説明

ラモトリギンを含む徐放性処方

【課題】ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方およびその治療方法を提供する。
【解決手段】CNS障害の治療方法であって、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体が投与の後約2時間から20時間、好ましくは投与の後6時間から16時間、さらに好ましくは投与の後10時間から15時間、あるいは別に10時間から14時間放出される、徐放性処方。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラモトリギンを用いる新規な治療方法、およびかかる方法にて用いるための新規な処方、特に錠剤処方に関する。
【背景技術】
【0002】
ラモトリギン、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジンは米国特許第4,602,017号およびEP0021121に開示されている。ラモトリギンを含む製品はグラクソスミスクライングループの企業がラミクタール(LAMICTAL)(登録商標)の商用名で販売している。かかる製品は、CNS障害、特にてんかん;痛み;浮腫;多発性硬化症および双極性障害を含む精神適応症の治療に特に効果的である。
ラモトリギンの種々の錠剤処方、例えば、25mg、50mg、100mg、150mgまたは200mgの活性成分を含む一般的な圧縮即時放出性(IR)錠が製造承認されている。これらは一日に1回、2回または3回投与される。バルプロ酸を含有する抗てんかん剤の治療方法に加えられるラモトリギンでは、第一週と第二週の間は一日おきに25mgで滴定を開始し、第三週と第四週の間は毎日25mgまで増加する。この初期期間の後、用量を25ないし50mg/日で増加させることで100ないし400mg/kgの維持量を得ることができる。仮にバロプロ酸不含の酵素誘発の抗てんかん薬(EIAEDS)にラモトリギンが添加されるならば、用量は第一週および第二週の間は50mg/日であり、その後、該用量を2回に分けて100mg/日とする。該用量を2回に分けて300ないし500mg/日である維持量を得るのに、1ないし2週間毎に100mg/日ずつ用量を増加させてもよい。これらの投与計画によりラモトリギンの治療量が得られる。
【0003】
加えて、WO92/13527(ザ・ウェルカム・ファウンデーション・リミテッド)はラモトリギンおよび分散剤を含む水分散性錠からなる錠剤処方を記載し、その処方では分散剤はスメクタイトなどの膨潤性クレイであり、3分以内に水中に分散することのできる錠剤を得、710μmのシーブを通るであろう分散体を得るために一般に錠剤の顆粒内に配合されている。該錠剤は所望によりフィルムコートしてもよく、その場合には分散時間は5分よりも短い。2mg、5mg、25mgまたは100mgの活性成分を含む、丸ごと飲み込み、チュアブルし、あるいは少量の水に分散させることのできるチュアブル可能な分散錠が市販されている。これらは一般に小児患者に投与される。
【0004】
WO96/17611(ザ・ウェルカム・ファウンデーション・リミテッド)は、
a)0.5ないし50重量%のラモトリギン;
b)15ないし50重量%のラクトース;
c)15ないし50重量%の澱粉;
d)0.5ないし50%の結晶セルロース;および
e)5ないし15重量%のポリビニルピロリドン;
を含み、以下の特性:
(i)850μmよりも大きな粒径の顆粒はなく、
(ii)少なくとも90重量%が75ないし850μmの粒径を有し、
(iii)日本薬局方(第12版)の崩壊試験によれば、顆粒は30分以内に崩壊し、および
(iv)顆粒を日本薬局方(第12版)1991年の溶解試験、方法2(パドル式)に供すれば、少なくとも90重量%のラモトリギンが30分以内に溶解する
を有する易流動性粉末の形態である、医薬組成物を開示する。
【0005】
ラモトリギンは経口投与後にごくわずかな初回通過代謝で迅速かつ完全に吸収される。絶対的バイオアベイラビリティは約98%であり、食物による影響を受けない。
分散性チュアブル錠は、それらを水に分散させて投与するか、咀嚼して飲み込むか、または丸飲みするかどうかで、吸収速度および吸収度について、ラモトリギンの圧縮IR錠と等しいことが判明した。
【0006】
てんかんの治療用に市販されている他の薬物は、限定されるものではないが、カルバマゼピン(テグレトール(Tegretol)登録商標)、バルプロエート(デパコート(Depakote)登録商標)、チアガビン(ガビトリル(Gabitril)登録商標)、レベチラセタム(ケップラ(Keppra)登録商標)、ガバペンチン(ニューロンチン(Neurontin)登録商標)およびフェニトイン(ジランチン(Dilantin)登録商標)である。カルバマゼピンは即時放出性錠、時間放出性チュアブル錠(カルバトロール;長期放出ビーズ)またはテグレトール−XR、浸透圧ポンプ錠、および口腔投与用液として利用可能である。バルプロエートは即時放出性錠および懸濁液として利用可能である。米国において、バルプロエートはまた、ナトリウムバルプロエート+バルプロエートを1:1の処方にて含有するデパコート(Depakote)遅延放出性(被覆)錠、さらにはデパコートER長期放出形としても利用可能である。ガバペンチン、チアガビンおよびレベチラセタムは即時放出性錠として利用可能である。ジランチンは放出を修飾する「カプシール(kapseal)」にて利用可能である。
【0007】
市販のラモトリギン錠はその錠剤が胃に達するとその有効成分を即時放出する。血漿中濃度のピークは薬物投与の後1.4ないし4.8時間で至るところで起こる。その欠点は通常の錠剤で達成される血漿中濃度(薬物動態プロファイル(PK))が周期的であり、薬物を投与した後にピークが得られ、つづいて薬物を次に投与する前に谷間が訪れることである(図(1)を参照のこと)。
特に、てんかんの治療の場合、その谷間が発作のきっかけとなる可能性があり、血漿中濃度のピークはある患者にて有害事象(AE)をもたらす可能性があると考えられ、あるいはまた血漿中濃度がピークに達する前の初期段階での血漿中濃度の上昇速度がAEプロファイルに影響を与える可能性もあると考えられる。
最近まで、ラモトリギンが胃腸管のどこで吸収されるのか不明であった。吸収の場所を測定する実験を行うにおいて、最近になって、胃と上行結腸の間にある消化管のある地点にて薬物がデリバリーされると、ラモトリギンの吸収度が一貫していることがわかった。吸収度は固体としてあるいは溶液としてデリバリーされても同等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,602,017号
【特許文献2】EP0021121
【特許文献2】WO92/13527
【特許文献2】WO96/17611
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第一の態様において、本発明はラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方を含む。
本発明のさらなる態様は、治療的に有効な量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む、CNS障害の治療方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、治療的に有効な量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む、CNS障害の治療方法であって、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体が投与の後約2時間から20時間、好ましくは投与の後6時間から16時間、さらに好ましくは投与の後10時間から15時間、あるいは別に10時間から14時間放出される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明を添付した図面を用いて説明する:
【図1】一日2回投与した200mgのラモトリギンのIR錠についてシミュレートされた薬物動態学的プロファイル。
【図2】150mgのラモトリギンのIR錠の3つの異なるバッチの溶解プロファイル。
【図3】実施例1のマトリックス錠から由来の溶解プロファイル。
【図4】実施例2のマトリックス錠から由来の溶解プロファイル。
【図5】実施例3のフィルムコーティング錠から由来の溶解プロファイル。図5は3%および5%の重量増についてコーティング溶液Bで被覆した錠剤についての溶解プロファイルを示す。共に3時間後に平均で90%を越えて溶解する。
【図6】実施例4のラモトリギンのジッフコア錠25mgおよび200mgの溶解プロファイル。
【図7】実施例2の種々の25mgおよび200mgマトリックス錠についての平均0−36時間血清PKプロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いる場合に「CNS障害」なる語は、てんかん;痛み;浮腫、多発性硬化症、統合失調症および双極性障害を含む精神状態、好ましくはてんかん;痛み;浮腫および双極性障害を含む精神状態、特にてんかん;痛みおよび双極性障害を包含する。
本明細書で用いる場合に「痛み」なる語は、筋骨格系疼痛、術後痛および手術の痛みなどの急性の痛み、慢性炎症痛(例えば、関節リウマチおよび骨関節炎)、神経因性疼痛(例えば、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、共鳴的に維持される痛みおよび糖尿病性神経障害に付随する痛み)ならびに癌および線維筋痛に付随する痛みまたは偏頭痛に付随する痛みなどの慢性の痛みを包含する。
統合失調症は世界の人口の1%が患っている深刻な精神病である。該障害の罹患は典型的には十代の後半にまたは二十代の前半に発生し、約80%のケースにてその病状と一生付き合うこととなる。さらには、統合失調症は、40%の患者がこの障害を発症してから10年以内に自殺を図るという顕著な死亡率とも関係している。この障害は1996年の世界保健機関と世界銀行の共同の研究において身体障害の第5番目の主要原因としてランク付けされている。
【0012】
統合失調症の臨床的徴候として、幻覚、妄想または思考障害などの陽性の徴候、および無気力、回避(avolition)または会話の欠如などの陰性の徴候を挙げることができる。
統合失調症の治療は抗ドーパミン作動薬の使用に依存しており、それは1950年代のクロルプロマジンの効能および作用機序の最初の発見によるものである。クロルプロマジンおよび他のいわゆる「定型」抗精神病薬はまた、今日において一般に使用されているが、その運動副作用との関係から、その「定型」抗精神病薬は、次第に、クロザピン(クロザジル(Clozaril)登録商標)、オランザピン(ジプレキサ(Zyprexa)登録商標)またはリスペリドン(リスペルダール(Risperdal)登録商標)などの新しい「非定型」抗精神病薬と置き換わっている。これらの新しい薬物はドーパミンD2受容体拮抗作用および5−HT2a受容体拮抗作用を含む混合した薬理作用を有する。これらの新規な薬物は効能があり、相対的に安全であるにもかかわらず、患者の大部分は治療に応じず、その応じたうちの多くは全体機能および生活の質にて臨床的に有意義な改善を得られない。
【0013】
ある患者においては、大鬱病、躁病または混合した躁病のエピソードが統合失調症の徴候と同時に現れうる。その場合、統合失調症と気分障害の間の違いは多少不明瞭であり、統合失調性感情障害の診断が用いられることが多い。統合失調性感情障害は典型的には抗精神病薬、抗うつ病薬、気分安定剤および不安解消薬の併用を必要とする。陽性の精神的症状は通常制御されるが、陰性の徴候および情動疾患には現行の医薬はあまり役に立たない。
40年間開発されているにも拘わらず、慢性の衰弱性障害の統合失調症の患者の治療には依然として有意な不満がある。
【0014】
多発性硬化症(MS)は自己免疫疾患であり、それは脳および脊髄にある所々のミエリン(神経繊維の保護カバー)が自身の免疫系で破壊される、中枢神経系(CNS)の進行性疾患である。この破壊は下位にある神経繊維に瘢痕および損傷をもたらし、その影響を受けた脳および脊髄の部分に応じて、それ自身が種々の徴候にて明らかになりうる。脊髄損傷はうずきまたはしびれならびに四肢にて重いおよび/または弱い感じをもたらすかもしれない。脳の損傷は筋肉の衰弱、疲れ、不安定歩行、しびれ、不明瞭な発語、視力低下、目眩などをもたらしうる。Leandriら(J Neurol(2000) 247:556−558)はラモトリギンが多発性硬化症に二次的な三叉神経痛の治療に用いられたと報告した。
【0015】
本発明のさらなる態様はラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を多発性硬化症の治療に用いることである。
本発明のさらなる態様は多発性硬化症の治療方法であって、患者に治療的に有効な量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を経口投与することを含む方法である。
本発明のさらなる態様は多発性硬化症の治療用医薬の製造におけるラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の使用である。
本明細書で用いる場合、「医薬上許容される誘導体」なる語は、ヒトなどの受容者に投与した場合にラモトリギンまたはその活性代謝物を(直接的または間接的に)提供することのできる塩、エステルまたはかかるエステルの塩を意味する。好ましい塩は塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩などの無機酸塩あるいは酢酸塩、フマル酸塩、キシナホ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩またはグルタル酸塩などの有機酸塩である。
【0016】
本明細書で用いられる「治療」なる語は、確立された障害の治療のほか、その予防をも包含する。このことは、薬物が発作を治療しうる、または将来発作を惹起することを防止しうる、てんかんに特に関連するものである。
本明細書で用いる場合、「徐放性」なる語は、経口摂取後、処方が胃に達すると長期間にわたって、例えば、2−20時間、好ましくは6時間から16時間の間、より好ましくは10時間から15時間の間、あるいはまた10と14時間の間、連続的であるが、段階的にラモトリギンの放出を開始し、崩壊/溶解/侵食を開始することを意味する。放出は一定期間にわたって続くであろうし、小腸全体で、処方が大腸に達した後も続くかもしれない。
【0017】
本発明のさらなる態様は、患者に治療的に有効な量の徐放性処方の形態のラモトリギンを経口投与することを含む、CNS障害の治療方法であって、実質的にすべてのラモトリギンが投与後2時間から20時間にて、好ましくは投与後6時間から16時間にて、より好ましくは投与後10時間から15時間、あるいは10時間から14時間にて該処方より放出される方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方であって、実質的にすべてのラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体が投与後2時間から20時間にて、好ましくは投与後6時間から16時間にて、より好ましくは投与後10時間から15時間、あるいは10時間から14時間にて該処方より放出される処方を提供する。
本明細書にて用いる場合、「実質的にすべて」なる語は、85%より大きい、好ましくは90%より大きいことを意味する。
【0018】
ラモトリギンがこの期間にわたって投与されると、ラモトリギンは血漿中濃度のゆっくりとした上昇ではあるが、それが容易に吸収される部位に徐々にデリバリーされ、投薬後のピークを減少させて投薬関連の有害事象(AE)を緩和し、それでも効能を維持するのに十分な最低限の血漿/血清中濃度(Cmin)を提供する。通常の即時/速効放出性(IR)錠剤に相当する曲線下面積(AUC)(幾何最小二乗(GLS)平均の割合が90%の信頼区間(CI)にあるものは対照となるIR製品と比べて80−125%の範囲内にあるはずである)をもたらす処方を「生物学的に同等な物」と称する。
また、徐放性処方は、食品医薬品局(FDA)によれば、IR錠の生物学的に同等な物であるとみなされないし、仮にそうだとすれば、Cmaxについて関連する90%信頼区間は対照となるIR製品と比較してAUCを80−125%の範囲内に維持しながらもIR製品に対して80−125%の限界内にないであろう。
適当には、活性成分の放出が胃、小腸にて、および結腸に優勢的に生じるように製剤を処方する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、治療的に有効な量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む、CNS障害の治療方法であって、ラモトリギンまたは医薬上許容される誘導体が1ないし500mg、好ましくは25ないし400mgの範囲にて投与される、方法を提供する。
好ましくは、徐放性処方は、25mg、50mg、100mg、200mgまたは400mgより選択される一定量のラモトリギンまたは医薬上許容される誘導体を含む。
好ましくは、徐放性処方は、障害を制御するのに十分である治療計画にて投与される。
その投与計画は一日1回であることが好ましい。
徐放性処方の利点は患者の高いコンプライアンスにある。
【0020】
社会経済的因子はコンプライアンスに影響を及ぼすものではない:裕福で教養のある健康な患者でもコンプライアンスされない可能性があるのと同様に、これらの範疇外の患者でもコンプライアンスされない可能性がある。大抵の場合、てんかんは一生涯の疾患であり、抗てんかん薬(AED)の血中濃度を一貫して適切なものとし、発作の制御を最大限引き出す必要がある。さらには、新たな発作は各々再発の危険性を増加させ、予後全般を悪化させると一般に考えられている。したがって、てんかん患者に対する主たる治療目的は適切なAED濃度を維持し、その後の発作を防止することである。処方される投与計画のコンプライアンスは治療用血中濃度の維持には不可欠である。
てんかん患者は複数の薬物で治療されていることが多い。重度または不応性てんかんの患者は、発作を適切に制御するのに、頻繁に2またはそれ以上のAEDを一緒に投与する必要がある。また、患者がうつ病、心臓病または毎日の投与計画を厳守する必要もある糖尿病などの他の併存する慢性の医学症状のあることも稀なことではない。
【0021】
双極性障害の治療は、現在、一日1回の治療が推奨されており、本発明の処方は薬物の血漿中濃度の上昇が低く、そのため本発明は患者に有益な効果を提供するものと考えられる。
痛みを治療するのに一日1回の錠剤のアベイラビリティは有意な利点であり、痛みは持続する病態であり、そのために徐放性処方は患者の痛みが最も小さい時に応じて昼または夜の適当な時にCmaxを提供することで痛みを緩和するであろう。
処方は同じ患者にてIR用量を一日1回投与した場合に得られるCmaxと比べてCmaxを約10ないし40%、あるいは10ないし20%減少させることが好ましい。
処方はCmaxに至る時間(tmax)として投与後8ないし24時間、あるいは投与後10ないし16時間を提供することが好ましい。
【0022】
処方は個々のIR用量の50%未満のtmaxに至る上昇速度を提供することが好ましい。
処方は投与後24時間で同じ患者の同じIR用量と比べて少なくとも80ないし125%の平均最小血清中濃度(Cmin)を、あるいはIR用量よりも高いおよび/または同じIR用量と比べて80ないし125%の範囲外にあるCminを提供しうる。
処方は0.15ないし0.45の範囲にある変動指数(Cmax−Cmin/Cave)を提供することが好ましい。
現在、従来のIR錠を投与した数人の患者で、目眩、運動失調、複視および発疹などのCNS有害事象(AE)を実験している。
【0023】
IR処方を用いた場合のAEの割合は、例えば、目眩で31ないし38%であり、運動失調で10ないし22%であって、複視で24ないし28%である。理論により拘束されるものではないが、出願人はこれら有害事象のいくつかはピーク血漿中濃度あるいは投与後でピーク血漿中濃度に達する前の血漿中濃度の上昇速度に関係していると考えている。発疹の危険性および重度の発疹の危険性はラモトリギンの最初の用量または用量増加の割合と関係している可能性があり、滴定の間のピーク濃度を減少させる処方を開発することでこれらの有害事象の危険性を減少できる可能性がある。
【0024】
本発明のさらなる態様はCNS障害の治療方法であって、該方法は治療上有効量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与し、AEプロファイルの減少が達成されることを含む。
AEプロファイルの減少は、目眩、運動失調、複視または発疹から選択される少なくとも一つの副作用の有害事象の割合の減少であることが好ましい。
AEプロファイルの減少は、少なくとも一つの副作用の有害事象の割合を10%、好ましくは20%、より好ましくは30%までの減少であることが好ましい。
【0025】
本発明のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体と投与することに伴う少なくとも一つの有害事象の発生率を減少させる方法であって、該方法は治療上有効量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む。
有害事象は目眩、運動失調、複視または発疹のうちの少なくとも一つであることが好ましい。
本発明のさらなる態様はてんかんの治療方法であって、治療上有効量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む、方法である。
【0026】
本発明のさらなる態様は、てんかんを治療し、有害事象を減少させる手段としての徐放性処方を製造するための、CNS障害の治療におけるラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の使用である。
本発明のさらなる態様は、CNS障害の治療用徐放性処方を製造するためのラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の使用である。
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載のいずれかの方法によりCNS障害の治療用徐放性処方を製造するためのラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の使用である。
本発明のさらなる態様は、CNS障害を治療するためのラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の使用である。
【0027】
放出速度の制御のために剤形が完全であることが不可欠である丸飲みを意図とする徐放性処方の投与量は、都合よくは、複数の、例えば、2個、3個または4個の嚥下錠またはカプセルで提供される。放出が複数の別個の粒子、ビーズまたは顆粒でなされるケースにおいては、剤形を無傷のまま飲み込み、できる限り長くビーズまたは粒子そのものを無傷のままとする必要はない。
徐放性処方の投与量はまた単回錠剤として提供することもできる。
【0028】
本発明の徐放性処方は、40ないし65%、好ましくは45ないし65%、より好ましくは45ないし55%のラモトリギン含有量が3ないし8時間、より好ましくは4ないし6時間の間に溶解する;ラモトリギンの90%が6時間と16時間の間、好ましくは10ないし15時間、また10ないし14時間の間に溶解する、インビトロ溶解プロファイルを有することが好ましい。比較において、従来の即時放出性ラモトリギン錠は30分以内に80%が溶解する。溶解プロファイルは、USP24、2000、その後の最新の補遺にて提供される、例えば、標準的溶解アッセイ<724>Dissolution Test、Apparatus1または2または3または4にて、37.0±0.5℃で希塩酸または他の適当な媒体(500−3000ml)および50−100rpmの回転速度を用いて測定することができる。
【0029】
徐放性処方は、同じ投与期間にわたって、現存する即時放出性IR錠の「曲線下面積」(AUC)値に等しいインビボ値、例えば、従来の(即時放出性)処方として服用されるラモトリギンの対応する投与量の値の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%ないし110%、より好ましくは約100%であるが、125%を越えない値であって、それによってラモトリギンの徐放性処方からの吸収を最大とする値を提供する。
本発明の剤形の薬物動態学的プロファイルはヒトボランティアにおける単回剤形バイオアベイラビリティ実験から容易に測定することができる。そして、ラモトリギンの血漿中濃度は当該分野にて周知かつ文献記載の操作に従って患者から採血した試料にて容易に測定することができる。
当業者には、治療上有効量が患者の年齢、大きさ、疾患の重度および他の薬物治療に依存するであろうことは明らかであろう。
【0030】
好ましい徐放性処方は機能性被覆錠またはカプレット、あるいはワックスまたはポリマー、または浸透圧ポンプ装置またはそれらの組み合わせを含有する持続放出性錠剤またはカプレットマトリックスである。それらはまた、カプセルに配合される、あるいはサッシェまたは他の単位用量粉末装置より投与される、放出制御性ビーズ、顆粒、球体とすることもできる。
代表的な徐放性処方は、嚥下錠を含む錠剤、カプセル、顆粒またはサッシェを包含し、典型的には嚥下錠であり、それは被覆されていてもいなくてもよい。
本発明のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体と、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の持続的放出を可能とする放出遅延性賦形剤とを含む処方である。適当な放出遅延性賦形剤は、水または胃内容物などの水性媒体と接触して膨潤してもしなくてもよい放出遅延性ポリマー;水または水性媒体と接触してゲルを形成するポリマー材料;水または水性媒体と接触して膨潤化およびゲル化の両方の特性を有するポリマー材料、およびpH感受性ポリマー、例えば、オイドラギット(登録商標)ポリマー、例えば単独でまたは可塑剤と一緒に用いることのできる、オイドラギットL(登録商標)などのメタクリル酸コポリマーをベースとするポリマーを包含する。
【0031】
これらの徐放性処方は当該分野にて「マトリックス処方」と称されることも多く、それによれば薬物が水和ポリマーマトリックス中に配合され、拡散および侵食を介して放出される(例えば、WO98/47491および米国特許第5,242,627号)。
膨潤性であってもなくてもよい徐放性ポリマーは、とりわけ、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニルベンゼンコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース高分子量ポリビニルアルコールなどを包含する。
放出遅延性ゲル化ポリマーとして、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、低分子量ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレングリコール、非架橋ポリビニルピロリドン、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0032】
膨潤性およびゲル化特性を同時に有する放出制御性ポリマーとして、中程度の粘性のヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび中程度の粘性のポリビニルアルコールが挙げられる。
使用される放出遅延性ポリマーは、好ましくは5000ないし95000、より好ましくは10000ないし50000の範囲にある分子量を有する。
好ましい放出遅延性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースで利用可能な等級のものである。
用いることのできるポリマーとして、例えば、メトセル(Methocel)K4M(登録商標)、メトセルE5M(登録商標)、メトセルE50(登録商標)、メトセルE4M(登録商標)、メトセルE100M(登録商標)、メトセルK15M(登録商標)、メトセルK100M(登録商標)およびメトセルK100LV(登録商標)、ポリオックス(POLYOX)WSR N−80またはそれらの混合物が挙げられる。また、用いることのできるポリマーとして、例えば、メトセルK4M(登録商標)、メトセルE5(登録商標)、メトセルE50(登録商標)、メトセルE4M(登録商標)、メトセルK15M(登録商標)、メトセルK100LV(登録商標)、ポリオックスWSR N−80またはそれらの混合物が挙げられる。
【0033】
配合することのできる他の既知の放出遅延性ポリマーとして、天然または合成ガム、上記した以外のセルロース誘導体、炭水化物をベースとする物質、例えば、アカシア、トラガカントガム、イナゴマメガム、グアールガム、寒天、ペクチン、カラギーニン、可溶性および不溶性アルギナート、カルボキシポリメチレン、カゼイン、ゼインなど、および蛋白様物質、例えば、ゼラチンが挙げられる。
放出遅延性ポリマーは、好ましくは、メトセルE4M等級、ポリオックス WSR N−80、メトセルK100LVである。
【0034】
徐放性処方はまた、希釈剤/圧縮助剤、例えばラクトース、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、シュークロース、マンニトール、キシリトール;澱粉および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびステアリン酸を含みうる。さらに、徐放性処方はまた、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン(CLPVP)および澱粉グリコール酸ナトリウム;結合剤、例えば、ポビドン(ポリビニルピロリドン);流動助剤、例えば、二酸化ケイ素またはタルクを包含する。典型的には、徐放性処方は約2.5ないし80重量%のラモトリギン;0ないし70重量%の希釈剤/圧縮助剤および0.1ないし2.5重量%滑沢剤を含む。好ましくは、放出遅延性賦形剤は放出遅延性ポリマーである。
放出遅延性ポリマーは10ないし70重量%の範囲のポリマーにて配合されていることが好ましい。
徐放性処方は2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含むことが好ましい。
【0035】
徐放性処方は、好ましくは、
a)2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)10ないし70重量%の放出遅延性ポリマー;
c)0ないし70重量%の希釈剤;
d)0ないし20重量%の圧縮助剤;および
e)0.1ないし2.5重量%の滑沢剤を含む。
【0036】
好ましい具体例において、徐放性処方は、
a)2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし70重量%の放出遅延性ポリマー;
c)0ないし60重量%の希釈剤;
d)0ないし20重量%の圧縮助剤;および
e)0.1ないし2.5重量%の滑沢剤を含む。
【0037】
好ましい具体例において、徐放性処方は圧縮助剤を含まない。
好ましくは、徐放性処方は
a)8.3ないし50重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし66.3重量%の放出遅延性ポリマー;
c)25ないし60重量%の希釈剤;および
d)0.1ないし0.4重量%の滑沢剤を含む。
【0038】
より好ましくは、徐放性処方は
a)8.3ないし50重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし66.3重量%のメトセルE4MP、CR等級、ポリオックスWSR N−80またはメトセルK100LVまたはそれらの混合物;
c)25ないし60重量%のラクトース;および
d)0.1ないし0.4重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0039】
本発明のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体および装置、例えば、錠剤またはビーズの1またはそれ以上の外面上の放出遅延性コーティングを含む装置である。従来の即時放出性圧縮錠は少なくとも部分的に放出遅延性コーティングで被覆されていてもよく、あるいはまた、医薬上許容されるビーズを用い、その中にラモトリギンを組み入れ、ついで、そのビーズを少なくとも部分的に放出遅延性コーティングで被覆する。ビーズを使用することで投与計画に柔軟性をもたせ、患者の要求に合うように用量を測定することができる。
【0040】
放出遅延性コーティングはフィルムコートであってもよく、それは圧縮または噴霧乾燥されてもよく、水不溶性ポリマーまたは部分的水可溶性ポリマーにより薬物放出の拡散の制御を可能とすることにより半透性バリアとして作用してもよい。また、フィルムコーティングは溶解速度を制御することもできる。かかるフィルムコーティングは、例えば、実質的にまたは完全に水または水性媒体に不浸透性である、あるいは水または水性媒体あるいは生物学的液体にゆっくりと侵食され得る、および/または水または水性媒体あるいは生物学的液体と接触して膨潤するポリマーからなっていてもよい。適当には、フィルムコートは、少なくとも、中身の活性物質が回りの媒体に完全にまたは実質的に完全に移行するまでこれらの特性を保持するものでなければならない。かかるフィルムコートの錠剤を機能性フィルムコートの錠剤と称する。
【0041】
フィルムコートに適するポリマーとして、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸またはそのエステルのコポリマー、セルロースおよびその誘導体、例えばエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、ポリエチレンおよびポリビニルアルコールなどが挙げられる。水または水性媒体と接触して膨潤するポリマーを含むフィルムコートは膨潤層が比較的大きな膨潤した塊を形成する程度にまで膨潤し、その大きさのため胃から腸への速やかな排出が遅れる。フィルムコートそれ自体がラモトリギンを含有してもよく、例えばフィルムコートが放出を遅らせるまたは遅延させる層であってもよい。フィルムコートは、典型的には、個々の厚みが2μmないし10μmである。
【0042】
水に比較的不浸透性であるフィルムコートに適するポリマーとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー、例えば、上記したメトセル(登録商標)シリーズのポリマー、例えばメトセルK100M、メトセルK15M;オイドラギット(登録商標)ポリマー、アクアコート(Aquacoat)(登録商標)が単独でまたは組み合わせて用いられるか、あるいはエトセル(Ethocel)(登録商標)ポリマーと組み合わされていてもよい。また、さらに好ましくは、フィルムコートは圧縮されていてもよい。好ましいポリマーはスリリース(SURELEASE)(登録商標)水性エチルセルロース分散液(E−7−19010)である。これはBerwind Pharmaceuticals Services Incの一部門であるCOLORCONから入手可能である。また、スリリースポリマーまたは他の適当な部分的に浸透性のポリマーと、孔形成材料、例えば、オパドライ(OPADRY)(登録商標)クリア(YS−2−7013)(これもCOLORCONから入手可能である)との混合物を用いることもできる。利用することのできる一の範囲は錠剤上のコーティング剤の3ないし5重量%である。
【0043】
さらなる具体例において、スリリースポリマーのフィルムコーティングが50重量%ないし80重量%、オパドライのフィルムコーティングが50重量%ないし20重量%である。
硬化ヒマシ油などの可塑剤を該ポリマーと組み合わせてもよい。フィルムコーティングはまた、通常の結合剤、充填剤、滑沢剤、着色剤、例えば酸化鉄または有機色素および圧縮助剤、例えばポリビドンK30(登録商標)、ステアリン酸マグネシウムおよび二酸化ケイ素、例えばシロイド(Syloid)244(登録商標)を含んでいてもよい。
【0044】
本発明のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を放出する二つの相がある、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方であって、第一相の放出速度が第二相の放出速度と異なるところの徐放性処方である。好ましくは、第一相の放出速度は第二相の放出速度よりも遅いであろう。より好ましくは、第一相にて、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の15%未満が食道および胃にて放出され、第二相にてラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体が第一相よりも速い速度で放出される。
【0045】
例えば、第一相は平均0ないし2時間の期間であり、第二相は2ないし20時間、好ましくは2ないし16時間、好ましくは2ないし15時間の期間である。すべての患者にて、胃腸でのタイミングは異なり、したがって2時間が患者の母集団を通しての平均であろう。
第一相にてラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の10%未満の放出のあることが好ましい。
本発明のこの態様は特に有用である。というのも、この態様であればラモトリギンの溶解性が(消化管の下部領域と比べて)高い胃にてラモトリギンの放出を減少させるからである。該態様はインビボにてラモトリギンの血漿中濃度を実質的に直線的に増加させることができる。
【0046】
本発明のさらなる態様は;
1)ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含有するコア:
2)該コアを覆う外部コーティングであって、その外部コーティングの厚みが環境流体の流入に対して実質的に不浸透性であり、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の流出に対して実質的に不浸透性であるように適合されているところの、外部コーティング:
3)該外部コーティングに含まれ、該コーティングの外部から実質的に完全に該コーティングを介して伸びるが、該コアを貫通せず、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体をコアから環境流体に放出させる1個またはそれ以上のオリフィスであって、該処方の表面積の約10ないし約60%の面積または総面積を有し、そのオリフィスを介してラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の放出が実質的に生じるところのオリフィス;
を含む、徐放性処方である。
【0047】
別法として、徐放性処方は;
1)ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含むコア;
2)該コアを覆う外部コーティングであって、分配期間の間、その外部コーティングの厚みが環境流体の流入に対して、あるいはラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の流出に対して不浸透性または実質的に不浸透性であるように適合されているところの、外部コーティング;および
3)該外部コーティングに含まれ、該コーティングの外部から実質的に完全に該コーティングを介して伸びるが、該コアを貫通せず、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体をコアから放出させる1個またはそれ以上のオリフィスであって、該装置の表面積の約10ないし約60%の面積または総面積を有するところの、オリフィス;
を含み、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を放出するための律速段階がそのオリフィスを通りラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の溶液または懸濁液への1またはそれ以上の溶解、拡散または侵食を介するラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の流出であり、放出遅延性賦形剤がラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の環境流体への溶解性および/または効果的な溶解性に応じてラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の放出を促進または阻害する。
【0048】
かかる徐放性装置は、その内容を本明細書の一部とする、米国特許第5004614号に記載されており、「ジッフコア(DiffCORE)(登録商標)装置」と称されている。
好ましくは、該コアはさらに放出遅延性賦形剤を含む。より好ましくは、その放出遅延性賦形剤はマトリックス処方について上記したとおりである。
さらには、その外部コーティングは、投与後0.3ないし5時間までに、あるいは周辺のpHが5、好ましくは5.5を越えれば溶解しうる。
より好ましくは、該コアはさらに放出遅延性賦形剤を含み、その外部コーティングは、投与後0.3ないし5時間までに、あるいは周辺のpHが5、好ましくは5.5を越えれば溶解しうる。
【0049】
かかる処方は上記したようにマトリックスコアおよび1またはそれ以上のオリフィスを含む外部コーティングからなる。
放出遅延性賦形剤はマトリックス処方について上記したものであることが好ましい。
外部コーティングの厚みは0.05mmないし0.30mm、好ましくは0.10mmないし0.20mmであることが好ましい。
その外部コートは1または2個のオリフィスを含むことが好ましい。
【0050】
好ましい外部コーティングは、エチルセルロース、アクリル酸ポリマー、ポリアミド、ポリメタクリレート、ワックス、ポリ無水物、ポリグリコリド、ポリアクチド、ポリブチレート、ポリバレレート、ポリカプロラクトン、天然油、ポリジメチルシロキサン、架橋または非架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム澱粉、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアルコールフタレート、シェラック、ゼイン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸ポリマーまたはコポリマー、上記した1またはそれ以上のものなどからなる群より選択される。
好ましくは、該処方は2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含む。
【0051】
好ましい具体例において、徐放性処方は、
a)2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし70重量%の放出遅延性ポリマー;
c)0ないし60重量%の希釈剤;
d)0ないし20重量%の圧縮助剤;および
e)0.1ないし2.5重量%の滑沢剤;
を含むコアと、
f)0.05mmないし0.30mmのポリマー;
を含む外部コートと、を含む。
【0052】
徐放性処方の好ましい具体例においては、圧縮助剤は存在しない。
さらに好ましい具体例において、徐放性処方は、
a)5ないし66重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし66.3重量%の放出遅延性ポリマー;
c)0ないし60重量%の希釈剤;および
d)0.1ないし0.4重量%の滑沢剤;
を含むコアと、
e)0.05mmないし0.30mmのポリマー
を含む外部コートと、を含む。
【0053】
好ましくは、放出遅延性ポリマーはHPMCポリマーであり、より好ましくは、メトセルE4M、CR等級、ポリオックス WSRN−80またはメトセルK100LV、あるいはそれらの混合物である。
好ましくは、外部コートはメタクリル酸コポリマー、より好ましくはオイドラギットである。
好ましくは、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体は5ないし55%の量にて存在する。
【0054】
より好ましくは、徐放性処方は、
a)5ないし55重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし66.3重量%のメトセルE4MP、CR等級、ポリオックス WSRN−80またはメトセルK100LVあるいはそれらの混合物;
c)25ないし60重量%ラクトース;および
d)0.1ないし0.4重量%のステアリン酸マグネシウム;
を含むコアと、
e)0.05mmないし0.30mmのオイドラギットL30
を含む外部コートと、を含む。
【0055】
「環境流体」は患者の消化管にある流体の溶解プロファイルを有するか、またはその特性を真似る流体を意味する。
「分配期間」は投与した時間からラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の放出の終わりまで、例えば、0から20時間まで、好ましくは0から16時間まで、より好ましくは0から15時間まで、あるいはまた0から14時間までを意味する。
本明細書中で用いる場合、「実質的に不浸透性」なる語は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体がコートを通ってほとんどまたは全く流出できない、例えば、5%未満、好ましくは2%未満、その上さらに好ましくは1%未満であるか、あるいは環境流体がコートを通ってほとんどまたは全く流入できない、例えば、5%未満、好ましくは2%未満、その上さらに好ましくは1%未満であることを意味する。
【0056】
本明細書で用いる場合、「オリフィス」なる語は、外部コートにあるアパーチャー、例えば、錠剤の外部コートにある開口部を意味し、例えば、コートの残りの部分よりも有意に薄い外部コートの表面の一部をも包含する。
本明細書で用いる場合、「放出」なる語は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の、溶解、拡散、浸透または侵食による、処方から環境流体への流出を意味する。
上記したマトリックス錠は、ポリマー水溶液を圧縮し、あるいは噴霧コーティングしてフィルムコートを作製してもよい。コーティングは当業者に公知の標準的コーティング装置、例えば、Vector(登録商標)装置にて行うことができる。ついで、錠剤のフィルムコートに穴を開けてオリフィス(複数)を形成する。予めコーティングした錠剤の表面からフィルムコートのある部分を除去することによりオリフィスを形成することもできる。
【0057】
典型的には、除去される表面積は0.1%と50%の間、好ましくは約15−20%である。オリフィスは機械的ドリル操作、超音波切断またはレーザーにより形成することができる。機械的ドリル操作が好ましい。
オリフィスはどのような形状、例えば、長円、円、四角またはテキストに示される、例えば会社のロゴのような形状であってもよい。好ましくはオリフィスは円形である。
オリフィスの大きさは錠剤の大きさによるが、例えば、9−10mmの錠剤の場合、0.1から6−7mm、好ましくは4−4.5mmとすることができる。
錠剤が1個より多くのオリフィスを有する場合、オリフィスは錠剤の同じ面または異なる面上に設けることができる。対向面にあることが好ましい。
オリフィスは錠剤の面の中心に設けることができ、あるいは中心からずらすこともできる。
錠剤は円、長円、楕円、盾形またはカプセル形の浅いないし深い凸体であってもよい。錠剤は円または長円形の標準的な凸体であることが好ましい。
【0058】
本発明のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体および浸透圧性物質を含み、少なくとも一つのホールを含有する水隔膜で被覆した処方にある。活性成分は水隔膜にあるホールを通して錠剤より「ポンプ作用」により吸い上げられる。浸透圧ポンプ処方の他の薬物の例がWO95/29665に記載されている。
本発明の個々のさらなる態様は、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性についてのシステムであって、(a)有効量の活性物質を含み、所定の幾何学的形態を有するデポジットコアと、(b)該デポジットコアに適用されるサポート−プラットホームであって、そのデポジットコアが少なくとも活性物質と、(1)水または水性液と接触して膨潤するポリマー材料およびゲル化ポリマー材料(ここで、膨潤性ポリマー材料のゲル化ポリマー材料に対する割合は1:9ないし9:1の範囲にある)および(2)膨潤特性およびゲル化特性の両方を有する単一のポリマー材料、とからなる群より選択される少なくとも一つの部材とを含有し、そのデポジットコアの表面を部分的に覆い、デポジットコアの水和作用による変化に付随し、水性流体にゆっくりと可溶化し、および/またはゆっくりとゲル化するようにデポジットコアに適合される、弾性支持体である、サポート−プラットホームとを含む、システムを提供する。
かかるシステムは「プロサイズ・テクノロジー(Procise technology)」ということができる。
【0059】
そのサポート−プラットホームは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのポリマー、グリセリドなどの可塑剤、ポリビニルピロリドンなどの結合物質、ラクトースおよびシリカなどの親水性物質、および/またはステアリン酸マグネシウムおよびグリセリドなどの疎水性物質を含んでいてもよい。該ポリマーは典型的にはサポート−プラットホームの30ないし90重量%、例えば、約35ないし40%を構成する。可塑剤はサポート−プラットホームの少なくとも2重量%、例えば、約15ないし20%を構成する。結合物質、親水性物質および疎水性物質は、典型的には、合計でサポート−プラットホームの約50重量%、例えば、約40ないし50%を構成する。
【0060】
本発明の錠剤処方は、マトリックスを形成するために、ワックスまたは同様の水不溶性物質を含有してもよい。かかる錠剤は薬物および希釈材料を粒子形のワックス性材料と乾燥ブレンドすることで形成することができる。適当なワックス性材料の一例が、セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミトイルアルコール、オレイルアルコールおよびカルナバワックスである。ついで、得られたブレンドを一般的な打錠技法を用いて錠剤に圧縮する。これらの錠剤を製造する別の方法が、その薬物を適当な揮発性顆粒化流体(水、エタノール、イソプロパノール)を含む希釈材料を用いて顆粒化し、その顆粒を乾燥させ、ついで、それを溶融ワックス性材料で被覆することである。ついで、得られた顆粒を一般的な打錠技法を用いて錠剤に圧縮する。
【0061】
顆粒をベースとする錠剤はまた、メタクリラートをベースとする放出制御物質(オイドラギット−登録商標)の一の溶液または懸濁液を、薬物と一般的な希釈物質の一つとを混合したブレンド上に噴霧することにより製造することもできる。適当なオイドラギットの一例がNE30D、L、Sである。ついで、該方法にて形成した顆粒を乾燥させ、一般的な錠剤形成技法を用いて圧縮する。
【0062】
本発明の錠剤処方は、その全体がまたは部分がコーティング層により被覆されていもよく、その層は水分の流入または錠剤に対する損傷を防止する保護層であってもよい。保護層それ自体が活性物質を含有し、例えば、水または水性媒体と接触して直ちに崩壊する即時放出性層であってもよい。保護層のための好ましい材料は、例えばWO95/28927(スミスクライン・ビーチャム)に記載されるような、不透明物質としての二酸化チタンを含むヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールである。
活性物質等と同様に、本発明の錠剤はまた、pHバッファーなどのpH調節物質を含んでいてもよい。適当なバッファーはリン酸水素カルシウムである。
【0063】
保護層は、あるとすれば、典型的には湿式顆粒技法により、あるいはローラー圧縮などの乾式顆粒技法により製造することができる。典型的には、保護層の材料、例えば、メトセル(登録商標)をエトセル(Ethocel)またはポリビドン(Polyvidon)K−30(登録商標)などの顆粒酸(granulation acid)を含有するエタノール等の溶媒に懸濁させ、つづいて混合し、シーブに付して顆粒化する。典型的には、第一の層を形成し、ついでバリア層をその上に、例えば、圧縮、スプレーまたは浸漬技法によりデポジットし、ついで、第二の層をそのバリア層が第一および第二の層にサンドイッチされるように形成してもよい。加えて、あるいは別法として、第一および第二の層を形成し、ついで例えば、錠剤の一またはそれ以上の端面に圧縮、噴霧または浸漬することによりバリア層を形成してもよい。
【0064】
本発明のチュアブル錠は、典型的には、例えば、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、フルクトース、ラクトース、キシリトール、マルチトール、シュークロースまたはガラクトースあるいはその組み合わせから選択されるチュアブル基剤を含む。チュアブル錠はまた、さらなる賦形剤、例えば、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤および矯味矯臭剤を含んでもよい。かかるさらなる賦形剤は合計で錠剤の好ましくは3ないし10重量%、より好ましくは4ないし8重量%、さらにより好ましくは4ないし7重量%を構成するであろう。崩壊剤は錠剤の1ないし4重量%、好ましくは1ないし3重量%、より好ましくは1ないし2重量%にて存在しうる。代表的な崩壊剤として、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウム、トウモロコシ澱粉および米澱粉などの澱粉、クロスカルメロースナトリウムおよび微結晶セルロース、微細セルロース、低級置換ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース製品が挙げられ、単独であるいは混合物にて使用される。好ましくは、崩壊剤はクロスポビドンである。滑沢剤は錠剤の0.25ないし2.0重量%、好ましくは0.5ないし1.2重量%にて存在しうる。好ましい滑沢剤はステアリン酸マグネシウムを包含する。好ましくは、甘味料はナトリウムサッカリンまたはアスパルテームなどの人工甘味料、好ましくはアスパルテームであり、錠剤の0.5ないし1.5重量%にて存在しうる。好ましくは、本発明の錠剤は実質的に糖(シュークロース)不含である。好ましい矯味矯臭剤は果実フレーバーを包含し、それは天然であっても合成であってもよく、例えば、ペパーミント、チェリーおよびバナナまたはそれらの混合物とすることができる。
【0065】
本発明の単回用量のサッシェは、薬物に加えて、甘味剤、例えばアスパルテーム、矯味矯臭剤、例えば果実フレーバー、所望によりキサンタンガムなどの懸濁化剤、ならびに乾燥剤として作用するシリカゲルなどの、サッシェ処方にて典型的に含まれる賦形剤を含む。
本発明のカプセルは、薬物に加えて、カプセルに典型的に含まれる賦形剤、例えば、澱粉、ラクトース、微結晶セルロース、エチルセルロース、ステアリン酸マグネシウムを含む。好ましくは、カプセルは、HPMCまたはゼラチン/PEGの組み合わせなどの材料から調製される。カプセルはビーズまたは顆粒を含有することが好ましい。これらのビーズまたは顆粒は薬物を5%と95%の間、好ましくは20ないし80%、最も好ましくは50ないし80%の濃度にて含む。薬物を微結晶セルロース、ラクトースなどの適当な顆粒化助剤と混合し、水、エタノールおよび/またはイソプロパノールなどの適当な顆粒化流体を用いて顆粒化する。その湿式顆粒を0.5mmないし3mm径の小穴を無理して通し、ついで急速回転盤を用いて別個の球形の粒子とする。ついで、その球形粒子を乾燥させ、例えば、エチルセルロース、pH感受性または非感受性メタクリル酸コポリマーおよびそれらの誘導体を含有する放出制御フィルムコートで被覆する。その被覆された粒子を適当なカプセル殻に充填する。
【0066】
好ましくは、本発明の単位剤形は、当該分野にて一般的である、環境中の水分の流入を阻害する容器、例えば、ブリスター、気密式のボトル、乾燥させたポーチパックなどに包装される。好ましいボトルはHPDEボトルを包含する。
【0067】
ラモトリギンまたはその他の適当な誘導体を組み入れるのに適する他の徐放性処方が、以下の文献に記載されている:
Sustained Release Medications、Chemical Technology Review No.177、J.C. Johnson編 Noyes Data Corporation 1980;
Controlled Drug Delivery、Fundamentals and Applications、第二版、J.R. Robinson編、V.H.L. Lee. Mercel Dekkes Inc. New York 1987。
ラモトリギンまたはその他の適当な誘導体を組み入れるのに適する遅延放出性処方の例が、以下の文献に記載されている:
Remington's Pharmaceutical Sciences 第16版、Mack Publishing Company 1980、A. Osol編。
【0068】
本発明のさらなる態様は、カルバマゼピン、バルプロン酸、ガバペンチン、ジアゼパン、フェニトイン、ブプロピオンまたは塩酸パロキセチンから選択される第二の活性成分を付加的に含有する本発明の徐放性処方である。
ラモトリギンおよび第二の活性成分は共に徐放性の形式にて投与されることが好ましい。別法として、該処方は2相、すなわち、ラモトリギンを含む一の徐放性相と、第二の活性成分を含む別の即時放出性相を含有する。
【0069】
本発明のさらなる態様は、図3、4または5に示す溶解プロファイルと実質的に同様のインビトロ溶解プロファイルを有するラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方である。
本発明はまた、吸収速度および程度において、例えば米国食品医薬品局により定義され、いわゆる「オレンジ・ブック」(Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence Evaluations, US Dept of Health and Human Services, 19th edn, 1999)にて示されるような、本発明の錠剤または処方に生物学的に同等な処方にまで及ぶ。
本明細書に引用されている特許および特許出願を含め(これに限定されない)、すべての刊行物および文献を出典を明示することで本明細書の一部とする。本願において優先権を主張するいずれの特許出願も上記した刊行物および文献と同様に出典を明示することで本明細書の一部とする。
【実施例】
【0070】
実施例1−マトリックス処方
実施例1a)35%ポリマーのマトリックス処方
(ポリマーはメトセルE4MP CR、メトセルK100LVまたはポリオックスWSR N−80のいずれかである)
【表1】

【0071】
バルク製法
まず、成分をバルク容器から以下の量にて秤量する:
成分 量(g)
ラモトリギン 450.0
ラクトース(ファースト−フロ) 105.0
微結晶セルロース 414.0
ポリマー 525.0
ステアリン酸マグネシウム 6.0
【0072】
ついで、成分を20メッシュ(850μm)または同等のシーブおよびメッシュを備えたラッセル(Russel)−SIVを用いて篩にかけ、ステンレス−スチール製の混合容器に入れた。
ラモトリギン、ラクトース、微結晶セルロースおよびポリマーを、Matcon−Bulsビン−型ブレンダー、V型ブレンダーまたはその同等なブレンダーなどの適当なブレンダーを用いて15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを該混合物に加え、約2分間ブレンドを続けた。
その滑沢剤を加えたブレンドを適当なロータリー式打錠プレス、典型的にはFette 2090または同等な装置を用いて圧縮した。処理中の錠剤の重量および硬度についての調節を圧縮工程を通して適当な間隔で行い、錠剤圧への調整を必要に応じて行った。
【0073】
実施例1b)25%ポリマーのマトリックス錠
(ポリマーはメトセルE4MP CR、メトセルK100LVまたはポリオックスWSR N−80のいずれかである)
【表2】

【0074】
バルク製法
まず、成分をバルク容器から以下の量にて秤量する:
成分 量(g)
ラモトリギン 450.0
ラクトース(ファースト−フロ) 255.0
微結晶セルロース 414.0
ポリマー 375.0
ステアリン酸マグネシウム 6.0
【0075】
ついで、成分を20メッシュ(850μm)または同等のシーブおよびメッシュを備えたラッセル−SIVを用いて篩にかけ、ステンレス−スチール製の混合容器に入れた。
ラモトリギン、ラクトース、微結晶セルロースおよびポリマーを、Matcon−Bulsビン−型ブレンダー、V型ブレンダーまたはその同等なブレンダーなどの適当なブレンダーを用いて15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを該混合物に加え、約2分間ブレンドを続けた。
その滑沢剤を加えたブレンドを適当なロータリー式打錠プレス、典型的にはFette 2090または同等な装置を用いて圧縮した。処理中の錠剤の重量および硬度についての調節を圧縮工程を通して適当な間隔で行い、錠剤圧への調整を必要に応じて行った。
【0076】
実施例1c)15%ポリマーのマトリックス錠
(ポリマーはメトセルE4MP CR、メトセルK100LVまたはポリオックスWSR N−80のいずれかである)
【表3】

【0077】
バルク製法
まず、成分をバルク容器から以下の量にて秤量する:
成分 量(g)
ラモトリギン 450.0
ラクトース(ファースト−フロ) 105.0
微結晶セルロース 714.0
ポリマー 225.0
ステアリン酸マグネシウム 6.0
【0078】
ついで、成分を20メッシュ(850μm)または同等のシーブおよびメッシュを備えたラッセル−SIVを用いて篩にかけ、ステンレス−スチール製の混合容器に入れた。
ラモトリギン、ラクトース、微結晶セルロースおよびポリマーを、Matcon−Bulsビン−型ブレンダー、V型ブレンダーまたはその同等なブレンダーなどの適当なブレンダーを用いて15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを該混合物に加え、約2分間ブレンドを続けた。
その滑沢剤を加えたブレンドを適当なロータリー式打錠プレス、典型的にはFette 2090または同等な装置を用いて圧縮した。処理中の錠剤の重量および硬度についての調節を圧縮工程を通して適当な間隔で行い、錠剤圧への調整を必要に応じて行った。
【0079】
実施例2a:マトリックス処方
【表4】

* qs=標的とする錠剤の重量を得るための質量平衡
上記の表において、「遅い」は90%のラモトリギンがインビトロにて16時間で溶解し、「速い」は90%のラモトリギンが6時間で溶解した錠剤を示す。
【0080】
実施例2b:マトリックス処方
【表5】

上記の表において、「遅い」は90%のラモトリギンがインビトロにて16時間で溶解し、「中間」は90%のラモトリギンが12時間で溶解し、「速い」は90%のラモトリギンが6時間で溶解した錠剤を示す。
【0081】
実施例2に記載の処方を以下の流れ図の記載に従って調製した。
製造工程の流れ図
【表6】

【0082】
実施例3:フィルムコーティング処方
【表7】

【0083】
バルク製法
まず、成分をバルク容器から以下の量にて秤量する:
成分 量(kg)
ラモトリギン 4.5
微結晶セルロース 10.35
ステアリン酸マグネシウム 0.15
【0084】
ついで、成分を12メッシュ(850μm)または同等のシーブおよびメッシュを備えたラッセル−SIVを用いて篩にかけ、ステンレス−スチール製の混合容器に入れる。
ラモトリギンおよび微結晶セルロースを、Matcon−Bulsビン−型ブレンダー、V型ブレンダーまたはその同等なブレンダーなどの適当なブレンダーを用いて15分間ブレンドする。ついで、ステアリン酸マグネシウムを該混合物に加え、約2分間ブレンドを続ける。
その滑沢剤を加えたブレンドを適当なロータリー式打錠プレス、典型的にはFette 2090または同等な装置を用いて圧縮する。処理中の錠剤の重量および硬度についての調節を圧縮工程を通して適当な間隔で行い、錠剤圧への調整を必要に応じて行う。
【0085】
ついで、該錠剤をオーハラ・ラボコートII(O'Hara LabCoat II)または同等なコーティング装置を用いてフィルムコーティングする。錠剤に、スリリースおよびオパドライの溶液(50/50の比(溶液A)または80/20の比(溶液B))のいずれかを噴霧する。コーティング水溶液AおよびBを以下に記載する。錠剤を理論上5%の重量増まで被覆した。
【0086】
コーティング溶液A
162.5グラムのスリリース(E7−19060)および162.5グラムのオパドライ(YS−2−7013)を秤量し、適当なステンレススチール製混合タンクに入れる。2437.5グラムの水を加える。均一になるまで混合する。塗布の間は連続して攪拌する。
【0087】
コーティング溶液B
260.00グラムのスリリース(E7−19060)および65.00グラムのオパドライ(YS−2−7013)を秤量し、適当なステンレススチール製混合タンクに入れる。1061.67グラムの水を加える。均一になるまで混合する。塗布の間は連続して攪拌する。
【0088】
実施例4:ジッフコア錠
ジッフコア錠(25mg)用の詳細な処方
【表8】

「速い」は12時間の放出期間を示し、「遅い」は15時間の放出期間を示す。
【0089】
ジッフコア錠(200mg)の処方例
【表9】

錠剤のコアは実施例2の記載にしたがって調製し、その後に被覆した。
【0090】
コーティング
標準的なコーティング装置、例えば、ベクター(Vector)(登録商標)装置(Vectorより購入)または同等なコーティング装置を用いて錠剤をフィルムコートした。以下に記載するようにオイドラギットの10%w/w水溶液で錠剤にスプレーした。理論上5%の重量増まで錠剤を被覆した。
【0091】
10%のコーティング溶液の調製例
パートA
350mlのオイドラギットL30 D55の30%溶液を150mlの水で希釈した。11gのクエン酸トリエチルを添加し、該溶液を徹底的に混合した。
パートB
440gの精製水を分離容器に加え、約60℃に加熱した。カリシュ混合物用の適当なミキサー(高剪断)を用いて、0.13gのポリソルベート80NFおよび3.0gのモノステアリン酸グリセリルNFを溶液の中に配合した。4.0gの酸化鉄を添加し、高速で15分間ホモジネートした。
パートAおよびパートBを合し、最終の重量を精製水で1000gに調整して混合した。
【0092】
ドリル操作
標準的なドリルプレスを用いて錠剤に機械的に穴を開けた。錠剤を錠剤ホルダーに置き、フィルムコートがドリルで穴を開けた表面から外れるまで注意してドリルの操作を行い、ついで錠剤をひっくり返し、つづいて反対面にドリルで穴を開けた。操作終了後、ドリルで穴を開けた錠剤を重量喪失(オリフィスの深さ)、オリフィスのエッジの質および全体としての外観について検査した。
【0093】
【表10】

【0094】
実施例5;
ヒトにおけるラモトリギン徐放性処方を調査するための薬物動態実験
ラモトリギン徐放性処方のインビボ特性を最初に健康なボランティアの薬物動態実験にて評価した。該実験は、2つの用量(例えば、25mg(顆粒強度1)および200mg(顆粒強度2))および各用量での3種の異なる徐放性速度からなる不完全な遮断設計のものであった(対照としてIR処方を用いた)。各ボランティアは可能性として7本の処方のうち4つに参加した。各処方について、ラモトリギンの血清中濃度を測定するための一定期間にわたって各ボランティアから血液サンプルを集め、つづいてラモトリギンの薬物動態パラメーターを集めた。各処方の安全性および耐性も評価した。
【0095】
実施例6;
ヒトにおけるラモトリギン徐放性処方を調査するための薬物動態実験
実施例2に記載の処方を実施例5に記載のヒトボランティア実験にて調査した。25mgおよび200mgの「遅い」、「中間」および「速い」処方をヒトボランティアに服用させ、平均0−36時間のPKプロファイルを得、それを図5に示す。実施例2に記載の錠剤の異なる放出速度により異なるPKプロファイルが得られた:異なる速度についてのAUC値はIR錠に匹敵し、Cmaxは約30%にまで減少した。
本発明のさらなる態様は実施例1ないし4のいずれかに記載されている医薬処方である。
【0096】
【表11】

【表12】

【0097】
この記載および特許請求の範囲を形成する出願は後のいずれの出願についても優先権の基礎として用いることができる。かかる後の出願の特許請求の範囲は本明細書に記載の特徴または特徴の組み合わせに関するものであってもよい。当該特許請求の範囲は生成物、組成物、方法または使用クレームの形態とすることができ、単なる例示であって添付した特許請求の範囲を何ら限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む、CNS障害の治療方法。
【請求項2】
ラモトリギンまたは医薬上許容される誘導体が1ないし500mgの範囲にて投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
実質的にすべてのラモトリギンまたは医薬上許容される誘導体が患者への投与後2ないし20時間の期間にて処方より放出される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
投与を一日1回行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
有害事象のプロファイルの減少が得られる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
CNS障害がてんかん;痛み;浮腫;多発性硬化症または統合失調症から選択される、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
CNS障害が精神適応症である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
精神適応症が双極性障害である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の投与に伴う少なくとも一つの有害事象の発生を減少させる方法であって、治療的に有効な量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を徐放性処方の形態にて患者に経口投与することを含む、方法。
【請求項10】
ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方。
【請求項11】
実質的にすべてのラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体が患者への投与後2ないし20時間にて処方より放出される、請求項10記載の徐放性処方。
【請求項12】
ラモトリギンの40ないし65%が3ないし8時間にて溶解するインビトロ溶解プロファイルを有する、請求項10または11記載の徐放性処方。
【請求項13】
図3、4または5のいずれか一つに記載されているインビトロ溶解プロファイルまたは実質的にそれらと同様のインビトロ溶解プロファイルを有する、請求項10ないし12のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項14】
曲線下面積値が図3、4または5のいずれか一つに記載の値に対して80%と125%の間にある、インビトロ溶解プロファイルを有する、請求項10ないし13のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項15】
ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の放出には少なくとも2つの相があって、その第一相の放出速度が第二相の放出速度と異なる、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の徐放性処方。
【請求項16】
図6に示されるインビトロ溶解プロファイルまたはそれと実質的に同様のインビトロ溶解プロファイルを有する、請求項10ないし12および15のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項17】
曲線下面積値が図6に記載の値に対して80%と125%の間にある、インビトロ溶解プロファイルを有する、請求項10ないし12および15のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項18】
処方が、機能性コーティング錠またはカプレット、またはワックスまたはポリマー含有の持続放出性錠またはカプレットマトリックス、または浸透圧ポンプ装置あるいはそれらの組み合わせである、請求項10記載の徐放性処方。
【請求項19】
マトリックス錠である、請求項18記載の徐放性処方。
【請求項20】
a)2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される塩;
b)10ないし70重量%の放出遅延性ポリマー;
c)0ないし70重量%の希釈剤;
d)0ないし20重量%の圧縮助剤;および
e)0.1ないし2.5重量%の滑沢剤
を含む、請求項18または19記載の徐放性処方。
【請求項21】
a)8.3ないし50重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし66.3重量%のメタセルE4MP CR等級、ポリオックス WSRN−80またはメトセルK100LVあるいはそれらの混合物;
c)25ないし60重量%のラクトース;および
d)0.1ないし0.4重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項18ないし20のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項22】
ヒトに投与すると、同量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含有する即時放出性錠の80ないし125%のAUC値を生成し、Cmaxが当該即時放出性錠よりも約30%小さい、請求項10ないし14、18ないし21のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項23】
ジッフコア錠である、請求項18記載の徐放性処方。
【請求項24】
1)ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含有するコア;
2)該コアを覆う外部コーティングであって、その外部コーティングの厚みが環境流体の流入に対して実質的に不浸透性であり、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の流出に対して実質的に不浸透性であるところの、外部コーティング;
3)該外部コーティングに含まれ、該コーティングの外側から実質的に完全に該コーティングを介して伸びるが、該コアを貫通せず、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体をコアから環境流体に放出させる1個またはそれ以上のオリフィスであって、該処方の表面積の約10ないし約60%の面積または総面積を有し、ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の放出が実質的に該オリフィスを介して生じるところのオリフィス;
を含む、請求項10ないし12、16ないし18または23にいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項25】
ラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の放出が1またはそれ以上の溶解、拡散、浸透または侵食を介するものである、請求項23記載の徐放性処方。
【請求項26】
コアがさらに放出遅延性成分を含む、請求項24または25のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項27】
外部コートが投与後0.3ないし5時間までに溶解しうるか、または回りのpHが5を越えると溶解しうる、請求項24ないし26のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項28】
処方が
a)2.5ないし80重量%のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体;
b)17.5ないし70重量%の放出遅延性ポリマー;
c)0ないし60重量%の希釈剤;
d)0ないし20重量%の圧縮助剤;および
e)0.1ないし2.5重量%の滑沢剤を含むコアと、
f)0.05mmないし0.30mmのポリマーを含む外部コートとを含む、請求項24ないし27のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項29】
ヒトに投与すると、同量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を含有する即時放出性錠の80ないし125%の範囲外にあるAUC値を生成し、Cmaxが当該即時放出性錠よりも約30%小さい、請求項24ないし28のいずれか一項に記載の徐放性処方。
【請求項30】
患者に徐放性処方のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を投与すると、同量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の80ないし125%の曲線下面積の値を生成し、Cmaxが当該即時放出性錠よりも約30%小さい、血清濃度を得る方法。
【請求項31】
患者に徐放性処方のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体を投与すると、同量のラモトリギンまたはその医薬上許容される誘導体の80ないし125%の範囲外の曲線下面積の値を生成し、Cmaxが当該即時放出性錠よりも約30%小さい、血清濃度を得る方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1a】
image rotate

【図3−1b】
image rotate

【図3−1c】
image rotate

【図3−2c】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−57683(P2011−57683A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−232745(P2010−232745)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2004−525362(P2004−525362)の分割
【原出願日】平成15年7月28日(2003.7.28)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】