説明

ランキンサイクル装置

【課題】潤滑油で潤滑される膨張機及びポンプを備えたランキンサイクル装置において、膨張機及びポンプで作動流体に混入した潤滑油を分離回収し、この潤滑油を膨張機及びポンプの各々に適量ずつ供給できるようにする。
【解決手段】作動流体を圧送する圧送ポンプ2、加熱器(再生熱交換器16,蒸発器5)、膨張機1、及び凝縮器6を流路で順次接続して成る作動流体循環回路20と、膨張機1及び圧送ポンプ2にて作動流体に混入した潤滑油を作動流体から分離するオイル分離器11と、潤滑油を貯留する一つのオイル貯留タンク12と、オイル貯留タンク12から膨張機1へ潤滑油を供給する第一潤滑油供給路31と、オイル貯留タンク12から圧送ポンプ2へ潤滑油を供給する第二潤滑油供給路32とを、ランキンサイクル装置10に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油で潤滑される膨張機及びポンプを備えたランキンサイクル装置において、作動流体に混入した潤滑油を分離回収して、この潤滑油を膨張機及びポンプに供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧送ポンプ、蒸発器、膨張機、及び凝縮器を順に流路で接続して成る作動流体循環回路を設けて、廃熱等の熱源からエネルギーを回収するランキンサイクル装置が知られている。一般に、ランキンサイクル装置に具備される流体機械のうち軸受などの機械的摺動部を有するものは膨張機と圧送ポンプであり、これらの機械的摺動部は潤滑油で潤滑されている。ところが、膨張機や圧送ポンプを潤滑している潤滑油は、これらを通過する作動流体に微量ずつ混入して流出してしまい、この結果、膨張機や圧送ポンプでは潤滑油量不足に起因する効率低下や焼き付きが生じる。そこで、特許文献1では、作動流体から潤滑油を分離して膨張機に戻す技術が提案され、また、特許文献2では、作動流体から潤滑油を分離して膨張機及び圧送ポンプへ戻す技術が提案されている。
【0003】
図8に示すように、特許文献1に記載されたランキンサイクル装置100は、蒸発器5、膨張機1、凝縮器6、及び圧送ポンプ2を含む作動流体循環回路20と、膨張機1を潤滑する潤滑油が循環するオイル通路95と、オイル通路95に設けられて潤滑油から作動流体である水を分離する水分離手段96と、圧送ポンプ2と凝縮器6との間に配置された気液分離器98から分岐して凝縮器6を迂回するバイパス通路93と、該バイパス通路93に設けられて作動流体から潤滑油を分離するオイル分離手段94とが備えられている。このランキンサイクル装置100では、水分離手段96にてオイル通路95を循環している潤滑油から作動流体が分離されて作動流体循環回路20に戻され、オイル分離手段94にて作動流体循環回路20を循環している作動流体から潤滑油が分離されて膨張機1に戻される。
【0004】
また、図9に示すように、特許文献2に記載されたランキンサイクル装置101は、作動流体循環回路20において膨張機1の出口側と圧送ポンプ2の入口側とを連通させるオイル供給通路91を設け、該オイル供給通路91に設けられた貯油室92で気相作動流体より分離した潤滑油を、膨張機1出口側の背圧と、圧送ポンプ2入口側の背圧との圧力差を利用して圧送ポンプ2に供給するものである。前記膨張機1と前記圧送ポンプ2とは一体型とされ、圧送ポンプ2に供給された潤滑油は、膨張機1の軸受を経由して圧送ポンプ2の軸受まで至り、膨張機1と圧送ポンプ2の双方の機械的摺動部を潤滑するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−97222号公報
【特許文献2】特開2006−329182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10は一般的な流体機械の回転数に対する最適潤滑油流量(潤滑油の供給量)の関係を示している。図10に示されるように、流体機械が最適な潤滑状態を示す潤滑油流量は回転数により決定され、回転数が増加するにつれ最適潤滑油流量も増加する。潤滑油量が不足すれば、流体機械の機械損失の発生や耐久性の低下を招く。一方、潤滑油量が過剰であれば、膨張機での回収動力の低減や、圧送ポンプの駆動力の増加を招き、さらには作動流体の潤滑油含有量の増大に繋がる。作動流体の潤滑油含有量が増大すると、熱交換器(蒸発器及び凝縮器)では、熱交換効率が低下したり、潤滑油の加熱又は冷却のためのエネルギーロスが生じたりしてランキンサイクル装置の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。以上を鑑みれば、回転数が相互に異なる膨張機と圧送ポンプとを、ともに最適な潤滑状態で動作させるためには、膨張機と圧送ポンプとに対して適量の潤滑油を個別に供給する必要がある。
【0006】
上記特許文献1に記載のランキンサイクル装置100は、膨張機1を潤滑できるが、圧送ポンプ2を潤滑することについては、言及されていない。つまり、ランキンサイクル装置に具備される膨張機1の機械的摺動部と圧送ポンプ2の機械的摺動部のうち、双方の機械的摺動部を潤滑する技術については言及されていないのである。
【0007】
また、上記特許文献2に記載のランキンサイクル装置101では、膨張機1と圧送ポンプ2の双方の機械的摺動部に潤滑油が供給されるが、これらへの潤滑油供給経路は一筋の経路で構成されている。つまり、潤滑油が一つの経路を通じて膨張機1及び圧送ポンプ2に供給されるため、これらに供給される潤滑油量は同一になり、各機械的摺動部に対して個別に最適な潤滑油量を供給できない。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、ランキンサイクル装置において、膨張機と圧送ポンプの各流体機械に含まれる機械的摺動部に対して、個別に最適な量の潤滑油を供給するための技術を提供する。これにより、ランキンサイクル装置に具備される各流体機械の高効率化及び耐久性の向上を図り、もって、ランキンサイクル装置の高効率化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るランキンサイクル装置は、作動流体を圧送する圧送ポンプ、前記圧送ポンプより圧送された作動流体を加熱する加熱器、前記圧送ポンプ及び前記加熱器で昇圧、昇温された作動流体を膨張させてその動力を取り出す膨張機、並びに前記膨張機で降温及び降圧した作動流体を冷却する凝縮器を流路で順次接続して成る作動流体循環回路と、前記膨張機及び前記圧送ポンプにて作動流体に混入した潤滑油を前記作動流体から分離するオイル分離器と、前記オイル分離器で分離された潤滑油を貯留するオイル貯留タンクと、前記オイル貯留タンクから前記膨張機へ潤滑油を供給する第一潤滑油供給路と、前記オイル貯留タンクから前記圧送ポンプへ潤滑油を供給する第二潤滑油供給路とを、備えているものである。
【0010】
また、本発明は、前記ランキンサイクル装置において、前記第一潤滑油供給路及び前記第二潤滑油供給路に、潤滑油の流量を調整する流量調整装置を備えているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
本発明のランキンサイクル装置によれば、膨張機及び圧送ポンプに対し各々に最適な量の潤滑油を供給可能となる。膨張機及び圧送ポンプの各流体機械に対して最適な量の潤滑油が供給されることにより、各流体機械の機械損失の低減を図ることができる。また、潤滑油は不足や偏りなく一つのオイル貯留タンクに貯留されるので管理が容易となり、膨張機と圧送ポンプとに潤滑油が安定供給されることにより、装置の信頼性向上を図ることができる。また、作動流体に混入する潤滑油量を必要最低限とできるので、蒸発器や凝縮器等の熱交換器の性能低下を防止して、サイクルの高効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【実施の形態1】
【0014】
本発明の実施の形態1について説明する。図1は実施の形態1に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、実施の形態1に係るランキンサイクル装置10は、作動流体が循環する作動流体循環回路20と、オイル分離供給機構30とを備えている。なお、本実施の形態に係るランキンサイクル装置10では、作動流体として二酸化炭素又は水の自然冷媒が使用されている。以下、作動流体循環回路20とオイル分離供給機構30とに分けて、その構造を説明する。
【0016】
[作動流体循環回路20]
まず、作動流体循環回路20の構成について説明する。作動流体循環回路20は、圧送ポンプ2、再生熱交換器16、蒸発器5、膨張機1、及び凝縮器6が流路21,22,23,24,25,26で順次接続されて構成されている。作動流体循環回路20の高圧側において再生熱交換器16と蒸発器5との間には、オイル分離供給機構30に具備され作動流体から潤滑油を分離除去するオイル分離器11が設けられている。従って、より詳細には、圧送ポンプ2と再生熱交換器16は流路21で接続され、再生熱交換器16とオイル分離器11は流路22で接続され、オイル分離器11と蒸発器5は流路23で接続され、蒸発器5と膨張機1は流路24で接続され、膨張機1と凝縮器6は流路25で接続され、さらに、凝縮器6と圧送ポンプ2は流路26で接続されて、作動流体が循環する作動流体循環回路20が構成されている。
【0017】
圧送ポンプ2はランキンサイクルの圧力上昇部であり、制御装置50により駆動が制御されているモータ14に回転駆動されて、作動流体を再生熱交換器16へ圧送する。なお、制御装置50は、プログラマブルロジックコントローラ又はコンピュータであって、予め設定されたプログラムに則ってモータ14及び後述する発電機4の動作を制御するように構成されている。
【0018】
再生熱交換器16はランキンサイクルの第一の加熱部(加熱器)であり、圧送ポンプ2の出口から膨張機1の入口までの作動流体と、膨張機1の出口から凝縮器6の入口までの作動流体とを熱交換させることにより、圧送ポンプ2より吐出された作動流体を加熱し、膨張機1より吐出された作動流体を冷却する。膨張機1の出口と凝縮器6の入口とを接続している流路25は、その途中に再生熱交換器16を経由する熱交換流路28が含まれている。膨張機1から流路25に吐出された作動流体は熱交換流路28に流入し、該熱交換流路28を通じるうちに再生熱交換器16において圧送ポンプ2から吐出された作動流体と熱交換し、さらに、流路25に戻って凝縮器6へ流入する。
【0019】
蒸発器5はランキンサイクルの第二の加熱部(加熱器)であり、再生熱交換器16にて加熱された作動流体を、高温熱源と熱交換することにより更に加熱して高温及び高圧とする。このように、ランキンサイクル装置10には、再生熱交換器16と蒸発器5との二つの加熱器が備えられて、作動流体は段階的に加熱される。
【0020】
膨張機1はランキンサイクルの出力取出部であり、高温及び高圧となった作動流体を膨張して、その熱及び圧力を機械エネルギーに変換する。膨張機1で取り出された機械エネルギーは、膨張機1と動力取出軸で接続されている発電機4で電気エネルギーに変換される。発電機4で取り出される電気エネルギーは、制御装置50により制御されている。
【0021】
凝縮器6はランキンサイクルの冷却部であり、膨張機1で降温及び降圧され、再生熱交換器16で冷却された作動流体を、低温熱源と熱交換することにより更に冷却する。
【0022】
次に、上記構成の作動流体循環回路20の作動流体の流れを説明する。圧送ポンプ2で加圧された作動流体は、再生熱交換器16を通じて加熱されたのち、オイル分離器11を通じて潤滑油含有量が低減され、更に、蒸発器5を通じて加熱されて高温となる。高温及び高圧となった作動流体は、膨張機1を通じて膨張するうちにその膨張エネルギーが動力として回収されて低温及び低圧となる。低温及び低圧となった作動流体は、再生熱交換器16を通じて冷却され、さらに、凝縮器6を通じて冷却されて圧送ポンプ2に戻る。
【0023】
[オイル分離供給機構30]
続いて、オイル分離供給機構30の構成について説明する。オイル分離供給機構30は、ランキンサイクルの高圧側において再生熱交換器16の出口と蒸発器5の入口との間に配置されたオイル分離器11と、オイル分離器11で分離回収された潤滑油を貯留するオイル貯留タンク12と、ランキンサイクル装置10に具備される流体機械1,2の機械的摺動部に潤滑油を供給する潤滑油供給路31,32とを、備えている。
【0024】
なお、ランキンサイクル装置10に具備される流体機械は、膨張機1と圧送ポンプ2であり、また、機械的摺動部とは、軸受やピストン等の潤滑油で潤滑されている部分である。本実施の形態に係るランキンサイクル装置10では、潤滑油としてPAG(ポリアルキレングリコール)が使用されている。潤滑油は機械的摺動部の微少隙間よりサイクル内に流出し、作動流体が膨張機1又は圧送ポンプ2を通過するうちに該作動流体に潤滑油が混入する。
【0025】
オイル分離器11は、潤滑油が混入した作動流体から潤滑油を分離し、潤滑油が分離除去された作動流体を作動流体循環回路20へ戻し、作動流体から分離された潤滑油を回収してオイル貯留タンク12へ貯留する。
【0026】
オイル分離器11として、作動流体と潤滑油との密度差を利用してこれらを分離する遠心分離式のオイル分離器が用いられている。遠心分離式のオイル分離器は、潤滑油が混入した作動流体を容器内で旋回運動させて油滴を遠心力で分離するものであり、分離された潤滑油はオイル分離器11の容器の下部に回収され、潤滑油が分離された作動流体は容器の上部から流出する。
【0027】
オイル貯留タンク12には、膨張機1の機械的摺動部へ潤滑油を供給する第一潤滑油供給路31と、圧送ポンプ2の機械的摺動部へ潤滑油を供給する第二潤滑油供給路32とが設けられている。膨張機1の機械的摺動部に対する最適な潤滑油流量と、圧送ポンプ2の機械的摺動部に対する最適な潤滑油流量とは、実験的又は理論的に予め求められており、これらの潤滑油流量に応じて、第一潤滑油供給路31と第二潤滑油供給路32との流路面積がそれぞれ個別に定められている。ここで、「最適な潤滑油流量」とは、その流体機械が最適に動作するために機械的摺動部に対して過不足なく供給される潤滑油量をいう。ランキンサイクル装置10においては、通常、圧送ポンプ2よりも膨張機1の方が回転数が高いため最適な潤滑油流量も多く(図10参照)、従って、第二潤滑油供給路32よりも第一潤滑油供給路31の方が流路面積は大きいこととなる。
【0028】
次に、オイル分離供給機構30の潤滑油の流れを説明する。オイル分離器11で作動流体から分離回収された潤滑油は、オイル貯留タンク12に貯留される。オイル貯留タンク12に貯留された潤滑油は、第一潤滑油供給路31を通じて膨張機1の機械的摺動部へ供給され、第二潤滑油供給路32を通じて圧送ポンプ2の機械的摺動部へ供給される。このように流体機械1,2の機械的摺動部に供給された潤滑油は、当該機械的摺動部の微少隙間よりサイクル内に流出して作動流体と混合することになるが、再びオイル分離器11で分離回収されて機械的摺動部に供給される。このように潤滑油は循環しているので、ランキンサイクル装置10の流体機械1,2の機械的摺動部への潤滑油の補充作業は不要である。
【0029】
以下、上記の通り構成されるランキンサイクル装置10の特徴を説明する。
【0030】
上記ランキンサイクル装置10では、オイル分離器11は、ランキンサイクルの高圧側に配置されている。つまり、オイル分離器11は、作動流体循環回路20の圧送ポンプ2の出口から膨張機1の入口までの間に配置されている。これにより、オイル分離器11にて作動流体から分離された潤滑油は高圧であり、オイル貯留タンク12内も高圧となる。よって、オイル貯留タンク12や潤滑油供給路31,32にポンプ等の圧送手段を設けなくとも、オイル貯留タンク12の潤滑油が潤滑油供給路31,32を流れて各機械的摺動部へ供給される。従って、オイル分離供給機構の構成は簡易なものとなり、また、コスト削減にも寄与することができる。
【0031】
また、上記ランキンサイクル装置10では、オイル分離器11は再生熱交換器16の出口と蒸発器5の入口との間に配置されている。つまり、ランキンサイクル装置10は二つの加熱器(再生熱交換器16と蒸発器5)を備え、これらの加熱器の間にオイル分離器11が配置されている。かかる構成により、作動流体は、蒸発器5に流入する前で潤滑油含有量が低減されるので、蒸発器5での熱交換性能の低下を防止することができる。また、作動流体は、再生熱交換器16で加熱されて作動流体と潤滑油との密度差がより大きい状態でオイル分離器11に流入するので、作動流体と潤滑油とがより高精度に分離される。なお、潤滑油と比較して作動流体は温度上昇に伴う密度減少割合が大きく、通常のランキンサイクル作動温度範囲(100〜500℃)では、温度が上昇するほど作動流体と潤滑油との密度差が大きくなり、両者の密度差を利用して分離するオイル分離器11では分離精度が良好となる。
【0032】
さらに、上記ランキンサイクル装置10では、具備される二つの流体機械1,2の各機械的摺動部に対して、それぞれに独立した潤滑油供給路31,32が設けられている。これにより、各機械的摺動部に対して最適な量の潤滑油を供給することが可能となる。さらに、潤滑油供給路31,32の流路面積により潤滑油流量が調整されており、各機械的摺動部に対して最適な量の潤滑油が供給される。よって、潤滑不足による膨張機1及び圧送ポンプ2の機械損失を低減し、潤滑油の供給過多による蒸発器5及び凝縮器6の性能低下を防止することができる。
【0033】
また、上記ランキンサイクル装置10では、一つのオイル貯留タンク12が設けられている。このようにランキンサイクル装置10に設けるオイル貯留タンク12を一つとすることで、潤滑油を一元的に管理することができ、潤滑油貯留量の過不足が発生し難くなり、また、ランキンサイクル装置10内にオイル貯留部を複数設置した場合に発生する潤滑油貯留量の偏りも発生しない。よって、潤滑油を各機械的摺動部に対して安定的して供給することができ、膨張機1及び圧送ポンプ2の効率低下を防ぎ、動作の信頼性を向上させることができる。
【実施の形態2】
【0034】
本発明の実施の形態2について説明する。図2は実施の形態2に係るランキンサイクル装置の構成を示す図、図3は流路の絞り量と潤滑油流量との関係を示す図である。
【0035】
図2に示すように、実施の形態2に係るランキンサイクル装置は、オイル分離供給機構に含まれる潤滑油供給路を除いて、実施の形態1に係るランキンサイクル装置と同一の構成である。よって、ここではオイル分離供給機構に関し、特に実施の形態1と異なる潤滑油供給路について詳細に説明し、他の説明を省略する。
【0036】
オイル分離供給機構30は、ランキンサイクルの高圧側において再生熱交換器16の出口と蒸発器5の入口との間に配置されたオイル分離器11と、オイル分離器11で分離回収された潤滑油を貯留するオイル貯留タンク12と、ランキンサイクル装置10に具備される流体機械1,2の機械的摺動部に潤滑油を供給する潤滑油供給路33とを、備えている。
【0037】
オイル貯留タンク12には、潤滑油供給路33が接続されている。潤滑油供給路33は、途中で、膨張機1の機械的摺動部へ潤滑油を供給する第一潤滑油供給路31と、圧送ポンプ2の機械的摺動部へ潤滑油を供給する第二潤滑油供給路32とに分岐している。第一潤滑油供給路31と、第二潤滑油供給路32とには、それぞれに潤滑油の流量を調整する流量調整手段34,35が設けられている。流量調整手段34,35として可変絞り機構が設けられて、潤滑油供給路31,32の絞り量を調整することにより、膨張機1と圧送ポンプ2に供給する潤滑油流量を個別に調整できるように構成されている。本実施の形態においては、可変絞り機構として、制御装置50の制御を受けて入力電流を変化させることにより流路面積が変化する電磁比例制御式可変オリフィスが用いられている。
【0038】
図3は、流路の絞り量と、潤滑油流量との関係を示している。図3に示すように、潤滑油流量Qiに対する流路の絞り量Aiは一義的に決まり、流路の絞り量の増大に伴って、潤滑油流量は減少する。従って、流体機械の回転数と当該回転数で稼動している流体機械の機械的摺動部に対する最適な潤滑油流量との関係を実験的又は理論的に求めれば、この流体機械の回転数と最適な潤滑油流量との関係から流体機械の回転数と流路の絞り量との関係を導き出すことができる。
【0039】
膨張機1と圧送ポンプ2には、回転数を検出し、その検出信号を制御装置50へ伝達する回転数センサ1a,2aが、それぞれに設けられている。また、制御装置50には、膨張機1の機械的摺動部及び圧送ポンプ2の機械的摺動部について、回転数と最適潤滑油流量との関係を予め実験的又は理論的に求め、これから導き出される回転数と流路の絞り量との関係と、流路の絞り量と入力電流との関係とが、記憶されている。さらに、制御装置50には、回転数センサ1a,2aで検出された回転数に応じて可変オリフィスへの入力電流を制御するプログラムが設定されている。
【0040】
上記構成において、制御装置50は、回転数センサ1a,2aにより検出された回転数に応じて可変オリフィスへの入力電流を変化させる制御を行う。これにより、各流体機械1,2の機械的摺動部に対して最適な量の潤滑油が供給されるように可変オリフィスの絞り量が調整される。よって、各流体機械1,2の回転数に対応して最適な量の潤滑油が流体機械1,2の機械的摺動部に供給されるので、当該機械的摺動部は常に最適な潤滑状態が維持され、流体機械1,2の機械損失を低減することができる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、流量調整手段34,35として可変絞り機構を備えているが、流量調整手段34,35として流路の絞り量が固定されている固定絞りを設けてもよい。この場合、各流体機械1,2の機械的摺動部の最適潤滑油流量と、該最適潤滑油流量に対する流路の絞り量との関係から、最適潤滑油流量を供給できる絞り量を有する固定絞りが選定され、当該固定絞りが流量調整手段34,35として用いられる。
【0042】
また、本実施の形態においては、流量調整手段34,35として可変絞り機構を備えているが、可変絞り機構に代えてオイルポンプを設置してもよい。この場合、流体機械1,2の回転数に対する最適潤滑油量の関係と該最適潤滑油量に対するオイルポンプの吐出量の関係とが制御装置50に記憶され、当該制御装置50は検出された流体機械1,2の回転数に応じてオイルポンプの吐出量を変化させる制御を行うように構成される。
【実施の形態3】
【0043】
本発明の実施の形態3について説明する。図4は実施の形態3に係るランキンサイクル装置の構成を示す図、図5は実施の形態3に係るランキンサイクル装置の変形例を示す図である。
【0044】
図4に示すように、実施の形態3に係るランキンサイクル装置は、オイル分離供給機構30を除いて、実施の形態1に係るランキンサイクル装置と同一の構成である。よって、ここではオイル分離供給機構30に関し、特に実施の形態1と異なる部分について詳細に説明し、他の説明を省略する。
【0045】
オイル分離供給機構30は、ランキンサイクルの低圧側において膨張機1の出口と凝縮器6の入口との間に配置されたオイル分離器11と、オイル分離器11で分離回収された潤滑油を貯留するオイル貯留タンク12と、オイル分離器11からオイル貯留タンク12へ潤滑油を送る油路38と、油路38に設けられた加圧ポンプ39と、オイル貯留タンク12からランキンサイクル装置10に具備される流体機械1,2の機械的摺動部に潤滑油を供給する潤滑油供給路31,32とを、備えている。
【0046】
オイル分離器11は、ランキンサイクルの低圧側、すなわち、作動流体循環回路20において膨張機1の出口から圧送ポンプ2の入口までの間に配置されている。ランキンサイクルの低圧側には、再生熱交換器16と凝縮器6との二つの熱交換器が設けられており、熱交換器では作動流体の潤滑油含有量が低い方が熱交換効率がよいことから、これらの熱交換器に流入する前に作動流体から潤滑油を除去して潤滑油含有量を低減することが好ましい。よって、オイル分離器11は、作動流体循環回路20においてランキンサイクルの低圧側であって膨張機1の出口から再生熱交換器16の入口までの間に設けられている。但し、オイル分離器11は作動流体循環回路20において膨張機1の出口と凝縮器6の入口までの間に配置されればよいので、再生熱交換器16の出口と凝縮器6の入口との間にオイル分離器11を設けることもできる。
【0047】
一般的なランキンサイクル装置においては、膨張機1から吐出された作動流体は、作動流体は気相であり、該作動流体に混入している潤滑油は液相であることから、作動流体循環回路20において膨張機1と再生熱交換器16(凝縮器6)との間では、作動流体と潤滑油との密度差が比較的大きい。オイル分離器11は密度差を利用して作動流体と潤滑油とを分離するしくみであるので、膨張機1と再生熱交換器16(凝縮器6)との間に配置されているオイル分離器11では、より高精度に作動流体と潤滑油を分離することができる。
【0048】
オイル分離器11で作動流体から分離回収された潤滑油は、油路38を通じてオイル貯留タンク12まで送られて貯留される。オイル分離器11はランキンサイクルの低圧側に配置されているので、該オイル分離器11で分離回収される潤滑油も低圧である。そこで、潤滑油が油路38を通じるうちに加圧ポンプ39で加圧されることによって、オイル貯留タンク12に貯留される潤滑油を、ランキンサイクルの高圧側の圧力と同一又はそれよりも高い圧力に昇圧している。このようにオイル貯留タンク12に貯留される潤滑油はランキンサイクルの高圧側の圧力と同一又はそれよりも高い圧力であるので、ポンプ等の圧送手段を要することなく、潤滑油供給路31,32を通じて流体機械1,2の機械的摺動部へ供給される。
【0049】
なお、本実施の形態の変形例として、図5に示すように、オイル分離器11とオイル貯留タンク12を接続している油路38に加圧ポンプ39を設ける代わりに、第一潤滑油供給路31と第二潤滑油供給路32のそれぞれに定量ポンプ44,45を設けることもできる。この場合、オイル貯留タンク12に貯留されている潤滑油は低圧であるが、定量ポンプ44,45で潤滑油の昇圧と流量の調整を行って、潤滑油供給路31,32を通じて各流体機械1,2の機械的摺動部へ最適な量の潤滑油を供給することができる。
【実施の形態4】
【0050】
本発明の実施の形態4について説明する。図6は実施の形態4に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【0051】
図6に示すように、実施の形態4に係るランキンサイクル装置10は、オイル分離供給機構30を除いて、実施の形態1に係るランキンサイクル装置と同一の構成である。よって、ここではオイル分離供給機構30に関し、特に実施の形態1と異なる部分について詳細に説明し、他の説明を省略する。
【0052】
オイル分離供給機構30は、ランキンサイクルの高圧側において再生熱交換器16の出口と蒸発器5の入口との間に配置された第一のオイル分離器11aと、ランキンサイクルの低圧側において膨張機1の出口と凝縮器6の入口との間に配置された第二のオイル分離器11bと、これらのオイル分離器11a,11bで分離回収された潤滑油を貯留するオイル貯留タンク12と、第二のオイル分離器11bからオイル貯留タンク12へ潤滑油を送る油路38と、油路38に設けられた加圧ポンプ39と、オイル貯留タンク12からランキンサイクル装置10に具備される流体機械1,2の機械的摺動部に潤滑油を供給する潤滑油供給路31,32とを、備えている。
【0053】
第一のオイル分離器11aは、ランキンサイクルの高圧側、すなわち、作動流体循環回路20において圧送ポンプ2の出口から膨張機1の入口までの間に設けられている。作動流体循環回路20には高圧側の熱交換器として、再生熱交換器16と蒸発器5とが備えられており、第一のオイル分離器11aは、これらの熱交換器の間に配置されている。このように第一のオイル分離器11aを配置することにより、蒸発器5に流入する作動流体の潤滑油含有量を低減して熱交換の効率低下を防止するとともに、第一のオイル分離器11aに流入する作動流体を再生熱交換器16で加熱して作動流体と潤滑油の密度差を拡大することにより第一のオイル分離器11aでの分離精度の向上が図られている。
【0054】
第二のオイル分離器11bは、ランキンサイクルの低圧側、すなわち、作動流体循環回路20において膨張機1の出口から圧送ポンプ2の入口までの間に設けられている。作動流体循環回路20には低圧側の熱交換器として、再生熱交換器16と凝縮器6とが備えられており、第二のオイル分離器11bは膨張機1と再生熱交換器16との間に配置されている。このように第二のオイル分離器11bを配置することにより、再生熱交換器16と凝縮器6に流入する作動流体の潤滑油含有量を低減して熱交換の効率低下を防止している。
【0055】
第二のオイル分離器11bで作動流体から分離回収された潤滑油は、油路38を通じてオイル貯留タンク12まで送られて貯留される。潤滑油は油路38を通じるうちに加圧ポンプ39で、ランキンサイクルの高圧側の圧力と同一又はそれよりも高い圧力に昇圧される。そして、第一のオイル分離器11aと第二のオイル分離器11bとで作動流体から分離回収されて、オイル貯留タンク12に貯留されている潤滑油は、第一潤滑油供給路31を通じて膨張機1の機械的摺動部へ供給され、第二潤滑油供給路32を通じて圧送ポンプ2の機械的摺動部へ供給される。

本実施の形態に係るランキンサイクル装置10では、ランキンサイクルの高圧側と低圧側の双方において、作動流体循環回路20に具備されている熱交換器5,16,6の上流にオイル分離器11a,オイル分離器11bが設けられている。よって、作動流体循環回路20に具備されている熱交換器には、潤滑油含有量が低減された作動流体が流入することとなり、熱交換器における熱交換の効率低下を防止することができる。
【実施の形態5】
【0056】
本発明の実施の形態5について説明する。図7は実施の形態5に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【0057】
図7に示すように、実施の形態5に係るランキンサイクル装置10は、作動流体を循環させてエネルギーを取り出す作動流体循環回路20と、ランキンサイクル装置10に具備される流体機械の機械的摺動部から作動流体に混入した潤滑油を分離回収して前記機械的摺動部へ供給するオイル分離供給機構30とを、備えている。
【0058】
まず、作動流体循環回路20の構成について説明する。作動流体循環回路20は、圧送ポンプ2、再生熱交換器16、蒸発器5、膨張機1、及び凝縮器6が流路21,22,23,24,25,26で順次接続されて構成されている。作動流体循環回路20において再生熱交換器16と蒸発器5との間には、密閉容器41と、該密閉容器41内に配置されたオイル分離器11とが設けられている。また、膨張機1と凝縮器6を接続する流路25は、その途中で再生熱交換器16を経由するための熱交換流路28が含まれており、膨張機1から流路25に吐出された作動流体は熱交換流路28に流入して再生熱交換器16を通じたのち、流路25に戻って凝縮器6へ流入する。
【0059】
膨張機1の動力軸と、圧送ポンプ2の動力軸とは伝動軸40で一軸に連結されており、膨張機1において作動流体が膨張する際に回収される動力が圧送ポンプ2の駆動に利用される。このように、圧送ポンプ2が膨張機1で回収された動力で駆動されるので、圧送ポンプ2モータにより駆動される場合と比較して、ランキンサイクルの高効率化と、装置の簡素化及び小型化を図ることができる。また、伝動軸40上には発電機4が設けられており、膨張機1において作動流体が膨張する際に回収される動力が発電機4で電気エネルギーに変換されて取り出される。
【0060】
次に、オイル分離供給機構30の構成について説明する。オイル分離供給機構30は、オイル分離器11と、オイル貯留タンク12と、第一潤滑油供給路31と、第二潤滑油供給路32とにより構成されている。オイル分離器11は、作動流体から該作動流体に混入している潤滑油を分離する遠心分離式のオイル分離器であり、オイル分離器11で分離回収された潤滑油は、オイル貯留タンク12に貯留される。オイル貯留タンク12には、オイル貯留タンク12から膨張機1の機械的摺動部へ潤滑油を供給する第一潤滑油供給路31と、オイル貯留タンク12から圧送ポンプ2の機械的摺動部へ潤滑油を供給する第二潤滑油供給路32とが設けられている。
【0061】
上記において、膨張機1、圧送ポンプ2、及び発電機4、オイル分離器11、オイル貯留タンク12、第一潤滑油供給路31及び第二潤滑油供給路32は、密閉容器41内に設けられている。この密閉容器41には、再生熱交換器16で加熱された作動流体が流路22を通じて流入しており、密閉容器41の内部は作動流体で満たされている。また、密閉容器41内はオイル分離器11の入口と連通され、オイル分離器11の出口は、流路23を介して蒸発器5の入口と接続されている。
【0062】
上記の通り、密閉容器41内にオイル分離供給機構30が設けられているので、オイル分離器11及びオイル貯留タンク12の外容器を廃止することができ、コストの低減及び装置全体の小型化を図ることができる。なお、オイル分離器11は作動流体循環回路20のうち、密閉容器41の内部と蒸発器5との間に設けられているが、再生熱交換器16と密閉容器41の内部との間に設けることもできる。また、オイル分離器11は密閉容器41内に配置されているが、密閉容器41そのものに潤滑油分離機能を備えたり、或いは、オイル分離器11を密閉容器41の外部に配置したりすることもできる。
【0063】
また、密閉容器41内は、再生熱交換器16から流出した大気温度よりも高温の作動流体で満たされており、膨張機1の部材温度とその周囲の温度の差を、膨張機1の部材温度と大気温度との温度差よりも小さくすることができるので、膨張機1からの放熱による熱損失の低減を図ることができる。さらに、膨張機1で放出される熱エネルギーを作動流体の加熱に利用することができるので、サイクル全体の熱損失を低減させることができる。
【0064】
ここで、上記構成のランキンサイクル装置10の作動流体の流れを説明する。圧送ポンプ2で加圧された作動流体は、再生熱交換器16を通じて加熱されたのち、密閉容器41に流入する。密閉容器41に流入した作動流体は、この密閉容器41内に配置されているオイル分離器11を通じて混入している潤滑油が分離されたのち、蒸発器5を通じて更に加熱され、高温となる。高温及び高圧となった作動流体は、膨張機1を通じて膨張され、この膨張エネルギーは圧送ポンプ2の駆動と発電機4での発電に利用される。膨張機1から流出した低温及び低圧の作動流体は、再生熱交換器16を通じて高圧側の作動流体と熱交換することにより冷却され、さらに、凝縮器6を通じて冷却されて、液相の作動流体となって圧送ポンプ2へ戻る。
【0065】
次に、ランキンサイクル装置10の潤滑油の流れを説明する。オイル分離器11で作動流体から分離された潤滑油は、オイル貯留タンク12に貯留される。オイル貯留タンク12に貯留されている潤滑油は、第一潤滑油供給路31を通じて膨張機1の機械的摺動部へ供給され、第二潤滑油供給路32を通じて圧送ポンプ2の機械的摺動部へ供給される。このようにして機械的摺動部へ供給された潤滑油は、該機械的摺動部の微小間隙よりサイクル内に流出して作動流体と混合する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のランキンサイクル装置は、潤滑油で潤滑される膨張機及び圧送ポンプを有し、例えば、太陽熱発電システムや自動車の廃熱エネルギー回生システム等に備えられるランキンサイクル装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施の形態1に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態2に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図3】流路の絞り量と潤滑油流量との関係を示す図である。
【図4】実施の形態3に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図5】実施の形態3に係るランキンサイクル装置の変形例を示す図である。
【図6】実施の形態4に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図7】実施の形態5に係るランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図8】従来のランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図9】従来のランキンサイクル装置の構成を示す図である。
【図10】流体機械の回転数と最適潤滑油流量との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 膨張機
2 圧送ポンプ
4 発電機
5 蒸発器
6 凝縮器(第二の加熱器)
10 ランキンサイクル装置
11 オイル分離器
12 オイル貯留タンク
14 モータ
16 再生熱交換器(第一の加熱器)
20 作動流体循環回路
28 熱交換流路
30 オイル分離供給機構
31 第一潤滑油供給路
32 第二潤滑油供給路
34,35 流量調整手段
50 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を圧送する圧送ポンプ、前記圧送ポンプより圧送された作動流体を加熱する加熱器、前記圧送ポンプ及び前記加熱器で昇圧、昇温された作動流体を膨張させてその動力を取り出す膨張機、並びに前記膨張機で降温及び降圧した作動流体を冷却する凝縮器を流路で順次接続して成る作動流体循環回路と、
前記膨張機及び前記圧送ポンプにて作動流体に混入した潤滑油を前記作動流体から分離するオイル分離器と、
前記オイル分離器で分離された潤滑油を貯留するオイル貯留タンクと、
前記オイル貯留タンクから前記膨張機へ潤滑油を供給する第一潤滑油供給路と、
前記オイル貯留タンクから前記圧送ポンプへ潤滑油を供給する第二潤滑油供給路とを、備えている、
ランキンサイクル装置。
【請求項2】
前記オイル分離器は、前記作動流体循環回路において前記圧送ポンプの出口と前記膨張機の入口との間に配設されている、
請求項1に記載のランキンサイクル装置。
【請求項3】
前記作動流体循環回路は、前記加熱器を複数直列に備え、前記加熱器同士の間に前記オイル分離器が配設されている、
請求項1又は請求項2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項4】
前記複数の加熱器のうち少なくとも一つは、前記圧送ポンプの出口から前記膨張機の入口までの作動流体と、前記膨張機の出口から前記凝縮器の入口までの作動流体とを熱交換させる再生熱交換器である、
請求項3に記載のランキンサイクル装置。
【請求項5】
前記オイル分離器は、前記作動流体循環回路において前記膨張機の出口と前記凝縮器の入口との間に配設されている、
請求項1又は請求項2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項6】
前記オイル分離器で分離された潤滑油を前記オイル貯留タンクへ送る油路に、潤滑油加圧用ポンプを備えている、
請求項5に記載のランキンサイクル装置。
【請求項7】
前記第一潤滑油供給路及び前記第二潤滑油供給路に、潤滑油の流量を調整する流量調整装置を備えている、
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項8】
前記流量調整装置は、潤滑油の流路面積を所定値とする固定絞りである、
請求項7に記載のランキンサイクル装置。
【請求項9】
前記流量調整装置は、絞り量を変化させることのできる可変絞り機構である、
請求項7に記載のランキンサイクル装置。
【請求項10】
前記流量調整装置は、所定量の潤滑油を送り出す定量ポンプである、
請求項7に記載のランキンサイクル装置。
【請求項11】
前記膨張機と前記圧送ポンプとの動力軸が連結されている、
請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項12】
前記膨張機と前記圧送ポンプとが一つの密閉容器内に設けられている、
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項13】
前記密閉容器内は、前記作動流体循環回路において前記圧送ポンプの出口から前記膨張機の入口までの流路の一部を形成し、作動流体で満たされている、
請求項12に記載のランキンサイクル装置。
【請求項14】
前記作動流体は、水又は二酸化炭素の自然冷媒である、
請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate