説明

ラップ用シート状物の収納ケース

【課題】販売のために商品を展示するにあたっても展示床面積をそれほど占めることがなく、他の商品などと一緒に比較的狭いスペースで展示することができて、また、家庭・飲食店などでの使用時にも、所在がわからなくなると不都合の発生を極力防止することができるというラップ用シート状物の収納ケースを提供すること。
【解決手段】筒状に巻かれたラップ用シート状物を収納する収納ケースであり、該収納ケースの一部にハンガーに吊り下げ可能な穴が形成されてなることを特徴とするラップフィルムの収納ケース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の包装用等として一般に広く使用されているラップフィルムやクッキングペーパー、アルミホイル等のラップ用シート状物の収納ケースに関し、更に詳しくは、メーカー出荷時から販売時、更に、家庭や飲食店などでの使用時まで、ラップ用シート状物の包装収納ケースとして好適に使用できるラップ用シート状物の収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から家庭や飲食店等で使用されている上述した如き各種ラップ用シート状物を内部に収納するケースとしては、厚紙を用いて成形された直方体箱型状の紙製容器が知られていて、そのような容器とラップ用シート状物とは、その個々において一体不可分的な一つの物として位置づけられた商品展開がされている。
【0003】
すなわち、該紙製の箱状容器は、単なる包装ないしは収納のための容器という他に、使用者が該ラップ用シート状物を使用するに当たり、所望する長さ分だけのラップ用シート状物を引き出してその分をカットすることが容易にできるように、さらに、その所望長さだけを使用した後は、該使用をした後のそのままの状態でも、汚れることや埃が付着することなく、かつ次回の使用時にも即座に対応できるような状態を呈して、ラップ用シート状物を収納しつつ次回使用できるように、構成されている(特許文献1−3)。
【0004】
このような直方体状のラップ用シート状物の収納ケースは、通常、店頭で販売されるときには、該収納ケースの紙製の外周面が露呈しているままで、ただし、一般に、掩蓋片と呼ばれる蓋部分が開口することがないように、該掩蓋片とケース本体の側面が一体化して繋がっている状態で販売されるのが通常である。そして、購入者は、使用に当たっては、該掩蓋片とケース本体の側面とを繋げている、周囲にミシン目状に線状の切れ目が開けられている引裂き帯体を引き裂いて除去して、掩蓋片部分を開口させて使用している。掩蓋片の先端部には、鋸歯状の切断部材が設けられていて、使用者は使用したい長さ分だけを筒状ラップ用シート巻き体から引き出して、該切断部材の位置で該シートをカットして使用する(特許文献4)。
【0005】
このような従来の紙製の直方体状の箱に収納されたラップ用シート状物は、店頭で販売されるときの陳列形態は、該直方体状の箱が単に積み置かれるか、あるいはメーカー出荷時の段ボール箱に入れたまま上面部を開口して販売するなどの形態が取られていた。
【0006】
いずれにあっても、直方体状の箱がそのまま積まれた状態で陳列されて販売に供されていたのが実状である。
【0007】
なお、近時、紙製の収納ケースをリサイクル使用の観点などからプラスチックで形成することなどが提案されている(特許文献5、6)。
【0008】
上述したような直方体状の箱状の収納ケースは、販売のために積み置かれることにより店頭での展示床面積を占めてしまい、好ましくないものであった。
【0009】
また、一方、家庭や飲食店で使用開始された後も、該直方体状の箱のままで使用に供されるのが一般的であるが、ともすれば調理器具、食材・食品などが種々多く置かれている台所の中で、該ラップ用シート状物の所在がわからなくなることもあった。
【特許文献1】特開2000−142683号公報
【特許文献2】特開2003−291959号公報
【特許文献3】特開平6−247442号公報
【特許文献4】特開2000−85762号公報
【特許文献5】特開2004−244101号公報
【特許文献6】特開2004−123196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような従来技術の不都合点に鑑み、特に、販売のために商品を展示するにあたっても展示床面積をそれほど占めることがなく、他の商品などと一緒に比較的狭いスペースで展示することができて、また、家庭・飲食店などでの使用時にも、所在がわからなくなるという不都合の発生を極力防止することができるというラップ用シート状物の包装収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成する本発明のラップ用シート状物の収納ケースは、以下の(1) の構成からなる。
(1)筒状に巻かれたラップ用シート状物を収納する収納ケースであり、該収納ケースの一部に吊り下げ可能な穴が形成されてなることを特徴とするラップフィルムの収納ケース。
【0012】
また、かかる本発明のラップフィルムの収納ケースにおいて、より好ましい具体的構成として、以下の(2) 〜(4) の構成を有するものである。。
(2)収納ケースの本体が主として熱可塑性樹脂からなることを特徴とする上記(1) 記載のラップ用シート状物の収納ケース。
(3)熱可塑性樹脂が、ポリ乳酸系重合体であることを特徴とする上記(2) 記載のラップ用シート状物の収納ケース。
(4)収納ケースの少なくとも一面の表面に磁石が付設されてなることを特徴とする上記(1) 、(2) または、(3) 記載のラップ用シート状物の収納ケース。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる本発明によれば、販売のために商品の現物を展示するにあたっても展示床面積をそれほど占めることがなく、他の商品などと一緒に比較的狭いスペースで展示することができて、また、家庭・飲食店などでの使用時にも、所定箇所のフック等に吊り下げて置いておくことにより、所在がわからなくなるという不都合の発生を極力防止することができるラップ用シート状物の収納ケースを提供することが実現できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、更に詳しく本発明のラップ用シート状物の収納ケースについて、図面等を参照しながら更に詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明にかかるラップ用シート状物の収納ケースの一実施態様例を示した概略モデル斜視図であり、図2は、図1に示した本発明にかかるラップ用シート状物の収納ケースの左側面概略モデル図である。
【0016】
図1に示したように、本発明にかかるラップ用シート状物2の収納ケース1は、該収納ケース1の内部に筒状に巻かれたラップ用シート状物2を収納するものであり、該収納ケース1の一部にハンガーなどに吊り下げ可能な穴3が形成されてなるものてある。
【0017】
本発明にかかる収納ケース1は、該ハンガーなどに吊り下げ可能な穴3をフックに通すことにより、店頭での販売時には商品棚に吊しての展示が可能であり販売用展示スペースを大きく占めることがなく、また、家庭や飲食店などでの使用時や備蓄・収納時等にも、一定の吊り下げ箇所を決めておいて吊り下げして置いておくことにより所在がわからなくなることがなく整理性良く、最後まで使用できるものである。
【0018】
図1において、4は上蓋であり、ケース本体はこの上蓋4と下基板6とから主としてなっている。ケースの出口部7には切断部材(鋸歯状カッター)5が設けられていて、ラップ用シート状物2は、使用者により矢印A方向に所望の使用長さ分だけ引き出されて後、切断部材5部分に当接されることにより切断される。この動作は、従来からある箱型容器の場合と基本的に同じである。
【0019】
上蓋4は、例えば、熱可塑性樹脂などからなる筒状ラップシートに対応して形付けられた成型体であることが好ましく、透明樹脂もしくは半透明樹脂を用いると、内部のラップ用シート状物の残量が視認できるので好ましい。
【0020】
上蓋4の縁部分は、J字形の隙間構造9を構成していて、該J字形の隙間構造9に下基板6の縁部をスライドさせることにより、ケース内部の収納スペースの開口が可能にされている。該下基板6は、ある程度剛直な板状のものである方が本発明の収納ケースの所期の目的達成のために好ましく、熱可塑性樹脂製のものなどが、衝撃や付加荷重、水など対して弱い紙製のものよりも好ましい。
【0021】
従って、この下基板6をスライドさせれば、ケース内部の収納空間に筒状ラップ用シート状物2の筒状体や巻き芯などを、自由に入れたり取り出したりすることができるものである。
【0022】
下基板には、磁石8が設けられていると好ましく、例えば、筒状ラップの使用時に、ステンレス製の流し台の上や冷蔵庫、オーブン、電子レンジ等の身近な電気製品の外壁に該磁石8によって一時的に該収納ケースを固定して、片手による動作だけでもラップ用シート状物を引き出して切断できるというような使い方ができるようになる。
【0023】
上蓋2と下基板6とは、別々のものとして製造されている必要はなく、両者がケース外壁とケース内の収納空間の全体を構成できるのであればよく、例えば、該上蓋2と該下基板6はヒンジ構造部等を介して上蓋2を開閉することができるようにして、全体が一体的に成型された構造等であってもよい。
【0024】
ケース本体を構成する上蓋と下基板とは、使用中において水に濡れたりしたときでも、水分でケースがふやけたりして取り扱いにくくなる等の不都合や、重量のある物体の下になったときなどでも破損したりつぶれたりすること等がなく、取り扱い性が良好であるという点から、上述のように樹脂材料で形成されていることが好ましく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ABSアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂など各種の熱可塑性樹脂を使用することができる。中でも、特に、熱可塑性樹脂として、ポリ乳酸系ポリマーを使用した場合は、該ポリ乳酸系樹脂が生分解性であり廃棄時の環境問題を招くことが小さいので好ましい。
【0025】
該ポリ乳酸系ポリマーとは、乳酸単位を含む脂肪族ポリエステルからなるものをいい、具体的には、例えば、
(1)ポリ乳酸、および、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸(例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等)との共重合物、
(2)乳酸単位とさらに脂肪族多価カルボン酸単位および脂肪族多価アルコール単位を含む脂肪族ポリエステル、
(3)乳酸単位とさらに多官能多糖類を含む脂肪族ポリエステル、
(4)上記脂肪族ポリエステルとの混合物、
等を総称して言うものである。また、乳酸には、L−体とD−体とが存在するが、本発明においては、L−体とD−体との両者を含むものである。
【0026】
すなわち、本発明において、ポリ乳酸系ポリマーとしては、構成単位がL−乳酸のみからなるポリ(L−乳酸)、D−乳酸のみからなるポリ(D−乳酸)、あるいはL−乳酸単位とD−乳酸単位とが種々の割合で存在するポリ(DL−乳酸)のいずれも使用できる。
【0027】
また、生分解性を有する樹脂で収納ケースの本体を構成するのであれば、その場合には、より好ましくは、ラップ用シート状物自体や該ラップ用シート状物を筒状に巻き上げるための巻き芯体等もポリ乳酸系ポリマーで構成させるのがよいものである。
【0028】
そのように構成すると、収納ケース内にラップ用シートと巻き芯体が残っている場合でも、そのまま廃棄したとしても土中等で分解されるので廃棄上の問題は実際上ないからである。したがって、生分解性を有する樹脂で収納ケースの本体を構成する場合には、同時に、該切断部材もポリ乳酸系ポリマーで構成するのがよい。
【0029】
本発明にかかるラップ用シート状物の収納ケースは、熱可塑性樹脂で構成されるものである場合には、該熱可塑性樹脂のシート状物と適宜の金型を用いた真空成形法、真空圧空成形法、あるいは射出成形法等により簡単に製造することができる。
【0030】
本発明のラップ用シート状物の収納ケースは、筒状に巻かれたラップ用シート状物の該収納ケース内への装着と該収納ケースからの取外しも自在であるので、一つのラップ用シート状物を使い終わったら、新しいラップ用シート状物をケース内部に装着して、繰り返して使用することができる。
【0031】
また、特に、従来から市販されている紙製の直方体状の収納ケースごと、本発明の収納ケースに入れて、繰り返し使用をすることなどもできる。そうした使用をも目的とする場合には、本発明にかかる収納ケースの、特に少なくとも上蓋部分は意匠効果のある美感を与え得る色・柄や材質・素材にして構成をするのがよい。
【0032】
ハンガーなどに吊り下げ可能な穴3は、図1では1個のみを図示して説明しているが、上下対称の位置に2個目の吊り下げ可能な穴を開孔させたものでもよい。その2個の孔を同時に2つのフックにそれぞれ掛けて収納ケースを固定的にして用いれば、片手でもラップ用シート状物を引き出すこと、切断することなどがより容易である。
【0033】
また、2つの穴を設けておけば、1個の穴でフックを掛けて固定補助するようにして片手でラップ用シートの引出し動作と切断動作をするときであっても、右利き、左利きの双方に対応して穴を使い分け、容易に作業をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明にかかるラップ用シート状物の収納ケースの一実施態様例を示した概略モデル斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した本発明にかかるラップ用シート状物の収納ケースの概略モデル左側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1:ラップ用シート状物の収納ケース
2:ラップ用シート状物
3:吊り下げ可能な穴
4:上蓋
5:切断部材(鋸歯状カッター)
6:下基板
7:収納ケース出口
8:磁石
9:J字形の隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に巻かれたラップ用シート状物を収納する収納ケースであり、該収納ケースの一部に吊り下げ可能な穴が形成されてなることを特徴とするラップフィルムの収納ケース。
【請求項2】
収納ケースの本体が主として熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のラップ用シート状物の収納ケース。
【請求項3】
熱可塑性樹脂が、ポリ乳酸系重合体であることを特徴とする請求項2記載のラップ用シート状物の収納ケース。
【請求項4】
収納ケースの少なくとも一面の表面に磁石が付設されてなることを特徴とする請求項1、2または3記載のラップ用シート状物の収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−290362(P2006−290362A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109483(P2005−109483)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】