説明

ラベルチェック装置

【課題】複数種類の識別コードを読み取ることができ、さらにコストダウンを図ることができるラベルチェック装置を提供する。
【解決手段】ラベル10をチェックするラベルチェック装置100において、1次元コード及び2次元コードを読み取り可能なコード読取部20と、コード読取部20の設定を変更するとともに、コード読取部20から出力された読取信号を処理する制御部50とを備え、ラベル10は1次元コード及び2次元コードのうち少なくとも一方のコード類であってそれぞれ異なる形式の識別コードを複数有しており、制御部50は複数の識別コードC1、C2のうち設定された識別コードのみを読み取るようにコード読取部20を設定するとともに、コード読取部20によって読取可能な識別コードを複数の識別コードC1、C2内において順番に変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製品等に取り付けられるラベルをチェックするラベルチェック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一枚のラベルに設けられるバーコード等の1次元コード、QRコード等の2次元コード、及び非接触IDタグに記憶されたIDコードの三つの識別コードを連続的に読み込んで処理するコード読取装置が開示されている。1次元コード、2次元コード、及びIDコードには、製品の製品名や製品型番号、価格、製造日時等の情報内容が含まれている。
【0003】
特許文献2には、デジタルカメラで撮影した画像に基づいて複数の識別コードを同時に取り込んで処理するコード読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−52105号公報
【特許文献2】特開2004−240874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のコード読取装置では、複数種類の1次元コード等がある場合には、識別コードを読み取ることができないという問題がある。また、特許文献2に記載のコード読取装置では、識別コードの読み取りに高価なデジタルカメラを使用しているため、装置のコストダウンを図ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数種類の識別コードを読み取ることができ、さらにコストダウンを図ることができるラベルチェック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ラベルをチェックするラベルチェック装置において、1次元コード及び2次元コードを読み取り可能なコード読取部と、前記コード読取部の設定を変更するとともに、前記コード読取部から出力された読取信号を処理する制御部と、を備え、前記ラベルは、1次元コード及び2次元コードのうち少なくとも一方のコード類であって、それぞれ異なる形式の識別コードを複数有しており、前記制御部は、前記複数の識別コードのうち設定された識別コードのみを読み取るように前記コード読取部を設定するとともに、前記コード読取部によって読取可能な識別コードを前記複数の識別コード内において順番に変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のラベルチェック装置によれば、コード読取部はラベルに形成された複数の識別コードを一つずつ順番に読み込むので、制御部は複数種類の識別コードに関する読取信号を順次処理することができ、さらに従来技術のように高価なデジタルカメラを使用することがないのでコストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態によるラベルチェック装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態によるラベルチェック装置によってチェックされるラベルの平面図である。
【図3】本発明の実施形態によるラベルチェック装置に備えられる制御部が実行するラベル発行制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本発明の実施形態によるラベルチェック装置100について説明する。
【0011】
図1及び図2を参照して、ラベルチェック装置100の構成及びラベル10の構成を説明する。図1は、ラベルチェック装置100の概略構成図である。図2は、ラベルチェック装置100によってチェックされるラベル10の平面図である。
【0012】
図1に示すように、ラベルチェック装置100は、発行部により発行されたラベル10をチェックして、ラベル10が正常に発行された否かを確認する装置である。正常に発行されたラベル10は、各種製品等に取り付けられ、製品等の個体識別手段として用いられる。
【0013】
ラベルチェック装置100は、二つの異なる識別コードを有するラベル10を発行するラベル発行部20と、ラベル発行部20から発行されたラベル10の各識別コードを読み取るコード読取部30と、発行されたラベル10を巻き取って収容するラベル収容部40と、ラベル発行部20及びコード読取部30の動作を制御する制御部50と、を備える。
【0014】
ラベル発行部20は、台紙21上に載置されたラベルシート11に製品名や製品型番号、価格、製造日時等の情報内容を含む識別コードを印字して、ラベル10を発行するプリンタである。ラベルシート11は、台紙21の長手方向に沿って等間隔に複数配置されている。台紙21が移動してラベルシート11が所定の印字位置に到達した時に、ラベル発行部20は一枚のラベルシート11の表面に二つの異なる識別コードを印字する。
【0015】
図2に示すように、ラベル10は、ラベルシート11と、ラベルシート11に印字された第一識別コードC1と、ラベルシート11に印字された第二識別コードC2と、を備える。第一識別コードC1及び第二識別コードC2は上下に並んで配設され、第二識別コードC2は第一識別コードC1の上方位置に印字される。
【0016】
第一識別コードC1は、1次元コードであって、いわゆるCODE39のバーコードである。なお、第一識別コードC1は、CODE39のバーコードに限られず、1次元コードの他の形式であるJANコードやUPC等でもよい。
【0017】
第二識別コードC2は、2次元コードであって、いわゆるQRコードである。なお、第二識別コードC2は、QRコードに限られず、2次元コードの他の形式であるデータマトリックスやPDF417等でもよい。
【0018】
上記の通り、ラベル10には、異なる種類の識別コードである第一識別コードC1及び第二識別コードC2が形成されている。第一識別コードC1及び第二識別コードC2には、同じ情報内容を登録してもよく、それぞれ異なる情報内容を登録してもよい。
【0019】
図1に戻り、ラベルチェック装置100を構成するコード読取部30、ラベル収容部40、及び制御部50について説明する。
【0020】
ラベル発行部20から発行されたラベル10は、台紙21に載置された状態でラベル収容部40に導かれる。ラベル収容部40は、台紙21を巻取ドラム41で巻き取ることで、台紙21とともにラベル10を収容する装置である。
【0021】
コード読取部30は、ラベル発行部20とラベル収容部40との間であって、ラベル発行部20のラベル排出位置近傍に配置される。
【0022】
コード読取部30は、ラベル10をチェックするために使用される機器であり、1次元コード及び2次元コードの両方を読み取り可能な光学式のマルチコードリーダである。コード読取部30は、先端に形成された窓部を介して、所定の読取位置に位置しているラベル10の第一識別コードC1及び第二識別コードC2を非接触で読み取る。コード読取部30は、異なる複数の識別コードの中から読取可能な識別コードを一つ設定することができるように構成されている。
【0023】
なお、コード読取部30は、可動アーム31によって支持されている。この可動アーム31を調整することで、ラベル10に対するコード読取部30の窓部の位置を変更することができる。
【0024】
制御部50は、ラベル発行部20及びコード読取部30のそれぞれと相互通信可能に接続される。制御部50は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インターフェイス(I/Oインターフェイス)を有するコンピュータである。本実施形態では、制御部50は、パソコン等の端末であり、外部からラベル発行部20及びコード読取部30を制御するように構成される。
【0025】
制御部50は、所定の入力データをマニュアル入力可能な入力部51と、種々の表示情報を表示する表示部52と、を備える。制御部50の入力部51を介してラベル発行開始操作が行われた場合には、制御部50は、ROMに記憶されたプログラムに基づいてラベル10を発行するラベル発行制御を実行する。
【0026】
図3を参照して、ラベルチェック装置100の制御部50が実行するラベル発行制御について説明する。図3は、制御部50によって行われるラベル発行制御の内容を示すフローチャートである。
【0027】
ラベル発行制御では、制御部50は、ラベル10の発行をラベル発行部20に指示し、この指示に基づき発行されたラベル10の第一識別コードC1及び第二識別コードC2をコード読取部30に順番に読み込ませ、コード読取部30の読取信号に基づいてラベル10が正常に発行されたか否かを確認する。
【0028】
ステップ10では、制御部50は、入力部51を介して入力された入力データ等に基づいて、ラベルシート11に第一識別コードC1及び第二識別コードC2を形成するための指示コマンドを、ラベル発行部20に対して送信する。ラベル発行部20は、制御部50からの指示コマンドに基づいて第一識別コードC1及び第二識別コードC2をラベルシート11に印字して、ラベル10を一枚発行する。
【0029】
ステップ11では、制御部50は、1次元コードである第一識別コードC1のみを読取可能なように設定変更するための第一設定コマンドを、コード読取部30に対して送信する。コード読取部30は、制御部50からの第一設定コマンドに基づいて、第一識別コードC1のみを読取可能な状態に設定される。
【0030】
ステップ12では、制御部50は、ラベル発行部20によって発行されたラベル10の第一識別コードC1を読み取るための第一読取コマンドを、コード読取部30に対して送信する。コード読取部30は、制御部50からの第一読取コマンドに基づいて、所定の読取位置に位置しているラベル10の第一識別コードC1を読み取る。第一識別コードC1に関する読取信号は、コード読取部30から制御部50に送信される。
【0031】
ステップ13では、制御部50は、第一識別コード正誤判定処理を実行する。この正誤判定処理では、制御部50は、受信した第一識別コードC1に関する読取信号に基づいて、第一識別コードC1が正常に印字されたか否かを判定する。
【0032】
第一識別コードC1が正常に印字されたか否かの判定は、ステップ10でラベル発行部20に指示した第一識別コードC1の情報内容と、コード読取部30によって読み取られた第一識別コードC1の情報内容とを比較することによって行われる。これら二つの内容が一致する場合には、制御部50は、第一識別コードC1が正常に印字されていると判定する。一方、これら二つの内容が一致しない場合、又はコード読取部30によって第一識別コードC1を読み取ることができなかった場合には、制御部50は、第一識別コードC1に異常があると判定する。
【0033】
第一識別コードC1の異常には、例えば、読み取られた第一識別コードC1の情報内容が制御部50の指示したものと異なる印字内容違いや、第一識別コードC1がかすれていたり、欠けていたりしてコード読取部30によって読み取ることができない印字不良等がある。
【0034】
ステップ14では、制御部50は、2次元コードである第二識別コードC2のみを読取可能なように設定変更するための第二設定コマンドを、コード読取部30に対して送信する。コード読取部30は、制御部50からの第二設定コマンドに基づいて、第二識別コードC2のみを読取可能な状態に設定される。
【0035】
ステップ15では、制御部50は、ラベル発行部20によって発行されたラベル10の第二識別コードC2を読み取るための第二読取コマンドを、コード読取部30に対して送信する。コード読取部30は、制御部50からの第二読取コマンドに基づいて、第一識別コードC1の正誤判定済みのラベル10の第二識別コードC2を読み取る。第二識別コードC2に関する読取信号は、コード読取部30から制御部50に送信される。
【0036】
ステップ16では、制御部50は、第二識別コード正誤判定処理を実行する。この正誤判定処理では、制御部50は、受信した第二識別コードC2に関する読取信号に基づいて、第二識別コードC2が正常に印字されたか否かを判定する。
【0037】
第二識別コードC2が正常に印字されたか否かの判定は、ステップ10でラベル発行部20に指示した第二識別コードC2の情報内容と、コード読取部30によって読み取られた第二識別コードC2の情報内容とを比較することによって行われる。これら二つの内容が一致する場合には、制御部50は、第二識別コードC2が正常に印字されていると判定する。一方、これら二つの内容が一致しない場合、又はコード読取部30によって第二識別コードC2を読み取ることができなかった場合には、制御部50は、第二識別コードC2に異常があると判定する。
【0038】
第二識別コードC2の異常には、第一識別コードC1の異常と同様に、読み取られた第二識別コードC2の情報内容が制御部50の指示したものと異なる印字内容違いや、第二識別コードC2が不明瞭でありコード読取部30によって読み取ることができない印字不良等がある。
【0039】
ステップ17では、制御部50は、ステップ13における第一識別コード正誤判定処理の結果及びステップ16における第二識別コード正誤判定処理の結果に基づいて、ラベル10が正常に発行されたか否かを判定する。
【0040】
第一識別コードC1及び第二識別コードC2の両方が正常である場合には、制御部50は、正常なラベル10が発行されたと判定し、ステップ18の処理を実行する。これに対して、第一識別コードC1及び第二識別コードC2の少なくとも一方に異常がある場合には、制御部50は、異常なラベル10が発行されたと判定し、ステップ19の処理を実行する。
【0041】
ステップ18では、制御部50は、入力部51を介して入力されたデータ等に基づいて、ラベル10が所定数発行された否かを判定する。
【0042】
ラベル10が所定数発行されていない場合には、制御部50は、ステップ10の処理を実行し、前回発行されたラベル10とは異なる情報内容を有するラベル10を発行するようにラベル発行部20に対して指示コマンドを送信する。これに対して、ラベル10が所定数発行されている場合には、制御部50は、ラベル発行制御の処理を終了する。
【0043】
ステップ19では、制御部50は、エラー報知処理を実行して、残りのラベル10を発行することなくラベル発行制御の処理を終了する。
【0044】
このエラー報知処理においては、制御部50は、ステップ13の第一識別コード正誤判定処理の結果及びステップ16の第二識別コード正誤判定処理の結果に基づいて、エラー内容を制御部50の表示部52に表示する。これにより、エラー内容の詳細が作業者等に報知される。
【0045】
上記した本実施形態のラベルチェック装置100によれば、以下の効果を奏することができる。
【0046】
ラベルチェック装置100では、第一識別コードC1のみを読込可能に設定されたコード読取部30によってラベル10の第一識別コードC1を読み込んだ後に、第二識別コードC2のみを読込可能にコード読取部30の設定を変更して、設定変更されたコード読取部30によってラベル10の第二識別コードC2を読み込む。このように、コード読取部30は読取タイミングをずらして第一識別コードC1と第二識別コードC2とを順番に読み込むので、制御部50は第一識別コードC1に関する読取信号と第二識別コードC2に関する読取信号とを順次処理することができる。
【0047】
本実施形態のラベルチェック装置100では、複数の識別コードを同時に読み込むための高価なデジタルカメラ等を用いることがなく、ラベルチェック装置100のコストダウンを図ることができる。
【0048】
また、ラベルチェック装置100のコード読取部30は、ラベル発行部20のラベル排出位置近傍に配置されるので、ラベル10発行後の早い段階でラベル10をチェックすることができる。
【0049】
さらに、ラベルチェック装置100の制御部50は、ラベル発行部20に指示した第一識別コードC1及び第二識別コードC2の各情報内容と、コード読取部30によって読み取られた第一識別コードC1及び第二識別コードC2の各情報内容とを比較することによって、第一識別コードC1及び第二識別コードC2の各正誤判定を行う。そして、制御部50は、第一識別コードC1の正誤判定の結果及び第二識別コードC2の正誤判定の結果に基づいて、ラベル10が正常に発行されたか否かを判定する。これにより、発行直後のラベル10が正常に発行されたものであるか否かをチェックすることができ、印字不良等の異常を有するラベル10の流出を防止できる。
【0050】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
【0051】
本実施形態によるラベルチェック装置100では、ラベル10に1次元コードである第一識別コードC1と2次元コードである第二識別コードC2とを形成したが、これに限られるものではない。
【0052】
例えば、ラベル10には、異なる形式の1次元コードを二つ形成してもよいし、又は異なる形式の2次元コードを二つ形成してもよい。さらに、ラベル10には、1次元コード及び2次元コードのうち少なくとも一方のコード類であって、それぞれ異なる形式の識別コードを三つ以上形成してもよい。なお、コード読取部30は、ラベル10に形成された各識別コードを読み込み可能なように構成される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によるラベルチェック装置は、各種製品等に取り付けられるラベルをチェックする装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
100 ラベルチェック装置
10 ラベル
11 ラベルシート
20 ラベル発行部
21 台紙
30 コード読取部
31 可動アーム
40 ラベル収容部
41 巻取ドラム
50 制御部
51 入力部
52 表示部
C1 第一識別コード
C2 第二識別コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルをチェックするラベルチェック装置において、
1次元コード及び2次元コードを読み取り可能なコード読取部と、
前記コード読取部の設定を変更するとともに、前記コード読取部から出力された読取信号を処理する制御部と、を備え、
前記ラベルは、1次元コード及び2次元コードのうち少なくとも一方のコード類であって、それぞれ異なる形式の識別コードを複数有しており、
前記制御部は、前記複数の識別コードのうち設定された識別コードのみを読み取るように前記コード読取部を設定するとともに、前記コード読取部によって読取可能な識別コードを前記複数の識別コード内において順番に変更することを特徴とするラベルチェック装置。
【請求項2】
ラベルシートに前記複数の識別コードを形成して、前記ラベルを発行するラベル発行部をさらに備え、
前記コード読取部は、前記ラベル発行部のラベル排出位置近傍に設けられ、
前記制御部は、前記ラベル発行部によって発行された前記ラベルの前記複数の識別コードを読み取るように前記コード読取部を制御することを特徴とする請求項1に記載のラベルチェック装置。
【請求項3】
前記制御部は、
所定の情報内容を含む前記複数の識別コードを形成するように前記ラベル発行部に対して指示し、
前記ラベル発行部に指示した前記複数の識別コードの情報内容と、前記コード読取部によって読み取られた前記複数の識別コードの情報内容とを比較することで、前記ラベルが正常に発行されたか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載のラベルチェック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−208587(P2012−208587A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72109(P2011−72109)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】