説明

ラベル、電気機器、電池パック、ラベルの製造方法、及び電池パックの製造方法

【課題】製造時に、製造情報を取得して、該製造情報を保護層の外側から良好に印写することができ、製造情報は保護層により保護され、自体の強度も良好であるラベル、該ラベルを備える電気機器及び電池パック、前記ラベルの製造方法、並びに前記電池パックの製造方法を提供する。
【解決手段】電池コアをケース9に収容し、電池3の露出面を覆い、ケース9の側板部に亘ってラベル10を貼着することで電池パック1が構成される。ラベル10の基材層の表面には第1印写部103が形成され、レーザ発色性インキを用いてインキ塗着部104が形成されている。電池パック1の製造時に、製造情報等を取得し、ラベル10の保護層の外側からインキ塗着部104にレーザ照射して製造情報等を記録することで、第2印写部106が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造情報等を保護層の外側から印写してなるラベル、該ラベルを備える電気機器及び電池パック、前記ラベルの製造方法、並びに前記電池パックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の携帯電子機器の電源としては、充放電可能な円筒状、又は直方体状の非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池等が主として用いられている。リチウムイオン二次電池(以下、電池という)の一例として、正極及び負極を、セパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質を、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、直方体状をなすケースに収納して構成されたものがある。
【0003】
前記電池の一側面に、過充電及び過放電を防止するための保護回路、及び電池から外部へ電力を取り出し、又は外部から電力を取り込むための出力端子を有する保護回路基板が配されて電池コアが構成される。保護回路基板と電池との間は接続用のリードにより電気的に接続されている。
前記電池コアの四側面を、絶縁性を有する、例えば合成樹脂製の外装枠で覆い、又は電池コアを例えば合成樹脂製のケースに収容する。さらに、この電池コアの平面と、外装枠又はケースとをラベルで覆うことで電池パックが得られる。
【0004】
ラベルは、通常、電池コアを確実に隠蔽することができ、インクの乗りも良好であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにアクリル樹脂系の粘着剤を塗着してなる基材に、電池パックの定格、使用上の注意事項等の不変の内容を印刷用の版に基づいて印刷し、透明度及び柔軟性が高く、基材への追従性が良好であるPP(ポリプロピレン)のラミネートフィルムに粘着剤を塗着してなる保護材を貼り合わせ、所定の形状に打ち抜くという工程を一貫して行うことで製造されている。
【0005】
ところで、電池パック等の電気機器においては、組み立てるときに、電池等の部品の製造情報等を読み取って機器の外面に記録することにより、機器を解体することなく、製造情報を機器の外面から直接、確実に視認できるようにし、機器の保守管理及び不具合発生時の原因究明等を容易に迅速に行うことが望まれている。この部品製造情報、部品を組み合わせるに際しての情報、及び絶縁検査等の検査結果に係る情報等の可変の製造情報を電池パックに記録するための方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0006】
(1)電池パックのラベル又はケースに塗膜を設け、該塗膜をレーザ照射により部分的に加熱して焼却除去することにより塗膜の下地を露出させたり、又は下地自体を加熱、炭化させることにより発色させたりして、所望の印写を行う(例えば特許文献1及び2)。電池パックのケース表面、及び該表面に設けた窓部から露出する電池表面にレーザを照射し、それぞれ発色させて所望の印写を行う(例えば特許文献3)。
【0007】
(2)まず、PETフィルム等の基材層に電池パックの前記不変の情報を記録した後、基材層の表面全体にUV硬化性の透明ニスを印刷することで記録部分を保護したラベルを製造する。そして、このラベルの透明ニス層の表面に前記製造情報をレーザマーキングにより記録する。
【0008】
(3)保護層に予め穴加工を施したラベルを製造し、電池パックの組み立て時に、穴(窓部)を通してラベルの基材層の表面に、レーザマーキングにより前記製造情報を記録する。
【特許文献1】特開2004−214048号公報
【特許文献2】特開2005−186153号公報
【特許文献3】特開2003−217533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述の方法には以下の問題点がある。
(1)の方法において、ラベル又はケースに前記ラミネートフィルム製等の保護層を設けて印写部分の保護を図った場合、該保護層の外側からレーザを照射したときに、焼却除去された塗膜が良好に飛散せず、又は、下地を加熱させる際に保護層が熱の影響を受けて変形したりするため、うまく発色させることができないという問題があった。
【0010】
(2)のUV硬化ニス製の保護層とPP等のラミネートフィルム製の保護層とでは、印刷保護性能に圧倒的な差異があり、例えば印刷部分の耐擦れ強度及び耐剥離強度等はラミネートフィルム製の保護層と比較して格段に劣り、印刷部分がかすれたり、剥がれたりするという不具合が生じることがあった。また、ラミネートフィルムによる補強効果も得られないため、例えば、電池パックが落下等した場合に、ラベルが破れたり、裂けたりすることがあった。そして、製造情報の記録部分が保護されていないので、該記録部分がかすれたり、剥がれたりして視認できなくなる虞があった。
【0011】
(3)のように、部分的に保護層が除去されたラベルを製造する場合、保護層にPP製のラミネートフィルムを使用することができるが、保護層を型抜きする工程を別途設ける必要があり、製造工程が煩雑となり、ラベルをインラインで製造することができず、歩留まりも悪くなり、ラベルのコストが高くなるという問題があった。また、製造情報の記録部分が保護されていないので、該記録部分がかすれたり、剥がれたりして視認できなくなる虞があった。
【0012】
一方、本発明者等は、一面開口のケースに電池を収容し、ラベルを電池の露出面を覆った後、ケースの側板部に止めるように貼着するタイプの電池パックにおいて、ラベルの基材層の折り曲げ部分にミシン目状に切り込み部を設ける構成を有するものを開発した。この電池パックにおいては、ラベルの剥がれ及び浮きが切り込み部により良好に抑制される。この切り込み部から基材層が裂けることを防止するためには、基材層に保護層を設ける必要がある。しかし、保護層を有する場合、上述の(1)と同様に、電池パックの製造時に、レーザ照射により部分的に基材層を加熱発色させる方法により印写することは困難であるという問題があった。
【0013】
また、本発明者等は、電池表面に製造情報ラベルを貼着し、基材層のみを貫通する、又は基材層及び保護層を貫通する窓部が設けられた外装ラベルを、前記製造情報ラベルが視認できるように貼着する構成の電池パックを開発した。この電池パックにおいては、上述の(3)の場合と異なり、ラベルをインラインで製造することができるが、電池パックとしての部品点数及び組立工数が増え、製造情報ラベル部分における電池パックの厚みが厚くなるという問題があった。また、窓部が保護層も貫通するように構成されている場合、製造情報の記録部分が保護されないので、上述の(3)と同様に該記録部分が視認できなくなる虞があった。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、保護層の外側から製造情報等を良好に記録することができ、インラインで製造することができ、製造情報等が保護層により良好に保護され、自体の強度も良好であるラベル、及び該ラベルの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、製造時に、製造情報を取得して、該製造情報をラベルの保護層の外側から良好にインラインで記録することができ、製造情報は保護層により保護されるので、解体することなく、製造情報を外側から直接、確実に視認することができ、保守管理及び不具合発生時の原因究明等を容易に迅速に行うことができるとともに、ラベルが良好な強度を有し、良好に保護され得る電気機器、電池パック、及び該電池パックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明に係るラベルは、基材層の表面に1又は複数の印写部が形成され、前記基材層及び印写部が保護層により覆われているラベルにおいて、前記基材層の表面に、前記保護層の外側から熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色するインキにより形成された1又は複数の第2の印写部を備えることを特徴とする。
ここで、「印写」とは、印刷等により文字、記号、図形、模様、一次元のバーコード、QR(Quick Response)コード(登録商標)等の二次元のバーコード等を記録することをいう。
【0017】
第2発明に係るラベルは、第1発明において、前記インキは、レーザ照射により発色するインキであることを特徴とする。
【0018】
第3発明に係る電気機器は、第1又は第2発明のラベルを表面に貼着してあることを特徴とする。
【0019】
第4発明に係る電池パックは、電池と、外部接続端子を有し、前記電池の近傍に配される端子基板と、前記外部接続端子の表面が露出する状態で、前記端子基板を覆う外装体と、前記電池及び前記外装体の一部を覆うラベルとを備える電池パックにおいて、前記ラベルは、第1又は第2発明のラベルであることを特徴とする。
【0020】
第5発明に係る電池パックは、第4発明において、前記外装体は、前記電池を収容するように底板部に側板部を周設してなり、前記ラベルは、前記外装体に収容された前記電池の露出面を覆い、側板部に亘って貼着され、前記側板部の端部で折り曲げられる部分に、前記保護層との境界面を越えない状態で、前記基材層の厚み方向の一部又は全部が欠落した欠落部が複数並設されていることを特徴とする。
【0021】
第6発明に係るラベルの製造方法は、基材層の表面に1又は複数の印写部を形成するA工程、及び前記印写部及び基材層に保護層を設けるB工程を有するラベルの製造方法において、前記A工程又はB工程の前に、前記基材層の表面に、熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色するインキを塗着するC工程と、前記B工程の後に、前記インキに熱エネルギー又は光エネルギーを付与して印写するD工程とを有することを特徴とする。
【0022】
第7発明に係るラベルの製造方法は、第6発明において、前記D工程は、前記インキにレーザを照射して印写する工程であることを特徴とする。
【0023】
第8発明に係る電池パックの製造方法は、電池、外部接続端子を有し、前記電池の近傍に配される端子基板、及び前記外部接続端子の表面が露出する状態で前記端子基板を覆う外装体を含む部品であり、1又は複数の部品の外面には、製造に際しての部品情報を予め記録してある部品を組み合わせるA工程、組み合わせた部品の一部をラベルで覆うB工程、及び該B工程の前後に前記ラベルに情報を記録するC工程を有する電池パックの製造方法において、前記部品の組み合わせに際し、前記部品情報を読み取る工程を有し、前記C工程は、基材層の表面に1又は複数の印写部、及び熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色する1又は複数のインキ塗着部が形成され、前記基材層、印写部、及びインキ塗着部が保護層で覆われたラベルを用い、前記インキ塗着部に熱エネルギー又は光エネルギーを付与して、前記部品情報を前記ラベルに記録する工程であることを特徴とする。
ここで、「製造に際しての部品情報」とは、部品の製造時に、個別又は複数の部品に対応させて記録される情報をいう。具体的には、電池の製造年月日、工場番号、製造ライン番号、極板の製造時刻、巻き機の番号、及びシリアル番号、並びに端子基板の製造年月日、ロット番号等が挙げられる。
【0024】
第9発明に係る電池パックの製造方法は、第8発明において、前記部品を組み合わせるに際しての情報、及び/又は検査結果に係る情報を取得する工程を有し、前記C工程は、取得した情報を前記ラベルに記録する工程であることを特徴とする。
ここで、「部品を組み合わせるに際しての情報」とは、部品の組み合わせに際して、個別又は複数の電池パックに対応させて記録される情報をいう。具体的には、電池パックの製造年月日、工場番号、製造ライン番号、ラベルの巻き時刻、シリアル番号、スポット溶接の条件、及び超音波溶着の条件等が挙げられる。
「検査結果に係る情報」とは、各電池パックにつき実施される、絶縁検査等の電気検査、及び外観検査等の品質検査の結果に係る情報をいう。
【0025】
第10発明に係る電池パックの製造方法は、第8又は第9発明において、前記C工程は、前記インキ塗着部にレーザを照射して、情報を前記ラベルに記録する工程であることを特徴とする。
【0026】
第1発明及び第6発明においては、不変の情報は初めからラベルに記録しておき、可変の製造情報は、ラベルを電気機器等の被貼着体に貼着する工程の前後に、基材層を露出させることなく、保護層の上から記録することができる。
【0027】
第2発明、第7発明、及び第10発明においては、小さいエネルギーでインキが発色されるので、保護層の変形がより良好に抑制された状態で、製造情報等が明瞭に記録され得る。
【0028】
第3発明及び第4発明においては、製造時に、製造情報がラベルの保護層の外側から良好に記録され、該製造情報は保護層により良好に保護される。
【0029】
第5発明においては、欠落部によりラベルの剥がれ及び浮きが良好に抑制される。そして、保護層の外側から印写することができるインキを基材層に塗着するので、基材層に保護層を設けることができる。
【0030】
第8発明においては、製造時に、電池等の部品の製造に際しての部品情報が読み取られて、ラベルの保護層の外側から該部品情報が良好に記録される。
【0031】
第9発明においては、製造時に、組み立てに際しての情報、及び/又は検査情報が取得されて、保護層の外側からこれらの製造情報が良好に記録される。
【発明の効果】
【0032】
第1発明及び第6発明によれば、不変の情報は初めからラベルに記録しておき、可変の製造情報等は、ラベルを電気機器等の被貼着体に貼着する工程の前後に、基材層を露出させることなく、保護層の上から記録することができる。そして、付与する熱エネルギー又は光エネルギーが小さくて済むので、保護層は加熱等による変形が抑制されている。保護層としてはPPのラミネートフィルム等を用いることができるので、印写部分が擦れたり、剥がれたりするのが良好に抑制されるとともに、ラベルは良好な強度を有し、被貼着体が落下等した場合に、ラベルが裂けたり破れたりするのが抑制されている。
保護層に窓部を設けて基材層に製造情報を印写するように構成されたラベルと異なり、本発明のラベルはインラインで製造することができる。そして、製造情報ラベルを別個に備える場合と異なり、ラベルを貼着した最終製品の部品点数及び組立工数が増加したり、製造情報ラベルとラベルとを重ね合わせることで最終製品の厚みが部分的に厚くなったりすることもない。
【0033】
第2発明、第7発明、及び第10発明によれば、上述の(1)の方法等と比較してより小さいエネルギーでインキが発色されるので、保護層の変形がより良好に抑制された状態で、製造情報が明瞭に記録され得る。
【0034】
第3発明及び第4発明によれば、製造時に、電池等の部品の製造情報を読み取ったり、組み立てに際しての情報及び検査情報を取得したりして、これらの製造情報をラベルの保護層の外側から良好に記録することができる。製造情報は保護層により保護されているので、電池パック等の電気機器を解体することなく、製造情報を電気機器の外側から直接、確実に視認することができ、保守管理及び不具合発生時の原因究明等を容易に迅速に行うことができる。製造情報を電気機器に個別に記録した場合、電気機器は良好なトレーサビリティを有する。そして、電気機器はインラインで製造され得る。
また、保護層としてPPのラミネートフィルム等を用いることができるので、ラベルは良好な強度を有し、電気機器の保護強度が良好になる。
【0035】
第5発明によれば、欠落部によりラベルの剥がれ及び浮きが良好に抑制される。そして、保護層の外側から発色され得るインキを基材層に塗着するので、基材層に保護層を設けることができ、欠落部から基材層が裂けることが良好に抑制され、外観品位が良好に保持されるとともに、電池及び外装体が良好に保護される。
【0036】
第8発明によれば、製造時に、製造に際しての部品情報が電池パックの外側に記録され、この記録が良好に保護されるので、電池パックを解体することなく、各部品の部品情報を電池パックの外側から直接、確実に視認することができる。
第9発明によれば、製造時に、組み立てに際しての情報、及び/又は検査情報がさらに記録され、この記録が良好に保護されるので、電池パックの詳細な品質情報を電池パックの外側から直接、確実に取得することができ、保守管理及び不具合発生時の原因究明をより詳細に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電池パック1を示す斜視図、図2は電池パック1を示す分解斜視図、図3は図2のラベル10のIII-III 線模式的断面図である。
電池パック1の電池コア2の電池3は角型平板状をなし、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であり、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質(図示せず)を、アルミニウム又はアルミニウム合金製のケースに収納してなる。電池3の一側面には絶縁状態で負極端子(図示せず)が設けられ、これと対向する他側面には、リード取付板3aが設けられている。負極端子が設けられた部分以外の電池3の全体が正極(端子)とされる。電池3の表面には、電池3の製造日時、ライン番号等の製造情報がインクジェット又はレーザマーキングにより記録されて、電池情報印写部4が形成されている。
【0038】
電池3の負極端子が設けられている前記一側面及び該一側面に隣接する側面には、保護回路基板(端子基板)5を支持した状態で、略L字状の基板ホルダ6が固定テープ(図示せず)を介して貼着されている。
【0039】
保護回路基板5は、電池3と対向する面に、電池3の過充電又は過放電等を防止するための保護回路が実装され、該保護回路を樹脂モールドしてなる保護回路実装部5aを有する。そして、保護回路基板5の外面の一端部には、外部へ電力を取り出し、また逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極端子と温度端子である出力端子(外部接続端子)5b,5b,5bが金メッキにより設けられている。
第1リード7により、保護回路基板5の一方の接続端子と前記負極端子とが接続され、第2リード8により、保護回路基板5の他方の接続端子と、リード取付板3aを介し電池3の前記他側面とが接続されている。
【0040】
例えばポリカーボネート(PC)製、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製等の合成樹脂からなるケース9は、底板部91に側板部92、93、94、94が周設された一面開口の箱体状をなしている。側板部92には、前記出力端子5b,5b,5bを露出させるための窓部92a,92a,92aが設けられている。側板部92、93、94、94の開口縁部は曲面状をなしている。
【0041】
絶縁性を有するラベル10は、矩形状を有し、電池コア2の平面に貼着される本体10aと、折り曲げられてケース9の側板部92、93、94、94にそれぞれ貼着される突設部10b、10c,10c、10d、10dとからなる。
本体10aと突設部10b、10c,10c、10d、10dとの境界部分、すなわちラベル10をケース9に貼着するときに折り曲げられる部分には、長手方向に沿って、ミシン目状に切り込み部(欠落部)105,105,…が設けられている。
【0042】
ラベル10の基材層101は、例えばPET等の合成樹脂製のフィルム、又は紙製のフィルムの裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布してなる。
基材層101の表面には、例えば黒色等の有色のインキを用いて、例えば型式、定格、使用上の注意事項、会社名又は商品名等のロゴ、リサイクルマーク等のロット間で不変の内容を印写した第1印写部(請求項の印写部)103,103,…が形成されている。また、基材層101の表面の他の部分には、レーザ発色性インキを印刷により塗着させて、インキ塗着部104が形成されている。インキ塗着部104は薄い黄色を有する。
第1印写部103及びインキ塗着部104が形成された基材層101が、光透過性を有する、例えばPP等の合成樹脂製のラミネートフィルムの裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布してなる保護層102で覆われてラベル10が構成される。
【0043】
図3に示すように、前記切り込み部105,105,…は、保護層102との境界面を越えず、基材層101のみに設けられている。切り込み部105,105,…は、基材層101の下面まで達しないように、すなわち、切れ目として設けてもよいが、図3に示すように基材層101の下面まで達するように設けた方が、ラベル10をケース9に貼着する際に、ラベル10の浮きがより抑制されるので好ましい。
【0044】
切り込み部105の平面視の長さ及び間隔は特に限定されるものではなく、また、該長さ及び間隔を一定にする必要はないが、該長さ及び間隔を一定にした方が、ラベル10をケース9に貼着する際に、ラベル10の浮きを均一に抑制することができるので好ましい。
そして、切り込み部105,105,…は、ラベル10の端縁部と交わらないように設けられている。
【0045】
前記レーザ発色性インキは、レーザ発色性を有する材料から選ばれる1種以上の材料とバインダー樹脂とを含有し、必要に応じて、インキ適正、印刷適正等を向上させる添加剤等を含有する。また、レーザ発色性を有する材料の他に、黄色、紅色、藍色、及び白色等の顔料を必要に応じて併用することができる。
【0046】
レーザ発色性を有する材料としては、無機材料と有機材料とがある。
無機材料として、金属単体、金属塩、金属水酸化物、金属酸化物等が挙げられる。
無機材料の中では、銅化合物、モリブデン化合物、クロム化合物、ニッケル化合物を有する材料が好ましい。金属塩としては芳香族を有するホスホン酸銅が好ましく、金属酸化物としては銅−モリブデン複合酸化物が好ましい。特に、銅−モリブテン複合酸化物は自己発色性が強く、銅−モリブデン複合酸化物自身の近傍の樹脂等も黒化させやすいため、視認性の優れた印写物が得られる。
レーザが照射されても無機材料自体は発色せず、無機材料の近傍のバインダー樹脂、添加剤等が炭化、分解、気化して発色する場合もある。
【0047】
レーザ発色性を有する有機材料としては染料を使用することができる。染料として、通常の感熱記録において使用される公知の発色剤及び顕色剤を使用することができる。発色剤としては通常の感熱記録において電子供与体として使われている発色性化合物を使用することができ、例えば、ロイコ染料を使用することができる。ロイコ染料はレーザの熱による発色性が良好である。顕色剤は通常、発色剤と共に用いられる。顕色剤としては、感熱記録体において電子受容体として使用される物質、例えばフェノール系化合物が挙げられる。
【0048】
バインダー樹脂としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂が挙げられる。中でも、ウレタン樹脂が基材層101への密着性が良く、熱的緩和性にも優れていることから好ましい。
【0049】
添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤等が挙げられる。
【0050】
レーザ発色性インキの組成物は、予め分散剤、樹脂等を用いて有機溶剤、水等からなる液状溶媒に分散しておくことが好ましい。
レーザ発色性インキの組成物の具体例として、東洋インキ株式会社製のレーザマーキング剤(商品名「Elbima」)が挙げられる。
【0051】
ラベル10を製造する場合、まず、台紙に基材層101となるシートを貼着し、所定位置に切り込み部105,105,…を設けた後、基材層101上に、印刷により文字、図形、記号、模様、一次元又は二次元のバーコード等を記録して第1印写部103,103,…を形成する。
そして、レーザ発色性インキの組成物を前記液状溶媒に分散した希釈インキを基材層101の所定部分にベタ印刷し、溶剤乾燥、放射線硬化等を行って、インキ塗着部104を形成する。
さらに、第1印写部103及びインキ塗着部104が形成された基材層101に、保護層102となるシートを貼着した後、切り出すことによりラベル10,10,…が得られる。
【0052】
前記電池コア2は、出力端子5b,5b,5bが窓部92a,92a,92aから露出する状態でケース9に収容される。そして、上述のようにして得られたラベル10の本体10aが電池コア2の表面に位置決めされて貼着される。さらに、窓部92a,92a,92aを露出させた状態で、突設部10b、10c,10c、10d、10dを、ケース9の側板部92、93、94、94に沿わせて貼着することで、電池パック1が得られる。
ラベル10は、突設部10b、10c,10c、10d、10dの端縁部が電池コア2の裏面に至らず、側板部92、93、94、94の下端部に位置する状態で貼着される。
【0053】
ラベル10の電池コア2への巻き付け時に、インキ塗着部104にレーザを照射し、文字、図形、記号、一次元又は二次元のバーコード等により製造情報を記録し、第2印写部(第2の印写部)106を形成する。
製造情報としては、電池パック製造情報と部品製造情報とがある。電池パック製造情報としては、電池パック1の製造年月日、工場番号、製造ライン番号、ラベルの巻き時刻、シリアル番号、及びスポット溶接の条件等の組立情報と、絶縁検査等の電気検査及び外観検査等の検査情報とが挙げられる。
部品製造情報のうち、電池3の部品製造情報としては、例えば電池3の製造年月日、工場番号、製造ライン番号、極板の製造時刻、巻き機の番号、及びシリアル番号等が挙げられる。保護回路基板5の部品製造情報としては、例えば保護回路基板5の製造年月日、ロット番号等が挙げられる。
【0054】
以下に、電池パック1の製造方法について詳述する。
図4は、電池パック1の製造に使用する情報記録システム20の構成を示すブロック図である。
情報記録システム20は、情報記録制御装置21と、情報読み取り装置31と、スポット溶接機32と、レーザマーキング装置33とを備えている。また、図示はしていないが、情報記録システム20には、他に、絶縁検査等の電気検査装置、及び外観検査装置等も含まれる。レーザマーキング装置としては、例えばYAGレーザ、YVO4 レーザ、FAYbレーザ等が挙げられる。
レーザマーキング装置33の具体例として、サンクス株式会社製のレーザマーキング装置(商品名:FAYbレーザーマーカー、型式:LP−V10U)が挙げられる。
【0055】
情報記録制御装置21は、演算及び情報記録制御装置21内の各部の制御等を行うCPU(Central Processing Unit)22、CPU22にバス28を介して接続されたROM23、RAM24、操作部25、表示部26、及びインタフェース27を備えている。操作部25は、キーボード及びマウス等の入力装置を有し、オペレータにより与えられたこれらの入力装置への操作がCPU22へ通知され、CPU22がこれに応じた処理を行うことによって情報記録制御装置21が動作する。また、オペレータの操作により、後述する電池パック1の製造情報も入力される。
表示部26は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の表示装置により構成され、オペレータへ種々の映像を表示するように構成されている。
【0056】
ROM23は、フラッシュメモリからなり、情報記録制御装置21の動作に必要な情報記録プログラム等の各種の制御プログラムを格納している。RAM24は、CPU22の演算及び情報記録の制御等の処理に伴って発生する、前記製造情報等の一時的な情報を記憶するものであり、DRAM又はSRAM等のメモリ素子により構成されている。
そして、インタフェース27により、CPU22と、情報読み取り装置31、スポット溶接機32、及びレーザマーキング装置33等の各装置との間で、データの送受信が行われる。
【0057】
情報読み取り装置31は、画像認識により電池3の外面に記録された前記電池情報印写部4の電池製造情報を読み取り、該電池製造情報をCPU22へ送信する。情報読み取り装置31は、保護回路基板5の製造年月日、ロット番号等、電池パック1の他の部品の製造情報も取得することができる。スポット溶接機32は、上述のリード7と負極端子とを、及びリード8とリード取付板3aとをスポット溶接し、このときの溶接条件に係る情報をCPU22へ送信する。
【0058】
情報記録制御装置21のCPU22は、スポット溶接機32から取得した溶接条件、オペレータから操作部25により取得される電池パック1の工場番号及び製造ライン番号、CPU22が作成する製造年月日,ラベルの巻き時刻,及びシリアル番号等の組立情報と、検査装置から取得する電気検査及び外観検査等の検査情報とに基づき、電池パック1の電池パック製造情報を生成する。そして、該電池パック製造情報、及び前記電池製造情報等の部品製造情報を「製造情報」としてレーザマーキング装置33へ出力する。
【0059】
レーザマーキング装置33は、ラベル10の電池コア2の電池3の表面への貼付時に、CPU22から入力した製造情報をラベル10に記録する。レーザマーキング装置33は、ラベル10に形成されたインキ塗着部104にレーザを照射し、インキ塗着部104のエネルギー吸収物質がレーザ光と反応して黒く変色することで、製造情報が記録されて、第2印写部106が形成される。
以上のように構成された情報記録システム20により、ラベル10の保護層102の外側から第2印写部106が形成され、電池パック1がインラインで製造される。
【0060】
本実施の形態においては、不変の情報は初めからラベル10に記録しておき、製造時に、電池3等の部品の製造情報を読み取ったり、組み立て情報及び検査情報を取得したりして、これらの製造情報をラベル10の保護層102の外側から良好に印写することができる。レーザマーキング装置33から出力されるエネルギーが小さくて済むので、保護層102は加熱等による変形が抑制され、インキは良好に発色する。保護層102としてPPのラミネートフィルム等を用いることができるので、第1印写部103及び第2印写部106が擦れたり、剥がれたりするのが良好に抑制されるとともに、ラベル10は良好な強度を有し、電池パック1が落下等した場合に、ラベル10が破損するのが抑制され、電池コア2及びケース9が良好に保護される。
本実施の形態の電池パック1のラベル10は、基材層101の折り曲げ部分に切り込み部105,105,…が設けられているので、ラベル10が浮き、剥がれることが良好に抑制されている。そして、基材層101にレーザ印写可能に保護層102を設けることができるので、切り込み部105,105,…から基材層101が裂けるのが良好に抑制され、外観品位が良好に保持される。
【0061】
そして、ラベルの保護層に窓部を設けて該窓部を通して基材層に製造情報を記録する場合と異なり、ラベル10はインラインで製造することができる。また、製造情報ラベルを別個に備える場合と異なり、電池パックの部品点数及び組立工数が増加したり、部分的に電池パックの厚みが厚くなったりすることがない。
【0062】
本実施の形態の電池パック1においては、製造情報が電池パック1の外側に記録され、記録部分が保護層102により保護されているので、電池パック1を解体することなく、該製造情報を電池パック1の外面から直接、確実に視認することができ、保守管理及び不具合発生時の原因究明等を容易に迅速に行うことができる。そして、製造情報を電池パック1に個別に記録した場合、電池パック1は良好なトレーサビリティを有する。
【0063】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に係る電池パック11を示す斜視図、図6は電池パック11を示す分解斜視図、図7は図6のラベル19のVII-VII 線模式的断面図である。
電池パック11の電池コア12の電池13は角型平板状をなし、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であり、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質(図示せず)を、アルミニウム又はアルミニウム合金製のケースに収納してなる。電池13の表面には、電池13の製造日時、ライン番号等の製造情報がインクジェット又はレーザマーキングにより記録されて、電池情報印写部14が形成されている。
【0064】
電池13の一側面には、保護回路基板15が配されている。保護回路基板15は、電池13と対向する面に、電池13の過充電又は過放電等を防止するための保護回路が実装され、該保護回路を樹脂モールドしてなる保護回路実装部15aを有する。そして、保護回路基板5の外面の一端部には、外部へ電力を取り出し、また逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極端子と温度端子である出力端子15b,15b,15bが金メッキにより設けられている。前記外面の他端部には、水濡れ判定シール16が貼着されている。水濡れ判定シール16は、略矩形状をなし、例えば吸水性を有する上質紙等からなる基材の表面に、例えば赤色の水玉模様をなすように水溶性インキが付着されている。
【0065】
保護回路基板15の一方の接続端子(図示せず)は電池13の負極端子(図示せず)と接続され、他方の接続端子(図示せず)は電池13のケースの一部分と接続されている。
保護回路基板15は、両端部及び保護回路実装部15aが合成樹脂製の基板ホルダ17により支持された状態で、前記一側面に配されている。
【0066】
電池コア12の四側面には、例えばPC製、ABS製等からなり、略矩形状を有する外装枠18が嵌合されている。外装枠18の保護回路基板15を覆う一の側板部の一端部には、前記出力端子15b,15b,15bを露出させるための窓部18a,18a,18aが設けられ、他端部には水濡れ判定シール16を露出させるための窓部18bが設けられている。
【0067】
ラベル19は、平面視が略矩形状をなす本体19aと、該本体19aの一方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部19bと、本体19aの他方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部19c,19cとを有する。
【0068】
ラベル19の基材層191は、例えばPET等の合成樹脂製のフィルム、又は紙製のフィルムの裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布してなる。
基材層191の表面の一部分には、例えば黒色等の有色のインキにより、例えば型式、定格、使用上の注意事項、会社名又は商品名等のロゴ、リサイクルマーク等のロット間で不変の内容を記録した第1印写部193,193,…が形成されている。また、基材層191の表面の他の部分には、実施の形態1と同様のレーザ発色性インキを印刷により塗着させてインキ塗着部194が形成されている。
第1印写部193及びインキ塗着部194が形成された基材層191が、光透過性を有する、例えばPP等の合成樹脂製のフィルムの裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布してなる保護層192で覆われてラベル19が構成される。
【0069】
以上のように構成されたラベル19が電池コア12及び外装枠18に貼着されて電池パック11が得られる。まず、本体19aが電池コア12の電池13の表面に位置決めされて貼着される。そして、本体19aの長手方向の両端部が、電池コア12の裏面側に折り曲げられ、前記両端部が重ね合わされる状態で、前記裏面に貼着される。このとき、突設部19b,19c,19cは電池コア12の裏面側にL字状に折り曲げられ、先端部が本体19aの内側に折り込まれた状態で貼着される。ラベル19は、以上のように電池コア12の裏面まで巻き付けられて貼着されるので、ラベル19に浮き及び剥がれが生じず、実施の形態1の電池パック1のラベル10のように切り込み部を設ける必要はない。
【0070】
実施の形態1の電池パック1と同様にして、電池パック11の製造に際し、電池13等の部品の製造情報が読み取られ、組立情報及び検査情報が取得される。レーザマーキング装置33は、ラベル19に形成されたインキ塗着部194にレーザを照射し、インキ塗着部194のエネルギー吸収物質がレーザ光と反応して黒く変色することで製造情報が記録されて、第2印写部195が形成される。前記情報記録システム20により、ラベル19の保護層192の外側から第2印写部195が形成され、電池パック11がインラインで製造される。
【0071】
本実施の形態においては、不変の情報は初めからラベル19に記録しておき、製造時に、読み取り、又は取得した製造情報をラベル19の保護層192の外側から良好に印写することができる。保護層192としてPPのラミネートフィルム等を用いることができるので、第1印写部193及び第2印写部195が擦れたり、剥がれたりするのが抑制されるとともに、ラベル19は良好な強度を有し、電池パック11が落下等した場合に、ラベル19が破損するのが抑制され、電池コア12及び外装枠18が良好に保護されている。
ラベル19はインラインで製造することができる。また、製造情報ラベルを別個に備える場合と異なり、電池パック11の部品点数及び組立工数が増加したり、部分的に電池パック11の厚みが厚くなったりすることがない。
【0072】
本実施の形態の電池パック11においては、部品情報、組み立てに際しての情報、又は検査情報を電池パック11の外側に記録し、これらの情報は保護層192により良好に保護されているので、電池パック11を解体することなく、製造情報を電池パック11の外面から直接、確実に視認することができ、保守管理及び不具合発生時の原因究明等を容易に迅速に行うことができる。製造情報を電池パック11に個別に記録した場合、電池パック11は良好なトレーサビリティを有する。
【0073】
なお、前記実施の形態1及び2においては、ラベル10,19の電池コア2,12の表面への貼付時に製造情報の記録を行う場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、貼付の前にラベル10,19に製造情報を記録することにしてもよく、外観検査の後に記録することにしてもよい。そして、製造情報はラベル10,19にインラインで記録するのではなく、オフラインで記録することにしてもよい。さらに、製造情報以外の情報を記録して第2印写部106,195を形成することにしてもよい。
また、電池パック1,11の場合、製造時に超音波溶着処理を行わないが、製造時に超音波溶着処理を行う電池パックの場合、情報記録システム20に超音波溶着機を含み、情報記録制御装置21のCPU22が該超音波溶着機から溶着条件を取得して電池パック製造情報を生成することにしてもよい。
【0074】
また、インキ塗着部104,194がラベル10,19にそれぞれ1つ設けられた場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、インキ塗着部104,194は複数設けてもよい。第1印写部103,193を形成するためのインキの色、レーザ104,194の色、及び第2印写部106,195の色も前記実施の形態1及び2において説明した場合の色には限定されない。
そして、ラベル10,19のインキ塗着部104,194にレーザ照射を行い、第2印写部106,195を形成する場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。基材層101,191に熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色するインキを塗着し、該インキが熱エネルギー又は光エネルギーを付与されて発色し、第2印写部106,195が形成されるものであればよい。
さらに、第1印写部103,193を形成した後にインキ塗着部104,194を形成する場合に限定されるものではなく、インキ塗着部104,194を形成した後に第1印写部103,193を形成してもよい。また、第1印写部103,193とインキ塗着部104,194とは重なり合っていてもよい。
【0075】
そして、前記実施の形態1及び2においては、電池コア2をケース9に収容し、電池コア12の四側面に矩形枠状の外装枠18に嵌合した場合につき説明しているが、外装体はこれに限定されるものではなく、二分割されたコの字状の外装枠等であってもよい。そして、電池3は略直方体状を有する場合には限定されず、端子基板は保護回路を実装した場合には限定されない。
【0076】
また、前記実施の形態1及び2においては、電池3,13がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、ニッケル・水素二次電池、ニッケル・カドミウム二次電池等の他の二次電池であってもよく、一次電池であってもよい。
【0077】
そして、本発明に係るラベルは、電池パックに好適に用いられ得ることから、前記実施の形態1及び2においては、ラベル10,19を用いて電池パック1,11を製造する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、本発明に係るラベルを用いて、他の電気機器を製造することができる。該電気機器の製造に際し、部品製造情報を読み取り、該電気機器の製造に際しての組立情報及び検査情報を取得して、ラベルの保護層の外側からエネルギーを付与してインキ塗着部に製造情報を記録する。
さらに、本発明のラベルは電気機器以外の物品にも貼着され得る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す分解斜視図である。
【図3】図2のラベルのIII-III 線模式的断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電池パックの製造に使用する情報記録システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す電池パックを示す分解斜視図である。
【図7】図6のラベルのVII-VII 線模式的断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1、11 電池パック
2、12 電池コア
3、13 電池
4、14 電池情報印写部
5、15 保護回路基板
5a、15a 保護回路実装部
5b、15b 出力端子
6、17 基板ホルダ
7 第1リード
8 第2リード
9 ケース
91 底板部
92、93、94 側板部
92a、18a、18b 窓部
10、19 ラベル
10a、19a 本体
10b、10c、10d、19b、19c 突設部
101、191 基材層
102、192 保護層
103、193 第1印写部
104、194 インキ塗着部
105 切り込み部
106、195 第2印写部
16 水濡れ判定シール
18 外装枠
20 情報記録システム
21 情報記録制御装置
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 操作部
26 表示部
27 インタフェース
28 バス
31 情報読み取り装置
32 スポット溶接機
33 レーザマーキング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の表面に1又は複数の印写部が形成され、前記基材層及び印写部が保護層により覆われているラベルにおいて、
前記基材層の表面に、前記保護層の外側から熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色するインキにより形成された1又は複数の第2の印写部を備えることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記インキは、レーザ照射により発色するインキである請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラベルを表面に貼着してあることを特徴とする電気機器。
【請求項4】
電池と、外部接続端子を有し、前記電池の近傍に配される端子基板と、前記外部接続端子の表面が露出する状態で、前記端子基板を覆う外装体と、前記電池及び前記外装体の一部を覆うラベルとを備える電池パックにおいて、
前記ラベルは、請求項1又は2に記載のラベルであることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
前記外装体は、前記電池を収容するように底板部に側板部を周設してなり、
前記ラベルは、
前記外装体に収容された前記電池の露出面を覆い、側板部に亘って貼着され、
前記側板部の端部で折り曲げられる部分に、前記保護層との境界面を越えない状態で、前記基材層の厚み方向の一部又は全部が欠落した欠落部が複数並設されている請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
基材層の表面に1又は複数の印写部を形成するA工程、及び前記印写部及び基材層に保護層を設けるB工程を有するラベルの製造方法において、
前記A工程又はB工程の前に、前記基材層の表面に、熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色するインキを塗着するC工程と、
前記B工程の後に、前記インキに熱エネルギー又は光エネルギーを付与して印写するD工程と
を有することを特徴とするラベルの製造方法。
【請求項7】
前記D工程は、前記インキにレーザを照射して印写する工程である請求項6に記載のラベルの製造方法。
【請求項8】
電池、外部接続端子を有し、前記電池の近傍に配される端子基板、及び前記外部接続端子の表面が露出する状態で前記端子基板を覆う外装体を含む部品であり、1又は複数の部品の外面には、製造に際しての部品情報を予め記録してある部品を組み合わせるA工程、組み合わせた部品の一部をラベルで覆うB工程、及び該B工程の前後に前記ラベルに情報を記録するC工程を有する電池パックの製造方法において、
前記部品の組み合わせに際し、前記部品情報を読み取る工程を有し、
前記C工程は、基材層の表面に1又は複数の印写部、及び熱エネルギー又は光エネルギーを吸収して発色する1又は複数のインキ塗着部が形成され、前記基材層、印写部、及びインキ塗着部が保護層で覆われたラベルを用い、前記インキ塗着部に熱エネルギー又は光エネルギーを付与して、前記部品情報を前記ラベルに記録する工程であることを特徴とする電池パックの製造方法。
【請求項9】
前記部品を組み合わせるに際しての情報、及び/又は検査結果に係る情報を取得する工程を有し、
前記C工程は、取得した情報を前記ラベルに記録する工程である請求項8に記載の電池パックの製造方法。
【請求項10】
前記C工程は、前記インキ塗着部にレーザを照射して、情報を前記ラベルに記録する工程である請求項8又は9に記載の電池パックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−73581(P2010−73581A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241556(P2008−241556)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(597176832)三洋ジーエスソフトエナジー株式会社 (94)
【Fターム(参考)】