説明

ラベル貼付装置

【課題】貼付能力を高めるためにドライブローラを高速で間欠回転駆動しても、ピンチ力不足による剥離紙のスリップの発生を抑えて所定のタイミングでラベルを繰り出してこれを被着体に適正に貼付することができるラベル貼付装置を提供すること。
【解決手段】回転駆動されるドライブローラ16と複数(2つ)のピンチローラ17,18によって剥離紙3を挟持してこれを間欠的に繰り出し、該剥離紙3上に仮着されたラベルLを剥離してこれを被着体に貼り付けるよう構成する。又、剥離紙3の繰り出し方向下流側のピンチローラ18のピンチ力を上流側のピンチローラ17のそれよりも小さく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離紙上に仮着されたラベルを剥離してこれを被着体に自動的に貼り付けるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベア等の搬送手段によって連続的に順次搬送される被着体にラベルを自動的に貼り付けるラベル貼付装置として、図8に示すように、回転駆動されるドライブローラ116とこれに圧接されたピンチローラ117とで剥離紙103を挟持してこれを間欠的に送り出し、該剥離紙103を剥離プレート112によって鋭角に折り曲げて該剥離紙103上に仮着されたラベルLを剥離し、この剥離されたラベルLを被着体Hに貼り付けるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−278233号公報
【特許文献2】特開2004−210455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図8に示す従来のラベル貼付装置においては、1つのピンチローラ117しか設けられてなかったため、次のような問題が発生していた。
【0005】
即ち、回転と停止を繰り返す動作、即ち間欠回転動作を行うラベル貼付装置において、ピンチローラ117が1つである場合には、貼付能力を高めるためにドライブローラ116を高速で間欠回転駆動すると、ドライブローラ116の停止時に剥離紙103のドライブローラ116に巻回されている部分に図示のような弛みTが生じ、この結果、剥離紙103のグリップ力が低下し、次に繰り出し動作を行ってもスリップによって剥離紙103の繰り出しが追従不能となり、ラベルLをタイミング良く繰り出してこれを被着体Hに適正に貼付することができなくなってしまう。尚、このような問題は、ラベルLの繰り出しに伴う慣性や剥離紙103の伸び等にも起因している。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、貼付能力を高めるためにドライブローラを高速で間欠回転駆動しても、ピンチ力不足による剥離紙のスリップの発生を抑えて所定のタイミングでラベルを繰り出してこれを被着体に適正に貼付することができるラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転駆動されるドライブローラとこれに圧接されたピンチローラとで剥離紙を挟持してこれを間欠的に繰り出し、該剥離紙上に仮着されたラベルを剥離してこれを被着体に貼り付けるラベル貼付装置において、前記ピンチローラを複数設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記剥離紙の繰り出し方向下流側のピンチローラのピンチ力を上流側のピンチローラのそれよりも小さく設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記各ピンチローラを前記ドライブローラに対して接離可能にしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記各ピンチローラを揺動アームによって揺動可能に支持するとともに、付勢手段によって前記ドライブローラ側に付勢してドライブローラに圧接させたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記付勢手段をスプリングで構成し、剥離紙の繰り出し方向下流側のピンチローラを付勢するスプリングのバネ定数を上流側のピンチローラを付勢するスプリングのそれよりも小さく設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドライブローラとの間で剥離紙を挟持するピンチローラを複数設けたため、剥離紙のドライブローラへの接触面積が拡大し、ドライブローラによる剥離紙の繰り出しが確実になされ、貼付能力を高めるためにドライブローラを高速で間欠回転駆動しても、ピンチ力不足による剥離紙のスリップの発生が抑えられてラベルを所定のタイミングで繰り出してこれを被着体に適正に貼付することができる。
【0013】
又、本発明によれば、剥離紙の繰り出し方向下流側のピンチローラのピンチ力を上流側のピンチローラのそれよりも小さく設定したため、複数のピンチローラ間に発生した剥離紙の弛みが吸収され、剥離紙は常に安定的に繰り出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係るラベル貼付装置の平面図、図2は同ラベル貼付装置要部の拡大平面図、図3は同要部側面図、図4は図2のA−A線断面図、図5は図2のB−B線断面図、図6は図5の矢視C−C線方向の図、図7はドライブローラとピンチローラ部分の斜視図である。
【0016】
図1に示すラベル貼付装置1において、2は複数のラベルLを所定の間隔で剥離紙3上に仮着して成るラベル原反Gをロール状に巻回した繰り出しリール、4はラベルが剥離された後の剥離紙3を巻き取るための巻き取りリールであり、これらの繰り出しリール2と巻き取りリール4は水平回転自在に支持されている。そして、繰り出しリール2から繰り出された剥離紙3が巻き取りリール4に巻き取られるまでの経路には各種ローラ群が配置されている。
【0017】
即ち、繰り出しリール2からラベル原反Gが繰り出される方向にはガイドローラ5とアンワインダ6が配置されている。ここで、アンワインダ6は、繰り出しリール2に巻回されたラベル原反Gをドライブローラ7とこれに圧接されたピンチローラ8で挟持してこれを間欠的に繰り出す装置であって、ドライブローラ7は、不図示のモータによって所定のタイミングで間欠回転駆動される。
【0018】
そして、アンワインダ6から繰り出されるラベル原反Gは、テンションローラ9及びガイドローラ10,11に巻き掛けられて剥離プレート12に至る。ここで、テンションローラ9は、軸を中心13として水平に揺動可能なアーム14の端部に回転自在に軸支されており、これに巻き掛けられたラベル原反Gを剥離プレート12との間で常時引っ張ってこれに所定のテンションを付与するものである。
【0019】
又、前記ガイドローラ11に対向する位置には別のガイドローラ15が配置されており、前記剥離プレート12によって鋭角に折り返されたラベル原反Gは、ガイドローラ15を経てドライブローラ16に向かうが、ラベル原反Gが剥離プレート12によって鋭角に折り曲げられることによって剥離紙3からラベルLが剥され、剥されたラベルLが不図示の被着体に順次自動的に貼り付けられていく。そして、ラベルLが剥された剥離紙3は、前述のようにガイドローラ15を経てドライブローラ16に向かう。
【0020】
ここで、ドライブローラ16には2つのピンチローラ17,18が圧接されており、ドライブローラ16がモータ19によって所定のタイミングで間欠的に回転駆動されることによって、剥離紙3は、ドラブローラ16と2つのピンチローラ17,18によって挟持されて前記巻き取りリール4へと繰り出されて該巻き取りリール4に巻き取られる。尚、後述のように、巻き取りリール4も前記モータ19によって所定のタイミングで回転駆動されて剥離紙3を巻き取る。
【0021】
ここで、本発明の要旨を構成する前記ドライブローラ16と前記ピンチローラ17,18について説明する。
【0022】
ドライブローラ16は、図4に示すように、フェースプレート20に回転自在に支承された回転軸21に取り付けられている。即ち、回転軸21は、フェースプレート20に垂直に挿通されており、その中間部は、軸受22及び軸受ブロック23を介してフェースプレート20に回転自在に支承され、上端部は、軸受24及び軸受ブロック25を介してプレート26の一端に回転自在に支承されている。そして、プレート26の他端は、図3及び図7に示すように、フェースプレート20上に垂直に立設された軸27の上端に取り付けられている。
【0023】
又、上記回転軸21のフェースプレート20の下方へ延出する部分には、図3及び図4に示すように、小径のプーリ28と大径のプーリ29が上下2段に結着されている。
【0024】
他方、駆動源としての前記モータ19は、フェースプレート20上に垂直に固設されており、図3に示すように、このモータ19のフェースプレート20から下方へ延出する出力軸30にはプーリ31が結着されており、このプーリ31とドイラブローラ16の回転軸21に結着された前記プーリ28には無端状のベルト32が巻装されている。尚、ベルト32にはテンションローラ33が当接しており、このテンションローラ33によってベルト32には所定のテンションが付与されている。
【0025】
又、図4に示すように、前記巻き取りリール4は、フェースプレート20に軸受34及び軸受ブロック35を介して回転自在に支承された回転軸36に結着されており、回転軸36のフェースプレート20から下方へ延出する部分にはプーリ37が結着されており、このプーリ37とドライブローラ16の回転軸21に結着された前記プーリ29には無端状の丸ベルト38が巻装されている。
【0026】
一方、フェースプレート20上には、図5及び図7に示すように、固定プレート39が固設されており、この固定プレート39の上方には同形状の固定プレート40が2本の軸41,42によって平行に支持されている。そして、各軸41,42には上下一対の揺動アーム43,44の各中間部がそれぞれ揺動可能に枢着されており、各揺動アーム43,44の端部には前記ピンチローラ17,18がそれぞれ回転可能に軸支されている。即ち、各ピンチローラ17,18は、上下一対の揺動アーム43,44間に垂直に架設された軸45,46に上下一対の軸受47(図5には一方のピンチローラ18のみ図示)を介して回転可能に支承されている。
【0027】
又、図7に示すように、上下の揺動アーム43と上下の固定プレート39,40の各端部間には付勢手段としてのスプリング48が縮装されており、これらのスプリング48によってピンチローラ17は軸41を中心としてドライブローラ16側に付勢されてドライブローラ16の外周面に所定のピンチ力で圧接されている。同様に、上下の揺動アーム44と上下の固定プレート39,40の各端部間にも付勢手段としてのスプリング49が縮装されており、これらのスプリング49によってピンチローラ18は軸42を中心としてドライブローラ16側に付勢されてドライブローラ16の外周面に所定のピンチ力で圧接されている。
【0028】
ここで、剥離紙3は、ドライブローラ16と2つのピンチローラ17,18に図示のように掛け回され、これらのドライブローラ16とピンチローラ17,18によって挟持されつつ図7の矢印方向に繰り出されるが、その繰り出し方向下流側のピンチローラ18のピンチ力(圧接力)は、上流側のピンチローラ17のピンチ力よりも小さく設定されている。具体的には、下流側のピンチローラ18を付勢するスプリング49のバネ定数が上流側のピンチローラ17を付勢するスプリング48のバネ定数よりも小さく設定されている。
【0029】
ところで、図5〜図7に示すように、上下一対の固定プレート39,40の端部間には垂直な軸50が回動可能に支持されており、該軸50の上下にはカム51がそれぞれ結着されており、各カム51は揺動アーム43,44の各端部にそれぞれ係合している。そして、軸50の上端にはレバー52(図2、図3及び図5参照)が結着されており、このレバー52を図2の鎖線位置まで回動操作することによって、これに結着されたカム51によって揺動アーム43,44を軸41,42を中心として回動させて両ピンチローラ17,18をドライブローラ16から同時に離間させることができる。
【0030】
而して、不図示の制御手段からの制御信号によってモータ19が所定のタイミングで駆動されると、その出力軸30の回転はプーリ31とベルト32及びプーリ28を経てドライブローラ16の回転軸21に伝達され、該回転軸21とこれに取り付けられたドライブローラ16が所定の速度で回転駆動され、このドライブローラ16の回転によって、該ドライブローラ16とこれに当接して従動回転する2つのピンチローラ17,18に挟持された剥離紙3が巻き取りリール4に向かって繰り出される。
【0031】
又、ドライブローラ16の回転軸21の回転は、プーリ29と丸ベルト38及びプーリ37を経て回転軸36に伝達され、該回転軸36とこれに結着された巻き取りリール4が所定の速度で回転駆動され、ドライブローラ16とピンチローラ17,18から繰り出される剥離紙3が巻き取りリール4に巻き取られる。
【0032】
以上において、本実施の形態では、2つのピンチローラ17,18をドライブローラ16に圧接し、これらのドライブローラ16とピンチローラ17,18とで剥離紙3を挟持してこれを繰り出すよう構成したため、剥離紙3のドライブローラ16への接触面積が拡大して両者間の摩擦力が増大し、ドライブローラ16による剥離紙3の繰り出しが確実になされ、貼付能力を高めるためにドライブローラ16を高速で間欠回転駆動しても、ピンチ力不足による剥離紙3のスリップの発生が抑えられてラベルを所定のタイミングで繰り出してこれを被着体に適正に貼付することができる。
【0033】
又、本実施の形態においては、剥離紙3の繰り出し方向下流側のピンチローラ18のピンチ力を上流側のピンチローラ17のそれよりも小さく設定したため、2つのピンチローラ17,18間に発生した剥離紙3の弛みが吸収され、剥離紙3は常に安定的に繰り出される。
【0034】
尚、本実施の形態では、2つのピンチローラを設けたが、3つ以上のピンチローラを設けても良く、この場合、剥離紙の繰り出し方向下流側のピンチローラのピンチ力をそれよりも上流側のピンチローラのそれよりも小さく設定することによって、複数のピンチローラ間に発生した剥離紙の弛みを吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、剥離紙上に仮着されたラベルを剥離してこれを被着体に自動的に貼り付けるラベル貼付装置に対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るラベル貼付装置の平面図である。
【図2】本発明に係るラベル貼付装置要部の拡大平面図である。
【図3】本発明に係るラベル貼付装置要部の側面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【図6】図5の矢視C−C線方向の図である。
【図7】本発明に係るラベル貼付のドライブローラとピンチローラ部分の斜視図である。
【図8】従来のラベル貼付装置要部の構成を示す模式的平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ラベル貼付装置
2 繰り出しリール
3 剥離紙
4 巻き取りリール
12 剥離プレート
15 ガイドローラ
16 ドライブローラ
17,18 ピンチローラ
19 モータ
39,40 固定プレート
41,42 軸
43,44 揺動アーム
48,49 スプリング(付勢手段)
G ラベル原反
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されるドライブローラとこれに圧接されたピンチローラとで剥離紙を挟持してこれを間欠的に繰り出し、該剥離紙上に仮着されたラベルを剥離してこれを被着体に貼り付けるラベル貼付装置において、
前記ピンチローラを複数設けたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記剥離紙の繰り出し方向下流側のピンチローラのピンチ力を上流側のピンチローラのそれよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記各ピンチローラを前記ドライブローラに対して接離可能にしたことを特徴とする請求項1又は2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
前記各ピンチローラを揺動アームによって揺動可能に支持するとともに、付勢手段によって前記ドライブローラ側に付勢してドライブローラに圧接させたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
前記付勢手段をスプリングで構成し、剥離紙の繰り出し方向下流側のピンチローラを付勢するスプリングのバネ定数を上流側のピンチローラを付勢するスプリングのそれよりも小さく設定したことを特徴とする請求項4記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−143233(P2006−143233A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332456(P2004−332456)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】