説明

ラン・オン状態の検出を伴う紫外線火炎センサ

【課題】火炎検出器チューブ内のラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサを提供する。
【解決手段】UV火炎センサ(100)は、ラン・オン状態を検出するためにブレークダウン室(150)を形成するように中間チューブ(120)内で囲まれた一対の補助電極(140)を有する。これらの補助電極は、陰極板(210)の孔(230)を通してUVに曝され、低電圧により連続的に付勢される。中間チューブは、ラン・オン状態が生じたときに、ブレークダウンすることが期待される。補助電極は異なる形、形状及び位置をとることのできる主電極(130)と同じガス環境内に配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の実施の形態は一般にセンサ方法及びシステムに関する。本発明の実施の形態はまたラン・オン(run-on;継続)状態を検出するための紫外線火炎センサに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]火炎センサは、例えばヒータ又はバーナー又は他の装置内の炎の存在及び不存在を感知するために使用される。火炎検出器システムは、火の種々の特性を感知し、火が検出された場合に個人に警告するために利用できる。例えば、紫外線(「UV」)センサを利用する火炎検出器システムが知られている。火炎検出器システムにおいては、火の炎から流出するUV放射線が検出器のUVセンサにより検出される。十分な量のUV放射線が検出されたとき、火炎検出器システムは火炎を各個人に警告するために警報を発する。
【0003】
[0003]典型的には、UVセンサは、その中に含まれる一対の電極及び反応性ガスを備えたシールされたUVガラスチューブで構成することができる。典型的には、UV放射線を十分に感知するために、一定の電圧がUVセンサを横切って適用される。(典型的には100−300nmの範囲内の)ある波長のUV放射線が存在する場合、センサはUV放射線の検出を表示するために電圧を放出(放電)する。UVセンサの放電後、センサを横切る電圧は、センサがUV放射線の検出を続行できるように、回復させなければならない。典型的には、UVセンサの放電の後は、センサは周期的な期間で回復される。
【0004】
[0004]UVセンサの性能は経時的に劣化することが知られている。それゆえ、センサの性能が劣化した時期を特定するためにUVセンサの性能即ち「健全度」を監視することが重要となることがある。故障の1つのモードは、2つの電極を横切る電流の流れが炎からの紫外線光の存在を伴わずに自然に発生するような状態である。この場合、感知チューブは、実際は炎が存在しないのに炎の存在を表示してしまう。この状態は普通、当業界では「ラン・オン(run on;継続)」として参照される。
【0005】
放電前の金属表面に対する光電放射を使用する火炎検出器チューブについての欠点は、チューブが劣化したときに、チューブがラン・オンに対して対処できなくなることである。ラン・オンは、紫外線光が存在しなくなった後でさえも、発火を維持するような状態である。[0005]上述の困難に対処する努力として、ラン・オン状態を検出するために、ブレークダウン(breakdown;電流急増)状態に対して感応性を有する付加的な電極を利用できるものと思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]以下の概要は開示する実施の形態についてユニークで革新的な特徴のいくつかを理解するのを容易にするために提供され、全部の説明であることを意図しない。実施の形態の種々の態様の完全な認識は全体の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約を全体的に参照することにより得ることができる。[0007]それゆえ、本発明の1つの態様は改善されたセンサ方法及びシステムを提供することである。[0008]本発明の別の態様はラン・オン状態を検出するための改善された紫外線火炎センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0009]上述の態様並びに他の目的及び利点はここで述べるように達成することができる。火炎検出器チューブ内のラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサが開示される。センサはラン・オン状態を検出するためにブレークダウン室を形成するように中間チューブ(mesotube)内で包囲された一対の補助電極を有する。これらの補助電極は、陰極板の孔を通してUVに曝され、低電圧により付勢される。ラン・オン状態が生じたときに、中間チューブはブレークダウンすることが期待される。補助電極は異なる形、形状及び位置をとることのできる主電極と同じガス環境内に置くことができる。
【0008】
[0010]補助電極は中間チューブ内に置くことができ、主電極の通常の機能に関係しない。低電圧は補助電極に適用することができ、UV光が存在する場合に、電流はブレークダウン室から得ることができる。補助電極はUVに曝すことができ、これにより、ラン・オン状態が生じたときに、放電が発生する。作動の別のモードでは、補助電極はUVに曝されず、UV光が検出されたときに、放電を特定することによりラン・オン状態を決定することができる。補助電極は、水素レベルが「死」レベルへ減少するまで放電が生じないように、大きな距離を隔てて配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[0011]個々の図面にわたって同様の符号が同一又は機能的に同様の素子を表し、明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、さらに実施の形態を示し、詳細な説明と共に、ここで開示される実施の形態を説明するのに役立つ。[0016]非限定的な例において説明する特定の値及び形状は変えることができ、少なくとも1つの実施の形態を説明するために単に用いたものであり、その範囲を限定するものではない。
【0010】
[0017]紫外線センサは、火炎ロッド電極がバーナーの火炎に接触するようには、実際バーナーの炎に接触しない。紫外線火炎センサは、炎から放射された紫外光を検出するが、可視光又は赤外光のような放出された光の他の範囲に対して感応しない。図1を参照すると、UV火炎センサ100の斜視図が示され、このセンサは、好ましい実施例を実施するために使用するのに適する。UV火炎センサ100は、UVチューブ160を備え、このチューブは、主電極130と、フランジ110上に位置する中間チューブ120とを有する。中間チューブ120はさらにラン・オン状態を検出するためにブレークダウン室150を形成する補助電極140を有する。UV火炎センサ100は石英で作られ、炎からのUV放射線(図示せず)により衝突されたときにイオン化するガスで満たされる。
【0011】
UV放射線が無い場合、ガスは、チューブ160の内側に装着された主電極130間で絶縁体として作用する。高電圧が主電極130を、低電圧が補助電極140を、連続的に付勢する。燃焼期間中、UV放射線は、ガスをイオン化し、主電極130間で電流パルスを流れさせる。このような電流パルスは、火炎信号を生じさせ、このような信号は、コントローラLCR180の増幅器170に伝達され、そこで、信号は火炎リレーを付勢するか又はその中で保持されるように処理される。
【0012】
[0018]図2を参照すると、好ましい実施の形態に係る、UV火炎センサ100上に位置する陰極板210の頂面図が示される。図1−4において、同一又は同様の部品又は素子は同一の符号で一般に示すことに留意されたい。陰極板210は、フランジ110上に位置し、第1の組の主電極220に接触する。陰極板210に対する電気的な接続は、第1の組の主電極220を通して行われる。
[0019]図3を参照すると、好ましい実施の形態に係る、UV火炎センサ100上で図2に示すように、陰極板210上に位置される陽極格子310が示される。陽極格子310は、フランジ110上に位置し、第2の組の主電極320に接触する。
【0013】
陰極板210は、炎からのような紫外線に曝されたときに、電子を放出する。電子は、負に帯電された陰極板210から放電開始電圧に帯電された陽極格子310へ加速され、ガスの分子との衝突によりUVチューブ160を満たすガスをイオン化し、負の電子及び正のイオンの双方を発生させる。電子は、陽極格子310に吸引され、イオンは陰極板210に吸引され、補助の電子を発生させる。ガス放電雪崩電流は、陰極板210と陽極格子310との間で流れる。陰極板210及び陽極格子310は、離間して位置し、互いにほぼ平行となっている。陽極格子310への電気的な接続は第2の組の主電極320を通して行うことができる。
【0014】
[0020]図4を参照すると、好ましい実施の形態に従って利用できる、ラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサ400の例示的な図が示される。図1−4において、同一又は同様の部品又は素子は同一の符号で一般に示すことに留意されたい。ドーム状のガラスのような囲い410は、フランジ110上に位置することができ、囲いの外部の周囲環境から陰極板210及び陽極格子310を密閉シールする。高電圧は主電極130を横切って適用される。
【0015】
センサ400が主電極130を横切る電圧の存在の下で紫外放射線に曝されたとき、電子が陰極板210から流出する。中間チューブ120内に包まれた補助電極140はラン・オン状態を検出するためにブレークダウン室150を形成する。このような補助電極140は、陰極板210の孔230を通してUVに曝され、低電圧により連続的に付勢される。これらの電子は中間チューブ120内のガスをイオン化し、ガスは導電性になる。次いで、電流が主電極130及び補助電極140を横切って流れ、電圧の電位が低下する。
【0016】
[0021]電圧の電位が十分に低下したとき、伝導が停止する。これは、電圧を再度上昇させる。炎からの紫外光がまだ存在する場合、電圧が十分に上昇したときに、伝導工程が再度開始される。この連続的なシーケンスは、炎が存在する場合に、センサ100から一連のパルスを流出させる。次いで、この一連のパルスはバーナー制御により炎存在信号として検出される。ラン・オン状態が生じたとき、中間チューブ120はブレークダウンすることが期待される。補助電極140は異なる形、形状及び位置をとることのできる主電極130と同じガス環境内に配置することができる。
【0017】
補助電極140は、中間チューブ120内に配置することができ、主電極130の通常の機能に関係しない。補助電極140は、ラン・オン状態が生じるまで放電を伴わずにUVに曝すことができる。作動の別のモードでは、補助電極140はUVに曝されず、UV光が検出されたときに、放電を特定することによりラン・オン状態を決定することができる。補助電極140は、水素レベルが「死(dead)」レベルへ減少するまで放電が生じないように、大きな距離を隔てて配置される。
【0018】
[0022]上で開示した及び他の特徴及び機能又はその変形例の変更は多くの他の異なるシステム又は応用において好ましく組み合わせることができることを認識されたい。また、種々の現在予期しないか又は予想されない変形、修正、変更又はその改善は当業者によりその後行うことができ、特許請求の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】好ましい実施の形態を履行する際に使用するのに適することのできる、UV火炎センサの斜視図である。
【図2】好ましい実施の形態に係る、パッケージフランジ上に位置する陰極板の頂面図である。
【図3】好ましい実施の形態に係る、パッケージフランジ上に位置する陽極格子の頂面図である。
【図4】好ましい実施の形態に従って利用できる、ラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサの例示的な図である。
【符号の説明】
【0020】
100、400:UV火炎センサ、110:フランジ、120:中間チューブ、130、220、320:主電極、140:補助電極、150:ブレークダウン室、160:UVチューブ、210:陰極板、230:孔、310:陽極格子、410:囲い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVチューブ内のラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサであって、
少なくとも1つの補助電極を収容してフランジ上に位置し、ラン・オン状態を検出するためのブレークダウン室を形成する中間チューブと;
前記フランジ上に位置し、少なくとも1つの主電極に接触する陰極板と;
前記フランジ上に位置し、前記少なくとも1つの主電極に接触する陽極格子と;を有することを特徴とするUV火炎センサ。
【請求項2】
低電圧により前記少なくとも1つの補助電極を連続的に付勢するために、前記少なくとも1つの補助電極をUV放射線に曝すように陰極板に形成された孔を更に有することを特徴とする請求項1のUV火炎センサ。
【請求項3】
UVチューブ内のラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサであって、
少なくとも1つの補助電極を収容してフランジ上に位置し、ラン・オン状態を検出するためにブレークダウン室を形成する中間チューブと;
前記フランジ上に位置し、少なくとも1つの主電極に接触する陰極板と;
低電圧により前記少なくとも1つの補助電極を連続的に付勢するために前記少なくとも1つの補助電極をUV放射線に曝すようにされた、陰極板に形成された孔と;
前記フランジ上に位置し、前記少なくとも1つの主電極に接触する陽極格子と;を有することを特徴とするUV火炎センサ。
【請求項4】
UVチューブ内のラン・オン状態を検出するためのUV火炎センサであって、
少なくとも1つの補助電極を収容してフランジ上に位置し、それによってラン・オン状態を検出するためにブレークダウン室を形成する中間チューブと;
前記フランジ上に位置し、少なくとも1つの主電極に接触する陰極板と;
低電圧により前記少なくとも1つの補助電極を連続的に付勢するために前記少なくとも1つの補助電極をUV放射線に曝すようにされた、陰極板に形成された孔と;
前記フランジ上に位置される格子形状を更に有し、前記少なくとも1つの主電極に接触する陽極格子と;
前記フランジ上に位置する囲いであって、囲いの外部の周囲環境から前記陰極板及び陽極格子を密閉的にシールし、ガスで満たされた囲いと;を有し、
ラン・オン状態が生じたときに、中間チューブがブレークダウン状態となるようにされており、前記少なくとも1つの補助電極がブレークダウン状態に対して感応性を有し、前記少なくとも1つの補助電極は、水素が所定のレベルに達したときに放電を生じるように、センサ内に位置されることを特徴とするUV火炎センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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