説明

ラミネート装置および搬送シートのクリーニング方法

【課題】従来の太陽電池などのラミネート加工において、搬送シートに付着する被加工物のはみ出し充填材が惹起する様々な問題点に鑑み、搬送シートに付着した充填材を効率よく、しかも効果的に除去することができる搬送シートのクリーニング機構を提供する。
【解決手段】内部がダイアアラムにより仕切られる上チャンバと下チャンバを具備し、被加工物10を搬送する搬送シ−ト130を有するラミネート装置において、搬送シートの搬出側のローラと接触する部分に押付け可能に設けた帯状ブラシと、当該搬送シートの搬送面に接するように設け、かつ回転アクチュエータにより駆動されるブラシロール26を具備したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池などをラミネート加工するラミネート装置にいて、搬送シートのクリーニング機構を備えたラミネート装置および搬送シートのクリーニング方法に関する。より具体的には、ラミネート加工において、搬送シートに付着する充填材の除去能力を向上させることにより、その搬送シートに付着した充填材が被加工物の表面に転写することなどを防ぎ、ラミネート加工後に被加工物の表面クリーニング作業の低減を可能にした搬送シートのクリーニング機構を有したラミネート装置および搬送シートのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池等の構成部材をラミネート加工するラミネート装置は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などの公報に記載されているように公知であるが、この種のラミネート装置には、被加工物を加工位置に搬送してラミネート加工を行い、加工後の被加工物をそこから搬出するための搬送シートが用いられている。
【0003】
公知のラミネート装置の一例を図9、図10および図11により説明する。ラミネート部101にてラミネート加工が行なわれる。ラミネート部101は、以下のように構成される。開閉可能に上下で分割された下ケース120と上ケース110を具備し、閉じられた容器の内部が、ゴム製などのダイアフラム112により仕切られ、上チャンバ113と下チャンバ121に分けられている。また、前記上ケース110は下ケース120に対して開閉する構造となっており、前記ダイアフラム112は、この上ケース110の内側に取り付けられている。
【0004】
前記下ケース120の内部には、ヒータを内蔵した熱板122が設けられており、ラミネート加工を施す被加工物10(例えば、太陽電池10など)を加熱することができるように形成されている。なお、115は下ケース120と上ケース110の開閉用の分割面に設けたシール材、114,123は上チャンバ113,下チャンバ121内に空気を給排するための給排気孔である。
【0005】
上記のラミネート装置は、その上ケース110を開いた状態で、熱板122の上に被加工物10を、搬送シ−ト130によって搬入する。このようにして搬入される被加工物10の構成について、図8に示した一般的な結晶系太陽電池セルのモジュールの例について説明する。被加工物10の最下層はガラス板11であり、該ガラス板11の上にシート状の充填材13が配置され、その上にリード線19により接続された太陽電池セル18が配置され、このセル18の上にシート状の充填材14が配置され最上部にはシート状の裏面材12が載せられた状態でラミネート装置の内部に搬入される。
【0006】
被加工物10が図11のラミネート装置500内のラミネート部101(図9参照)に搬入された後、図10に示すように上ケース110を閉じ、上チャンバ113及び下チャンバ121を真空引きして、被加工物10から気体を抜く。真空引きは、積層された被加工物10の内部に気泡が残らないようにするためである。気泡が残った太陽電池では、太陽光にさらされて温度上昇すると、残っている気泡が膨張してしまい、劣化が早まってしまうからである。
【0007】
真空引きされたラミネート部内の被加工物10は、熱板122により加熱される。熱板122のヒータは設定された温度に制御されており、適度な時間経過することにより、被加工物10は、ヒータ温度とほぼ同一となり、前記充填材13,14を溶融する。
【0008】
シート状の充填材13,14が溶融されるとき、先に真空引きした上チャンバ113にのみ大気を導入すると、ダイアフラム112が熱板122の側に向かって膨らむので、このダイアフラム112によって被加工物10が熱板122に押付けられ、太陽電池セルのモジュールの各層が接合されることになる。
【0009】
この後、下チャンバ121を大気圧に戻して上ケース110を開き、被加工物10を搬送シート130によって搬出し、ラミネート加工を終える。
【0010】
上記の太陽電池10において、充填材13,14としては、例えばEVA(エチレンビニールアセテート)が使用され、また、ラミネート装置への被加工物10の搬送には、搬送シート130を使用している。
【0011】
上記充填材13,14は、シート状に形成され、そのサイズが、ガラス板11のサイズに対して、数mm程度大きく形成されている。これは、ラミネート加工される太陽電池モジュール端面でのシール性を確保するためであるが、ガラス板11からはみ出ている部分の充填材13,14が、搬送シート130に付着してしまうという問題が派生する。
【0012】
従来、搬送シート130に充填材13,14が付着する問題に対処するため、搬送シート130には、剥離性の良いシート材として、フッ素樹脂を含浸させたガラスクロスシート材を用いている。
【0013】
しかし乍ら、剥離性の良好なシート材を用いた搬送シート130であっても、上述のはみ出した充填材13,14の付着は避けられない。そこで、この搬送シート130に付着した充填材13,14を除去するため、ラミネート装置のチャンバ外部において、電動モータのような回転アクチュエータで駆動させられたブラシロールを前記シート130に当てて付着した充填材13,14の掻き取り除去を行う構造の搬送シートのクリーニング装置が、先に述べた特許文献2などにより提案されている。
【0014】
図11は、搬送シート130に付着したはみ出し充填材13a,14aを除去するブラシロール26を設けたラミネート装置の説明面である。
【0015】
搬送シート130は、途中に1箇所のシート接続部131(但し複数箇所の場合も有る)を有して無端帯状に形成され、下ケース120の上面を覆い、当該下ケース120の下方において循環走行するように、下ケース120を囲む4箇所に配置された駆動ローラを含む4本のローラR1〜R4に支持されて、シート130の上面が図11の左方へ走行するように配置されている。
【0016】
前記搬送シート130は、上ケース110が開いているときの下ケース120の上を走行させられるラミネート加工用のシートであり、このシート130の前,後には、ラミネート加工前の太陽電池モジュール10(被加工物)をこのシート130に引渡す前段の搬入コンベア200とラミネート加工された太陽電池モジュール10(被加工物)をシート130から引渡される後段の搬出コンベア300が隣接して設けられている。
【0017】
上記ラミネート装置のシート130に対して、図11の例では第3ローラR3に掛回された偶部において、当該シート130の外面(搬送面)に対して、ブラシロール26が当接するように配設され、そのシート130の外面に付着した充填材13a,14aを、ここでは前記ブラシロール26の反時計回り方向回転により掻き落すようにしたシートクリーニング機構が設けられている。図11において、26aはブラシロール26を支持した支持アーム、26bは前記ブラシロール26の搬送シート130への当接力を調整するため、支持アーム26aの傾きを調整するためのアジャスタ、26cは前記ブラシロール26に回転を与えるモータ等による回転アクチュエータである。また、F1はラミネート装置のフレーム、F2は支持アーム26aやブラシロール26などを設けたフレームである。
【0018】
図11に例示した従来の搬送シート130のクリーニング機構では、シート130の搬送面(外面)に付着したはみ出し充填材13a,14aは、ラミネート加工が終わって後段の搬出コンベア300に引渡されるとき、未だ冷却されずに柔らかい状態であるが、第3ローラR3の近傍まで搬送シート130が走行する間に冷却されて固化しているので、シート130の走行方向に対し逆方向から掻き落すようにブラシロール26が回転することにより、大半は掻き落されて除去される。しかし、完全に除去される訳ではなく、搬送シート130の搬送面に残留するものがあったり、掻き落されて飛散したものが再び搬送シート130に付着することがあり、これが不都合な事態の原因になっている。
【0019】
即ち、搬送シート130の素材に剥離性が良好なシート材が用いられているとはいえ、単にブラシロール26をシート130の面に当てて付着充填材13a,14aを掻き取るだけでは、付着した充填材13a,14aを完全に除去することは困難であり、また、ブラシロール26で掻き落とされた充填材13a,14aが、そのブラシロール26の回転で飛散して、再度、搬送シート130に付着することがあるのである。
【0020】
特に、例えば、わずか直径1mm程度の付着充填材13a,14aでも、搬送シート130に付着したまま、次の被加工物10を当該シート130によってラミネート装置内に搬入してしまうと、被加工物10の下面(ガラス板1)に前記付着充填材13a,14aが転写されて付着するので、そのままラミネート加工すると、ダイアフラム112によりプレスされるため、直径1mm程度のものでも、薄く引き延ばされてしまい、ラミネート加工後では、直径約5mm程度までに斑点状に延びてしまい、外観を損なってしまうという問題があった。
【0021】
このように被加工物10に転写してしまった付着充填材13a,14aは、付着力が強いため、その除去には、有機溶剤等を使用し、人手でブラシ等で擦り取る必要があり、多くの作業時間を要して生産性も低下し、結局コストアップを招くという問題になっていた。
【0022】
上記のような付着充填材の除去能力を向上させる方策として、大容量の電動モータにより、ブラシロールを高速回転させる手段も考えられるが、このような手法を採ると搬送シート130自体を傷めやすく、搬送シート130の寿命を縮めてしまい、この点でコストアップに繋がるという問題がある。
【0023】
また、搬送シート130に付着した充填材13a,14aは、ラミネート装置内のダイアフラム112に転写される場合もあり、このような転写があるとダイアフラム112の部分の柔軟性が損なわれ、これにより、ダイアフラム112の寿命が短くなるという問題もあった。
【0024】
また特許文献4には、図12のラミネート装置において、搬送シート130に接するように、第2と第3のローラR2とR3の間に、搬送シート130の下側に位置したフレームF1に支持させてスクレーパ21を設け、また、図11で示した回転アクチュエータ26cにて駆動されるブラシロール26を設け、そのロール26を搬送シート130の第3のローラR3と接触する部分に接するように構成したクリーニング機構が開示されている。
【0025】
このようなクリーニング機構において使用しているスクレーパは、搬送シートの第2と第3のローラR2とR3の間に接触するように配置されていて搬送シートに付着した充填材を搬送シート面から浮き上がらせることはスクレーパの上昇位置の調整により不十分な場合があった。またスクレーパの上昇位置にスクレーパと対になるように搬送シートの裏側にバックアップ用の裏板を設けると、スクレーパは、搬送シートに強く押圧され搬送シートが損傷される。また搬送シートとして、一枚のもの、複数枚のものを使用する場合、搬送シートは接続部131を有する。その接続部は、略矩形断面を有する金属製の棒状部材であり、搬送シートがそのスクレーパ21を通過する時は下降待避させなくてはならない。
【0026】
【特許文献1】特開平9−141743号公報
【特許文献2】特開平11−204811号公報
【特許文献3】実用新案登録第3037201号公報
【特許文献4】特開2004−238196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、上述した従来の太陽電池などのラミネート加工において、搬送シートに付着する被加工物のはみ出し充填材が惹起する様々な問題点に鑑み、搬送シートに付着した充填材を効率よく、しかも効果的に除去することができる搬送シートのクリーニング機構を備えたラミネート装置を提供すること、および搬送シートに付着した充填材を効率よく、しかも効果的に除去することができる搬送シートのクリーニング方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明のラミネート装置は、ラミネート加工する太陽電池モジュールなどの被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、被加工物を載置しながら搬送するための搬送シートを前記ローラに巻き回すように配置し、前記ローラを駆動することにより、搬送シートを走行移動させ被加工物を内部がダイアフラムにより仕切られる上チャンバと下チャンバを具備したラミネート部に搬入後ラミネート加工し、被加工物を前記ラミネート部から搬出するラミネート装置であって、前記搬送シートの搬出側のローラと接触する部分に押付け可能な帯状ブラシを有し 前記搬送シートの搬送面に接するように設け、かつ回転アクチュエータにより駆動されるブラシロールを有することを特徴としている。
【0029】
上記の形態のラミネート装置は、前記帯状ブラシを前記のラミネート部から送り出される搬送シートが最初に接触する搬出側ローラに接触する部分に押付け可能に設けた構成とすることができる。
【0030】
上記の形態のラミネート装置は、前記帯状ブラシにブラシ表面に付着した充填材の除去手段を有する構成とすることができる。
【0031】
また上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の搬送シートのクリ−ニング方法は、ラミネート加工する太陽電池モジュールなどの被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、被加工物を載置しながら搬送するための搬送シートを前記ローラに巻き回すように配置し、前記ローラを駆動することにより、搬送シートを走行移動させ被加工物を内部がダイアフラムにより仕切られる上チャンバと下チャンバを具備したラミネート部に搬入後ラミネート加工し、被加工物を前記ラミネート部から搬出するラミネート装置における前記搬送シートのクリーニング方法であて、前記搬送シートの搬出側のローラと接触する部分に押付け可能な帯状ブラシにより前記搬送シートに付着した充填材の端部を起立させる工程Aと、前記搬送シートの搬送面に接するように設け、かつ回転アクチュエータにより駆動されるブラシロールを充填材の付着した前記搬送シートに押付け充填材を除去する工程Bを有することを特徴としている。
【0032】
上記の形態の搬送シートのクリ−ニング方法は、前記工程Aは、帯状ブラシを前記ラミネート部から送り出される搬送シートが最初に接触する搬出側ローラに接触する部分に押付け可能とする方法とすることもできる。
【0033】
上記の形態の搬送シートのクリ−ニング方法は、前記帯状ブラシのブラシ表面に付着した充填材を除去する工程Cを有する方法とすることもできる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は以上の通りであって、内部がダイアアラムにより仕切られる上チャンバと下チャンバを具備し、被加工物を搬送する搬送シートを有するラミネート装置において、前記搬送シートの搬出側のローラと接触する部分に押付け可能な帯状ブラシを設けかつ回転アクチュエータにより駆動されるブラシロールを具備してクリーニング機構を構成している。これにより、搬送シートに付着する充填材が微細なものまでほぼ完全に除去可能であることは勿論、その除去能力を向上させる構成を加えることによって、付着充填材が被加工物の表面などに転写することを効果的に防ぐことができるから、ラミネート加工後の被加工物表面のクリーニング作業を大幅に低減することができる。
【0035】
また、本発明ではラミネート装置の搬送シートに付着した充填材の除去能力を大幅に向上できるので、前記充填材がダイアフラムに転写することも防止でき、ダイアフラムの寿命を延ばすことができる。
【0036】
充填材が付着した搬送シートを搬出側のローラと接触する部分に帯状ブラシにより押付ける構成としているので、搬送シートに付着した充填材を起立させる際に、従来技術で使用しているスクレーパと異なり、搬送シートに付着した充填材を完全に起立させることができ、搬送シートを損傷させることがまったくなく、搬送シートの寿命を延ばすことができる。
【0037】
前記搬送シートは、1枚もの複数枚のものの場合でも、その接続部131を有する。このシート接続部は略矩形断面を有する金属製の棒状部材であるため、従来技術で使用しているスクレーパは、そのシート接続部がスクレーパ21を通過する時は待避させなくてならない。本発明では帯状ブラシでありこのような待避の動作は不要となり、太陽電池をラミネート加工する際の装置の動作が簡単になる。
【0038】
前記帯状ブラシを前記のラミネート部から送り出される搬送シートが最初に接触する搬出側ローラに接触する部分に押付け可能に設けた構成とすることにより被加工物である太陽電池に使用する充填材が早期に固化するタイプの充填材の場合、搬送シートに付着した充填材の端部を確実に起立させることができる。
【0039】
前記帯状ブラシにブラシ表面に付着した充填材の除去手段を設けることにより、帯状ブラシの清掃クリーニングが自動で行うことができるので帯状ブラシを交換するまでの期間を長く設定することができラミネート加工の生産効率を向上させることができる。
本発明の効果は、上記のとおりであるが、ラミネート加工を自動化し無人化を実現できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のクリーニング機構を備えたラミネート装置の正面図
【図2】本発明のクリーニング機構を備えたラミネート装置の側面図(搬出側から見た図)
【図3】本発明の帯状ブラシによるクリーニング機構の下降状態を示す図
【図4】本発明の帯状ブラシによるクリーニング機構の上昇状態を示す図
【図5】本発明の帯状ブラシによるクリーニング機構を使用し搬送シートに付着した充填材が起立した状態の説明図
【図6】本発明の帯状ブラシによるクリーニング機構の別例の説明図
【図7】本発明の帯状ブラシによるクリーニング機構における帯状ブラシに付着した充填材の除去手段の説明図
【図8】太陽電池(被加工物)の構成を示す断面図
【図9】公知のラミネート装置の説明図
【図10】公知のラミネート装置の説明図
【図11】従来のシートクリーニング機構を有するラミネート装置の説明図
【図12】従来のシートクリーニング機構を有する別例のラミネート装置の説明図
【図13】搬送シートに付着した充填材を起立させる能力を向上させた帯状ブラシの説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に本発明の実施の形態例について、主として図1,図2を参照しつつ説明する。なお、図1,図2において図11および図12と同一部材、同一部位は同一符号を用いている。
【0042】
図1および図2に示したように搬送シート130は、4本のローラR1〜R4により巻き回されている。各ローラの両端にスプロケット等401が取り付けされていて、各ローラの両側をチェーン等402が巻き回れ、チェーン等402を電気モータ等で駆動することにより、搬送シートは各ローラに沿って走行移動する。また搬送シートは、その端部をシート接続部131により接続されている。本実施例では、搬送シートは1枚であり、接続部131も1箇所であるが、搬送シートを複数枚使用する場合は、その接続部も複数箇所となる。
【0043】
本発明では、図11で例示したようなラミネート装置において、搬送シート130に接するように(ここでは搬送シート130が第2のローラR2と接触する部分に)搬送シート130の下側に位置したサポートフレーム30に支持させて帯状ブラシによるクリーニング部40(以下クリーニング部40という)が設けられている。また図11および図12の場合と同様に、搬送シート130が第3のローラR3と接触する部分に、回転アクチュエータ26cにて駆動されるブラシロール26を設けて、そのロール26を搬送シート130の搬送面に接するようにしている。
【0044】
搬送シート130により被加工物10を搬送するラミネート装置の場合、その搬送シート130によって、ラミネート装置内に被加工物10を搬送後、上チャンバ113を有する上ケース110を閉じてラミネート加工を行い、加工後、前記の上ケース110を開けて、既に加工された被加工物10を搬出しながら、次の被加工物10を同時に搬入するようになっている。上記の帯状ブラシによるクリーニング部40は、搬送シート130の搬出側に近い箇所、ここでは、ローラR2の真下の位置に設け、ブラシロール26を次の被加工物10の搬入側に近い箇所、ここではローラR3の近傍に設けている。これにより搬送シートに付着充填材13a,14aを除去する上で効果的である。
【0045】
クリーニング部40の構成を図1および図2により説明する。ラミネート装置のフレームF1の搬出側の側面下部に設けたサポートフレーム30上にクリーニング部40とクリーニング部40の昇降部50(以下昇降部50という)を配置している。昇降部50は、昇降用シリンダ51、シリンダロッド52、ガイドバー53、エンドプレート54から構成されている。本実施例では、図2に示すようにサポートフレーム上にガイドバー付シリンダ51を2個配置している。2個のエンドプレート54にクリーニング部40が設けられている。クリニ−ング部40は、エンドプレート上にブラケット41を設け、その側面に帯状ブラシ固定部材42を設け、その固定部材に帯状ブラシ43をと取り付けしている。図2に示した様に帯状ブラシは、搬送シートの幅寸法よりも少し広めとしている。従ってブラケットおよび帯状ブラシの長さも搬送シートの長さよりも少し長めとしている。なお昇降部50は、このような形態に限定されず、シリンダ等のアクチュエータとガイドバーを別置にして構成することもできる。
【0046】
次に図3および図4によりクリーニング部40の動作について説明する。クリーニング部40は、通常は図3のように下降状態である。被加工物10がラミネート部101に搬入されラミネート加工が開始されると図4のように上昇状態となる。これにより帯状ブラシ43は、搬送シート130の第2のローラR2に接触している部分に対して押圧される。帯状ブラシの上昇位置は、図示していないが、ストッパー等を設けシリンダ51の上昇端を調整することにより行う。クリーニング部40は、一度上昇すれば下降させなくてもよい。図2のような搬送シートの接続部131が搬送シートの走行移動に伴って帯状ブラシが上昇した状態で第2のローラR2を通過する場合でもブラシなので下降させることなくそのまま通過することも可能である。尚後述するように帯状ブラシに付着した充填材をクリーニングする場合は、クリーニング部40は昇降部50により下降させる。
【0047】
図5によりクリーング部40の作用効果について説明する。ラミネート加工により搬送シート130に付着した充填材13a,14aは、搬送シートの走行移動と同時に、ラミネート部内の被加工物10を搬送しながら第1のローラR1を通過し第2のローラR2に到達する。この搬送シートに付着した充填材はローラR2を押圧している帯状ブラシ43に到達する。このとき、充填材13a,14aは、まだ放冷しないで高温であるから、柔軟な状態にあり、従って、この状態で帯状ブラシにより擦られる(削られる)と、容易に変形し、搬送シート130の搬送面から浮き上がる。同図に示すように付着充填材60の先端に起立部61が生じる。搬送シート130に付着している充填材13a,14aのうち、比較的付着力が弱いものは、帯状ブラシ43によって剥がされるものもある。
【0048】
この状態で、次の被加工物10のラミネート装置内への搬入も同時に進行しているので、被加工物10がラミネート装置内に搬入されると、次のラミネート加工が実行される。ラミネート加工には、通常、十数分程度を要するので、この加工の間、搬送シート130の走行は停止し、上述の帯状ブラシ43によって擦られて起立した状態の付着充填材60は、この間の放冷によってほぼ完全に固化する。
【0049】
このようにして、搬送シート面で先端部が起立した状態61を有し固化して付着した充填材60は、搬送シート130の次の走行でブラシロール26を当てられることとなるが、その際固化して起立部61を有する付着充填材はブラシの毛が引っ掛かり易くなり、付着充填材60の除去効率が向上する。
【0050】
本発明において、帯状ブラシ43は、図1および図2に示した例では一式(1箇所)であったが一式にこだわることなく、複数式(複数箇所)とし2箇所に設けても良い。図6に示すように第1のローラR1と第2のローラR2の上下方向の位置をずらすことによって第1のローラR1に帯状ブラシ43を押圧するように設けてもよい。図5のように第2のローラR2に帯状ブラシ43を押圧する様に設ける場合は、ローラR2に対して鉛直下方から昇降させたが、第1のローラR1においては斜め下方から帯状ブラシを進退させる構成としている。このように帯状ブラシ43を複数式設けると、1番目の帯状ブラシ43で擦られて、起立した付着充填材60を2番目の短冊状ブラシ43によって、完全ではないが擦り落とすことができる。このような構成を採ると、次のブラシロール26で、ベルト面に残った付着充填材13a、14aを殆んど完全に落としてしまうことが可能になり、より除去能力が高いクリーニング機構の提供が可能となる。
【0051】
被加工物10である太陽電池に使用される充填材が早期に固化するタイプの充填材を使用する場合は、図6に示した第1のローラR1に帯状ブラシを押圧させる形態が望ましい。充填材が早期に固化すので、搬送シートに付着した充填材が柔軟な状態のうちに、帯状ブラシにより搬送シート130の搬送面から起立させる必要があり、第1のローラR1に帯状ブラシを押圧させる。
【0052】
帯状ブラシにより搬送シートに付着した充填材13a、14aを起立させる際に帯状ブラシにも充填材が付着する。この状態を放置すると搬送シートに付着した充填材を起立させる効果が不十分になったり、帯状ブラシに付着した充填材が再び搬送シートに付着することになる。このような問題を解決するために帯状ブラシに付着した充填材の除去手段を設けることもできる。
【0053】
上記除去手段について図7により説明する。帯状ブラシによるクリーニング部40を昇降部50により下降させた状態で除去手段70を作動させる。除去手段70は、クリーニング手段40を支持するサポートフレーム30上に配置されている。除去手段70は、スタンド71、ベース72、押し付けユニット73、回転ブラシの押し付け用のシリンダ74、長手方向移動ユニット75、押し付けユニットを走行移動させるための電気モータ76、および回転ブラシ77により構成されている。また除去手段70は、クリーニング部40の帯状ブラシ43に対して左右に各1組づつ設けられている。
【0054】
除去手段70は、以下のように動作する。帯状ブラシの両側に配置されている回転ブラシ77は回転しながら、押し付けユニット73をシリンダ74により前進させて帯状ブラシ43に押し付けられ、移動ユニット75に沿って帯状ブラシの長手方向に走行移動する。移動ユニット75は、スライドレール、ボールネジなどにより構成されていている。電気モータ76を回転駆動させることにより押付けユニット73は、帯状ブラシの長手方向に走行駆動する。この時、帯状ブラシ43に付着していた充填材が除去され、脱落するだけでなく回転ブラシ77の回転に伴い舞い上がるものもある。飛散した充填材は再び搬送シートに付着する。このような再度の付着を防止するために後述する集塵装置に接続されるダクト24を回転ブラシの移動部分に設け、除去された充填材を吸引する構成とすることができる。
【0055】
本発明において帯状ブラシによる、搬送シートに付着した充填材を起立させる効果を更にいっそう向上させるために、帯状ブラシの断面形状を図13(b)のような断面形状をした帯状ブラシを採用することもできる。図13(a)は、本発明の搬送シートに付着した充填材を起立させるために通常使用される帯状ブラシ43で、ブラシの毛がストレート形状となっている。一方図13(b)の帯状ブラシ44は、毛が波型の形状をしている。これによりブラシの頂部の幅(長さ方向と直角な方向)寸法が図13(a)ではLaであるが、図13(b)ではLbとなり、幅寸法が広くなっている。図13(b)のようなブラシを使用することにより搬送シートと帯状ブラシの接触幅が広くなり、ローラに接触している部分の搬送シートに押付けしやすくなるので起立能力が向上する。
【0056】
本発明においては、図1に示すとおり、上記のラミネート装置に、搬送シート130に対し、その搬送面に接するように粘着ローラ23を設ける構成を採用することができる。この場合においても、ラミネート部101の外部において、回転アクチュエータ26cにより駆動されるブラシロール26を設け、搬送シート130の搬送面に当接させてその面をクリーニングする点は、上記の例と同様である。
【0057】
粘着ローラ23は、一例として粘着性のゴムを金属製などのローラ外面に巻き付けたもの、或は、長尺の粘着性シートをローラに巻き付けたものでも良い。前記粘着ローラ23は、図示した例では支持アーム26aを上方へ延長してブラシロール26の上方に設けているが、支持アーム26aを兼用しない構造で設けてもよい。また、このローラ23は、搬送シート130に対する当接圧を調整するため、進退式のアジャスタ機構23aを具備している。ここで、粘着ローラ23は、ブラシロール26の後に設ける方が効果的である。これは、ブラシロール26より先に付着充填材13a,14aに粘着ローラ23を当てると、その粘着ローラ23に多量の付着充填材13a,14aが転写し、当該ローラ23の粘着力の劣化が早まってしまうからである。
【0058】
また、先にブラシロール26を当てて、比較的大きな付着充填材13a,14aを除去した後、ブラシロール26によっては落せなかった微細な付着充填材13a,14aを粘着ローラ23により除去する形態の方が、除去効果がより高まる。
【0059】
上記の、粘着ローラ23は、一式にこだわることなく、図示しないが複数式に粘着ローラ23を設けても良い。複数式で設けることにより、さらに除去能力を向上させることが可能となる。更にこの様な粘着ローラを図7に示した帯状ブラシに付着した充填材の除去に使用することも可能である。
【0060】
更に、本発明では、帯状ブラシ43、ブラシロール26の近傍に、ダクト24設け、このダクト24に集塵機(図示せず)を接続した構成を採ることができる。帯状ブラシまたはブラシロール26により、付着充填材13a,14aを掻き落とすと、その落とされた充填材が、再び、搬送シート130に付着してしまう場合がある。本発明ではこれを避けるため、前記ダクト24を設け、集塵機によって飛散する充填材を吸引することにより、その充填材13a,14aを集塵機に吸い込み、搬送シート130に再付着することを防止する。
【0061】
上記において、図示しないが搬送シート130の裏側であって粘着ローラ23に対向する位置に、当該ローラ23の押し付け力を支持するバックアップ部材となるパックアップ用板材を設けることにより、粘着ローラ23をより強く搬送シート130に押し付けることが可能となって、付着充填材の除去能力を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 被加工物(太陽電池)
13 シート状の充填材
14 シート状の充填材
13a 付着した充填材
14a 付着した充填材
21 スクレーパ
26 ブラシロール
30 サポートフレーム
40 短冊状ブラシによるクリーニング部
41 ブラケット
42 ブラシ固定部材
43 帯状ブラシ
44 帯状ブラシ
50 クリーニング部40の昇降部
51 シリンダ
52 ロッド
53 ガイドバー
54 エンドプレート
60 搬送シートに付着した充填材
61 搬送シートに付着した充填材の起立部
70 帯状ブラシに付着した充填材の除去手段
100 ラミネート装置
101 ラミネート部
110 上ケース
120 下ケース
130 搬送シート
131 シートの連結部
200 搬入コンベア
300 搬出コンベア
500 ラミネート装置
600 ラミネート装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネート加工する太陽電池モジュールなどの被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、被加工物を載置しながら搬送するための搬送シートを前記ローラに巻き回すように配置し、前記ローラを駆動することにより、搬送シートを走行移動させ被加工物を内部がダイアフラムにより仕切られる上チャンバと下チャンバを具備したラミネート部に搬入後ラミネート加工し、被加工物を前記ラミネート部から搬出するラミネート装置であって、
前記搬送シートの搬出側のローラと接触する部分に押付け可能な帯状ブラシを有し
前記搬送シートの搬送面に接するように設け、かつ回転アクチュエータにより駆動されるブラシロールを有する
ことを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
前記帯状ブラシを前記のラミネート部から送り出される搬送シートが最初に接触する搬出側ローラに接触する部分に押付け可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
前記帯状ブラシにブラシ表面に付着した充填材の除去手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート装置。
【請求項4】
ラミネート加工する太陽電池モジュールなどの被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、被加工物を載置しながら搬送するための搬送シートを前記ローラに巻き回すように配置し、前記ローラを駆動することにより、搬送シートを走行移動させ被加工物を内部がダイアフラムにより仕切られる上チャンバと下チャンバを具備したラミネート部に搬入後ラミネート加工し、被加工物を前記ラミネート部から搬出するラミネート装置における前記搬送シートのクリーニング方法であて、
前記搬送シートの搬出側のローラと接触する部分に押付け可能な帯状ブラシにより前記搬送シートに付着した充填材の端部を起立させる工程Aと
前記搬送シートの搬送面に接するように設け、かつ回転アクチュエータにより駆動されるブラシロールを充填材の付着した前記搬送シートに押付け充填材を除去する工程Bを有する
ことを特徴とする搬送シートのクリ−ニング方法。
【請求項5】
前記工程Aは、帯状ブラシを前記ラミネート部から送り出される搬送シートが最初に接触する搬出側ローラに接触する部分に押付け可能としたことを特徴とする請求項4に記載の搬送シートのクリ−ニング方法。
【請求項6】
前記帯状ブラシのブラシ表面に付着した充填材を除去する工程Cを有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の搬送シートのクリ−ニング方法。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−32082(P2011−32082A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182716(P2009−182716)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(709002303)日清紡メカトロニクス株式会社 (43)
【Fターム(参考)】