説明

ラテックスポリマの調製方法

【課題】ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減するラテックスポリマの調製方法を提供する。
【解決手段】(i)アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する水相調製工程と、(ii)アニオン性界面活性剤を用いてモノマ類の水性エマルションを調製する水性エマルション調製工程と、(iii)水性エマルションの一部と遊離基開始剤とを水相に加え、種重合を開始して種ポリマを生成する種ポリマ生成工程と、(iv)種ポリマ生成工程で得られた組成物に水性エマルションを加えて乳化重合を行い、ラテックスポリマを生成するラテックスポリマ生成工程と、を含み、水相調製工程および水性エマルション調製工程において使用するアニオン性界面活性剤の逆相高速液体クロマトグラフ分析にて、分析カラムとしてフェニル基修飾を施したシリカゲルカラムを用い、移動相として0.1vol%リン酸水:アセトニトリル=65:35の混合液を用いる条件下での、アニオン性界面活性剤の有意な吸収波長におけるUV検出クロマトグラムにおいて、アニオン性界面活性剤の主成分ピークの保持時間をRtmain、(0.45×Rtmain)以上(0.60×Rtmain)以下の保持時間となる成分のピーク面積をSx、アニオン性界面活性剤全体のピーク面積をSとしたときに、Sx/S≦0.037であるラテックスポリマの調製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックスポリマの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に静電潜像を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
【0003】
トナーは、通常、熱可塑性樹脂が顔料などの着色剤、帯電制御剤、およびワックスなどの離型剤を内包した形態をとる。トナーの製造方法としては、熱可塑性樹脂を着色剤、帯電制御剤、およびワックスなどとともに溶融混練し、冷却した後、粉砕し、さらに分級する混練粉砕法がかつては一般的であった。
【0004】
最近は情報化社会の進展により、様々な手法で構築された情報ドキュメントを、より高い画質の画像で提供することが求められている。電子写真法を用いる画像形成法においてもこの要求は例外ではない。特に電子写真法においては、カラー画像形成における、より高精細な画像を実現するために、トナーの小径化とシャープな粒度分布とを有するトナーが求められている。このような要求から、混錬粉砕法よりもトナーの小径化とシャープな粒度分布のトナーが得られる製造方法として、熱可塑性樹脂の乳化物と着色剤、帯電制御剤、およびワックスなどとを水系または非水系分散媒中に分散させて製造する、乳化重合凝集法や懸濁重合法といった湿式製法が近年の主流となりつつある。
【0005】
当該技術においては、バッチ式または半連続式乳化重合などにより生成したラテックスポリマと、着色剤とを凝集させてトナーとする方法が知られている。例えば、特許文献1は、種ポリマの生成後にラテックスを調製する半連続式乳化重合法に関するもので、次の工程を含むラテックスポリマの調製法が記載されている。
(i)モノマ類と、連鎖移動剤と、ジスルホン酸界面活性剤(類)と、必要に応じて遊離基開始剤とを含む、モノマ類の乳化を行う工程と、
(ii)(i)で調製したモノマエマルションの約0.5〜約50質量%、望ましくは約3〜約25質量%のモノマエマルション部分(a)と、ラテックスポリマの調製に用いる全遊離基開始剤の約0.5〜約100質量%、望ましくは約3〜約100質量%の遊離基開始剤(b)とを含む混合物を、約35〜約125℃の温度で乳化重合して、種粒子ラテックスを調製する工程と、
(iii)生成した種粒子を、約35〜約125℃の温度に加熱し、(i)で調製したモノマエマルションの約50〜約99.5質量%、望ましくは約75〜約97質量%の残りのモノマエマルションと、必要に応じて、ラテックスポリマの調製に用いる全遊離基開始剤の約0〜約99.5質量%、望ましくは約0〜約97質量%の遊離基開始剤とを加える工程と、
(iv)上記の反応器中の内容物を、約35〜約125℃の温度で、ラテックスポリマの生成に効果的な時間、例えば約0.5〜約8時間、望ましくは約1.5〜約6時間保持した後、放冷する工程と、を含む。
【0006】
また、特許文献1には、エマルション凝集によるトナー粒子の調製に用いるラテックスを、アニオン性界面活性剤の添加量を調節し、非イオン性界面活性剤を使用せずに調製する調製方法が記載されている。
【0007】
上記調製法により得られたラテックスポリマは、例えば、次のような方法でトナーの調製に用いられる。上述した方法で調製したラテックスポリマと、少なくとも着色剤を含む複数種の分散液に、必要に応じて凝集剤、電荷添加剤および他の添加剤のうち少なくとも1つを混合し、得られた混合物をラテックスポリマのガラス転移温度(Tg)近辺の温度、望ましくはラテックスポリマのTg±10℃で、効果的な時間、例えば1時間以上8時間以下加熱して、トナー大の凝集体を生成する。次に、凝集体懸濁液を、ラテックスポリマのTgまたはそれより高い温度、例えば約60℃以上約120℃以下に加熱して合体または融合すると共にトナー形状を制御する。この際、トナー形状の制御性は、粒子表面の親水性度、すなわちラテックスポリマ粒子表面の親水性度等に影響される。この、ラテックスポリマ粒子表面の親水性度を調整するため、ラテックスポリマ生成の際のモノマエマルション中に不飽和脂肪族カルボン酸エステルモノマ(例えば、エチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマ)等を存在させる方法が用いられている。このようにして造粒されたトナー粒子は、ろ過等の手段で母液から分離して、必要に応じてイオン交換水等で洗浄した後、乾燥する。
【0008】
また、特許文献2には、種ポリマを生成する工程において、水溶性開始剤の添加速度を規定することによってラテックスポリマ粒子径や分子量のバラツキを抑制し、所望のラテックス特性を得るラテックスポリマの調製方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−247607号公報
【特許文献2】特開2006−1981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減するラテックスポリマの調製方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(i)アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する水相調製工程と、(ii)アニオン性界面活性剤を用いてモノマ類の水性エマルションを調製する水性エマルション調製工程と、(iii)前記水性エマルションの一部と遊離基開始剤とを前記水相に加え、種重合を開始して種ポリマを生成する種ポリマ生成工程と、(iv)前記種ポリマ生成工程で得られた組成物に前記水性エマルションを加えて乳化重合を行い、ラテックスポリマを生成するラテックスポリマ生成工程と、を含み、前記水相調製工程および前記水性エマルション調製工程において使用するアニオン性界面活性剤の逆相高速液体クロマトグラフ分析にて、分析カラムとしてフェニル基修飾を施したシリカゲルカラムを用い、移動相として0.1vol%リン酸水:アセトニトリル=65:35の混合液を用いる条件下での、前記アニオン性界面活性剤の有意な吸収波長におけるUV検出クロマトグラムにおいて、前記アニオン性界面活性剤の主成分ピークの保持時間をRtmain、(0.45×Rtmain)以上(0.60×Rtmain)以下の保持時間となる成分のピーク面積をSx、前記アニオン性界面活性剤全体のピーク面積をSとしたときに、Sx/S≦0.037であるラテックスポリマの調製方法である。
【0012】
また、前記ラテックスポリマの調製方法において、前記アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸構造を有することが好ましい。
【0013】
また、前記ラテックスポリマの調製方法において、前記アニオン性界面活性剤が、前記アルキルベンゼンスルホン酸構造を2つ以上有することが好ましい。
【0014】
また、前記ラテックスポリマの調製方法において、前記2つ以上のアルキルベンゼンスルホン酸構造が、エーテル結合で結合していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によれば、本構成を有さない場合に比較して、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減するラテックスポリマの調製方法を提供する。
【0016】
本発明の請求項2によれば、アニオン性界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸構造を有さない場合に比較して、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減する効果をより発揮する。
【0017】
本発明の請求項3によれば、アニオン性界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸構造を2つ以上有さない場合に比較して、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減する効果をより発揮する。
【0018】
本発明の請求項4によれば、2つ以上のアルキルベンゼンスルホン酸構造がエーテル結合で結合していない場合に比較して、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減する効果をより発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態および実施例2における、テトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス2A1(登録商標))100mg/L水溶液のHPLC分析による、UV236nmにおけるクロマトグラムの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施例1〜4、比較例1〜5におけるSx/Sとラテックスの個数平均粒子径D50との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例1〜4、比較例1〜5におけるSx/Sとラテックス粒度分布D84/D16との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0021】
既知の半連続式乳化重合法では、例えば、モノマ類の水性エマルションを調製した後、該エマルションの一部を反応槽に添加し、続いて遊離基開始剤を添加して、種ポリマを生成し、その後、反応槽に残りの水性エマルションを添加して随時反応させる形態をとるが、前記種ポリマの品質によっては、所望のラテックス特性が得られない、粗大粒子を多量に含む、あるいはトナー化工程において凝集・融合工程等における製造性が悪化する等の影響が発生することがある。またトナーの品質上においても剥離性悪化、グロス低下等の問題を生じることがある。
【0022】
また、前記モノマ類の水性エマルションの品質によっては、しばしばラテックス粒子径や分子量のバラツキなどが起こり、所望のラテックス特性が得られないばかりか、エマルション添加時のエマルション破壊、セジメントの多発生等、粗大粒子混入の原因や、安定生産上の障害になる等の問題が発生する場合がある。このようにして粗大粒子が混入してしまったラテックスを用いたトナーは、OHP透過性の悪化等の問題を生じることがある。
【0023】
また、上述した既知のラテックスポリマの調製方法は、調製中の分散液の撹拌、重合時の不均一性などから樹脂粗大成分が発生することがある。そして、大きな樹脂粗大成分が発生した場合、槽内容物の排出が困難となる可能性があり、また、粗大成分を含有した樹脂粒子分散液を用いて作製したトナーを用いた場合、着色剤未含有物によるミクロな画像白抜けや電荷制御剤、ワックス等の添加成分未含有による定着不良などの画質ディフェクトを生じさせるなどの問題が発生することがある。
【0024】
また、例えば、水溶性開始剤の添加速度を規定の範囲とすることでラテックス粒子径や分子量のバラツキなどは抑制されるものの、使用するアニオン性界面活性剤の組成(副成分や不純物、添加物など)によってもラテックス粒子径および粒度分布などが変化することがある。
【0025】
ラテックス粒子径と粒度分布の悪化は上記の問題に加え、顔料などの着色剤、帯電制御剤、およびワックス等のトナー粒子中の取り込みなどに影響を与える場合がある。例えば、ラテックス粒子径と粒度分布が製造毎に変動した場合、トナー粒子中への顔料取り込み量変動や、帯電制御剤、ワックス等の取り込み不良や偏在などを招くことがある。顔料取り込み量変動はトナー発色の変動を招き、所望の画像が得られないことになる。また、帯電制御剤や離型剤であるワックスのトナー粒子中における分散状態が変化した場合も印刷の画質などに問題が発生する場合がある。
【0026】
例えば、設計よりも粒径の大きな熱可塑性樹脂乳化粒子によって離型剤が局在化した場合、トナーを加熱加圧溶融して画像支持体に定着する際に、離型剤が十分にトナーから染み出さずに画像面を乱すことがあり、さらに剥離不良を起こし、画像面にスリップスティック現象による光沢班を生じたり、用紙に皺を残したり、定着装置に用紙を巻き込むなどといった問題を起こすことがある。
【0027】
電子写真用トナー製造などに用いるラテックスポリマの調製において、アニオン性界面活性剤は副成分や不純物、添加物などのほとんどない、できるだけ均一な組成であることが理想的といえる。
【0028】
しかしながら、界面活性剤の大部分が使用される洗浄用途、すなわち親水性物質と疎水性物質を混和し洗い流すという目的から言えば、非精製の界面活性剤でも十分に目的を達するため、界面活性剤の分子構造を揃えるような精製は現実的でない。界面活性剤は親水性と疎水性とを兼ね備えた材料であり、親水部位原料と疎水部位原料とを重合する工程を多段階経て製造されるため、均一な分子構造は困難である。精製は技術的には可能であるが、親水性と疎水性とを兼ね備えていること、また、親水性に由来する高沸点、多段階合成による元来の分子構造のばらつきなどから、精製手段が限られ、また、収率も望めないため、非常に精製コストが高くなるためである。
【0029】
すなわち実際の静電荷像現像用トナーの製造に用いるラテックスポリマの調製においては、コスト的また技術的に、アニオン性界面活性剤として副成分や不純物、添加物が含まれているものを用いざるを得ず、アニオン性界面活性剤に含まれている副成分や不純物、添加物などの量は製造毎に変動するので、ラテックスポリマの粒子径と粒度分布なども変化してしまい、最終的にトナー品質ばらつきが生じることがある。
【0030】
本発明者らは、鋭意検討した結果、アニオン性界面活性剤に含まれる副成分のうちラテックス粒子径や粒度分布の悪化に結びつく成分を見出し、これを本実施形態に係る方法における逆相高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析で検出、管理することで、所望のラテックス粒子径と粒度分布が再現性よく得られることを見出した。
【0031】
すなわち、本発明の実施形態に係るラテックスポリマの調製方法は、
(i)アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する水相調製工程と、
(ii)アニオン性界面活性剤を用いてモノマ類の水性エマルションを調製する水性エマルション調製工程と、
(iii)水性エマルションの一部と遊離基開始剤とを水相に加え、種重合を開始して種ポリマを生成する種ポリマ生成工程と、
(iv)種ポリマ生成工程で得られた組成物に水性エマルションを加えて乳化重合を行い、ラテックスポリマを生成するラテックスポリマ生成工程と、
を含み、
水相調製工程および水性エマルション調製工程において使用するアニオン性界面活性剤の逆相高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析にて、分析カラムとしてフェニル基修飾を施したシリカゲルカラムを用い、移動相として0.1vol%リン酸水:アセトニトリル=65:35の混合液を用いる条件下での、アニオン性界面活性剤の有意な吸収波長におけるUV検出クロマトグラムにおいて、アニオン性界面活性剤の主成分ピークの保持時間をRtmain、(0.45×Rtmain)以上(0.60×Rtmain)以下の保持時間となる成分のピーク面積をSx、アニオン性界面活性剤全体のピーク面積をSとしたときに、Sx/S≦0.037である。
【0032】
すなわち、アニオン性界面活性剤中の混合成分のうち、親水性が主成分に比べて高い成分のうちの特定の成分の含有量を上記基準値以下とですることで、安定的に粒子サイズの揃ったラテックスポリマが得られる。Sx/S>0.037であると、製造毎に粒子サイズが揃ったラテックスポリマを再現性よく得られない。
【0033】
このようなアニオン性界面活性剤を用いてラテックスポリマを作製すると、粒子サイズの揃ったものが得られる、すなわち、乳化粒子の平均粒子径D50が揃う。その結果、この乳化液を用いて乳化重合凝集法などによって製造したトナーの品質(例えば、粒度分布、顔料分散性など)のばらつきが少なくなる。
【0034】
すなわち、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減することができると共に、得られたラテックスポリマを用いてトナーを製造した際には高品質な静電荷像現像用トナーが得られる。
【0035】
上記条件においてアニオン性界面活性剤を逆相HPLC分析したときに、Sx/S≦0.037であるが、Sx/S≦0.035であることが好ましい。
【0036】
[ラテックスポリマの調製方法]
本実施形態に係るラテックスポリマの調製方法について以下説明する。
<水相調製工程>
まず、アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する。水相を調製するには、通常、界面活性剤を水に加え、撹拌、混合すればよい。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水などの水を用いればよい。
【0037】
<水性エマルション調製工程>
また、アニオン性界面活性剤を用いてモノマ類の水性エマルション(モノマエマルション)を調製する。水性エマルションを調製するには、通常、モノマと界面活性剤とを水に加え、撹拌してエマルションとすればよい。
【0038】
ラテックスポリマの調製に用いる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤を用いるが、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを用いてもよい。一般的にはアニオン性界面活性剤が、分散力が強く、樹脂粒子、着色剤の分散に優れているため、アニオン性界面活性剤を用いる。
【0039】
上記アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム;ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩類;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類;ジフェニルオキシドジスルホン酸塩類;アルキルベンゼンスルホン酸塩類;アルキルナフタレンスルホン酸塩類および硫酸塩類等、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0040】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジエチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼントリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;などが挙げられる。
【0041】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類;などが挙げられる。
【0042】
水相には、上記に挙げるものなど、どのようなアニオン性界面活性剤を用いてもよく、水相中のアニオン性界面活性剤は、水性エマルションの生成に用いるアニオン性界面活性剤と同じものであっても、異なるものであってもよい。
【0043】
得られるラテックスポリマ分散液中における界面活性剤の含有量としては、本実施形態における効果を阻害しない程度であればよく、一般的には少量であり、具体的にはラテックスポリマ分散液の全重量に対して0.01質量%以上10質量%以下程度の範囲であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下の範囲であることがより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下程度の範囲であることがさらに好ましい。含有量が0.01質量%未満であると、ラテックスポリマ分散液が不安定になり、そのため凝集を生じたり、またトナー製造における凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じる等の問題が生じる場合がある。また、10質量%を超えると、ラテックスポリマ粒子の粒度分布が広くなったり、また、ラテックスポリマ粒子径の制御が困難になる等の場合がある。一般的には粒子径の大きいラテックスポリマ分散物は、界面活性剤の使用量は少量でも安定である。
【0044】
アニオン性界面活性剤は、ラテックスポリマの生産効率と品質を向上かつ安定させ、生産コストを削減する効果をより発揮するなどの点で、アルキルベンゼンスルホン酸構造を有することが好ましく、分子中にベンゼンスルホン酸構造を2つ以上有することがより好ましく、2つ以上のベンゼンスルホン酸構造がエーテル結合で結合している構造であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、テトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムなどのジフェニルオキシドジスルホン酸塩類のアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0045】
2つ以上のベンゼンスルホン酸構造がエーテル結合で結合している構造を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、Dowfax 2A−1(ダウケミカル社製)などが挙げられる。
【0046】
本実施形態では、水相調製工程および水性エマルション調製工程において使用するアニオン性界面活性剤が含有する副成分の一部を検出するため、下記の条件で逆相HPLC分析を行う。
【0047】
HPLC装置:日立高速液体クロマトグラフ LaChromElite(L−2000シリーズ)(株)日立ハイテクノロジーズ製
送液ポンプ:L−2100形ポンプ
移動相:0.1vol%リン酸水(pH2.4)/アセトニトリル=65/35
送液速度:0.25mL/min
サンプラ:L−2200形オートサンプラ
サンプル注入量:10μL
検出器:L−2455形ダイオードアレイ検出器
測定波長:UV190nm以上400nm以下
定量波長:UV236nm
分析時間:40分以上
カラム:Inertsil Ph3(5μm)φ4.6×250mm、GLサイエンス製
カラム温度:50℃±1℃
サンプル:使用するアニオン性界面活性剤の100mg/L水溶液
ピーク解析条件:ピーク分離は垂直分割処理にて行う
【0048】
ここで、Inertsil Ph3(GLサイエンス製)は、フェニル基修飾を施したシリカゲルカラムである。また、「アニオン性界面活性剤の有意な吸収波長」とは、200nm以上400nm以下の範囲のUVスペクトル測定にて、吸収極大を持つ波長であることを意味し、複数の吸収極大を持つ場合は、検出に問題ないレベルの吸光度がある範囲で(分析装置の検出能力により異なる)雑成分の影響を避けるため、長波長側の吸収極大を持つ波長を選択することが好ましい。例えば、アニオン性界面活性剤がDowfax 2A−1(ダウケミカル社製)の場合は、吸収極大波長はUV210nmおよびUV236nmであり、夾雑成分の影響を避ける意味で、長波長側の236nmを選択することが好ましい。
【0049】
アニオン性界面活性剤として、一部を分取クロマトグラフィ(GLサイエンス製、PLC561型)にて精製処理したテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス2A1(登録商標))を35%混合した際の検出波長236nmにおけるクロマトグラムの一例を図1に示す。
【0050】
アニオン性界面活性剤の主成分のピーク保持時間RTmainに対して、(0.45×RTmain)以上(0.60×RTmain)以下の保持時間となる成分のピーク面積Sxが、アニオン性界面活性剤全体のピーク面積Sに対して、Sx/S≦0.037であることで、副成分のうちラテックス粒子径や粒度分布などの悪化を抑制し、所望のラテックス粒子径と粒度分布が再現性よく得られる。
【0051】
図1の例では、28.08分が主成分のピークである。RTmain=28.08分とすると、(0.45×RTmain)以上(0.60×RTmain)以下のピークは、12.64分以上16.85分以下の範囲にあるピークが該当し、SxはSに対して3.405%となる。
【0052】
本実施形態に係るラテックスポリマの調製方法においては、上記逆相HPLC分析方法によって、用いるアニオン性界面活性剤に含まれる特定の成分を検出、管理し、Sx/S≦0.037であるアニオン性界面活性剤を選択して用い、ラテックスポリマを調製すればよい。また、例えば、精製処理により、上記ピーク面積Sxを有するアニオン性界面活性剤を得てもよい。精製処理は、蒸留や分注、イオン交換、機能膜分離、分取クロマトグラフィなど、公知の方法を用いればよい。また、同種の界面活性剤であれば、上記特定成分の少ないアニオン性界面活性剤と、上記特定成分の多いアニオン性界面活性剤とを混合して、Sx/S≦0.037としてもよい。例えば、上記特定成分の多いアニオン性界面活性剤を精製した後、未精製の界面活性剤と混合してSx/S≦0.037とすればよい。
【0053】
本実施形態ではラテックスポリマの生成に1種以上のモノマを使用する。適当であればどのようなモノマを使用してもよい。本実施形態において有用なモノマ類は以下のようなものが挙げられ、これらのモノマ類により得られる樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂などを挙げることができる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体または共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体または共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂;およびこれら非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
これら樹脂の中でもビニル系樹脂が特に好ましい。ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合等により樹脂分散液を容易に調製できる点で有利である。ビニル系樹脂の具体例としては、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体または共重合体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体または共重合体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体または共重合体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体または共重合体;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類の単独重合体または共重合体;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体または共重合体;などが挙げられる。
【0055】
なお、トナー形状制御性などの観点から、エチレン性不飽和カルボン酸類を含ませることが好ましい。適当なエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸二量体(例えば、アクリル酸2−カルボキシエチル(β−CEA))、アクリル酸三量体等である。より具体的には、スチレン、アクリル酸n−ブチル、およびアクリル酸2−カルボキシルエチルを含むモノマ類を含ませることが好ましい。
【0056】
これらモノマ類を、水とアニオン性界面活性剤と混合して水性エマルションとする。乳化時の温度は一般に、5℃以上70℃以下の範囲が好ましく、5℃以上40℃以下の範囲がより好ましいが、より高い温度でもエマルションは生成する。
【0057】
水性エマルションには、必要に応じて架橋剤を添加してもよい。このような架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3'−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類;、ジアクリル酸エステル類、ジメタクリル酸エステル類、等が挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0058】
上記架橋剤のうち、トナー製造時における凝集、融合状態で結着樹脂を必要以上に高粘度にしないために、冷却時における離型剤のトナー表面への析出を抑制するブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類などを用いることが好ましい。
【0059】
前記架橋剤の好ましい含有量は、重合性単量体(モノマ)総量の0.05質量%以上5質量%以下の範囲が好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下の範囲がより好ましい。架橋剤は、あらかじめ水性エマルションに添加してもよいし、水相への水性エマルションの添加の後に加えてもよいし、または水相への水性エマルションの添加と同時に加えてもよい。
【0060】
さらに、生成するポリマの分子量を調整するため、水性エマルションに連鎖移動剤を加えることが好ましい。本実施形態で用いる連鎖移動剤としては、具体的には炭素原子と硫黄原子との共有結合を持つものが好ましく、より具体的には、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−アミルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ノニルメルカプタン、n−デシルメルカプタン等のn−アルキルメルカプタン類;イソプロピルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、s−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、tert−ヘキサデシルメルカプタン、tert−ラウリルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−オクチルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等の分鎖型または環状型アルキルメルカプタン類;アリルメルカプタン、3−フェニルプロピルメルカプタン、フェニルメルカプタン、メルカプトトリフェニルメタン等の含芳香環系のメルカプタン類;ドデカンチオール、ブタンチオール、3−メルカプトプロピオン酸イソオクチル(IOMP)、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、四塩化炭素、四臭化炭素、等が挙げられるが、これらに限るものではない。これらの連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0061】
連鎖移動剤は効果的な量、例えば水性エマルション中のモノマの約0.1質量%以上約10質量%以下を用いればよい。また、連鎖移動剤は、あらかじめ水性エマルションに添加してもよいし、水相への水性エマルションの添加の後に加えてもよいし、または水相への水性エマルションの添加と同時に加えてもよい。
【0062】
<種ポリマ生成工程>
次に、水性エマルションの一部と遊離基開始剤とを水相に加え、種重合を開始して種ポリマを生成する。例えば、水性エマルション調製工程により水性エマルション(モノマエマルション)が生成したら、水性エマルションの好ましくは25質量%以下を、水とアニオン性界面活性剤とを混合した水相に加えて混合し、続いて遊離基開始剤を加え、所望の反応温度で種重合を開始する。
【0063】
種ポリマを生成するため、水性エマルションの一部を水相に加える。水相に含まれるアニオン性界面活性剤は、ラテックスポリマの生成に用いるアニオン性界面活性剤の全量の50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、水相に含まれるのは、ラテックスポリマの生成に用いるアニオン性界面活性剤の全量の0.5質量%以上10質量%以下である。
【0064】
種ポリマの生成に用いるモノマ部分は、通常、ラテックスポリマの調製に用いるモノマの全量の約0.25質量%以上約25質量%以下であることが好ましい。種ポリマの生成に用いるモノマ量は、ラテックスポリマの生成に用いるモノマの全量の約0.5質量%以上約10質量%以下であることがより好ましく、約0.5質量%以上約3質量%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
遊離基開始剤としては、適当な水溶性開始剤を用いればよく、具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル、重硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、等の過酸化物類;等が挙げられるが、これらに限るものではない。これらの遊離基開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。好ましい遊離基開始剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の、過硫酸開始剤である。遊離基開始剤は、通常、水溶液として水相に加えればよい。遊離基開始剤は、水性エマルションにあらかじめ加えてもよい。
【0066】
ラテックスポリマの生成に用いる遊離基開始剤の量は、通常、重合すべきモノマの約0.1質量%以上約10質量%以下の範囲が好ましい。ラテックスポリマの調製に用いる遊離基開始剤の全量を、種ポリマ生成工程で加えてもよい。遊離基開始剤の添加速度を全モノマ100モル%に対し、0.03モル量%/分以上0.11モル%/分以下とすることが好ましく、0.05モル量%/分以上0.09モル%/分以下とすることがより好ましい。遊離基開始剤の添加速度が全モノマ100モル%に対し0.03モル%/分より低いと、ラテックスの平均粒子径が小さくなりすぎ、トナー化工程において特に凝集性が悪化するほか、画像を定着する際の剥離性も悪化し、製造上および品質上に多大な悪影響を及ぼす場合がある。また、遊離基開始剤の添加速度が全モノマ100モル%に対し0.11モル%/分より大きいと、ラテックスの平均粒子径が大きくなりすぎ、粗大粒子を多量に含み、ラテックスの製造性が悪化するほか、画質面においてはグロスが低下するなど、製造上および品質上に多大な悪影響を及ぼす場合がある。
【0067】
種ポリマの生成では、通常、好ましくは約35℃以上約150℃以下の温度、より好ましくは約50℃以上約95℃以下の温度で乳化重合を行うことがより好ましい。
【0068】
<ラテックスポリマ生成工程>
そして、種ポリマ生成工程で得られた組成物に水性エマルションを加えて乳化重合を行い、ラテックスポリマを生成する。例えば、種ポリマ粒子の生成後、この組成物にモノマエマルション(水性エマルション)の残りを追加し、所望の温度で所望の時間、重合を続けて重合を完了し、ラテックスポリマを生成し、ラテックスポリマ分散液が得られる。
【0069】
追加モノマは前述のように水中に乳化して、エマルションの形態としてもよいが、モノマのままでもよい。この段階で追加モノマに、モノマ構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を混合してもよい。この際、追加モノマに対して、モノマ構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を分割し、種ポリマにモノマを追加している途中で複数回混合してもよいし、種ポリマにモノマを追加している際に連続的に、モノマ構造式中のエステル基内に親水基を有する不飽和脂肪族カルボン酸エステル類を混合していく形態でもよい。通常、追加モノマはポリマの生成に一部を使用した水性エマルションの残りである。
【0070】
乳化重合は通常、好ましくは約35℃以上約150℃以下の温度、より好ましくは約50℃以上約95℃以下の温度で行う。追加モノマは通常、効果的な時間、好ましくは0.5時間以上8時間以下、より好ましくは2時間以上6時間以下かけてこの組成物に加える。
【0071】
さらに、種重合の後に遊離基開始剤を追加してもよい。反応のこの段階で遊離基開始剤を追加する場合、遊離基開始剤は、種ポリマの生成で加えたものと同じ種類のものであっても、異なる種類のものであってもよい。
【0072】
本実施形態に係るラテックスポリマの調製方法で生成するラテックスポリマの具体例としては、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−カルボキシエチル)、上記の分枝または部分架橋共重合体、等の既知のポリマ類が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0073】
本実施形態に係るラテックスポリマの調製方法により調製されるラテックスポリマ分散液は、例えば、乳化重合凝集法などの湿式製法における樹脂粒子分散液などとして使用して、トナーの製造に用いればよい。これにより、品質のばらつきが少ないトナーが得られる。例えば、上記調製法により得られたラテックスポリマを含む樹脂粒子分散液と、少なくとも着色剤を含む複数種の分散液に、必要に応じて離型剤、凝集剤、電荷添加剤および他の添加剤のうち少なくとも1つを混合し、得られた混合物をラテックスポリマのガラス転移温度(Tg)近辺の温度、好ましくはラテックスポリマのTg±10℃で、効果的な時間、例えば1時間以上8時間以下加熱して、トナー大の凝集体を生成する(凝集工程)。次に、凝集粒子懸濁液を、ラテックスポリマのTgまたはそれより高い温度、例えば約60℃以上約120℃以下に加熱して合体または融合すると共にトナー形状を制御する(融合工程)。このようにして造粒されたトナー粒子を、ろ過等の手段で母液から分離して、必要に応じてイオン交換水等で洗浄(洗浄工程)した後、乾燥する(乾燥工程)。
【0074】
また、トナーの製造以外にも、例えば、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等の分野において用いてもよい。
【0075】
本実施形態に係るラテックスポリマの調製方法により調製したラテックスポリマを用いて製造されるトナーは、単独で用いて一成分系の静電荷像現像用現像剤としてもよいし、キャリアと組み合わせて用い二成分系の静電荷像現像用現像剤としてもよい。
【0076】
本実施形態に係るラテックスポリマの調製方法により調製したラテックスポリマを用いて製造されるトナーは、例えば、電子写真法などの画像形成装置において用いられる。画像形成装置は、例えば、像保持体と、像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、静電潜像を現像剤を用いて現像してトナー画像を形成する現像手段と、現像されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含み、現像剤として、前記静電荷像現像用現像剤が用いられる。また、画像形成装置は、上記した手段以外の手段、例えば、像保持体を帯電する帯電手段、被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段、像保持体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段等を含むものであってもよい。転写方式としては、紙等の被転写体に直接転写する方式でも、中間転写体を介して被転写体に転写する方式でもよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例1)
[ラテックスポリマの調製]
アニオン性界面活性剤として分取クロマトグラフィによって精製したテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス2A1(登録商標)、ダウケミカル社製)と未精製物の混合品、遊離基開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)、架橋剤としてジアクリル酸デカンジオール(A−DOD(登録商標))、連鎖移動剤としてドデカンチオールを用いた乳化重合凝集法により、組成比(モル)76.5/23.5/3の、スチレン/アクリル酸n−ブチル/β−CEA共重合体を含む、ラテックスポリマを合成した。
【0079】
ラテックスポリマの具体的な調製方法を以下に示す。
【0080】
<アニオン性界面活性剤の調製>
アニオン性界面活性剤(ダウファクス2A1(登録商標))を分取クロマトグラフィを用いて、下記の条件で精製し、先のHPLC分析で保持時間16.9分以上の成分を回収した。分取クロマトグラフィで得られた回収液は、ロータリエバポレータを用いて、塩酸とアセトニトリルを除去した。
HPLC装置:PLC561型(GLサイエンス製)
移動相:pH2.4 塩酸/アセトニトリル=65/35
送液速度:0.25mL/min
サンプラ:L−2200形オートサンプラ
サンプル注入量:1.0mL
定量波長:UV236nm
分析時間:40分以上
カラム:Inertsil Ph3(5μm)φ20×250mm、GLサイエンス製
カラム温度:50℃±1℃
【0081】
精製前のアニオン性界面活性剤、精製後のアニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、精製前はSx/S=0.05124、精製後はSxに該当する成分は除去されており、Sx=0であった。精製したアニオン性界面活性剤と、未精製のアニオン性界面活性剤とを35.0:65.0の割合で混合した。
【0082】
混合したアニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.03395であった。
【0083】
<水相調製工程>
ジャケット付き反応器に、556質量部の脱イオン水と、1.0質量部の上記混合したアニオン性界面活性剤とを入れ、水相を作製した。160rpmにて撹拌し、温度を75℃に上げた。
【0084】
<水性エマルション調製工程>
また、別の乳化槽で、モノマ混合物(460質量部のスチレンと、140質量部のアクリル酸n−ブチルと、18質量部のアクリル酸2−カルボキシエチル(β―CEA)と、2質量部のジアクリル酸デカンジオール(A−DOD)と、4.5質量部の1−ドデカンチオール)と、250質量部の脱イオン水に12.0質量部の上記混合したアニオン性界面活性剤を加えたものとを、室温(25℃)で撹拌翼にて撹拌周速度5m/sで60分間混合して、水性エマルションを調製した。
【0085】
<種ポリマ生成工程>
次いで、この水性エマルションから9質量部の種用モノマエマルションを取り、2分間かけてポンプで水相の入った反応器に入れた。その5分後、9質量部の過硫酸アンモニウムを43質量部の脱イオン水に溶解して調製した遊離基開始剤水溶液を、10分かけて加えた(全モノマ100モル%に対して0.11モル%/分)。さらに30分間撹拌を続け、種ポリマを生成させた。
【0086】
<ラテックスポリマ生成工程>
次に残りの水性エマルションを、3質量部/分で反応器に加えた。水性エマルションの残りが、全水性エマルションの50重量%に達した時、水性エマルションに新たに5質量部の1−ドデカンチオールを加え、10分間撹拌した後、4質量部/分の速度で反応器へと全量添加した。モノマ添加後、この組成物を75℃で180分間後加熱して反応を完了し、放冷した。反応の間、反応系には窒素気流を流し、脱酸素化した。
【0087】
この結果、個数平均粒子径D50=212.9nm、個数16%粒子径D16=185.9nm、個数84%粒子径D84=234.1nm、D84/D16=1.26のラテックス1が得られた。平均粒子径の測定は、日機装株式会社製マイクロトラックを用いた。
【0088】
(実施例2)
精製したアニオン性界面活性剤と、未精製のアニオン性界面活性剤とを33.5:66.5の割合で混合した混合アニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス2を調製した。
【0089】
この混合アニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.03405であった。図1に、UV236nmにおけるクロマトグラムを示す。
【0090】
この結果、個数平均粒子径D50=213.9nm、個数16%粒子径D16=183.0nm、個数84%粒子径D84=239.7nm、D84/D16=1.31のラテックス2が得られた。
【0091】
(実施例3)
精製したアニオン性界面活性剤と、未精製のアニオン性界面活性剤とを29.2:70.8の割合で混合した混合アニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス3を調製した。
【0092】
この混合アニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.03632であった。
【0093】
この結果、個数平均粒子径D50=215.1nm、個数16%粒子径D16=185.3nm、個数84%粒子径D84=239.0nm、D84/D16=1.29のラテックス3が得られた。
【0094】
(実施例4)
精製したアニオン性界面活性剤と、未精製のアニオン性界面活性剤とを28.6:71.3の割合で混合した混合アニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス4を調製した。
【0095】
この混合アニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.03658であった。
【0096】
この結果、個数平均粒子径D50=227.8nm、個数16%粒子径D16=205.0nm、個数84%粒子径D84=263.9nm、D84/D16=1.29のラテックス4が得られた。
【0097】
(比較例1)
精製したアニオン性界面活性剤と、未精製のアニオン性界面活性剤とを18.7:81.3の割合で混合した混合アニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス5を調製した。
【0098】
この混合アニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.04165であった。
【0099】
この結果、個数平均粒子径D50=247.6nm、個数16%粒子径D16=212.3nm、個数84%粒子径D84=287.8nm、D84/D16=1.36のラテックス5が得られた。
【0100】
(比較例2)
精製したアニオン性界面活性剤と、未精製のアニオン性界面活性剤とを18.4:81.6の割合で混合した混合アニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス6を調製した。
【0101】
この混合アニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.04178であった。
【0102】
この結果、個数平均粒子径D50=266.3nm、個数16%粒子径D16=215.3nm、個数84%粒子径D84=323.8nm、D84/D16=1.50のラテックス6が得られた。
【0103】
(比較例3)
精製したアニオン性界面活性剤を混合せずに、未精製のアニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス7を合成した。
【0104】
このアニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.05124であった。
【0105】
この結果、個数平均粒子径D50=231.1nm、個数16%粒子径D16=192.0nm、個数84%粒子径D84=274.8nm、D84/D16=1.43のラテックス7が得られた。
【0106】
(比較例4)
精製したアニオン性界面活性剤を混合せずに、未精製のアニオン性界面活性剤(実施例1〜4および比較例1〜3とは別の製造ロット)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でラテックス8を合成した。
【0107】
このアニオン性界面活性剤100mg/L希釈液をHPLC分析したところ、Sx/S=0.04987であった。
【0108】
この結果、個数平均粒子径D50=232.0nm、個数16%粒子径D16=196.8nm、個数84%粒子径D84=283.2nm、D84/D16=1.44のラテックス8が得られた。
【0109】
実施例1〜4、比較例1〜4のクロマトグラム保持時間(分)とピーク面積比(%)とを表1に示す。また、実施例1〜4、比較例1〜4のSx/S、ラテックスの個数平均粒子径D50、粒度分布D84/D16を表2に、Sx/Sとラテックスの個数平均粒子径D50との関係を図2に、Sx/Sとラテックスの粒度分布D84/D16との関係を図3に、それぞれ示す。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
このように、Sx/S≦0.037の範囲では、ラテックスの個数平均粒子径D50ならびに粒度分布D84/D16ともにばらつきが少ないが、Sx/S>0.037となると、D50のばらつきが大きく、また粒度分布D84/D16が悪化している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アニオン性界面活性剤を含む水相を調製する水相調製工程と、
(ii)アニオン性界面活性剤を用いてモノマ類の水性エマルションを調製する水性エマルション調製工程と、
(iii)前記水性エマルションの一部と遊離基開始剤とを前記水相に加え、種重合を開始して種ポリマを生成する種ポリマ生成工程と、
(iv)前記種ポリマ生成工程で得られた組成物に前記水性エマルションを加えて乳化重合を行い、ラテックスポリマを生成するラテックスポリマ生成工程と、
を含み、
前記水相調製工程および前記水性エマルション調製工程において使用するアニオン性界面活性剤の逆相高速液体クロマトグラフ分析にて、分析カラムとしてフェニル基修飾を施したシリカゲルカラムを用い、移動相として0.1vol%リン酸水:アセトニトリル=65:35の混合液を用いる条件下での、前記アニオン性界面活性剤の有意な吸収波長におけるUV検出クロマトグラムにおいて、前記アニオン性界面活性剤の主成分ピークの保持時間をRtmain、(0.45×Rtmain)以上(0.60×Rtmain)以下の保持時間となる成分のピーク面積をSx、前記アニオン性界面活性剤全体のピーク面積をSとしたときに、Sx/S≦0.037であることを特徴とするラテックスポリマの調製方法。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のラテックスポリマの調製方法。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性剤が、前記アルキルベンゼンスルホン酸構造を2つ以上有することを特徴とする、請求項2に記載のラテックスポリマの調製方法。
【請求項4】
前記2つ以上のアルキルベンゼンスルホン酸構造が、エーテル結合で結合していることを特徴とする、請求項3に記載のラテックスポリマの調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−222515(P2010−222515A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73377(P2009−73377)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】