説明

ラベル供給用コア装置及びラベル供給方法

【課題】薄いラベルでも安定して金型のキャビティへ供給できるラベル供給用コア装置を提供し、また薄いラベルでも安定して金型のキャビティへ供給できるラベル供給方法を提供することを目的とする。
【解決手段】インサート成形に用いられるラベルを密着させる密着面31、41を有し、ラベルをインサート成形用金型のキャビティへ供給するラベル供給用コア19を備え、密着面31、41をプッシャー部41とメイン部31とに分けるようにして、ラベル供給用コア19をプッシャーコア40とメインコア30とに分割し、ラベルを密着させたラベル供給用コア19をキャビティに挿入した後、ラベル供給用コア19をキャビティから離脱させる時に、プッシャーコア40をキャビティの壁面側へ押圧しつつメインコア30をプッシャーコア40から離してラベルをメイン部31から剥離させる押圧剥離機構を設けたことを特徴とするラベル供給用コア装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形用金型へラベルを供給するためのラベル供給用コア装置、及びインサート成形用金型へラベルを供給するラベル供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図形や文字等で表面が装飾された樹脂製品の製造方法の一つとして、図形や文字等が描かれたラベルを金型に装填した後、樹脂を充填して成形を行う、インサート成形がある。
インサート成形は、ラベルと樹脂とが一体となって成形できることから耐久性に優れる上に、成形後に装飾を施す工程を設けなくて済むことから、今日では多く用いられている。
【0003】
このような、ラベルと樹脂とが一体となった樹脂製品をインサート成形するためには、成形の度に金型にラベルを供給しなくてはならず、その方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、外形状が成形品に一致し、外面に多数の吸気孔を有する疑似コアにラベルを巻き付けて吸引保持した状態にし、その状態で金型内のキャビティに挿入した後、吸引保持を解除すると共に、金型側がラベルを吸引してラベルをキャビティに装着する方法や、特許文献2に記載されているように、成形品の絵付け面と相似の形状で多数の細孔が穿設された極板を有するフィルム担体に減圧吸引によりフィルムを極板に吸着させた後、このフィルム担体と金型の絵付け対応部分とを接近させ、至近距離において停止させた後、減圧を止めると共に、極板にフィルムの帯電と同種の高静電圧をかけて、フィルムが金型面に固定される方法等がある。
【0004】
しかし、上記のような方法で金型に薄い(厚さが30μm程度)ラベルを供給しようとすると、特に、特許文献2の記載のように、ラベルを帯電させて金型に移す場合には、ラベルがコアに張り付いてしまい金型に移すことができず、安定してラベルを金型のキャビティに供給できないことがあった。
【0005】
また、コア等の寸法精度や、取付精度のばらつきにより、コアと金型との接近が悪くなり、安定してラベルを金型のキャビティに供給することができないことがある。特に、特許文献3、4に記載されているように、多数個取りする金型のそれぞれのキャビティにラベルを供給するため、複数のコアを供給装置の同じ可動部に設けている場合等には、全てのコアを同じように金型に接近させることは難しく、全てのコアが安定してラベルを金型のキャビティに供給できるようにしようとすると、調整に時間が掛かり、作業性が悪くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−285981号公報
【特許文献2】特公昭46−5072号公報
【特許文献3】特開2005−104111号公報
【特許文献4】特開2006−188036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、薄い(例えば厚さが30μm程度)ラベルでも安定して金型のキャビティへ供給できるラベル供給用コア装置を提供し、また薄いラベルでも安定して金型のキャビティへ供給できるラベル供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のラベル供給用コア装置は、インサート成形に用いられるラベルを密着させる密着面を有し、前記ラベルをインサート成形用金型のキャビティへ供給するラベル供給用コアを備え、前記密着面をプッシャー部とメイン部とに分けるようにして、前記ラベル供給用コアをプッシャーコアとメインコアとに分割し、前記ラベルを密着させた前記ラベル供給用コアを前記キャビティに挿入した後、前記ラベル供給用コアを前記キャビティから離脱させる時に、前記プッシャーコアを前記キャビティの壁面側へ押圧しつつ前記メインコアを前記プッシャーコアから離して前記ラベルを前記メイン部から剥離させる押圧剥離機構を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、寸法精度や、組付精度のばらつきに関係なく、メインコアをインサート成形用金型に近づけることができ、安定してラベルをキャビティへ供給できることから、メインコアは、キャビティへの挿脱方向にラベル供給用コアを移動させる取付プレートに、挿脱方向に相対変位可能に取り付けられ、メインコアと取付プレートとの間には、メインコアと壁面とのクリアランスを伸縮によって調節する弾性機構が介装されていることが好ましい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のラベル供給方法は、インサート成形に用いられるラベルをインサート成形用金型のキャビティへ供給するラベル供給方法であって、保持手段により前記ラベルを密着面に密着して保持しているラベル供給用コアを前記インサート成形用金型に近づけ、前記キャビティに挿入する挿入工程と、前記挿入工程の後に前記保持手段による前記ラベルの保持を解除する解除工程と、前記解除工程の後に前記キャビティから前記ラベル供給用コアを離脱させる時に、前記密着面を分割したプッシャー部を有するプッシャーコアで前記ラベルを前記キャビティの壁面に押し付けながら前記密着面を分割したメイン部を有するメインコアを前記プッシャーコアから離して前記ラベルを前記メイン部から剥離させる剥離工程とを有することを特徴とする。
【0011】
また、寸法精度や、組付精度のばらつきに関係なく、メインコアをインサート成形用金型に近づけることができ、安定してラベルをキャビティへ供給できることから、挿入工程の時のメインコアと壁面とのクリアランスは、弾性機構の伸縮によって調節されることが好ましい。
【0012】
ラベル供給用コアの形状は、特に限定はされないが、キャビティに挿入される部位(特に、密着面)がキャビティと相似し、キャビティの壁面との間にラベルが介在できるだけのクリアランスが生じることが、ラベルの供給がし易くて好ましい。具体的な形状としては、柱状、錘状、截頭錘状等を例示できる。
また、ラベル供給用コアが先端に行くほど縮径した截頭錘状の場合には、ラベル供給用コアを基端側と先端側とに分割した基端側の部分がメインコアであり、先端側の部分がプッシャーコアである態様を例示できる。
【0013】
メイン部の面積は、特に限定はされないが、ラベルをキャビティの壁面に付着させ易いことから、密着面の半分以上であることが好ましい。
【0014】
押圧剥離機構としては、特に限定はされないが、油圧シリンダ、エアシリンダ、ソレノイド等を例示できる。
【0015】
保持手段としては、特に限定はされないが、吸引による吸着等を例示できる。
【0016】
弾性機構としては、特に限定はされないが、コイルスプリング等の弾性体、空気バネ等を例示できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薄い(例えば厚さが30μm程度)ラベルでも安定して金型のキャビティへ供給できるラベル供給用コア装置を提供することができ、また薄いラベルでも安定して金型のキャビティへ供給できるラベル供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1のラベル供給用コア装置の斜視図である。
【図2】同ラベル供給用コア装置の側面図及び断面図である。
【図3】同ラベル供給用コア装置の平面図及び断面図である。
【図4】同ラベル供給用コア装置のプッシャーコア作動時の説明図である。
【図5】同ラベル供給用コア装置によりラベルをキャビティへ供給するときの説明図である。
【図6】実施例2のラベル供給用コア装置を四つ取着した取付プレートの斜視図である。
【図7】同ラベル供給用コア装置の斜視図である。
【図8】同ラベル供給用コア装置の平面図及び断面図である。
【図9】同ラベル供給用コア装置と金型とのクリアランス調節の説明図である。
【図10】二つの同ラベル供給用コア装置と金型とのクリアランス調節の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1のラベル供給用コア装置20について、図1〜図5を用いて説明する。
【0020】
ラベル供給用コア装置20は、先端に行くほど縮径した略截頭円錘状のラベル供給用コア19を基端側と先端側とに分割した基端側の部分であり、取付プレート21に取着されたメインコア30と、ラベル供給用コア19を基端側と先端側とに分割した先端側の部分であるプッシャーコア40と、メインコア30の内部に形成された内空間50内に設けられ、伸縮することでプッシャーコア40とメインコア30とを離合させる、より詳しくは、伸長することでプッシャーコア40とメインコア30とを離間させ、縮退することでプッシャーコア40とメインコア30とを当接させるプッシャーシリンダ45とを備えている。
【0021】
メインコア30は、先端側が縮径した略截頭円錘状をしている。そして、互いに離間した二本の取付ボルト22により取付プレート21に螺着されている。二本の取付ボルト22は、メインコア30と取付プレート21との間に介装され、略円筒状で取付プレート21側に鍔が形成されているスペーサ23をそれぞれが挿通している。
【0022】
メインコア30の外周面であるメイン面31には、周方向に延び、一周に亘って連続した二本の吸引溝32と、同じく周方向に延び、一周に亘って連続した二本の開放溝33とが凹設されている。二本の吸引溝32は、それぞれがメインコア30の基端面34から穿孔された一本の吸引路35に連通するよう、吸引細孔36がそれぞれに穿設されている。二本の開放溝33は、それぞれがメインコア30の基端面34から穿孔された二本の開放路37の一方のみと連通するよう、開放細孔38がそれぞれに穿設されている。吸引路35は外部に設けられた負圧装置に接続されていることから、この負圧装置を稼動することで、吸引溝32内を負圧にでき、ラベル10をラベル供給用コア19の密着面に密着して保持することができる。一方、二本の開放路37は外部に設けられた加圧装置に接続されていることから、この加圧装置を稼動することで、開放溝33内を加圧でき、ラベル供給用コア19の密着面に密着しているラベルを剥離することができる。このメイン面31がラベル供給用コア19の密着面を分けたメイン部である。
【0023】
メインコア30の内空間50は、基端側から先端側へと略同径で延びるストレート状をしており、メインコア30の基端面34及び先端面39の両側が開口しており、基端面34側の基端開口51は、一周に亘って内空間50の内壁面55から突出した止部52が形成され、縮径している。
【0024】
基端開口51には、取付プレート21に固着された略円柱状のメインガイド25が挿通されている。メインガイド25は長さ方向の中間に段部26が形成され、段部26より先端側が拡径した拡径部27であり、拡径部27が内空間50の基端側に内挿されている。内空間50の内壁面55と拡径部27との間には、略円環状の基端ガイドブッシュ56が介装されている。メインガイド25は、基端ガイドブッシュ56に沿って、内空間50内を摺動できるようになっている。また、止部52により拡径部27が内空間50から離脱しないようにしている。
【0025】
内空間50の先端側には、基端ガイドブッシュ56と略同じ形状の先端ガイドブッシュ57が内挿されている。また、基端ガイドブッシュ56と先端ガイドブッシュ57との間には、内径が基端ガイドブッシュ56等の内径と略同じ大きさの略円環状の介装リング58が介装されている。
【0026】
プッシャーシリンダ45は、本体部46がメインガイド25の先端面28の略中心に設けられた孔に嵌装されている。また、プッシャーシリンダ45は、メインガイド25に基端面29から穿設された空気路24を通して外部から供給される加圧空気により伸長するエアシリンダである。また、プッシャーシリンダ45のロッド47の先端には、略円柱状の支持部材48が取着している。支持部材48は、プッシャーシリンダ45の伸縮により、先端ガイドブッシュ57に沿って内空間50内を摺動する。このプッシャーシリンダ45が押圧剥離機構である。
【0027】
プッシャーコア40は、先端側が縮径した略截頭円錘状をしており、支持部材48の先端面49に二本のネジ42によって取着されている。プッシャーコア40の外周面であるプッシャー面41の勾配は、メインコア30のメイン面31の勾配と略同じになっている。このプッシャー面41がラベル供給用コア19の密着面を分けたプッシャー部である。
【0028】
次に、空気路24を通して供給される加圧空気の制御により、プッシャーシリンダ45が伸縮することで、プッシャーコア40とメインコア30とが離間及び当接することについて、図4を用いて説明する。プッシャーシリンダ45への加圧空気の供給がない場合には、プッシャーシリンダ45は、内部に設けられているバネにより縮退する方向に付勢されており、図4のaに示すように、プッシャーコア40とメインコア30とは当接してしている。一方、プッシャーシリンダ45への加圧空気の供給がある場合には、プッシャーシリンダ45は、加圧空気によって伸長され、図4のbに示すように、プッシャーコア40とメインコア30とは離間する。
【0029】
次に、ラベル供給用コア装置20を用いて、ラベル10をインサート成形用金型12のキャビティ13へ供給する仕方について、図5を用いて説明する。
先ず、図5のaに示すように、疑似金型(特許文献4参照)等の公知の方法を用いて丸めたラベル10をプッシャーコア40のプッシャー面41及びメインコア30のメイン面31に巻き付けて密着させ、吸引溝32内を吸引により負圧にすることでラベルを吸着し保持しているラベル供給用コア装置20を、ラベル10を帯電させつつ、取付プレート21を移動させ、インサート成形用金型12に近づける。そして、図5のbに示すように、インサート成形用金型12のキャビティ13内に、先端がキャビティ13の底壁面15に当接するように挿入する。この状態で、プッシャー面41及びメイン面31とキャビティ13の周壁面14とのクリアランスは、ラベル10の厚さと略同じになっている。
キャビティ13に挿入した後、吸引溝32内の吸引を止める。
その後、開放溝33内を加圧すると共に、プッシャーシリンダ45へ加圧空気を供給する。そして、プッシャーシリンダ45の押圧によりプッシャーコア40でラベル10をキャビティ13の周壁面14に押し付けながら、プッシャーシリンダ45を伸長させて、プッシャーコア40とメインコア30とを離間させつつ、取付プレート21をインサート成形用金型12から離れる方向へ移動させて、メインコア30をキャビティ13から離脱する方向に移動させる。そして、図5のcに示すように、ラベル10をメイン面31から剥離させて、キャビティ13の周壁面14に付着させる。
その後、図5のdに示すように、インサート成形用金型12から取付プレート21をさらに離すことで、ラベル10をキャビティ13の周壁面14に付着させた状態で、ラベル供給用コア装置20をキャビティ13から離脱させる。
【0030】
ラベル供給用コア装置20によれば、プッシャーコア40でラベル10をキャビティ13の周壁面14に押し付けながら、プッシャーコア40とメインコア30とを離間し、メインコア30をキャビティ13から離脱する方向へ移動させて、ラベル10をメインコア30のメイン面31から剥離することから、厚さが30μm程度の薄いラベルでも確実にキャビティ13の周壁面14に付着させることができ、ラベル10を安定してインサート成形用金型12のキャビティ13へ供給することができた。
【実施例2】
【0031】
本発明の実施例2のラベル供給用コア装置60について、図6〜図10を用いて説明する。
【0032】
ラベル供給用コア装置60は、図6に示すように、一つの取付プレート61に四つ取り付けられることで、多数個取り(この場合は四個取り)のインサート成形用金型11に対して、一度に全て(四個)のキャビティ13にラベル10を供給する場合に用いられる。なお、ラベル供給用コア装置60は、多数個取り用として一つの取付プレートに複数取り付けられる場合だけでなく、一つの取付プレートに一つだけ取り付けられる場合にも用いることができる。
【0033】
ラベル供給用コア装置60は、メインコア30が取付プレート61と直交する方向に変位可能に取り付けられるよう、取付プレート61への取り付けに、スペーサ23の替わりに、スプリングガイド65とブッシュ67とを用いた点と、メインコア30と取付プレート61との間に弾性機構として、コイルスプリング62が介装されている点とが実施例1のラベル供給用コア装置20と異なり、その他の点については、ラベル供給用コア装置20と同じである。なお、図6〜図10において、ラベル供給用コア装置20と同じ部材には、同じ符号を付している。
【0034】
具体的には、メインコア30の基端面34に略円柱状の二本のスプリングガイド65を互いに離間させてボルト66で螺着すると共に、二本のスプリングガイド65に対応する取付プレート61のそれぞれの位置に、スプリングガイド65を挿通する円環状のブッシュ67を貫設することで、メインコア30は取付プレート61と直交する方向に変位できるようにして取付プレート61に取り付けられている。また、二本のスプリングガイド65のそれぞれにコイルスプリング62を外嵌し、コイルスプリング62によって、取付プレート61と離間する方向にメインコア30を付勢している。
【0035】
このようにしてメインコア30が取付プレート61に取り付けられていることから、ラベル供給用コア装置60は、図9のaに示すように、先端がキャビティ13の底壁面15に当接しているときに、取付プレート61をインサート成形用金型11へ近づく方向(図9のaの矢印の方向)に移動させると、図9のbに示すように、取付プレート61がスプリングガイド65に沿って移動して、コイルスプリング62が収縮すると共に、メインガイド25がメインコア30に対して先端方向に移動して、プッシャーシリンダ45が収縮する。そのため、メインコア30及びプッシャーコア40の位置を変えないで、取付プレート61をラベル供給用コア装置60及びインサート成形用金型11に近づけることができる。
【0036】
次に、複数(この場合は二つである)のラベル供給用コア装置60が、部品精度のばらつきにより、取付プレート61から先端までの距離が互いに異なる場合について、図10を用いて説明する。
【0037】
図10のaに示すように、二つのラベル供給用コア装置60は、部品精度のばらつきにより、先端の位置が互いに異なることから、取付プレート61から先端までの距離が長い方のラベル供給用コア装置63がインサート成形用金型11のキャビティ13の底壁面15に当接している(ラベル供給用コア装置63のプッシャーコア40のプッシャー面41及びメインコア30のメイン面31とキャビティ13の周壁面14とのクリアランスは、ラベル10の厚さと略同じになっている)場合でも、取付プレート61から先端までの距離が短い方のラベル供給用コア装置64は、キャビティ13の底壁面15に当接できず、キャビティ13の周壁面14とのクリアランスもラベル10の厚さより大きくなっている。そこで、図10のbに示すように、ラベル供給用コア装置63については、コイルスプリング62及びプッシャーシリンダ45が収縮することで、ラベル供給用コア19を移動させないようにして、ラベル供給用コア装置64がキャビティ13の底壁面15に当接するまで取付プレート61を移動させ、ラベル供給用コア装置64のプッシャー面41及びメイン面31とキャビティ13の周壁面14とのクリアランスを、ラベル10の厚さと略同じになるように小さくできる。
【0038】
ラベル供給用コア装置60によれば、実施例1のラベル供給用コア装置20で得られる効果に加え、部品精度等のばらつきによるラベル供給用コア装置60とキャビティ13とのクリアランスを調整できた。そのため、特に、多数個取りするインサート成形用金型11のそれぞれのキャビティ13に対しラベル10を安定して供給することができた。また、ラベル供給用コア装置60を取付プレート61に取り付けるときの精度等もラフにできることから、ラベル供給用コア装置60を用いてラベル10をインサート成形用金型11に供給する装置のセッティング時間も短くできた。
【0039】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【符号の説明】
【0040】
10 ラベル
11 インサート成形用金型(多数個取り)
12 インサート成形用金型
13 キャビティ
14 周壁面
19 ラベル供給用コア
20 ラベル供給用コア装置(実施例1)
21 取付プレート
30 メインコア
31 メイン面
32 吸引溝
40 プッシャーコア
41 プッシャー面
45 プッシャーシリンダ
60 ラベル供給用コア装置(実施例2)
61 取付プレート
62 コイルスプリング
65 スプリングガイド
67 ブッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサート成形に用いられるラベル(10)を密着させる密着面(31、41)を有し、前記ラベル(10)をインサート成形用金型(11、12)のキャビティ(13)へ供給するラベル供給用コア(19)を備え、
前記密着面(31、41)をプッシャー部(41)とメイン部(31)とに分けるようにして、前記ラベル供給用コア(19)をプッシャーコア(40)とメインコア(30)とに分割し、
前記ラベル(10)を密着させた前記ラベル供給用コア(19)を前記キャビティ(13)に挿入した後、前記ラベル供給用コア(19)を前記キャビティ(13)から離脱させる時に、前記プッシャーコア(40)を前記キャビティ(13)の壁面(14)側へ押圧しつつ前記メインコア(30)を前記プッシャーコア(40)から離して前記ラベル(10)を前記メイン部(31)から剥離させる押圧剥離機構(45)を設けたことを特徴とするラベル供給用コア装置。
【請求項2】
前記ラベル供給用コア(19)は先端に行くほど縮径した截頭錘状であり、
前記ラベル供給用コア(19)を基端側と先端側とに分割した基端側の部分が前記メインコア(30)であり、先端側の部分が前記プッシャーコア(40)である請求項1記載のラベル供給用コア装置。
【請求項3】
前記メインコア(30)は、前記キャビティ(13)への挿脱方向に前記ラベル供給用コア(19)を移動させる取付プレート(61)に、前記挿脱方向に相対変位可能に取り付けられ、
前記メインコア(30)と取付プレート(61)との間には、前記メインコア(30)と前記壁面(14)とのクリアランスを伸縮によって調節する弾性機構(62)が介装されている請求項1又は2記載のラベル供給用コア装置。
【請求項4】
インサート成形に用いられるラベル(10)をインサート成形用金型(11、12)のキャビティ(13)へ供給するラベル供給方法であって、
保持手段により前記ラベル(10)を密着面(31、41)に密着して保持しているラベル供給用コア(19)を前記インサート成形用金型(11、12)に近づけ、前記キャビティ(13)に挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後に前記保持手段による前記ラベル(10)の保持を解除する解除工程と、
前記解除工程の後に前記キャビティ(13)から前記ラベル供給用コア(19)を離脱させる時に、前記密着面(31、41)を分割したプッシャー部(41)を有するプッシャーコア(40)で前記ラベル(10)を前記キャビティ(13)の壁面(14)に押し付けながら前記密着面(31、41)を分割したメイン部(31)を有するメインコア(30)を前記プッシャーコア(40)から離して前記ラベル(10)を前記メイン部(31)から剥離させる剥離工程とを有することを特徴とするラベル供給方法。
【請求項5】
前記挿入工程の時の前記メインコア(30)と前記壁面(14)とのクリアランスは、弾性機構(62)の伸縮によって調節される請求項4記載のラベル供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−76430(P2012−76430A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226246(P2010−226246)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000132231)株式会社スター精機 (47)
【Fターム(参考)】