図2(イ)において蓋体2の切り刃7側の部分4であったが、本発明では回動中心軸5側の部分3に相当する位置である為(本発明では切り刃固定具により切り刃7をしっかりと固定し、切り刃7の変形・反りを無くす事ができる為、蓋体2の回動中心軸5側の部分3に相当する位置―角部6に近い位置とする事が望ましい―に親指を当てるだけで良い)。それだけラップフィルムを切る時にラップフィルム収納箱1をその長手方向を軸として内側へ回転させる回転角が少なくて済み、腕が疲れない。尚、図2(ロ)において切り刃7の先端部と切り刃固定具との距離Sは適正な範囲があり(例えば余り小さいとラップフィルムが切り刃固定具に接触して切り刃7に鋭く当たらなくなる)、図1(イ)において各々の幅h、h′に差を与えておき、hが不適切の場合は切り刃固定具を反転してh′を用いる様にする事が考えられる。図1(ニ)は図1(イ)において目印11の両側の部分の幅を各々縮小したものに相当するものである。
【0007】
次に本発明によるラップフィルムの切り方を説明する。先ず図3(イ)の様に蓋体2を開いてラップフィルムを必要なだけ引き出したら、親指を切り刃固定具の目印11に当てて蓋体2を閉じ(目印11は切り刃固定具の蓋体2の回動中心軸5側にある部分にある)、この状態は蓋体2の回動中心軸5側を構成する部分の表面がほぼ水平である状態であるが、この状態から図3(ロ)の様に所定角度だけ(45°〜90°位)予めラップフィルム収納箱1をその長手方向を軸に内側へ回転させておき(矢印Aの方向に回転)、然る後に図3(ハ)の様にラップフィルム収納箱1の一端部15(図では手前側の一端部)を中心にラップフィルム収納箱1を矢印Cの如く外側へ回転させる様に動かしてラップフィルムを切り刃7により切るのである。こうすると図3(ロ)の様にラップフィルムは切り刃7に180°近く反転した状態で当る様になると共に(これにより切り刃7が最もラップフィルムに食い込み易くなる―従来ではほぼ90°の角度で当る為、食い込み難い)、図3(ハ)からも明らかの様にラップフィルムは先ずその一端部において破れが生じ、この破れが起点となって次々と(手前側へ)切れてゆくので、弱い力で切れ味鋭く良く切れる様になる(ラップフィルムに切り刃7が一度に当ると強い力が必要となり、実際には切れない)。この場合、図3(ハ)の動作の前に、図3(ニ)の様にラップフィルムを切る為にラップフィルム収納箱1を動かす方向とは反対方向にラップフィルム収納箱1を向けておき、然る後に図3(ハ)の動作を行なう様にすると切り刃7がラップフィルムに当る時の速度が大きくなるので(図3(ニ)の如くラップフィルムにたるみが生じ、ラップフィルム収納箱1を回転させる速度が十分になってから切り刃7がラップフィルムに当る為)、切れ味が更に向上する。従来でも図3(ロ)の様にすれば切り刃7にラップフィルムが180°近く反転した状態で当る様になりそうであるが、切り刃固定具がない為、切り刃7が矢印Bの如くラップフィルム収納箱1から離れる様に大きく変形し(反る)、実際は全く切れない(そればかりでなく、切り刃を支える部分に破れが生じる)。図3(ハ)においてはラップフィルム収納箱1の一端部15を中心にラップフィルム収納箱1を外側へ回転させる様に動かして切る様にしているが、ラップフィルム収納箱を掴んだ親指を中心に外側へ回転させながら横方向へ引く様に動かしても良く切れ、実質的には両者の切り方は同じであると考えて良い。又、図3(ハ)においてはラップフィルム収納箱1を外側へ回転させる様に動かすに当り、ラップフィルム収納箱1の一端部を中心としているが、ラップフィルム収納箱1を掴んだ手の腕の肩を中心としても良く、両者の切り方は実質的には同じであると考えて良い。尚、図3(ハ)においては逆にラップフィルム収納箱1のもう1つの一端部16を中心にラップフィルム収納箱1を外側へ回転させる様に動かしても良い。図1(ホ)は図1(ニ)において目印11の両側の部分の幅をなくしたものに相当するものである。
【0008】
図4(イ)は本発明によるラップフィルムの切り刃固定具17を示し、単なる板状のものであるが、これを使用する時は図4(ニ)の様に蓋体2の回動中心軸5側の部分3と切り刃7側の部分4との内で後者の部分4側に例えば粘着テープ21で固定する。
この場合、図4(ロ)は別の固定法を示し、蓋体2の先端部の両端に差し込む差し込み溝19を有する固定辺19′により固定するものである。図4(ハ)は補強リブ20を備えた構造のものを示す(断面はL字形となる)。次に使用法を説明すると、図5(イ)の様に蓋体2を開いてラップフィルムを必要なだけ引き出したら親指を目印18に当てて蓋体2を閉じ、この状態は蓋体2の切り刃7側を構成する部分の表面がほぼ水平の状態であるが、この状態から図5(ロ)の様に所定角度だけ(45°〜90°位が良い)予めラップフィルム収納箱1をその長手方向を軸に内側へ回転させておき、然る後にラップフィルム収納箱1の一端部15(図では手前側の一端部)を中心にラップフィルム収納箱1を矢印Cの如く外側へ回転させる様に動かして切り刃により切るのである(以上の切り方は図3と同じであると考えて良い)。こうするとラップフィルムを切る時は親指を切り刃固定具17(目印18)に当てれば切り刃7はしっかりと固定され、ラップフィルム収納箱1から離れる様に変形する(外側へ反る)事は起らず、切り刃7がラップフィルムに鋭い角度で当る様になり、かつラップフィルムは一端部から次々と切れてゆくので、弱い力で切れ味鋭く良く切れる様になる。
【0009】
尚、切り刃固定具17は蓋体2の角部から切り刃7までの部分の裏側に固定(粘着テープなどで剥れない様にしっかりと固定)する様にする事も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本発明によるラップフィルムの切り刃固定具の図。
【図2】 切り刃固定具を固定したラップフィルム収納箱の図。
【図3】 本発明によるラップフィルムを切る方法を示す図。
【図4】 本発明によるラップフィルムの切り刃固定具の図。
【図5】 本発明によるラップフィルムを切る方法を示す図。
【符号の説明】
1はラップフィルム収納箱、2は蓋体、3は蓋体の回動中心軸側にある部分、4は蓋体の切り刃側にある部分、5は回動中心軸、6は角部、7は切り刃、8は蓋体の回動中心軸にある部分に当てる部分、9は蓋体の切り刃側にある部分に当てる部分、10は角部、11は目印、12は補強部材、13は穴、14は粘着テープ、15は一端部、16はもう1つの一端部、17は切り刃固定具、18は目印、19は差し込み溝、19′は固定片、20は補強リブ、21は粘着テープである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムを幾周にも巻いたロールを収納するラップフィルム収納箱の蓋体の回動中心軸から切り刃まで延びる蓋体の角部に固定して切り刃を固定する為の切り刃固定具であって、この切り刃固定具は断面が曲がり角度90°又はほぼ90°のL字形の部分を有する形状である事を特徴としたラップフィルムの切り刃固定具。
【請求項2】
ラップフィルムを切る為の切り刃を固定する切り刃固定具であって、この切り刃固定具はラップフィルムを幾周にも巻いたロールを収納するラップフィルム収納箱の蓋体の回動中心軸から切り刃まで延びる蓋体の角部から切り刃までの部分に当てて固定する構成である事を特徴としたラップフィルムの切り刃固定具。
【請求項3】
請求項1記載のラップフィルムの切り刃固定具において切り刃固定具の蓋体の回動中心軸側にある部分と切り刃固定具の切り刃側にある部分との内で前者の部分の表面に親指を当ててラップフィルムを切る方法であって、前記蓋体の回動中心軸側を構成する部分の表面がほぼ水平である状態から所定角度だけ予めラップフィルム収納箱をその長手方向を軸に内側へ回転させておき、然る後にラップフィルム収納箱の一端部を中心にラップフィルム収納箱を外側へ回転させる様に動かしてラップフィルムを切る方法。
【請求項4】
請求項2記載のラップフィルムの切り刃固定具において切り刃固定具に親指を当ててラップフィルムを切る方法であって、蓋体の切り刃側を構成する部分の表面がほぼ水平である状態から所定角度だけ予めラップフィルム収納箱をその長手方向を軸に内側へ回転させておき、然る後にラップフィルム収納箱の一端部を中心にラップフィルム収納箱を外側へ回転させる様に動かしてラップフィルムを切る方法。
【請求項5】
ラップフィルムを切る時のラップフィルム収納箱を動かす方向とは反対方向にラップフィルム収納箱を向けておき、然る後にラップフィルム収納箱の一端部を中心にラップフィルム収納箱を外側へ回転させる様に動かして切る請求項3又は4記載のラップフィルムを切る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−260636(P2010−260636A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142746(P2009−142746)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(390014867)
【Fターム(参考)】