説明

ラテックスを添加したインクジェットインクセットの改善された色及び耐性

本開示は、インクセット及びそれに関連する、媒体、例えば低多孔質の又は非多孔質の印刷媒体上にインクジェット印刷する方法に関する。本願インク及びインクセットは、良好な彩度及び良好な耐性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ビニールのような低多孔質の又は非多孔質の印刷媒体上に印刷する際に使用されるインクには、高い耐性、高い彩度及び良好な耐光性を同時に有する画像を生成すること、しかもそれを追加的なラミネーションステップを必要とすることなく行うことに関して、課題がある。ラミネーションによって、耐性及び色域を改善することができるが、それによって、追加的な費用(いずれも、追加的な材料及び廃物の増加及び人件費の漸増による)が発生し、ターンアランウンドタイム(納期)も遅くなる。上述の性質を達成するために、低多孔質の又は非多孔質の媒体で使用するためのインク調合の1つの手法は、インク中の顔料濃度を増大させることである。残念なことに、この手法は、画像の耐性を低下させ得る。別の手法は、彩度の高い顔料を使用することである。しかし、やはり残念なことに、そのような顔料の耐光性は、典型的には著しく低く、よって、低多孔質又は非多孔質の媒体の一般的な用途である屋外画像(outdoor graphics)には望ましくない。上述の性質を達成するための第3の手法は、溶液樹脂を添加することである。しかし、溶液樹脂の添加には、そのような材料がインクの粘性を増大させるという欠点があり、それにより、インクがその粘性限界に達してしまい、多くのインクジェットプリントヘッドにおけるインクの信頼性が損なわれることとなる。
【0002】
したがって、低多孔質又は非多孔質の媒体上に印刷した場合に、ラミネーションの必要なしで高い耐性、高い彩度及び良好な耐光性を得ることができるインク及びインクセット調合物の開発のための研究が続けられている。
【発明の概要】
【0003】
本発明を開示し説明する前に、本開示が、ここに開示の特定の構造、プロセスステップ又は材料に限定されるものではなく、それと同等のものにまで、関連分野の当業者によって認識されているように拡張されていることを理解されたい。また、ここで使用されている用語は、特定の態様のみを説明する目的で使用されており、限定を意図しているものではないことも理解すべきである。
【0004】
本開示を説明し、特許請求する上で、以下の用語は、以下に示す定義に基づいて使用する。
【0005】
ここで用いる限り、単数形(「a」、「an」及び「the」を付した語)は、文脈が別の意味を明示していないのであれば、複数形の参照も含むことに留意されたい。よって、例えば、「インク」と記載した場合、そのようなインクの1つ以上を含み、「顔料の量」と記載した場合には、そのような顔料の量の1つ以上を含み、「インクセット」は1つ以上のインクセットを含む。
【0006】
ここで用いる限り、「ビヒクル」、「液体ビヒクル」又は「インクビヒクル」は、着色剤をその中に含み、インクを形成する液体の流体を指す。液体ビヒクルは当分野で公知であり、本開示の態様にしたがって、広範な液体ビヒクルを使用することができる。そのようなインクビヒクルは、様々な薬剤の混合物であってよく、その薬剤には、非限定的に、界面活性剤、溶剤、共溶剤、緩衝剤、殺生物剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、安定剤及び水が含まれる。液体ビヒクルは、いくつかの態様では、他の添加剤、例えばラテックス、ポリマー、UV硬化材料及び/又は可塑剤も担持していてよい。
【0007】
ここで用いる限り、「顔料」は一般に、固体の顔料着色剤を含む。顔料は、別個の分散剤によって液体ビヒクル中に分散させることができるし、又はその表面に結合した分散剤、例えば低分子又は高分子の分散剤を有していてよい。ここで用いる限り、「インク」は、顔料を含有する液体ビヒクルを指し、本開示の態様によれば、インクは、ラテックスポリマー固体も含んでいてよい。
【0008】
ここで用いる限り、「セット」という用語は、インクのセットを指し、その場合、パッケージングされている若しくは1つのセットという部品として利用可能に作られているものであるか、或いはパッケージングされ且つそのセットの他の部分と共に使用するために別個に利用可能であるように作られているかは問わない。
【0009】
ここで用いる限り、「耐性」という用語は、その色の性質(例えば、色相、明度(Value)、彩度)の維持を助成する印刷画像の特性を指し、耐光性、オゾン耐性、耐水性又はそれらの組合せを含む。
【0010】
ここで用いる限り、「ランプ(ramp)」又は「カラーランプ」という用語は、インク又はインクセットの、極めて低いインク密度からインク極めて高い密度までの範囲の様々な密度での印刷を指す。例えば、ブラックインクでは、カラーランプは、L*値に基づいて、所与の色のL*値が約0(ブラック又はニアブラック)〜約95(極めて薄い色)までの範囲を取るようになっていてよい。カラー(非ブラック)インクでは、カラーランプは、インクの色及び組成に応じて、0〜130のC*若しくは彩度の範囲を取ることができる。ランプは典型的には、2つの限界点間でのいくつかの代表的な「カラー」点の特性を判定するための診断の目的で印刷される。例えば、カラーランプは、比較的均一に色密度の間隔を置いた5〜20個の印刷された正方形(若しくは他の形状)を含んでいてよく、例えば、マゼンタカラーランプは、10、20、35、50、70、85及び95のC*値で印刷された正方形を含んでいてよい。
【0011】
「低多孔質媒体」又は「非多孔質媒体」はそれぞれ、Bristow試験で0.5未満の接触時間で2ml/m未満を示す印刷媒体を指す。Bristow試験は当分野で知られおり、以下に簡単にまとめる。規定の寸法の試験サンプルを、規定の圧力で試験サンプルを押圧する不動の試験流体塗布器と接触しながら規定の接触速度で自由に回転する車輪の滑らかな縁部に貼付する。この試験流体塗布器は、約1×15mmの試験流体送達スロット上に固定された試験溶液保存コンパートメントからなっており、該スロットは、車輪の縁部の回転の方向に対して垂直であり、車軸に対して平行となるように配置されている。試験流体の規定量を、流体リザーバを通して流体送達スロットへと供給する。試験サンプルが固定された車輪が一定速度で回転するので、試験溶液塗布器は、回転する試験サンプルと接触し、規定の圧力下で所定の位置に保持される。試験流体が、試験溶液塗布器から試験サンプルへ帯状に移動し、塗布器のスロット幅により制御されるその帯の幅は約15mmであり、その長さは、規定の試験条件下で、試験サンプルと相互作用する試験流体の吸収性の性質の関数となっている。試験サンプルの単位面積当たりの吸収液体量は、塗布器に最初に入れた試験流体の体積、並びに移動した試験流体によってその試験サンプル上に形成された帯の平均の幅及び長さから計算される。液体吸収のために利用可能な時間は、塗布器に最初に入れた流体の体積及び塗布器の寸法から計算される。
【0012】
ここで用いる限り、「自己分散性の(self-dispersed)」、「分散機能化した(dispersant-functionalized)」又はこれらから派生した語は、一般に、例えば分散剤を顔料の表面に化学的に結合させることによって、分散剤により機能化された顔料を指す。分散剤は、低分子又は高分子又はオリゴマーであってよい。分散剤は、そのような顔料に結合し、顔料の外側シェルを電荷で終端させることができ、それにより、液体ビヒクル中で顔料粒子の凝集を低下させる反発性が生じる。
【0013】
ここで用いる限り、「ラテックス」、「ラテックスポリマー」又は「ラテックス粒子」は、液体ビヒクル中に分散させ、ラテックス分散液を形成することができる個々のモノマーから合成されたポリマー質量体を指す。「ラテックス」という語は一般に、液体中に分散させた液体及びポリマーの粒子を指す。しかし、ラテックスをインク中で調合させる場合、液体は、インクの液体ビヒクルの一部となり、よって、ラテックスポリマーは、液体ビヒクル中に分散した状態にあるラテックス粒子又はラテックスポリマー固体に基づいて、説明することができる。本発明のいくつかの態様によれば、いくつかのインク中のラテックスポリマーの固体は、ラテックスポリマーの固体を含まないこと以外は同一のインクと比較して、インクの吸収を0.1%〜10%で増大させることができることにに留意されたい。
【0014】
ここで用いる限り、「約」という用語は、所与の値が、その限界点を「わずかに上回る」又は「わずかに下回る」とすることによって、数値範囲の限界点にフレキシビリティを付与するために用いられる。この用語のフレキシビリティの度合いは、特定の変数によって記述することができ、ここに記載の経験及びそれに関連する説明に基づいて判定される当業者の知識の範囲内となる。
【0015】
別途規定がない限り、以下に示すUV吸収測定のための路長は1cmである。
【0016】
ここで用いる限り、複数の項目、構造的な要素、組成的な要素及び/又は材料は、便宜上共通の列記中に記載されていてよい。しかし、このような列記は、列記中の各成分が、別個の且つ独特な成分として個々に特定されるように解釈するべきである。よって、そのような列記の個々の成分は、反対のことを示す記載がなければ、それらが共通の群中に記載されていることのみを理由として、同じ列記中の他の任意の成分の事実上同等のものとして解釈すべきではない。
【0017】
濃度、量及び他の数値データは、範囲の形式で表現され又は示されていてよい。そのような範囲の形式は、単に便宜上、また簡単にするために用いられていることを理解すべきであり、範囲の限界として明記した数値のみならず、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は下位範囲が、その各数値及び下位範囲が明記されているかのように含まれるようフレキシブルに解釈すべきである。例えば、「約1重量%〜約5重量%」の数値範囲は、そこに明記された約1重量%〜約5重量%という値のみならず、そこに示された範囲内の個々の値及び下位範囲をも含むと解釈すべきである。つまり、この数値範囲には、2、3.5及び4のような個々の値並びに1〜3、2〜4及び3〜5等の下位範囲が含まれる。1つの数値のみを記載する範囲についても同じことが云える。さらに、このような解釈は、記載の範囲又は性質の幅に関係なく適用されるべきである。
【0018】
本開示は、インクジェット印刷(例えばピエゾ式又はサーマル式インクジェット印刷)のために使用されるインク及びインクセットに関する。一態様では、本開示のインクセットは、サーマル式インクジェット印刷システム、例えば、デラウェアのヒューレット・パッカード・カンパニーから市販のDESKJET(登録商標)、DESIGNJET(登録商標)、PHOTOSMART(登録商標)又はプリンタの他の類似の種類のプリンタで使用するように調合される。本開示のインクは、低多孔質又は非多孔質の印刷媒体、例えば、屋外画像用に一般に使用される感圧性接着剤で裏打ちされたフレキシブルなビニル媒体、並びに他の低多孔質及び非多孔質の印刷媒体上に印刷するために有用である。そのような媒体の例は、非限定的に、Avery 1005、Avery 3000、Avery 3100、Avery MPI 1005 EZ、Avery MPI 4002、Ultraflex Normandy Pro、Ultraflex JetFlex FL、Ultraflex Strip Mesh、Ultraflex BlOflex、Verseidag Front Lit Standard Easy P/N 7945、LG Bannux 1100、3M ScotchCal、Mactac JT5829、MacTac JT5929p、Intelicoat SBL-7SIJ、Intelicoat GFBL5SIJ、3M Controltac Plus IJ 180C-10、3M ScotchLight、Flexcon See Through Sign Vision、Dykson Jet 220、C2S Sterling Ultra Gloss及びこれらに類するものを含む。
【0019】
本開示は、インク、インクセット、並びにそれに関連する、インクジェット印刷(例えばピエゾ式又はサーマル式インクジェット印刷)のために使用される方法及びシステムにも関する。本開示のインクセットは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの群から選択された少なくとも2つのインクを含んでいてよい。各インクは、以下に独立させて説明するが、そのようなインクは典型的には、インクセット、例えば、シアン、マゼンタ及びイエローのセット、シアン、ブラック及び任意にマゼンタ及びイエローのセット等の中に存在する。
【0020】
以下「ブラックインク」と呼ぶ、本開示のインクセットで使用するためのブラックインクは、ブラック顔料を0.25〜3固体重量%(固形分の重量%)、ラテックスポリマーを4〜15固体重量%含む。ブラックインクを1:2,500希釈で水で希釈した場合、そのUV吸収は約500nmで0.040〜0.468である。一態様では、ブラックインクの1:2,500希釈液は、500nmで0.16〜0.36のの吸収を有していてよい。別の態様では、ブラックインクは、ブラック顔料を1.25〜2固体重量%を含んでいてよく、ラテックスポリマーは、5〜8固体重量%でブラックインク中に存在していてよい。
【0021】
ブラック顔料は、許容される光学濃度(optical density)及び印刷物の性質を提供する市販の任意のブラック顔料であってよい。そのようなブラック顔料(カラーインデックス Pigment Black 7、CI PBl 7)は、公知の様々な方法、例えばチャンネル法、接触法、ファーネス法、アセチレン法又はサーマル法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemical Company、Evonik及び三菱のような製造業者から市販されている。例えば、市販のカーボンブラック顔料は、Cabot社のMonarch(商標) 1400、Monarch(商標) 1300、Monarch(商標) 1100、Monarch(商標) 1000、Monarch(商標) 900、Monarch(商標) 880、Monarch(商標) 800、and Monarch(商標) 700、Cab-O-Jet(商標) 200、Cab-O-Jet(商標) 300、Black Pearls(商標) 2000、Black Pearls(商標) 1400、Black Pearls(商標) 1300、Black Pearls(商標) 1100、Black Pearls(商標) 1000、Black Pearls(商標) 900、Black Pearls(商標) 880、Black Pearls(商標) 800、Black Pearls(商標) 700;Columbian社から入手可能なRaven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、and Raven 3500;Evonik社から入手可能なColor Black FW 200、Color Black FW 2、Color Black FW 2V、Color Black FW 1、Color Black FW 18、Color Black S 160、Color Black FW S 170、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4、Printex U、Printex 140U、Printex V及びPrintex 140V、並びにそれらの組合せを含む。
【0022】
以下「シアンインク」と呼ぶ、本開示のインクセットで使用するためのシアンインクは、シアン顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含んでいてよい。シアンインクを、1:2,500で水で希釈すると、610nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで0.048〜0.592のUV吸収を有する。一態様では、シアンインクの1:2,500希釈液は、610〜630nmで0.16〜0.38の吸収ピークを有していてよい。本開示の別の態様では、シアンインク中のシアン顔料は、シアン顔料を1.25〜2固体重量%含んでいてよく、ラテックスポリマーは、シアンインク中に5〜8固体重量%で存在していてよい。
【0023】
シアン顔料は、許容される光学濃度及び印刷物の性質を提供する市販の任意のシアン顔料であってよい。シアン顔料の非限定的な例は、BASFの顔料、例えば、Heliogen(登録商標) Blue L 690 IF、Heliogen(登録商標) Blue NBD 7010、Heliogen(登録商標) Blue K 7090、Heliogen(登録商標) Blue L 7101F、Paliogen(登録商標) Blue L 6470;Heubackの顔料、例えば、Heucophthal(登録商標) Blue G、他の顔料、例えば、CI Pigment Blue 15、CI Pigment Blue 15:1、CI Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3及びPigment Blue 15:4、並びにそれらの組合せを含む。
【0024】
以下「マゼンタインク」と呼ぶ、本開示のインクセットで使用するためのマゼンタインクは、マゼンタ顔料を0.75〜5固体重量%及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含んでいてよい。マゼンタインクを1:2,500で水で希釈した場合、520nm〜555nmで見出されるその吸収ピークで0.068〜0.468のUV吸収を有する。一態様では、マゼンタインクの1:2,500希釈液は、0.16〜0.36の520〜555nmで吸収ピークを有する。本開示の別の態様では、マゼンタインクは、マゼンタ顔料を2.25〜4.0固体重量%含んでいてよく、ラテックスポリマーは、マゼンタインク中に5〜8固体重量%で存在していてよい。
【0025】
マゼンタ顔料は、許容される光学濃度及び印刷物の性質を提供する市販の任意のマゼンタ顔料であってよい。マゼンタ顔料の非限定的な例は、CI Pigment Red 5、CI Pigment Violet 19、CI Pigment Red 7、CI Pigment Red 12、CI Pigment Red 48:1-5、Pigment Red 57:1-5 CI Pigment Red 112、CI Pigment Red 122、Ciba-Geigyの顔料、例えば、Irgalite(登録商標)Rubine 4BL、Monastral(登録商標) Magenta及びMonastral(登録商標) Scarlet;Mobayの顔料、例えば、Quindo(登録商標) Magenta及びIndofast(登録商標) Brilliant Scarlet;並びにHoechstの顔料、例えば、Hostaperm(登録商標) Scarlet GO and Permanent Rubine F6B;並びにその他の顔料、例えば、Pigment Red 122、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209、Pigment Red 43、Pigment Red 194、Pigment Red 216及びPigment Red 226、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 189、Pigment Red 224、Pigment Red 86、Pigment Red 87、Pigment Red 88、Pigment Red 181、Pigment Red 198、CI Pigment Red 264、並びにそれらの組合せを含んでいてよい。
【0026】
以下「イエローインク」と呼ぶ、本開示のインクセットで使用するためのイエローインクは、イエロー顔料を1〜4.5固体重量%及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含んでいてよい。このイエローインクを1:2,500で水で希釈した場合、380nm〜430nmで見出されるその吸収ピークで0.176〜0.784のUV吸収を有する。一態様では、イエローインクの1:2,500希釈液は、380〜430nmで0.38〜0.68の吸収ピークを有していてよい。本開示の一態様では、イエローインクは、イエロー顔料を2.5〜4.5固体重量%有していてよく、ラテックスポリマーは、イエローインク中に5〜8固体重量%で存在していよてい。
【0027】
イエロー顔料は、許容される光学濃度及び印刷物の性質を提供する市販の任意のイエロー顔料であってよい。イエロー顔料の非限定的な例は、Hoechstの顔料、例えば、Permanent Yellow DHG、Permanent Yellow GR、Permanent Yellow G、Permanent Yellow NCG-71、Permanent Yellow GG、Hansa Yellow RA、Hansa Brilliant Yellow 5GX-02、Dalamar(登録商標) Yellow YT- 858-D、Hansa Yellow X、Novoperm(登録商標) Yellow FGL、Hansa Brilliant Yellow 10GX、Permanent Yellow G3R-01、Hostaperm(登録商標) Yellow H4G、Hostaperm(登録商標) Yellow H3G、及びNovoperm(登録商標) Yellow HR;Ciba-Geigyの顔料、例えば、Chromophtal(登録商標) Yellow 3G、Chromophtal(登録商標) Yellow GR、Chromophtal(登録商標) Yellow 8G、及びIrgazin(登録商標) Yellow 5GT;並びにSun Chem.の顔料、例えば、L74-1357 Yellow、L75-1331 Yellow 及びL75-2377 Yellowを含む。他の例は、Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow 17、Pigment Yellow 65、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、CI Pigment Yellow 93、CI Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 117、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 138、Yellow Pigment 155、CI Pigment Yellow 213、CI Pigment Yellow 150、CI Pigment Yellow 219、CI Pigment Yellow 220及びそれらの組合せを含む。
【0028】
本開示のインクで使用される任意の顔料が、自己分散性顔料であってよいが、必ずしもそうである必要はないことに注目すべきである。自己分散性顔料は、分散剤によって機能化された顔料であってよい。分散剤は、典型的には、前駆体の形態で準備し、その後その前駆体を顔料に結合させ、顔料の表面を化学的に修飾するようにする。一態様では、分散剤は、様々な前駆体成分材料、例えばp−アミノ安息香酸、イソフタル酸、トリカルボン酸、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸塩、オリゴマー、ポリマー及びそれらの異性体を使用して顔料に結合させることができる。当業者によく知られているように、顔料に結合させるためのその他の前駆体も使用できる。カプセル化顔料及び分散性顔料を含むその他の顔料の種類も使用することができる。
【0029】
一般に、自己分散され且つ機能化されたラテックスポリマーを含む市販の任意のラテックスポリマーを、本開示のインクで使用することができる。ラテックスポリマーは、当分野で知られた任意の多数の方法を使用して調製することができ、それには、非限定的に、コモノマーをエマルジョンの非連続相中に分散させ重合させる乳化重合技術が含まれる。ラテックスは、当業者に知られた他の技術によって調製されたポリマーの分散液であってもよい。よく使用されるモノマーは、エチルアクリレート;エチルメタクリレート;ベンジルアクリレート;ベンジルメタクリレート;プロピルアクリレート;プロピルメタクリレート;イソプロピルアクリレート;イソプロピルメタクリレート;ブチルアクリレート;ブチルメタクリレート;ヘキシルアクリレート;ヘキシルメタクリレート;オクタデシルメタクリレート;オクタデシルアクリレート;ラウリルメタクリレート;ラウリルアクリレート;ヒドロキシエチルアクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレート;ヒドロキシヘキシルアクリレート;ヒドロキシヘキシルメタクリレート;ヒドロキシオクタデシルアクリレート;ヒドロキシオクタデシルメタクリレート;ヒドロキシラウリルメタクリレート;ヒドロキシラウリルアクリレート;フェネチルアクリレート;フェネチルメタクリレート;6−フェニルヘキシルアクリレート;6−フェニルヘキシルメタクリレート;フェニルラウリルアクリレート;フェニルラウリルメタクリレート;3−ニトロフェニル−6−ヘキシルメタクリレート;3−ニトロフェニル−l8−オクタデシルアクリレート;エチレングリコールジシクロペンチルエーテルアクリレート;ビニルエチルケトン;ビニルプロピルケトン;ビニルヘキシルケトン;ビニルオクチルケトン;ビニルブチルケトン;シクロヘキシルアクリレート;メトキシシラン;アクリロイルオキシプロピルエチルジメトキシシラン;トリフルオロメチルスチレン;トリフルオロメチルアクリレート;トリフルオロメチルメタクリレート;テトラフルオロプロピルアクリレート;テトラフルオロプロピルメタクリレート;ヘプタフルオロブチルメタクリレート;イソブチルアクリレート;イソブチルメタクリレート;2−エチルヘキシルアクリレート;2−エチルヘキシルメタクリレート;イソオクチルアクリレート;並びにイソオクチルメタクリレートを含む。
【0030】
上述のように、上述のインクの2つ以上を共に合わせてインクセットとすることもできる。一態様では、インクセットは、シアンインク及びブラックインクを含んでいてよい。別の態様では、インクセットは、マゼンタインクをさらに含んでいてよい。さらに別の態様では、インクセットは、イエローインクをさらに含んでいてよい。さらなる態様では、インクセットは、さらに、マゼンタインク及びイエローインクの両方をさらに含んでいてよい。
【0031】
別の態様では、インクセットは、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを含んでいてよい。一態様では、インクセットは、ブラックインクをさらに含んでいてよい。
【0032】
関連する態様では、低多孔質及び非多孔質の媒体上に画像を印刷するシステムを提供する。このシステムは、低多孔質又は非多孔質の媒体基体及びインクセットを含む。インクセットは、シアンインク及びブラックインクを含んでいてよい。一態様では、このシステムのインクセットは、マゼンタインク及びイエローインクの少なくとも1つをさらに含んでいてよい。別態様では、システムのインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを含んでいてよい。一態様では、このシステムは、ブラックインクをさらに含んでいてよい。
【0033】
本開示は、低多孔質又は非多孔質の媒体上に印刷する方法も提供する。一態様では、この低多孔質及び非多孔質の媒体上に印刷する方法は、一定量のインクをインクセットから低多孔質又は非多孔質の媒体基体へとインクジェット噴射することを含む。インクセットは、シアンインク及びブラックインクを含んでいてよい。一態様では、インクセットは、イエローインク及びマゼンタインクの少なくとも1つをさらに含んでいてよい。別の態様では、低多孔質又は非多孔質の媒体上に印刷する方法は、一定量のインクをインクセットから低多孔質又は非多孔質の媒体基体へとインクジェット噴射することを含む。インクセットは、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを含んでいてよい。一態様では、インクセットは、ブラックインクをさらに含んでいてよい。実施例12に示すように、本発明のブラックインクは、より少量のラテックスを含む又はラテックスを含まないこと以外は同一のインクに比べて、より低いL*(つまり、より暗い黒色)を有する驚くべき性質を有することが見出された。言い換えれば、本発明のブラックインクのL*は、インク中のラテックスの量を増大させることによって、顔料を追加することなしに低下できることが見出された。
【0034】
本開示のインクセット、システム及び方法で使用されるインクジェットインク組成物は、典型的には、水性調合物又は液体ビヒクルを使用して調製され、それらには、水、共溶剤、界面活性剤、緩衝剤、殺生物剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、湿潤剤、バインダ及び/又は他の公知の添加剤を含まれていてよい。典型的には、本発明のインクジェットインク組成物は、約0.8cps〜約15cpsの粘度を有していてよく、一態様では、約0.8cps〜約8cpsであってよい。1つの局面では、液体ビヒクルは、インクジェットインク組成物の約70重量%〜約95重量%であってよい。液体ビヒクルは、典型的には、水及び有機溶剤を含んでいてよい。一態様では、液体ビヒクルは、水、及び有機溶剤約1重量%〜約70重量%を含んでいてよい。別の態様では、液体ビヒクルは、水、及び有機溶剤を約5重量%〜約50重量%含んでいてよい。
【0035】
本開示での使用に適した共溶剤は、水溶性の有機の共溶剤を含み、非限定的に、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、トリオール、グリコールエーテル、ポリ(グリコール)エーテル、ラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、長鎖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、グリコールブチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、有機硫化物、有機スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコール及びケトンを含む。例えば、前記共溶剤は、炭素数30以下の第1級脂肪族アルコール、炭素数30以下の第1級芳香族アルコール、炭素数30以下の第2級脂肪族アルコール、炭素数30以下の第2級芳香族アルコール、炭素数30以下の1,2−ジオール、炭素数30以下の1,3−ジオール、炭素数30以下の1,5−ジオール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルのより高級な同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルのより高級な同族体、ラクタム、置換ホルムアミド、非置換ホルムアミド、置換アセトアミド及び非置換アセトアミドを含んでいてよい。本開示の実施に使用される共溶剤特定の例は、非限定的に、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、エトキシ化グリセロール、例えば、Liponic エトキシ化グリセロール1(EG−1)及びLiponic エトキシ化グリセロール 7(EG−7)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びl,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含む。共溶剤は、インク中の水分の蒸発速度を低下させるために添加することができ、それにより、インクのクロッギング(詰まり)を抑える又はその他の特性、例えば粘性、pH、表面張力、光学濃度及び印刷物の品質を改善する。様々な緩衝剤も、本開示のインクジェットインク組成物で任意に使用することができる。典型的な緩衝剤は、pH調整溶液、例えばアルカリ金属の水酸化物及びアミン、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム;クエン酸;アミン、例えばトリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン;並びに他の塩基又は酸成分を含む。使用する場合には、緩衝剤は、典型的には、インクジェットインク組成物を約10重量%未満で含む。
【0036】
本開示の別の局面では、望ましくない微生物の成長を阻止するために、様々な殺生物剤を使用することができる。適切な殺生物剤のいくつかの非限定的な例は、安息香酸塩、ソルビン酸塩、NUOSEPT(登録商標)、UCARCIDE(商標)、VANCIDE(登録商標)及びPROXEL(商標)のような市販の製品、並びに他の公知の殺生物剤を含む。典型的には、そのような殺生物剤は、インクジェットインク組成物の約5重量%未満、多くの場合、約0.05重量%〜約2重量%で含まれる。
【0037】
本開示のインクは、インク調合の分野の当業者に公知であるように、1つ以上の界面活性剤も含んでいてよい。そのような界面活性剤の非限定的な例は、アルキルポリエチレンオキサイド、アルキルフェニルポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドブロックコポリマー、アセチレン性ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド(ジ)エステル、ポリエチレンオキサイドアミン、プロトン化ポリエチレンオキサイドアミン、プロトン化ポリエチレンオキサイドアミド、置換アミンオキサイド、ポリエチレンオキサイドアルキルスルホン酸塩、ポリエチレンオキサイドアルキル硫酸塩、ポリエチレンオキサイドアルキルリン酸塩及びこれらに類するもの、並びにフルオロカーボン及びシリコーン界面活性剤を含む。
【実施例】
【0038】
以下の実施例は、現在最もよく知られた開示の態様を例示するものである。しかし、本開示の原理の応用を単に例示又は説明するにすぎないものであることを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することがなければ、多数の変更及び代替の組成物、方法及びシステムは、当業者によって導かれ得る。添付の特許請求の範囲は、そのような変更及び変形を包含する。よって、本開示を特定の態様により上述してきたが、以下の例は、現在、本開示の最も実際的で且つ好ましい態様であるとされるものに関連して、さらなる詳細を示すものである。
【0039】
実施例1−低濃度顔料及び高濃度ラテックスのインク調合物
低濃度顔料及び高濃度ラテックスのインクを、表1に示す調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
*ABS測定値は、次の波長で、つまり、ブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0042】
実施例2−低濃度顔料及び中濃度ラテックスのインク調合物
低濃度顔料及び中濃度ラテックスのインクを、表2に示す調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
*ABS測定値は、次の波長、つまり、ブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0045】
実施例3−低濃度顔料及び低濃度ラテックスのインク調合物
低濃度顔料及び低濃度ラテックスのインクを、表3に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
*ABS測定値は、次の波長、つまり、ブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0048】
実施例4−中濃度顔料及び高濃度ラテックスの調合物
中濃度顔料及び高濃度ラテックスの調合物を、表4に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表4に示す。
【0049】
【表4】

【0050】
*ABS測定値は、次の波長、つまりブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0051】
実施例5−中濃度顔料及び中濃度ラテックスインク調合物
中濃度顔料及び中濃度ラテックスのインクを、表5に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表5に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
*ABS測定値は、次の波長、つまり、ブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0054】
実施例6−中濃度顔料及び低濃度ラテックスのインク調合物
中濃度顔料及び低濃度ラテックスインクを、表6に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表6に示す。
【0055】
【表6】

【0056】
*ABS測定値は、次の波長、つまりブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0057】
実施例7−高濃度顔料及び高濃度ラテックスのインク調合物
高濃度顔料及び高濃度ラテックスのインクを、表7に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
*ABS測定値は、次の波長、つまりブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0060】
実施例8−高濃度顔料及び中濃度ラテックスのインク調合物
高濃度顔料及び中濃度ラテックスインクを、表8に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その測定値も表8に示す。
【0061】
【表8】

【0062】
*ABS測定値は、次の波長、つまり、ブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0063】
実施例9−高濃度顔料及び低濃度ラテックスのインク調合物
高濃度顔料及び低濃度ラテックスのインクを、表8に記載の調合にしたがって調製した。調製された各インクの1:2,500希釈液の吸収測定値を測定した。その値も表9に示す。
【0064】
【表9】

【0065】
*ABS測定値は、次の波長、つまり、ブラックインク500nm、シアンインク610〜630nm、マゼンタインク520〜555nm、イエローインク380〜430nmの波長範囲で生じるピーク吸収である。路長は1cmであった。
【0066】
実施例10−光沢のある非多孔質の媒体上において、ラテックス及び顔料濃度が彩度に及ぼす作用
インク吸収は一般に、インク中の顔料の量によって決められる。ラテックスの充填量を増加させた場合の吸収は、上記実施例からは小さいことが分かった。カラーランプを、光沢のある非多孔質の媒体上で、30度赤、40度赤、290度青及び170度緑の色度測定値のそれぞれに対して準備した。カラーランプは、1つの色に対して21のインクレベルを利用して印刷し、その際、全441個の正方形について各色の全ての可能な組合わせを試験した。それらの組合せ全てが、印刷で実際に使用される訳ではないので、データをフィルタリングして、システムの限界を超えるインク量を使用した点を除いた。色度測定は、X-Rite Eye One iOを使用して行った。色度測定は、CIEの基準で規定されているように、D50光源、2度視野及び45/0の幾何条件を使用して行った。そして、残りの値を、色相角度によりフィルタリングした。最大値を選択し、その彩度(C*)及びL*を測定した。測定値を表10に示す。
【0067】
【表10】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】
上記測定の特徴は、実施例11で議論する。
【0072】
実施例11−艶消しの非多孔質の媒体において、ラテックス及び顔料濃度が彩度に及ぼす影響
カラーランプを、媒体が艶消しの非多孔質媒体であることを除き実施例10と同様に準備した。カラーランプを、1つの色につき21のインクレベルを使用して印刷し、その際、各色の可能な全ての組合せを、全部で441個の正方形について試験した。実施例10のように、全ての組合せが印刷で実際に使用される訳ではないので、データをフィルタリングして、システムの限界を超えるインク量を使用する点を除いた。カラー測定を、X-Rite Eye One iOを使用して行った。カラー測定は、CIEの基準で規定されているように、D50光源、2度観察視野及び45/0の幾何条件を使用して行った。続いて残りの値を、色相角度によってフィルタリングした。最大値を選択し、それらの彩度(C*)及びL*を測定した。測定値を表11に示す。
【0073】
【表11】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】
実施例10及び11で認められる彩度の差は、色域の境界、つまり、印刷システムが達成し得る色の最大の範囲を規定するので、重要である。これは、プリンタが、特定の色が要求されるジョブを印刷することができるかどうかを決定する臨界パラメータである。さらに、これらのデータを競合的分析と関連させることが重要であり、それにより、どの印刷システムを使用するかが最終的に決定される。例えば、専門のカラーパレット(色見本)、例えばパントン(Pantone)と比較すると、表されたこれらの彩度値によって色の何パーセントが正確に表現できるか(例えば80%)が判定される。
【0078】
実施例12−ブラック顔料インクにおいて、ラテックス及び顔料濃度が明るさに及ぼす影響
6つのブラックインクを、2つの異なる顔料濃度及び3つの異なるラテックス濃度を使用して準備した。各顔料を、3M Control Tac非多孔質印刷媒体上に印刷し、100%密度の印刷ブロックを形成した。各インク印刷ブロックのL*測定値を、X-rite色彩計で測定し、それを表12に示す。
【0079】
【表12】

【0080】
顔料濃度を増大させず、ラテックス濃度を増大させた場合、ブラックインクのL*が低下する(つまり、より濃いブラックが生成される)ことが、驚くべきことに見出された。
【0081】
本開示を、特定の好ましい態様を参照して説明してきたが、本開示の思想を逸脱することがなければ、様々な変更、変形、省略及び置換が可能であることは当業者に理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット印刷で使用するためのインクセットであって,
シアン顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むシアンインクであって、シアンインクの水での1:2,500希釈液が、600nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで0.048〜0.592のUV吸収を有する、シアンインク、並びに
ブラック顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むブラックインクであって、ブラックインクの水での1:2,500希釈液が、約500nmで0.04〜0.468のUV吸収を有する、ブラックインク
を含む、インクセット。
【請求項2】
前記インクセットが、マゼンタ顔料を0.75〜5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むマゼンタインクを含み、マゼンタインクの水での1:2,500希釈液が、520nm〜555nmで見出されるその吸収ピークで0.068〜0.468のUV吸収を有する、請求項1に記載のインクセット。
【請求項3】
前記マゼンタ顔料が、前記マゼンタインクの2.25〜4固体重量%である、請求項2に記載のインクセット。
【請求項4】
前記ラテックスポリマーが、前記マゼンタインクの5〜8固体重量%である、請求項2に記載のインクセット。
【請求項5】
前記インクセットが、イエロー顔料を1〜4.5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むイエローインクを含み、前記イエローインクの水での1:2,500希釈液が、380nm〜430nmで見出されたその吸収ピークで0.176〜0.784のUV吸収を有する、請求項1に記載のインクセット。
【請求項6】
前記イエロー顔料が、前記イエローインクの2.5〜4.5固体重量%である、請求項5に記載のインクセット。
【請求項7】
前記ラテックスポリマーが、前記イエローインクの5〜8固体重量%である、請求項5に記載のインクセット。
【請求項8】
前記ラテックスポリマーが、固体で5重量%〜8重量%の量で、シアン又はブラックインクの少なくとも1つ中に存在する、請求項1に記載のインクセット。
【請求項9】
前記ブラックインクが、ブラック顔料を1.25〜2固体重量%含むか、又は前記シアンインクが、シアン顔料を1.25〜2固体重量%含む、請求項1に記載のインクセット。
【請求項10】
前記ラテックスポリマーの固体の存在量が、当該ラテックスポリマーの固体を含まない同一のインクと比較して、前記シアンインク又は前記ブラックインクの吸収を、0.1%〜10%で増大させる、請求項1に記載のインクセット。
【請求項11】
前記ブラックインクのL*が、ラテックスポリマーを含まない同一のブラックインクのL*よりも低い、請求項1に記載のインクセット。
【請求項12】
前記シアンインクの水での1:2,500希釈液が、600nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで0.16〜0.38のUV吸収を有し、前記ブラックインクの水での1:2,500希釈液が、約500nmで0.16〜0.36のUV吸収を有する、請求項1に記載のインクセット。
【請求項13】
シアン顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むシアンインクであって、当該シアンインクの水での1:2,500希釈液が、610nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで0.048〜0.592吸収のUV吸収を有する、シアンインク、
マゼンタ顔料を0.75〜5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むマゼンタインクであって、当該マゼンタインクの水での1:2,500希釈液が、520nm〜555nmで見出されるその吸収ピークで0.068〜0.468のUV吸収を有する、マゼンタインク;並びに
イエロー顔料を1〜4.5固体重量%、及びテックスポリマーを4〜15固体重量%含むイエローインクであって、当該イエローインクの水での1:2,500希釈液が、380nm〜430nmで見出されるその吸収ピークで0.176〜0.784のUV吸収を有する、イエローインク
を含む、インクジェット印刷で使用するためのインクセット。
【請求項14】
前記マゼンタ顔料が、前記マゼンタインクの2.25〜4固体重量%である、請求項13に記載のインクセット。
【請求項15】
前記イエロー顔料が、前記イエローインクの2.5〜4.5固体重量%である、請求項13に記載のインクセット。
【請求項16】
前記シアンインクが、シアン顔料を1.25〜2固体重量%含む、請求項13に記載のインクセット。
【請求項17】
前記ラテックスポリマーが、シアン、マゼンタ及びイエローインクの少なくとも1つ中に、5〜8固体重量%の量で存在し、前記ラテックスポリマーの固体の存在により、当該ラテックスポリマーの固体を含まない同一のインクと比較して、シアン、マゼンタ又はイエローインクの吸収が0.1%〜10%増大する、請求項13に記載のインクセット。
【請求項18】
前記インクセットが、ブラック顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むブラックインクをさらに含み、前記ブラックインクの水での1:2,500希釈液が、約500nmで0.04〜0.468吸収のUV吸収を有する、請求項13に記載のインクセット。
【請求項19】
前記ブラック顔料が、前記ブラックインクの1.25〜2固体重量%である、請求項18に記載のインクセット。
【請求項20】
前記ブラックインクの前記L*が、ラテックスポリマーを含まない同一のブラックインクのL*よりも低い、請求項18に記載のインクセット。
【請求項21】
前記シアンインクの水での1:2,500希釈液が、600nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで0.16〜0.38のUV吸収を有し、前記マゼンタインクの水での1:2,500希釈液が、520nm〜555nmで見出されるその吸収ピークで0.16〜0.36のUV吸収を有し、前記イエローインクの水での1:2,500希釈液が、380nm〜430nmで見出されるその吸収ピークで0.38〜0.68のUV吸収を有する、請求項13に記載のインクセット。
【請求項22】
低多孔質の又は非多孔質の媒体上に印刷する方法であって、
一定量のインクをインクセットから低多孔質又は非多孔質の媒体基体へとインクジェット噴射することを含み、当該インクセットが、
シアン顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むシアンインクであって、当該シアンインクの水での1:2,500希釈液が、610nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで0.048〜0.592吸収のUV吸収を有する、シアンインク、
ブラック顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むブラックインクであって、当該ブラックインクの水での1:2,500希釈液が、約500nmで0.04〜0.468吸収のUV吸収を有する、ブラックインク
を含む、方法。
【請求項23】
前記インクセットが、マゼンタインク及びイエローインクの少なくとも1つをさらに含み、
前記マゼンタインクが、マゼンタ顔料を0.75〜5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含み、前記マゼンタインクの水での1:2,500希釈液が、520nm〜555nmで見出されるその吸収ピークで0.068〜0.468のUV吸収を有し、
前記イエローインクが、イエロー顔料を1〜4.5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含み、前記イエローインクの水での1:2,500希釈液が、380nm〜430nmで見出されるその吸収ピークで0.176〜0.784のUV吸収を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
低多孔質の又は非多孔質の媒体上に印刷する方法であって、一定量のインクをインクセットから低多孔質又は非多孔質の媒体基体へとインクジェット噴射することを含み、前記インクセットが、
シアン顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むシアンインクであって、当該シアンインクの水での1:2,500希釈液が、610nm〜630nmで見出されるその吸収ピークで、0.048〜0.592吸収のUV吸収を有する、シアンインク;
マゼンタ顔料を0.75〜5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むマゼンタインクであって、当該マゼンタインクの水での1:2,500希釈液が、520nm〜555nmで見出されるその吸収ピークで0.068〜0.468のUV吸収を有する、マゼンタインク;並びに
イエロー顔料を1〜4.5固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含むイエローインクであって、当該イエローインクの水での1:2,500希釈液が、380nm〜430nmで見出されるその吸収ピークで0.176〜0.784のUV吸収を有する、イエローインク
を含む、方法。
【請求項25】
前記インクセットが、ブラックインクをさらに含み、当該ブラックインクが、ブラック顔料を0.25〜3固体重量%、及びラテックスポリマーを4〜15固体重量%含み、当該ブラックインクの水での1:2,500希釈液が、500nmで0.04〜0.468吸収のUV吸収を有する、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2011−506672(P2011−506672A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537905(P2010−537905)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025627
【国際公開番号】WO2009/078830
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】