説明

ラパマイシンの精製

精製ラパマイシン、および該精製ラパマイシンを得るための化学的方法を開示する。本発明は、ラパマイシン精製の代替法としての化学的方法を提供する。この方法は、イソプロパノール再結晶の際に、母液から回収された粗ラパマイシンまたは第二収集物に有用である。この物質は、一般に、濃褐色であり、低純度であり、低いB:C異性体比を有する。該精製法は、ラパマイシンをクロロトリメチルシランで処理して31,42−ビス−トリメチルシリルエーテルを得ること、ヘプタン抽出、および31,42−ビス−トリメチルシリルエーテルを脱保護して精製ラパマイシン生成物を得ること、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラパマイシンの精製の化学的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラパマイシンは、ストレプトマイセスハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)によって自然に産生される大環状トリエン抗生物質である。それは、その抗腫瘍および免疫抑制作用に基づく多くの適用において、有用であることが見出されている。用途は、全身性エリテマトーデス、肺炎、インシュリン依存性糖尿病、血管手術後の平滑筋細胞増殖および内膜肥厚、成人T細胞白血病/リンパ腫、および眼炎症の、予防および治療を含む。ラパマイシンおよびラパマイシン誘導体は、これらおよびその他の症状の治療に関して研究が続けられている。
【0003】
下記の構造を有するラパマイシンの異性体が公知であり、本明細書において異性体Bおよび異性体Cと称される:
【化1】

【0004】
ラパマイシンの一般的な生成は、発酵による。発酵法は、不純物を含有する低品質のラパマイシン生成物を生じ、これは、純粋白色生成物と対照的に、着色していることが多い(問題となる黄色を含む)。現在の精製法は、イソプロパノール再結晶および/またはチャコール処理法を必要とする。これらの方法によって得られる生成物は、約94%の純度(異性体BおよびCの各純度の合計に基づく)、および約2の黄色度指数を有する。ラパマイシン純度を高め、黄色度指数を減少させ、低いB:C異性体比を少なくとも約23:1に増加させるために、繰り返しの再結晶が必要とされることが多く、それにより、結晶時に低い収率を生じる。その結果、製造コストが高いままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要とされるのは、充分な純度および収率を有するラパマイシンの収率を増加させ、前臨床および商業用途の品質および規格の標準を満たすための、化学精製法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ラパマイシン精製の代替法としての化学的方法を提供する。この方法は、イソプロパノール再結晶の際に、母液から回収された粗ラパマイシンまたは第二収集物に有用である。この物質は、一般に、濃褐色であり、低純度であり、低いB:C異性体比を有する。該精製法は、ラパマイシンをクロロトリメチルシランで処理して31,42−ビス−トリメチルシリルエーテルを得ること、ヘプタン抽出、および31,42−ビス−トリメチルシリルエーテルを脱保護して精製ラパマイシン生成物を得ること、を含む。
【0007】
他の態様において、薬剤物質におけるB異性体対C異性体の比率を増加させるために、生成されたラパマイシンを緩衝処理する。
【0008】
他の実施形態において、精製ラパマイシンを析出させ、濾過によって収集し、洗浄し、次に真空乾燥させて、最終生成物を得る。
【0009】
本発明の他の態様および利点は、以下の本発明の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ラパマイシン精製の新規化学的方法を提供する。
【0011】
本明細書において使用される「低品質」または「粗」という用語は、90%未満の純度、2より大きい黄色度指数、および20:1未満のB:C異性体比(本明細書において、異性体B:C比とも称す)を有するラパマイシンを意味するものとする。一実施形態において、B:C異性体比は、13:1〜11:1である。
【0012】
下記の反応式1は、精製法の概略を示す。第一工程において、低品質ラパマイシンをシリル化して、ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテル(ラパマイシン31,42−ビス−O−TMSとしても公知)を形成する。このシリル化反応は、米国特許第6,277,983号(Shawら)に開示されている。
【化2】

【0013】
簡単に言えば、シリル化は、粗ラパマイシンを、約0℃〜約5℃において、不活性溶媒中で、好適な塩基の存在下に、クロロトリメチルシランで処理することによって行われる。一実施形態において、溶媒は酢酸エチル(EtOAc)である。他の実施形態において、シリル化剤はクロロトリエチルシランである。一実施形態において、塩基はイミダゾール、例えば、イミダゾールまたは1−メチルイミダゾールである。しかし、他の実施形態において、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、塩基として使用してもよい。シリル化の後、混合物を従来法によって濾過して、使用済有機塩および他の暗色固形物を除去する。
【0014】
一実施形態において、ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルを、ヘプタン中で、室温で抽出し、次に、一般的手段を用いて濾過によって暗色不溶性不純物から分離する。濾過の後、濾液をチャコールと混合する。一実施形態において、Darco(登録商標)KBチャコールを使用する。しかし、他のチャコール、例えば、Nuchar(登録商標)SAチャコールまたはDarco(登録商標)G−60チャコールを、当業者によって選択しうる。チャコールは、色の除去に寄与する。さらに、炭酸水素ナトリウム洗浄の間のエマルジョンの形成も防止する。
【0015】
次に、溶液を濾過し、濾液を1回またはそれ以上の水および塩基洗浄に付す。一実施形態において、塩基洗浄液は炭酸水素ナトリウムである。他の実施形態において、濾液を、先ず、水で洗浄し、次に、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、次に、再び水で洗浄する。
【0016】
次に、有機相を取り、約25℃〜約30℃で減圧濃縮して、淡黄色泡状物を得る。次に、泡状物を、好適な溶媒に溶解させ、約0℃〜約5℃に冷却する。一実施形態において、溶媒はアセトンである。他の実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたは酢酸である。他の好適な溶媒を、当業者によって選択してもよい。
【0017】
次に、ラパマイシンを生成するために、好適な酸を使用して、抽出ラパマイシン31,42−ビス−O−TMSのシリル基を除去し、即ち、ラパマイシン31,42−ビス−O−TMSを脱保護する。一実施形態において、使用される酸は硫酸である。他の実施形態において、硫酸は0.5N硫酸である。
【0018】
一実施形態において、本発明によって生成されたラパマイシンは約95%(HPLC面積(area)%)より高い純度を有する。他の実施形態において、ラパマイシンは、約98%より高い純度を有する。一実施形態において、ラパマイシンは1.0またはそれ以下の黄色度指数(yellow index)(本明細書において黄色指数(yellow color index)とも称す)を有する。さらに他の実施形態において、ラパマイシンは、95%より高い純度、および1未満の黄色指数を有する。さらに他の実施形態において、ラパマイシンは、98%より高い純度、および1未満の黄色指数を有する。
【0019】
任意に、生成物のB:C異性体比を増加させるために反応混合物のpHを約5〜約6のpHに調整してよい。一実施形態において、炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸を、ラパマイシンのアセトン溶液に添加する。一実施形態において、次に、アセトン/緩衝液の容量比を、酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液の添加によって調整する。他の実施形態において、酢酸カリウムまたは酢酸亜鉛を使用する。他の実施形態において、緩衝液は約5〜約5.5のpHを有する。pHを調整するための他の緩衝系、酸などは、当業者に公知であり、本発明の方法に使用しうる。下記の反応式2は、このpH調整によって生じる異性体バランスの変化を示している。
【化3】

【0020】
一実施形態において、緩衝によって得られる異性体B:C比は、約30:1より大きい。他の実施形態において、異性体B:C比は、約35:1より大きい。
【0021】
精製したラパマイシン溶液を、室温(約20℃〜約25℃)で撹拌して、析出生成物を得る。一実施形態において、反応混合物を60時間撹拌する。次に、生成物を一般的な濾過手段によって収集する。次に、収集した生成物を洗浄する。一実施形態において、生成物を、アセトンと水との1:1(v/v)混合物で洗浄する。他の実施形態において、洗浄を2回行う。当業者は、生成物を洗浄する他の方法を認識し、それらは本発明の方法に使用しうる。
【0022】
一実施形態において、洗浄した生成物を約35〜40℃で真空乾燥するが、乾燥条件は本発明によって限定されない。
【0023】
本発明の方法によって得られる精製ラパマイシンは、医薬組成物において有用である。従って、得られたラパマイシンを、ラパマイシンに関して当分野で記載されている任意の好適な方法によって配合できる。一実施形態において、組成物は、得られた精製ラパマイシン、および生理学的に適合性の担体を含有する。本明細書において使用される「担体」という用語は、生理学的に適合性の担体を意味するものとする。本発明の組成物に使用するのに好適な担体を以下に記載する。
【0024】
本発明の活性化合物を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル剤、口腔剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、および経口液体、懸濁剤または液剤を含む一般に使用される任意の経口形態であってよい。カプセル剤は、活性化合物と、不活性充填剤および/または希釈剤、例えば、薬学的に許容されるデンプン(例えば、トウモロコシ、バレイショまたはタピオカデンプン)、砂糖、人工甘味剤、粉末セルロース、例えば、結晶性および微結晶性セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガム等との混合物を含有しうる。有用な錠剤形は、従来の圧縮法、湿式造粒法または乾式造粒法によって製造でき、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を含む)、懸濁化または安定剤を使用でき、それらは限定されないが、以下のものを含む:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、シリケート錯体、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプンおよび粉砂糖。好ましい表面改質剤は、非イオン性およびアニオン性表面改質剤を含む。表面改質剤の典型例は、限定されないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ロウ、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化珪素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、珪酸アルミニウムマグネシウムおよびトリエタノールアミンである。本発明における経口製剤は、活性化合物の吸収を変化させるために、標準の遅延または持続放出配合物を使用してもよい。経口の処方は、必要に応じて適切な可溶化剤または乳化剤を含有する水または果汁中の活性成分を投与する工程からなってもよい。
【0025】
ある場合において、化合物を、エーロゾルの形態で気道に直接的に投与することが望ましいこともある。
【0026】
化合物を、非経口的または腹腔内的に投与してもよい。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としてのこれらの活性化合物の液剤または懸濁剤を、界面活性剤、例えばヒドロキシ−プロピルセルロースと適切に混合した水中において、調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油中のそれらの混合物中において、分散液を調製することもできる。保存および使用の通常条件において、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
【0027】
注射使用に好適な医薬形態は、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。あらゆる場合において、該形態は、滅菌でなければならず、かつ、容易注射可能性が存在する程度まで流動性でなければならない。それは、製造および保存条件下に安定でなければならず、かつ、微生物、例えば細菌および真菌の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒質であってよい。
【0028】
本発明に有用な非経口製剤を使用して、直接注射によるかまたは静脈内輸液用の滅菌輸液への添加による投与に好適な、投与形態を形成することができる。
【0029】
経皮投与は、体表、または上皮組織および粘膜組織を含む体通路(bodily passages)の内層を通るあらゆる投与を含むものと理解される。そのような投与は、ローション剤、クリーム剤、フォーム剤(foams)、貼付剤、懸濁剤、液剤および坐剤(肛門および膣坐剤)中における、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を使用して行うことができる。
【0030】
経皮投与は、活性化合物、および、活性化合物に不活性であり、皮膚に非毒性であり、かつ皮膚を通って血流に入る全身吸収用薬剤の送達を可能にする担体、を含有する経皮貼付剤を使用して行うことができる。担体は、クリーム剤および軟膏剤、ペースト剤、ゲル剤ならびに閉塞性デバイス(occlusive devices)のような任意の形態を取りうる。クリーム剤および軟膏剤は、粘性液体、または水中油型もしくは油中水型の半固体エマルジョンであってもよい。活性成分を含有する石油または親水性石油に分散させた吸収性粉末を含むペースト剤も好適でありうる。種々の閉塞性デバイス、例えば、担体を伴うかまたは伴わずに活性成分を含有するレザバーを覆う半透過性膜、または活性成分を含有するマトリックスを使用して、活性成分を血流に放出することができる。他の閉塞性デバイスが文献において公知である。
【0031】
坐剤形は、坐剤の融点を変化させるためにワックスの添加を伴うかまたは伴わないカカオ脂、およびグリセリンを含む一般的な物質から製造しうる。水溶性坐剤ベース、例えば、種々の分子量のポリエチレングリコールも使用しうる。
【0032】
本発明は、本発明によって生成され、かつ好適な送達法による投与のために配合された精製ラパマイシンを含有する梱包物およびキットも提供する。一実施形態において、精製ラパマイシンは、単位用量形態で存在する。ビン、バイアル、ブリスターパック等を含む種々の好適な容器が、当業者に公知である。そのような包装材料およびキットは、例えば、使用説明書、注射器、アプリケーター等を含む他の構成品も含有しうる。
【0033】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0034】
ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルを経たラパマイシンの精製
300mlの酢酸エチル中の粗ラパマイシン(20.0g、19.5mmol、黄色度指数=24.23、純度=89%、B:C異性体比=11:1)の溶液を、0〜5℃に冷却した。イミダゾール(6.0g、88.1mmol)を添加し、混合物を撹拌して、溶液を形成した。この冷溶液に、8.73g(80.4mmol)のクロロトリメチルシランを30分間にわたって滴下し、さらに30分間0〜5℃で撹拌して、ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルの形成を完了した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮して、暗色泡状物を得、これを400mlのヘプタンと共に室温で20〜30分間撹拌した。混合物を濾過して、不溶性物質を分離した。濾液を3.0gのDarco(登録商標)KBチャコールと共に室温で20〜30分間撹拌し、次に、濾過し、濾液を水(160ml)、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(80ml)、次に、水(2x80ml)でさらに洗浄して、pH6〜7にした。淡黄色有機相を25〜30℃で減圧濃縮して、24.0gの生成物を淡黄色泡状物として得た。
【0035】
その泡状物(24.0g)を、100mlのアセトンに溶解し、撹拌し、0〜5℃に冷却した。この冷溶液に、20mlの0.5N硫酸を10分間にわたって滴下した。混合物を、反応完了まで0〜5℃で撹拌した。炭酸水素ナトリウムの溶液(1.68g/20ml水)を2〜5分間にわたって添加した。ポット温度を10〜15℃に上げた。酢酸(2ml)を添加し、混合物を15〜20分間撹拌した。反応混合物に、50mlの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5〜5.5)を10分間にわたって少しずつ添加し、混合物を周囲温度で60時間撹拌した。反応混合物を濾過し、アセトン−水(1:1 v/v)混合物(2x60ml)で洗浄した。生成物を真空炉において35〜40℃で一定量まで乾燥して、15.58gの生成物を白色固形物として得た。生成物のプロトンNMRは、基準試料と一致していた。
【0036】
回収率は87.6%であり、生成物の純度は98.7%であり、B:C異性体比は35:1であり、黄色度指数は0.73であった。
【0037】
本明細書で特定された全ての特許、刊行物および他の文献は、参照により本明細書に組み入れられる。当業者は、本発明から逸脱せずに、本明細書に開示した特定実施形態に記載されている条件および方法に軽微な変更を加えうることを認識する。そのような軽微な変更および変形は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
98%より高い純度および1未満の黄色度指数を有するラパマイシン。
【請求項2】
30:1より大きい異性体B:C比を有する、請求項1に記載のラパマイシン。
【請求項3】
35:1より大きい異性体B:C比を有する、請求項1に記載のラパマイシン。
【請求項4】
請求項1に記載のラパマイシン、および生理学的に適合性の担体を含有する組成物。
【請求項5】
30:1より大きい異性体B:C比を有するラパマイシンを含有する組成物。
【請求項6】
異性体比が35:1より大きい、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ラパマイシンを精製する方法であって、
(a)ラパマイシンを、不活性溶媒中で、好適な塩基の存在下に、クロロトリメチルシランで処理して、ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルを生成する工程;
(b)ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルを濾過する工程;
(c)ラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルをヘプタンで抽出する工程;
(d)抽出したラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルを洗浄する工程;および
(e)抽出したラパマイシン31,42−ビス−O−トリメチルシリルエーテルを酸で脱保護して、ラパマイシンを生成する工程
を含む方法。
【請求項8】
工程(d)が
(i)工程(c)の溶液を濾過する工程;
(ii)濾液をチャコールと混合する工程;
(iii)濾液を、水および炭酸水素ナトリウムで洗浄する工程;
(iv)濾液を濃縮する工程;および
(v)濾液を、好適な溶媒に溶解させる工程
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
好適な溶媒を、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルおよび酢酸から成る群より選択する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
好適な溶媒がアセトンである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
(f)ラパマイシン溶液のpHを、約5〜約6のpHに調整する工程
をさらに含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
生成されたラパマイシンが、30:1より大きい異性体B:C比を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
生成されたラパマイシンが、35:1より大きい異性体B:C比を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
pHを、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは酢酸亜鉛の緩衝液で調整する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
緩衝液が酢酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(g)ラパマイシンを析出させる工程;
(h)ラパマイシンを濾過によって収集する工程;
(i)ラパマイシンを、アセトンと水との混合物で洗浄する工程;および
(j)ラパマイシンを真空乾燥する工程
をさらに含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)における不活性溶媒が酢酸エチルである、請求項7〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)における好適な塩基がイミダゾールである、請求項7〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程(e)における酸が硫酸である、請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
生成されたラパマイシンが98%より高い純度を有する、請求項7〜19のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−531686(P2008−531686A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558062(P2007−558062)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006212
【国際公開番号】WO2006/093745
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】