説明

ランプレンズ

【課題】外観上の見映えを良好することができるランプレンズを提供する。
【解決手段】ランプレンズ10は、レンズ20と、レンズから突出し、レンズと一体形成されたフックを備えている。フック30は、その先端にレンズ側からの入射光50に対し臨界角以上に傾けられた傾斜面32を備えている。フックは傾斜面からの光を受光する面を備え、受光面は反射処理または再帰性反射構造を有しており、フック部が暗がりとして目立つことをなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はランプレンズに関し、特に、固定用のフックを備えたランプレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドランプやテールランプ等に使用される車両用灯具は、例えば、ハウジングと、ハウジングに配置された光源と、ハウジングに配置され光源の光を反射するリフレクタと、ハウジングの開口部を覆うランプレンズで構成されている。
【0003】
ランプレンズには、レンズ面に対し略垂直に延びる、固定用のフックが一体的に設けられている。このフックと、対応する位置に設けられた穴部を係合することで、ランプレンズが固定される。
【0004】
ところで、ランプレンズは、一般的に、光源の光が透過できるよう透過性樹脂で形成されている。そのため、ランプレンズに一体成形されたフックを通して、ハウジングの内部が意匠側から見えてしまい、外観上の見映えが劣るという問題があった。
【0005】
この問題を解決するため、例えば、特許文献1では、シール溝とレンズ脚部間の凹凸係合部を外壁から露出しないようにしている。
【特許文献1】実開平6−62406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構造では、レンズ、シール部材とリムを利用してシール溝とレンズ脚部間の凹凸係合部を外壁から露出しないようにしているため、複雑な構造となっている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、外観上の見映えを良好にすることができるランプレンズを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のランプレンズは、レンズと、前記レンズから突出し、該レンズと一体形成されたフックを備え、前記フックは、その先端に前記レンズ側からの入射光に対し臨界角以上に傾けられた傾斜面を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、フックの先端に臨界角以上に傾けられた傾斜面を備えているので、フックを通してハウジングの内部が見えるのを防止することができる。これにより、レンズの外観上の見映えを良好にすることができる。
【0010】
本発明のランプレンズは、前記発明において、前記フックは前記傾斜面からの光を受光する面を備え、前記受光面は反射処理されていることが好ましい。
【0011】
受光面に反射処理が施されているので、レンズ側から見た場合、周辺部と一体感のある外観上の見映えを実現することができる。
【0012】
本発明のランプレンズは、前記発明において、前記フックは前記傾斜面からの光を受光する面を備え、前記受光面は再帰性反射構造を有することが好ましい。
【0013】
受光面が再帰性反射構造を備えているので、レンズ側から見た場合、レンズ側より入射した外光が、再帰性反射構造によって全て反射されフック部より出射することにより、ハウジング内部が観察されることを防止するとともにフック部が暗がりとして観察されることを防ぐことが可能となる。このことによりレンズ側から見た時にフック部が暗がりとして目立つことなく、外観上良好な見映えを実現することができる。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明のランプレンズは、レンズと、前記レンズから突出し、該レンズと一体形成されたフックを備え、前記フックは、その先端に再帰性反射構造を有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、フックの先端に再帰性反射構造を備えているので、フックを通してハウジングの内部が見えるのを防止することができる。これにより、レンズの外観上の見映えを良好にすることができる。本発明によれば、受光面が再帰性反射構造を備えているのと同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ランプレンズに一体形成されたフックの先端に全反射面、又は再帰性反射構造を設けることで、フックを通して内部が見えるのを防止し、外観上の見映えを良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行なうことができ、本実施形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明を適用したランプレンズの斜視図を示している。図1(a)に示すように、ランプレンズ10は、レンズ20と、レンズ20から突出しレンズ20と一体形成されたフック30を備えている。ランプレンズ10は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の光透過性の樹脂材料で構成されている。本実施の形態において、レンズ20は、光源からの光を透過する前面レンズと、前面レンズから折り曲げられた部分を備えている。フック30は、その折り曲げれらた部分から突出している。
【0019】
フック30は、その先端にレンズ20側からの入射光に対し臨界角以上に傾けられた、鏡面仕上げの傾斜面32を備えている。さらに、傾斜面32で反射された光を受光する受光面34を備えている。
【0020】
レンズ20に示される領域40は、フック30の断面をレンズ20上に投影するまでの領域を示している。領域40が、フック30を通してレンズ20側から視認される領域となる。
【0021】
次に、図1(a)及び(b)を参照に、ランプレンズ10の機能について説明する。図1(b)は、ランプレンズのフック30の拡大図を示している。
【0022】
レンズ20上の領域40を通して、入射光50がフック30の傾斜面32に照射される。傾斜面32は鏡面仕上げされている。傾斜面32は、入射光50に対して、その入射角αが臨界角以上となるよう傾けられている。これにより、入射光50が傾斜面32で全反射され、上方に導かれる。傾斜面32で反射された光が、傾斜面32で反射された光50に対して、その入射角αが臨界角となるように傾けられている受光面34に反射される。それにより、受光面34がフック30を通してレンズ20上の領域40で視認される。
【0023】
このように、フック30の先端に、入射光50を全反射する傾斜面32、34を設けることで、フック30を通して内部が見られないようにすることができる。
【0024】
領域40での見映えをさらに良好にするため、受光面34に対して、レンズカット及びアルミ蒸着などの反射処理や、シボ加工を施すことが好ましい。反射処理を施すことで反射方向の制御が容易になる。また、シボ加工を施すことで、乱反射により明るく見せることが可能となる。
【0025】
反射処理を施すことで、周辺部と一体感のある見映えのランプレンズを得ることができる。
【0026】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態を、図2を参照して説明する。図2はランプレンズのフック30の拡大図を示している。なお、第1の実施形態に示したランプレンズと同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。
【0027】
図2に示すように、フック30は、その先端にレンズ20側からの入射光に対し臨界角以上に傾けられた、鏡面仕上げの傾斜面32を備えている。さらに、傾斜面32で反射された光を受光する受光面34を備えている。
【0028】
本実施の形態では、受光面34に再帰性反射構造34aを設けている。レンズ側から入射光50がフック30の傾斜面32に照射される。傾斜面32は鏡面仕上げされている。傾斜面32は、入射光50に対して、入射角αが臨界角以上となるよう傾けられている。これにより、入射光50が傾斜面32で全反射され、再帰性反射構造34aを備えた受光面34に導かれる。再帰性反射構造34aは直角三角錐形状を備えた構造である。入射光50は、再帰性反射構造34aにおいて内面で3回反射され、入射時と同一の方向に反射される。
【0029】
再帰性反射構造34aを設けることで、レンズ側より入射した外光が、再帰性反射構造によって全て反射されフック部より出射することにより、ハウジング内部が観察されることを防止するとともにフック部が暗がりとして観察されることを防ぐことが可能となる。このことによりレンズ側から見た時にフック部が暗がりとして目立つことなく、外観上良好な見映えを実現することができる。
【0030】
再帰性反射構造34aは、例えば、電鋳などにより反転型を作製することで、容易に形成することができる。
【0031】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態を、図3を参照して説明する。図3はランプレンズのフック30の拡大図を示している。なお、第1および第2の実施形態に示したランプレンズと同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。
【0032】
図3に示すように、フック30は、その先端に、入射光50に対して、入射角と同一の方向に全反射する再帰性反射面36を備えている。
【0033】
再帰性反射面36は直角三角錐形状を複数備えている。入射光50は、再帰性反射面36において内面で3回反射され、入射時と同一の方向に反射される。
【0034】
再帰性反射面36をフック30の先端に設けることで、レンズ側より入射した外光が、再帰性反射構造によって全て反射されフック部より出射することにより、ハウジング内部が観察されることを防止するとともにフック部が暗がりとして観察されることを防ぐことが可能となる。このことによりレンズ側から見た時にフック部が暗がりとして目立つことなく、外観上良好な見映えを実現することができる。
【0035】
再帰性反射面36は、例えば、電鋳などにより反転型を作製することで、容易に形成することができる。
【0036】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、上記の説明に基づいて多くの変形例が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るランプレンズを
【図2】第2の実施形態に係るランプレンズのフックの拡大図
【図3】第3の実施形態に係るランプレンズのフックの拡大図
【符号の説明】
【0038】
10…ランプレンズ、20…レンズ、30…フック、32…傾斜面、34…受光面、36…再帰性反射面、40…領域、50…入射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズから突出し、該レンズと一体形成されたフックを備え、
前記フックは、その先端に前記レンズ側からの入射光に対し臨界角以上に傾けられた傾斜面を有することを特徴とするランプレンズ。
【請求項2】
前記フックは前記傾斜面からの光を受光する面を備え、前記受光面は反射処理されている請求項1記載のランプレンズ。
【請求項3】
前記フックは前記傾斜面からの光を受光する面を備え、前記受光面は再帰性反射構造を有する請求項1記載のランプレンズ。
【請求項4】
レンズと、
前記レンズから突出し、該レンズと一体形成されたフックを備え、
前記フックは、その先端に再帰性反射構造を有することを特徴とするランプレンズ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate