説明

ラベラー及びラベル貼付方法

【課題】台紙を備えていないライナレス用紙をラベル用紙として用いても、容易に貼付けを行うことができるラベラーを提供する。
【解決手段】印字されたライナレス用紙108を排出する排出口110と、この排出口110から排出されたライナレス用紙108の一部が貼付対象物に貼付けられたことを検出するための可動部材112、センサ部113aと、ライナレス用紙108の一部が貼付対象物Aに貼付けられたことを検知すると、ライナレス用紙の貼付けられていない部位を切断するカッタ111と、を備えることにより、容易にライナレス用紙を貼付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベラー及びラベル貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品にラベルを貼り付けるためのラベラーが知られている。例えば、特許文献1には、物品に付されたタグや荷札などに印刷されたバーコードや二次元コード等から物品を表す物品コード等の情報を読み取るスキャナと、このスキャナにより読み取った情報に基づいてラベルに印字する印字部とが一体となったラベラーが開示されている。
【0003】
このラベラーは、台紙と台紙上に所定間隔で貼付けられたラベルからなるロール状のラベル用紙を用いるものである。具体的には、スキャナで読み取った情報に基づきラベルに印字を行い、印字されたラベルは剥離部で台紙から剥離される。剥離されたラベルは、排出口に位置する保持部で保持される。ユーザは、ラベラーのハンドルを持って、保持部で保持されたラベルを貼付対象物上に位置させることで貼付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたものは、台紙と台紙上に貼付けられたラベルからなるラベル用紙を用いることを前提とした構成であり、台紙のない用紙(以下、ライナレス用紙という)を用いることについて何ら開示されていない。ライナレス用紙は、台紙が存在しないので、ロール状に形成するために、ラベルが連続的に繋がっている。
【0005】
ライナレス用紙は、ごみとなる台紙が存在しないので環境の面からも望ましいものである。しかしながら、上記特許文献1に記載されたラベラーでは、ライナレス用紙を用いることができないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ライナレス用紙を用いることが可能なラベラーを提供することを目的とし、また、ライナレス用紙を用いたラベルでも容易に貼付けることができるラベル貼付方法を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラベラーは、裏面に接着層を有するラベル用紙を排出する排出口と、この排出口から排出したラベル用紙の一部が貼付対象物に貼付けられたことを検出する検出部と、この検出部によって前記ラベル用紙が貼付対象物に貼付けられたことを検知すると、前記ラベル用紙の貼付けられていない部位を切断するカッタと、を備えたものである。
【0008】
また、本発明のラベル貼付方法は、排出口から排出されたラベル用紙の一部が貼付対象物に貼付けられたことを直接的あるいは間接的に検出すると、この検出結果に基づいてカッタを駆動させて前記ラベル用紙の貼り付けられていない部位を切断してラベルを貼付けるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるラベラーによれば、ラベル用紙としてライナレス用紙を用いることが可能となる。また、本発明にかかるラベル貼付方法によれば、ラベル用紙としてライナレス用紙を用いても容易に貼付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態にかかるラベラー外観図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかるラベラーの部分断面図である。
【図3】図3は、本実施の形態にかかるラベラーの排出口周辺の構成を示す説明図である。
【図4】図4は、本実施の形態にかかるラベラーの機能ブロック図である。
【図5】図5は、本実施の形態にかかるラベラーのラベル切断を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるラベラーの一実施形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明に係るラベラーを、物品に付されるタグや荷札等に印刷されたバーコード等に対して光を当て、その反射光から画像を読み取るスキャナ付プリンタに適用した例について説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかるスキャナ付プリンタの外観図である。図2は、本実施の形態にかかるスキャナ付プリンタの要部の構造を示す部分断面図である。なお、全体構成の理解を容易にするため、本件特許の検出部、カッタは図1では図示を省略している。これら構成については、図3、図5を用いて後述する。
【0013】
本実施の形態にかかるスキャナ付プリンタ1は、本体ケース100、印字情報を入力するためのバーコードスキャナ101、各種情報を表示する表示器102、印字情報等を入力するキー入力部103、スキャナからレーザー光を発するためのトリガスイッチ104、104a、ユーザがもつための握り部105、ラベルに印字するためのサーマルヘッド106、サーマルヘッド106に対向するプラテンローラ107などを備えている。
【0014】
また、このスキャナ付プリンタ1の内部には、ロール状のライナレス用紙108が収納されている。ライナレス用紙108は、サーマルヘッド106に対向する表面が印字面で、プラテン107に対向する裏面が粘着層を有する粘着面となっている。
【0015】
スキャナ101は、物品に付されるタグ等に印刷されたバーコードに対して光を当てて、その反射光から物品情報を読み取るものであり、この物品情報に基づいて、サーマルヘッド106で印字を行う。例えば、スキャナ101は、商品に付されたタグから商品情報を読み取り、これを後述するホストコンピュータに問い合わせて値引き情報を受信した後、この値引き情報に基づいて値引きラベルを印字するような場合に利用することができる。
【0016】
表示器102は、液晶ディスプレイなど、物品情報や操作情報(例えば、手動入力された値引き額)などを表示するものである。キー入力部103は、ユーザにより印字情報を編集する場合等に用いられるものである。
【0017】
握り部105は、ユーザがスキャナ付プリンタ1を持つときに握る部分であり、符号105aで示す部分が導電性ポリマー材料で形成されている。なお、符号105aで示す部分は、ユーザが握り部105を握っているか否かを検知するものとして機能する。
【0018】
トリガスイッチ104は、握り部105に設けられ、スキャナ1による物品情報の読み取りを要求するスイッチである。
【0019】
プラテンローラ107は、サーマルヘッド106とともにライナレス用紙108を挟むものであり、回転駆動されることによって、ライナレス用紙108を搬送する。
【0020】
110は、印字されたライナレス用紙108が排出される排出口である。図3は、図1、図2で図示を省略した、排出口110周辺の内部構成を示す図である。ライナレス用紙108の搬送方向において、サーマルヘッド106、プラテン107の下流側、すなわち、サーマルヘッド106、プラテン107よりも排出口110側に位置して、ライナレス用紙108を切断するカッタ111が設けられている。
【0021】
また、カッタ111の下流側には、可動部材112が設けられている。この可動部材112は、基端部113と先端部114とを備えており、基端部113の回動軸113aを軸として本体ケース100に回動可能に設けられている。基端部113には、圧力センサからなるセンサ部113bが設けられている。センサ部113bは、ライナレス用紙118の一部が貼付対象物に貼付けられたことを検出する検出部の一部を構成している。先端部114は、本体ケース100外に突出している。
【0022】
図4は、本実施の形態にかかるスキャナ付プリンタの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかるスキャナ付プリンタ1は、各種の演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)201を有している。このCPU201には、RAM(Random Access Memory)203、および電源を切っても記憶内容を保持することができる不揮発性記憶部であるFROM(Flash Read Only Memory)202がシステムバス(図示しない)を介して接続されている。
【0023】
FROM202は、スキャナ付プリンタ1の動作プログラムや各種設定情報を記憶する。CPU201は、FROM202に記憶された動作プログラム(値引き額や値札の印刷、値引き額の手動入力など物品に関する関連処理を実行するプログラムを含む)をRAM203にコピーして実行することにより各部を制御する。
【0024】
RAM203は、各種の可変情報を一時的に記憶するものであり、スキャナ付プリンタ1により印刷を行ったユーザと当該ユーザが実際に印刷した印刷枚数や印刷内容を示す印刷情報とを対応付けた印刷情報テーブル、スキャナ付プリンタ1により印刷を行ったユーザと当該ユーザがスキャナ付プリンタ1により印刷した時間を示す時間情報とを対応付けた時間情報テーブルなどを記憶している。
【0025】
また、RAM203は、ライナレス用紙108に印刷される印刷データ(画像データ)が展開される印刷バッファとして利用される。印刷データは、ホストコンピュータ2から受信した印刷対象となるデータであっても良いし、FROM202に記憶されているデータであっても良いし、キー入力部103から入力された値引き額等であっても良い。
【0026】
また、CPU201には、表示制御回路204、通信I/F205、モータ制御回路206、ヘッド制御回路208、電源回路209、スキャナ制御回路211、キー入力部103、トリガスイッチ104、カッタ制御回路210、センサ113bがシステムバス(図示しない)を介して接続されている。
【0027】
表示制御回路204は、CPU201の制御のもとで、表示器102における表示(関連処理を選択するための操作画像を含むメニュー画面など)を制御する。通信I/F205は、ホストコンピュータ2などの外部の機器と通信を行うためのインタフェースである。通信I/F205は、例えば、赤外線通信、USB(Universal Serial Bus)、無線LAN(Local Area Network)、RS−232C、Bluetooth(登録商標)等により通信するためのもので、ホストコンピュータ2に設けられた通信I/Fとの通信が可能である。
【0028】
モータ制御回路206は、CPU201の制御のもとで、プラテンローラ107の駆動源であるステッピングモータ207を制御する。ヘッド制御回路208は、CPU201の制御のもとで、サーマルヘッド106に印刷制御信号を出力する。スキャナ制御回路211は、CPU201の制御のもとで、スキャナ101による物品情報の読み取りを制御する。
【0029】
電源回路209は、キー入力部103によるスキャナ付プリンタ1の電源のON/OFFに従って、バッテリ210からスキャナ付プリンタ1の各部への電力の供給/遮断を制御する。
【0030】
カッタ制御回路210は、CPU201の制御のもとで、センサ部113bの出力に基づいてカッタ111の駆動を制御する。
【0031】
次に、このスキャナ付プリンタ1によるラベルの印字、発行、貼付の各処理について説明する。操作者は握り部105を握ってスキャナ付プリンタ1を持ち、例えば、ある物品に付されたバーコードをスキャナ101で読み取り、その反射光から物品に関する物品情報を取得する。なお、スキャナ101でバーコードを読み取る際には、トリガスイッチ104を操作する。
【0032】
物品情報を取得すると、スキャナ付プリンタ1は、通信I/F205を介してホストコンピュータから、この物品情報に関連した情報を取得し、この情報に基づいてサーマルヘッド106でラベルに印字を行う。印字後、CPU201は、モータ制御回路206によってプラテンローラ107を制御して、ライナレス用紙108を所定量搬送する。その結果、印字されたライナレス用紙108の先端部が排出口110から本体ケース100外に突出して、ラベルが発行される。
【0033】
この状態で、ユーザは本体ケース100から突出したライナレス用紙108、言い換えればラベルを、このラベルを貼付けるべき貼付対象物Aに押し付ける。すると、図5に示すように、ラベルの先端部が貼付対象物Aに貼付られるとともに、可動部材112の先端部114がラベルを介して貼付対象物Aを押圧する。その結果、可動部材112が回動して貼付けられたラベルの先端部を貼付対象物A側に押さえつける。
【0034】
一方、可動部材114が回動することで、そのセンサ部113bが排出口110を形成する本体ケース100に接する。そして、センサ部113bはCPU201に対して検出信号を出力する。CPU201は、カッタ制御回路210に信号を出力し、カッタ制御回路210は、カッタ111を駆動する。その結果、図5に示されるように、カッタ111がライナレス用紙108を切断する。この状態で、ユーザは、スキャナ付プリンタ1を図5において右方向に移動させて、切断したラベルを貼付対象物Aに貼付けることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態におけるラベラーによれば、連続するライナレス用紙108の先端部が貼付対象物Aに貼付らけれた状態になった後に、カッタ111でライナレス用紙108を切断することができる。このため、ラベルとしてライナレス用紙を用いても確実に貼付けを行うことができる。
【0036】
また、ライナレス用紙108の先端部が貼付対象物Aに貼付られたことを検出するための可動部材112を利用して、貼付らけれたライナレス用紙108の先端部を押さえつけるようにしたので、より確実にラベルを貼付けることができる。
【0037】
なお、本実施の形態によれば、ラベル用紙の一部が貼付対象物Aに貼付られたことを検出する検出部を、圧力センサからなるセンサ部113bを有する可動部材を備えた構成としたが、これに限るものではない。また、可動部材112の先端部114が貼付られたラベルを押さえつけた状態で、ラベル用紙の一部が貼付けられたことを検出する構成とすることにより、ラベル用紙の一部が貼付らけれたことを直接的に検出する構成としたが、これに限られるものではなく、間接的に検出する構成としてもよい。例えば、排出口110と貼付対象物との距離を検出して、この距離が所定以下になったときに、ラベル用紙の一部が貼付けられたと判断することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
110 排出口
112 可動部材
113b センサ部
111 カッタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開20006‐335443公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に接着層を有するラベル用紙を排出する排出口と、
この排出口から排出したラベル用紙の一部が貼付対象物に貼付けられたことを検出する検出部と、
この検出部によって前記ラベル用紙が貼付対象物に貼付けられたことを検知すると、前記ラベル用紙の貼付けられていない部位を切断するカッタと、
を備えたことを特徴とするラベラー。
【請求項2】
裏面に接着層を有するラベル用紙を排出口から排出し、この排出されたラベル用紙の一部が貼付対象物に貼付けられると、前記ラベル用紙の貼り付けられていない部位をカッタにより切断することを特徴とするラベラー。
【請求項3】
前記検出部は、前記排出口から突出する可動部材と、この可動部材が貼付対象物に接して移動したことを検出する可動部材用検出部とをさらに備えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のラベラー。
【請求項4】
前記可動部材は、貼付対象物に貼付けられたラベル用紙の表面を押さえることを特徴とする請求項3記載のラベラー。
【請求項5】
排出口から排出されたラベル用紙の一部が貼付対象物に貼付けられたことを直接的あるいは間接的に検出すると、この検出結果に基づいてカッタを駆動させて前記ラベル用紙の貼り付けられていない部位を切断してラベルを貼付けることを特徴とするラベル貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−201562(P2011−201562A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69149(P2010−69149)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】