説明

ラベル貼付装置

【課題】構造の簡略化を図って製造コストを低廉化することのできるラベル貼付装置を提供すること
【解決手段】ラベル基材11を収容する収容手段12と、剥離材SからラベルLを剥離するピールプレート15と、剥離されたラベルLを被着体16に貼付するバキュームグリット35と、剥離材Sの回収手段19と、ラベル基材11を繰り出す駆動手段20とを備えてラベル貼付装置10が構成されている。ラベル基材11は巻き芯および回転軸を用いることなくフリーな状態で収容手段12内に収容され、回収手段19は、巻き芯および回転軸を用いることなく巻回した状態に回収可能な形状に設けられている。回収手段19の回収空間C及び収容手段12の収容空間は正面側が開放している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル貼付装置に係り、更に詳しくは、ラベル基材を繰り出す駆動手段の数を最小化して構成の簡易化を達成することのできるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯状に連なる剥離材にラベルを貼付したラベル基材をロール状に巻回し、このラベル基材を繰り出しながら一枚ずつラベルを剥離して当該ラベルを所定の被着体に貼付するラベル貼付装置が知られている。同装置に用いられるラベル基材は円筒状の巻き芯(紙管)に巻回されており、この巻き芯を繰出用の回転軸に装着することで繰り出し可能に設けられている。この一方、ラベルが剥離された後の剥離材は、巻取用の回転軸に固定されて当該回転軸によって順次巻き取り可能に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−305932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のラベル貼付装置にあっては、繰出用と巻取用の各回転軸が、相互に独立したモーターに連結されて所定のタイミングで回転する構成とされるため、部品点数が増大するばかりでなく、ラベル基材をセットする手間及び紙管の除去、廃棄処理等の問題を招来していた。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、構造の簡略化を図って製造コストを低廉化することのできるラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、帯状に連なる剥離材の一方の面に所定間隔でラベルが設けられたラベル基材を収容する収容手段と、前記剥離材からラベルを剥離する剥離手段と、この剥離手段を介して剥離されたラベルを所定の被着体に貼付する貼付手段と、前記剥離材を回収する回収手段と、前記ラベル基材を収容手段から繰り出す駆動手段とを含むラベル貼付装置において、
前記収容手段は、ラベル基材に巻き芯および回転軸を用いることなく当該ラベル基材を巻回した状態で収容可能に設けられる一方、前記回収手段は、巻き芯および回転軸を用いることなく剥離材を巻回した状態で回収可能に設けられ、正面側が開放した回収空間が形成される、という構成を採っている。
【0007】
また、本発明は、帯状に連なる剥離材の一方の面に所定間隔でラベルが設けられたラベル基材を収容する収容手段と、前記剥離材からラベルを剥離する剥離手段と、この剥離手段を介して剥離されたラベルを所定の被着体に貼付する貼付手段と、前記剥離材を回収する回収手段と、前記ラベル基材を収容手段から繰り出す駆動手段とを含むラベル貼付装置において、
前記収容手段は、ラベル基材に巻き芯および回転軸を用いることなく当該ラベル基材を巻回した状態で収容可能に設けられ、正面側が開放した収容空間が形成されている一方、前記回収手段は、巻き芯および回転軸を用いることなく剥離材を巻回した状態で回収可能に設けられる、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ラベル基材は単に収容手段に収容するだけでよく、一つの駆動手段によってラベル基材を順次繰り出しできるとともに、ラベルが剥離された後の剥離材は、収容手段内で巻回した状態で収容されることとなる。従って、新たなラベル基材を装填する際の作業が簡単に行える他、繰出用及び巻取用の回転軸をそれぞれ設ける必要性を一掃することができ、従来タイプのラベル貼付装置よりも構造が簡略化でき、ひいては、製造コストの削減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るラベル貼付装置の概略正面図。
【図2】前記装置の要部概略斜視図。
【図3】ピールプレート領域の拡大正面図。
【図4】ピールプレートを退避させた状態を示すラベル貼付装置の概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1には、本実施形態の全体構成を示す正面図が示され、図2には、その要部概略斜視図が示されている。これらの図において、ラベル貼付装置10は、帯状の剥離材Sの一方の面にラベルLが貼付されたラベル基材11を収容する収容手段12と、ラベル基材11を引き出して剥離材SからラベルLを剥離する剥離手段としてのピールプレート15と、剥離されたラベルLを被着体16に貼付する貼付手段17と、剥離材Sを回収する回収手段19と、この回収手段19と前記収容手段12との間に設けられてラベル基材11の繰り出しと送り出しを行う駆動手段20とを備えて構成されている。
【0012】
前記ラベル基材11は、巻き芯(紙管)を有しないタイプのものが採用され、ロール状に巻回された状態で収容手段12に収容されて自由に回転できるようになっている。収容手段12は、図示しない操作スイッチの制御回路等を収容するケース22の正面側に取り付けられている。この収容手段12は、ケース22の正面に固定されるパネル23の正面側に位置して半円弧状に凹んだ収容凹部24と、この収容凹部24の図1中右端側から上方に向けられた湾曲カバー部25とによりラベル基材11を収容する収容空間を形成し、当該収容空間の正面側が開放している。また、収容凹部24の左端側には、左下がりとなる傾斜面26が連設されている。
【0013】
前記ピールプレート15は先端が鋭角に形成されて、当該ピールプレート15の先端でラベル基材11の向きを急激に折返し転換することで、剥離材SからラベルLを剥離できるようになっている。このピールプレート15は、軸状に延びる支持アーム28の一端側(図1中左端側)に固定され、当該支持アーム28の他端には関節型のリンクバー29が連結されている。このリンクバー29の図1中右端側には、操作レバー30が固定されており、当該操作レバー30を矢印A方向に回転させることで、支持アーム28が軸方向(矢印方向)に沿って変位でき、ひいては、ピールプレート15を貼付手段17から離れた退避位置B(図4参照)まで移動させることができるようになっている。ここで、支持アーム28の上面側と下面側には、ガイドローラー31,32が設けられており、これらの各ガイドローラー31,32によって支持アーム28が円滑に変位可能とされている。
【0014】
前記貼付手段17は、本実施形態では下面側にラベル保持面34を有するバキュームグリット35により構成されている。この貼付手段17は、図示しないシリンダー装置18等を介して上下に移動可能に設けられ、前記バキュームグリット35がラベルLを吸着した状態で下降することで、ラベル貼付装置10の下方位置に搬送されてくる被着体16、本実施形態ではタイヤにラベルLが貼付される。
【0015】
前記回収手段19は、前記駆動手段20の下方に位置して図1中右下がりの状態に下降する傾斜面となるガイド部37と、このガイド部37の右側に連なって右上がりに上昇する円弧面となる回収底部38と、これらガイド部37及び回収底部38の上部に位置して一定の回収空間Cを形成する巻回ガイド39とにより構成され、当該回収空間Cの正面側が開放している。この巻回ガイド39は、回収された剥離材Sを巻回する方向に案内して次第に渦巻状に剥離材Sを巻回するように設けられている。
【0016】
前記駆動手段20は、前記ガイド部37の上部内に位置する駆動ローラー40と、この駆動ローラー40の上部外周面に接するピンチローラー41とにより構成されている。駆動ローラー40は、モーター21の出力軸に連結されており、当該駆動ローラー40が回転することで、前記ラベル基材11を収容手段12から繰り出し、ラベルLが剥離された後の剥離材Sを回収手段19に向かって送り出しできるようになっている。
【0017】
前記ピールプレート15(剥離手段)の上部には、図3に示されるように、ラベルLの有無を検出するラベル検出体43が配置されている。このラベル検出体43は、回転中心軸44回りに位置する基部45と、この基部45からピールプレート15の上方に延びてラベルLに接するアーム部46と、前記基部45から上方に延びる起立部48とを備えて構成されている。起立部48の上部には図1に示されるように、延長部50が設けられ、当該延長部50の振れをセンサ51が検知することにより、ラベルLの有無が検出できるようになっている。ここで、アーム部46の先端側には、ラベル基材11をピールプレート15との間に挟み込んで一定の繰り出し抵抗をラベル基材11に付与する略L字状の押圧部材52が配置されている。
【0018】
前記ピンチローラー41の上部には吹き出し手段55が配置されている。この吹き出し手段55は、筒状に設けられており、その上部外周面に図示しない複数の小孔が形成されて当該小孔よりラベルLの繰り出し時にラベル保持面34に空気を吹き付けでき、これにより、バキュームグリット35に吸着保持されるラベルLを安定して吸着させることができるようになっている。
【0019】
次に、本実施形態に係るラベル貼付装置10の動作について図4をも参照しながら説明する。
【0020】
初期設定作業においては、図4に示されるように、操作レバー30の外側端部を上方に持ち上げるように回転させてピールプレート15が貼付手段17から離れた退避位置Bに退避させておく。そして、ロール状に巻回されたラベル基材11を収容手段12内に入れ、そのリード端を駆動ローラー40とピンチローラー41との間を通して回収手段19のガイド部37に導出させておき、前記操作レバー30を時計方向に回転させてピールプレート15を貼付手段17に最接近したラベル剥離位置Aに移動させる。これにより、ラベル基材11に所定の張力が付与された状態で当該ラベル基材11が掛け回されて初期設定作業が完了する。
【0021】
次いで、図示しない電源スイッチを投入すると、前記駆動ローラー40が図1中反時計方向に回転してラベル基材11の繰り出し及び送り出しを行うこととなる。このラベル基材11は、前記ピールプレート15の上面と押圧部材52との挟み込みにより一定の張力を付与され弛みなく保たれる結果、ピールプレート15の先端位置での急激な折り返しによる方向変換で剥離材SからラベルLが一枚ずつ剥離されることとなる。この際、ラベル検出体43により、貼付直前位置のラベルLの有無が検出される。そして、剥離されたラベルLは、吹き出し手段55からのエア圧を受けながら貼付手段17のラベル保持面34に吸着保持され、予め設定されたタイミングで貼付手段17がシリンダー装置18で下降して非着体16にラベルLを貼付することとなる。
【0022】
ラベルLが剥離された後の剥離材Sは、ガイド部37を通り,回収底部38及び巻回ガイド39の内面形状に沿うようにして次第に巻回されならが、回収量が増えるようになる。
【0023】
このようにしてラベルLの貼付が進み、次第に収容手段12内のラベル基材11の残量が減少し、回収手段19に剥離材Sの供給が完了したら、回収手段19から剥離材Sを取り出して新たなラベル基材11を収容手段12にセットすればよい。
【0024】
従って、このような実施の形態によれば、ラベル基材11の設定や、回収された剥離材Sの回収を極めて容易且つ迅速に行えるという効果を得る。
【0025】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を行うことができる。例えば、被着体16との相関関係に応じて、貼付手段17の移動方向を傾斜方向や横方向に変更することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 ラベル貼付装置
11 ラベル基材
12 収容手段
15 ピールプレート(剥離手段)
16 被着体
17 貼付手段
19 回収手段
20 駆動手段
30 操作レバー
34 ラベル保持面
35 バキュームグリット
37 ガイド部
38 回収底部
39 巻回ガイド
43 ラベル検出体
46 アーム部
51 センサ
52 押圧部材
55 吹き出し手段
A ラベル剥離位置
B 退避位置
S 剥離材
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に連なる剥離材の一方の面に所定間隔でラベルが設けられたラベル基材を収容する収容手段と、前記剥離材からラベルを剥離する剥離手段と、この剥離手段を介して剥離されたラベルを所定の被着体に貼付する貼付手段と、前記剥離材を回収する回収手段と、前記ラベル基材を収容手段から繰り出す駆動手段とを含むラベル貼付装置において、
前記収容手段は、ラベル基材に巻き芯および回転軸を用いることなく当該ラベル基材を巻回した状態で収容可能に設けられる一方、前記回収手段は、巻き芯および回転軸を用いることなく剥離材を巻回した状態で回収可能に設けられ、正面側が開放した回収空間が形成されていることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
帯状に連なる剥離材の一方の面に所定間隔でラベルが設けられたラベル基材を収容する収容手段と、前記剥離材からラベルを剥離する剥離手段と、この剥離手段を介して剥離されたラベルを所定の被着体に貼付する貼付手段と、前記剥離材を回収する回収手段と、前記ラベル基材を収容手段から繰り出す駆動手段とを含むラベル貼付装置において、
前記収容手段は、ラベル基材に巻き芯および回転軸を用いることなく当該ラベル基材を巻回した状態で収容可能に設けられ、正面側が開放した収容空間が形成されている一方、前記回収手段は、巻き芯および回転軸を用いることなく剥離材を巻回した状態で回収可能に設けられていることを特徴とするラベル貼付装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−235969(P2011−235969A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186975(P2011−186975)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【分割の表示】特願2001−242208(P2001−242208)の分割
【原出願日】平成13年8月9日(2001.8.9)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】