説明

ランプクリーナ

【課題】 構成の複雑化を生じることなくランプクリーナで噴射する洗浄液量の増大を防止し、規定の洗浄回数を確保する一方で洗浄液タンクの大型化を防止する。
【解決手段】 車載バッテリ15を電源とするクリーナモータ13を回転してランプ洗浄液を噴射するランプクリーナにおいて、洗浄液を噴射する際のクリーナモータ13の回転を制御するクリーナ制御手段1を備えており、クリーナ制御手段1(演算回路20)はバッテリ15の電圧を検出する電圧検出手段201と、検出した電圧により噴射量が増大しないようにクリーナモータ13の回転時間を制御するタイマ制御手段202とを備える。タイマ制御手段202はバッテリ電圧が基準電圧よりも大きいときに、当該電圧に応じてタイマ時間を短縮する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両のヘッドランプのレンズや前面カバーを清浄するためのランプクリーナに関し、特にモータを駆動源とするポンプを利用して洗浄液をランプに向けて噴射して清浄を行うためのランプクリーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドランプはレンズや前面カバー(以下、レンズ等と称する)に泥や塵埃等の異物が付着するとランプ内の光源から出射した光の透過率が低下し、自動車の前方の照明効率が低下したり、異物によって光の散乱が生じて対向車や先行車等を眩惑する要因になる。これを防止するためにランプの前面カバーを洗浄するためのランプクリーナが設けられており、このランプクリーナによって前面カバーでの光の透過率、すなわち配光回復率を法規で規定されている70%以上を確保している。この種のランプクリーナとして洗浄液をランプのレンズ等に向けて噴射するランプクリーナが提供されている。このランプクリーナは車載バッテリを電源として回転するモータを駆動源とするポンプを設け、洗浄液タンク内に溜めている洗浄液をポンプによって吸い上げ、その吸い上げ圧を利用して噴射ノズルからレンズ等に向けて洗浄液を霧状に噴射させるものである。
【0003】
このようなランプクリーナでは、1回に噴射する洗浄液の量を管理することが重要であり、液量が余りに少ないと十分な洗浄を行うことができず、噴射量が多過ぎると洗浄液が無駄に消費されることになる。特に、後者の場合には、自動車に規定されている洗浄液タンクの容量、すなわち50回又は25回の作動後、洗浄液の残量が1000cm3 あることを満たすためには無駄な噴射量の分だけ洗浄液が無駄に消費され、規定のクリーナ回数を満たすことが難しくなり、その一方では洗浄液タンクの容量が大きくなって洗浄液を洗浄タンクに入れたときの重量が重くなり、近年における自動車のエコロジー化で要求されている自動車の総重量の低減を実現する際の障害になる。洗浄液の無駄な噴射を防止するための技術として、タイマを用いてモータの回転時間を管理する技術が提案されている。すなわち、モータを一定時間だけ回転すれば噴射量を一定に管理して配光回復率70%を確保することができ、洗浄液の無駄な消費を防止することができるとの考えに立脚するものである。
【0004】
しかし、自動車においては種々の原因によって車載バッテリの電圧が変動することが多く、また、ランプクリーナのモータは直流モータで構成されているために、電源電圧が変動するとこれに伴って回転速度が変化され、タイマで設定した一定時間におけるモータの回転数が変化されてしまい、モータの回転数と密接な関係のある噴射量も変化してしまうことなる。特に、自動車のエンジンが駆動しているときにはバッテリ充電用のオルタネータが駆動してバッテリに対してバッテリ電圧の12V以上の電圧、例えば14.5V程度の電圧が印加されることがある。このように、車載バッテリの電圧が上昇するとモータの回転数が増加し、結果として噴射量が増加する。このような問題に対処するため、特許文献1にはモータの回転数を直接管理する技術が提案されている。特許文献1ではモータの回転に伴って発生するパルスを計測し、所定のパルス数を計測したときにモータの回転を停止することでモータの回転数を一定数に制御して噴射量を一定に管理している。
【特許文献1】特開平5−162619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術はモータの回転数を一定に保ち、噴射量を一定に保つことができるので極めて有効な技術である。しかし、これを実現するためにはモータの制御系にモータの回転数を計測する手段や、所定の回転数を計測したときにモータの回転を停止させるための手段が必要であるため、これらの手段を構成する機械的部品や電気的部品によって制御系の構成が複雑になるとともに大型化、重量増加が生じてしまう。すなわち、洗浄液タンクの容量を低減して重量の低減を図る面では有効であるが、その一方でランプクリーナの制御系におけるスベースや重量の増加が生じることになり洗浄液タンクの重量低減の効果が失われてしまうことになる。
【0006】
本発明の目的は機械的、電気的な構成の複雑化を生じることなく噴射量の増大を防止し、これにより規定の洗浄回数を確保する一方で洗浄液タンクの容量がいたずらに大きくなることを防止したランプクリーナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車載バッテリを電源とするモータを回転してランプの洗浄液を噴射するランプクリーナにおいて、洗浄液を噴射する際のモータの回転を制御するクリーナ制御手段を備えており、クリーナ制御手段はバッテリの電圧を検出する電圧検出手段と、検出した電圧により噴射量が増大しないようにモータを回転するタイマ時間を制御するタイマ制御手段とを備えることを特徴とする。特に、本発明において、タイマ制御手段は検出された電圧が基準電圧よりも大きいときに、当該電圧に応じてタイマ時間を短縮する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電圧検出手段がバッテリ電圧の上昇を検出し、モータの回転速度が速くなったときにはタイマ制御手段がモータの回転時間を短縮することにより噴射する洗浄液が増大することを防止する。これらの電圧検出手段とタイマ制御手段は電気回路で構成することが可能であるので、モータの回転数を検出するための機械的、電気的な付加部品が不要になり構成の複雑化を生じることなく噴射量の無駄な増大が防止でき、規定の洗浄回数を確保する一方で洗浄液タンクの容量を低減することが可能になる。
【実施例1】
【0009】
次に、本発明の実施例1を説明する。図1は本発明にかかるランプクリーナを適用した自動車の前部の概略図であり、自動車の左右のヘッドランプLHL,RHLの各前面カバーに臨む位置にそれぞれクリーナノズル2が配設され、洗浄液を各前面カバーの表面に噴射できるようになっている。これらクリーナノズル2はホース3を通じて連通された上でクリーナポンプ4に接続されており、クリーナポンプ4は駆動されたときに洗浄液タンク5に溜められた洗浄液を吸い上げてホース内を圧送し、クリーナノズル2から噴射させるようになっている。前記クリーナポンプ4を駆動するための後述するクリーナモータ13(図2参照)は直流モータで構成されており、クリーナ制御回路1によってその回転が制御されるようになっている。また、この実施例1では自動車のフロントガラスを清浄化するためのウインドウォッシャが設けられており、ランプクリーナはこのウインドウォッシャに関連付けられて動作されるようにも構成されている。ウインドウォッシャはフロントガラスに洗浄液を噴射するためのウォッシャノズル7を配設しており、洗浄液の噴射と同時にワイパー8を駆動してフロントガラスを洗浄する。ウインドウォッシャで用いる清浄液はランプクリーナの清浄液と兼用されており、前記洗浄液タンク5の洗浄液を後述するウォッシャモータを駆動源とするウォッシャポンプ9により吸い上げて噴射させるようになっている。前記自動車の車室内には前記ランプクリーナを動作させるためのワンプッシュ式のクリーナスイッチ6が設けられており、運転者によってオン/オフ操作されるようになっている。また、図1には表れないが、前記ヘッドランプLHL,RHLを点灯するためのヘッドランプスイッチ11とウインドウォッシャを動作させるためのウォッシャスイッチ12も設けられている(図2参照)
【0010】
図2は前記クリーナ制御回路1を含む制御系の回路構成図であり、ヘッドランプ点灯回路及びウォッシャ制御回路と関連付けられた構成とされている。ヘッドランプ点灯回路は、ヘッドランプLHL,RHLを点灯/消灯するためのヘッドランプリレー14を備えており、ヘッドランプスイッチ11をオンしたときにバッテリ15をヘッドランプリレー14に接続することでヘッドランプLHL,RHLを点灯する回路である。ウォッシャ制御回路は前記ウォッシャポンプ9の駆動源となるウォッシャモータ16をイグニッションスイッチ17を介してバッテリ15に接続し、かつこのウォッシャモータ16をウォッシャスイッチ12を介して接地端子に接続しており、ウォッシャスイッチ12をオンしたときにウォッシャポンプ9を駆動し、洗浄液タンク5の洗浄液をウォッシャノズル7からフロントガラスに噴射させる回路である。このとき同時にワイパー8を動作させることは言うまでもない。
【0011】
クリーナ制御回路1は前記したクリーナスイッチ6とクリーナポンプ4の駆動源としてのクリーナモータ13に加えて、演算回路20と、タイマ定数回路21と、クリーナリレー22を備えた1つのユニットとして構成している。このクリーナ制御回路1は複数の端子を備えている。すなわち、クリーナ制御回路1のIG端子には前記イグニッションスイッチ17を介してバッテリ15が接続される。H端子には前記クリーナスイッチ6の一端が接続される。このクリーナスイッチ6の他端は前記ヘッドランプリレー14とヘッドランプスイッチ11の接続点に接続されている。FRWA端子には前記ウォッシャモータ16とウォッシャスイッチ12の接続点に接続されている。HDLO端子は前記ヘッドランプリレー14とヘッドランプスイッチ12の接続点に接続されている。さらに、前記クリーナリレー22の出力端子であるPB端子には前記クリーナポンプ4を駆動するクリーナモータ13が接続され、E端子は接地されている。
【0012】
前記演算回路20はいわゆるマイクロコンピュータ又はカスタムICで構成されており、IG端子を介してバッテリ電圧(VBB)が入力されたときにパワーオンするように構成され、FRWA端子、HDLO端子、H端子の入力状態、すなわち入力される信号レベルに基づいて予め設定された所要の演算を行い、クリーナリレー22をオン/オフ制御するように構成されている。特に、演算回路20は、IG端子に入力されたバッテリ電圧VBBを検出する電圧検出手段201と、タイマ定数回路21で設定されるタイマ時間を制御してクリーナリレー22をオンする時間を制御するタイマ制御手段202とを有している。電圧検出手段201は検出したバッテリ電圧(VBB)を基準電圧(13V)と比較する。タイマ制御手段202は電圧検出手段201で電圧を比較した結果に基づいてクリーナリレー22をオンする時間を制御するようになっている。電圧検出手段201については一般的に使用される電圧検出手段をそのまま利用することができる。タイマ制御手段202はここではプログラミング等のソフト的な構成によって実現している。すなわち、タイマ定数回路21は内蔵した、又は外付けした抵抗とコンデンサによって基準タイマ時間が設定されるようになっており、前記タイマ制御手段202はこの基準タイマ時間を参照し、基準タイマ時間、あるいはこれを修正したタイマ時間だけ前記クリーナリレー22をオン動作させるようになっている。このタイマ制御手段202でのタイマ制御は、例えば内部クロックをカウントすることでタイマ時間を計時するように構成される。
【0013】
以上の構成のランプクリーナの動作を説明する。図3(a)はクリーナ制御回路1における動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、基本的にはIG端子のレベルを検出してイグニッションスイッチ17がオンされているか否かを判定し(S11)、次いでHDLO端子のレベルを検出してヘッドランプHLH,RHLが点灯しているときに(S12)、H端子のレベルを検出してクリーナスイッチ6がオンされているか否かを判定し(S13)、クリーナスイッチ6がオンされているときにクリーナリレー22をオンしてPB端子の信号でクリーナモータ13を回転し(S14)、クリーナ動作を実行するフローとなっている。
【0014】
この動作を図4(a)のタイミング図を参照して説明する。イグニッションスイッチ17がオンされると演算回路20にバッテリ電圧(VBB)が印加されるので演算回路20はパワーオンし、クリーナ制御回路1がクリーナ動作可能な状態になる。タイミングt1においてクリーナスイッチ6がオンされると、H端子にはヘッドランプリレー14とヘッドランプスイッチ11との接続点の電圧が入力される。しかし、ヘッドランプスイッチ11がオフされているときにはH端子の電圧はほぼバッテリ15の電圧であるのでH端子は“H”となり、演算回路20はクリーナリレー22をオフのままに保持する。したがってPB端子は“H”レベルのままであり、クリーナモータ13は回転されずクリーナ動作を行わない。タイミングt2でヘッドランプスイッチ11がオンされてヘッドランプLHL,RHLが点灯され、このときにタイミングt3でクリーナスイッチ6がオンされるとH端子は“L”になり、演算回路20はクリーナリレー22をオンにする。これにより若干の遅れをもってPB端子は“L”レベルとなり、クリーナモータ13が回転を開始しクリーナポンプ4を駆動して洗浄液タンク5の洗浄液を噴射し、ヘッドランプLHL,RHLのクリーナ動作を実行する。このクリーナ動作は演算回路20において設定されている基準タイマ時間に基づいてT1時間だけ行われ、タイミングt4においてクリーナ動作が停止される。すなわち、ヘッドランプLHL,RHLが点灯しているときにのみクリーナスイッチ6のオンによりクリーナ動作を実行することになる。なお、クリーナ動作を行っている間に再度クリーナスイッチ6がオンされてもこれは無視される。
【0015】
図3(b)はクリーナ制御回路1での他の動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、基本的にはIG端子のレベルを検出してイグニッションスイッチ17がオンされているか否かを判定し(S21)、次いでヘッドランプLHL,RHLが点灯されているか否かを判定し(S22)、ヘッドランプLHL,RHLが点灯されているときにFRWA端子のレベルを検出してウォッシャスイッチ12がオンされているか否かを判定し(S23)、ウォッシャスイッチ12がオンされているときにはクリーナスイッチ6がオンされなくてもクリーナリレー22をオンしてPB端子の信号でクリーナモータ13を回転し(S24)、クリーナ動作を実行するフローとなっている。
【0016】
この動作を図4(b)のタイミング図を参照して説明する。イグニッションスイッチ17がオンされてIG端子にバッテリ電圧(VBB)が印加されているときにタイミングt11においてヘッドランプスイッチ11がオンされてHDLO端子が“L”レベルになっても、ウォッシャスイッチ12がオフでFRWA端子が“H”レベルであり、かつクリーナスイッチ6がオフされてH端子が“H”レベルのときには、クリーナモータ13は回転せず、クリーナ動作は行われない。また、これとは反対にタイミングt12においてウォッシャスイッチ12がオンされてウォッシャ動作が行われ、同時にFRWA端子が“L”レベルになってもヘッドランプスイッチ11がオフされてHDLO端子が“H”レベルのときにもクリーナモータ13は回転しない。なお、ウォッシャ動作はウォッシャスイッチ12のオンによりウォッシャモータ16が駆動され、ウォッシャポンプ9により洗浄タンク5内の洗浄液が吸い出されウォッシャノズル7からフロントガラスに噴射される。また、これと同時にワイパー8も同時に動作してフロントガラスを払拭する動作である。
【0017】
タイミングt13において、ヘッドランプスイッチ11がオンされてヘッドランプLHL,RHLが点灯されているときにウォッシャスイッチ12がオンされると、HDLO端子とFRWA端子が共に“L”レベルになり、このときクリーナスイッチ6がオフされてH端子が1“L”になっていなくてもクリーナモータ13が回転され、クリーナ動作が実行される。すなわち、ヘッドランプスイッチ11がオンされてHDLO端子が“L”レベルのときにウォッシャスイッチ12がオンされてFRWA端子が接地されて“L”になると演算回路20はクリーナスイッチ6をオンしなくてもクリーナ動作を実行する。したがって、ヘッドランプ点灯時にウォッシャが動作されるときにはこれと同時にクリーナ動作が実行されることになる。
【0018】
なお、タイミングt14では、ウォッシャスイッチ12がオンされている状態のときにヘッドランプスイッチ11がオンされたときにもクリーナ動作を実行する。また、タイミングt15では、ウォッシャスイッチ12とヘッドランプスイッチ11がオンされている状態のときにイグニッションスイッチ17をオンされたときにもクリーナ動作を実行する。
【0019】
以上のようにしてクリーナ動作が実行されたときに本発明にかかる洗浄液の無駄な消費を防止する制御が行われる。図5はそのフローチャートである。演算回路20ではバッテリ電圧が予め設定した基準電圧(ここでは13V)のときにクリーナモータ13が所定数だけ回転してクリーナポンプ4において所定量の洗浄液を噴射するようにクリーナモータ18の回転時間を基準タイマ時間として設定している。そして、クリーナリレー22に通電する条件、すなわちクリーナ動作を行う条件が成立したことを確認すると(S31)、クリーナモータ13を回転する制御時間、すなわちタイマ動作時間をタイマ定数回路21で設定されるタイマ時間に基づいて設定する。このとき、IG端子に入力されるバッテリ電圧を検出し、検出したバッテリ電圧を基準電圧13Vと比較する(S32)。自動車のエンジンが駆動される等してバッテリ電圧が基準電圧よりも上昇したときにはクリーナモータ13の回転速度はバッテリ電圧の上昇にほぼ比例して増大されてしまうため、演算回路20によりタイマ時間を基準タイマ時間よりも短縮する制御を行い(S33)、この短縮したタイマ時間だけクリーナモータ13を回転させるようにクリーナリレー22のオン時間を制御する(S34)。
【0020】
図6はバッテリ電圧とタイマ時間との関係を示す図であり、横軸がバッテリ電圧、縦軸がタイマ時間である。演算回路20は検出したバッテリ電圧が基準電圧13Vより高くなったときには、当該バッテリ電圧の上昇に反比例するようにタイマ時間を短縮する。すなわち、バッテリ電圧が高くなってクリーナモータ13の回転速度が高速になった場合でも回転数がほぼ一定数になるように回転時間を短縮する。これにより、同図にも示すように洗浄液の噴射量は増大することなくほぼ一定に保たれる。したがって、バッテリ電圧の上昇にかかわらず洗浄液が無駄に噴射されることはなく、洗浄液を節約して規定の洗浄回数を確保する一方で洗浄液タンクの大型化が防止される。電圧変化に対応してタイマ時間を変化制御する。
【0021】
一方、ランプの点灯やエアコンの使用等によってバッテリ電圧が基準電圧よりも低下したときには、プロセッサはタイマ時間を短縮することなく基準タイマ時間を保持する。このときにはクリーナモータ13の回転数はバッテリ電圧の低下に伴って低減され、洗浄液の噴射量も徐々に低減される。なお、バッテリ電圧は実際には12Vよりも低下することは少なく、また演算回路20によりバッテリ電圧が13Vのときに設定している基準タイマ時間はヘッドランプの配光回復率70%を満たすのに十分な時間に設定されているので、バッテリ電圧の低下に伴うクリーナモータ13の回転数の低下は僅かであり、規定を満たす洗浄を確保することができる。あるいは、バッテリ電圧が低下した場合に、延在回路20においてタイマ時間を増大することでクリーナモータ13の回転数を一定数となるように制御し、洗浄液の噴射量を一定量に保持するような制御を行うことも可能である。
【0022】
このように、クリーナ制御回路1においては、演算回路20の電圧検出手段201がバッテリ電圧の上昇を検出し、このバッテリ電圧の上昇によってクリーナモータ13の回転速度が速くなったときにはタイマ制御手段202においてタイマ時間を短縮し、これに伴ってクリーナモータ13の回転時間を短縮することにより、クリーナモータ13の回転数を一定に保持し、クリーナモータ13を駆動源とするクリーナポンプ4により噴射する洗浄液を一定に保持し、その増大を防止する。そして、これらの電圧検出手段201とタイマ制御手段202は演算回路20内での電気回路やソフト(プログラミング)構成によって実現することが可能であるので、従来の技術におけるようなクリーナモータ13の回転数を検出するための機械的、電気的な付加部品が不要になり構成の複雑化を生じることなく噴射量の無駄な増大が防止でき、規定の洗浄回数を確保する一方で洗浄液タンクの容量を低減することが可能になる。
【0023】
本発明においてはクリーナモータを回転動作させるための条件として、実施例1の条件に加えて、あるいは代えて、例えば、ウォッシャスイッチをオンした回数に応じてクリーナモータを回転して洗浄液を噴射するようにしてもよい。あるいは、ウォッシャスイッチをダブル操作(連続して2回オン操作する)したときにクリーナモータを回転して洗浄液を噴射するようにしてもよい。
【0024】
実施例では演算回路で設定する基準タイマ時間を外付けの抵抗RとコンデンサCで決定しているが、タイマ計時を内部クロックをカウントするソフトタイマとして構成し、プログラミングによってカウントするクロック数を制御することによって基準タイマ時間を設定するように構成してもよい。このようにすれば外付けの抵抗やコンデンサを不要にしてクリーナ制御手段の構成をより簡略化することができる。
【0025】
本発明のランプクリーナは実施例1の構成に限定されるものではない。例えば、洗浄液タンクはウインドウォッシャの洗浄液タンクと独立したタンクとして構成し、あるいはランプクリーナの洗浄動作はウインドウォッシャとは独立して制御するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のランプクリーナを装備した自動車の概念構成図である。
【図2】ランプクリーナの回路構成図である。
【図3】ランプクリーナのクリーナ動作を説明するフローチャートである。
【図4】ランプクリーナのクリーナ動作のタイミング図である。
【図5】ランプクリーナにおけるタイマ時間制御のフローチャートである。
【図6】ランプクリーナにおけるバッテリ電圧とタイマ時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 クリーナ制御回路
2 クリーナノズル
4 クリーナポンプ
5 洗浄液タンク
6 クリーナスイッチ
7 ウォッシャノズル
8 ワイパー
9 ウォッシャポンプ
11 ヘッドランプスイッチ
12 ウォッシャスイッチ
13 クリーナモータ
14 ヘッドランプリレー
15 バッテリ
20 演算回路
21 タイマ定数回路
22 クリーナリレー
201 電圧検出手段
202 タイマ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載バッテリを電源とするモータを回転してランプの洗浄液を噴射するランプクリーナにおいて、前記洗浄液を噴射する際のモータの回転を制御するクリーナ制御手段を備えており、前記クリーナ制御手段は前記バッテリの電圧を検出する電圧検出手段と、検出した電圧により噴射量が増大しないように前記モータを回転するタイマ時間を制御するタイマ制御手段とを備えることを特徴とするランプクリーナ。
【請求項2】
前記タイマ制御手段は、検出された電圧が基準電圧よりも大きいときに、当該電圧に応じてタイマ時間を短縮することを特徴とする請求項1に記載のランプクリーナ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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