説明

ラミニン5B

本発明は、α3B鎖、β3鎖、およびγ2鎖の各サブユニットから構成されるヒトラミニン5B蛋白質を提供する。ここで、α3B鎖は、配列番号2で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置
換されているアミノ酸配列を有し、β3鎖は、配列番号4で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、γ2鎖は、配列番号6で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有する。本発明のラミニン5Bは、細胞増殖促進活性、細胞接着促進活性、細胞運動促進活性、および神経突起伸展促進活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、細胞増殖促進、細胞接着促進、細胞運動促進、および神経突起伸展促進活性を有するヒトラミニン5B、ならびにこれを含む細胞増殖促進剤、細胞接着促進剤、細胞運動促進剤、および神経突起伸展促進剤に関する。
【背景技術】
ラミニンは基底膜の重要な成分であり、細胞表面レセプターと相互作用することによって細胞機能を調節している。ラミニン分子は、α、β、γの3つの鎖がジスルフィド結合で会合したヘテロ三量体蛋白質であり、特徴的な十字架構造をとっている。現在までに、5種類のα鎖、3種類のβ鎖、3種類のγ鎖の異なる組み合わせによって15種類のアイソフォームが同定されている。各アイソフォームは異なる組織分布を示し、それぞれ異なる役割分担を果たすと考えられるが、その詳細は明らかではない。
ラミニン分子は、3本鎖のアミノ(N)末端部分(短腕)で互いに会合したり、他のマトリクス分子と会合して、基底膜を構築する。一方、α鎖のカルボキシル(C)末端には5つの相同な球状ドメイン(G1−G5ドメインまたはLG1−LG5)が存在し、主にこの部分でインテグリンやその他のレセプターと結合する。
ラミニン5は、α3鎖、β3鎖、γ2鎖からなるラミニン分子であり、表皮細胞が産生するマトリクス分子(ラドシン、カリニン、エピリグリン、ナイセインとも称される)として見いだされた。この分子は、表皮の真皮への結合に中心的な役割を果たしており、ほとんどの細胞においてインテグリンα3β1に優先的に結合するが、細胞によってはインテグリンα6β1、α6β4にも結合する。ラミニン5におけるα3鎖G2ドメインのα3G2A配列(RERFNISTPAFRGCMKNLKKTS)やG3ドメインのKRD配列がインテグリンに対する主要な結合部位であることが解明されている。また、α3鎖のC末端に存在するG4およびG5ドメインはラミニン5が分泌された直後に蛋白質分解酵素によって切断除去されることが知られている。通常の方法で単離されるラミニン5にはG4、G5ドメインが存在しない。このようなラミニン5は、細胞の接着促進活性、運動促進活性、および神経再生促進活性を有することが知られている。
ラミニン5に含まれるα3鎖には短鎖型(α3A)と長鎖型(α3B)が存在し、それらの各組織における発現パターンが異なることが報告されている(J.Biol.Chem.,270(1995),21820−21826)。α3A鎖はα3B鎖のN末端側が欠失した構造を有する。α3A鎖の全長cDNAはヒトやマウスなどでクローニングされているのに対して、α3B鎖に関してはマウスで全長cDNAが、ヒトでは不完全なcDNAがクローニングされている(FEBS Letters 417(1997),65−70)。しかし、これまでにα3B鎖を有するラミニン5Bは単離されていない。
【発明の開示】
本発明者らは、ヒトラミニンα3B鎖、β3鎖およびγ2鎖からなるラミニン5B分子を培養細胞中で安定して発現させることに成功し、ラミニン5Bが優れた細胞増殖促進効果、細胞接着促進効果、細胞運動促進効果、および神経突起伸展促進効果を有することを見いだした。
本発明は、α3B鎖、β3鎖、およびγ2鎖の各サブユニットから構成されるラミニン5B蛋白質を提供する。ここで、α3B鎖は、配列番号2で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、β3鎖は、配列番号4で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、γ2鎖は、配列番号6で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有する。
本発明のラミニン5B蛋白質は、ラミニン5と同様に、分泌された直後に蛋白質分解酵素によってG4およびG5ドメインが切断される。すなわち、別の観点においては、本発明は、α3B#3鎖、β3鎖、およびγ2鎖の各サブユニットから構成されるラミニン5B蛋白質を提供する。ここで、α3B#3鎖は、配列番号8で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、β3鎖は、配列番号4で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、γ2鎖は、配列番号6で示されるアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有する。
本発明はまた、上述の本発明のラミニン5B蛋白質を含む細胞増殖促進剤、細胞接着促進剤、細胞運動促進剤ならびに神経突起伸展促進剤を提供する。本発明はまた、上述の本発明のラミニン5B蛋白質を用いることを特徴とする、細胞増殖を促進する方法、細胞接着を促進する方法、細胞運動を促進する方法、ならびに神経突起伸展を促進する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のラミニン5B蛋白質の構造を示す。
図2は、ラミニン5およびラミニン5BのSDS−PAGEの結果を示す。
図3は、ラミニン5およびラミニン5Bのイムノブロッティングの結果を示す。
図4は、ラミニン5およびラミニン5Bの細胞接着アッセイの結果を示す。
図5は、ラミニン5およびラミニン5Bの細胞接着活性に及ぼす抗インテグリン抗体の阻害効果を示す。
図6は、ラミニン5およびラミニン5Bの細胞のスキャッタリング活性のアッセイの結果を示す。
図7は、ラミニン5およびラミニン5Bの細胞の細胞運動促進活性のアッセイの結果を示す。
図8は、ラミニン5またはラミニン5BでトランスフェクトしたHEK細胞の増殖曲線を示す。
図9は、ラミニン5およびラミニン5Bの細胞増殖促進活性のアッセイの結果を示す。
図10は、ラミニン5およびラミニン5Bの細胞増殖促進活性のアッセイの結果を示す。
図11は、ラミニン5およびラミニン5Bの腎臓尿細管上皮細胞の増殖促進活性のアッセイの結果を示す。
図12は、ラミニン5およびラミニン5Bの神経突起伸展促進活性のアッセイの結果を示す。
図13は、ラミニンα3B鎖の全長塩基配列を示す。
図14は、ラミニンα3B鎖の全長アミノ酸配列を示す。
図15は、ラミニンβ3鎖の塩基配列を示す。
図16は、ラミニンβ3鎖の全長アミノ酸配列を示す。
図17は、ラミニンγ2鎖の塩基配列を示す。
図18は、ラミニンγ2鎖の全長アミノ酸配列を示す。
図19は、ラミニンα3B#3鎖の塩基配列を示す。
図20は、ラミニンα3B#3鎖のアミノ酸配列を示す。
発明の詳細な説明
図1に、ラミニン5(LN5)蛋白質および本発明のラミニン5B(LN5B)蛋白質の構造を示す。LN5はα3A鎖、β3鎖、およびγ2鎖からなり、LN5B鎖はα3B鎖、β3鎖、およびγ2鎖からなる。α3B鎖はα3A鎖の約2倍の大きさをもち、α3B鎖のC末端側約半分の構造はα3A鎖と共通である。α3B鎖とα3A鎖のC末端部分には球状(G)ドメインが存在し、それは5つのサブドメイン(またはモジュール)(G1〜G5)に分かれている。LN5やLN5Bが細胞から分泌されると直ちに蛋白質分解酵素によりG3とG4の間(黒矢じり)で完全に切断される。従って、培養液中にはG4とG5を欠損するLN5またはLN5Bが分泌される。また、α3B鎖、α3A鎖、およびγ2鎖のN末端部分(白矢じり)でも部分的な切断が起こる。
本発明のラミニン5B蛋白質は、当該技術分野において知られる組換えDNA技術を用いて各サブユニットを発現させることにより製造することができる。本発明のラミニン5Bの各サブユニットをコードするcDNAは、配列番号1、3または5に記載される塩基配列に基づいてプライマーを設計し、適当なcDNAライブラリーをテンプレートとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により目的とする配列を増幅することにより製造することができる。このようなPCR手法は当該技術分野においてよく知られており、例えば、”PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications”,Academic Press,Michael,et al.,eds.,1990に記載されている。
ラミニン5Bの各鎖遺伝子をコードするDNAを、適当な発現ベクター中に組み込み、これを真核生物または原核生物細胞のいずれかに導入して、それぞれの鎖を発現させることにより所望の蛋白質を得ることができる。本発明の蛋白質を発現させるために用いることができる宿主細胞の例としては、限定されないが、大腸菌、枯草菌等の原核生物宿主、および酵母、真菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核生物宿主が挙げられる。宿主として有用な哺乳動物細胞には、HeLa細胞、線維芽細胞由来の細胞、例えばVEROまたはCHO−K1、またはリンパ球由来の細胞、およびこれらの誘導体が含まれる。好ましい哺乳動物宿主細胞には、SP2/0およびJ558L、ならびに神経芽細胞腫細胞株、例えばIMR332が含まれる。さらに、植物細胞および昆虫細胞、例えばショウジョウバエの細胞もまた宿主として利用可能である。
ベクターとは、細胞にトランスフェクトすることができ、細胞ゲノム中でまたはそれとは独立に複製しうる一本鎖または二本鎖の核酸分子を表す。発現ベクターは、DNAの発現を駆動するプロモーター領域を含み、さらに転写および翻訳の制御配列、例えばTATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、3’非コード領域、エンハンサー等を含んでいてもよい。プロモーターの例としては、原核生物宿主中で用いる場合には、blaプロモーター、catプロモーター、lacZプロモーター、真核生物宿主中で用いる場合には、マウスメタロチオネインI遺伝子配列のプロモーター、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母解糖系酵素遺伝子配列プロモーター等が挙げられる。ベクターの例には、限定されないが、pBR322、pUC118、pUC119、λgt10、λgt11、pMAM−neo、pKRC、BPV、ワクチニア、SV40、2−ミクロン等が含まれる。
発現ベクターは、これを含有する宿主細胞を選択することができるように、1またはそれ以上のマーカーを有することが好ましい。マーカーとしては、栄養要求性宿主に対する栄養、抗生物質耐性(例えばアンピシリン、テトラサイクリン、ネオマイシン、ハイグロマイシン等)、または重金属耐性(例えば銅)を与えるものを用いることができる。
さらに、シグナル配列を用いて本発明の蛋白質を分泌発現させるように、あるいは、本発明の蛋白質を別の蛋白質との融合蛋白質の形で発現させるように、ベクターを構築することができる。融合蛋白質を用いることにより、蛋白質の安定性を改良し、または精製を容易にすることができる。そのような発現ベクターの構築は当該技術分野においてよく知られている。
ラミニン5Bの各鎖をコードするDNAは、一つの発現ベクター内に組み込んで発現させてもよく、または別個の発現ベクターに組み込んで、これらのベクターを同じ細胞にトランスフェクトして発現させてもよい。α3鎖、β3鎖およびγ2鎖の各サブユニットはいずれも非常に大きなポリペプチドであるため、好ましくは後者の方法を用いる。
本発明のラミニン5Bを発現するよう構築したベクターは、トランスフォーメーション、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈澱、直接マイクロインジェクション等により、適当な宿主細胞中に導入することができる。ベクターを含む細胞を適当な培地中で成長させて本発明の蛋白質を産生させ、細胞または培地から所望の組換え蛋白質を回収し、精製することにより、本発明のラミニン5B蛋白質を得ることができる。精製は、サイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィー等を用いて行うことができる。
本発明のラミニン5Bの各鎖は、対応する配列番号で示されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有するものであってもよい。このような天然の蛋白質と相同の蛋白質も本願発明の範囲内である。
アミノ酸の保存的変更を行って、元の機能を保持している蛋白質またはポリペプチドを得ることができることは、当該技術分野においてよく知られている。そのような置換には、アミノ酸を類似の物理化学的特性を有する残基で置き換えること、例えば、1つの脂肪族残基(Ile、Val、LeuまたはAla)を別のもので、または塩基性残基LysとArg、酸性残基GluとAsp、アミド残基GlnとAsn、ヒドロキシル残基SerとTyr、または芳香族残基PheとTyrとの間で置き換えることが含まれる。
また、配列番号2、4、6または8に記載されるアミノ酸配列と、少なくとも50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性を有し、かつ細胞増殖促進活性、細胞接着促進活性、細胞運動促進活性、または神経突起伸展促進活性を有する蛋白質も本願発明の範囲内である。同一性は、同一である残基の数を、既知の配列または既知の配列のドメイン中の残基の総数で割り、100を乗ずることにより計算する。標準的なパラメータを用いて配列の同一性を決定するためのいくつかのコンピュータプログラム、例えば、Gapped BLASTまたはPSI−BLAST(Altschul,et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402)、BLAST(Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410)、およびスミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)(Smith,et al.(1981)J.Mol.Biol.147:195−197)が利用可能である。好ましくは、これらのプログラムのデフォルト設定を用いるが、所望によりこれらの設定を変更してもよい。
また、本発明のラミニン5Bを構成する各鎖の一部が欠失している蛋白質も本願発明の範囲内である。例えば、本発明のラミニン5Bのα3B鎖は、プロテアーゼによってG4およびG5が切断除去されるが、ラミニン5Bとしての活性を有する限り、切断型または非切断型を問わず本発明において用いることができる。
さらに、ヒト以外の種の生物に由来する、ヒトラミニン5Bと同様の活性を有する蛋白質も本発明の範囲内である。このような蛋白質をコードする遺伝子は、配列番号1、3、5または7に示される配列を有するポリヌクレオチドまたはそのフラグメントをプローブまたはプライマーとして用いて、ハイブリダイゼーションまたはPCR等の手法を用いて容易に単離することができる。このようにして得られる相同遺伝子は、配列番号1、3、5または7に記載の塩基配列に対して少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する。あるいは、相同遺伝子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1、3、5または7に記載の塩基配列を有する遺伝子とハイブリダイズすることができる。
ハイブリダイズという用語は、DNAまたはこれに対応するRNAが、溶液中でまたは固体支持体上で、別のDNAまたはRNA分子と水素結合相互作用により結合することを意味する。このような相互作用の強さは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変化させることにより評価することができる。所望の特異性および選択性によって、種々のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を用いることができ、ストリンジェンシーは、塩濃度または変性剤の濃度を変化させることにより調節することができる。そのようなストリンジェンシーの調節方法は当該技術分野においてよく知られており、例えば、”Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,第2版.Cold Spring Harbor Laboratory,Sambrook,Fritsch,&Maniatis,eds.,1989)に記載されている。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、50%ホルムアミドの存在下で、700mMのNaCl中42℃、またはこれと同等の条件をいう。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、50%ホルムアミド、5XSSC、50mMNaHPO、pH6.8、0.5%SDS、0.1mg/mL超音波処理サケ精子DNA、および5Xデンハルト溶液中で42℃で一夜のハイブリダイゼーション;2XSSC、0.1%SDSで45℃での洗浄;および0.2XSSC、0.1%SDSで45℃での洗浄である。
本発明のラミニン5B蛋白質は、細胞増殖促進活性、細胞接着促進活性、細胞運動促進活性、ならびに神経突起伸展促進活性を有する。ラミニン5Bの細胞増殖促進活性は、細胞を培養する培養液中に本発明のラミニン5Bを添加して、対照と比較した細胞増殖速度を測定することによりアッセイすることができる。細胞接着促進活性は、プレートに本発明のラミニン5Bをコーティングし、このプレートに適当な細胞を播種し、所定時間インキュベートした後に接着した細胞の数を測定することによりアッセイすることができる。細胞運動促進活性は、プレートに本発明のラミニン5Bをコーティングし、このプレート上に適当な細胞を播種し、所定時間経過後に細胞の分散の程度を測定することによりアッセイすることができる。また、細胞の運動の様子をビデオにて撮影し、画像解析により細胞運動の速度を求めてもよい。ラミニン5Bの神経突起伸展促進活性は、プレートに本発明のラミニン5Bをコーティングし、このプレート上に、ラット副腎髄質褐色腫由来の神経系細胞PC12等の神経細胞由来培養細胞株を播種し、所定時間経過後に画像解析などを用いて神経突起の長さを測定することにより、アッセイすることができる。
本発明のラミニン5B蛋白質を、細胞増殖促進剤、細胞接着促進剤、細胞運動促進剤、または神経突起伸展促進剤として用いる場合には、ラミニン5Bを細胞の培養液中に添加するか、または培養プレートもしくは培養シート上に塗布または固定化することにより使用することができる。あるいは、培養プレートもしくは培養シート上で増殖させたフィーダー細胞上に塗布してもよい。殆どの動物細胞は生存条件として基質(足場)に接着することが必須であり、さらに増殖因子の刺激を受けて分裂する。下記の実施例8の結果から分かるように、正常細胞は一般に増殖速度が低い。ラミニン5Bは細胞接着活性と、増殖因子としての増殖促進活性の両方をもつことから、増殖速度が低い多様な細胞の増殖促進剤として有効である。例えば、皮膚、肝臓、膵臓、軟骨、神経、血管などにおける正常細胞やがん細胞、各組織の幹細胞、胚性幹(ES)細胞などの培養に使用できる。一方、本発明のラミニン5Bを薬学的に許容される担体とともに外用製剤として処方して、皮膚、粘膜等の表面に塗布してもよい。本発明のラミニン5B蛋白質は、細胞増殖促進効果を有するため、軟膏、皮膚パッチ、移植用培養細胞シート、人工マトリクスなどの形態で、創傷治療用製剤として用いることができる。また、ラミニン5Bの高い細胞接着効果を利用して、生体組織に埋め込む種々の医療インプラントの塗布剤として用いることができる。さらに、ラミニン5Bの神経突起伸展促進作用を利用して、怪我などによる末梢神経障害の治療、脳梗塞、痴呆症などの中枢神経障害の治療剤として用いることができる。
本明細書において明示的に引用される全ての特許および参考文献の内容は全て本明細書の一部としてここに引用する。また、本出願が有する優先権主張の基礎となる出願である日本特許出願2003−159006号の明細書および図面に記載の内容は全て本明細書の一部としてここに引用する。
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1.発現ベクターの構築
ラミニンα3A鎖、β3鎖およびγ2鎖の発現に用いたコンストラクトはKariyaら(J Biochem 132(2002),607−612)にしたがって構築した。簡単には、α3A鎖をコードするcDNAをハイグロマイシン耐性哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1Hygro(+)(Invitrogen)中に、β3鎖をコードするcDNAをゼオシン耐性哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1Zeo(+)(Invitrogen)中に、γ2鎖をコードするcDNAをネオマイシン耐性哺乳動物発現ベクターpcDNA3(Invitrogen)中に、それぞれクローニングした。
ラミニンα3B鎖のcDNAクローンは、以下のようにして構築した。まず、ラミニンα3B鎖のcDNAは、先に報告されているcDNA配列(Gen Bank受託番号AF005258)、および2つのゲノムクローン、RP11−609K12およびRP11−666022(それぞれGenBank受託番号AC067796およびAC090366)から推定される配列を参照した。オーバーラップするcDNAクローンを得るために、ヒト肺5’−STRETCHPLUS cDNAライブラリー(Clontech,CA)をECL直接核酸標識および検出システムを用いてスクリーニングし、合成オリゴヌクレオチドおよびExTaqポリメラーゼ(Takara,Tokyo)を用いてPCR増幅を行った。PCRに用いたプライマーを表1に示す。

PCRにより得られたcDNAフラグメントをすべてpGEM T−Easyベクター(Promega,Madison,WI)中にクローニングし、配列決定してその配列を確認した。cDNAの塩基配列は配列番号1に、推定アミノ酸配列は配列番号2に示される。互いにオーバーラップする異なるcDNAフラグメントをライゲーションし、約10,000塩基対のcDNAをpcDNA3.1/Hygro(+)哺乳動物発現ベクター(Invitrogen)中のEcoRV部位に正しい配列で挿入することにより、ラミニンα3B鎖完全長cDNAを発現する発現ベクター(LNα3BpcDNA3.1Hygro(+))とそこからG4−G5ドメインを除去した発現ベクター(LNα3B#3pcDNA3.1Hygro(+))を作製した。α3B#3鎖のDNA配列およびアミノ酸配列はそれぞれ配列番号7および8に示される。組換えラミニン5Bの発現のためには、LNα3B#3pcDNA3.1Hygro(+)を使用した。
実施例2.組換えラミニン5Bの発現
ヒト胎児腎臓由来細胞株(HEK−293,ATCC CRL−1573)は、American Type Culture Collection(ATCC)から購入した。ヒト膀胱癌細胞株EJ−1は、JCRB細胞バンクから入手した。バッファローラット肝臓由来上皮細胞株BRLはDr.G.H.Sato(University of California,San Diego)から入手した(PNAS 90(1993),11767−11771)。自発的に不死化したヒトケラチノサイト細胞株であるHaCatは、Dr.N.E.Fuseing(Deutsches Krebsforschungszentrum,Heidelberg,Germany)から贈与された。これらの細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)、ペニシリンおよび硫酸ストレプトマイシンを補充したDMEM/F12培地(Invitrogen)中で維持した。
HEK293細胞を、LipofectAMINE PLUS(登録商標)(Invitrogen)を用いてラミニンγ2鎖発現ベクター(neo)をトランスフェクトし、500μg/mlのG418(Sigma)により選択した。コンディション培地を抗γ2mAbD4B5を用いてウエスタンブロッティングすることにより、ラミニンγ2鎖を安定かつ高度に発現するクローンをスクリーニングした。次にこのクローンにラミニンβ3鎖発現ベクター(Zeo)をトランスフェクトした。300μg/mlのゼオシン(Invitrogen)を用いて安定なコロニーを選択し、カリニンB1(ラミニンβ3鎖に対するモノクローナル抗体)を用いるウエスタンブロッティングにより、各クローンのラミニンβ3分泌を分析した。このようにして得られたβ3およびγ2鎖の両方を安定かつ高度に発現するクローンに、上述のLNα3B#3pcDNA3.1Hygro(+)をトランスフェクトし、100μg/mlのハイグロマイシン(Wako,Osaka)により安定なクローンを選択した。以上のようにして、α3B鎖、β3鎖およびγ2鎖を発現するトランスフェクタントを得た。また、同様にしてα3A鎖、β3鎖およびγ2鎖を発現するトランスフェクタントを得た。なお、β3鎖およびγ2鎖を強制発現させたHEK細胞は、内在性のα3B鎖の発現により、少量のラミニン5Bを分泌したが、このラミニン5Bのα3B鎖C末端部分のG4−5ドメインはプロテアーゼによって完全に切断・除去されていた(図1)。ラミニン5のα3A鎖においてもG4−5が完全に切断されることが知られている。
実施例3.組換えラミニン−5(LN5)およびラミニン−5B(LN5B)の精製
実施例2で得られた、ラミニンα3A、β3およびγ2鎖の3つの発現ベクターでトランスフェクトしたHEK293クローンをコンフルエントまで成長させ、無血清DMEM/F12培地中でインキュベートし、2日ごとに無血清コンディション培地(CM)を回収した。回収したCMを80%飽和硫酸アンモニウムによる蛋白質沈澱により濃縮し、次に、セファロース4Bカラム(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)のモレキュラーシーブクロマトグラフィーで分離した。LN5を含む画分をプールし、ゼラチン−セファロース4Bカラムを通してフィブロネクチンを除去した。ゼラチンカラムからの未結合画分中のLN5を、抗ラミニンα3モノクローナル抗体(LSα3c6)を用いて免疫アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。結合した蛋白質を0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸でアフィニティーカラムから溶出させ、速やかに少量の1M Tris−HCl(pH8.0)で中和した。このようにして精製した組換えLN5蛋白質は、0.005%Brij35および0.1%CHAPSの存在下で保存した。
組換えラミニン5Bの精製のためには、実施例2で得られたラミニンα3B#3、β3およびγ2鎖の3つの発現ベクターでトランスフェクトしたHEK293クローンをポリ−L−リジンを予めコーティングしたローラーボトルにて無血清培地中で培養し、CMを回収した。これを硫酸アンモニウムで濃縮し、次にセファロース4Bカラム(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)のモレキュラーシーブクロマトグラフィーで分離した。ラミニン5Bを含む画分をプールし、ゼラチン−セファロース4Bカラムを通して、フィブロネクチンを除去した。ゼラチンカラムからの未結合画分中のラミニン5Bを、抗ラミニンα3モノクローナル抗体を用いる免疫アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。結合した蛋白質を0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸でアフィニティーカラムから溶出し、速やかに1M Tris−HCl(pH8.0)で中和した。このようにして精製した組換えラミニン5B蛋白質は、0.005%Brij35および0.1%CHAPSの存在下で保存した。蛋白質濃度は、Bio−Rad蛋白質アッセイキット(Bio−Rad,Hercules,CA)を用い、ウシ血清アルブミンを標準として用いて決定した。
実施例4.SDS−PAGEおよびイムノブロッティング
精製したラミニン5およびラミニン5Bを、5%ゲルまたは4−7.5%勾配ゲルで、還元条件または非還元条件でSDS−PAGEにより分析した。分離した蛋白質をクマシーブリリアントブルー(CBB)で染色した。結果を図2に示す。+MEは還元条件を、−MEは非還元条件を示す。335kDaのα3B鎖および160kDaのα3A鎖は、プロテアーゼにより切断されて、いずれも145kDaのフラグメントを生ずる。
イムノブロッティング分析のためには、SDS−PAGEで分離した蛋白質をニトロセルロース膜に移し、各鎖に対する抗体を結合させ、ECL検出試薬(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて検出した。ヒトラミニンα3鎖(Lsαc3)およびγ2鎖(D4B5)のアミノ末端領域に対するマウスモノクローナル抗体は既に報告されているものを用いた(J Biochem 132(2002),607−612;Horm Res 50(1998),7−14)。ヒトラミニンβ3鎖に対するモノクローナル抗体(Kalinin B1)はTransduction Laboratories(Lexington,KY)から購入した。
イムノブロッティングの結果を図3に示す。括弧内数値はおおよその分子サイズ(kDa)を示す。なおα3B(145)鎖はα3B(335)鎖のN末端部分が切断された分子である(図1参照)。LN5Bの活性は主にα3B(335)鎖(非切断型)を含む分子によるものであるが、本発明のLN5Bはα3B(145)鎖(切断型)を部分的に含んでいてもよい。また、γ2(105)鎖はγ2(150)鎖のN末端部分が切断された分子である(図1参照)。本発明のLN5Bはγ2(150)鎖のみ、あるいはγ2(105)鎖のみを含んでいてもよい。
それぞれのサブユニットに対応する抗体により、予測された分子量のα3Bまたはα3A(いずれもG4,G5ドメインを欠失したもの)、ならびにβ3鎖およびγ2鎖が発現されていることが確認された。
実施例5.細胞接着アッセイ
細胞接着アッセイは、以下のようにして行った。96ウェルELISAプレート(Costar,Cambridge,MA)の各ウェルを示された濃度のラミニン5またはラミニン5B蛋白質で被覆し、次にウシ血清アルブミンでブロッキングした。ラット上皮性肝細胞であるBRLまたは不死化した表皮細胞であるHaCat(2×10個)を無血清DMEM/F12培地とともに各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートした。非接着細胞を除去した後、接着した細胞を固定し、Hoechst33432で染色した。CytoFluor2350蛍光計(Millipore,Bedford,MA)を用いて、プレートの各ウェルの蛍光強度を測定した。結果を図4に示す(黒四角:LN5B;白丸:LN5)。いずれの細胞においても、LN5BはLN5と比較して濃度基準で約2倍、モル基準で約3倍の細胞接着活性を示した。
次に、抗インテグリン抗体による細胞接着の阻害を調べた。阻害アッセイのためには、細胞をウェルに播種する前に、細胞懸濁液を機能ブロッキング用の抗インテグリン抗体あるいは阻害試薬とともに室温で20分間インキュベートした後、上述と同様に接着細胞数を測定した。インテグリンに対する機能ブロッキング抗体としては、抗α2インテグリン抗体(P1E6)、抗α3インテグリン抗体(P1B5)、抗α5インテグリン抗体(P1D6)および抗β1インテグリン抗体(6S6)(いずれもChemicon、Temecula,CAより)、および抗α6インテグリン抗体(GoH3)(PharMingen(SanDiego,CA)より)を用いた。結果を図5に示す。抗α3抗体および抗β1抗体による阻害に加えて、LN5Bについては抗α2抗体、抗α5抗体、および抗α6抗体による若干の阻害が認められた。このことは、ラミニンα3B鎖においては、Gドメインの他にアミノ末端側のドメインにもインテグリンの認識部位があることを示唆する。また、LN5A、LN5Bのいずれにおいてもヘパリンでは阻害されず、EDTAにより完全に阻害された。
実施例6.細胞のスキャッタリング活性のアッセイ
組換えラミニン5または組換えラミニン5B蛋白質の細胞のスキャッタリング活性は、以下のようにしてアッセイした。BRL細胞(7×10)を1%牛胎児血清(FCS)を含むDMEM/F12に懸濁し、24ウェルプレートの各ウェルに播種した。示された濃度のLN5またはLN5Bを培養物に直接加え、37℃で約40時間インキュベートした後、分散した細胞を顕微鏡下で計数した。結果を図6に示す。この結果から、LN5とLN5Bとはほぼ同等の細胞スキャッタリング活性を有することがわかる。
実施例7.細胞運動促進活性のアッセイ
24ウェルプレートの各ウェルを、10μg/mlのフィブロネクチン(FN)、10μg/mlのラミニン1(LN1)、10μg/mlのラミニン2/4(LN2/4)、2μg/mlのLN5、1μg/mlのLN5B、または2μg/mlのLN10/11で、4℃で一晩コーティングした。BRL細胞(7×10)を1%FCSを含むDMEM/F12に懸濁し、コーティングしたウェルに播種し、細胞の運動の様子をビデオにて8時間撮影し、画像解析により細胞運動速度を求めた。結果を図7に示す。LN5Bは非常に高い細胞運動促進活性を示すことがわかる。
実施例8.細胞増殖のアッセイ
細胞を60mmディッシュ(1x10個)または35mmディッシュ(5x10個)に播種し、10%FCSを含むDMEM/F12中で2日ごとに培地交換をしながら成長させた。示された日に、トリプシン処理細胞を回収し、位相差顕微鏡下で血球計を用いて細胞数を数えた。
図8は、LN5またはLN5BでトランスフェクトしたHEK細胞の60mmディッシュ上での増殖曲線を示す。LN5またはLN5Bを発現する細胞は、対照である親HEK細胞と比較して、細胞の増殖速度が非常に上昇していることがわかる。
図9は、35mmディッシュを使用し、10%FCSおよび100ngのLN5またはLN5Bを含む2mlのDMEM/F12中でHEK細胞を培養したときの増殖曲線を示す。図10は、1%FCSおよび500ngのLN1、100ngのLN5または100ngのLN5Bを含む2mlのDMEM/F12中でHEK細胞を培養したときの増殖曲線を示す。これらの結果から、LN5Bが高い細胞増殖促進効果を有することがわかる。
実施例9.腎臓近位尿細管上皮細胞に対する増殖促進活性のアッセイ
2mlの増殖培地に懸濁した2×10個のヒト正常腎臓近位尿細管上皮細胞(renal proximal tubule epithelial cells,RPTEC)を2.5%FCS含有ブレキットREGM培地(Clonetics社)を含む35mmディッシュに播種した。播種した翌日にLN1を500ng(終濃度0.32nM),LN5を250ng(終濃度0.32nM),LN5Bを370ng(終濃度0.32nM)培地中に添加した。添加3日後に細胞をトリプシンにて剥がした後、血球計算盤にて細胞数を計測した。結果を図11に示す。LN5Bが最もよく細胞の増殖を促進した。
実施例10.神経突起伸展促進活性のアッセイ
24ウエルプレートを、39μg/mlのタイプIコラーゲン(COL)、5μg/mlのフィブロネクチン(FN)、5μg/mlのラミニン−1(LN1)、2μg/mlのラミニン−5(LN5)、または2μg/ml)のラミニン−5B(LN5B)の接着基質で予めコートした。このプレートに、ラット神経系腫瘍細胞(副腎髄質褐色腫細胞)PC12細胞(クローンHS)(1×10個/ウエル)を、無血清RPMI1640培地中で神経成長因子(NGF)(100ng/ml)の存在下で播種した。24時間後に画像解析により神経突起の長さを計測した。結果を図12に示す。LN5Bが最もよく神経突起伸展を促進した。
産業上の利用性
本発明のラミニン5Bは、細胞増殖促進剤、細胞接着促進剤、細胞運動促進剤、または神経突起伸展促進剤として、生化学および分子生物学の研究および医薬品の開発に有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】



【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】



【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するα3B鎖、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するβ3鎖、および配列番号6で示されるアミノ酸配列を有するγ2鎖の各サブユニットから構成される蛋白質、または、これらの配列において、1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、かつ細胞増殖促進活性、細胞接着促進活性、細胞運動促進活性、および神経突起伸展促進剤からなる群より選択される1またはそれ以上の活性を有する蛋白質。
【請求項2】
配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するα3B#3鎖、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するβ3鎖、および配列番号6で示されるアミノ酸配列を有するγ2鎖の各サブユニットから構成される蛋白質、または、これらの配列において、1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換されているアミノ酸配列を有し、かつ細胞増殖促進活性、細胞接着促進活性、細胞運動促進活性、および神経突起伸展促進剤からなる群より選択される1またはそれ以上の活性を有する蛋白質。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛋白質を含む細胞増殖促進剤。
【請求項4】
請求項1または2に記載の蛋白質を含む細胞接着促進剤。
【請求項5】
請求項1または2に記載の蛋白質を含む細胞運動促進剤。
【請求項6】
請求項1または2に記載の蛋白質を含む神経突起伸展促進剤。
【請求項7】
請求項1または2に記載の蛋白質を用いることを特徴とする、細胞増殖を促進する方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の蛋白質を用いることを特徴とする、細胞接着を促進する方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の蛋白質を用いることを特徴とする、細胞運動を促進する方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載の蛋白質を用いることを特徴とする、神経突起伸展を促進する方法。

【国際公開番号】WO2004/108927
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【発行日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506790(P2005−506790)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007779
【国際出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(801000038)よこはまティーエルオー株式会社 (31)
【Fターム(参考)】