説明

ランチジャー

【課題】 簡易な構成にして簡単に組み込み可能な偏平板を備えるだけで、小容器に収容した調理材の保温性を向上できる極めて優れたランチジャーを提供するものである。
【解決手段】 収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3に、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器4を前記収容部1内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーにおいて、前記収容部1の内径より径大であって且つ屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で先細り形状に構成された外周縁部を有する偏平板5を、この偏平板5の前記外周縁部をこの収容部1の内面に当接させてこの収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞するように配設したランチジャー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランチジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
みそ汁を収容する汁容器やご飯を収容する飯容器、おかずを収容する菜容器等の複数の小容器を同時に収容するタイプのランチジャーは、これら複数の小容器を上下複数段に積み重ねた状態にして断熱構造を有する収容部に収容して蓋をすることにより、各小容器に入った食物の温度を一定時間保温するものである。
【0003】
従来より、このようなランチジャーの保温性を高めるために、収容部は勿論、蓋や小容器に種々の断熱構造が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出願人は、上述したランチジャーにおいて、蓋や小容器の断熱構造を簡略にして低コスト化を実現した場合、小容器に収容した調理材が、収容部の内面と小容器外面との間隙の空気を温めて、この温かな空気(暖気)が収容部の内面と小容器外面との隙間を上昇するが、この隙間を上昇した空気(暖気)が蓋側で冷却されてしまうため、各小容器に入った調理材が冷めやすいといった問題とともに、下側の小容器に収容した調理材が収容部の内面と下側の小容器外面との間隙の空気を温めて、この収容部の内面と下側の小容器外面との隙間の温かな空気(暖気)が収容部の内面と上側の小容器外面へ上昇する際、上側の小容器の調理材がこの暖気で温熱され、例えば、下側の小容器に暖かいご飯を詰め、上側の小容器に漬物や生野菜等を含んだおかずを詰めた場合に、この上側のおかずが温熱されてしまうという不都合が生じることを見出した。
【0005】
即ち、蓋や小容器の断熱構造を簡略にして低コスト化を実現したランチジャーは、小容器に収容した調理材の保温性が今一つ十分ではないという問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の問題点を鑑みこれを解決したもので、簡易な構成にして簡単に組み込み可能な偏平板を備えるだけで、小容器に収容した調理材の保温性を向上できる極めて優れたランチジャーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3に、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器4を前記収容部1内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーにおいて、前記収容部1の内径と同等若しくは径大な偏平板5を、この偏平板5の外周縁部をこの収容部1の内面に当接させてこの収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞するように配設したことを特徴とするランチジャーに係るものである。
【0009】
また、前記偏平板5を前記上下複数段積み重ね収容される小容器4と小容器4との間に配設したことを特徴とする請求項1記載のランチジャーに係るものである。
【0010】
また、前記下側に配設される小容器4の上部に前記偏平板5を載置配設して、この小容器4外面と収容部1の内面との間隙を上方から閉塞してこの下側の小容器4の暖気が上側の小容器4の周囲へ上昇伝達することを阻止するように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【0011】
また、前記偏平板5若しくは偏平板5の前記収容部1の内面に当接する外周縁部は、屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【0012】
また、前記偏平板5は、柔軟性を有する材質で構成すると共に、補強若しくは保形のための芯材6を埋設若しくは付設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【0013】
また、前記扁平板5は、リング状に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、偏平板が収容部の内面と小容器外面との間隙を上方から閉塞して、収容部の内面と小容器外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、収容部,蓋部及び小容器に高価なあるいは複雑な断熱構造を施すことなく、簡易な構成にして簡単に組み込み可能な前記偏平板を備えるだけで小容器に収容した調理材の保温性を向上できる極めて優れたランチジャーとなる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記偏平板を前記上下複数段積み重ね収容される小容器と小容器との間に配設したことで、この偏平板が収容部の内面と下側の小容器外面との間隙を上方から閉塞して、収容部の内面と下側の小容器外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、下側の小容器に収容した調理材の保温性を簡単に向上できるとともに、収容部の内面と下側の小容器外面との間隙に暖気を閉じ込めることにより、この暖気が収容部の内面と上側の小容器外面の間隙に上昇することがなくなり、よって、上側の小容器の調理材がこの暖気で温熱されることがないため、例えば、下側の小容器に暖かいご飯を詰め、上側の小容器に漬物や生野菜等を含んだおかずを詰めた場合に、この上側のおかずの温熱を防止できるランチジャーとなる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、小容器を下から順番に重ね入れる際に、この小容器の上部に偏平板を載置配設するという簡易な手段で、小容器と小容器とが所望の位置で断熱セパレートできるので、特別な係止構造を着脱構造を設けずとも所望の位置に簡単に着脱自在にセットでき、前記保温並びに上方への暖気遮断が簡単にして確実に果たせる極めて実用性に優れた画期的なランチジャーとなる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、偏平板の外周縁部が屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質であるため、この偏平板の外周縁部が収容部の内面に簡単に密着でき、よって、小容器に収容した調理材の保温性をより一層簡単に向上できるるランチジャーとなる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、偏平板は柔軟性を有するため、小容器と小容器との間若しくは小容器の上部に密着して小容器と小容器との間若しくは収容部の内面と小容器外面との間隙が上方から密着断熱できるとともに、この柔軟性を有する偏平板が芯材により補強及び保形されるため、この偏平板の耐久性が向上でき、取り付けや取り外しが容易なランチジャーとなる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば、偏平板はリング状であるため、中空部分の材料が節約でき低コスト化し得るだけでなく、このリング状の偏平板の内側縁を掴むことにより、取り付けや取り外しが一層容易なランチジャーとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
複数の小容器4を上下複数段積み重ね状態に収容した収容部1内に、偏平板5を配設する。
【0022】
この際、前記偏平板5を、前記収容部1の内径と同等若しくは径大とし、この偏平板5を前記収容部1の内面と前記小容器4外面との間に生じる間隙の上方に配設すると、前記偏平板5の外周縁部が前記収容部1の内面に当接し、前記収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞する。
【0023】
よって、収容部1の内面と小容器4外面との間隙に暖気が閉じ込められることとなり、従って、みそ汁やご飯等の調理材を収容する複数の小容器4を収容する収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3の保温性が向上する。
【0024】
即ち、従来のように蓋部2や小容器4の断熱構造を簡略にして低コスト化を実現すると、小容器4に収容した調理材が、収容部1の内面と小容器4外面との間隙の空気を温めて、この温かな空気(暖気)が収容部1の内面と小容器4外面との隙間を上昇するが、この隙間を上昇した空気(暖気)が蓋部2側で冷却されてしまうため、各小容器4に入った調理材が冷めやすい場合があった。この点、本発明は、偏平板5が収容部1の内面と小容器4外面との間隙を上方から閉塞して、収容部1の内面と小容器4外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、この暖気が蓋部2側で冷却されることがなくなり、よって、収容部1,蓋部2及び小容器4に高価なあるいは複雑な断熱構造を施すことなく、簡易な構成にして簡単に組み込み可能な前記偏平板5を備えるだけで、小容器4に収容した調理材の保温性が向上する。
【0025】
また、例えば、前記偏平板5を前記上下複数段積み重ね収容される小容器4と小容器4との間に載置配設した構成とした場合、収容部1の内面と下側の小容器4外面との間隙に暖気を閉じ込めることにより、下側の小容器4に収容した調理材の保温性を簡単に向上できるとともに、この暖気が収容部1の内面と上側の小容器4外面の間隙に上昇することがなく、上側の小容器4に収容した調理材がこの暖気により温熱されることがない。
【0026】
即ち、仮に下側の小容器4に熱いみそ汁や暖かいご飯を収容して、上側の小容器4に漬物や生野菜等を含んだおかずを収容した場合、このみそ汁やご飯を温熱な状態に保ち得るとしても、一方で、この熱いみそ汁や暖かいご飯の暖気が、上側の小容器4に収容した漬物や生野菜等を含んだおかずを必要以上に温めてしまい、おかずをある程度の温度(常温)に保つことができない場合があった。この点、本発明は、偏平板5が収容部1の内面と下側の熱いみそ汁や暖かいご飯を収容する小容器4外面との間隙を上方から閉塞して、収容部1の内面と下側の熱いみそ汁や暖かいご飯を収容する小容器4外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、下側の小容器4のみそ汁やご飯の温熱を確実に行う一方で、この下側の小容器4に収容した熱いみそ汁や暖かいご飯の暖気が、収容部1の内面と上側の小容器4外面の間隙に上昇することがなくなり、よって、上側の小容器4のおかずが暖気により必要以上に温熱されることがないので、例えば、おかずの温熱を避けるために、おかずを収容体3に入れずに寒冷な外気によりおかずが過度に冷却されてしまうなどといったこともなく、おかずを熱いみそ汁や暖かいご飯とともに収容しても、適温で保持し得るランチジャーとなる。
【0027】
また、例えば、前記下側に配設される小容器4の上部に前記偏平板5を載置配設してこの小容器4と収容部1の内面との間隙を上方から閉塞してこの下側の小容器4の暖気が上側の小容器4の周囲へ上昇伝達することを阻止するように構成した場合、小容器4を下から順番に重ね入れる際に、この小容器4の上部に偏平板5を載置配設するという簡易な手段で、小容器4と小容器4とが所望の位置で断熱セパレートされ、特別な係止構造や着脱構造を設けずとも所望の位置に簡単に着脱自在にセットでき、前記保温並びに上方への暖気遮断が簡単にして確実となる。
【0028】
また、例えば、前記偏平板5若しくは偏平板5の前記収容部1の内面に当接する外周縁部は、屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で構成した場合、この偏平板5の外周縁部が収容部1の内面に簡単に密着する。
【0029】
また、例えば、前記偏平板5は、柔軟性を有する材質で構成すると共に、補強若しくは保形のための芯材6を埋設若しくは付設した構成とした場合、偏平板5が小容器4と小容器4との間若しくは小容器4の上部に密着して小容器4と小容器4との間若しくは収容部1の内面と小容器4外面との間隙を上方から密着断熱するとともに、芯材6がこの偏平板5を補強及び保形し、取り付けや取り外しの際に変形しないため取り扱い性が向上し、耐久性も向上する。
【0030】
また、前記偏平板5は、リング状に構成した場合、中空部分の材料が節約でき低コスト化し得るだけでなく、このリング状の偏平板5の内側縁を掴むことにより、取り付けや取り外しが一層容易となる。
【実施例】
【0031】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例は、図1,2に図示したように、断熱構造を有する収容部1と、この収容部1の上面を覆う蓋部2と、蓋部2で収容部1の上面側を覆った際の閉じ状態を維持するロック装置8と、箸入れ部9とから構成されるとともに、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器4を、前記収容部1内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーである。
【0033】
また、本実施例は、前記収容部1の内径と同等若しくは径大な偏平板5を、前記上下複数段積み重ね収容される小容器4と小容器4との間に配設し、この偏平板5の外周縁部をこの収容部1の内面に当接させて、この偏平板5より下側の前記小容器4外面とこの収容部1の内面との間隙を上方から閉塞するように配設した場合である。
【0034】
以下に各部を詳しく説明する。
【0035】
前記収容部1は、筒状の容器であって、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を保温しながら収容する一般的な断熱構造を有している。
【0036】
前記蓋部2は、前記収容部1の外径と略同等の内径を有する合成樹脂材からなる無底筒箱状のものであり、この蓋部2を前記収容部1に被嵌することで、この収容部1の上面側を覆う構成としている。
【0037】
また、前記収容部1の上面側を蓋部2で覆った際の閉じ状態を維持するためにロック装置8が設けられるとともに、この収容部1の外側面には箸入れ部9が設けられている。
【0038】
前記小容器4は、無蓋状の本体と、その上部の開口部を閉塞及び開放自在な蓋部とから成る一般的なものであり、合成樹脂材等で形成されている。
【0039】
具体的には、みそ汁を収容するための無蓋状の本体41a及びこの本体の上部開口部を開閉自在な蓋部42aによりなる汁容器4A、ご飯を収容するための無蓋状の本体41b及びこの本体の上部開口部を開閉自在な蓋部42bによりなる飯容器4B及びおかずを収容するための無蓋状の本体41c及びこの本体の上部開口部を開閉自在な蓋部42cによりなる菜容器4Cにより構成している。
【0040】
前記偏平板5は、前記収容部1の内径と同等若しくは径大な直径のリング状の盤板であって、このようなリング状の形状とすることで、このリングの内側縁を掴んで、収容部1内への取り付けや取り外しを簡単に行うことができる。
【0041】
具体的には、このリング状の偏平板5は、シリコンゴム等の柔軟性を有する材質で成形されている。よって、この偏平板の外周縁部が屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有することとなり、従って、本実施例の偏平板5は、図9に図示したように、前記収容部1の内面に屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得ることは勿論、前記小容器4の上側若しくは前記小容器4と小容器4との間に密着当接する。
【0042】
更に具体的には、この偏平板5は、周縁が平面視において縁端側程狭幅する先細り形状に形成されている。よって、この偏平板5の可尭性が向上し、収容部1に取り付け取り外しする際の取り扱い性が良好となり、この偏平板5の外周縁部が収容部1の内面に一層簡単に密着する。
【0043】
また、前記偏平板5は、図3,4に図示したように、補強若しくは保形のための芯材6を埋設若しくは付設した構成としている。
【0044】
具体的には、前記芯材6は、PP(ポリプロピレン),PE(ポリエチレン),PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂をリング状に形成し、この芯材6を、図3に図示したように前記偏平板5の内周縁部から挿入及び取り外し可能な状態に配設している。
【0045】
従って、芯材6がこの偏平板5を補強及び保形し、この偏平板5の耐久性が向上し、変形しにくいため、収容部1内への取り付けや取り外しの際に取り扱い性が一層良好となる。
【0046】
本実施例は、前記芯材6が挟持状態となるように配設した場合を示したが、この芯材6を内部に埋設状態となるように配設しても良く、その場合、芯材6と偏平板5とが一体化するので取り扱い性が良い。
【0047】
本実施例は、前記偏平板5をリング状に構成した場合を示したが、リング状とするかわりに、図5,6に図示したような偏平板5上面の略中央部分に取手7を設けた偏平板5としても良く、その場合、芯材6が内部に埋設状態となるように配設されるか、若しくは保形性を保ち得る程度の厚みを有する偏平板5とし、この偏平板5を小容器4と小容器4同士が重なり合う部分に配設した場合、リング状偏平板5と比較して小容器4間の断熱性が向上し、小容器4の保温性が一層良好となるが、取手7を成形する必要がないことや、中空部分の材料費の節約等、成形性や量産性、コスト面等を考慮すると、リング状偏平板5とした方が好ましい。
【0048】
本実施例における前記偏平板5の配設方法を詳しく説明する。
【0049】
本実施例の偏平板5は、例えば、図1,2に図示したように、汁容器4Aの上に積み重ねた飯容器4Bの上部に載置配設している。また、この偏平板5の上側には、菜容器4Cが2段積み重ねられた状態としている。
【0050】
このように、温かいご飯を収容した飯容器4Bとおかずを収容した菜容器4Cとの間に、前記偏平板5を配設すると、この偏平板5の外周縁部が収容部1の内面に密着当接した状態となって、収容部1の内面と前記飯容器4B外面及び前記汁容器4Aとの間隙が上部から閉塞され、前記飯容器4B及び前記汁容器4Aの暖気が収容部1の内面と前記飯容器4B外面及び前記汁容器4Aとの間隙に閉じ込められることとなる。
【0051】
よって、前記偏平板5より下側の前記飯容器4B及び前記汁容器4Aに夫々収容された温かいご飯やみそ汁が冷めにくく、保温性が簡単に向上する。
【0052】
また、前記飯容器4B及び前記汁容器4Aの暖気が収容部1の内面と前記飯容器4B外面及び前記汁容器4Aとの間隙に閉じ込められて、この暖気が収容部1の内面と上側の菜容器4C外面との間隙には上昇することがないため、上側の菜容器4Cに収容した調理材がこの暖気により温熱されることがない。即ち、上側の菜容器4に漬物や生野菜等を詰めた場合に、この漬物や生野菜等の温熱を防止できる。
【0053】
更に、上側の菜容器4Cと、下側の飯容器4Bとが、その間に配設される偏平板5により密着断熱され、前記下側の飯容器4Bと上側の菜容器4Cとが直接積み重なることにより暖気が伝わることが防止される。
【0054】
尚、例えば、下側から汁容器4A,飯容器4B,菜容器4C,偏平板5,菜容器4Cの順で積み重ねた場合、偏平板5の下側の菜容器4Cには暖かい調理材を収容して冷めにくくできるとともに、偏平板5の上側の菜容器4Cには漬物や生野菜等を収容し、この漬物や生野菜等の温熱を防止することができる。
【0055】
従って、偏平板5を小容器4の上部に載置配設する簡易な手段で、前記汁容器4Aや前記飯容器4B,前記菜容器4Cを収容する収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3の保温性が向上する。
【0056】
尚、本実施例は、前記偏平板5を複数の小容器4の間に1箇所配設した場合を示したが、図7に図示したように、前記偏平板5を二段に重ねた小容器4の間に1箇所配設した場合においても、本実施例と同様、前記偏平板5より下側の小容器4の保温性が簡単に向上するとともに、この下側の小容器4の暖気により上側の小容器4に収容した調理材が温熱されることがない。
【0057】
また、図8は、前記偏平板5を複数の小容器4の間に複数箇所配設した場合を図示したものである。
【0058】
即ち、複数段積み重ね状態にされた全ての小容器4の上部に偏平板5を載置した構成とした場合、収容部1の内面と各小容器4外面の間隙が夫々上方から閉塞されるので各小容器4の夫々の保温性が向上する。
【0059】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施例のランチジャーの一部切欠きの斜視図である。
【図2】本実施例のランチジャーの側面図である。
【図3】本実施例の偏平板5の斜視図である。
【図4】本実施例の偏平板5の断面図である。
【図5】偏平板5の別例を示す斜視図である。
【図6】偏平板5の別例を示す断面図である。
【図7】ランチジャーの別例を示す側面図である。
【図8】ランチジャーの別例を示す側面図である。
【図9】本実施例の偏平板5と収容部1との当接状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 収容部
2 蓋部
3 収容体
4 小容器
5 偏平板
6 芯材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランチジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
みそ汁を収容する汁容器やご飯を収容する飯容器、おかずを収容する菜容器等の複数の小容器を同時に収容するタイプのランチジャーは、これら複数の小容器を上下複数段に積み重ねた状態にして断熱構造を有する収容部に収容して蓋をすることにより、各小容器に入った食物の温度を一定時間保温するものである。
【0003】
従来より、このようなランチジャーの保温性を高めるために、収容部は勿論、蓋や小容器に種々の断熱構造が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出願人は、上述したランチジャーにおいて、蓋や小容器の断熱構造を簡略にして低コスト化を実現した場合、小容器に収容した調理材が、収容部の内面と小容器外面との間隙の空気を温めて、この温かな空気(暖気)が収容部の内面と小容器外面との隙間を上昇するが、この隙間を上昇した空気(暖気)が蓋側で冷却されてしまうため、各小容器に入った調理材が冷めやすいといった問題とともに、下側の小容器に収容した調理材が収容部の内面と下側の小容器外面との間隙の空気を温めて、この収容部の内面と下側の小容器外面との隙間の温かな空気(暖気)が収容部の内面と上側の小容器外面へ上昇する際、上側の小容器の調理材がこの暖気で温熱され、例えば、下側の小容器に暖かいご飯を詰め、上側の小容器に漬物や生野菜等を含んだおかずを詰めた場合に、この上側のおかずが温熱されてしまうという不都合が生じることを見出した。
【0005】
即ち、蓋や小容器の断熱構造を簡略にして低コスト化を実現したランチジャーは、小容器に収容した調理材の保温性が今一つ十分ではないという問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の問題点を鑑みこれを解決したもので、簡易な構成にして簡単に組み込み可能な偏平板を備えるだけで、小容器に収容した調理材の保温性を向上できる極めて優れたランチジャーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3に、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器4を前記収容部1内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーにおいて、前記収容部1の内径より径大であって且つ屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で先細り形状に構成された外周縁部を有する偏平板5を、この偏平板5の前記外周縁部をこの収容部1の内面に当接させてこの収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞するように配設したことを特徴とするランチジャーに係るものである。
【0009】
また、前記偏平板5を前記上下複数段積み重ね収容される小容器4と小容器4との間に配設したことを特徴とする請求項1記載のランチジャーに係るものである。
【0010】
また、前記下側に配設される小容器4の上部に前記偏平板5を載置配設して、この小容器4外面と収容部1の内面との間隙を上方から閉塞してこの下側の小容器4の暖気が上側の小容器4の周囲へ上昇伝達することを阻止するように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【0011】
また、前記偏平板5は、柔軟性を有する材質で前記収容部1の内径より径大な構成とし、この偏平板5を前記上部開口部から前記収容部1内へ取り付ける際に、この偏平板5の外周縁部を屈曲させて前記収容部1の内面に弾圧当接して、この収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞するように配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【0012】
また、前記偏平板5は、柔軟性を有する材質で構成すると共に、補強若しくは保形のための芯材6を埋設若しくは付設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【0013】
また、前記扁平板5は、リング状に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のランチジャーに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、収容部の内径より径大であって且つ屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で先細り状に構成された外周縁部を有する偏平板の外周縁部が収容部の内周面に屈曲若しくは弾圧当接して収容部の内面と小容器外面との間隙を上方から閉塞して、収容部の内面と小容器外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、収容部,蓋部及び小容器に高価なあるいは複雑な断熱構造を施すことなく、しかも、先細り状の外周縁部が可撓することにより容易に取り付け取り外しが可能となり、よって、簡易な構成にして簡単に組み込み可能な前記偏平板を備えるだけで小容器に収容した調理材の保温性を向上できる極めて優れたランチジャーとなる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記偏平板を前記上下複数段積み重ね収容される小容器と小容器との間に配設したことで、この偏平板が収容部の内面と下側の小容器外面との間隙を上方から閉塞して、収容部の内面と下側の小容器外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、下側の小容器に収容した調理材の保温性を簡単に向上できるとともに、収容部の内面と下側の小容器外面との間隙に暖気を閉じ込めることにより、この暖気が収容部の内面と上側の小容器外面の間隙に上昇することがなくなり、よって、上側の小容器の調理材がこの暖気で温熱されることがないため、例えば、下側の小容器に暖かいご飯を詰め、上側の小容器に漬物や生野菜等を含んだおかずを詰めた場合に、この上側のおかずの温熱を防止できるランチジャーとなる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、小容器を下から順番に重ね入れる際に、この小容器の上部に偏平板を載置配設するという簡易な手段で、小容器と小容器とが所望の位置で断熱セパレートできるので、特別な係止構造を着脱構造を設けずとも所望の位置に簡単に着脱自在にセットでき、前記保温並びに上方への暖気遮断が簡単にして確実に果たせる極めて実用性に優れた画期的なランチジャーとなる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、偏平板を上部開口部から収容部内へ取り付ける際に、この偏平板の外周縁部を屈曲させながら前記収容部の内面に弾圧当接するから、収容部へのこの偏平板の取り付けが簡単となる上、この偏平板の外周縁部と収容部の内周面とを簡単に密着させることができ、よって、小容器に収容した調理材の保温性をより一層簡単に向上できるランチジャーとなる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、偏平板は柔軟性を有するため、小容器と小容器との間若しくは小容器の上部に密着して小容器と小容器との間若しくは収容部の内面と小容器外面との間隙が上方から密着断熱できるとともに、この柔軟性を有する偏平板が芯材により補強及び保形されるため、この偏平板の耐久性が向上でき、取り付けや取り外しが容易なランチジャーとなる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば、偏平板はリング状であるため、中空部分の材料が節約でき低コスト化し得るだけでなく、このリング状の偏平板の内側縁を掴むことにより、取り付けや取り外しが一層容易なランチジャーとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
複数の小容器4を上下複数段積み重ね状態に収容した収容部1内に、偏平板5を配設する。
【0022】
この際、前記偏平板5を、前記収容部1の内径より径大とすると共に、屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で先細り形状に構成された外周縁部を有する構成とし、この偏平板5を前記収容部1の内面と前記小容器4外面との間に生じる間隙の上方に配設すると、前記偏平板5の外周縁部が前記収容部1の内面に屈曲柔軟若しくは弾圧当接しながら収容部1の内面に密着し、前記収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞する。
【0023】
よって、収容部1の内面と小容器4外面との間隙に暖気が閉じ込められることとなり、従って、みそ汁やご飯等の調理材を収容する複数の小容器4を収容する収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3の保温性が向上する。
【0024】
即ち、従来のように蓋部2や小容器4の断熱構造を簡略にして低コスト化を実現すると、小容器4に収容した調理材が、収容部1の内面と小容器4外面との間隙の空気を温めて、この温かな空気(暖気)が収容部1の内面と小容器4外面との隙間を上昇するが、この隙間を上昇した空気(暖気)が蓋部2側で冷却されてしまうため、各小容器4に入った調理材が冷めやすい場合があった。この点、本発明は、偏平板5が収容部1の内面と小容器4外面との間隙を上方から閉塞して、収容部1の内面と小容器4外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、この暖気が蓋部2側で冷却されることがなくなり、よって、収容部1,蓋部2及び小容器4に高価なあるいは複雑な断熱構造を施すことなく、簡易な構成にして簡単に組み込み可能な前記偏平板5を備えるだけで、小容器4に収容した調理材の保温性が向上する。
【0025】
また、例えば、前記偏平板5を前記上下複数段積み重ね収容される小容器4と小容器4との間に載置配設した構成とした場合、収容部1の内面と下側の小容器4外面との間隙に暖気を閉じ込めることにより、下側の小容器4に収容した調理材の保温性を簡単に向上できるとともに、この暖気が収容部1の内面と上側の小容器4外面の間隙に上昇することがなく、上側の小容器4に収容した調理材がこの暖気により温熱されることがない。
【0026】
即ち、仮に下側の小容器4に熱いみそ汁や暖かいご飯を収容して、上側の小容器4に漬物や生野菜等を含んだおかずを収容した場合、このみそ汁やご飯を温熱な状態に保ち得るとしても、一方で、この熱いみそ汁や暖かいご飯の暖気が、上側の小容器4に収容した漬物や生野菜等を含んだおかずを必要以上に温めてしまい、おかずをある程度の温度(常温)に保つことができない場合があった。この点、本発明は、偏平板5が収容部1の内面と下側の熱いみそ汁や暖かいご飯を収容する小容器4外面との間隙を上方から閉塞して、収容部1の内面と下側の熱いみそ汁や暖かいご飯を収容する小容器4外面との間隙に暖気を閉じ込めるため、下側の小容器4のみそ汁やご飯の温熱を確実に行う一方で、この下側の小容器4に収容した熱いみそ汁や暖かいご飯の暖気が、収容部1の内面と上側の小容器4外面の間隙に上昇することがなくなり、よって、上側の小容器4のおかずが暖気により必要以上に温熱されることがないので、例えば、おかずの温熱を避けるために、おかずを収容体3に入れずに寒冷な外気によりおかずが過度に冷却されてしまうなどといったこともなく、おかずを熱いみそ汁や暖かいご飯とともに収容しても、適温で保持し得るランチジャーとなる。
【0027】
また、例えば、前記下側に配設される小容器4の上部に前記偏平板5を載置配設してこの小容器4と収容部1の内面との間隙を上方から閉塞してこの下側の小容器4の暖気が上側の小容器4の周囲へ上昇伝達することを阻止するように構成した場合、小容器4を下から順番に重ね入れる際に、この小容器4の上部に偏平板5を載置配設するという簡易な手段で、小容器4と小容器4とが所望の位置で断熱セパレートされ、特別な係止構造や着脱構造を設けずとも所望の位置に簡単に着脱自在にセットでき、前記保温並びに上方への暖気遮断が簡単にして確実となる。
【0028】
また、例えば、前記偏平板5は、柔軟性を有する材質で前記収容部1の内径より径大な構成とし、この偏平板5を前記上部開口部から前記収容部1内へ取り付ける際に、この偏平板5の外周縁部を屈曲させて前記収容部1の内面に弾圧当接して、この収容部1の内面と前記小容器4外面との間隙を上方から閉塞するように配設した構成とした場合、偏平板5の外周縁部が屈曲しながら前記収容部1の内面に弾圧当接する為、この偏平板5を収容部1に取り付け取り外しする際の取扱い性が良好となる上、この偏平板5の外周縁部と収容部1の内面とが簡単に密着する。
【0029】
また、例えば、前記偏平板5は、柔軟性を有する材質で構成すると共に、補強若しくは保形のための芯材6を埋設若しくは付設した構成とした場合、偏平板5が小容器4と小容器4との間若しくは小容器4の上部に密着して小容器4と小容器4との間若しくは収容部1の内面と小容器4外面との間隙を上方から密着断熱するとともに、芯材6がこの偏平板5を補強及び保形し、取り付けや取り外しの際に変形しないため取り扱い性が向上し、耐久性も向上する。
【0030】
また、前記偏平板5は、リング状に構成した場合、中空部分の材料が節約でき低コスト化し得るだけでなく、このリング状の偏平板5の内側縁を掴むことにより、取り付けや取り外しが一層容易となる。
【実施例】
【0031】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例は、図1,2に図示したように、断熱構造を有する収容部1と、この収容部1の上面を覆う蓋部2と、蓋部2で収容部1の上面側を覆った際の閉じ状態を維持するロック装置8と、箸入れ部9とから構成されるとともに、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器4を、前記収容部1内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーである。
【0033】
また、本実施例は、前記収容部1の内径と同等若しくは径大な偏平板5を、前記上下複数段積み重ね収容される小容器4と小容器4との間に配設し、この偏平板5の外周縁部をこの収容部1の内面に当接させて、この偏平板5より下側の前記小容器4外面とこの収容部1の内面との間隙を上方から閉塞するように配設した場合である。
【0034】
以下に各部を詳しく説明する。
【0035】
前記収容部1は、筒状の容器であって、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を保温しながら収容する一般的な断熱構造を有している。
【0036】
前記蓋部2は、前記収容部1の外径と略同等の内径を有する合成樹脂材からなる無底筒箱状のものであり、この蓋部2を前記収容部1に被嵌することで、この収容部1の上面側を覆う構成としている。
【0037】
また、前記収容部1の上面側を蓋部2で覆った際の閉じ状態を維持するためにロック装置8が設けられるとともに、この収容部1の外側面には箸入れ部9が設けられている。
【0038】
前記小容器4は、無蓋状の本体と、その上部の開口部を閉塞及び開放自在な蓋部とから成る一般的なものであり、合成樹脂材等で形成されている。
【0039】
具体的には、みそ汁を収容するための無蓋状の本体41a及びこの本体の上部開口部を開閉自在な蓋部42aによりなる汁容器4A、ご飯を収容するための無蓋状の本体41b及びこの本体の上部開口部を開閉自在な蓋部42bによりなる飯容器4B及びおかずを収容するための無蓋状の本体41c及びこの本体の上部開口部を開閉自在な蓋部42cによりなる菜容器4Cにより構成している。
【0040】
前記偏平板5は、前記収容部1の内径と同等若しくは径大な直径のリング状の盤板であって、このようなリング状の形状とすることで、このリングの内側縁を掴んで、収容部1内への取り付けや取り外しを簡単に行うことができる。
【0041】
具体的には、このリング状の偏平板5は、シリコンゴム等の柔軟性を有する材質で成形されている。よって、この偏平板の外周縁部が屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有することとなり、従って、本実施例の偏平板5は、図9に図示したように、前記収容部1の内面に屈曲柔軟若しくは弾圧当接し得ることは勿論、前記小容器4の上側若しくは前記小容器4と小容器4との間に密着当接する。
【0042】
更に具体的には、この偏平板5は、周縁が平面視において縁端側程狭幅する先細り形状に形成されている。よって、この偏平板5の周縁の可撓性が向上し、収容部1に取り付け取り外しする際の取り扱い性が良好となり、この偏平板5の外周縁部が収容部1の内面に一層簡単に密着する。
【0043】
また、前記偏平板5は、図3,4に図示したように、補強若しくは保形のための芯材6を埋設若しくは付設した構成としている。
【0044】
具体的には、前記芯材6は、PP(ポリプロピレン),PE(ポリエチレン),PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂をリング状に形成し、この芯材6を、図3に図示したように前記偏平板5の内周縁部から挿入及び取り外し可能な状態に配設している。
【0045】
従って、芯材6がこの偏平板5を補強及び保形し、この偏平板5の耐久性が向上し、変形しにくいため、収容部1内への取り付けや取り外しの際に取り扱い性が一層良好となる。
【0046】
本実施例は、前記芯材6が挟持状態となるように配設した場合を示したが、この芯材6を内部に埋設状態となるように配設しても良く、その場合、芯材6と偏平板5とが一体化するので取り扱い性が良い。
【0047】
本実施例は、前記偏平板5をリング状に構成した場合を示したが、リング状とするかわりに、図5,6に図示したような偏平板5上面の略中央部分に取手7を設けた偏平板5としても良く、その場合、芯材6が内部に埋設状態となるように配設されるか、若しくは保形性を保ち得る程度の厚みを有する偏平板5とし、この偏平板5を小容器4と小容器4同士が重なり合う部分に配設した場合、リング状偏平板5と比較して小容器4間の断熱性が向上し、小容器4の保温性が一層良好となるが、取手7を成形する必要がないことや、中空部分の材料費の節約等、成形性や量産性、コスト面等を考慮すると、リング状偏平板5とした方が好ましい。
【0048】
本実施例における前記偏平板5の配設方法を詳しく説明する。
【0049】
本実施例の偏平板5は、例えば、図1,2に図示したように、汁容器4Aの上に積み重ねた飯容器4Bの上部に載置配設している。また、この偏平板5の上側には、菜容器4Cが2段積み重ねられた状態としている。
【0050】
このように、温かいご飯を収容した飯容器4Bとおかずを収容した菜容器4Cとの間に、前記偏平板5を配設すると、この偏平板5の外周縁部が収容部1の内面に密着当接した状態となって、収容部1の内面と前記飯容器4B外面及び前記汁容器4Aとの間隙が上部から閉塞され、前記飯容器4B及び前記汁容器4Aの暖気が収容部1の内面と前記飯容器4B外面及び前記汁容器4Aとの間隙に閉じ込められることとなる。
【0051】
よって、前記偏平板5より下側の前記飯容器4B及び前記汁容器4Aに夫々収容された温かいご飯やみそ汁が冷めにくく、保温性が簡単に向上する。
【0052】
また、前記飯容器4B及び前記汁容器4Aの暖気が収容部1の内面と前記飯容器4B外面及び前記汁容器4Aとの間隙に閉じ込められて、この暖気が収容部1の内面と上側の菜容器4C外面との間隙には上昇することがないため、上側の菜容器4Cに収容した調理材がこの暖気により温熱されることがない。即ち、上側の菜容器4に漬物や生野菜等を詰めた場合に、この漬物や生野菜等の温熱を防止できる。
【0053】
更に、上側の菜容器4Cと、下側の飯容器4Bとが、その間に配設される偏平板5により密着断熱され、前記下側の飯容器4Bと上側の菜容器4Cとが直接積み重なることにより暖気が伝わることが防止される。
【0054】
尚、例えば、下側から汁容器4A,飯容器4B,菜容器4C,偏平板5,菜容器4Cの順で積み重ねた場合、偏平板5の下側の菜容器4Cには暖かい調理材を収容して冷めにくくできるとともに、偏平板5の上側の菜容器4Cには漬物や生野菜等を収容し、この漬物や生野菜等の温熱を防止することができる。
【0055】
従って、偏平板5を小容器4の上部に載置配設する簡易な手段で、前記汁容器4Aや前記飯容器4B,前記菜容器4Cを収容する収容部1と、この収容部1の上部開口部を閉塞する蓋部2とによりなる収容体3の保温性が向上する。
【0056】
尚、本実施例は、前記偏平板5を複数の小容器4の間に1箇所配設した場合を示したが、図7に図示したように、前記偏平板5を二段に重ねた小容器4の間に1箇所配設した場合においても、本実施例と同様、前記偏平板5より下側の小容器4の保温性が簡単に向上するとともに、この下側の小容器4の暖気により上側の小容器4に収容した調理材が温熱されることがない。
【0057】
また、図8は、前記偏平板5を複数の小容器4の間に複数箇所配設した場合を図示したものである。
【0058】
即ち、複数段積み重ね状態にされた全ての小容器4の上部に偏平板5を載置した構成とした場合、収容部1の内面と各小容器4外面の間隙が夫々上方から閉塞されるので各小容器4の夫々の保温性が向上する。
【0059】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施例のランチジャーの一部切欠きの斜視図である。
【図2】本実施例のランチジャーの側面図である。
【図3】本実施例の偏平板5の斜視図である。
【図4】本実施例の偏平板5の断面図である。
【図5】偏平板5の別例を示す斜視図である。
【図6】偏平板5の別例を示す断面図である。
【図7】ランチジャーの別例を示す側面図である。
【図8】ランチジャーの別例を示す側面図である。
【図9】本実施例の偏平板5と収容部1との当接状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 収容部
2 蓋部
3 収容体
4 小容器
5 偏平板
6 芯材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と、この収容部の上部開口部を閉塞する蓋部とによりなる収容体に、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器を前記収容部内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーにおいて、前記収容部の内径と同等若しくは径大な偏平板を、この偏平板の外周縁部をこの収容部の内面に当接させてこの収容部の内面と前記小容器外面との間隙を上方から閉塞するように配設したことを特徴とするランチジャー。
【請求項2】
前記偏平板を前記上下複数段積み重ね収容される小容器と小容器との間に配設したことを特徴とする請求項1記載のランチジャー。
【請求項3】
前記下側に配設される小容器の上部に前記偏平板を載置配設して、この小容器外面と収容部の内面との間隙を上方から閉塞してこの下側の小容器の暖気が上側の小容器の周囲へ上昇伝達することを阻止するように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のランチジャー。
【請求項4】
前記偏平板若しくは偏平板の前記収容部の内面に当接する外周縁部は、屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のランチジャー。
【請求項5】
前記偏平板は、柔軟性を有する材質で構成すると共に、補強若しくは保形のための芯材を埋設若しくは付設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のランチジャー。
【請求項6】
前記扁平板は、リング状に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のランチジャー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と、この収容部の上部開口部を閉塞する蓋部とによりなる収容体に、みそ汁やご飯やおかず等の調理材を収容する複数の小容器を前記収容部内に上下複数段積み重ね状態にして収容自在に構成したランチジャーにおいて、前記収容部の内径より径大であって且つ屈曲柔軟性若しくは弾圧当接し得る弾性を有する材質で先細り形状に構成された外周縁部を有する偏平板を、この偏平板の前記外周縁部をこの収容部の内面に当接させてこの収容部の内面と前記小容器外面との間隙を上方から閉塞するように配設したことを特徴とするランチジャー。
【請求項2】
前記偏平板を前記上下複数段積み重ね収容される小容器と小容器との間に配設したことを特徴とする請求項1記載のランチジャー。
【請求項3】
前記下側に配設される小容器の上部に前記偏平板を載置配設して、この小容器外面と収容部の内面との間隙を上方から閉塞してこの下側の小容器の暖気が上側の小容器の周囲へ上昇伝達することを阻止するように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のランチジャー。
【請求項4】
前記偏平板は、柔軟性を有する材質で前記収容部の内径より径大な構成とし、この偏平板を前記上部開口部から前記収容部内へ取り付ける際に、この偏平板の外周縁部を屈曲させて前記収容部の内面に弾圧当接して、この収容部の内面と前記小容器外面との間隙を上方から閉塞するように配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のランチジャー。
【請求項5】
前記偏平板は、柔軟性を有する材質で構成すると共に、補強若しくは保形のための芯材を埋設若しくは付設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のランチジャー。
【請求項6】
前記扁平板は、リング状に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のランチジャー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−42944(P2006−42944A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224920(P2004−224920)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(592058256)株式会社タフコ (5)
【Fターム(参考)】